経済産業省
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再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム(第2回)-議事要旨

日時:平成22年1月28日(木)11:00~13:00
場所:経済産業省本館17階第1~第3共用会議室

出席者

増子経済産業副大臣、石田資源エネルギー庁長官、本部次長、上田審議官、齋藤省エネルギー・新エネルギー部長、横尾電力・ガス事業部長

有識者
東京工業大学柏木教授、東京大学金本教授、一橋大学山内教授、東京大学山地教授、東京大学横山教授

議題

  1. 海外調査の結果について
  2. ヒアリングの結果について
  3. その他

議事概要

(1)齋藤省エネルギー・新エネルギー部長より資料2、吉野電力需給政策企画室長より参考資料について説明後、海外調査に参加した増子経済産業副大臣(第1回)、柏木教授(第2回)からのコメントと、海外調査に関するフリーディスカッション。

増子副大臣発言メモ

  • 1月4日から10日まで、イタリア、スペイン、原子力関係でフランスを訪問した。
イタリア
  • イタリアは、日本より1年早くRPS制度を導入し、2005年より太陽光発電、2008年からはその他の再生可能エネルギーについてごく小規模な発電向けの固定価格買取制度を併用した制度となっている。
  • イタリアは欧州でも電力料金の高い国。稼働している原子力もゼロ。イタリアでは、2020年にヒートポンプも含めた再生可能エネルギーの比率が17%の目標に達すると、電気料金が10%程度上昇するとのことだったので、標準世帯では一ヶ月あたり700円相当の負担増ということになる。
  • イタリアでは、RPS+太陽光の買取制度という我が国と似た制度を導入しているが、その他の固定価格買取を小規模な再生可能エネルギーに限定している点が印象的であった。
スペイン
  • スペインは、1994年から固定価格買取制度を導入し、1999年からプレミアム価格買取制度との選択制度となった。高い買取価格を設定した結果、昨年度、風力発電はドイツ、米国についで第三位、太陽光発電についてはドイツにつぐ第二位となった。
  • 一方、スペインでは買取価格を高く設定しすぎたため、大量の風力発電や太陽光発電が急激に導入されてしまい問題となった。欧州の西の端に位置し、他国との連系が弱い点は日本と同様。導入拡大は良い面だけなく、国民負担と系統への影響という点からも考えるべきであり、「日本が新たな制度を導入する際には注意するように」との話があった。
まとめ
  • 諸外国の事例を参考にし、より良い制度設計を行っていくべく引き続き議論をおこなっていきたい。
  • 重要なのは、再生可能エネルギーの導入拡大と、国民負担、電力系統安定化の面からバランスの良い制度を設計するという視点

柏木教授発言メモ

  • 1月17日から23日まで、イギリス、ドイツを訪問した。
イギリス
  • イギリスには制度先進国という自負がある。
  • イギリスでは、2002年より「RO制度」といういわゆるRPS制度を導入。加えて2010年4月から5000kW以下の小規模発電設備に対して、FITを開始予定。現在買取価格設定など最終調整段階に入っている。RO制度は上手くいっているという評価があり、今後見直しの方向性(FITの拡大等)はない。また、2月上旬から再生可能エネルギー熱(RHI)についても案を発表予定。
  • ドイツも同様であるが、再生可能エネルギーはエネルギーセキュリティーや温暖化対策として足るというよりも、投資対象として見ている。
  • 買取にかかる負担は最大でも一般家庭で年13ポンド程度(月160円程度)と行政は予測。電気料金の中に含まれる(料金票には明示せず)ため、負担感はない。また、産業界(大規模需要家)の反対もない。
ドイツ
  • FITは、コストの高い黎明期の技術の支援には有効であり、ドイツの太陽光発電はその点では成功したとの認識。しかし現在は、買取りにかかる負担の増加、中国製品が5割を占めるほどの輸入品の増加など、局面が変わっており、太陽光発電の買取単価を当初予定以上に低減する動きがある。
  • ドイツでは、再生可能エネルギーが原子力発電に代わる重要な電源と捉えられている。
  • ドイツの風力発電は再生可能エネルギー発電の5割を占めているが、既に供給量が国内の需要量を上回り実質マイナス価格での売電をせざるを得ない時間帯があるなど、系統制約が問題となっている。
  • ドイツでは、電気料金における負担は、環境税の負担の方が圧倒的に大きいため、国民はFITの負担をあまり意識していない。また、貧困者対策は社会福祉政策の方で実施すべきという考え方。
まとめ
  • ドイツ、イギリスを訪れて受けた印象は、それぞれの国で、エネルギーの中で力点を置いている部分があるということ。これは「日本版買取制度」の構築においても参考になると感じた。

横山教授

  • イギリスの再生可能エネルギーの導入のモデルは、事業者が発電機器を設置し、個人がそれに投資するというものであると伺った。スペイン・イタリア・ドイツにおいても個人より事業者の方が多く設置している印象があるが、事業者と個人の発電機器の設置比率について、今回の出張でデータが手に入っていたら教えていただきたい。
  • ドイツでは、2009年から自家消費を奨励する新たな制度を導入しているが、なぜ制度が普及しないのか、どのような点で制度が複雑なのか。
  • ドイツでの再生可能エネルギーの優先的接続について、「経済的に不合理な場合(系統増強費用が発電建設費の25%を超える系統増強)は、系統運用者は接続に必要な系統増強責務を負わない」(再生可能エネルギー法9条。参考資料7ページ)とあるが、蓄電池等の系統対策費用は系統増強費用の中に含まれているのか。また、25%の根拠は何か。

齋藤省エネルギー・新エネルギー部長

  • データについては把握してはいないが、欧州では事業用主体であったと認識している。

渡邊新エネルギー対策課長

  • 大規模風力発電は日本も欧州も発電事業者が主体。大規模太陽光発電は日本・欧州ともにすべて事業者。小規模太陽光については、日本では全体の8割が住宅、2割は発電事業者ではない一般事業者が工場等に設置している。一方、ドイツでは全体の4割が一戸建てで、5割が集合住宅、1割がメガソーラーという割合になっている。
  • 欧州では、業者が個人の土地を借りて機器を置くという概念で設置されている。
  • 余剰買取制度については、日本は努力して自家消費を減らすと余剰電力が増えて儲かるという概念だが、ドイツではいくら儲かるか最初から予測できないと誰も投資しない。努力で収入が変わるというのは複雑であるという認識。

吉野電力需給政策企画室長

  • ドイツの系統増強費用は、主に変電線路・変電所の増強費用である。25%の根拠については、「経済的に不合理な場合」という文言について国内で訴訟が起き、判例に基づき、後に具体的な数値が法令に明記されたとのこと。

山地教授

  • ドイツの買取制度の自家消費分の買取について、省エネに対するインセンティブが働かないと思うが、政策目標を教えてほしい。変動電源の逆潮分を減らしたいということなのか。

渡邊新エネルギー対策課長

  • 基本的にはそのとおりである。ドイツでは気候条件のため冷房等の省エネ努力をする余力が無いため本制度のような形となっている。

山内教授

  • イギリスの場合、マーケット創造・産業振興をさせて同時に再生可能エネルギーを増やすという意識が強いと聞いたが。全体のエネルギー電源のミックスの中で、それをどのように実現するのかという考えがあるのか。それに関連して、エネルギー源によって価格を変えることについて、それぞれの分野が共存するような価格設定をしているのだろうが、エネルギー間でもっと競争させたほうがいいのではとも思うが調査で入った情報はあるのか。
  • 国民負担の問題について、欧州では日本と比べて、大きな異論なく受け入れられている背景について教えていただきたい。
  • 太陽光や風力に関する調査結果が充実しているが、バイオマス、CHPなど他の再生可能エネルギーの普及拡大については、結果発表からの情報がない。今回の調査でヒアリングはしていないのか。

齋藤省エネルギー・新エネルギー部長

  • 欧州では決して太陽光・風力のみが買取対象として考えられているわけではない。資料2-2において、各国の各再生可能エネルギーに対する制度設計を表で紹介しているが、気象条件等が合い、価格低減余地があれば買取対象にしていくのが基本であると思う。
  • 産業政策としての観点については、各国は現在の導入状況、技術力、気象条件も加味して制度設計をしているところ。日本もこれらの条件や状況を反映した独自の制度を作るべきなのではないか。

山内教授

  • 買取価格をエネルギー源ごとに付けていることについては、それぞれの分野が成立するように計算しているという理解でよいか。

齋藤省エネルギー・新エネルギー部長

  • 投資が回るために価格を逆算する考え方と、エネルギー間の競争を促すために別の価格を設け、投資に参加する事業者を逆選択するという発想もある。

山内教授

  • 議論の核心は、エネルギー・環境政策という観点と、産業振興・景気対策という観点、どちらを重視すべきか、ということになる。しかし、長期的には地球環境に考慮せざるを得ないので、あまり短期的な対策に偏ってはならないと思う。いずれにせよ、そうした考え方によって政策のオプションは変わっていくのだろう。

柏木教授

  • 日本では、まだ全量買取制度の詳細は決定していない。実行して修正すべき点が発生したら修正する、ということになるのだろう。
  • バイオマスや小水力等、個別の再生可能エネルギーを買取対象にするかどうかも、一度実行して短い周期で買取価格等を再検討・修正するということでよいと思う。

石田長官

  • 事業者が導入し、個人が投資をするという仕組みについては、投資コストの回収年数が重要になってくる。投資コストの回収期間という側面において、買取価格の設定について議論は調査中あったのか。

齋藤部長

  • 資料2-2の7ページに各国の買取期間の一覧がある。それぞれのエネルギー源について投資が促進されるような投資回収期間や買取価格についての試算をしているところが多い。

(2)齋藤省エネルギー・新エネルギー部長より資料1について説明後、一般傍聴者の質疑も交え、海外調査とヒアリング結果含む全体を通したフリーディスカッション。

柏木教授

  • ヒアリング結果について、相反する施策・意見が複数見受けられるが、今後どのようにプロジェクトチームの中で検討されるのか。

齋藤省エネルギー・新エネルギー部長

  • 次回から3月に選択肢の提示を行う会合までの議論では、論理的にどちらかがよいと判断された意見群に関しては、負担等を明確にした上でどちらかへの結論づけを行い、どちらにすべきか選択するしか無いと判断されたものについては選択肢提示の対象とする。

一般傍聴者

  • 柏木教授の第2回海外調査についてのコメントの中で、ドイツでは新興国の安価な太陽電池が流通することで、国内の太陽電池市場の規模が縮小傾向にあるという言及があったが、日本でもそのような可能性がある。そこで、価格が高くても高品質な製品が生き残る制度設計をすべきだと思うが、こうした制度のアイデアについて海外調査で聞けたことは無いか。

柏木教授

  • 企業の実績に伴って市場参加に制約を設ける等、発電機器の高品質・長寿命に対して保証をする制度はさまざまに考えられるが、今後取り上げるべき課題になっていくと思う。

金本教授

  • CO2排出削減量1トンあたりのコスト・補助金が試算できれば、議論が明快になるだろう。ただし、温暖化対策以外の対策との擦り合わせが重要。
  • 太陽光発電等、技術進歩が期待できる分野について、どのように扱うのかも重要。エネルギー対策以外のメリットをどこまで織り込むことができるのかが論点になる。

上田審議官

  • 1点目の指摘については、次回の会合で買取費用の分析等シミュレーションを行う予定で、ここで議論をしていきたいと考えている。

一般傍聴者

  • 欧州では基本的に個人使用ではなく事業用導入と考えても差し支えないか。

渡邊新エネルギー対策課長

  • 事業用の導入については、事業者が事業用に導入する場合でも、個人が事業参加する場合でも、事業用として集計できるので、整理が必要。

一般傍聴者

  • 少なくとも、個人の設置は多数派ではないのか。

渡邊新エネルギー対策課長

  • ヨーロッパでは、個人が機器を所有するのではなく、個人は土地を業者に貸し、業者が機器を設置するという方式が一般的。ただ、外見からは個人が所有しているように見えるため、判断が難しい。

松尾電力市場整備課長

  • 各国の買取制度について、見直し等の周期について、より詳しい情報を教えていただきたい。

渡邊新エネルギー対策課長

  • 各国とも、買取価格が毎年低減していくということを前提としており、市場価格に達した段階で低減が止まるものと考えている。ただし、買取期間が終わったあとの段階については、どうなるか分からないという返答があった。またイギリスでは、インフレ率も考慮して3年ごとに価格を見直すという発言もあった。

一般傍聴者

  • 買取対象について電気利用だけでなく、熱利用について検討できないのか。

渡邊新エネルギー対策課長

  • イギリスでは熱利用の買取対象への包含について検討しているとのことであったが、熱の測定の方法が難しいというコメントがあった。また、コジェネレーション・システムでは、電気と熱が同時に発生するので、両者の関係の設定の仕方等についても苦慮している様子であった。
  • 再生可能エネルギー等全体の普及拡大という考えの下、補助金・税等の政策手法も組み合わせながら進めていきたいと考えている。

一般傍聴者

  • 今回の海外調査対象国において、FITが導入された際の新設発電所と既設発電所の取り扱いの違いについて教えていただきたい。

渡邊新エネルギー対策課長

  • ドイツは、90年代初めの導入で買取価格を徐々に上げていく形式であったため、新設・既設の議論は無かったと認識している。イギリスは、今年4月からの導入で正式決定ではないが、新設のみを買取対象としている。なお、イギリスでは小型風力を中心に設備認定を進めており、認定した設備のみから電力を買い取るとのことである。
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