経済産業省
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企業財務委員会(第24回)-議事要旨

日時:平成25年3月18日(月曜日)10時~12時
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

佐藤委員長、清水氏、木村委員、松本氏、青木氏、安田氏、阿部氏、山崎委員、渡辺氏、岩田氏、東條氏、有賀氏、五反田屋氏、山田氏、逆瀬氏、松尾氏、砂川氏、大草委員、高畑氏、角田氏、藤原氏、井上氏、山内氏、加賀谷WG座長

議題

  1. ジョン・ソクゥ教授によるプレゼンテーション
  2. 杉本徳栄教授によるプレゼンテーション
  3. その他

議事概要

1. ジョン・ソクゥ教授によるプレゼンテーション

ジョン・ソクゥ教授によるプレゼンテーション概要は以下の通り。

  • 本日は、韓国でどのようにIFRSに移行したかや、法人税制の変更、また、歳入に対してどのような影響があったかについてお話しする。更に、産業界に対する財務上の効果はどうであったか、投資家やマスコミからどのような反応があったか、最近のIASBとFASBのMoUプロジェクトに関して韓国でどのような意見があるかについてもお話しする。
  • 韓国の企業においては、IFRSの前に透明性の問題があり、不透明な会計状況があるということで、コリアン・ディスカウントという目で見られていた。そこで、2007年にIFRS適用が発表された際には、韓国企業は積極的に高い質の会計基準に対応していきたいと考えていた。
  • サムスンやヒュンダイ、KBといったグローバル企業では、財務諸表を2種類作成しなければならないという負担があった。また、信用格付における不利な状況があったが、今では少し改善したといえる。
  • 韓国では、アドプションに際しては準備期間があまりなく、2007年時点では十分な準備ができていなかった。韓国会計基準委員会(KASB)や金融委員会(FSS)、政府ばかりが準備万端で、IFRSへの対応を進めていた。従って、税法改革や商法改革、証券取引所におけるルールの変更、上場企業の開示の変更を行い、格付機関との問題については、十分な注意が払われなかった。
  • IFRSの移行を企業としてどのように対応してきたのか、また、これをどのように管理してきたのか、あるいは、開示量の増大に企業は十分対応できたのかについては、財務諸表作成者ではないため不明だが、早期適用企業からの回答、第1四半期開示の実績や1年間の開示実績からお話しする。
  • 営業利益については、出す企業と出さない企業があり、出している企業はK-GAAPに基づいた計上であった。またIFRSでは注記の量が非常に増えており、投資家の観点から見ても、これは困難なことであった。さらに、企業間の比較可能性が減少したという問題もある。こうした問題を受け、金融監督院としては、いかに役に立つ財務報告書を作成でいるかということを課題としている。
  • 当初、IFRS導入の混乱により、財務報告書の提出が遅れるのではないかという懸念もあったが、それは杞憂であった。しかし、コンプライアンスという面ではばらつきがあり、こうした状況を改善するため、追って外部監査院での見直しが求められているが、まだ行われてはいない。重大な欠陥があるところにおいては、再開示の要請及びモニタリングが行われた。開示において重大な欠陥が一貫してある場合には、ペナルティを受けることになっているが、第1四半期の結果に関してはガイドラインを提示したのみで、罰を受けた企業はなかった。
  • 第1四半期の開示の結果については、重大な欠陥があったのは約8%の企業のみであり、金融監督院も、企業が非常によく対応したと評価している。特に、大手企業においては未整備はなく、小さな企業の方が問題が大きいという結果になっている。特に大きい欠陥は発見されず、比較的スムーズに移行できたと言える。
  • その他の問題としては、従前より懸念されていた、公正市場価値の計算において使われた情報の開示がないことや、比較可能性の問題についてであるが、これについてはどうなるかまだよく分かっていない。営業利益についても、2011年時点ではIFRSでは必須とはなっておらず、会計情報として様々な苦情が寄せられている。
  • こうした問題を解決するべく、韓国当局はこれらの情報を注記の形で提出するように言っている。ただし、これらはIFRSで明確な定義がないため、企業間で定義にばらつきが出てしまい、企業間の比較が難しくなる可能性が出てくる。これを解決するため、営業利益については2012年に定義が出され、一貫性が担保されるようになった。
  • 学術的に様々な数字を見ると、例えば資本コストについて、IFRS適用後のPER(株価収益率)が若干上昇していることから、IFRSの会計情報は企業のPERを押し上げる働きがあった可能性がある。しかし、これは統計的に優位な上昇であるかは不明。ただし、IFRSをもとにした会計情報の正確性は上がっており、これはよい兆候であるといえる。
  • IFRSの適用に際しては、外国人投資家の保有が増加することが期待されたが、これについてはまだ予想された結果は出るに至っていない。むしろ、現時点では外国保有は下がっているといえる。
  • このように、IFRS適用の効果は様々であり、良い部分も悪い部分もある。IFRS適用のメリットを多く受けたかどうかは、もう少し時間がたたないと分からないであろう。企業規模によってどのような変化があったかについては、大手がよりメリットを享受しているといえる。
  • 2010年に、IFRS適用による影響をなるべく少なく抑えるため、税制改革が行われた。税の目的が権利義務確定主義であるのに対し、会計の目的は発生主義であり、企業側ではこの改正により様々な問題があったかもしれない。しかし、政府側としては、税の歳入に対する影響をできるだけ抑えようとしたもの。
  • 単体から連結に財務諸表が変わったために、監査人の法的な責任は増加したといえる。昨年時点では、韓国政府は法的責任が上がったことで監査人を罰することは行わなかったが、今後はこれが変化する可能性がある。作業が非常に増えたにもかかわらず、料金はそれほど上がっていないということで、監査側からは苦情の声も出ている。
  • 韓国の監査基準は2014年に変更されることとなっており、監査人は連結財務諸表に関し完全に責任を持つことになる。韓国政府は監査人が企業に成り代わって財務諸表を作成することを禁止するため、IFRSに準拠した財務諸表は別の監査人に作成させるという個人監査人制度を導入したいと考えている。IFRSの適用により、大手監査法人がシェアを伸ばすのではないかという声もあったが、2011年時点ではそれほど変化は出ていない。
  • 課題として残っているのは、韓国企業間での比較可能性が低下していること。比較可能性は対外国企業では改善しているものの、韓国企業同士、あるいは過去との比較において低下しており、これにはより多くの分析が必要。また、裁量の余地についても、まだあまり分かっておらず、引き続き問題を解決していく必要がある。さらに、公正市場価値について、推計における概算の間違いが増えているという問題もある。
  • 会計基準の変更は大きな分野に影響を与えた。当初の想定より準備期間が必要であることがわかり、我々の準備が十分だったのか評価するためには、更なる時間を要する。IFRSの適用については、マスコミや企業側からも批判があった。また、会計基準の変更は税制をはじめとする様々な法制度に影響があり、市民権においても影響があったといえる。まだまだ全体的な分析はなされていないが、メリットとコストの分析を行っていく必要がある。さらに、IFRSによってうまれた裁量に対するコントロールのメカニズムも必要である。
  • 金融アナリストは、まだIFRSの会計基準にそれほど慣れておらず、彼らに対する啓蒙活動も必要。そして、投資家に対しても学術界に対しても啓蒙活動が必要である。
  • 今後、様々な結果が出てくると考えられ、法律事務所でも、様々な苦情や不満に対応できるよう、準備を行っているところである。

2. 杉本 徳栄教授によるプレゼンテーション

杉本教授によるプレゼンテーション概要は以下の通り。

  • ジョン先生のプレゼンを補足する形で説明を行う。本日のプレゼンにあたっての問題意識は2つ。1つは、韓国がIFRSをアドプションした結果、財務報告に対してどれだけのインパクトがあったのか。もう1つは、法人税法上の税負担額にどういう影響があったのか。これらを実際にIFRSを適用した企業を踏まえてまとめた。
  • IFRS適用にあたっては、韓国のIFRS導入のロードマップの公表により、早期適用が2009年と2010年に行われた。
  • この2年間、一体どの企業が早期適用したのかということをまとめたものが、「I-1.韓国のIFRS早期適用企業」の一覧である。左側の有価証券市場上場会社がKOSPIの上場会社、右側がKOSDAQの市場上場会社。このデータは韓国の金融監督院でまとめられたものだが、正確に捉えられていない箇所がある。例えば、FILA KOREAは2010年ではなく、2009年にIFRSの早期適用を行った。また、WOO JINという会社は2010年ではなく、2011年からの強制適用に際しIFRSを導入した企業である。
  • 韓国でのIFRS早期適用期間は2年間あったが、韓国の会計学会に属する研究者による研究の中ででも、この2年間の調査研究結果を総合的にとらえた研究はなく、また早期適用初年度の研究は数多くあるものの、早期適用2年目の2010年の研究はほとんどないのが実態。しかし、LGやサムスン等、財閥系の企業の多くが2010年にIFRSの早期適用を行っており、2010年の早期適用の実態は注目に値する。
  • 別添のワードによる資料は、規制当局の金融監督院が定期的に実態調査を行ったものを主としてまとめたものであり、図表1と図表2は有価証券市場上場法人と金融機関、図表3は、非上場企業の会計基準としてどういうものが選択されているのか、図表4は、12月決算の外部監査対象企業がどういう会計基準を選択し、連結財務諸表がどのような作成状況になっているかをデータでまとめたものである。図表5は、上場法人の親会社・子会社の状況と資産規模別の親会社・子会社の状況をまとめたものであり、図表6は金融監督院による2011年第1四半期・半期報告書のIFRS財務情報開示の点検結果を示している。これらの図表は金融監督院によって行われた調査結果である。最後の図表7は、公企業の財務数値と財務比率の変動(2010年度)をまとめたものであり、これは私が個別に調査を行ったものである。
  • 韓国のIFRSアドプションの特徴は3つ。1つは、IFRSの適用対象。韓国では、公共機関に対してもIFRSの適用を行っている。2つ目は、会計基準の二元化。つまり、上場企業に対してはIFRS、非上場企業に対しては一般企業会計基準を策定の上、適用している。3つ目は、IFRSの段階的適用。これは2年間の早期適用の後、2011年からIFRS強制適用が行われたことである。
  • 本日の報告で特に着目したいのは、早期適用の2年間の財務報告にどれだけの影響があったのかについてである。2010年のIFRS早期適用企業の財務報告への影響に関する研究は、事実上行われておらず、2009年に関する研究が圧倒的多数である。これらの研究結果を分析すると、財政状態を示す総資産、総負債、資本は、総資産と総負債ですべて、従来の韓国の会計基準(K-GAAP)で作成した財務資料よりも、IFRSで作成した財務資料で増加する傾向にあるということがわかる。一方、資本については、従来の韓国の会計基準からIFRSへの移行による影響の差異は、総資産と総負債に比べて相対的に微々たるものである。また、営業損益についていえば、IFRSへの移行で企業に有利な影響が出ているということがわかる。
  • 先行研究結果の内容を踏まえ、2010年のIFRS早期適用企業の財務報告上の影響がどうであったかについて検討したものが、「IV.分析検討」の内容である。先の2009年のデータとこの2010年のKOSPIとKOSDAQのデータを比較すると、営業損益、税引前損益、そして当期純損益が、2009年と2010年のIFRS早期適用企業との間で大きく違うことがうかがえる。
  • 法人税の負担額に対する影響についても先行研究がいくつかあり、これらの研究成果は、IFRSのアドプションに合わせて、韓国の法人税制を改正する必要性があることを訴えている。こうした研究を踏まえて、2010年と2011年にIFRSアドプションに伴う、また、それに向けての法人税法の改正が行われた。法人税法の改正にあたっては、同一の経済行為に対して同一の税負担を維持すること(第1原則)、税務調整の負担を最小化すること(第2原則)、税法の目的上、妥当な会計処理は税負担が増加しても受け入れること(第3原則)を原則として税制改編が行われた。
  • 2010年の法人税法の改正では、減価償却費の申告調整や貸倒引当金戻入益の益金算入の繰り延べが容認されたほか、機能通貨会計制度導入企業への課税標準計算方法の新設等が行われた。また、2011年の法人税法の改正においては、棚卸資産の評価方法の変更による課税上の特例やIFRS初度適用年度前に取得したのれんに対する減価償却費の税務調整の容認などが行われた。
  • こうした特例条項に関する影響について、IFRSを導入することによって法人税の負担額に変化があるのか否かの研究も行われてきたが、税務調整の部分は、事実上ブラックボックスになっており、それが研究上の問題点として指摘されている。ブラックボックスになっている部分について、持分法関連の損益と退職給付債務関連の負債の2つの項目は法人税負担額の変動をもたらさないという仮定のもとで、つまり、それに関連する差異調整項目を省いた上で、法人税負担額にどれだけの影響があるかについて検討された。その結果、2009年の早期適用企業については、12社のうち法人税負担額が増加したのは7社、減少したのは5社となっている。2010年の早期適用企業についても、同じ仮定をもとに調査した結果、KOSPIの場合、25社のうち13社が対象となるが、この13社のうち、法人税負担額が増加したのは6社、減少したのは7社であった。KOSDAQの場合は、21社のうち13社が対象となり、この13社のうち、11社の法人税負担額が増加し、2社のそれが減少した。
  • 2011年からIFRS強制適用が始まったが、これらの企業について、財務報告や法人税の負担額に対する影響についても、今後、アカデミックの立場からも検討する必要がある。

上記1.2.に対し、委員からは以下の通り質疑があった。

山田氏
IFRS導入により財務諸表の企業間の比較可能性が低下したという指摘があったが、具体的にどのような項目で比較可能性が低下したのか。また、その理由は原則主義によるものなのか。
営業利益が増加した企業と減少した企業に分かれているが、どのような項目が原因でそうなったのか。
ジョン教授
比較可能性の低下については、様々な原因がある。例えば売掛金について、IFRSでは1つの法則によって投資されているが、韓国では売掛金をメインとそれ以外に分類する習慣があり、これにより営業利益にも影響が出てくる。また、企業によっては売掛金の情報をまったく提供しないところもあり、異なる形で組み合わせる企業もあるので、統一した具体的な情報が前ほどは得られないという問題がある。営業利益についても同様だが、この問題を解決するため、金融監督院は営業利益の定義を行った。従って、営業利益については、来年度からは問題がないはずである。
これが原則主義によるものなのかは不明。会計に関し、ユーザーにとって有益な情報をできるだけとるのが原則主義の目的だが、企業によってはそういう情報を出さないところもある。どういうインセンティブを与えれば開示をするのかについては、もっと分析を進める必要があると考える。
杉本教授
営業利益の増減に関しては、データは全て把握しているものの、今手持ちデータがない。確認したうえで回答したい。
加賀谷WG座長
IFRSの導入にあたっては、当初、資本コストの低減も含め、何十兆ウォンという経済効果を生み出すのではないかという分析があったと思うが、なぜ当初想定していた導入の効果を獲得できていないのか。
また、会社法における違法配当が起こった場合に、韓国としてはどういう形で対応をされようとするのか。仮に見積もりが誤って、無過失責任による情報開示における問題が起こった場合に、どう対応されようとしているのか。こうした法規制との関連について、韓国サイドの対応を伺いたい。
ジョン教授
経済的な影響については、まだいろいろな分析が混在している。資本コストについて減少は見られない。PERは増加しているが、導入前後の違いは顕著ではない。この二年間の間には世界経済も大きく変わり、韓国経済もその影響を受けているため、何がIFRS導入の影響なのかははっきり分かっていない。資本コストについても、まだ分析を待つ必要がある。
透明性の問題については矛盾をはらんでおり、外国の投資家においては透明性は高まったかもしれないが、国内のユーザーから見ると、比較可能性が低下したということになるだろう。知る限りでは、ヨーロッパからの投資が減っている一方、アメリカは据え置き、中東、アジア地域からの投資は増えており、全体では韓国への投資は減っているものの、地域ごとに特性がある。従って、外国企業の投資についてIFRSが与えた影響については、更に研究する必要がある。
配当については、実現された利益に基づいて配当をしなければならないという商法の規定があり、未実現利益について、含み益だけで配当することは禁止されている。従って、商法の観点からみて、違法の配当の支払いの問題はない。
推計の問題については、非常に主観的な分野であり、誰かに有益な情報を意図的に提供したかどうかの判断が難しいことから、非常に難しい問題。様々な見解があり、人々も懸念している。
佐藤委員長
韓国の納税はK-GAAPに基づいて行われているのか。また、韓国は損金経理要件を放棄してしまったのかどうか。
ジョン教授
税額に関してはまず、K-GAAPの収益、K-IFRSの収益に基づいて計算を行う。新しい財務諸表をK-GAAPで作成している場合には、純利益、当期利益をK-GAAPに基づいて、調整の後でそれを支払う義務がある。K-IFRSに基づいている場合は、税額の支払いはK-IFRSの調整後の純利益に基づいて支払いを行う。IFRSでは未実現利益の認識がよりできるため、減損損失などをより認識することができる。
一方、税法は従来通り原価法で行っている。IFRSを採用する前後で特に違いはないが、税額調整が複雑になった。基本的に、IFRSで純利益を準備している場合は、IFRSベースで払う必要がある。
杉本教授
損金経理要件については、韓国は放棄しておらず、従来通りのままである。2013年12月31日以前に取得した資産については、IFRS導入以前の従来の減価償却方法と耐用年数を限度として、申告調整を認めている。また、2014年1月1日以降に取得した資産についても、政令で定める基準耐用年数に基づく金額を損金算入限度額とするという申告調整を認めている。

3. その他

最近のIFRSに関する動向及び欧州出張報告について、事務局からの説明は以下の通り。

  • (資料6)最近のIFRSに関する動向として、まず、プロセスの面で大きく2つの動きが挙げられる。1つは金融会計アドバイザリー・フォーラム(ASAF)の立ち上げであり、日本のASBJや韓国の基準設定主体も手を挙げている。これは4月を目処にスタートする予定。
  • 2つめはモニタリング・ボードについて。現在日米欧の規制当局及びIOSCOの代表2名で成り立っているが、新たにメンバー要件を設定した。要件の1つとして挙げられている「IFRSの使用」とは、それを強制あるいは任意適用していることであるということで、必ずしも義務適用をするということではないということが示されている。さらに、各国の経済その他の状況にとって、関係しないような基準あるいは公益に反する可能性がある基準は例外となるということで、「IFRSの使用」には様々な形があり得るということが提起されている。
  • 中身の話についても大きく2つの動きがあり、1つはアメリカとのMoUプロジェクト。これについては、後述の分科会で実務的な議論をしたいと考えている。さらに、これから「概念フレームワーク」の議論が開始されることとなっており、経済界としても非常に重要だと認識している。
  • (資料7)また、1月の欧州出張に関しては、IFRS/IASB、独仏英の基準設定主体など、そして欧州委員会を回るなかで、全般的に、IFRSと米国のプロジェクトに関する不満が非常にあること、また、IFRSに対する各国における批判や再検証の動きが顕著であることを感じた。
  • アメリカの貢献への不満については、IASBが非常に強く主張。不満の内容としては、アメリカが「単一の基準」より「比較可能な基準」への指向を明確にしていることや、アメリカの拠出が昔に比べ3分の1に減少しているのに評議員やボードに占める割合が不釣り合いに多いことを挙げていた。アメリカの拠出は個別企業から集めていてこのような状況であるのに対し、日本は産業界から広く集めており、貢献額も非常に大きいので、感謝された。
  • 個別論点については、米国とIASBのMoUプロジェクトへの不満として、金融商品の減損への問題、とりわけ金融危機対応であるのにプロジェクトは大幅に遅れており、それならプロジェクトそのものをやめてはどうかという声も聞かれた。
  • のれんの減損についても非常に大きな論点になっており、企業、投資家、当局ともに非常に注目していた。こうしたなかで、日本が提起しているのれんの償却についても、真剣に考えるべきという声もあった。
  • さらに、基準そのもののみならず、開示の量が膨大になっていることから、「開示フレームワーク」についても議論を深めようということが挙げられており、前述の「概念フレームワーク」の中に組み込む形で議論が行われる予定。
  • 最後に、英仏と欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)がIFRSにビジネスモデルの考え方を入れるべきであると主張しており、問題提起をする文書を3月、4月に発出予定。

また、企業会計実務者分科会の立ち上げについて、以下の通り佐藤委員長より委員に提案を行った。

佐藤委員長
我が国におけるIFRS適用のあり方や単体開示のあり方等について実務的な議論を行うため、企業会計実務者分科会の立ち上げを提案したい。メンバーは、本委員会の委員もしくは実務的観点から議論ができる方が対象。座長は、引き続き加賀谷先生にお願いしたい。

本分科会については、反対意見が出なかったため、立ち上げが決定された。

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最終更新日:2013年5月9日
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