経済産業省
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企業財務委員会(第25回)-議事要旨

日時:平成25年6月17日(月曜日)14時~15時30分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

佐藤委員長、清水氏、木村委員、吉田氏、松本氏、柳橋氏、安田氏、内島委員、渡辺氏、岩田氏、山内氏、高橋委員、五反田屋氏、山田氏、松尾氏、砂川氏、中野氏、高畑氏、井上氏

議題

  1. ASBJ小賀坂副委員長によるプレゼンテーション
  2. その他

議事概要

1. ASBJ小賀坂副委員長によるプレゼンテーション

ASBJ小賀坂副委員長によるプレゼンテーションの概要は以下の通り。

  • 本日は、IFRSに関する最近の動き、特に会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)と概念フレームワークの見直しについてについてお話し、それに対し、我が国、ASBJとしてどのように対応をしているか、また、対応すべきであるかという点についてお話する。
  • まず、ASAFの設置について説明する。これまでIASBはFASBやASBJ、EFRAGとバイラテラルに協議していたが、これをマルチラテラルな協議に移行していくことがASAFの目的とされる。FASBとのMoUプロジェクトが終わりに近づき、その後の各国基準設定主体とのあり方を考えてのことと思われる。
  • IASBやIFRS解釈指針委員会は、個人の資格で選ばれるが、ASAFは、個人ではなく国及び地域を代表する組織として選ばれ、可能な限り各国及び各地域の意見を反映して参加することが期待されている。また、メンバー構成は8カ国プラス4つの地域であり、2年おきに見直されることになっている。実質的な議論を行うため、メンバーの数を絞ることにこだわっていたようである。
  • 第1回のASAFは4月に開催された。メンバーの決定から開催まであまり時間はなかったものの、活発な議論が行われた。主に概念フレームワークの見直しが議論され、金融資産の減損についても議論が行われた。
  • ASAFは世界中から注目されているため、我が国の意見を発信していく上では非常にいいチャンスであると思われる。その意味で、我が国としてどのように統一的な意見を形成していくかが、今後の課題となる。
  • 難しいテーマになればなるほど、全員が同じ意見になるということはないが、できる限り国内で意見を統一し、それを背景にASAFに参加することが今後の対応として非常に重要になる。
  • 会計基準の開発において、作成者はもちろん重要な位置を占める。日本の意見を形成していく上では、作成者の間でも十分議論を行ってもらいたいし、我々もその議論に参加させて頂き、日本として統一的な意見を形成できる環境を作っていきたい。
  • 続いて、概念フレームワークの見直しについて説明する。この見直しは、IASBが2011年に実施したアジェンダ・コンサルテーションの結果により行われることになったものであるが、当期純利益と公正価値測定の範囲に関連するテーマが含まれており、我々も議論することを強く求めていたものである。
  • 1989年に旧IASC時代に概念フレームワークが作られて以後、2004年にFASBとの共同プロジェクトで改正のプロジェクトが開始された。2010年まで約7年間、膨大な議論が行われたが、成果物としては総論部分にあたる財務報告の目的と有用な財務情報の質的特性が公表されるにとどまった。
  • 今回の見直しのプロジェクトは、各論部分の構成要素、認識、測定、表示・開示及び報告企業をすべて取り上げることとなっており、かつ、完成目標が2015年9月と定められ、チャレンジングな計画となっている。
  • 今回の見直しの内容は多岐にわたるが、その中でも当期純利益/その他の包括利益(OCI)の問題と測定の議論、すなわち公正価値測定の範囲の議論は、我が国でも特に重要と考えられる。
  • 現状の概念フレームワークでは、資産及び負債を定義し、資本はその差額で決まる。また、損益項目では収益と費用が資産及び負債の増減として定義され、当期純利益及び包括利益は定義されていない。また、どの項目を公正価値で測定し、どの項目を取得原価と測定するかについて、何も記載されていない。
  • これらの点については、最近の会計基準においてノンリサイクリングのOCIが多用されたことにより、我が国のみならず多くの国から、概念フレームワークで検討することが要望されていた。
  • IASBは、この7月に概念フレームワークの見直しに関するディスカッション・ペーパーを公表する予定である。その中では、当期純利益をPerformanceのprimary pictureと位置付け、また、公正価値と取得原価の切り分けの提案も行われており、比較的ASBJの考えに近い案も織り込まれている。
  • ただし、ディスカッション・ペーパーでは、当期純利益の定義をするのは困難であると記載される予定で、また、当期純利益を不要とする代替案も含まれる予定である。今後、さらに我が国の意見発信を強化していく必要がある。
  • なお、我が国の関係者の関心が高い項目として、保守主義、慎重性の原則(プルーデンス)の論点がある。慎重性の原則は、中立性に反するとの理由で3年前の概念フレームワークの改正で削除されており、我が国の関係者からは強い懸念が示されている。過度な保守主義は論外であるが、不確実性がある中、選択肢が2つある場合に、利益を少な目に計上するほうを選択するという考えは現状でもあるはずであり、ASBJでは、この点も主張していく必要があると考えている。IASBは、3年前に改正したばかりであり、今回の見直しの範囲には含めないとしているものの、ディスカッション・ペーパーの質問項目には入れるとしている。
  • 概念フレームワークについて、本日は3つの項目について取り上げた。抽象的で難しい議論であるが、非常に重要なテーマであり、十分な検討を行う必要があると考えている。繰り返しになるが、我が国として強い主張をしていくためには、国内でしっかりと議論を行い、可能な限り統一的な意見形成を行うことが重要であり、作成者の方々にも深く議論に関わって欲しい。

上記に対し、委員からは以下の通り質疑があった。

山田氏
当期純利益に関して、資料にある一つのアプローチでは、OCIはリサイクリングされることになっているが、当該期間の財務業績に関し目的適合性のある情報をもたらす場合にリサイクリングを行うとなっている。この原則を当てはめると、持ち合い株式を当期にリサイクルするかどうかといったときに、全てリサイクルされるとは限らないのではないかという懸念がある。OCIは全てリサイクルするという大原則をたて、リサイクルをするタイミングをどうするかという議論に絞り込んでいくという方法はとれないか。
ASBJ小賀坂副委員長
ASBJでは、包括利益と当期純利益は利益の認識のタイミングの差であって、合計は必ず一致しなければいけないということを主張してきている。ただ、これまでのIASBの議論では、当期利益を決めるのではなく、OCIに何を含めるべきかという考えのもと、リサイクリングを必須としない案も強く主張されており、意見が割れているところである。
柳橋氏
2015年に概念フレームワークが固まって、当期純利益の概念も明確に方向性が決まったと仮定すると、今の既存の基準書でそれに合っていないものは見直し作業が進むと思われるが、どのくらいの期間で変わっていくのか。当期純利益の概念が決まることで、IFRSに乗り換えやすくなる可能性もあると思うが、そのためには既存の基準も変わる必要があるため、時間的な大体の見通しを伺いたい。
ASBJ小賀坂副委員長
IASBでは、概念フレームワークが改正された場合でも、既存のものを自動的に見直すのではなく、個々の基準を変えるのはまた別のアジェンダ設定になるという説明がなされている。
高畑氏
当期純利益が先に定義されるべきかOCUが先かという論点は非常に重要である。普通に考えればOCIはotherであるから後ということになるはず。その点は引き続き主張していただきたい。また、この点が、当期純利益を未だに構成要素ではなく表示で取り扱っている背景だと思う。日本としてよく主張して欲しい。
当期純利益の議論において、当期純利益は不要との主張をする国があるとのことであるが、そのような国では、企業も投資家も当期純利益がそれほど重要と考えていないというイメージでよいのか。
ASBJ小賀坂副委員長
各国におけるOCIの金額的重要性については、IASBの依頼により、ASBJにおいて、フォーチュン500のうち、約180社について分析を行った。結論としては、IFRSを利用している会社、特にヨーロッパの会社と、日本とアメリカの会社のOCIの金額は何倍も違うというものであった。
佐藤委員長
当期純利益に関連して、IFRSはキャッシュ・フローとのリンケージが希薄過ぎると感じるが、キャッシュ・フローと業績のリンケージは非常に重要だと思うので、その辺の議論を持ち出すのも1つの手段だと思う。
保守主義、慎重性の問題については、中立性が強調されすぎているのではないか。
MoUプロジェクトについてFASBとIASBの考え方の差が広がっているような気がするが、これはどういう形で収束するのか見通しを教えていただきたい。
ASBJ小賀坂副委員長
当期純利益について、最終的な投資の成果としてキャッシュ・フローを重視する考えがASBJにはあるが、一方で、国際的ではキャッシュを強調することに懐疑的な人も多い。
慎重性の原則については、最近公表されたEFRAGのBulletinでも、現実的に多くの会計基準に入っており再検討する必要性があると主張されている。
IASBとFASBのMoUプロジェクトについて、収益認識は夏から秋にかけて最終化される見通しであり、リースについては改訂公開草案が公表された。金融商品の減損については共同で審議を行ってきたが、現在は、違うモデルを主張し、各々公開草案を公表している状況であり、最終的に折り合えるかどうかは不明である。

2. その他

企業会計実務者分科会の報告及び最近のIFRSに関する動向について、事務局からの説明は以下の通り。

企業会計実務者分科会の報告

  • 企業会計実務者分科会では、前回の立ち上げから4回にわたり、10人以上の方にご参加いただき、かなり集中的な議論を行った。国際的な動向、あるいは費用対効果を踏まえて、ゼロベースで見直しをすべきではないかというのが参加者の認識で、単体の開示の在り方、連結の開示の在り方、制度としての四半期開示、内部統制報告、非財務情報について議論を行った。今回は、上場企業における単体開示の在り方を中心に報告する。
  • 現状認識として、現行制度の問題の所在として金融商品取引法、会社法ともに単体開示、連結開示が要請されている中で、一定の項目は共通しているものの、違う部分が存在することについてどう考えるかという点が話し合われた。
  • 1977年からの連結開示、97年から連結が主体になる一方で、十数年たっているにも関わらず、未だに単体の項目が連結と重複していたり、単体独自の項目が残っているということで、連結ベースへの転換が進んでいない部分が多い。特に、子会社を通じた事業活動の多様化や、持ち株会社の形態が多くなるなかで、開示の項目がついていっていないのではないかという議論、また、投資家に対する情報提供として単体開示の有用性が乏しくなっているということが共通認識として示された。
  • 国際的に見ると、日本の詳細にわたる単体開示、あるいは会社法と違う形での要求事項というのは例をみない。例えばアメリカ、カナダでは単体開示は必要とされず、ヨーロッパの中でもイギリスでは、貸借対照表のみが要求される。フランスやドイツでも、基本的には商法で要求されるのと同じような開示項目である。日本の場合は、単体と連結がともに要求され、しかも会社法と金商法で違う要素が求められるということで、かなり独自のものであるといえる。
  • 経団連からも6月10日付けで、金商法上の開示は連結ベースに一本化をして、金商法上の単体開示は廃止のうえ、会社法の計算書類を活用する仕組みとすることで、役割分担の明確化、見直しを図るべきであるという提言がなされている。
  • 分科会全体の意見としては、経団連の提言にもあるように、会社法に基づく単体開示に一本化して、金商法に基づく開示は廃止すべきということが示されている。理由は主に3点あり、多様な連結企業形態が普及する中で、単体開示の投資情報としての有用性がますます乏しくなっているというのが1点目。2点目は、これが企業にとって便益なきコストになっており、ひいては株主価値も毀損しているのではないかという点で、これはかなり強い懸念として表明された。このように、使われていないであろう開示をすることで、かなりモチベーションが下がってしまうという機会費用を指摘する声もあった。さらに、国際的に、日本のような開示は諸外国に例を見ない過重なものであるというのが3点目である。
  • その上で、一本化された開示そのものも、目的、ニーズに合わせて、合理的、必要な情報を提供したうえで、企業負担が最小限になるようなものとすべきという見解が示された。また、開示制度全般についても、ゼロベースでの見直しを行い、抜本的な改善を図るべきというのが共通の認識であった。
  • 具体的な要望については、まず一本化してほしいということ。特に、単体開示のみで求められている製造原価明細書については、全ての企業の方から有用性への懸念、あるいはそれに係る負担が述べられた。企業側のコストだけでなく、日本だけが特別な情報を出していることについては、むしろ投資家にとっても問題なのではないかという指摘があった。
  • 会社法上の単体開示の簡素化ということについても、個別に関連当事者間の取引やリース、税効果会計等、法の目的に照らして本当に必要なものを開示するべきではないかという指摘があった。
  • 制度全体については、一つ一つ突っ込んで議論する時間はなかったが、特に四半期開示によってかなり忙しいということのみならず、企業の判断、あるいは投資家の判断も、これによって短期志向になってしまっているのではないかという指摘があった。本当に投資家の判断として、使われているのかいないのかを認識、あるいは理解を深めることが重要。
  • 公認会計士協会でも、二元化した財務情報を見直して一元化すべきということがかなり強く言われている。

最近のIFRSに関する動向

  • ハンス・フーガーホースト議長が来日し、ASBJの仕事を非常に評価するとともに、定期的な二国間、二者間の協議が終わっても議論をし続けることが大事であるということや、IFRSそのものは完璧ではなく、今後も改善していくことが重要という話があった。
  • MoUプロジェクトについては、リース、収益認識についてドラフトが出されており、特にリースについては、かなりコメントが出るだろうと予想されている
  • また、IFRS財団への各国の拠出額について、2011年と2012年を比較すると構成にかなり大きな変動があった。日本の比率が8%から11%まで上がり、EUに次ぐ2番目になっている一方、アメリカが8%から6%になり、額としても3分の1減となっている。日本の拠出金は産業界から出されており、日本の存在感は増しているといえる。
  • ヨーロッパでは2つの大きなプロセスが動いており、1つはガバナンス改革で、IFRSに対する発言力を高めるため、スペシャルアドバイザーを任命している。2つ目は、IFRSの適用がもたらした経済的、あるいは費用対効果を見直すリサーチを行う。
  • また、概念フレームワークについても、ヨーロッパとしてのプロジェクトを立ち上げ、特に慎重性、あるいは資産負債アプローチがよいのかというような問題意識について広く意見を募集している。
  • さらに、欧州委員会が公表した長期的な投資に関するグリーンペーパーについて、会計原則において公正価値会計が投資家の短期主義に繋がっているのではないかということで、これを克服する方法について協議を始めている。

上記に対し、委員からは以下の通り質疑があった。

渡辺氏
アス長官の認識、見識というのはどの程度の広がりを持っているのか。
事務局
ヨーロッパの有識者とはいろいろ話す機会があるが、共通して言うのは、アス長官はオピニオンリーダーであるということ。一方、フランスそのものの主張として、ネットインカム、PLを重視すること、あるいは慎重性の原則についてかなり主張している、
一方、フランスの場合はドイツと違い、国が基準を決めているということもあり、日本の場合とも少し違う。このような点は、フランスという固有の事情もあるのではないか。
佐藤委員長
単体開示については、前回の企業会計審議会において、具体的な検討に当たっては産業界、経済界とも連携をとってやってほしいとお願いしている。おそらく、金融庁がたたき台を作り、経団連等と連携をとって決めていくことになると思うが、企業財務委員会の分科会で検討していることも、ぜひ意見を言っていきたい。

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最終更新日:2013年9月26日
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