経済産業省
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企業財務委員会(第26回)-議事要旨

日時:平成25年11月26日(火曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

佐藤委員長、寺井委員、木村委員、吉田氏、松本氏、柳橋氏、姜氏、内島委員、原委員、渡辺氏、岩田氏、佐々木氏、高畑委員、吉崎様、山口氏、牧野氏、山田氏、松尾氏、砂川氏、中野氏、高畑氏、瀬川委員

議題

  1. 東京大学 斎藤 静樹名誉教授によるプレゼンテーション
  2. 会計基準に関する国際的な動向

議事概要

1. 東京大学 斎藤 静樹名誉教授によるプレゼンテーション

東京大学 斎藤 静樹名誉教授より、資料3に添って説明。委員からは以下の通り質疑があった。

吉田氏
概念の定義について広く議論に参加していくことが必要。純利益の概念については、IASBは包括利益を支持する根拠を示していない。基準作りの場には産業界の出身者は数が少ない。基準そのものに参画できる人材が不足していることと、育成の必要性を強く感じる。
斎藤教授
同感である。IASBが包括利益を強くサポートしているのは、包括利益がバランスシートで資産と負債を公正価値で評価すれば自動的に算出され、判断を加える余地がないことにあると思われる。それが利益情報として適切かどうかはよく考える必要がある。
山田氏
・IASBのディスカッションペーパーにおける純利益の定義には問題があると思うが、どのように説得していったらよいか。
・資産・負債の認識において、蓋然性の基準がなくなったことを懸念しているが、何かコメントをいただきたい。
斎藤教授
・純利益もOCIも定義されていないし、リサイクリングも範囲がよくわからない。包括利益こそが大事というなら、純利益をそれに結びつけるよう、定義もリサイクリングも明確に定めて、通期では両者を一致させるのが彼らの立場と一貫するのではないか。
・蓋然性基準を外して測定に確率をとり入れても、たとえば偶発損失を期待値で表した情報に意味があるのか。役に立つとしたら確率分布のほうだろう。さんざん議論したことではあるが、彼らはよほど大きな問題がない限り変えないだろう。
内島委員
IASBには、自分の主張を実現することで何か実利的、政治的、あるいは経済的なメリットがあるのか。
斎藤教授
彼らの主張が必ずしも経済的利害に結びついているとは思わない。各国の基準は非常に異なるので、それを統合するためにはそれぞれの基準を集めて調整するよりイデオロギー的に一本上から出した方が簡単ということだろう。

2. 会計基準に関する国際的な動向

欧州出張の報告及び最近のIFRSに関する動向について、委員長及び事務局から資料5に添って以下の通り説明した。

佐藤委員長
・欧州からIFRS批判が出てきていることを踏まえ、ロンドンにて投資家、政治家、政府関係者らと面談を行った。
・英国の会社法にはPrudence(慎重性の原則)とTrue & Fair View(真実かつ公正な概観)という概念があるが、IFRSを導入した際にそれらの概念に合致しているかという検証を十分にせずに導入したとことが、今英国で問題になっている。英国は金融業の単体も含めIFRSでやっているため、連単分離を採用したドイツ、フランスに比べ、大きなダメージを受けているようである。
・投資家は米国基準でもIFRSでも日本基準でも、彼らなりの分析手法を持っているため、会計情報に関してIFRSがいいとは必ずしも思っていない。また、金融市場や企業の行動が短期化していることを懸念している投資家もいた。ケイ・レビューを出したジョン・ケイ教授は英国市場の短期主義化に対して非常に警鐘をならしており、四半期開示を廃止すべきということを主張していた。
・IFRS財団に対する拠出額を減らすべきとの法案を立案している議員とも面談したが、かなり激しくIFRSを批判していた。ただ、EUでは議会、理事会、欧州委員会と3つの組織があり、理事会と欧州委員会では必ずしも賛同していないとのことであるので、実際に拠出金を減らすのは難しいかもしれないが、EFRAGの組織改革の話も含め、EUそのものが地殻変動を起こしていると認識している。
・FRCという日本のASBJに近い組織は、IFRSは会社法会計の中で位置づけられており、慎重性も個々の基準では反映されているという見解を述べていた。一方で、慎重性の原則と真実かつ公正な概観を概念フレームワークの中に組み込んでほしいという要望も出しているとのことであった。
・日本が主張している利益の概念の定義やリサイクリングの必要性については、投資家も当然純利益とか営業利益を分析の中で使用するため、問題意識も持っているが、日本ほど大きな意見形成には至っておらず、ほとんど慎重性の原則と真実かつ公正な概観が大きなテーマという印象であった。
・監査法人そのものが相当変わってきているという意見もあった。以前は財務報告の承認に責任ある動きをしていたが、IFRSを導入することにより、ただチェックするだけの機能しか果たしていないとの指摘であった。
事務局
・各国のみならず、EUレベルでもIFRSについてかなり大きな動きが出てきている。IFRS、あるいは欧州における会計制度への発言力強化を図るため、EU内の会計組織を改革するレポートが出ているのが1点。今までEFRAGが技術的な判断をしていたところに、規制当局や基準設定主体が全てのレター、問題提起について承認権限を持つようガバナンスを強化するというもので、かなり大きな改革になることが見込まれる。
・2点目は拠出金について。EUは現在監査法人に続いて大きな割合を占めている。EUのIFRS拠出金は3年計画で、今年の12月で期限が切れるため、来年以降の予算をめぐって議会と各国が対立構造になっており、議会は予算を盾に要求を通そうとしている。
・3点目はIFRSの費用対効果の検証について。実際、目的に照らしてどうだったのかという検証作業を本格的に進め、来年後半に結論を出すことになっている。
・その他、米国については、ゴールデン議長がスピーチの中で、現実的なターゲットとしてはcommon set of standardというもので比較可能性を高め、それぞれコンバージェンスしていくべきということを主張。また、のれんの処理について、非公開企業については10年償却を認める方向の提案がなされており、これについては公開企業における取扱いについても議論する方向の動きが出ている。

上記に対し、委員からは以下の通り質疑があった。

渡辺氏
・英国は単体もIFRSを適用しており、金融業がかなり影響を受けているという話だが、それに対してどのような対応をとろうと考えているのか。
・また、投資家は独自の修正基準を持っており、IFRSでなくてもいいという話は自分も聞いているが、一方IASBは投資家がIASBが主張しているようなことを求めていると主張している。投資家は実際には求めていないという現実を今後どうアジャストするのか、動きとして何かあれば。
事務局
・聞いた範囲でお答えする。1点目については、英国はEUに入っている以上逃げられない部分も大きいが、IFRSそのものについて概念にPrudenceを入れるとか、引き当ての話について回答を求めていくということであった。また、遅延している米国とのコンバージェンス作業について、欧州だけでも早くした方がいいのではないかという話もあった。もう一つの対応として、イングランド銀行の方の話であるが、資産・負債の評価を別途の基準でさせることを義務化することにより、規制と会計を分離し、追って会計の方も見直してくれることを期待するとのことであった。
・2点目の投資家の部分については難しいが、多くの投資家が言っていたのは、キャッシュベースでの指標が大事であるということ。一般的に、投資家の中で会計基準に詳しい人はあまり多くないため、共通のものがあれば望ましいが、要するに中身が問題であるということを異口同音に言っていた。
佐藤委員長
投資家はIFRSについては中身の問題を指摘する人が圧倒的に多かった。元FRCの方だけFRCと同じような意見を言っていたが、他は皆同じような意見で、会計基準そのものに対しては、どんな基準でも適宜対応するという感触であった。

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最終更新日:2014年1月10日
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