経済産業省
文字サイズ変更

企業財務委員会(第17回)-議事要旨

日時:平成21年12月25日(金)13:30~15:30
場所:経済産業省会議室

議事概要

1.非上場企業の会計

  • 非上場企業、中小企業に、判断要素が多いIFRSを導入する事には、無理がある。
  • 日本の企業のありようによって、適用される基準が複数あるのは当然の前提であり、例えば、中小指針が独立した個別の会計基準としての地位を持つという議論もあって良い。
  • 非上場企業、とりわけ中小企業は納税のための税務会計を中心として決算実務をやっており、連結先行のもとで我が国の企業会計を改訂していく事は、これらの企業の税務・会計の調整における負担を大きくするのではないか。
  • 中小企業は海外からの資金調達はほとんど関係無く、財務諸表の開示をする相手も限定的。非上場企業にIFRSのメリットが無いかという議論に関して、メリット如何の以前に、非上場企業にIFRSが必要あるかという議論が重要。

2.連結、単体、税(目的に応じた検討)

  • 各制度を個別に検討し部分最適を求めるのではなく、単体についての一体的な検討が必要。
  • 連結財務諸表は投資家等向けの情報開示が主たる目的であり、個別財務諸表は実現利益を基礎とした配当可能利益・課税所得の算定に資するのが主たる目的。目的を吟味した上で制度設計をする必要がある。
  • グローバル企業で完全な連単一致企業は無く、準拠性の議論は不要ではないか。
  • 単体については、開示そのものが不要ではないか。単体情報は連結の注記等で対応可能ではないか。
  • 連単分離した場合の単独について、例えば会社法規則のところで良いのではないか、分配可能額をどう扱うか、単独決算の監査は簡便法でやるか、という事を含めて検討が必要。
  • IFRSの利益には、多くの見積や未実現の利益が含まれており、それをもとに配当可能利益や課税所得の算定を行う事は、企業の支払い能力とは無関係に配当・課税が決まる事になり、非現実的。
  • 我が国は確定決算主義のもとで、税務と会計が一致した形で設計されているが、IFRSの改訂のたびに税制の調整をする事になると、どこまでカバー出来るか、限界がある。
  • 税制は、日本のためのものであって、外国の会計基準に従って税制を変えるべきという議論はあり得ない。
  • 上場会社の連結財務諸表に国際会計基準を使う事をはっきりさせた上で、残りの部分については、日本の基準として、二百何十万社が良くなるための制度として、会計と税制と含めて議論すべき。
  • 連単分離の議論のベースに課税面、配当面の観点が挙げられているが、「中間報告」では別記事業も別途検討が必要とされているため、この点も踏まえてこの会議で議論していただきたい。

3.連結、単体、税(企業負担等)

  • 米国基準を採用している企業などの中には、連単同一の方が単体から連結への調整項目が少なく効率的であり、税務の申告調整を緩和した上で連単同一が望ましい、といった意見がある。
  • 欧州(独・仏)も、自国基準を強制しつつコンバージェンスは進めている。出来るだけ連単の差は小さくした方が、作成も監査も手間は少なくなる。
  • 企業が負担するコストなどを想定すると、どちらかというと連単分離が現実的。

4.連結、単体、税(項目毎の検討)

  • 連単分離と言っても、全体をスパッと分離する事は困難であり、総合的な調整を図っていく必要がある。
  • 原価計算に係るものなど(例えば、減価償却)は連単を近づける必要があり、基準テーマ毎に、連単分離と税会分離の議論が必要。
  • 現在の日本基準・米国基準・IFRSの内容は近いとの認識。しかし、MOUプロジェクトの進展により、単体と連結の差異が大きくなり、連結への調整作業が大変になる可能性がある。また、連単分離するにしても、連結と単体の線引きをどのようにするかの議論が必要。
  • 収益計上基準と原価計算(例えば、減価償却)については、連結も単体も税務も一致させて欲しい。ITの問題ではなく、現場のマインドが一つでないとコントロールできない項目。
  • 減価償却については、一部に定額法がデフォルトとの声があるようだが、極めて違和感がある。

5.連結、単体、税(調整等)

  • IFRSの対象は上場企業の連結であって、単独は任意で良いのではないか。
  • 連単を一緒にするのは、現実問題として無理であり、連結先行の中でも、最終的に合致しないのではないか。連結仕訳の中で調整してIFRSに合わす事が現実的ではないか。
  • (中小企業をはじめ)多くの企業にとっては連単分離が現実的だと考えるが、企業が連単一致を目指すという選択肢を排除して欲しくない。連結と単体の乖離が大きいと内部管理と外部評価の不一致から情報価値が低下するという意見もある。
  • 税が単体の処理を認めるかを含めた議論をある程度進めた上で、連単の話に移った方が現実的。
  • 世の中の価値観は変化するので、将来的にはIFRSで全部やれる時代がくるかもしれないが、今は無理。連単分離の論拠をどうするかという点を明確にする必要がある。非上場企業の問題、課税上の確定決算の堅持、配当の問題、日本企業の競争力の維持、経営基盤の強化等。

6.開示制度及び監査等

  • 四半期報告、内部統制報告、国際会計基準への対応など、日本は一番難しいところをとっていて、企業の負担感が大きい。会計基準を国際化して全部合わせるという方向であれば、例えば、業績見通しの公表についても、EPS(一株当たり利益)を出す、見通しは翌四半期まで等、国際的に様々な対応が行われており、会計以外のこういう点で企業が自由に国際化対応できるようにして欲しい。
  • IFRS導入にあたって、原則主義により、各社毎に違う対応になる恐れがあり、もっと監査法人の方から指導するなど、何らかの対応が必要。
  • 監査法人間のレベル合わせも必要。
  • コンバージェンスの進展・IFRSの導入により、見積計算の部分、評価計算の部分が多くなってくると、決算での対応項目が増加し、決算日程の見直しについても検討が必要となる。
  • 海外子会社の中には、国によっては決算時期が強制されており、例えば所在国における法定の決算・監査(12月)と親会社報告のための決算・監査(3月)と二重に対応しているケースもある。各国との調整も必要ではないか。

7.その他

  • J-SOXについては、企業経営に役立つことを企業の自己責任で行うという実質を重視した我が国独自の制度として導入した。国際会計基準についても、フレームワークは国際だが、実際の運用は日本に適したものを考える必要がある。
  • 会計基準は過去の公正慣行の積み上げで、日本の歴史、文化のもと出来上がっているもの。それを国際化の名のもと、日本基準を全て変えてしまうのはどうかと考える。
  • 先日開催された、収益認識に係わるIASB主催のワークショップでも、日本の慣行について説明は行われている。
  • IASBでは、オペレーティングリースのオンバランス化の議論が、ファイナンスリースの見直しにまで波及しているが、オペレーティングリースの議論に止めるべき。リースに関して、多額のコストをかけて基準改訂に対応したばかりであり、会計基準の改訂はもっと慎重に対応すべき。
  • IFRSへの移行実務に関して、2012年にアドプションするかどうかを決定し、2015年から強制適用では、準備期間が足りないとの意見もある。
 
 
最終更新日:2010年3月29日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.