経済産業省
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産業構造審議会地域経済産業分科会工場立地法検討小委員会(第8回)‐議事録

日時:平成19年3月13日(火)10:00〜11:40
場所:経済産業省別館11階第1120共用会議室

出席者

和田委員長、大西委員、塩崎委員、土屋委員、半田委員、前田委員、森委員

議題

今後の工場立地法のあり方に関する関係者ヒアリング

議事録

開会

和田委員長
産業構造審議会地域経済産業分科会第8回工場立地法検討小委員会を開催いたします。
本日は、太田委員と下村委員がご欠席です。
今日は、産業界と自治体の関係者から工場立地法についての意見を伺います。
まず初めに、石油化学工業協会の方からお話を承りたいと思いますが、事務局よりご紹介をお願いします。
熊川地域活性化企画官
それでは、ご紹介いたします。
まず、石油化学工業協会保安衛生小委員会委員長の鈴木様でいらっしゃいます。
同じく、石油化学工業協会技術部長の戸澤様でいらっしゃいます。
和田委員長
今日は、川崎市からもお話を伺うことになっておりますが、川崎市の方は少し遅れて来られますので、来られましたらまたご紹介することにします。

配付資料確認

和田委員長
それでは、今日の配付資料について事務局より説明をお願いします。
熊川地域活性化企画官
それでは、お手元の資料をご確認いただきたいと思います。まず、1枚紙で議事次第の資料があると思います。続きまして、資料1として横長の5枚の資料、資料2として13枚の資料が、最後に資料3として1枚紙で「当面の予定」という資料を配付させていただいていると思います。

討議

【工場立地法のあり方に関する関係者ヒアリング(1) 石油化学工業協会】

和田委員長
それでは、早速、石油化学工業協会の方からお話を承りたいと思います。
鈴木様、戸澤様よろしくお願いします。
鈴木直人氏(石油化学工業協会保安衛生小委員会委員長)
それでは、始めさせていただきます。
私は、石油化学工業協会の保安衛生小委員会の委員長を務めております鈴木でございます。よろしくお願いいたします。本日は、このような機会を与えていただき感謝申し上げる次第でございます。
さて、石油化学工業協会では、工場立地法に関する規制緩和につきまして検討してまいりました。本日は、その結果がまとまりましたので、4件の事例と、また事例からくる要望について説明させていただきます。事例の説明に入ります前に、石油化学工業と申しましてもなかなか馴染みのない言葉であると思いますので、まずその説明を簡単にさせていただきます。
一口で言いますと、石油化学工業とは、石油や天然ガスを出発原料といたしまして、様々な生産工程を経て、合成樹脂、合成ゴムなど多種多様な化学製品を製造する産業でございます。また、本日の説明の中で「プラント」という言葉が出てまいりますので、次にこの説明をいたします。プラントとは、製造施設のことでございまして、蒸留と過熱炉、ドラム、ポンプ等を配管で有機的に連結して構成しております。また、原料等がこれらの中を通って製品が生産されるという製造工程となっております。
それでは、資料を1枚おめくりください。それでは事例1を説明させていただきます。
事例1は、A社のX事業所の例でございます。A社ではMという製品をX事業所のMプラントで製造しておりました。このM製品の市場が拡大してまいりましたことから、Mプラントを廃棄しまして、大型のプラントを建設するという計画を作成いたしました。このようなやり方を通常、「スクラップ・アンド・ビルド」と称しております。この大型プラントは物理的にはX事業所内に設置可能でございましたが、この大型プラントをX事業所に建設した場合、X事業所の緑地面積が不足することになると判明いたしました。
そこで隣接地に、新たな緑地を確保すべく努力いたしましたが、緑地の手当てが難航いたしました。結果としまして、緑地が確保できなかったことから、A社ではX事業所での大型プラントの建設は諦め、他県にございますA社のY事業所に大型プラントを建設いたしました。また、X事業所にございますMプラントを廃棄いたしました。
その後の状況でございますが、X事業所にございましたMプラントは廃棄いたしましたが、その跡地は未利用のままとなっております。また、Mプラントの廃棄に伴いまして、Mプラントの操業等に従事しておりました従業員は配置転換、あるいは退職することとなりました。Mプラントの廃棄、跡地が未利用ということから、X事業所は次の問題点を抱えることとなりました。
問題点は3点でございまして、1点目は、Mプラントが廃棄された分、事業所の生産高が減少しましたので、これによる事業所の経営効率が低下したという点でございます。2点目は、やはりMプラントが廃棄された分、事業所の間接コストが増加しまして、競争力が低下したという点でございます。3点目は、雇用機会が減少したという点でございます。これらの問題点等によりまして、X事業所の存続問題にまで発展する可能性がございます。
事例1からくる要望としましては、工業専用区域における隣接緑地面積率の弾力的な運用をお願したいということでございます。もしこれが可能になれば、プラントの新設または増設の可能性が高まり、地域経済の活性化につながるものと考える次第でございます。
続いて、もう1枚おめくりください。続いて事例2を説明いたします。事例2は、B社のY事業所の例でございます。
B社のY事業所では、この事業所内で製造しております原料を使用しまして、同事業所内にございますLプラントで製品を製造しております。B社におきましても、やはりLプラントの増設を計画しておりました。増設計画の際、緑地の確保に当たりましては次のことを考えました。
Y事業所では、事業所から800m離れた社宅地区に一般にも開放しておりますグランド、テニスコートを保有しております。これらの環境施設を緑地に加算できればと考えた次第でございます。もしこれが可能であれば増設に伴う緑地面積は確保出来たわけでございますが、認められなかったという経緯にございます。もちろん、この環境施設が事業所に隣接しておればよかったわけでございますが、飛び地になっていたため認められなかったという例でございます。緑地面積が確保出来なかったことから、B社ではやむなく、他県にございますZ事業所でLプラントの増設を行ったという事例でございます。
その後の状況でございますが、原料をY事業所から他県にございますZ事業所に輸送することとなったため、次の問題点が発生いたしました。
問題点は3点ございまして、1点目は、輸送によるCO2 及び排ガス量の増加という点でございます。環境負荷の観点からは好ましくないということでございます。2点目は、輸送に伴う物流コストが増加いたしまして、その結果、製造コストが増加したという点でございます。3点目は、雇用拡大の機会を喪失したという点でございます。
事例2からくる要望としましては、一般に開放されておりますグランド、テニスコート等の環境施設は、これを利用する地域住民の工場に対する心理的ストレスの緩和に寄与しております。隣接・飛び地の如何にかかわらず緑地と同等な取り扱いをしていただきたいというお願いでございます。これによりまして、プラントの新設または増設の可能性が高まり、地域経済の活性化につながるものと考える次第でございます。
1枚おめくりください。続いて事例3を説明いたします。事例3はC社のS事業所の例でございます。
C社では、S事業所内に同事業所内で製造されておりますプラスチックの成型加工のクリーンルーム工場を新たに設置する計画を作成いたしました。この際、クリーンルーム工場も生産施設との取り扱いでありましたことから、緑地の確保が必要となったわけでございます。ところがS事業所では、この計画に対して緑地面積が不足しておりまして、また、近隣での緑地の手当てが出来ませんでした。結果といたしまして、緑地が確保出来なかったことから、やむなく他県にございますC社のT事業所にクリーンルーム工場を設置するよう計画変更を行うことといたしました。
その後の状況でございますが、原料プラスチックをS事業所から他県にございますT事業所に輸送することとなったため、次の問題点が発生いたしました。
内容としましては事例2と同様でございますが、1点目は、輸送によるCO2及び排ガス量の増加という点でございます。環境負荷の観点から好ましくないということでございます。2点目は、輸送に伴う物流コストが増加し、その結果、製造コストが増加したという点でございます。3点目は、雇用拡大の機会を喪失したという点でございます。
事例3からくる要望としましては、クリーンルーム工場は化学プラントとは異なり、環境負荷も小さく、研究所と同等であること、また、建築基準法の建蔽率の適用も受けていることから、工場立地法における「生産施設」の適用除外にすべきであるとのお願いでございます。これによりまして、この種の設備の新設または増設の可能性が高まり、地域経済の活性化につながるものと考えております。
1枚おめくりください。最後の事例となりますが、続いて事例4を説明いたします。事例4はD社の例でございます。
D社では生産施設面積率の点から、自社の事業所では生産施設用地が不足しておりました。このため、他社のV事業所内に生産施設用地を確保し、新規誘導品の施設の建設を計画いたしました。ところが、V事業所の隣接におきましても緑地の確保が困難であったことから、誘導品の施設の建設計画を断念いたしました。生産施設面積率の条件を緩和していただければ、D社では、他社の事業所内に用地を確保する必要もなく、自社内に誘導品の施設が建設できたという事例でございます。
その後の状況でございますが、新規誘導品の市場投入が遅れましたことから、D社は事業参入そのものを断念いたしました。
事例4からくる要望といたしましては、工業専用区域における生産施設面積率の弾力的な運用をお願いしたいということでございます。これが可能になればプラントの新設または増設の可能性が高まり、地域経済の活性化につながるものと考える次第でございます。
本日報告させていただいた事例からの要望を再度整理いたしますと、事例1では緑地面積率の弾力的な運用、事例2では飛び地にある環境施設の取り扱い、事例3ではクリーンルーム工場等の生産施設からの適用除外、事例4では生産施設面積率の弾力的な運用、となります。よろしくご検討の程お願い申し上げます。
以上で石油化学工業協会としての説明を終わらせていただきます。
和田委員長
どうもありがとうございました。
4つの事例をもとにして具体的な要望まで踏み込んでおられますが、ご質問やご意見がありましたらお願いします。
大西委員
ご説明いただいた事例で、それぞれ規制項目というか関係する項目が少しずつ違っているんですけれども、一般に工場用地に工場を建てる場合に、今日ご指摘いただいている緑地面積の割合とか、環境施設の割合とか、生産施設の面積の割合とかということに加えて、建蔽率、一般の建築基準法の規制もかかると思うのです。それで、これはそれぞれ一番下のピンク色のところで問題の項目が指摘されているんですが、他の項目はこれはクリアしているというふうに考えていいのでしょうか。例えば事例1について、この場合は建蔽率から見るとこの工場を建てることが、これはスクラップ・アンド・ビルドですから新しい工場を建てることができて、その場合に建蔽率が、ここの当該地はどのぐらいか分かりませんけど、建蔽しない部分というのがありますよね。そこに仮に工夫して緑を植えるというふうにしたときに、この緑地面積の割合がクリアできないのかどうかですね。
それから、一つ一つそういうことがあると思うのですが、事例4の場合には生産施設用地ということですから、これは仮に生産用地の割合、面積率が当該地、もとの敷地で事業所内で緩和された場合に、この新規誘導品の工場の建設をそこにつくることができる。しかし、その場合に当然緑地面積の割合を満たさなければいけませんけれども、これはそういうふうに生産用地を拡大した場合にも満たせるということなのでしょうか。その辺の他の規制項目との関係を少し整理していただきたいと思います。
戸澤洋一氏(石油化学工業協会技術部長)
例えば事例1では、このような例が複数種類あって、これを一つにまとめたような例示の仕方をしています。それぞれ緑地面積だけが足りなかったり、緑地面積と生産施設面積比率もちょっと足りなかったりとか、いろいろ状況は異なっております。我々、通常プラントというのは建屋の工場ではないんです。配管とか蒸留等とかが金属の外装板で覆われた形で建てられている、よくテレビで見る石油化学の工場。ですから、それについてはあまり建蔽率ということはないんです。
むしろ建屋の事例3に書かれましたクリーンルーム、これは非常に大きな、例えばこの例でいうと幅が80m、長さが150mといった大きな工場なんですけれども、これについては建蔽率が適用されておりまして、それで建築基準法等の、それについては今確か60%だったかな。むしろ工場の場合は、それ以外の未利用地も含めてございまして、この事例3のケースについては、緑地面積のところが足りなかった、生産施設については何とかなるんだけれども。これを生産施設にカウントすると、その後に緑地を増やさなければいけませんから。
大西委員
モデル的に整理していただいたことを疑っているわけではないのですけれども、かなり工場立地法は細かい規定がありまして、それをいろいろ当てはめていくと、例えば配管の下に芝生を植えるとかいろいろ工夫の余地があるわけですね。そういうことがいいかどうかという議論をしようということなのですが、現行法に則って考えると、あらゆる工夫をした場合に果たして工場が本当に建たなかったのかどうか、これは図面がない中では分かりにくいところもあるのかなということであります。
戸澤氏
もう一つ言いますと、通常、配管の下とかには芝生を我々は植えません。どうしてかというと、冬になって芝生が枯れまして、例えば配管の修理・補修で溶接等々するケースがあるんですね。この場合は、火の粉が飛び散ってその火が燃え移る。当然、我々石油化学工場というのは多量の危険物を取り扱っている事業所ですから、そういう火器の取り扱い、あるいは可燃物を近くに置いてあることを非常に嫌います。したがって、緑地は緑地。そういった配管、ラックといって配管の棚をダーッと走らせるんですけれども、その下には通常何も設けないという、むしろ保安防災上の観点からそれはしておりません。
十分な答えになったかどうか分かりませんけれども。
大西委員
図面がないので分かりにくいのですが、モデルなんですね。
戸澤氏
モデルですけれども、実例のモデルですから。
大西委員
でも、複合されているとおっしゃったですね。
和田委員長
石油化学の場合には生産施設の面積率を決めるときには、あまり建屋というか事例3のクリーンルームなどは想定してなかったので、比較的生産設備の比率を低くしています。そういう面ではクリーンルームのような建屋的なものが石油化学の中で入ってくると、生産施設面積としては少し不利な感じは分からないではないです。だから、それは何か適用除外ということがよいのか分かりませんが、生産設備ではあるのでしょうが、少し比率を他の別の工場の比率で見るという可能性はないことはないと思いますが、これも検討しないと分かりません。
あと私の感想としては、例えば事例1の場合、工場立地法の目的とは何なのかということですが、必ずしも工場を移転させることが目的ではないのですが、既存工場の環境がそれ程よくない場合には、何らかの形で機会を見て出来るだけ改善し、それを促進するという面はあったと思います。
事例1としては、緑地面積が取れず、結果的に施設を別の地域に移転せざるを得なかった。それから跡地もそのまま未利用であるという経済的にもったいないという論理ですが、工場立地法の趣旨からいうと、一つはそういう過密の地帯でさらに工場設備を増設するとなれば、それはやめていただいて他の所に移す。それはむしろ別の地域の活性化になるので決して悪いことではない。ですから、工場移転を促進することが一つと、それから、跡地が未利用地になっている所は、むしろ緑地にすることで既存の工場がそれだけ改善され、結果的に既存の過密の工場は環境的に改善されて、しかも新しい地域に工場が移転して、そこの地域活性化になるので、それは決して悪いことではないという論理も成り立つと思います。ですから、工場立地法の目的、趣旨から見てどうなのかを検討しないといけないという印象は受けました。
それと800m離れたグランドの飛び地を緑地にするかどうかは、検討の余地があると思いますが、どのようにしたらよいか。
生産施設の面積については、我々としても何か考える必要があるのではないかと思いますが、どのように考えるか。
個人的な意見で申し訳ありませんが、他にもご意見があると思いますが、いかがでしょうか。
前田委員
1番目の事例で、弾力的運用が可能であればというご説明がございましたが、こういった場合に例えば初めの事例のご説明のときに、隣接地の手当てを考えたというようなくだりがございました。それは難しかったということではあるのですが、それではこれが800mは別にしても、同じ団地内で緑を確保するような緩和策がとられる可能性が出たときに、その用地の負担ということをしてでもそれはしていきたいという意向があるのか、その分のプラス分の緑というのは誰かが手当てしてくださいというようなことなのか、そのあたりの感覚的なものはいかがなものでございますか。
戸澤氏
事例の2ですね。
前田委員
事例の1です。
戸澤氏
事例1は、隣接だけではなくて近隣もこの会社は考えたようです。緑地を手当てしようとしましたが、その土地の買収が難行したため結局はあきらめたようです。
前田委員
仮にこの規制の緩和ということがあって、隣でなくてもある程度の場所に緑を確保すれば可能だといったような緩和が、もし行われるといったときに、そこの用地の取得に関して今度は負担が求められるということについては、どういうお考えをお持ちなのか。それは負担してでもこの場所で行いたいというふうに思われるのですか。
戸澤氏
この会社はそういうふうなことを言ってました。もし手当てが出来たんだったら、そこでつくりたかったということです。
前田委員
分かりました。ありがとうございます。
戸澤氏
もう一つ、先程委員がおっしゃいましたけれども、このプラントは非常に特殊なプラントでして、その特殊な技術もあったものですから、そのワーカーの運転されている方は配置転換を余儀なくされたんですね。実際の工場の運転以外に、福利厚生というか人事的な問題もかなりございまして、随分これは難航したようです。
結局、他県でかなり離れたところでつくったんですけれども、何人かはそちらの方に転勤したし、結局辞めた方もいる。他県の工場では、新たにそこで人を採用して教育したということで、ちょっとこれも立ち上げは遅れたということを言っています。ここには書いていませんけれども。
大西委員
先程和田委員長がおっしゃった点についてちょっとコメントですけれども、この工場立地法の立法趣旨については委員長が非常にお詳しいと思いますけれども、今ご指摘になったような、適切な場所に工場を誘導するというような趣旨もあったと思います。それが制限3法と言われたような所以だと思うのですが、ただ、他の2法が廃止されて、大都市における工場の立地というのを国際競争力の観点から見直そうという議論があると思うのです。そういうふうに考えると、追い出しのまま残っている工場立地法の性格も、それに対応したものにしないといけないという視点もあるのかなと思います。ある意味でどこまでが緑地を、どの範囲まで緑地を持って存在していないと大都市における工場としてふさわしくないかというのを、少し別な基準、国際競争力という基準か何か別なことも考えながら、再検討するというのは必要なのかなという感じはします。
和田委員長
その通りだと思いますが、そういう面で今まで既に緑地面積の比率についてはかなり弾力的に見直しを行ってきていると思います。
大西委員
それを全部適用してもこういうことが起こるのかどうかという、これは個々のケースにもなるんですね。
和田委員長
結局、どのくらいがよいかという比率の問題になりますね。
あと国際競争力という問題があって時代が変わっていると思うのですが、また何か揺れ戻しがあって、やはり都市環境をよくするとか、緑をもっと多くするとか、また何か流れが変わってきているのではないかという気もしないではないのですが、どうですか。
大西委員
両方があると思うのです。緑化というのは大きな流れですし、人口も減ってきているので、ますます都市における緑化ということは基本的なテーマになってきていると思うのです。しかも、工場は比較的大きな敷地があるので、工場の敷地を利用出来て緑化できると非常に効果的だという議論はあり得ると思うのです。ただ、一方で工場も追い出さないで大都市で共存するということなので、ちょっと今までとは違う共存という観点で、両方両立させるということが要るのかなということだと思うのですけれども。
和田委員長
重要な視点をご指摘いただきましたが、他にいかがでしょうか。
土屋委員
正確には石油化学工業協会と、私どものような石油精製とは少し事情は違うかもしれませんけれども、生産施設面積率については、ある部分数字として拡大ということで緩和策がとられてきましたので、例えば石油精製業でいうと貯蔵設備、タンクですね、これのやり方を変えることで生産施設面積としては増やせる形になってきているんですね。ですけれども、当然ながらほとんどの工場が法律施行以前でしたので、緑地の面積としては10%程度しか確保できていない実情があります。ですけれども、緩和策といいながら、一部の自治体で緩和している方向にはあるんですけれども、緑地の方の制約としてはほとんどないわけですから、そうすると生産施設面積率に余裕がある工場としては、何とか施設の拡大ということを考える場合に、それなりの緑地の手当てをしなければいけない。
緑地面積率の達成率が低ければ低いほど、そのときに新たな緑地を創出する面積量は大きく課せられますよね。ですので、結局今までやってきたことといえば、スクラップ・アンド・ビルドを僅かにやって、僅かな緑地の確保が出来る状況だけで何とかいろいろなことをやってきたんですけれども、今国際化の話が出ていましたけど、一つの工場ではなくて、もうコンビナート地域で一体化という中で、全面的に設備を見直す。例えば同じような種類の工場があった場合に、小さなプラント2つ別々に動かしているよりは、大きなもの一つでやって、その分さらに二次加工のできる設備を新たに2つの事業所の間の中で協調してやってしまうということが出てくると、そのときにビルド面積ということで緑地面積を確保しなければいけない格好になります。
例えば製油所なんかだと100万m2 くらいの敷地のある工場が多くあるわけですけれども、10%程度しか面積が確保出来ていないとすると、2,000m2、3,000m2というところでビルドしたいという場合に、その半分ぐらい1,000だとか1,500m2の緑地を創出しなければいけないということになってくるので、その辺の部分が。今言った2つの工場、3つの工場を合わせていくと、ある部分やり易さが出てくるのかもしれないけれども、1つの工場単独の中で、特に私は石化さんは中身をよく分からないで言うんですけれども、全く業態が違っているとどうしたって、2つの工場、3つの工場で協調してというのはなかなか出来ない部分があるだろうと思うのです。そういう意味では結局今回提出していただいたような内容で、1つの工場が何かいろいろな手を打たなければいけないというような事情がどんどん出てくるんじゃないかという気がします。でも、やはり視点は国際競争力に置くと思われるので、そうしますとマーケットチャンスというのをいかに掴んで増設するかということからすると、結構敷地面積のやり繰りが困っているという状況は多く出てきているんじゃないかと思います。
だから、石油業界はまだお互いコンビナートの中でいろいろなことをやり出すというのは、例えば水島のルネッサンスというものでようやっと少しずつ出てきたという状況ですので、そっちの方の動向とこちらの方の石化さんの状況の方がかなり対照的になってきているのかなという印象を受けました。
塩崎委員
これは石化の例ですけれども、私個人的にはいわゆるプラントに対する、先程和田委員長がおっしゃった立地法の趣旨としては、過密地から移転させて、よい環境をつくろうという趣旨があったと思うのですけど、この際、何が過密で何が移転を要するのだろうかという根本的なところを、この石化のプラントに限らず、やはり考えるべきときにきているのではないかと思います。過密な状態でこの立地法に対してどういう影響があったのか、この辺を再評価することによって、緑地の数字についての検討ということが出てくるんじゃないかなという気がしております。それはもちろんプラントということで一つだけで考えるのではなくて、そのプラントの種類によってもまたそういうことも考えるべきではないかという気がしております。私の見解が間違っていたら訂正していただいて結構ですが、私はそういうふうに感じております。
和田委員長
今日示された4つの事例をもう少し整理して、確かに何を我々は問題にするか、基本的なところに立ち至って議論しないといけないかもしれません。立地法の趣旨がまた変わってきたというところもあるでしょうし、国際競争力の問題、それから業界の業態が変わってきているという問題、技術体系が変わってきているという問題など、いろいろな問題を捉えながら対応していかないといけないと思います。競争力と環境の関係というのも難しいテーマではありますね。
スクラップ・アンド・ビルドについては、それを行って新しく設備を更新することは必要だと思いますが、更新をしてそれで環境がよくなれば、それはそれで改善と見ることもあるのかもしれないですね。スクラップ・アンド・ビルドを今確かにかなり阻害しているところはありますね。初めに立地法をつくったときは、スクラップ・アンド・ビルドについては、スクラップをしてビルドは他の所で行ってほしいという趣旨だったのですが、少しその辺のところは環境が変わってきた。同じ所でスクラップ・ビルドをして環境がよくなるという可能性もあるということになってきている。ただ、緑地はなかなか取りにくいというところですね。
戸澤氏
一つよろしいですか。我々非常にスクラップ・アンド・ビルドという、競争力を維持するためにプロセスのリニューアルを行いますが、当然そのときは環境負荷も下げますし、いろんな工夫をやるんですけれども、今特に我々の業界で、物を移動させる、しかも多量に物を移動させるんです。例えば我々石化協だけでも、海上輸送で年間1,600万トンぐらいの物量を移動させているわけですね。ですから、その物を移動させるということに伴って、移動により発生する炭酸ガスをどうやって下げていくかという問題がまた起こります。実は別の側面からいわゆる改正省エネ法等々で、特定事業者のそういったものを求められているんです。そうすると例えば物流経路を最短にしたプラントにする必要があります。要するに一つのプラントですぐ最終製品が出てくるわけではなくて、例えば石油の原料から中間体をつくって、それからプラスチックをつくって、さらに加工という複数の流れを通ってやっていくので、その物流経路をどうやって最短にしていくかということを別の側面から我々は求められている。そうなると原料を製造するプラントのすぐ脇に中間体を製造するプラントがあって、次にその製品というふうに並べれば、いわゆるキロトンをどうやって減らしていくかという観点からも、そういうことが必要になってくるわけです。
スクラップ・アンド・ビルドをしようとすると立地法による弊害が出て、他の事業所でつくらなければいけない。そうすると多量の原料をトラックなり船で運ばなければいけない。こういうことで企業としても、環境に対する責任を果たそうとしていくと、そこら辺のジレンマが我々石化の中にも出てきているというのが今 の状況じゃないかというのを申し上げておきたいと思います。

【工場立地法のあり方に関する関係者ヒアリング(2) 川崎市役所】

和田委員長
次に、川崎市の方からご説明をいただきたいと思います。
熊川地域活性化企画官
それでは、川崎市からお越しいただいております皆様をご紹介申し上げます。
まず、川崎市経済局産業政策部長の宮原様でございます。
続きまして、同じく川崎市経済局産業政策部産業誘致課長の宮内様でございます。
同じく川崎市経済局産業政策部産業誘致課主査の宮崎様でございます。
和田委員長
それでは、よろしくお願いします。
宮原光穂氏(川崎市経済局産業政策部長)
本日、このように川崎市の現状を紹介する機会を与えていただきましてありがとうございます。また、委員の皆様の中に川崎市にお詳しい方は何名かいらっしゃるかと思いますので、どこまでお役に立てるか分かりませんが、何かの参考になれば幸いでございます。
後程、資料に基づきまして宮内課長の方からご説明しますけれども、私から簡単に、最近の状況なり掻い摘んで申し上げたいと思います。
ご承知のように川崎市は京浜工業地帯の中核として栄えてきた町でございまして、特に川崎の臨海部の埋立地に大規模な工場が集積しているという状況でございます。また、一方、内陸部の住宅地の中にも、昔ながらの物づくりの工場とかが混在している状況でございます。特徴を一言で申しますと、東京と横浜という大都市の間に挟まれた狭い土地の中に、かなりの人口、あるいは工場がギュッと詰まっている、要は土地があまりないというような状況でございます。
近年の傾向で言いますと、一時、空洞化ということで、特に臨海部の工場を中心に空き地が出たり遊休地が出たりといった状況があったんですけれども、近年の景気回復とか、あるいは国内回帰といった動きが出て、企業の方もかなり立地あるいは投資が進んできている状況です。一方で、工場だけではなくて、住宅とか物流、あるいは商業施設といったところも立地意欲が高くて、かなり土地の需要が逼迫してきている状況でございます。
それから、環境ということで申し上げますと、川崎は「公害」ということでかなり苦しんできて、それを乗り越えてきたという歴史を持っております。自治体のみならず企業の皆さんが、環境対策ということで真剣に取り組まれまして、近年では、公害というか環境問題ということでは、なくなってきている状況でございます。
また、企業の操業形態もいわゆる環境負荷のかかるような製造というよりは、むしろ近年では研究所とか試作開発の拠点に、事業所の機能としても変わってきているという状況がございます。そういった中で、今立地法ということで検討されているということなんですけれども、企業活動の活性化と環境対策の両立というのはもともと立地法の柱だったと思うんですけれども、それに加えまして、川崎の先程申し上げた狭い土地の中にかなりいろんな機能が密集している中では、都市計画というか、街づくり的な観点も含めて、総合的にどういう仕組みにしたら機能していくかという点で考えていくことは必要ではないかと思っております。
それでは、具体的には宮内の方からご説明申し上げます。
宮内武雄氏(川崎市経済局産業政策部産業誘致課長)
それでは、「川崎市における特定工場の概要と課題」ということで若干ご説明させていただきたいと思います。
初めに、川崎市の特定工場の概要ということで1ページをご覧いただきたいと思います。この表は、特定工場の分布状況ということでございまして、次の2ページの地図があるんですが、A3の横長の地図でございますが、これを見ていただいた方がいいかもしれません。
ここに白丸、黒丸とポツポツと落としてありますけれども、白丸の新設工場が14工場ございます。既存工場が黒丸で79、合計93の特定工場が川崎市内に立地している状況にございます。見ていただくと分かるように川崎市は非常に細長い地形をしておりまして、位置関係がつかみづらい方もいらっしゃるかと思いますので、この右下の方が東京湾でございまして、上の方が羽田の飛行場、下側が横浜市といった位置関係にございます。
それで「川崎区」と書いてある右端の方ですが、点々とちょっと線を入れてありますけれども、これより右側が工業専用地域でございます。この工業専用地域につきましては、次のページにカラーコピーをつけておきましたけれども、濃い青い色の部分が工業専用地域ということでございます。
このような位置関係なんですが、1ページへ戻っていただきまして、その表は特定工場、川崎区から北部の方までずっと数字を並べたわけでございます。その前にこの臨海部というのを説明しなければいけないかもしれませんが、この右側の方は、通常我々は「臨海部」と呼んでおりまして、あと先程申し上げました点々より左側の方が「内陸部」と、通常こんな感じで呼んでおります。
この内陸部の方は、電機とか機械、あるいは食品、自動車といったようないわゆる組み立て型の製造業が多く立地しておりまして、臨海部につきましては、鉄鋼であるとか石油、石化、セメント、電力といったヘビーな素材型の工場が多く立地しているということでございます。今日は石油業界の方も来ていらっしゃるようですけれども、川崎にはコンビナートが2つございまして、パイプで皆つながったりして、なかなか動くに動けないという状況にございます。従いまして、内陸部の工場とは全く性格が違っているような状況です。
川崎も、かつては非常に多くの工場が立地していたわけでございますが、昭和49年以降は約80余の特定工場が移転ないし閉鎖しております。そのうちの7割は内陸部でございまして、工場跡地が現在でも工場として使われているのはわずか2件に留まっております。残りの3割は臨海部ということで、現在は工場であるとか中小企業の工業団地、あるいは物流とか中間処理とか、そういった形で使われている状況です。
それで特定工場なんですが、臨海部の工業、工専、表の左上の方ですが、工業専用地域に69社、69工場が現在立地している。それから内陸部に行きまして、準工業地域に8工場、工業地域に16、合計93という工場立地でございます。
敷地面積につきましては、工専につきましては1,486万m2 。川崎の特定工場が約1,700haございますので、そのうちの8割強、8割ちょっとを臨海部の特定工場が占めているという状況です。
それから、緑地面積につきましては、その右側ですが、154haございまして、その隣の緑地率でございますが、工専でいいますと10.41と書いてありますけれども、これは全特定工場69工場の緑地面積を敷地面積で割った数字ということです。全体の緑地率。右側に率の平均を括弧で書いてありますが、これは各個別の企業の平均を足して企業数で割った数字で、10.53%。それでトータルで10.53%と一番下の数字でございますが、各企業の比率が 11.29%。平均が意味があるのかどうかというのはよく分かりませんが、小さいところでは2〜3%の工場もありますし、最大大きいところでは30%を超える緑地を確保しているような事業所もございます。
概して構内通路に沿ったところに配置していたりしておりまして、かなり工場は密集しておりますが、隣接のお隣の工場と連続性を持った緑地であるとか、あるいは一体的なまとまりを持った緑地というのは乏しいというのが実態でございます。
次に環境施設面積率でございますが、これも同様にトータルで11.67%、それから、率といいますか、企業単位の平均では12.69%、同様に生産施設面積率につきましては、17.8%、23.27%というような現在の状況にございます。
次に4ページになりますが、川崎市では、平成12年11月に、工場立地に関する地域準則を定める条例というのを施行しております。このときは、4ページに書いておりますように、条例制定の目的としましては、老朽化工場のリニューアルを促進させることによって、企業の競争力の強化、あるいは空洞化を防止していく。市内中小企業への波及効果を狙って条例を制定したわけでございます。割合を下げると、緑地率ないし環境施設面積率を下げる、上限を下げるということで、増設すべき緑は少なくて済むということから、むしろ緑化は進むであろうという狙いで、周辺環境との一層の調和、景観整備、防災対策面での改善等につなげていくということで条例を制定したということです。
適用区域は、臨海部の工業専用地域でございます。緑地率を20%以上から15%以上に変えた。環境施設面積率を25%から20%以上に変えたという状況です。
次の5ページ、これは条例をつくった12年の時点と、現在の18年12月の時点との比率の比較をした表でございます。工業専用地域の特定工場、12年のその当時から現在まで継続して操業している企業54事業所、この間に新設あるいは廃止した工場を除いたところの数字でございますが、緑地面積率で9.95%から10.18%。それから、その下の括弧は先程と同様に、その特定工場の比率を企業数で割ったと、単純平均といいますか、5.99%から6.28%に伸びている。環境施設面積率、生産施設面積率についても。生産施設面積率につきましては、全体で見ると若干減っているんですが、個別の企業別に見ますと、 14.60%から15.72%と少し増えております。
条例制定時点と現在と効果はあったのかなかったのか、なかなか検証しづらい部分がございますが、緑地率については、ごく僅かでありますが増加している状況でございます。
それから、次に6ページをご覧いただきたいんですが、特定工場の課題といいますか、事例のようなものでございますが、それについて4点ばかり挙げさせていただいておりますので、説明させていただきます。
1番は、生産施設面積率の緩和が必要とされる事例ということでございまして、特定工場Aにつきましては、道路拡幅によりまして、その道路が土地収用にかかってしまう。その土地の上に生産施設が建っている、工場棟が建っているわけでございまして、それを取り壊して移設することにした場合、増設可能生産施設面積が不足してしまう。この辺は緑地の場合はOKなんですが、生産施設は認められていないということでございます。生産施設面積率というのは第1種から5種まであって、この工場は第4種の30%ということでございまして、これが第5種の生産施設面積率が40%になれば、クリアできたという事例でございます。
やっている仕事は、一般機械器具製造業の中の特殊産業用機械というものでございまして、特殊産業用機械というのは生産施設面積は30%ということでございます。特殊産業用機械というのは、半導体装置であるとか食品機械、あるいは印刷機械というものでございまして、同じ一般機械器具製造業の中でも、金属加工機械であるとか繊維機械は40%でございます。
製品が特殊なわけでございまして、特殊というかあまり世間的に少ないかもしれないんですが、特殊な加工をしているわけではなくて、通常の機械工場ということでございます。ただ、やっている製品がそういうものだということです。だから、この30%というのも少し見直しがあればいいかなということです。早い話が産業分類での判断に、日本標準産業分類でいっているんでしょうけれども、ここに無理があるのかなと。加工形態であるとか、環境負荷の度合いとか、そういうところを加味した形で区分されるといいのかなという気がしております。
2つ目には、建蔽率の問題も議論されているようでございますが、建蔽率に準拠して、これに一本化するというのは、そこはちょっといかがなものかなと思うんですが、屋外生産施設もございますので、そういった考慮をする必要があろうかと思いますので、この辺はそう簡単に単純ではないのかなという感じがしております。
次に7ページをご覧いただきたいんですが、2番は、飛び環境施設の容認が必要とされる事例ということでございまして、これは工場敷地のそんなに遠いところではないんですが、近くに未利用地を保有している。それを市民開放型のグランドに整備することについて、環境施設面積に算入できないかといったようなことでございます。
飛び環境施設が認められれば、こうした近隣の生活環境の向上につながると考えられますし、例えば町内会の運動会であるとか盆踊りに貸し出すとか、非常に地域貢献も果たせるであろうと思っております。敷地内設置となりますと、企業の機密保持あるいは安全上の理由から、かなり一般の立ち入りというのは厳しく制限されておりますので、飛び環境施設が認められれば工場も地域もハッピーということでございますので、その辺はそのような気がしております。
次は8ページでございますが、8ページの(3)飛び緑地の容認が必要とされる事例ということでございまして、この特定工場C社は食品系の工場でございまして、緑地帯は生産施設からかなり離れた場所に設置しております。これは食品衛生上の問題がございまして、植栽すると虫が集まってきて、生産工程に混入してしまう心配がある。幾ら厳重にしてもどこからともなく虫は入ってくるようでございまして、こういった飛び緑地のような敷地外の緑地の算入が認められることを要望している企業でございます。
現在、川崎市では、工業集合地特例の運用指針を検討しておりまして、工業集合地特例を開始しますと、共通緑地、いわゆる隣接緑地でございますが、こういう制度を導入することで、少しでもこの辺がカバーできるのかなと思って今検討は進めているんですが、なかなか緑地の管理であるとか費用負担の問題、あるいは設備投資のタイミングとか、いろいろの問題がありまして難しい面も多いということで、飛び緑地を考えていただければなという気がしております。
それから、別のケースでございますけれども、別のケースは川崎にある工場ですが、ちょっと離れたところに第1工場、第2工場とあるんですけれども、一つは臨海部のかなり密集した全部周りは工場というところにありまして、もう一つは市街地側に隣接している工場ですけれども、非常に密集している工場のところに設備更新、そこに設備投資をして、その分第1工場ではなくて、仮に第2工場ですね、市街地側の工場の緑を厚くしたいということだったんですが、こういう相談を受けていましたけれども、立地法上、事業所が違うということで、だめという話になりました。
要は工場立地法というのは事業所単位で決められておりますので、事業所単位といいますか、それを一定のエリアで捉えるような考え方になる必要があるのではないかと感じております。やはり川崎市の街づくりとか、都市政策、緑化政策と一体となった立地法を運用していきたいと思っておりますので、そういう街づくりの観点が少し入ってくればいいのかなという気がします。
それから、最後に9ページになりますが、(4)緑地の質の評価が必要とされる事例ということでございまして、これは石油化学系の既存工場でありますが、安全、防災上の理由から構内のほとんどがコンクリート舗装されておりまして、従いまして地べたがない状況でございまして、正門とか接道部分に質の高い緑地を確保するように努めているんですが、その緑の質を量的に換算するような制度があれば、地域環境の向上につながっていくのではないかと考えております。
次に10ページ、川崎市緑化指針というのがございますが、これをちょっとご覧いただきたいんですが、これは全市的な緑の水準の向上につきまして具体的な技術的なガイドラインとして位置付けているものでございまして、13ページの一番上の1番に「接道部緑化」とありますが、接道部緑化につきましては、緑化地面積の1.5倍を緑化面積としてカウントする。ちょっと話は後先になりますけれども、この緑化指針は、1,000m2以上の事業所につきまして、10%以上の緑地を確保してくださいという条例ですけれども、その10%以上につきまして、1.5倍の面積として計上する。ただし、緑化地の幅員は1m以上確保してください。
2番目は「生け垣植栽」ということでございまして、接道部に生け垣、高さ1.5m以上を行った場合は、高さ掛ける延長の面積を緑化面積として計上する。
それから、3番目は「大景木植栽」ということでございまして、大きい木ですね、シンボルツリーであるとかランドマークツリーということで、高木をした場合は、その高さを直径とした円の面積を緑化面積として計上するということでございまして、枝から枝までの水平投影でいったところの面積ではなくて、木の高さを直径とした面積を緑化面積としてカウントします。例えばこのようなことで、少し緑地といいますか、緑化といった観点も必要かなということでございます。
少し長くなりましたけれども、以上で終わります。
和田委員長
どうもありがとうございました。
ご質問やご意見をいただければと思います。
大西委員
最初にお尋ねさせていただきます。どうもご説明ありがとうございました。川崎では、一方で工場の緑化に関して緩和の動きがある中で、市民のサイドからは、緩和しないようにという意見も強いというふうに聞いているんですけれども、その中で、都市計画、例えば緑の基本計画とか市がおつくりになっている、さっきの緑化指針もそうですが、そういう中で積極的に臨海部の緑のあり方を位置付けて、それに沿って工場における個々の緑化の緩和等も適用していくとか、そういう考え方もあるのかなと思うんですが、一般にはなかなか緑の基本計画と工場の工場立地法による緑化というのが一体的に運用されていないというふうに聞くんですけれども、川崎では緑の基本計画で工場地帯についても、きちんとした計画が示されているのか、あるいは将来についてそれが一体的に進んでいく可能性があるのか、ないとするとどの辺に問題があるのか、そのあたりちょっとお聞かせいただければと思います。
宮内氏
緑の基本計画につきましては、今現在改定作業中でございまして、19年中に定めるという方向で進めておりまして、事業所を中心とした緑化ということを進めておりますので、その中で量から質へといったような観点も取り入れられてきているところでございまして、まだがっちりと確定、決まったような基本計画はできておりませんけれども、工場立地法も、立地法の立場から基本計画に物を言いながら、これからまとまっていくんだろうなと思っております。
それから、都市政策面では、臨海部のあり方というのも今検討中でございまして、何といっても圧倒的に特定工場が多いのは臨海部でございまして、現在土地利用計画の見直しということを進めておりまして、立地企業の方のヒアリングを行って、方向性を調査させていただきながら摺り合わせをして、トータルで緑地を増やしていこうということでございます。
大西委員
従来はどうだったんですか。
宮内氏
緑の基本計画、従来は緑の30プランというのが川崎にありまして、前回の改定は、平成8年のときは緑の30プランということで、全体を30%にしようといったような目標を掲げて進めておったわけなんですが、今回は具体的な数値目標は個別には出てくる、事業ごとに出てくるようでございますけれども、工場緑化につきましては量から質へといったような観点で進められていると、具体的な何%ということはないと聞いております。
和田委員長
一つお伺いしたいのは、臨海部の緑化の比率が少し高まっていますが、絶対的な面積としては増えているのでしょうか。臨海部は随分工場の再編が行われて、既存の工場が閉鎖し、別の用途に置き換わっていると聞きますが、今までの生産設備でない倉庫などになったときに、緑地がどんどん潰れていくという話も少し聞いたことがあるのですが、全体として臨海部の緑地の面積はどうなっているのでしょうか。特定工場だけではなくて、そのようなデータはございますか。
宮内氏
全体では掴みきれていないですね。特定工場につきましては確実に増えていますし、あと物流であるとか、中間処理施設とか。しかし規模の大きいところになりますと環境アセスメントとか実施しますので、そうすると市の条例のアセスメントは、緑地といいますか、緑被と言っていますけれども、緑被を25%以上確保するということになっていますが、ただ、製造業の場合は25%ですけれども、物流の場合は若干下がりますので、そこらを加味すると場合によるとちょっと下がっているかなと。でも、ちょっとそこは数字が掴めていないので何とも言えないんですが、特定工場だけで見ますと、確実に増えていると思います。
和田委員長
特定工場の数自体が減少しているということはないのですか。
宮内氏
数自体は減少しています。
和田委員長
そうすると緑地の面積としては、結局全体としては減っているのか、増えているのか、どちらですか。
宮内氏
増えている。これも感じですけどね。数字を全部掴まえていないので。臨海部全体の緑地の面積というのは、ちょっと今分からないですね。
和田委員長
地域準則を変えることによって、リニューアル、あるいはスクラップ・アンド・ビルドが促進されたということはありますか。生産施設が増えたということはあるのでしょうか。生産施設は減っているわけですね。
宮内氏
数字でいうと生産施設はそうですね。でも、個別の企業の平均で見ると若干は増えていますね。トータルで見ると減っている感じになりますけれども。なかなかこれは効果が掴みづらいところがございまして、平成12年あたりは景気もいま一つといったようなことで、土地価格もかなり底であったころじゃないかなと思うので、投資意欲がかなり冷え込んでいた、タイミングも悪かったかなと。なかなか景気の先行き、景気の見通しがつけにくいような時代だったんだろうと思います。最近はでも、かなり景気もずっとよくて持続しておりますので、かなり相談なんかも多いような感じがしています。
和田委員長
そうすると、準則を変えたことによる効果は、これから現れてくるということですか。
宮内氏
そうですね。と思いますけれども。
土屋委員
準則を変えたことの効果が、浸透してないんじゃないかなという事例を私自身が体験しているのでお話ししますけど、今日お話しいただいたのは産業誘致課ですよね。現実に私どもは一つの事業所を潰した跡地に別の事業所をつくろうということで、大規模なものですから環境影響評価をやらなければいけない。そちらの担当部署にお伺いしましたら、先程ちょっと宮内課長が言っておられましたけど、緑被面積というんですか、緑被率というんですか、環境施設と関係なしに、緑で25%覆いなさいということが、アセスの要件の中で指導という形なんですけど、いただきまして。そのときに、地域準則で条例が変わっていますよねというお話をしたんですけど、アセスをやるものに関しては、25%確保しなさいという指導をしているというお話なんです。
和田委員長
新設のものについてですか。
土屋委員
事業所としては新設です。いわゆる石油精製工場がなくなった跡に発電所をつくったんです。だから、そういう事例からすると川崎市さんが全体としてこういう立地法の扱いをどうされているのかというのと、先程大西委員からお問い合わせがありましたように、あの地域をどうやって緑を連携させていくというんですか、グリーンベルトを。一応構想としては両方伺っているのですけど、企業の側からすると、そこの部分はもうちょっと統一してほしいなというところはありますね。アセス要件だからこうだねという区別ではなくて。そういう意味でせっかく地域準則というものでやっていただけるという話になるのであれば、単なるスクラップ・アンド・ビルドであろうが事業所として形態を変えるものであろうが、やはり同じ扱いでやっていただかないとという気はするんですけどね。
和田委員長
今の準則で15%まで下げられて、アセスメントでは25%緑被率を取るというこの違いは何か理由があるのですか。
宮内氏
この地域準則につきましては、工場が設備更新する場合、環境アセスメントがかかるのはもっと広い、これは工場立地法と同じ規模なんですが、敷地で9,000m2 以上、建屋で3,000m2以上の工場、製造業、あるいは発電とか、そういうところはアセスメントをやってくださいということで25%の緑被を求めているわけなんですが、地域準則変更はアセスメントにかからない部分でも当然それは適用されてきますので、それ以下の設備更新の場合はこの準則通りと。25%の緑被を求めるのではなくて、準則計算によって出てきた緑地を求めていくということです。ちょっと大きくなるとアセスもかかるので、あまりこの辺を緩和しても効いてこないということはありますけれども。
確かに企業の方からは、分かりにくくてしょうがないという話はよく聞きます。立地法は「緑地率」と言っていますし、アセスメントは「緑被率」と言っていますし、それから同じ川崎市でも先程の川崎市緑化指針、これは「緑化率」と言っていまして、極めて分かりにくい。今この辺は統一すべく、言葉の遣い方はともかく考え方は統一すべく、今検討は進められているということでございます。
前田委員
今の点でもう少し伺いたいのですが、緑被率25%と準則の15%の間に少し開きがあって、緑被率と緑地率という概念だけではおそらくクリア出来ないのではないかという感じがします。それは行政の中で矛盾が起きているのではないかというふうに思えてしまうのですが、その辺は矛盾なく動いているのでしょうか。
宮内氏
立地法は法律ですから、これに定められた通りの運用をせざるを得なくて、環境アセスメントは環境影響評価条例という川崎市の条例で運用されておりまして、矛盾というのは確かにおっしゃる通りかもしれませんけれども、企業の方たちのそういう話は我々もお聞きしているんですけれども、特段これはこれそれはそれという感じで運用しているという状況なんですけどね。
前田委員
分かりました。ありがとうございました。
もう一つの概念の緑化率といいますか、緑化指針のご説明をいただいたんですが、この考え方も今後の考え方の中ではどういうふうに扱っていくかというのは重要なことだと思っているんですが、例えばこの緑化率の考え方で、先程ご説明いただいた緑地率の今現在10.幾つと言っている、これが例えば5割増しぐらいまで見れて、といったようなデータ的なといいますか、そういう試算的なものは何かしておられますか。
宮内氏
それはしていないですね。それは調べてみる必要があるかもしれないですね。
前田委員
その辺の計算をされると、例えば15という数字をクリアするのかしないのかというあたりは、是非担当の当局としては行っておく必要がある数字だと思います。
宮内氏
ありがとうございます。それは是非うちの方も調べてみたいと思っています。
塩崎委員
地域準則の効果についてお伺いしたいんですけど、効果はこれからだということをおっしゃっているんですけれども、この5ページの資料の数字を見ますと、緑地面積が若干増えて生産施設面積率が減っているということからすれば、いわゆる既存設備が減ってその既存設備、すなわち緑地面積の少ない設備が減って、少し緑地面積の増えた設備が増えたんじゃないかなというふうに見えると思うんです。このときに、この準則の効果として地域活性化といいますか、これに生産施設は減ったんだけれども、この工業、この該当している地区の例えば経済効果に何か影響があったのかどうか。例えば準則を定めて、そのエリアにおける生産評価額がどうなったのか、上がったのか下がったのかとか、いわゆるその効果を経済的な面から評価されていますでしょうか。
宮内氏
その効果も把握していないですね。効果は調べていません。先程の緑地、この設備投資をするのに、条例が変わったから設備更新をしたのかどうかというところも実際のところはチェックしていないで、経済効果についても、それほど激しく緑化が進んだということでもないもので、特段把握はしていないですね。
塩崎委員
分かりました、ありがとうございました。
宮内氏
先程のこともそうですけれども、これからその辺は少しうちの方も検証していかなければいけない点かなと思っております。
土屋委員
川崎市が政令市として地域準則を早めに改定されて、企業の側からするとある部分ちょっと便宜という格好になっているのかもしれないんですけれども、この先こういう本当に川崎市の典型的な工業地帯のような場合に、ここでどういう緑地というか、緑の思想というか、どういう方向に向かって行くんだろうか。多分、市として政策として何らかのものを打ち出していくんだろうと思うんです。
一方、現実的に一つ今の地域準則の緩和はあったにしても、川崎市の環境影響評価制度というのは結構、多分日本一厳しいんじゃないかというのは、かかってくる案件の大きさがすごく小さいところから引っかかっていっているんですよ。特に最近マンションや何かが多いものですから。そういう事例をお聞きしているものですから。それの上にたしか開発条例というものの縛りもあって、そこでも緑の制約が多分入っていたと思うんです。そういった一方では地域準則で緩めながら、でも、他の面からすると全然緩んでいないというか、便宜的なものがないということ。
正直私どもがあそこで活動をやっていて、この工業地帯にどんな緑の思想があるんだろうかというのもちょっと行政の側の方から伝わってこない。アセスをやってみて、初めて緑被率25%ということを目指していくんだよという話を聞いたというところを見ると、今多分この川崎が先程の計画、今立て直し中というお話でしたけれども、この先産業の活性を見ながら、ここのエリアをどういうふうに緑というものを前に出していくのかというところは、正直言っていいモデルケースと言ったら変ですけれども、私どもにとっても非常に注目すべき。
ただ、逆に言うと川崎市というのはすごく特殊なところかもしれないなという気も一つしているんです。あまりにも工場の数の多いすごい大規模なところであって、そこに立地法から出てきた緑地みたいなものを確保しながら産業の再生化を狙っていかなければいけないという、とっても大変な地域だろうなという気もしていると、モデル地域がいいのかそれとも特殊と考えるのか、ここの地域がどう動いていくのかというのは、正直立地法をやっている立場から見ると、随分着目していきたいなと。ただ、中に入っている企業の人間からすると結構大変かなという気がするので、早めに一つの方向を出していただけると、中に入っている企業の側も少しは動き易いのかなという気がします。
和田委員長
ありがとうございます。
非常に適切なご意見だと思います。確かに川崎市の場合には、市の緑化指針だと事業所は10%以上、環境アセスメントだと25%、地域準則だと15%と、10、15、25という3つの規定があって、土屋委員が言われたような、どういう緑をつくっていくかの思想がやや分かりにくいというところがあります。
しかし、これは川崎市だけではなくて、いろいろな地域で同じような問題があるのではないかという感じもするので、幾つかの緑の考え方を整理してもう少し勉強するという意味では、非常に興味深い例を今日聞かしていただいたと思いました。もう少し川崎市のモデル性を勉強するのもおもしろいかもしれません。
他にいかがでしょうか。
半田委員
最初に委員長がおっしゃった、「よい環境の工場をつくる」という観点からすると、それぞれの事例がどちらの方向に向かっているのかという疑問がわきます。まず川崎市の方の本日のお話を伺った感想から申し上げます。川崎は、東京と横浜の間に入っているわけですけれども、東京都は臨海部の森づくりに努め、横浜の方は「京浜の森づくり」など市民や企業の積極的な姿勢が感じられるのです。けれども、川崎の場合、その辺がもっといい環境をつくろうという方向に、積極的に向かっておられるのでしょうか。お考えにはなっているんでしょうけれども、何か具体的にいま一つ力強さが感じられないという感想をもちました。
4ページのところも、現状よりも緑地率が増加する方向に作用させると言っているんですけれども、結局は20%を15%に緩和しているわけですよね。なので、その辺の姿勢がいま一つどうなのかなと思いました。
それからもう一つ、今日いろいろな話が出たんですけれども、第一には工場から離れたところに緑地をつくるのはどうかということですね。工場の近隣の生活ということを考えると、どの程度離れると言っているのかというあたりが、今日のお話だけでは何とも言えないんです。もっとよく検討する必要があると思いました。
それから第二には、先程の石油化学工業協会の方の話に関連してですが、テニスコートと緑地というのを変えられないかという話ですけど、私の考え方としては、テニスコートと緑地というのは違うんじゃないか。緑に覆われたテニスコートというのもあるのかもしれないけど、ほとんどのテニスコートは「緑被された地」という意味での緑地とは違うのではないかなと思いました。
それから第3には、せっかく緑地の解釈を拡大して、屋上緑化も緑地の対象として取り入れられるようになったのに、現実にはそちらの方向に考えが向いてないんじゃないかということです。屋上緑化なども積極的に考えてみたらどうなのかと思いました。各事例をぎりぎり詰めていくと、本当はどうなのかなというところがよく見えなくて、意見を言おうと思ったんですけれども、なかなか言いにくいところもありましたので、今まとめて言わせていただきました。
和田委員長
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
石油化学工業協会の方から何かコメントはありますか。
戸澤氏
特にございません。
和田委員長
それでは、今日のお話はほぼ出尽くしたという感じもしますので、これで終わらせていただこうと思いますが、いろいろな事例やかなり特殊な事例が出てきまして、少し類型化というかモデル化して、何がいろいろな事例の中でポイントなのかをもう少し整理しないといけないと思います。そして、その整理をして基本的なところでもう一度議論することにしたいと思います。
今日はいずれにしても勉強会ということで、幾つかの事例を聞かせていただいたので、その中から共通的な問題、基本的な問題を抽出していくことが出来ればよいと思います。

当面の検討スケジュールについて

和田委員長
最後に、今後のスケジュールを説明願います。
熊川地域活性化企画官
次回の予定ですが、資料3の通り、4月中旬から下旬あたりで開催したいと思っております。次回は環境関係の方や緑の関係の方にお越しいただいてお話を伺うことで調整を進めております。具体的な日程は別途ご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

閉会

和田委員長
それでは、今日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

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最終更新日:2007年4月11日
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