経済産業省
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総合資源エネルギー調査会総合部会基本計画委員会(第1回)-議事概要

日時:平成22年2月9日(火)18:30~20:30
場所:本館17階西3国際会議室

出席者

委員:
黒田委員長、安部委員、岡本委員、柏木委員、崎田委員、嶋津委員、白石委員、種岡委員、鶴田委員、内藤委員、中上委員、橋本委員、松橋委員、松村委員、三村委員、山地委員
経済産業省:
直嶋大臣、増子副大臣、高橋大臣政務官、近藤大臣政務官、石田資源エネルギー庁長官、本部資源エネルギー庁次長、上田大臣官房審議官、北川経済産業局審議官、齋藤省エネルギー・新エネルギー部長、木村資源・燃料部長、横尾電力・ガス事業部長、高橋総合政策課長

議題

  1. エネルギー基本計画の見直しについて

議事概要

  • エネルギー基本計画見直しについて
    (資料2、3、4、5-1、5-2に基づき上田大臣官房審議官より説明)
  • 委員によるフリーディスカッション

エネルギー基本計画の見直しについて

  • 日本経済に希望を与え、経済を活性化していく分野としてエネルギーは重要。欧米や新興国に対抗していくためには、産官学が一体となって取り組むことが重要。
  • エネルギー政策の基本方針である安定供給の確保、環境との調和、市場原理の活用のバランスを取ることは重要であるが、エネルギーセキュリティについては特に真剣に議論するべき。化石エネルギーは今後も主要なエネルギーであり、資源確保を推進することが重要。
  • 再生可能エネルギー、たとえば太陽光発電について2020年に70倍導入という意見もあるようだが、現在の20倍導入が限界ではないか。
  • 省エネルギーはエネルギーセキュリティに資するという意味でも重要
  • グローバリゼーションの進展に対応した世界市場のなかで、様々な目標を掲げても現実に国として実行するためには世界的に存在感のあるプレーヤー、すなわち企業の存在が不可欠。そのため、石油、電力、ガス、原子力プラントメーカー等の企業の集約化を促進し、産業体制整備を検討すべき。
  • 地球温暖化対策については、エネルギーと一体的に議論して欲しい。国際的な公平性を担保する指標の深掘りが必要。限界削減費用もひとつのモデルとして考えられるが、一人当たりのCO2排出量で考えることが、先進国、新興国、途上国の公平性を考えるには有効ではないか。
  • 2020年、2030年に加え、必ずしも明確な絵姿を描けないが2050年に向けたシナリオを、今回のロードマップ検討において考える必要がある。その際単なる理想論にならないように、エネルギー価格も考慮し、必要以上に現在の世代が負担を負わずに、世代間の負担の公平性を考えることが重要。
  • 政策の実効性についても、政策手段を選び全体として最大の効果をあげる検討が必要。すなわち全体最適と部分最適を相互にフィードバックする形で検討すべき。キャップ&トレード、税制、フィードインタリフ、セクター別アプローチ等について、別々に検討するのではなく、全体の国内対策として議論するのみならず、国際的な連携も考え、例えばICAP(The International Carbon Action Partnership・国際炭素行動パートナーシップ。国や公的機関によるキャップ&トレード制度の国際的な連携に向け、専門的な議論・意見交換を行うフォーラム。昨年5月に東京都が加盟)等との連携など総合的、体系的な検討が必要。
  • 過大な政策目標と曖昧な政策手段は市場を混乱させ、施策の実現を妨げるという点に留意して、基本計画の検討を進めて欲しい。
  • 環境政策とエネルギー政策は表裏一体のものであり、双方を十分に連携させ、シンクロして議論を進めることが重要。また、社会との対話を十分に行い、国民全体の合意形成を図ることが大事。さらに産業論として、技術の継承、人材の育成、産業の発展をセットで考えるとともに、生活にインパクトを与える議論となるので、国民を不安にさせないような議論にしていく必要がある。
  • 2030年に向けた長期的な検討に当たり、低炭素社会を目指すことは否定しないが、今はまだ高炭素社会であるという現実があり、化石エネルギーの高度利用についても我が国がイニシアチブを取れるよう議論しなければならない。
  • 再生可能エネルギーの大量導入については、税制その他を含めて議論を行い、環境制約が経済をだめにすることのないようにしなければならない。また導入の黎明期から競争域に移行していく過程で、産業創成を考慮していかなければ、富の流出を惹き起こしかねない。
  • 原子力は稼働率60%を80%に上げるだけで日本の5%のCO2削減になる。そう考えれば原子力の位置づけ、核燃料サイクルまでを含めてどのように考えるかが重要。
  • 化石燃料の高度利用に関して、石炭、天然ガス、石油とあるが、石油は未だメジャーであり、石油残渣IGCCの技術開発も進めていく必要がある。
  • 太陽光が大量導入されれば、大規模集中型から流れる系統が双方向に流れることになるため、上位系統のスマートグリッド化が必要。これは、公的資金等を含めて確実に対処することが必要。
  • 非化石を加速させる政策をとるならば、スマートメーターをある目標値のもとで導入しないと不安定な電源をうまく利用できない。
  • 系統の需要サイドに再生可能エネルギー電源が導入され、さらに電気自動車も系統に組み込まれる状況が出来する可能性を想定し、電力、ガス、通信が一体化したスマートコミュニティ実現に向けた努力が必要である。エネルギー基本計画の検討に当たってはいろいろな業種が参入することを妨げないことを念頭に議論するべき。
  • スマートコミュニティの実用性、実効性をシステムとして海外に売り込むための実証を行うなどのチャレンジが必要。
  • 原子力発電の海外入札の例にあるように、資源外交は安全保障にいたる様なかなり広範囲なパッケージディールが求められる。検討の論点として「政府、商社、資源開発会社、ユーザー企業まで含む一体的な連携の促進」を謳っているが、その実現のためには国のトップが前面に出る体制、多くの政策手段を打ち出せる体制を議論しておく必要がある。
  • 2020年25%の実現に向けた議論には、経済成長、雇用創出の観点が不可欠。市民、行政、事業者のやる気を惹起する強いアピールが必要。また、CO2削減に関して国際貢献を進めて欲しいが、国内では新エネルギー、特に地域未利用エネルギーを活用して社会、システムを作っていくことが必要。
  • 再生可能エネルギー利用拡大のインセンティブをつけるためには炭素税や排出量取引などをしっかりと取り入れていくべき。今の世代にも影響してくるが、子供や孫の世代にはそれ以上にツケが大きくなるのではないかと考えれば自分達の世代でできることをきちんとやっておくべき。
  • 原子力発電はCO2削減に大きく貢献するが、安心安全に対する国民の理解を醸成する取り組みが必要である。
  • 新エネルギーの拡大はもちろん大事であるが、大規模電源への信頼性など、日本のエネルギー政策全体がどうなっているのか我々がもっと学んでいくことが非常に重要であると感じている。地域社会が率先して学ぶことにつながるように、コミュニケーションをとりつつ政策を実行していくかが大事。
  • エネルギー基本計画の検討に当たっては、目標と手段をきちんと議論しなければならない。目標設定は、その実現に向けた手段につなげていくためにも、政策として実現できる適切なレベルにブレークダウンする必要がある。たとえばセキュリティについて自主開発資源の比率、供給多様化を示す指標等を定めるということ。一方で、太陽光発電の導入目標を定めるのではなく、より上位にある再生可能エネルギー導入目標を設定することが必要ではないか。
  • 電力の低炭素化を図るのであれば、電力のCO2原単位に徹底するほうがより広く、実効的である。化石燃料の利用効率化、天然ガスなどの利用高度化等を考えれば、政策的に合理的な範囲におさまる。
  • エネルギー政策には戦略性の視点も不可欠であり、人材育成、技術開発、社会システムの整備などを行う等の基盤的なもの、インフラ的なものを重視することが必要。
  • 成長戦略のなかで太陽電池が取り上げられているが、太陽電池は今のところ高額であり効率の面では非常に劣るものである。それと成長戦略をどう結びつけるのか、この点はもう少し突き詰めて論理を考えないと、効率性からみて他の再生可能エネルギーに取って代わってしまうことは十分に考えられる。
  • 2020年25%削減目標が出たので、経済モデルをつかっていかにこれを実現するかの計算を行っているが、非常に厳しい目標であるが、我が国のリーダーが高らかに宣言したわけであり、何とか実現の可能性を探っていかなければならない。
  • 2030年、2050年さらにその先のエネルギー需給構造の抜本的改革を考えると、原子力、再生可能エネルギー、CCSなど電源のゼロエミッション化が有力な解となりうる。今回の検討では様々なエネルギー源に配慮する余り総花的な議論にならないようにする必要がある。
  • 現在のエネルギー環境技術の研究開発の取り組みには、“普及戦略”が不十分と考えている。需要家が、いつ、どのようにその技術を選好させるのか、時間と量の観点が重要。目標を実現するためにはフィードインタリフもあるがそれだけでは十分ではなく、もっと直接的で強力な需要側への働きかけを考えなければならない。それがEVや省エネ家電の普及を促し、経済効果を向上させるので是非検討いただきたい。
  • 国際的な情報発信力、交渉力について懸念していることは省庁間の立場の違い、意見の違いがあり、なかなかオールジャパンの強力な交渉力になっていないのではないかということである。エネルギー基本計画は経産省が取り組む課題であるが、温暖化対策となれば環境省、国交省、外務省が絡んでくると思う。国内を説得するための論陣を張っているだけではなく、その壁を打ち破ってオールジャパンで取り組んでいかなければ諸外国から見ると残念ながらなかなか日本の声として見えてこないのではないか。
  • フィードインタリフとキャップ&トレードなどの整合性についても、国家戦略室ができたのでそこできっと整合をとると期待していたが、現状は管轄官庁に任せて別々に取り組んでいる部分も見えなくはない。日本の策としてどうするか、税やキャップをかけた場合、産業界へのコスト負担、例えば炭素の削減目標のあまり高くない国に輸出する場合にそこにかかったコストを控除するなどの施策を含めて産業の国際競争力を考えていくべき。経産省は守りではなく攻めの姿勢でこのような施策に取り組むことが必要。
  • 税、フィードインタリフ、キャップの議論は、産業の国際競争力の観点も踏まえて一体的に議論する必要がある。経済産業省として積極的に攻めの施策を示してはどうか。
  • 今回のエネルギー基本計画見直しに当たり、経済成長、環境問題というキーワードが重視されることは、今回は国民が否が応でも負担していただかなければならないところをクリアにしながら、そのなかでエネルギーセキュリティを考えていくことになっているところが良い。
  • 国民負担はエネルギー基本計画を考えていくうえで発生する問題である。ここは精緻に、わかりやすく語りかけていくことが重要。論点のなかでも規制と国民負担が並列になっているが、規制は太陽光の設置や自動車の買換など強制的なことが含まれている。このことについて役所的な発信ではなく、一般の国民にわかりやすく伝えるべきである。国民負担と言ってもわかったようでわかりにくく、規制となればほとんど理解できないということになるので、この委員会のなかで議論を深めていただきたい。
  • その一方で国民を説得するプロセスが必要である。温暖化問題にむけて様々なことを行わなければならないが、それらにより今後の日本経済を支える成長セクターが育っていくことになる。施策にはタイムラグも存在する。厳しい財政のなかどう国民を誘導していくのか議論が必要。
  • 地球温暖化対策と成長戦略のどちらも同じ時期にまとまるのだろうが、議論は別々のところでなされている。成長戦略をどう考えているのかのフィードバックがないなかで、基本計画の議論はどうなってしまうのか。地球温暖化対策の行程表が出るようだが、その議論がわからないなかで基本計画をどうやって策定していくのか。その辺を有機的に結びつけて、一般国民にわかりやすい議論をしていきたい。
  • 2020年25%という目標が示されたことに失望している。前政権における中期目標検討委員会の議論は、京都議定書の反省に立ったコンセンサスであったと考える。25%のリアリティが分からない中で温暖化対策基本法に盛り込まれようとしているのは問題。
  • 25%目標の支持は高いが、国民には理解されていない面もあるのではないか。国民に耐えてもらうことについて率直に明らかにしていくほうが政策推進のためにプラスになる。税や排出量取引を行わないと駄目というのはまやかしの説明であり、後で禍根を残すのではないか。
  • 2020年の目標も大事だが、2050年の長期目標が重要である。2050年で半減は難しいと思っているが、2050年前に世界的なピークをむかえ減少させていかないとならない。そのなかで最も重要なことは技術革新であり、企業がいかに先進的な研究開発を進めていくかが大事。
  • 目先の2020年25%削減のために、日本だけが高いエネルギーコストとなり、結果としてエネルギー多消費産業が国外へ移転することになってはならない。この問題は一国の問題ではなく、世界レベルで考えないといけない。日本だけが高い目標を掲げるのはナンセンスであり、調和のとれたそれなりの目標を掲げることが大事である。
  • エネルギー基本計画見直しの論点に、エネルギーの安全についての議論が不足している。今後原子力発電を更に推進していくということであれば、安全を確立し、地元の安全理解を進める必要がある。原子力発電の研究開発、広報活動についてもっと積極的に行うべき。また、エネルギー政策基本法に「安全」を盛り込む必要がある。
  • 省庁間の協力や研究開発の重点化をもっと進めていただきたい。原子力政策には文部科学省との協力も基本になってくるが、感情的な問題もあるのか一緒に行ってくれる状況にない。
  • 原子力政策大綱において、高温ガス炉が水素性技術研究開発に結びつく技術であるため大変高く評価されており、日本の技術は世界で最も進んだものになってきており、積極的に進めていくべきである。発電コストを比較しても遙かに軽水炉より安い。太陽光が脚光を浴びているが、風力発電も支援すべき。エコノミーにもつながる。
  • 機械設備の省エネ化はいいが、使い方が悪いと省エネにならないので、国民の協力を求めなければならない。国レベルで進めたのではそう簡単にうまくいかないので、地方自治体との協力関係をもっと積極的に進めていただきたい。
  • 今後の重点課題としては、水素エネルギーをどう使っていくかがある。この分野で世界の競争に負けてしまうととんでもないことになるので重点化してほしいが、なかなか一生懸命行っていただいているようには思えない。東海村にJ-PARC・大強度陽子加速器施設という中性子を用いてものを開発するところがある。開発の実用化にむけて県でラインをつくったが、国の支援が不十分である。もっと積極的に進めるべき。
  • 親子会社間が100~200km離れている状況はよくあり、その間のエネルギー消費量、CO2排出量は実は多量である。国土構造のあり方を含めて、どうあるべきか考えていくべき時期に来ているのではないか。
  • 社会システム変革という視点はエネルギー政策の検討に当たり持ち続けるべき。2020年、2030年、そして2050年を見込めば、社会システム、エネルギー供給システムは抜本的に変わり、社会のあり方も大きく変わることを念頭におき、縦割りではない、エネルギー供給ネットワーク構築、情報通信、運輸、家電制御も全て一体で発展させていかなければならない。
  • 新しい社会の変革を考える際には、ここにいる我々が思いも寄らない新しい発想を殺さないような制度基盤を作っておくことが成長戦略でも重要な役割を果たすのではないか。例えば新しいアイデアが次々と入りってきたとしても、電力会社と交渉し、行政と相談しているうちに疲れ果ててできなくなってしまうようなシステムではなく、より効率的な規制の仕組みを考える必要がある。
  • 社会システムの変革であることから、是非とも夢のある話をしていただきたい。それは環境対策、セキュリティのためにはコストがかかり国民に負担がかかることを言う際に、国民負担をごまかすために夢を語るということではない。地に足についた負担の話が最優先なのはわかるが、暗くなる話ばかりではなく、社会システムの変革に伴って日本がトップランナーとなり、新しい規格、新しいシステムを作り、今後日本はこれで飯を食うという夢のある話も出てこないと、国民に夢を与えられない。
  • こうしたことに取り組めばうまくいくのではないかというビジョンを掲げる必要がある。しかしこれまでに失敗も多く経験してきた。エネルギーセキュリティのために行ったことで失敗してきたという経験からも学ぶことがなければ、また同じ失敗をしてしまい、歴史的な評価に耐えうる議論にはならない。
  • 自給率が重要なのは論を待たないが、エネルギーベストミックスの発想も忘れてはならない。一つの技術一つの電源に依存することは避けるべきである。水素、バイオ、風力についても、太陽光が重要であると認識しつつも、多様なエネルギー源を組み合わせることで、エコロジー、エコノミー、セキュリィを確保することが重要である。
  • 今回は2030年まで論じるということなので多少の時間はある。エコポイント制度を活用することで2030年までに家電を全て省エネ家電に置き換える等、時間を金で買うことはできるがそれには限界がある。
  • 1960年代に比べて現在の電力需要は約5倍になっている。需要が圧倒的に増えていることから、供給サイドのみならず、需要サイドの省エネルギーに比重をかけるべきである。しかし、新エネルギーにおける太陽光のようないわゆるスター選手が存在せず、全ての人がステークホルダーと言える。この点が非常に重要だが、同時に分かりにくいところでもある。
  • オイルショックの際にも、家庭用の暮らしの中でのエネルギー制約を官がかけるべきかについての大議論を経済企画庁でやったことがある。官が国民の懐に手を入れることはできないということで当時は落着したが、そこにまで踏みこまないとこの問題は恐らく解決できない。
  • 省エネ推進のためには、デファクトスタンダードを作る手法もあるが、規制とするか自主的な動きとするか、規制をかける場合産業の国際展開等を考慮すると問題は多い。
  • ビルの省エネでも安易に省エネ改修を指導するのではなく、躯体の補修をするときに省エネ改修を義務づけるなどの抱き合わせの施策等、具体的に実行可能な戦略を講じる必要があるのではないか。
  • 25%削減は厳しいと思う。25%とは1/4、4日に1日は何も活動せず寝ている計算。それくらい大きな数字。15%でも1/7であったのだからいかに難しい数字か。その大変さが伝わっていない。しかし、取り組むべきではないということではなく、高い目標が軽々とクリアできるような情報を発信すると、一般の方は放っておいてもできると感じてしまい、目標の実現を遅らせることになる。マスコミの方にも申し上げておきたい。
  • 今回京都議定書はクリアできるかもしれないが、これは神風が吹いたからであり、そこをきちんとメッセージとして出さないと人々は放っておいてもできたと誤解する。一方で、電力会社は原子力が停止していることで多くの排出権を購入しているわけなので、その情報を一緒に出さなければならない。実態を伝えずに数字だけが一人歩きをしてしまうことにならないようにしていただきたい。
  • 2020年25%の目標については説明責任が果たされていないと考えている。マスコミがきちんと書かないことも問題であり、たとえば太陽光の余剰買取に関するサーチャージの存在を知らない国民も少なくない。
  • 国民はなんでも反対と言うわけではない。一生懸命エコポイントで家電も買っているし、グリーン電力基金にも寄付しようという人や証書を買おうという前向きな人もいて、国民も一歩ずつ前進している。エネルギーに関する消費者教育、学校教育を推進し、国民のエネルギーに関する理解を深めなくてはならない。
  • 最近1人世帯が増加しており、このことがめエネルギー消費増加につながっている。エネルギー政策の検討に当たってはこのことを考慮する必要がある。
  • 家庭部門は民生部門で括るのではなく、きちんと切り出してエネルギー消費を議論する必要がある。過程よりもエネルギー消費の多い業務部門と比較して「努力は不要」という誤った理解を招くことになりかねない。
  • 技術開発やエネルギーインフラ整備のリードタイムは非常に長いことから、事業者が確実に対応できる時間軸をもって、エネルギー政策を議論すべきである。
  • 産業構造を構想するにあたって考慮すべきことは、デマンドサイドとサプライサイドの両面からみることが重要である。事業者が国内での「真水」か、海外でのクレジットの購入を念頭においた「グロス」かの選択を、コストパフォーマンスを考慮して適切に行えるしくみを導入することが重要。国内の「真水」だけに限ってCO2削減目標を掲げることは事業者の自主的な選択の可能性を歪めると考える。地球規模でのCO2削減を絶えず考慮することが、地球規模での低炭素社会への移行を促進することになる。
  • 家庭用を含めた需要家がコストパフォーマンスを考慮しながら低炭素型のエネルギーの選択を可能とするしくみこそが、各家庭における「スマートメーター」である。「スマートメーター」は電力会社やガス事業者など供給会社と需要家を双方向通信で結ぶ新技術で、米国の一部の地域では実用化に一歩踏み出している。ヨーロッパでも普及に向けて強い関心を持っている。我が国では技術的に解決すべき課題が大きく、実用化へ向けての取組みは今後の大きな課題となっている。また、規制を見直し、普及へ向けての様々な制約を見直すことも小さいことではない。しかし、低炭素社会へ日本が移行していくうえで、スマートメーターの果たす役割は極めて大きいと認識しているので、今後精力的にこの技術開発に取組んで欲しいと考えている。
  • 適切な供給構造の形成にとって重要なことは、政府の関与する部分と市場に委ねる部分の適切な組合わせを模索し、事業者の自主性を保証するしくみや、長期的視点から合理的な投資や技術開発を推進するしくみを導入することである。価格への介入は適切な資源配分を歪める可能性があるので、慎重な検討が必要と考えている。特に米価政策の二の舞は避けなければならない。
  • 市場メカニズムと規制、官と民の役割分担は極めて難しいテーマである。電気という財は極めて特殊な性質を持っている財で、家庭、産業にとって無くてはならない必需財である。特殊な性質は、需要と供給の瞬時の調整が不可能なことである。送配電設備などのエッセンシャルファシリティ(独占財)などが存在する。北アメリカ、ヨーロッパなどの主要国のなかで唯一、日本では貿易が行われていない非貿易財であるなど他にない特性がある。そこで両者に境界線を引くのに悩ましい問題が存在している。特に非貿易財という特性を考えると電力産業は非常に容易に市場分割が可能である。政治的、社会的条件次第では、合理的とは思えない価格形成・制度・産業組織が形成される可能性が絶えず存在している。エネルギー基本計画を立案するうえでも、このような悩ましい問題を抱えていることを認識し、ケースごとに慎重に検討したうえで極力、市場メカニズムや民間の自主選択を大事にして制度改革に取組むことが重要である。
  • 電気事業分野では、今日、様々な技術進歩の可能性を秘めている。原子力のプルサーマル計画においては使用済み燃料の再処理など技術開発が非常に重要となっている。再生可能エネルギー分野では、太陽光発電・風力発電・バイオマスなど技術的に大きなポテンシャルがある。加えて、電圧・周波数を安定させるための蓄電池や電気自動車の普及による充電器の開発、次世代送配電網スマートグリッドによる新技術や一般家庭のエネルギー消費の最適化を目指すスマートメーターなど広義の電力・電力産業の技術開発の可能性が秘められている。
  • 長期的な観点から、政府と産業との関係はどうあるべきか、どこまでを産業に委ね、政府はどこに関与して過度に市場に依存したしくみをどのようにしていくか。技術進歩を促すしくみや財政・税制からのサポートはどうあるべきかなど検討が重要である。また、家計に強制的に規制するのではなくて、何らかのインセンティブをあたえていくしくみを長期の視点から考えていく必要がある。そういう意味で抜本的なエネルギー産業政策を立案することは急の課題だと考えている。政策の実効性を高めるためにも極力民間の自主性を尊重することが重要である。
 
 
最終更新日:2010年2月15日
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