経済産業省
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中小企業の会計に関する研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成22年2月15日(月)10:00~12:05
場所:経済産業省本館17階東7・8会議室(第1・第2共用会議室)

出席者

安藤委員(専修大学 商学部 教授)、市川委員(全国中小企業団体中央会 専務理事)、岩崎委員(全国商店街振興組合連合会 専務理事)、上西委員(日本税理士会連合会 調査研究部 特命委員)、上原委員(株式会社前川製作所 財務グループ・リーダー)、上村委員(早稲田大学 法学部 教授)、江頭委員(早稲田大学大学院 法務研究科 教授)、大橋委員(中小企業家同友会全国協議会 政策委員長)、尾崎委員(早稲田大学 法学部 教授)、河崎委員(甲南大学 会計大学院 院長)、木村委員(愛知産業株式会社 監査役)、桑原委員(光陽産業株式会社 監査役)、古賀委員(神戸大学大学院 経営学研究科 教授)、坂井委員(武蔵大学 経済学部 准教授)、坂本委員(税理士法人坂本&パートナー 理事長 税理士)、櫻庭委員(櫻庭公認会計士事務所 公認会計士 税理士)、品川委員(早稲田大学大学院 会計研究科 教授)、清水委員(商工組合中央金庫 審査第一部 副部長)、武田委員(渡辺パイプ株式会社 常務取締役)、寺田委員(全国商工会連合会 専務理事)、橋本委員(京葉銀行融資第一部 部長)、平川委員(税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員 税理士)、前田委員(学習院大学 名誉教授)、松原委員(明治大学 商学部 専任講師)、万代委員(一橋大学大学院 商学研究科 教授)、宮城委員(日本商工会議所 常務理事)、弥永委員(筑波大学 ビジネス科学研究科 教授)、柳澤委員(日本公認会計士協会 常務理事)、吉田委員(城北信用金庫 審査部企業支援グループ 副部長)(※五十音順)

議事概要

中小企業の実態について

  • 中小企業が過去から現在まで果たしている積極的役割と大きな課題を抱えている実態を踏まえたうえで、グローバル化に対応する大企業の企業行動や金融機関などの動きに対して、日本の中小企業の会計基準をどう考えるか検討する。
  • EUはEU小企業憲章や小企業議定書・中小企業政策の最重点の原則として「中小企業への影響や行政サービス負担」を減らす作業を続けている。このような視点に立って、考え方向付けを検討する必要がある。
  • 非上場企業の主なステークホルダーは、金融機関と取引先であり、開示先は限定的。非上場企業は、上場企業と違って、国際的な資金調達を行っておらず、利害関係者から上場企業と同様の会計処理が求められているわけではない。
  • 99.7%が中小企業であり、公開市場からの資金調達は行っていない。また、ほとんどが税法基準に依拠した会計処理を行っている。
  • 中小企業が、会計を自社の経営にどう使うかについてあまり議論されていない。内部で使いこなせるような利用しやすい会計を考えてはどうか。

現行の中小企業の会計に関する指針について

  • 指針は、平成14年中小企業庁研究会報告書と齟齬なく、中小企業の実態に即して策定されたと認識。指針のほとんどの項目について税法基準で対応することも可能。よって、中小企業の実際の取引を当てはめれば、指針のほとんどの項目については税法基準と同様となる。
  • 指針は、会社法に基づき計算書類を作成するための一つの拠り所であり、一定の水準を保ったもの。但し書き、尚書きで一定の幅を持たせてあるため、中小企業の慣行にも沿ったものであると認識。
  • 指針は、ユーザー側にとって、理解しにくくニーズに合致していない部分がある。例えば、棚卸資産の評価では、一旦時価評価をした上で重要性を判断するという、二重の手間を求められている。
  • 現行の指針は、トップダウン方式の影響もあり、中小企業の実態を反映していないのは明らか。
  • 指針は、高度過ぎて中小企業が対応しきれておらず、あまり普及していない。

中小企業会計の策定アプローチについて

  • (1)中小企業に対してIFRSとのコンバージェンスやアドプションを遮断すること、(2)中小企業の身の丈に合った会計基準を、早期の策定も視野に入れつつ、ゼロから検討すること、(3)税会一致が重要であり、確定決算主義を確保すること、の3点を念頭に検討して頂きたい。
  • 会計基準がシングルスタンダードかダブルスタンダードかという議論に拘らず、中小企業会計をゼロベースで考えるべき。中小企業では、複式簿記による計算書類の作成が会計の根幹であり、この点では、大企業と共通。その意味ではシングルスタンダードであり、開示等の方法において大企業と枝分かれするところは結果的にダブルスタンダードになっていると言える。いずれにしても神学論争は控えるべき。
  • トップダウン・アプローチで策定するか、ボトムアップ・アプローチで策定するかという議論は非常に大事。税効果会計について、トップダウンで考えると、原則適用、ボトムアップで考えると、原則不適用となる。大企業は投資家向け、中小企業は経営管理のために会計が必要となっており、また、中小企業では特に記帳が重要。大企業と中小企業では、会計の建て付けから全く発想が異なってくるため、ボトムアップ・アプローチを採用すべき。
  • 現在、医療法人会計、公益法人会計など法人の業種業態に即した会計が用いられている。中小企業庁は、中小企業基本法に定義される企業に重点を置いて中小企業会計を検討して欲しい。
  • 中小企業の属性を念頭に置いた平成14年の報告書に立ち返って議論すべき。
  • トップダウン・アプローチより、ボトムアップ・アプローチの方が中小企業の実態に適しているのではないか。
  • 現行の指針は、会計参与制度を実効たらしめるために、統一した基準が必要であったことから生まれたもの。会計参与制度のためには、一定の水準が保たれた会計が必要である。仮に、これを切り分けることが適切であれば、残りの中小企業250万社についてはボトムアップ・アプローチも可能となる。また、会計参与設置会社の会計について対象に含めるかどうかを議論することは、本研究会のアプローチ方法にも影響する。
  • 大企業/中小企業、公開/非公開ではなく、ステークホルダーの頂点が個人か法人かで考えて個人投資の中小会社の会計基準を検討することが適当である。これによりグループ法人課税でも同様の切り口で整理しており、税制との一致が図れるのではないか。

会計基準の国際化について

  • 企業会計審議会中間報告のように、IFRSへのコンバージェンスを会計の高品質化なものとして喧伝する風潮があるが、これにより、いかなる企業であっても高品質の基準を受け入れねばならないというような強迫観念を中小企業に与えているのではないか。
  • IFRSは、グローバル市場での共通の約束ごとである一方、ほとんどの中小企業は国際化の問題と関係ない。中小企業については、日本固有の文化を重視して検討すべき。
  • IFRS for SMEsはトップダウン・アプローチで構築されている。そのため、各国のニーズに合致せず、各国はIFRS for SMEsを採用していない。大企業向けの会計基準を単に簡素化するのは実態に合っていないのではないか。
  • 国際市場と国内市場は、企業活動の「場」が異なる。国際会計基準は、「国際市場」で通用するローカルな基準にすぎない。各国の会計基準は、各国の文化が反映されており、国内企業にはこれが最も適合する。つまり、「場」が異なれば、通用する会計基準も異なるという「場の理論」を踏まえることが必要。
  • 中小企業に対する国際会計基準の影響からの遮断と確定決算主義を維持する必要があるのではないか。また、会計基準の変更に伴い、中小企業を取り巻く取引関係までもが大きく変わってしまうことは問題。
 
 
最終更新日:2010年3月2日
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