経済産業省
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化学ビジョン研究会(平成23年度検討第1回)‐議事要旨

日時:平成23年6月7日(火曜日)10時~12時
場所:経済産業省別館 1120共用会議室

出席者

橘川武郎委員、小林喜光委員、小柳正治委員、榊原定征委員、菅原公一委員、高橋恭平委員、田中稔一委員、土屋隆委員、西村修一委員、小林友二委員(代理)、古河直純委員、水野哲孝委員、吉田淑則委員

議題

  1. 化学ビジョン報告書のフォローアップ
  2. 化学産業の災害の影響と復旧の現状
  3. 化学ビジョン研究会~震災を乗り越え、新たな成長のための化学戦略を構築~

議事概要

(1)部素材のサプライチェーンの強化

  • サプライチェーン維持の方策として、単純に生産拠点を二つに分けるという話は、大きな素材メーカーとしてコスト面からあまりに非現実的。
  • 行政で日本全体の産業連関図を作り上げる作業をやってみてもよいのではないか。それをもって穴の空いているところ、弱いところを整理し、国内で強化するべきもの、海外へ任せるもの、ということを考えてみてはどうか。
  • 柔軟なサプライチェーンを作るのは重要。このためには同業者同士だけではなく、川下の動きを連動させないと実現できない。例えば自動車について言えば、現状、同じ樹脂でもグレードをかなり細かく指定して囲い込みをしているが、基本的なスペックの枠を作って、その中で差別化する余地を残すような形にしておくことで、いざという時に柔軟に対応することが可能となるのではないか。
  • 空洞化対策とリスク対策は、どうしても裏腹になりがちだが、アジアの一員として、ボーダーを超えて考える必要がある。
  • ライバル企業への生産委託については、独禁法の問題があるので、踏み込んだ議論をしておいてもらう必要がある。公取には柔軟に対応してもらいたい。
  • 一年前に報告書をとりまとめた際にも主張したとおり企業間連携、事業連携が重要だが、あまり大きな進展が見られない。経営判断のスピードが重要。
  • 震災によってリスク管理も問われることになり、工場の立地分散をしなくてよいのかという議論が出てくる。この点、コモディティについては、グローバル展開しておけば、いざという時に海外からの供給を確保することができるので、もっとグローバルな企業間連携、事業連携を進めておく必要がある。
  • コンビナート統合について、自家発電は、現状、法人が異なると系統を通じて供給することができない。少なくとも、同じコンビナート内にあるものについては系統をつなぐことができるよう規制を見直すべき。また、ケミカル-ケミカルの連携についても、支援できるよう整備する必要があるのではないか。
  • 化学産業における提携、連携については、公取に柔軟さが足りない。海外勢と戦っているという観点をもっと取り入れてもらう必要がある。
  • 成長分野においてグローバルにシェアの高い企業の連携を後押しして、さらに世界レベルでの企業になるために国が積極的に支援していこうという提案は、独禁法の観点も踏まえれば、かなり踏み込んだもの。是非やってもらいたい。

(2)国内空洞化の懸念への対応

  • 我が国は産業立地競争力が弱い。例えば日本と韓国を比較すると、全てのコスト要素について、日本に対して韓国は4割がけくらい。付加価値が高く日本に競争力のある炭素繊維ですら、韓国で作らざるを得ないほど。法人税減税は当然のこと、TPP等の経済連携協定、新成長戦略など、産業立地の環境を整えるための措置をきっちり進めてもらいたい。
  • TPP、EUとのEPAがたとえ批准されるとしても、まだ3年もかかる。企業が3年もどうやって生き残っていくのか。
  • アジア諸国における立地優遇措置は、土地代、人件費、法人税、研究開発税制なども含めて日本から見ると驚くべきもの。日本もグローバルスタンダードに近づけてほしい。
  • 空洞化は避けるべきだと思うが、既存の産業構造の枠組みの中で避けようとしてはいけない。海外ではコモディティで稼いで、日本で高付加価値品に投じて空洞化を避けるというのが基本路線だろう。
  • 電力供給不安への対策をすぐに講ずるべき。今の枠組みのままだと、原子力発電所の定期検査が明けても地元の知事はすぐには稼働できない状況。新たな安全基準を求めているが、保安院から出るものが必ずしもそれとかみ合っていない。早急にすり合わせするべき。そうしないと電力供給不安から空洞化が進むおそれもある。
  • 原発の問題には危機感を持っている。化学産業は自動車、鉄鋼に次いで産業部門で第3位の電力多消費産業。国のエネルギー政策の影響は大きい。長期的な視点に立った政策を至急示してもらいたい。
  • 原発は早く動かしてもらわないと困る。我々化学企業は自家発があるのでまだ良いが、お客様がどんどん海外に出てしまう。
  • 原発問題については、電力利用制約への影響が大きいため、予想されるケースを早めに企業に示してもらいたい。
  • 人材の流出は甚だしい。知財を持っている希望退職者、60歳以上の退職者が海外に出て行っているのが現実。これは、日本の企業が、彼らの知財を適正に評価、活用していないため。日本に強い化学産業を残すためには、企業が彼らを正当に評価することが必要。また、研究開発拠点を日本の各地に何件か作るというのも一案。そこにリタイアした人材を集積するという方法も、人材流出の歯止めとして有効。
  • 化学産業において問題なのは、知財が有効に機能しておらず、また、人材が流出しているため、他国のキャッチアップにさらされているという点。アジア各国とのハーモナイゼーションについては、よりスピードを上げて是非進めてもらいたい。
  • 震災後、大学でも電力利用制約から装置が思うように動かせず、研究ができないことに加え、学生が暗い場所で研究をしていて元気がなくなってきたのも心配。
  • 海外から来ていた優秀な学生について、帰国命令が出て一旦帰国したあと戻ってきた者もいるが、戻ってこないケースもある。これもある種の人材流出。
  • 地球温暖化対策に関して、2国間クレジットとライフサイクルアナリシス(LCA)は有効。この二つをクロスすると一番の焦点は化学。この点を明確に打ち出しても良いのでは。LCAに関して、9品目の評価を行ったことは大きな進歩。日本発で取り組んでもらいたい。
  • 日本としてアピール力があるのはLCA。国際化学工業協会協議会(ICCA)や日本化学工業協会が頑張っているが、なかなか海外への発信がうまくいっていない。競争力の観点から使えるツールになると思うので、日本のイニシアチブをとってもらいたい。

(3)化学の技術革新を活用した復興による社会構造の変革

  • 日本は科学技術創造立国で行くしかないが、現在、第四期科学技術基本計画が棚上げになっている状況。こういう異常な状態があってはいけない。第四期期間中の国家研究開発投資総額25兆円(対GDP1%)は堅持すべき。
  • 技術立国ということで考えると、技術開発、研究開発にどれだけ資源を投入できるのかが重要。
  • かつて大きなナショプロでやったように、単一のテクノロジーを追うのではなく、まず一つのシステム全体の構築を考え、研究開発を行っていくべきではないだろうか。その中に太陽電池、風力発電、アグロビジネスなどが一つの要素として位置付けられるのだと思う。
  • ナショプロは、産業に近いテーマを掲げてやるべき。例えばバイオリファイナリー、天然由来のポリマー、スマートグリッドなどが考えられる。
  • 今回の震災で、東北の部素材が世界のサプライチェーンの中で極めて重要であることが明らかになっており、東北大学などをベースに、世界レベルの部素材の研究開発拠点を作っても良いのではないか。
  • 化学産業は新しい技術開発をしていかなければならない。東北大学あたりに、産総研よりもっと大規模な世界に通じる研究設備を作ってみてはどうか。
  • 研究開発特区も考える必要がある。国家級の大胆な予算投入をして、海外に対して、力を入れていることをメッセージとして発信していけば、空洞化の歯止めにもなるだろう。
  • 頭脳集団を集めるのも、研究開発特区の一つの使命。また、日本の頭脳を海外に流出させない、仮に出しても我々の海外拠点で活用するということも考えていく必要がある。

(4)その他

  • 昨年、十分に議論した化学ビジョン研究会の提言内容につき、優先度を付け、加速して実行していくことが肝要。
  • 電力の供給に対する見通しに対する意見や、国家プランをしっかり出してもらいたいという意見があった。化学ビジョン研究会の議論の成果を新成長戦略など政府全体の議論に反映していくことが必要。

関連リンク

 
 
最終更新日:2011年6月21日
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