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産業構造審議会情報経済分科会情報サービス・ソフトウェア小委員会(第11回)‐議事録
日時:平成19年4月13日(金曜日)16時~17時30分
場所:経済産業省別館3階346第4特別会議室
高度IT人材育成について
有賀委員
(人材育成WGについては)まず検討の視点としては、5年から10年先ぐらいを見据えた議論にしようということでやっておりまして、現状認識とその展望というようなところにかなり皆さんの御意見を割いていただきまして、ある意味では本委員会と検討のテーマがダブっているところもあるかと思いますが、そこがきちんと認識できていないとまずいということで、結果といたしましては、サービス化ですとか、ユーティリティー化、コミュニティー化、インフラ化など、いろいろな言葉で言われておりますけれども、グローバル化、オフショア化というようなことで、経営とITがより接近してくるとか、経営へITが浸透していくという背景を踏まえ、ではそこを支える高度な人材をどう育成するかというふうな観点で詰めたつもりでございます。
途中いろいろ調査をしていただきました結果、面白いことに、アメリカでも、イギリスでも、インドでも、シンガポールでも、中国でも、向いている方向がみんな同じでした。つまり、先ほどのようなキーワードを踏まえると、高度な人材をいかにきちっと育てて、かつ認証し、認定していくかということをやらないと勝てないということがよく理解できまして、そういう観点から今回の制度の御提案を申し上げております。
今、小川補佐から御話がございましたように、実態を把握して、人材類型を明確化して、それに基づいてスキルフレームワークを共通化していく、共通化されたスキルフレームワークに基づいて試験を行っていくというような形で制度設計をいたしましたけれども、ただ、こういうものは書いただけでは仕方ありませんから、実施を担保する仕組みとしていろいろなものを配慮をしているということでございます。
特にスキルフレームワークと試験という意味で申し上げれば、従来、とかく議論がございました、ペーパー試験のみで本当に実力・スキルなり能力なりが測れるかというところにつきましては結構議論を重ねまして、結果的には、もちろんペーパーテストはやるのでありますが、それに加えて、例えば職歴をきちっと提示していただくとか、本当のプロの方につきましてはプロフェッショナルコミュニティーが、仲間として、本当にこの人はプロだと認定をしていただくような仕組みも併用していくというような制度を考えて御提案しているわけであります。
それからもう1つは、従来であれば、制度がそういう形で、経緯がありますから致し方ないわけですが、試験とスキル標準というものがややもすればマッチングしていない部分もありましたけど、今回はそれをきちっとマッチングさせて、制度としてはいかがかということでございます。
それから、今御話がございましたように、評価への配慮ですとか、グローバル化への対応というようなこともかなり盛り込みまして報告書案ができておりますけれども、昨日のワーキンググループの最後の会合でもいろいろと御意見が出ておりますので、これを反映させまして、できるだけ早い時期に最終案として、もちろん皆様にも御提示いたしますけれども、パブリックコメントに付すという形で世に問うていくというような形を考えております。
もちろん、かなり広範なことを御提案しておりますので、具体的な制度設計をやっていく中でまだまだ詰めなければいけないことが幾つも出てくるかと思いますが、これは機会をみて小委員会等に御意見を御伺いしながらやっていく形になるかと思います。一応、約半年近く使いましたけれども、一定の成果としてまとめ上げたつもりでございますので、是非御討議いただきたいということでございます。よろしく御願いいたします。
鶴保委員
1点だけ申し上げたいのですが、最近、大学で学生の就職の活動を見ていますと、求人の方もソフトウェアサービス産業と、いわゆるエンドユーザー系と、両方あるんですけれども、エンドユーザー系に行きたいという学生が結構ふえておりまして、いろいろな学生のブログを見ておりましても、ソフトウェア産業の問題というか、いろいろな議論が出ていまして、むしろエンドユーザーに行きたい。直接、その会社の重要なソフトウェア、基幹ソフトウェアを自らつくりたいという学生が結構出てきているんですね。
一方で中国とかインドへのアウトソーシングの問題もあるのですけれども、企業の方でもソフトウェアが非常に重要だという認識が出てきておりまして、一旦外に出したソフトウェア会社を内部に取り込むとか、いわゆる内省化の動きというのが出てきておりまして、工程を分割して外に出す動きだけでなくて、設計から製造まで、試験まで一体で取り組むという動きがかなり大きな動きになりつつあるんじゃないかなと思うんですね。そういうことを踏まえて人材の問題を議論しないといけないんじゃないでしょうか。
要するに、つくるということのウェイト、価値観というのが、この資料でももちろん出ていると思うんですけれども、今の若い人は、もちろんコンサル等をやりたいという人もいるんですが、実際に役に立つソフトを直接つくりたいという人材も結構増えてきているような気がしますので、そこも誤解のないようにした方がいいんじゃないかなと考えています。
國井委員
総合的に書かれていて、非常にいいと思うんですけれど、例えばモデルカリキュラムについて、どういうところに適用されていくのか、日本での教育の問題として、何とか情報学科とかいうのはいっぱいあるんですけれど、本当に情報を教えているかというのが問題になるわけですね。学生さんが就職するときはソフトウェア技術者として応募してきていらっしゃるんですけれど、聞いてみると、何とか情報学科といってもコンピューターの基礎はやっていない。これで言うとダブル・メジャーの片方は結構やっているんですけれど、基礎的なところがほとんど抜けているというのが問題だと思うんです。ですから、モデルカリキュラムをきっちりと展開していただく、その先ですね、そこのところが問題になると思うんです。
どこかの大学でも、情報学科がいっぱいありますねと言うと、いや、それ専門でやっているのは実際は1つだけですよとかいう御話があって、是非そういう点も、日本の特殊な状況だと思うので、そこをどう良くしていくかということも中に入れていただければと思います。
山下委員
御提案の中身については特にコメントはないんですけど、施策には、キャッチアップと、先起こしというやつがあると思うんです。経団連の私どもの担当しているやつでも、今、正直に言って大学とか大学院の教育を見直すというのは、グローバルなレベルに追いつくための施策を一生懸命やっているという、キャッチアップの方をとりあえずやっているんですが、先月も経団連さんのミッションで、アイルランドとかフィンランドとか、ドイツの調査団がありまして、そういうのを見た上での感想を言えば、とりあえず施策としては、今日御提案があったこういうようなことも含めて、キャッチアップの方は、実際に中身が埋まるかどうかは別として、埋まってきたということなんですが、本当にアジアの中心なり世界の中心に日本がなろうとすると、これでは中心になれない。キャッチアップするだけがやっとという感じでして、例えば、資料3の10ページなんかに提案もされていますけど、高度IT人材育成機関というようなものは、もうちょっとレベルの高いところ、例えば対象としても、ここで「若手」と書いてあるイメージがどの辺か、よくわかりませんけど、30代の半ばとか、40前後とか、要するに高度な情報システムの研究をきちっとする機関と教育とをあわせ持った、本当にセンター・オブ・エクセレンス、COEといいますか、日本で1つあればいいと思うんですけれど、そういうものをつくって、そこに世界で最も進んだ情報システムの研究と教育、かなりな経験を積んだ人たちが研究者であり、教育を受ける方も。
アメリカで一部、再教育の機関としてCIO大学というのがありますけど、CIO大学の要素ももちろん含まなければいけないんですが、もし日本がアジアの中心になろうとすると、今の施策だけだとキャッチアップだけで終わってしまって、もう一歩先のものが何かないと、なかなか日本は中心になれないんじゃないかなという気がして、その施策は何かと言われると明確には言えないんですけれど、本当に高度な情報システムの研究をするのを、国、産業界が協力してつくらないと、リードできないんじゃないかなという気がしているんですけど。
篠本委員
大変精力的にまとめていただいて、方向性を出していただけたと思って見ていたのでございますが、今後のさらなる展開ということを考えたときに、要するに人材の類型といいますか、こういう形が出てきた。それをいかにビジネスにつなげていくかという観点が必要になるのではないかなという気がしたんですが、人材類型から業務類型へというような形になって、一生懸命人材が育ったけど、それが普通の人間と同じような、人間数幾らでやられるということでは、これはたまらないと思います。
それがビジネス形態の中でどういうふうに、場合によっては最初の方の産業構造・市場の高度化の方に行くのかもしれないんですが、契約形態としてどういうふうにしていくのでしょうか。それが、日本でやったときにはこういうふうにやるよ、例えば一部分をアジアの人を使ったときはこういう契約スキームでやるよというところまで持っていくことによって、日本の中のこのビジネスを大きくしていきましょうというようなところにつなげていくと、人材の育成からビジネスの発展へとつなぎができるのではないかなと御聞きしていまして、人材の育成ということ、イコール、ビジネスへの展開というところまでのつながりが、今後の展開としては是非必要ではないかなという気がいたしまして、少しコメントさせていただきました。
池上委員
今来たばかりで、いろいろの議論をフォローしていないんですけど、私は有賀委員会に出ていましていろいろ議論をしたんですが、今のような問題については一応議論の俎上に上がったような感じがしています。私というか、皆さんの危機感として、大学は何ができるか。企業サイドの方は、ひょっとしたら、もう大学には期待しておりません。そこをどうするかというのが、私自身かつて学長をやっていたこともありますが、そこが一番気になりまして、今年の採用を見ましても、中国で既にIT関係の人材がダブついているという話があって、多分、日本の企業が中国に行って中国人を雇おうとした場合、非常に高いレベルの人も雇えるようになりました。
一方では、会社なんかを見ていますと、30代、40代のトップレベルのIT人材を育てようとすると、むしろ海外の会社の教育機関に預けたい。これはもちろん、例えばインドですと市場にもなるし、ソフトウェアをつくる工場にもなるということもあるんですが、例えばインドの会社に育成を御願いするということが起きている。企業サイドでは、いわゆるオフショアリングというのが教育の分野まで起こりつつある。そういう中で、日本として何をするか。まず大学としてできることは一体何なんだということが、実は私自身心配しております。多くの大学の先生もこの会議に出ていたんですが、非常に戸惑いを感じておられます。
私が申し上げたい1つの解というのは、非常にテンポが早い分野は、大学の教育には馴染まない。例えば10年ぐらい先に大きく育つようなものについては大学は十分対応することができる。ですけど、IT分野というのは大学にとって不得意な分野で、少なくとも企業が言うような、すぐ使えるのを育ててくれといったって、なかなか難しい。
もしそれをやるとすれば、むしろ教える先生に、何を教えたらいいか、あるいはどういう人材を育成してほしいのか、企業サイドが明確に示すことが必要ではないか。私は、教えるという点からしますと大学の先生はプロですので、大学の先生に問題点と、こういう人材を育ててくれ、あるいは教育の技術として、非常に効率よく教えるツール、例えばカーネギーメロンなんかで使っているようなコースウェアをずっと説明をするとか、大学の先生を、ある意味では最新の教え方を含めた支援をするということがかなり具体的じゃないかと考えております。
例えば1週間ぐらいそういうような講習会をやる。大学サイドでは、FD(Faculty Development)というような項目があるわけですが、そういうことをやっていけば、私は大学の先生は十分応えてくれるのではないかと思っております。それは大学だけではできない話であって、大学の先生もプライドがありますから、できませんなんて絶対言いませんので、むしろこちらから御願いするような形でやっていただければ、大学の先生という教えのプロをうまく活用することができるんじゃないかと思っております。
有賀委員
今回、先ほど余り明示的に御話しませんでしたけど、産官学協議会というような形で、どんな人材をどんな形で育てて、どういうふうにやっていこうか。まだ具体的にどなたを集めるか決めておりませんけど、これから是非ともつくりたいという仕掛けを考えておりまして、大学の先生にいろいろ御伺いしますと、産業界の我々側の説明不足というのもかなりありまして、もう少し具体的に、何をどうしたいかということを御話しする必要があるだろうということを非常に強く感じておりますので、そういう場で逐次、情報交換をし、情報共有をし、それを大学の教育に反映すると同時に、産業界側も自分たちのリクワイアメントが何であるかということを明示的に定義する必要もあるだろうということで、そういう場を是非つくるべきだという御話を1つしております。
それからもう1つは、今回明らかにして非常に面白いのは、データとして御覧になればわかるんですが、4ページ目に、これは想定データですから、これが現実の数字かどうかというのはありますけれども、少し数字をいじってみますと、日本じゅうでこの産業に従事している方が、ざっくり100万人弱ぐらいおられまして、日経BPさんの1万人調査等の数字を使いますと、皆さんプロジェクトマネージャーが足りない足りない、確かに足りないんです。7%しかおりませんから。しかも、そのうち高度の割合というのは3割もございませんので、実に2%ぐらいの人がプロジェクトを支えているということがよくわかる。
今回は数値目標は出しておりませんけれども、こういうものを御覧になれば、どこに資源を集中していかなければいけないか、何を育てなければいけないか、明快になるのではないかということで、産業界側も実は、こういう数字を明示的に言って、ここを育てるぞというようなことは余り今までやったことがないわけですから、こういうものをベースに、どこへリソースを集中してやっていくかということを、まさに産官学挙げて協議をしてやっていくべきではないかと思った次第であります。
ついでに申し上げれば、例えば運用マネージメントというところは、人数はいっぱいいるんですが、何と、高度は3%しかいない。サービス化ですとかユーティリティー化という中でこれで本当に商売をやっていけるかどうか、非常に寂しい数字が出ていたりしますので、こういうものをベースに是非議論を展開したいと思っております。
鍛冶情報処理振興課長
二、三補足させていただきますと、國井委員の御指摘の具体的な強化の深掘りみたいな話に関しましては、説明は省かせていただきましたが、5ページ目でございますが、第4章のところで人材類型というのがございまして、その横に小さく、CCISとか、CCSEと書かせていただいております。これ自身が判じ物で恐縮なんですが、実は、アメリカのコンピューター学会がつくりましたコンピューターカリキュラムの統一の5分類評価というのがございまして、例えばコンピューターサイエンスとか、コンピューターエンジニアリングというのがそれぞれの高度IT人材を支える基盤的な知識体系だというふうに、私ども議論をして、一応の結論に達しております。
実は情報処理学会も、軌を一にして、これを日本語のカリキュラムに再編するという作業に今年着手していただいておりますので、これが1つのモデルになるのではないかなということでございます。
それから、篠本委員からございましたビジネスにつなげるというのは、まさにごもっともでございまして、そういう意味で、今回、上昇試験で客観的に評価が可能になるスキルレベルというものを、これは結局は企業、産業界に御活用いただくしかなくて、ということではないかという御議論がございました。
それから、山下委員とか鶴保委員からございました物づくりも含めたセンター・オブ・エクセレンス、そういう意味では、8ページに出てまいります具体的なソフト関係の重要技術、今回少し議論させていただいた、これはかなりの程度SECの方でカバーしている領域でございますし、SECはどちらかというと研究開発ですが、教育するというファンクションを、日本の中でどこかでしっかり持っていかなければいけないというのはまさに山下委員の御指摘のとおりだと思っております。ここは課題だと思っております。
崎詰委員
組込みも、専門職大学院というのが始まったわけですけれども、その中で実践的なことを教えてくれということなんですけれども、我々は産業界から実践を教えるという立場で教壇に立っているわけですけれども、いざ教えるとなると、基本的な、工学的なことが意外と学んでいなかったなということを非常に感じております。先ほど言いましたように、先生が教えられる状態ではない。先生が何を教えるかということを結構やっていかないと成果が出ないんじゃないかということを身をもって体験しましたので、その辺を追求していかなければいけないかなと思っております。以上です。
村上委員長
非常に有意義な議論をしていただきました。人材育成の報告書につきましては、この後、分科会に上げていくというプロセスがございます。本日いろいろな御意見をいただきましたので、それを踏まえて報告書を取りまとめるということで、この小委員会としましては、有賀委員にこの取りまとめを一任させていただければと思いますが、いかがでございましょうか。
〔「異議なし」の声あり〕
モデル取引・契約書について
山下委員
モデル取引・契約書、大変立派なものができていると思うんですが、今後の御願いということで言えば、ここでベンダーとユーザーの役割分担・責任分担を明確化とか、いろいろ書いてありまして、問題は相場感なんですね。これをベースに、これからモデル契約に基づいて皆さんがやられたときに、なるべくそれを集めていただいて、相場、どういうものは誰がやるべきか、これが実はなかなか難しいところでして、6ページのところにユーザーと対等に交渉力のあるなんて書いてありますけど、ユーザーとベンダーで、ベンザーは絶対対等にはなれないわけでありまして、お客様と対等なベンダーというのはほとんどいらっしゃらない。うちなんかとても対等になれなくて、個々のベンダーはなかなか苦しんでいるわけです。
お客様も相場感もわからないし、どの業界にも相場感というのがあると思うんですが、例えば、前のページを見ていましたら、損害賠償なんかもいい例なんですが、16ページの右側に具体的な損害賠償の上限額、瑕疵担保期間云々は、個々の情報システムの特性に応じて定められるものであるため、要するに個別に決めてくれと書いてあるんですが、この中身ですね、こういうものはこういう瑕疵担保だ、1年なのかとか、あるいは損害賠償、例えば国との契約では圧倒的に国が強いです。例えば損害賠償は無制限なんですね。
世の中一般的に、損害賠償というのは大抵契約額を超えない、民間の企業との契約でいうと、契約額を超えないというのが普通入っているんですね。いつも私どもは取締役会でも問題になるんですけど、弁護士から、この契約書は大変リスクが大きい。国の契約書は損害賠償の制限がない。会社として、取締役としてリスクを負えるのかと、毎回のように迫られているんですけど、国は絶対変えてくれないということで、やっぱり、ちょっと不当だと思うんですね。国というユーザーが圧倒的に強過ぎる。変えられないということで、これは1つの例ですけど、モデル契約書に基づいた相場感というのを積み上げていっていただいて、現実的なものにしていくというところに、もっと大きな意味があるんじゃないかと思うんですね。
役割分担を決めろと言われたって、個々の会社が綱引きをしなければいけないというところに大きな課題があるわけでして、枠組みができましたので、その中身を、どういった相場感なのか、この仕事はどちらがやるのが一般的な相場なんだ、あるいは、たまたま権利のところにはちょっと書いていただいて、モジュールの権利は、例えば共通的なものはベンダー側で持った方がいいんじゃないかという御提案をしていただいている。そういうような相場感ですね。それを形成するのが非常に重要じゃないかなと私は思うので、これ自体に文句があるのではなくて、これをベースにそういうものを蓄積していくことを御願いしたいなということでございます。
棚橋委員
中間取りまとめの締めの席上でも同じようなことを申し上げたかもしれませんけど、二、三点申し上げたいと思います。
1つは、発注者と受注者の関わり方、例えば役割分担とか、責任分担、ここがユーザーとベンダーさんの組み合わせで、千差万別と言っていいぐらいの差があることが構造的な問題の背景になっていると思うんですけれども、改革の処方については、受注者である情報サービス産業が改革に自ら取り組むのは当事者として当然なんですけれども、片方でユーザーが同じように取り組まれないと、せっかくのガイドラインなり処方箋が実効性を持たないということになるわけで、情報サービス産業の方は産業団体できちっと会員会社に普及させるとか、そういうことは一昨年ぐらいから私ども自身の問題としても、産構審の小委員会と軌を一にした取り組みをしてきているわけで、そういう意味では、遅速の差はあれ、ベンダー側に普及させるというのはさほど問題はないと思うんですけれども、一方の当事者であられるシステムユーザーの方々にどうこのアウトプットを遡及するかというところが、これからの鍵になってくるのではないでしょうか。それを1点申し上げておきたいと思うんです。
もう1つは非常に各論的なことで、先ほど山下委員がユーザーとベンダーと対等の関係というのはとおっしゃいましたけれども、逆に、ベンダーとユーザーが対等の当事者であれば、余り難しいことは発生しないんだろう。交渉能力があるわけですから。しかし、5ページで整理されている対策はすべて非常にもっともな内容であるわけですけれども、ユーザーの中には、大手だから、中小だからということではなくて、委任契約と請負契約の差すらあいまいな会社もあるわけで、実際には委任契約でやっていても、委任契約であればユーザー側がイニシアチブを持って要件定義等をやるのは当然なわけでありますけれども、そこの仕切りができないという会社も多々あるのが実態だろうと思うんですね。実質的には、委任であっても請負契約的に対応せざるを得ないケースも多々あるわけで、せっかくこういうモデル契約をやっていただくのであれば、当事者能力のある者同士の契約というよりも、あいまいもことしたユーザーとベンダーの関係を解きほぐすようなことも、是非検討していただけたらどうでしょうか。
多分これは契約書で解決するような問題ではなくて、ユーザー企業に対して、要件定義フェーズぐらいまでの間にいかに業務の分析をし、コンサルティングをするかということを、システムベンダーとは別の人が整理をするというようなことが必要なんだろうと思いますし、そういうフェーズだけきちっとアシストを、人的にもベンダー企業からするというようなことをやっていかないと、本質的な解決にならないんだろうと思いますけど、どういうことが正しい解決かわかりませんが、そういう面でも検討していただけたらなと思います。
國井委員
共通モジュール化の推進策等が入って、非常にいいと思います。この分野の、課題というよりは、グローバルな競争力が非常に求められる中、全体のコストパフォーマンスを上げていくためには、モジュール共通化だけではなくて、パッケージの活用というのが非常に重要だと思うんですね。それに関して、中小はかなり使っているんじゃないかと思いますけれど、大手のところでのパッケージ活用の比率なんかについては、海外との比較とか、何かデータはございますか。
鍛冶情報処理振興課長
例えばERPとかSCMなどについて、日米、アジアの比較データというのは、今御手元に御届けしてございませんけれども、ございまして、趨勢的に日本は個別カスタマイズが多いです。これは統計的に出てくる状況となっておりまして、別の勉強の場で、その問題についての検討も進めさせていただいております。
國井委員
そういうストーリーがあれば、何が一体問題なのか、そこを解決する施策も出てくるかと思うんですけれど、その辺は深掘りする必要があるんじゃないかなと思います。
横塚委員
東京海上日動の横塚でございます。ユーザーの立場でモデル取引・契約書について一言コメントを申し上げます。
私たち、これを拝見させていただきまして、ユーザーの立場といたしましては、非常に中立的なモデル取引・契約書になっているということで、大変ありがたいと思っております。先ほど交渉力の問題で、ベンダーの方が低いんだという御話がございましたけれども、従来の契約書の雛形というのはほとんどベンダーさんがつくられた雛形で、100%ベンダーに近い約款になっておりまして、大変私ども困っておりまして、今回、中立的なものをつくっていただきましたので、経済産業省もこういうふうに言っているよということで私どももベンダーに交渉ができるので、大変ありがたいと感じております。ありがとうございました。
篠本委員
今回、モデル契約書がこういう形でまとまりまして、私としては評価しております。ある意味では、こういうひな形ができたということで、是非これを、政府といいますか、官として、検討すると書いてあるんですが、「検討」という文字を外してもらいたい。是非やっていただきたいということであります。
先ほどからいろいろ出ていますように、ユーザーとメーカーは基本的に対等ではないのでありまして、私どもも私どもなりの契約書を御願いしておりますけれども、私どもなりの契約書で契約いただいているのは多分二、三割でありまして、ほとんどが相手様側の契約書でやっているというのが実態でありまして、モデル契約書できちっとやっていくということを、国がきちんとやっていくということで、範を示すといいますか、是非御願いしたい。
今回、特にその中で、先ほど山下委員からも御話がありましたけど、損害賠償の観点に関しましては、一応金額を限度とするという文面が最後に入ったのでありますが、この文章が入ったということでよかったと思うんですが、それを実態あるものにしていかないといけないということになりますので、どういう形で具体的にやっていくか、そういう意味でも国が範を示していただけたらということであります。
もう1点は信頼性関連の評価指標の話でありまして、この文面で少し気になっていますのは、セルフチェックあるいは相互チェックと書かれていまして、信頼性指標ができまして大変いいことなんでありますけど、もうちょっと第三者評価的にできないものでしょうか。もう一歩、次のステップでありますが、まずはセルフチェックあるいは相互チェックということで、これはこれでいいことだと思っております。ただ、次の段階に行ったときには、みんなできちっと共有できる仕掛けといいますか、そういうところまで含めた展開というのが必要なのではないでしょうか。それは今後の検討課題だと思いますが、以上、コメントであります。
鶴保委員
先ほど指摘がありました信頼性指標ですけれども、今日経済産業省のホームページにアップされております。それから、これを受けましてIPAの方で、この指標を、今の御指摘のように具体化するという作業を開始します。それで、今日アップします要旨に従ってアンケートを出しますので、それに答えていただく。それを統計分析する。システムを分類して、それごとのアンケート結果について集計する。それから、最後にシステム化して、最終的にエンドユーザーさんがアンケートに答えていただくと、統計処理の中の位置づけを示すというようなことを考えておりまして、今月中にそれを公募したいと考えておりますので、是非IPAのホームページをごらんいただいて、御興味があれば公募に応募していただきたいと考えております。
イノベーションの促進について
有賀委員
資料2の3ページの絵があるわけですが、今までいろいろな議論を皆様おやりになっているわけですが、基本的に、まだカスタムメードのDNAというのがものすごく色濃くあると思うんですね。日本の場合は。ところが実際には、別にはやり言葉をはやらせるつもりもないわけですけれども、ユーティリティー化とかサービス化の動きというのが静かに、しかし確実に進行していて、お互いにモデル契約書をつくってカスタムメードするなんていうことがなくなってしまったらモデル契約書も要らなくなるというような感じでありますから、この辺は相当きちっとウォッチしていって、かつ、別にここで日の丸SaaSをつくってほしいとは言いませんけれども、何らかの手だてで対抗しないと、ここに書いてありませんけれども、グーグルだってアプリケーションをこういう形で出そうとしていますし、例えばサンガードなんていうのは、パッケージだけでも何百も買いそろえて、それをSaaS化しようとしているとか、全部その方向を向いているわけですね。
そこら辺のところは、我々業者側もそうですけど、コンピューターベンダーさんもそうですけれども、ユーザーさんも含めて、きちっと再認識して、5年後ぐらいの姿を見ながらやっていかないと、例えば今、ERPの世界では、気がついたら2つ、3つしか残っていないわけですよ。日本のベンダーで対抗できておられる方はそんなにたくさんないわけで、3ページの絵が先に行きますと、気がつくとみんなユーティリティー化されて、サーバーが全部アメリカにあった。日本になくても、アメリカのサーバーでやってもいいんですけど、そういうことにならないように、かなり見識とか意識を高く持っておかないとまずいかなと私は感じているわけです。
鈴木委員
話がちょっと戻ってしまうかもわかりませんが、資料1の契約書ですが、大変短期間で、かなり整合性の高いものをまとめてあるなという感じがしております。先ほどの委員の御意見の中で、どちらが交渉力があるかという話がございましたけど、形としてはかなりこれで均等になったように、私の感触からすると見えるんですが、先ほど山下委員もおっしゃられたように、個別の問題が結局は何かを制してくるということになって、今回、ユーザーを代表してという方もおられる中でこういう議論が進んできておりますけれども、ベンダーとしてユーザーがどうあってほしいということを主体としたトーンになっているような印象もございますので、幾つかの施策、取引の問題ばかりでなく、例えば仕様の変更をどこまで許すかとか、そういったことについても、もちろん早期の段階で確定できればそれに越したことはないわけですが、それができない事情が起こったりして紛争の種になったりしているというのが実態ではないかという気もしますので、その辺に対して実効あるやり方をするにはどうしたらいいのか、これが適切でないということではないわけですが、1つの枠組みができましたので、さらにそれを詰める意味では、その辺をどうするかというのが次の課題としてはあるのではないかという気がします。
それには、山下さんもおっしゃられましたけど、ユーザーがその立場で、自らこういうことだと言うような場を設けることが必要ではないかなという感じがしまして、これを個別にやるのは国の仕事ではないと思うんですが、そういうことができるような仕組みというか、仕掛けというか、そういうものをどこかで御用意いただくことが大事なことになるのではないだろうかというような印象を持ちました。
それからもう1つ、資料1だったと思うんですが、幾つか今後の課題になっているのがございます。例えば、一応標準的なウォーターフォールでつくられたスタイルをベースにしたモデルをつくっておられるわけですけど、その他のバリエーションについてどうするか、この辺の検討についても、できれば今後の検討のスケジュールというか、見通しみたいなものも最終的な資料の中には載せられるようにしていけるとよろしいかな。別のことですけど、感じた次第です。以上です。
藤元委員
先ほどの有賀委員の意見に近い話なんですけど、やはり維新で、イノベーションなので、カスタマイズでつくられたシステム、もちろんパッケージをつくっていくというのも1つの流れですが、もう1つは社会プラットフォームというのがあるのかなと思っていまして、各業界でどういうプラットフォームがあるべきかというところで、まず業界のリーディングカンパニーがつくっているシステムの一部をなるべく外にプラットフォーム化して切り出していけるような枠組みが、ユーザーの企業も、それをつくっているベンダーにも、何かモチベーションなりインセンティブで、自分たちの中だけで完結するより、非競争分野は業界のプラットフォームに切り出していった方がいいよねというモチベーションを持つような仕組みが欲しいと思います。
それがパッケージソフトになればそれでもいいんですけど、これからの流れとしては、SaaS的なるものをベースとしたような社会プラットフォームになっていくんだとすると、それを促していくようなものは経済産業省でないと、インセンティブなりモチベーションをつくっていく立場としてはあるのかなと思うので、今後の日本の競争力なんかを考えるときにも、相当のIT投資をしている人たちと、それを請け負って、見えないところで高度なシステムをつくっている人たちのものを、非競争分野でとにかく見える化して、なるべく新しい情報システムとしての社会資本として、社会プラットフォームとして使っていけるような、その策が次には必要なのではなかと思います。
それは契約的な話でも、最初の段階で共同ビジネスなり、お互いが一緒にビジネスをできるということが反映できるような契約というのが、今までは契約そのものがあれだったので、まずはちゃんとした契約書が必要なんですけど、その次には一緒に儲けましょうという話も出てくるのでしょう。そういう意味では、こちら側の話とこちらの話は多分つながるというか、という気はしていまして、是非イノベーションという意味では、その方向性が少しでも出せればいいのかなと思っております。
