経済産業省
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産業構造審議会環境部会地球環境小委員会政策手法ワーキンググループ検討タスクフォース(第1回)-議事要旨

日時:平成22年8月6日(金)17:00~18:30
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

出席者

委員
寺島座長(日本総合研究所理事長、三井物産戦略研究所会長)、秋元委員(RITEシステム研究グループリーダー)、上妻委員(上智大学経済学部教授)、前田委員(京都大学大学院エネルギー科学研究科准教授)、山口委員(東京大学先端科学技術研究センター特任教授)、山本隆司委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、米倉委員(一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
経済産業省
菅原産業技術環境局長、西本大臣官房審議官、広瀬環境政策課長、浜辺大臣官房参事官、西脇大臣官房企画官、定光エネ庁戦略企画室長

議題

  1. 各政策手法の特性等について
  2. 検討タスクフォースの当面の進め方について
  3. その他

議事概要

事務方より、資料につき説明。
委員からの意見の概要は以下の通り。

  • どういう技術が導入できるのか、活用できるのか等の観点から、政策手法の組み合わせを考えていく上で、「時間軸」は重要な概念。
  • また、「限界削減費用」も重要な概念。限界削減費用は、国によって異なるため、国によって、政策手法の組み合わせも異なってくる。排出量取引は、既存技術の導入といった費用の低い対策には向いているが、費用の高い対策には技術開発を促し、投資を促進していく別の施策が必要。
  • 排出量取引制度は目標の設定の仕方が重要。国全体の削減目標の総量に引きずられて、トップダウンで過度な目標設定を、排出量取引制度の対象となる分野(製造業の生産プロセス等)に対して行うと、我が国としての中長期まで視野に入れた、総合的な温暖化対策上、歪みが生じることになる。トップダウンでの過度な目標設定は、短期での削減目標達成だけは、排出上限を規制する排出量取引制度の性格上、達成できても、製造業の生産プロセス等に過度の影響を与え、結果、生産現場の海外移転等、我が国経済にダメージを与え、長期の削減ができないことになる。
  • 目標の設定は、製造業の生産プロセスにどのような技術が導入可能かをよくみて、現実的に可能なことを積み上げる、ボトムアップで決めていくべきである。
  • また、総量目標の方が原単位目標よりも厳しいという指摘があるが、そんなことはない。むしろ原単位目標では確実に技術を導入し削減をしなければならず、その意味で環境と経済とを両立させる、有効な方式と言える。
  • 環境税を考えるときには、すでにかかっているエネルギー税との関係を考えるべき。
  • 温暖化対策は、これだけ、という二分論ではなく、我が国の特長を見つつ、いくつもの政策手法をバランス良く取り組んでいくものでなくてはならない。
  • イノベーションの観点から述べると、今ある日本の優れた環境エネルギー技術を海外に売り、利益を上げ、更に世界全体でのCO2削減も稼いだ上で、利益を原資にして、次の技術開発、イノベーションを行っていくというのが、我が国の成長戦略上も大事ではないか。
  • その意味で、イノベーション政策も重要。かつて80年代に取り組んだ、ナショナルプロジェクトのような、産学官・オールジャパンで、研究開発で協調するところは協調し、製品化、システム化で競争するところは競争するという、国も関与した競争と協調をバランスさせた産業政策が改めて大事ではないか。
  • また、国の関与という意味では、こうした我が国の技術の売り込みについても、国がしっかりと関与して、推進できる仕組みを構築していくべきではないか。
  • 日本が温暖化対策で何を目指すのか、ということを明らかにするべき。温暖化問題が地球規模の問題であることを考えれば、日本が目指すべきは、日本の技術で世界全体の排出を減らすことではないか。
  • また、日米欧で、産業構造、社会構造に違いがあり、日本は日本で、自国にあった政策手法の組み合わせをとっていくべきではないか。
  • 日本は米国や欧州等と違って政府と産業界の情報共有がなされ、信頼関係がより形成されており、産業界による自主的な取組、産業界と政府との協定とが、よりうまく働く土壌がある。これは政策を入れる際に重要な要素。
  • 政策は、導入コストについて考えることも大事であり、大がかりな制度を新たに導入することは、コスト面からも慎重に検討する必要がある。
  • 政策対象について述べる場合、対象となる主体を並べた上でどのような政策がありうるかを考えた方がわかりやすい。
  • 総量規制と原単位規制を比較した場合、実は総量規制の方が、景気が悪くなれば達成できるので、楽な目標。
  • どのような政策であってもその厳しさによって効果は変わってくる。
  • 政策を入れるにあたって一番大事なのは公平性。公平でなければ結局実現することができない。排出量取引制度は、排出枠の設定の難しさ等、公平性の確保が難しい制度。
  • 政策の評価にあたっては、うまくいっていないものをきちんと評価することも重要。
  • 日本にはカーボンマネジメントの考え方がまだ根付いていない。これまでの環境マネジメントでは事業所内の削減だけに留まっていたが、サプライチェーンも含めたカーボンマネジメントをするということに対する支援体制が無く、今後進めていかなければいけない。
  • カーボンフットプリントについてはヨーロッパでは、否定的な評価がある。CO2のみを表示するため、トレードオフがある場合にもう片方の部分が見えないという点や、基準値が無いため比較ができず、どう行動すればよいかわからないといった点について考える必要がある。
  • 政策手法について、各主体がどのくらい負担をすることになるかについて、定量的に、また、時間軸で示せるとよい。どこかの部門だけが負担をするというのではいけない。
  • 温暖化対策を考えていく上で、時間軸は重要。
  • 時間軸において、大切なことは、環境エネルギー政策が、中長期で持続していくといった見通しがきちんとあることではないか。
  • 産業政策で、何かを達成するためには選択が必要であり、公平であればよいということではないのではないか。
  • 他方で、排出枠の割当等における意味での公平性は、制度の実現性、持続性からは重要。
  • これまでのワーキンググループやタスクフォースでの議論を踏まえると、トップダウン型の排出量取引を入れるか入れないかという単純なことではなく、限界削減コストも含め、我が国の産業構造、社会構造に合わせた温暖化対策を全体のポリシーミックスで考えていく必要があるということだと考える。
  • すなわち、ただ海外のある制度を導入するということではなく、日本独自の仕組み、ポリシーミックスを打ち出していくことが重要。
  • それが日本の持つ産業構造、社会構造、強みといった中で、排出量削減という環境政策と、年率実質2%成長という新成長戦略とを両立させていくことになる。
  • そのためには、日本の優れた環境エネルギー技術のアジアへの輸出等による、世界規模でのCO2削減を視野に入れた、セクター別アプローチ等が改めて重要ではないか。そのため、アジア、特にASEAN、インドとの関係を改めて戦略的に考えていく必要があるのではないか。
  • ポリシーミックスの中で、排出量取引制度について言えば、我が国では、排出量取引制度が対象とする製造業の生産プロセスについては、これまで自主行動計画でCO2排出削減は、最新の設備導入等により、限界までやってきている。ここにトップダウン型の目標設定の排出量取引制度で、更に負担をかけていくということではなく、英国のような税でインセンティブをつけつつ、導入可能な技術余地をよく見た、現実的なボトムアップ型の制度が日本でやりうるギリギリの線かもしれない。
  • 重要なことは3点あり、一つはそれぞれの手法において誰が負担を決めるかということ。例えば、税であれば法律なので国会だが、排出枠の割り当てであれば政省令なので行政が決めることになる。
  • 2つ目は誰が負担をすることになるのかということ。それぞれの政策において誰がどれだけ負担をするかということについては明らかにすべき。
  • 3つ目は、まさに最近がそうであったように、経済等の状況が変わった時に柔軟に対応できる制度かどうかということ。制度変更にどのようなコストがかかるかということ。
  • 日本の環境エネルギー技術、効率は世界最高の水準にあり、それに見合った政策手法、政策手法の組み合わせが必要。
  • 産業のこれまでの取組や限界削減コストをよく見ずに、国全体としての総量目標から、目標を設定する、いわゆるEU型の排出量取引制度は、設備・技術導入余地がまだあちこちにある欧州の産業構造では有効となる可能性はあっても、対策が進んだ我が国では、粗い政策手法で有効ではないのではないか。
  • 我が国で導入するとしたら、導入可能技術を産業毎によく見たボトムアップ型の目標設定ではないか。
  • その上で、我が国では環境エネルギー技術のレベル、導入が世界最高水準にある我が国では、最先端の技術をどう維持し、また、それをどう世界規模でのCO2削減に役立てていくかということが、我が国の立ち位置からは重要なことではないか。
  • 成長するためには労働力と資本と生産性が重要であるが、生産性、つまり技術が今後の日本には経済成長の面でも、環境の面でも重要。
  • また、コペンハーゲン合意後の世界の流れは、トップダウンで目標を設定していくのではなく、各国ができることをやっていく、という方向へと変わってきている。
  • なお、温暖化対策の議論において国際的に抜けている論点は「適応」である。例えば、温暖化で島が沈んでしまう場合にも、堤防を作ることである程度状況に適応できる場合がある。中国が排出量を増やす中において日本だけ国内で削減しても仕方がなく、そうした世界の状況にどう適応していくのかということは考える必要がある。
  • 家庭部門での排出を減らすための消費行動の変化には小売業界等の協力が必要。
  • 排出量取引を考える上で、公平性は大事。そして、その公平性というのは立場を入れ替えてもお互いが納得するのかということではないか。
  • 排出枠の割当における公平性とは、割当をした後に、お互いに立場を置き換えても問題がない状態、すなわち、取引が起こらない状態のことではないか。排出量取引制度、すなわちキャップ&トレードでは、トレード(取引)を生じさせることに意味があるのではなく、公平なキャップ(割当)に意味があるのではないか。
  • 本日は初回ということでブレーン・ストーミングだったが、良い議論ができた。資料も大分充実してきている中において、今後どこに収斂させていくか、うまく集約させていくこととしたい。

問い合わせ先

経済産業省産業技術環境局環境経済室
電話:03-3501-1679
FAX:03-3501-7697

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最終更新日:2010年8月11日
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