経済産業省
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デジタル・ネットワーク社会における出版物の利用活用の推進に関する懇談会 出版物の利活用の在り方に関するワーキンググループ(第4回)‐議事要旨

日時:平成22年5月27日(木曜日) 13時30分~15時30分
場所:経済産業省 本館17階 第4共用会議室

出席者(敬称略)

池田 政寛、牛口 順二、大橋 信夫(大川構成員代理)、加藤 嘉則、喜多埜裕明、里中満智子、渋谷 達紀、杉本 重雄、田中 久徳、徳田 英幸、楡 周平、服部 達也、広瀬 英治(村山構成員代理)、船本 道子(星名構成員代理)、細島 三喜、村瀬 拓男、矢田 泰規(青木構成員代理)

議事概要

1. 資料利4-1 「利活用ワーキングチームにおける論点整理」に基づき、議論を行った。

  • (ア)「1.利活用の基本的考え方について」、主に以下のやりとりがあった。
    • 電子書籍の流通において、資本力がある大手だけが参加できる仕組みは望ましくない。力関係で差別されることなく参加できる仕組みが、「出版文化」という言葉と結びつくのではないか。
    • 中小出版社や無名な著作者にとっては、電子出版になった場合に有利になるのかそれとも不利になるのか。
    • 現在、個々の著作者が文章や写真などを自分でホームページ等にアップすることが自由にでき、著作物の発表の機会という点では、オープンな状況。
    • 今回論点となっているのは出版物の利活用という考え方であることから、商業マーケットにおいてどれだけの参加が可能かについて論じられるべき。議論すべきターゲットとしての出版文化を絞らないと議論が拡散する。
    • 良質のコンテンツが引き続き生まれるという文化が、「豊かな出版文化」であると考える。そのためには、つくり手側に利益が還元される仕組みがなければならない。
    • 紙の出版物は様々な制約があり、多くのものが数年で利用が困難になるが、デジタル化により大部分が解決する可能性がある。プラスの部分を積極的に捉えて、活用する仕組みを検討するべき。
    • 今までの出版市場が形成されるに当たり、書店が果たした役割というのは非常に大きい。書店があることで、読者がコンテンツと触れ合い、市場が大きくなったということは疑いのないこと。
    • デジタルに置き換えるということだけで進むと、どこかの分岐点を過ぎて、書店が急激に減少してしまうことが考えられる。
    • 消費者にとって、書店での発見、デジタルで検索して手に入れるというこの2つを併存させる環境が、「豊かな出版文化」、ないしは知の再生産のサイクルをつくるという点で重要なことではないか。
    • つくり手側が栄えることで、利用者の生活が豊かになる、あるいは知的生活が豊かになるといった視点も加えた方がよい。
    • 文字文化に親しませる機会を与えるという視点も必要。
    • これまで、フローのものは市場で、ストックになりアーカイブされたものは専ら図書館でという合理的なすみ分けが概ねあった。
    • 仮に市場が縮小するとしたら、図書館との関係の問題ではなく、新たに生じるであろうデジタル市場についての問題である。この部分を分けて考えないと議論が混乱する。
    • デジタル化されることで、生活者側にとっては、コンテンツに触れる機会や購入する場が増える。紙と電子のハイブリッド型の環境をどのような形で制度的、技術的にサポートしていけるかが重用な視点である。
  • (イ)「2.デジタル・ネットワーク社会におけるレントの所在とビジネスモデルについて」、主に以下のやりとりがあった。
    • 公共サービスが商業に影響を与えてはならないことを前提として、図書館に蓄積されたデータの検索について、ある部分は共通検索を可能にする仕組みであれば、商業的な利用の基盤にもなる。
    • 書誌データについて、書店系のものと図書館系のものを統合できれば、様々なコンテンツへのアクセス性が良くなるという議論がある。これは、書誌データ、あるいはそれに類するメタデータの流通性を高めていくことと関連する。
    • 一般の方たちが検索するに当たっての弊害は、技術的には大部分解決している。むしろ、どこまで検索していいかの許諾の範囲の話である。
    • 全文検索が技術的に可能であることを前提に、現状の関係者の利益を最大限損なわないように、また、社会全体がプラスになる規制ないしは制限をどのようにかけるかという議論が必要。
    • 商業出版活動における様々な流通用データが過去の蓄積用データとどのようにシームレスにつながるかという議論は、技術ワーキングチームに求めたいところ。それを前提に、現実の商業プレーヤーがどの基準に従えばいいかを明らかすることが利活用のワーキンググループにおいては重要。
    • デジタル時代には、公共における利用数が分かるため、著作権者や版元としては期待する向きもある。日本の公共のために著作者、版元は我慢すべきであるという積み残された問題については、もう一度検討し、その上で議論の構築ができればよい。
    • デジタル時代に、どう利活用するかについては社会全体が豊かになる形で話し合っていければよい。著作物を生み出す力を壊すことにならないように、慎重に検討いただきたい。
    • 紙の図書館よりもデジタルの図書館のほうが信頼できる。将来的なことを考え、慎重に、かつ紙の時代にはなし得なかった明確な処理を目指していければいいと期待している。
    • ブリティッシュライブラリのサービスのデモでは、検索内容が出てきたときに、画面の端に企業の広告ページが出て、この書籍をこの価格で売っているということが分かる。
    • 図書館の貸し出し傾向として、ストックよりも、フローを利用する方が多い。出版社、著者にとっての当面の収益の回収期間にあるものは貸し出しを猶予いただきたい。
    • 電子の世界においては、様々なものをその場ですべて処理できる環境になるため、使い方のルールというのは極めて重要。
    • 図書館に納本されたデータを販売することは必ずしも簡単ではない。仮に、つくり込みをしなくて済む汎用的なフォーマットがあれば、長期間寿命を保ち、再利用するのは十分可能性がある。
    • 利用者としては、少々クオリティが落ちても問題ないというケースもあり、一様に全てのことを議論するのは困難。
    • 国会図書館でデジタル化されたデジタルデータについては、現行においても、国に一定のお金を支払い、商業利用することは可能。ただし、もちろん、権利的にすべてクリアしていることが前提。
    • 我が国において電子書籍産業が根づくかについては、どれだけの量のコンテンツ群が形成されるかにかかっている。利活用の促進という視点を強く押し出すのであれば、我が国でも早急にコンテンツ群の整備が必要。
    • 作家がiPad向けにコンテンツをリリースすることが決まっている事例があるが、条件が整えば書き手は出ていくという一つのあらわれである。自分の作品が公開され、評価を受ける環境が整えば、そこへ出て行くという流れができる。
    • 現実に日本でも存在しているフォーマットは幾つかあり、それが収斂しようとしつつある中で、これまで蓄積されたコンテンツの利用がどうなるかわからない状況が存在していることを認識いただく必要がある。
    • 今、日本で根づいているフォーマットがあれば、そのビューワーをフリーで出せばいいのではないか。
    • フリーのビューワーに関しては、フォーマットの問題ではなく、DRMの問題。フリーフォーマットという形で喧伝されているフォーマットであっても、電子書籍の商業配信に使われる場合には、DRMがかかるため、実際の電子書籍データを解釈して表示するためには、フリーでビューワーをオープンな環境のものでつくれるわけはない。
    • 一般に図書館を利用している人は、作家の方が捉えている図書館の問題を知らないと思う。また電子でも同じことが起こると思うので、対応方法を考えなければならない。
    • 現在、ほとんどの本屋ではマンガの立ち読みが出来ないが、電子出版になると、例えば最初の数ページが試し読みでき、販売にとってプラスの方向に働く可能性がある。
    • 電子出版になることで、販売の仕方も大分変わると思うが、消費者にとってより選びやすくなり、本への興味が湧くというのも起こっていくと思う。
    • ある特定のフォーマットが、50年後、あるいは100年後に使える保証は全くなく、加えて、ユーザーインタフェースというのは当然変わる。何を保存すれば良いかは、100年後の利用者のための利用性まで考えることが必要。
  • (ウ)「3.デジタル・ネットワーク社会における出版物の再生産のあり方について」の「(1)権利の集中管理の在り方について」、主に以下のやりとりがあった。
    • 出版物の流通という観点においては、集中管理は要らないのではないか。出版物をつくったところが大元のクリエイターまで含めて権利処理をしていれば、ワンストップで処理が可能。
    • 出版物ではない著作物、また、100年前に出版された本などについて、何らかのデータベースをつくるという観点においては、集中機構は重要であり、これは出版社が代替できない役割である。
    • 集中管理というのは、一体何を集中管理するのかということと、何をターゲットとして管理するのかという2つの視点で整理する必要がある。
    • 過去の出版資源の利用にあたっての問題と、これから電子の時代のビジネスモデルの中でどのような形の権利のあり方が必要かという話は区別して考えたほうがいい。
    • 現実には、著作権法の裁定制度も使いやすくなっており、また、出版物の場合は著作権者が少ない。そのため、集中管理をしないとデジタル・ネットワーク化社会における出版物の再生産が難しいということが実感としてわからない。
    • 各業界が努力して、検索あるいは権利者へ連絡が可能となるようなポータルサイトの構築は急がなければいけない。
    • 出版社が著作隣接権等を持つといった権利付与に関しては、出版物には個々の事情があるので、難しいと考える。
    • 出版社との関わりは、各々の作家で異なる。権利をどこかに預けるということに対する考え方も異なるため、権利の一括管理は極めて難しいのが現状。

問い合わせ先

経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課)
TEL:03-3501-9537

 
 
最終更新日:2010年8月8日
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