経済産業省
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産業構造審議会消費経済部会特定商取引小委員会(第3回)‐議事要旨

日時:平成19年4月26日(木曜日)10時~12時
場所:経済産業省本館17階西6第1特別会議室

出席者

青山(直)委員、青山(理)委員、阿部委員、池本委員、伊藤委員、大岡委員、大河内委員、長見委員、木村委員、高芝委員、坪田委員、富田委員、野原委員、松本委員、丸山委員、宮川委員、村委員、山本委員
全20名中18名出席

議題

  1. 訪問販売を中心とした高齢者被害対策について
  2. インターネット取引を中心とした通信販売の課題について

主要な意見

1.訪問販売を中心とした高齢者被害対策について

  • 全国の中小事業者約200社に対するアンケートによれば、約6割の事業者が何らかの形で訪問販売を行っており、支払方法についてはほとんどが現金であるとの回答を得た。また、不招請勧誘禁止については、個別的拒絶者勧誘の禁止について約75%の事業者がやむを得ない規制との回答であった。一方で、招請勧誘以外の禁止については、半数以上が営業に支障が生じるとの回答であった。
    悪質なものを規制するのは賛成だが、適正に販売行為を行っている一般の販売事業者にまで過度な規制が及ばないようにして頂きたい。
  • 参入規制の導入や不招請勧誘に対する規制等、訪問販売全体に及ぶ内容が掲げられているが、これらは訪問販売をどう規制するかという切り口で議論する方がよく、高齢者被害対策という課題設定に直ちにはなじまないのではないか。
    また、高額被害は個品割賦購入あっせんによって生じており、この問題への対策は割賦販売法の検討課題とするべきではないか。
  • 個品割賦購入あっせんによる訪問販売への参入規制には賛成である。
    日本訪問販売協会としても、会員の管理を強化することを考えており、入会審査の厳格化、販売員教育の強化、消費者苦情相談対応の強化等の取組を検討中である。
  • 事業者は、適正な商行為を行わない限り地域から排除されることとなる。適正な商行為を行っている限り、悪質事業者に対する対策が講じられても、何ら障害はないのではないか。
    規制は最小限であることが望ましいが、悪質商法による消費者被害の現状にかんがみれば、特定商取引法の改善は行わなければならない。参入規制は是非導入すべきであり、個品割賦購入あっせん契約絡みの訪問販売の問題が非常に多いことから、この組み合わせに対する規制が必要ではないか。なおその際、特定商取引法と割賦販売法の双方できちんと規制をするというスタンスを合意する必要がある。
  • 参入規制については、中途半端な形式的なものであれば、悪質事業者にお墨付きを与えるようなことになってしまうのではないかという懸念がある。参入規制を導入するのであれば、実効性あるものにするための制度設計を考える必要がある。
    また、この参入規制が、本来自ら加盟店を管理し、悪質事業者を排除する責任を負う信販事業者にとって、それを避けるためのお墨付きを与えることになってしまうのではないかという懸念もある。信販事業者の民事的責任の導入を大前提とした上で、この参入規制についての検討を進めていくべき。
  • 特定商取引法への参入規制をする際、日本の法体系の中での位置づけを念頭において議論をする必要がある。特定商取引法は、消費者問題に切り込む先兵であり、また、プラグマティズムの極致のような法律である。実際にニーズがあり、課題解決に有用なのであれば、参入規制も導入するべきではないか。
    単に訪問販売自体に参入規制をかけるというのは後進国的な発想であり、実施可能性もない。割賦販売法における個品割賦購入あっせんに対する規制とリンクさせた規制として、これを扱う訪問販売事業者等に登録制等を導入することは理屈として成り立つ。その上で、割賦販売法と特定商取引法の役割分担をどうするかについては、技術的な問題として検討すればよいのではないか。
    登録制度の実効性については、事後的な監督によってどう管理を行うか、また、未登録業者に対する消費者の選択の力学がどう働くかもポイントとなるのではないか。
    不招請勧誘については、すでに電話勧誘やインターネット取引においても、個別的拒絶者勧誘の禁止があり、また、諸外国の立法例も考えれば、そこまで踏み込むのが特定商取引法というものではないか。
    第9条の2については、一般法で検討するべき問題であると考えるが、一般法の議論が十分に進捗していない現状においては、一般法の議論を阻害しない限りにおいて、特定商取引法において、先行的な法整備がなされること自体は評価ができるのではないか。
    立証責任の転換の問題については、真偽不明の際の挙証責任を規定するという方向ではなく、事案解明義務を尽くさない際の制裁として検討すべきと考えるが、民事訴訟法においても工夫がなされている分野であり、特定商取引法で規定するのは困難ではないか。また、相談の現場で使いやすい法律にという議論もあるが、立証責任の問題は裁判所の場におけるものとして議論をするべきではないか。
    展示会商法や呼び出し監禁商法等への対応については、工夫をして検討を進めるべきである。
  • 消費者保護の観点からは、訪問販売に係る参入規制は出来るだけ強化していくべきである。信販会社による自主的な加盟店管理は、これまでうまくいかなかったこともあり、割賦販売法のみではなく、特定商取引法の分野でも参入規制の検討を行うべきではないか。
  • 個品割賦購入あっせんによる訪問販売の参入規制というのは、一つの選択肢となると考える。一方で、要件が形式的なものであれば、悪質業者が参入要件をクリアする可能性もあり、結局はインサイダー、アウトサイダー問題が残ることとなる。要件の中に、消費者志向、経営マインドまで含めるのは難しいかもしれないが、訪問販売を的確に遂行する体制の有無等を要件とする考えもあるのではないか。
    訪問販売にも様々な取引態様があり、訪問販売一般に不招請勧誘の規制をかけるのはなじまないのではないか。
    第9条の2への適合性原則関連部分については、基準を一律に定立するのは困難であり、個別のケースに応じて、損害賠償等で対応していくことも考えられるのではないか。
  • 自治体に寄せられた相談件数を見ると、その大半は個品割賦購入あっせんに関するものであり、そのうちの過半は訪問販売に関する相談である。また、認知症の方や、高齢者の相談は着実に増え続けている。
    訪問販売そのものは、消費者にとっても便利な面もあり、安心して利用できるよう悪質事業者を排除していくべきである。割賦販売法において信販会社に属する加盟店管理責任を明確化することを前提に、特定商取引法で、個品割賦購入あっせんを利用する訪問販売業者に対する登録制を積極的に考えていく必要があるのではないか。
    また、違反事業者の取締強化が必要である。悪質な訪問による高齢者への被害は、生活の基盤が侵害される深刻なものであり、刑罰による保護の必要性も極めて高いため、特定商取引法における法定刑の上限を2年から5年程度への引き上げることについても検討を行うべきではないか。
  • 個品割賦というのは参入規制というより、そもそもつけてはいけないのかとも考える。仮に参入規制をするとしても、悪質な訪問販売業者が次から次に、会社を変えることも考えられるため、こうしたことが起きないようにするとともに、会社の代表者による返金責任等も検討されうるのではないか。
    個別的拒絶者勧誘の禁止は、当然に行うべきである。消費者が望んで取引をしているわけではないことを考えると、後から問題が生じる可能性が高い。例えば、その場で契約せずに書面だけもらい、後日書面で承諾の通知をするといった在り方も考えられるのではないか。被害者の事後救済だけでなく、高齢者が増加する中、被害の未然防止に資するようなルールを検討するべきではないか。
    第9条の2について、判断力不足による取消は是非加えるべきである。
  • 個品割賦購入あっせんによる訪問販売の参入規制はあくまで第一歩であり、これをもって、信販会社の加盟店管理責任を免除するという議論であってはならない。信販会社の加盟店管理強化は併せて進める必要がある。
    不招請勧誘規制については、都道府県の条例で定める例が出てきており、また国民生活センターの報告書も出されている。特定商取引法においても検討を行うべき。
  • 勧誘規制については、個別的拒絶者に対する禁止の検討は是非行うべき。事業者の営業活動の自由を制約するという論点については、一方で消費者の生活の平穏が侵害される人格権侵害の側面をふまえ、両者のバランスを考えつつ、一定の規制を検討できるのではないか。
    第9条の2については、何らかの民事ルールが必要なのが現状ではあるが、民法、消費者契約法との整理や、本来消費者契約法で行うべきことを先行するのかどうかということについて、自覚的に検討を行うべきではないか。
  • 訪問販売においては、借金や分割払いでものを売るということ自体に問題性がある。訪問販売全体に参入規制をかけるというのは、行政コストや実効性の面から難しいとしても、個品割賦購入あっせんによる訪問販売を制限する参入規制は一つの考え方であると考える。その際、参入規制の要件は、財政基盤等を含め厳しく設定する必要がある。
    また、行政規制だけでは、悪質業者のやり得を許してしまうことになるので、違反行為があった場合に、契約の効力を否定し、被害額の取り戻しが可能となるような、民事ルールの導入は必要不可欠である。
    個品割賦購入あっせんによる訪問販売に登録制度を導入した場合、信販会社が加盟店管理を行う際、登録の有無のみを判断するということにならないよう、登録の有無の確認は最低限の事項であり、信販会社が自ら管理を行うのでなければ、加盟店管理責任を尽くしたことにならないという仕組みにするべき。
    また、参入規制の結果、排除された事業者は、消費者に消費者金融から借金をさせることが考えられ、業務提供誘引販売、連鎖販売等で既にそうした行為が行われている。これに対応するため、こうした部分にきちんと手当することが必要であり、例えば契約を無効とする等の民事ルールがあってもいいのではないか。
    勧誘規制については、現在の第3条も、契約後に確認書をとるなどして脱法が行われている。意思確認の規定を設けた場合に、実効性をどう担保するかは重要な問題と考える。
    第9条の2については、判断能力の不十分な方は、記憶力も十分ではなく、証言も明確にならないことが多く、取消を主張することには困難が伴う。仕組みの検討にあたっては、客観的な基準をより多く挙げる等の工夫が必要ではないか。
  • 課題設定は高齢者被害対策となっているが、教材販売等、幼い子供を持った母親なども訪問販売によって被害を受けることが多い。高齢者を中心としたというか高齢者に限らない訪問販売被害全体という視野で対応策を検討すべきではないか。
  • 第9条の2については、判断力不十分等に対して取消権を付与することは是非検討するべき。
    立証責任の転換は、一概には導入が困難ではあるが、適用するための具体的な要件を列挙するなどの工夫はあり得るのではないか。
    不招請勧誘については、一律に規制をかけるのは現段階では難しいかもしれないが、勧誘行為に対する消費者の承諾を確認する義務や、書面による拒否の表示を規定するといった工夫を検討していくべきではないか。
    違法事業者に対する処罰については、組織犯罪処罰法では、違法収益を回収し、被害者に還付するといった制度が導入されているし、独占禁止法や金融商品取引法では、課徴金制度を導入している。こういう制度設計も今後の課題として位置付けて検討してもらいたい。
  • 勧誘規制については、少なくとも個別的拒絶者勧誘の禁止は導入するべき。訪問販売以外の取引類型についても同様に検討するべき。
    立証責任の転換についても、困難な点はあると思うが、先進的な制度の取り込みを行うという特定商取引法の位置づけにかんがみれば、導入に向けて検討をするべきではないか。
    また、展示会商法や呼び出し監禁商法等についても、適用除外とならないよう制度改正が必要と考える。

これらの主要な意見を踏まえ、今後の検討の方向性として次の通りの整理が行われた。

  1. 参入規制について、割賦購入あっせんによる訪問販売について、登録制度等を設ける方向で進める。但し、お墨付きを与えるだけにならないような実効性のある制度とするためには、さらに検討が必要である。
  2. 勧誘規制については、一般的に不招請勧誘を禁止することには問題があるが、個別的拒絶者への勧誘の禁止を導入する方向で進める。勧誘を受ける意思の確認等については、さらに検討が必要である。
  3. 民事ルールの拡張(第9条の2)については、高齢者に対する不適正な勧誘による被害が救済されやすくする必要があり、導入に向けて検討を進める。
  4. 自主規制団体の機能強化や、新たなトラブル類型への対応についても、一定の規制をするべきである。

この後、実際の法の規定方法や施行時の実効性等について事務局が検討を行い、後日の小委員会でそれについて検討を行うこととなった。また、その際には指定商品制等の廃止や団体訴権制度導入の議論とのバランスを含めて適切な解決策を検討することとなった。

2.インターネット取引を中心とした通信販売の課題について

  • インターネット取引については、市場が急拡大しており、トラブルの未然防止に資するような制度とすべき。新しい商品、サービスが次々と現れており、指定商品・指定役務制の廃止は是非行うべき。
    インターネット・オークションでの取引について、消費者保護のためには、個人で販売を行っている者であっても、販売行為から利益を得ている以上、事業者として責任を負うよう、ガイドラインをさらに厳しく設定することも考えられるのではないか。
    支払方法について、前払い以外の選択肢の提示は行うべきである。また、ガイドラインの周知等を含め、運営事業者の対応の強化を進める必要があるのではないか。
  • 広範な論点を提示されているが、消費者保護の観点からは、実際に多くのトラブルの発生している分野に議論の的を絞る必要があるのではないか。事業者側も、自主的な規制、取組を進めており、消費者保護の必要な分野としては前払いリスクの問題、返品トラブルの問題に絞られるのではないか。
    なお、インターネット取引における消費者は、取引に能動的に関与している意味で、一律に保護のみを考えるべきではなく、また、愉快犯的な悪質な消費者によって、不適当な返品を迫られる事業者もある点等は斟酌する必要があるのではないか。
  • インターネット取引、特にインターネット・オークションにおいては、相手の姿が見えず、相手方が事業者か個人か分からないといった問題が生じる。事業者、個人の属性を明確に表示させることが最小限の規制として必要ではないか。その上で、運営事業者による過去の取引実績を確認する仕組みの提供や、出店者のチェック等が有効に機能するのではないか。
    通信販売では、広告からすべてを判断するしかないといった特性があることにかんがみれば、虚偽・誇大広告については、民法の一般原則ではなく、特定商取引法において契約取消権を規定することはあり得るのではないか。
  • インターネット取引については、新しいルールを導入する以前に、現在のスキームにおいて解決できることも多い。一方で、ルールがあることを知らない、活用方法が分からないといったリテラシー不足の問題や、消費者側のモラル、マナー低下の問題がある。若年層からの消費者教育が重要ではないか。
    また、課題設定として、インターネット通信販売のみを対象とするのか、通信販売全体を対象とするのか。インターネット取引としては、例えば携帯電話での取引等、様々な形態が出てきているが、技術革新が速いため、インターネット通信販売と限定するべきではないのではないか。
    指定商品・役務制については、早く廃止をするべき。
    被害があるところへの手当てを早急に行うとの観点からは、まず返品トラブルについて、返品条件を明記する等が有効ではないか。
    事業者の瑕疵担保責任の問題についてであるが、「ノークレーム・ノーリターン」というのはあり得ないということを、消費者に告知する必要がある。
    また、前払いリスクへの対応について、今日では、代引等の決済手段が多様にあるため、こうした後払いの選択肢を用意することは重要ではないか。
    運営事業者の責任については、利益あるところに責任ありとの観点からは、特定商取引法の表示をするテンプレートを用意することや、関係法令のページ等へのリンクを用意するなどの取組が重要ではないか。
    広告メールに対するオプトイン規制は、cookie等から個人情報等が流出する可能性があること等の観点からは、反対である。
    アフィリエイトやドロップシッピング等の問題は、議論はありうるが、時間的制約を考えれば、実際に消費者トラブルが発生している論点に集中するべきではないか。
    虚偽・誇大広告については、景品表示法や薬事法で対応すべき問題でもあり、特定商取引法において規制強化を行うべきかどうかは疑問がある。
  • 不公正な取引がなくなり、競争的な市場になれば消費者、事業者双方にとって有益なことであり、問題を起こす事業者に適切に対応するための規制の導入には賛成する。
    また、この参入規制が、本来自ら加盟店を管理し、悪質事業者を排除する責任を負う信販事業者にとって、それを避けるためのお墨付きを与えることになってしまうのではないかという懸念もある。信販事業者の民事的責任の導入を大前提とした上で、この参入規制についての検討を進めていくべき。
  • 特定商取引法への参入規制をする際、日本の法体系の中での位置づけを念頭において議論をする必要がある。特定商取引法は、消費者問題に切り込む先兵であり、また、プラグマティズムの極致のような法律である。実際にニーズがあり、課題解決に有用なのであれば、参入規制も導入するべきではないか。
    一方で、年間推計約3憶4千万件の通信販売取引市場の中で、トラブルが発生している比率は小さいと考えられ、一般事業者にコスト増加を負わせてまで規制強化を行うべきかどうかのクライテリアが必要ではないか。
    返品トラブルの対応については、トラブルは返品の可否の表示を巡って起きているというよりは、使用後の返品は不可といった微妙な返品条件を巡って起きているのではないか。返品不可への同意取り付けの義務づけは、煩雑であり、消費者・事業者双方にとって利益にならないのではないか。記載事項の追加については、一般の事業者は既に丁寧な記載をしていると考える。
    契約成立の確認については、ネット受注した場合にはリプライメールを送っているため、そうしたクレームはほとんどない。
    前払いリスクの問題については、前払い以外の選択肢を提示する事業者が多数ある中で、あえて前払い事業者を選択する理由を分析する必要がある。
    虚偽・誇大広告に対する対応については、事業者は行政処分があった場合において迅速に通知し、返品に応じていると認識している。この問題は、運用が微妙な領域でもあり、濫用への懸念を考えると、新たに取消制度を導入することには慎重であるべきではないか。
    広告メール規制については、外国から発信されるものも多く、悪質な事業者は一筋縄ではいかない問題である。実効的な規制が考えられないか、検討していきたい。
  • 広告メール規制のみならず、掲示板やブログへの書き込みによる広告も規制の対象として検討するべきではないか。

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最終更新日:2007年4月10日
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