経済産業省
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地域イノベーション研究会(第3回)-議事録

日時:平成20年3月3日(月)13:30~15:30
場所:霞ヶ関東京會舘・シルバースタールーム

出席委員

古川座長、原山副座長、青木委員、小原委員、樺澤委員、川分委員、川崎委員、児玉委員、村田委員代理、鈴木(直)委員、土井委員、中野委員、野坂委員、樋口委員、福富委員、三木委員、宮沢委員、中谷委員代理、脇本委員

議事

  1. 個別課題検討
    (1)インキュベーション事業の概要
    (2)地域イノベーションに関するアンケート調査等の中間報告について
    上記(1)、(2)に基づいたディスカッション
  2. 中間取りまとめ骨子(案)について
    地域イノベーション研究会中間取りまとめ骨子(案)に基づいたディスカッション
  3. その他

個別課題について

  • 野坂委員

    中小企業のインキュベーション施設の日本地図、あるいは自治体の整備状況のデータを見ると、北海道、東北、あるいは中国、四国地方で、数が少ない、地方によってばらつきがあるという印象を持った。この背景について、どう分析されているか。また、成功しているインキュベーションの特徴として、ロケーション、ネットワーク形成支援が挙がっていたが、ロケーションが悪くても、こうやればできるというところを考えなければいけない。地方の偏在している部分をどうしたらいいのか、どう解決していくのか。そういった問題意識について、どう考えているのか。

  • 福岡産業施設課長

    1点目、北海道、中国、四国等が少ないのではないかという点については、中小機構側と自治体側という2つの異なる側面があると思う。まず、中小機構のインキュベーション施設については、各ブロックに、旧帝大系の大学を初めとする集積があり、そこにつくられている。関東圏、近畿圏には、いろんな大学機関が集中した地点があり、そこが多くなっているのは事実かと思う。ただ、ブロックごとには、ある程度、配置をするようにつくられてきている。もう一つ、地方自治体のインキュベーションが地方に少ないというのは、2分の1補助制度というスキームを使っていたことが要因としてあるかもしれない。2分の1は地域の自己負担分があるので、その確保が難しかったところでは進まなかったという側面があると考えている。

    2点目の、ロケーションが悪い地点についてだが、ロケーションという意味は、経済情勢がいい場所、悪い場所と、単純に言っているつもりはなく、各都道府県には地方大学があるので、その他の研究機関等もあわせて、そういった知の拠点を活用しながら進めるという方策はあるのではないか、という意味で書いている。

  • 原山副座長

    インキュベーションといっても、何のインキュベーションかという議論が必要だろう。ここで議論しているのは、技術を核とした企業をいかにサポートしていくかということだと思うが、そうすると民間のインキュベータも、各地に散在している。また、ビジネス・インキュベーションという形で、SOHOも含めた中小企業をサポートするやり方もある。花巻のインキュベーション・マネージャーの事例は、技術的にサポートするだけでは不十分という認識が既にあって、いろんなことを議論してきた。技術を持った人たちに、ビジネス面でサポートすることがコアであり、それを踏まえた今後のあり方の検討が必要だと思う。

    また、大学発ベンチャーをサポートするため、大学のキャンパスの近くにインキュベーションが置かれている。スペース面では充実しているが、サポートの内容に未熟な部分がある。本当に大学発ベンチャーをビジネスにするのであれば、そのサポートまでしっかりしないといけない。

  • 古川座長

    資料では民間のことが出ていない、というご意見をいただいた。また、ただ施設数を増やすのではなくて、技術を持っている人に対して、経営や販路等を含めて何をサービスするかも重要とのご意見であった。

  • 福岡産業施設課長

    基本的にご指摘の通りと思う。インキュベーション・マネージャーが重要であり、今後とも、そういった点も注力したい。

  • 樺澤委員

    ロケーションが成功要因として挙がっているが、私の感覚では、大阪から京都の桂キャンパスは、やはり遠い。それよりも、例えば柏であれば東大、桂であれば京大、藤沢であれば慶應大学というふうに、核になるビッグネームがある。そこの核で、中心になる先端技術を持っているかということの方が大切なように感じる。特徴的な先端技術があれば、それが求心力になって若干距離的に遠くても集まるはずである。

  • 古川座長

    そうすると、はじめの野坂さんの御質問で、北海道、東北等に、ややインキュベーション・オフィスが少ないのは、核になる技術がないとも言えるか。

  • 樺澤委員

    そうは思わない。むしろ、例えば北海道であれば畜産とか、東北であれば東北大学の技術があるだろう。

  • 鈴木(直)委員

    インキュベーションに関して最大の問題は、ソフト力であろう。ハードをつくっても、その中に入居する人をいかに育てるかというソフト力がない限り、そのインキュベータは何ら成果を挙げられない。いかに産業支援人材を育成するかがポイントである。

    意識調査の資料では、産業支援サービスで不足しているものとして、第一に事業化までの一貫した支援が挙がっている。金融だけの支援は、従来の中小企業政策でやっている。ビジネスモデルをつくって、起業化プランをつくって、事業化に至る、そのすべてに支援を受けたいという回答がポイントである。

    花巻のインキュベーション・マネージャーのリーダーは、マーケティングに重点を置いて、入居企業のために全国を歩いておられる。それを評価して、多くの県外企業がここへ入居している。今後、地方のイノベーションを起こす場合の大きなポイントは、そういう支援人材がその地域で育っているかどうかであろう。

    また、今後は、地域全体の将来プランの中で、産業支援センターやインキュベーター、大学等が連携して機能していることが重要である。

  • 古川座長

    具体的にどのようにしたら達成されるかという御提言をお願いしたい。

  • 鈴木(直)委員

    例えば京都の桂の場合は、ASTEM(京都高度技術研究所)におられるシニアなインキュベーション・マネージャーが、週に1回桂を訪れて、若いインキュベーション・マネージャーと一緒になって、入居企業の指導をされていた。そのシニアなインキュベーション・マネージャーは、京都全体の将来に対する戦略を持っておられて、そのシステムの中に入っている。そういうことが、他の地域においても重要だと思う。

  • 村田委員代理

    私ども中小機構が設置しているインキュベーション施設には、インキュベーション・マネージャーを置いており、入居者支援としてコーディネートをやっている。スタッフが一体となり、その組織内ネットワークのなかで、機構が持っているツール全体で支援していく体制を充実させていく必要があると思う。また、インキュベーション施設間を連携させて、それをうまく活用して、入居者の支援につなげていくような場の設定も必要と思う。

    地方のインキュベーション施設を見て回ると、入居者は卒業して事業を広げていきたいと考えているが、卒業するにはハードルが高く、資金面で問題がある。とはいえ、インキュベーション施設にいたままでは、事業の拡大ができず、資金面での手当てができないというジレンマがある。事業化までの一貫した支援といったときに、いかにインキュベーションから卒業するか、その道筋を政策的にどう補うのかという観点も、今後、必要になるのではないかと思う。

  • 古川座長

    卒業者の要望、独立への資金不足というような問題が出たが、前に別のところでは、国が、事業をするまで全部支援するのかという意見があった。

  • 村田委員代理

    国としてどこまで支援できるかの線引きを設ける必要はあるが、中小企業はどうしてもハードルが高くなるので、何らかの措置を政府で考えてもよいのではないか。

  • 古川座長

    中小機構や自治体がいろいろ支援してインキュベーション・オフィスをつくっているが、民間はなぜ自分でお金を出してつくるのか、公的施設は少し甘いのではないかなど、土井委員からご意見をお願いしたい。

  • 土井委員

    まず大前提として、地方には、技術も人も余剰がある。例えば、優秀な女性の研究員で特化すると、非常にいい人が集まるし、大学発ベンチャーでも、2年目で黒字化、3年目で億以上の売上が上がって配当までしているというのが幾つか生まれている。一貫した支援については、鈴木委員がおっしゃったとおり、私たちもあるべき姿を明確にして、現状分析をして、足りないのは何かということをあぶり出す。その足りない部分、つまり経営課題は、資金、人、販路など、すべて含まれるので、販路だけ、金融だけを考えても支援はできない。

  • 川崎委員

    インキュベーション促進に関して、人間的な側面、どれだけ志を持っている人が出てくるかが、成功の要因ではないか。大学の先生というのは、自分の実績とか、研究を深めるといったことに特化するが、それよりも事を成功させようという志を持っていることが重要。また、成功のためには、顔の見えるネットワークが必要だと思う。

  • 福岡産業施設課長

    志を持った人がどれだけいらっしゃるかが、成功のかぎであるという点は、確かに御指摘のとおりかと思う。ただ、分析しづらい面もあり、ネットワーク形成等の支援のためのソフト事業をいかに充実するかが課題だと認識している。

  • 三木委員

    志のある人を生かす人が必要だというご指摘があったが、現場で感じているのは、インキュベーション・マネージャーという職種は、本来、インキュベータ自身をマネジメントする職だということ。インキュベータが将来自立できるように考える人でないといけない。しかし現状では、インキュベーション・マネージャーに実務も含めて過度に依存している。本当は、メンターやよそ者などもいっしょにやっていく必要がある。そういう意味で、どういう人材が欠けていて、どういう人材を入れたらいいのかについて、考えた方がいいだろう。また、インキュベータ自身はもちろん、先ほどから議論があるように、ソフト面でも、技術面でもいいので、求心力が必要。

    大学でインキュベーションに関係する人たちにアンケートをとってみたところ、大学周辺やオンキャンパスにインキュベータを立地した場合、ベンチャービジネス側のメリットについて、大学の機器利用、研究者の知恵へのアクセス、それから重要な点として、大学院生などの長期的なインターンシップを受け入れることによる、若い研究者の卵との交流が挙がっている。逆に、大学側のメリットについて、VBのビジネスにリンクした研究の飛躍的発展可能性、ベンチャービジネスの集積によりイノベーション課題を複層的に組み合わせて見つけやすくなること、また重要な点として、アントレプレナーシップ教育など、学生にとっていい効果を及ぼすことが指摘されている。

    ハード面については、どうしてもインキュベーション施設の新設が中心になるが、別用途で使っていた既存施設をインキュベーション施設に転用するといった動きを促進することも考えられる。コストが余りかからず、大学や公設試でスペースは確保できるはずで、こういった動きを促進するような補助施策を打っていくことも重要だろう。

  • 勝野地域経済産業審議官

    どういう形でその空き施設がつくられたかを分析しないと、簡単に転用するのは難しい可能性がある。私どもがつくった施設や国の補助金でつくった施設は、目的が限定されており、転用するには環境整備施策が必要になる。制度的な障害をブレークスルーできるような対応を検討しているが、今の段階では、展望は見えていない。また、転用に当たっての支援策には、制度的な支援と財政的な支援がある。仮に制度的に転用可能となれば、あとは予算面で支援できるかどうかだが、全体の予算の中のプライオリティーづけの問題と思う。

  • 福富委員

    私どももベンチャー・ファンドを持っており、ハンズオン支援をやっているが、1人のキャピタリストが実際に担当できる事業者というのは、大体10ぐらいが限界だろう。先ほどもご指摘があったが、すべてをやろうとするのは難しいのではないか。

    また、インキュベーションは入居させることが目的ではなく、私どもも投資することが目的ではないので、いかに早くハンズオフするか、早く卒業させるかということに絞って、企業ステージごとにやり方を変えていく運営をすべきではないかと思う。

  • 古川座長

    インキュベーション・オフィスに入る前の段階、入った後の段階、ハンズオフの段階とわけて、支援をすべきだというご指摘であると思う。

  • 青木委員

    卒業やハンズオフの話が出ており、浜松の例をお話ししたい。ベンチャー企業が次の段階に行くためには、当然、資金や人、あるいはマネジメント・ノウハウなどが必要なのだが、一番大きいのは販路開拓だろう。これには、2つの意味があって、一つは、売っていただく方を見つけること、あるいは、市場への道筋をつけるということ。もう一つは、市場に受け入れられるものにするために、評価も含めて、市場のフィードバックを受けなければいけないということ。その意味で、いいユーザーが必要である。

    販路開拓の課題を打開しようと、今までいろいろな展示会が開催されているが、集める方も見に来る方も雑多で、マッチングの可能性が非常に低くなっていた。そこで、出る方も見に来る方も、ある業種に絞った専門展示会を検討している。実は、浜松の光関係のベンチャー企業を大体11社ぐらい集めて、販路開拓マッチングをやろうとしている。お客様の方は、企業のOBの方々が組織されているNPOにお願いして、大手の企業や、この業界の商社を名指しして集めていただく。商工会議所がベンチャー企業側の仲人になり、企業OBのグループが、バイヤー側の仲人になっている。キーマンになる方々が必要ではあるが、通常の展示会より効果が非常に高いのではないかと期待している。また、今後こういった取り組みを、いろんなジャンルに広げていこうと考えている。

    中間とりまとめ骨子(案)について

  • 児玉委員

    各地で行われているクラスター・シンポジウムに参加して、大企業の認知がようやく進み始めたと感じた。産業クラスター計画によって、優秀な中小企業のネットワークが進み、知的クラスターの効果もあって、大学の参加も進んできた。一番おくれているのは大企業の参画。大企業が産業クラスター計画を認知するのがおくれていたと思う。大企業が参加すれば、国のイノベーション・システムに貢献するだろう。

    例えば大阪で開催された近畿のシンポジウムでは、大企業がその開発ニーズを公開可能な範囲でプレゼンテーションして、中小企業やベンチャー企業に技術開発課題を提示するという試みがあった。中部と関東のTAMAでも、大企業と中小企業の連携促進プロジェクトがあり、大企業の参加を促そうとしている。産業クラスター計画開始以来、何年かやってきて、ようやく大企業にも認知される端緒についたばかりであり、産業クラスター政策は、継続的に推進しなければいけない。

  • 三木委員

    6番の項目で欠けていると思われるのが、知的財産に関する部分。それぞれの地域では知的財産に関する基盤は非常に弱い。大学の知的財産本部整備事業などで整備された大学の機能をどう使うか。また、日本版バイドール法が適用されるような、政府系の競争的研究開発資金から生まれる発明については、これに対する出願料、審査請求料等の免除を考えなくてはいけないだろう。知財本部整備事業等の成果について文部科学省の方でもいろいろ考えられると思うが、経済産業省の方でも、各経済産業局にある特許関係の知的財産の戦略室との連携も含めて、検討すればよいのではないか。

  • 古川座長

    大学が取得する特許の、地域への還流の仕組みを考えなさいということか。

  • 三木委員

    それも一つにはなると思うが、それだけではないだろう。

  • 川分委員

    ベンチャー企業、特に大学発ベンチャー企業は、経理、会計に非常に弱いので、経済の仕組み、金融の仕組み、会計、財務も含めて、高校か中学で教育をする必要があるだろう。それと関連するが、弁理士や会計士、税理士といった士業の人たちを、連携の中に巻き込んでいく仕組みがあれば、より効果的になっていくのではないか。

  • 鈴木(直)委員

    第一に、政策の基本的方向として、最優先順位は人材だと思う。第二に、産業支援人材について、最初の起業化のところは相当充実してきたが、最後の事業化の人材が非常に重要と考えている。産業化、事業化のためのコーディネート能力の研修・強化、ステータス確保のための施策が要るのではないか。

    第三に、産学連携の共同研究センターというのは、大学シーズの方に偏っている面がある。その地域に産業を興すのだから、産業サイドによった産学連携共同研究センターをつくるべきではないか。京都の京都高度技術研究所や、福岡のシステムLSI研究センターが例として挙げられる。

    それから人材育成の方法として、地域イノベーションを支えている人たちのネットワークづくりを施策に加えていただきたい。技術者、大学、高等専門学校といった地域イノベーションに関係する方々のネットワークができて、そこで研究会が設けられ、そこから新しい産業の芽が出てくる。

    最後に、テクノポリス政策や産業頭脳立地政策で実現されてきた、リサーチパークが地域のイノベーションを、現実に生んでいる。熊本、岡山の例など、リサーチパークをもう一度見直して、強化すべきだろう。

  • 樋口委員

    インキュベーション・オフィスが大学に寄っているというご指摘は、おっしゃるとおりだと思う。ただ、基本的方向のところで気になったのは、産業サイド、大学というカテゴリーで分類しても、実際には、だれが主体になるかで、まとまりにくいところがある。地域ごとに、産学連携による推進主体を考えていくのであれば、その旗頭を立ててやる。例えば地域クラスターでは、クラスター計画に乗ることによって、集積ができたり施設ができたりしているので、同様に、この地域イノベーションは、クラスターの発展形として、主体はだれかというのは、議論があると思うが、それを決めて旗を振ってやる。

  • 中野委員

    政策の6の3番目「シーズ創出から事業化に至るまで」の最後の方で「関係者による既存の枠組みを超えた産学官連携が重要」とある。どこが旗を振るかというご指摘と関連するが、大学が主体でやるとどうしても大学寄りになる。普通、形式的には行政がやるが、行政がやると産業が弱くなる。枠組みを超えての取り組みは確かに必要で、地方になると余計に大事だと思うが、旗振り役をどうするのかが重要である。

  • 原山副座長

    こういうラウンドテーブルをつくって、その地域のキーパーソンを集めて、図まで描くことはできるが、旗を振る人がいないのが現状である。リーダーシップを地方自治体にお願いすると、地方自治体の中で役割分担があって、手が出せる範囲に限りがある。大学に持って行けば、先生方は自分の好きなところはやるけれど、そうではないところに目がいかないし、ビジネスの話になると手が出ない。そこでどうするかというのが、まさにイノベーションだと思う。地方の運用の仕方、地方のマネジメントの仕方は政策的にできるかといえば、できないと思う。地方の主体者が自分たちで見つけなくてはいけない。

    だから、6番のタイトル「地方発イノベーション創出に向けた政策の基本的考え方」から「政策」を取ってしまって、「地方発イノベーション創出に向けた基本的考え方」にすることを提案したい。基本的な考え方があった中で、中央政府が手当てをするところ、地方自治体が手当てをするところを書かなければならない。というのは、地方自治体は安全弁をとりたがるので、差しさわりのないところで妥協してしまい、イノベーティブなことには、なかなかチャレンジできない。

  • 中野委員

    だれが一歩を踏み出すかというのが非常に大事で、我々は文部科学省と支援事業をやったときの学習が蓄積されている。ただそれは、大学に偏っているので、鈴木委員が言った産業に踏み込むときに、どういうふうに形成させるか。それは今の御指摘のように、地域の問題になると思う。

  • 古川座長

    だれが旗を振るかが重要で、さりとて行政が進めると、おくれが出るなど問題がある。この辺りをどう調整するか。だれが一歩を踏み出すのか。具体的な施策のアイデアがあれば、お願いしたい。

  • 原山副座長

    一律の施策ではなくて、特殊解を積み上げていく話だと思う。地域で、旗振りをしようとしている人たちが、サポートを得たい、相談したいといったときに窓口みたいなものがあればいい。その窓口で、地域だけでは解決できないこと、例えば行政の役割分担によるバリアを突破してくれる。こちらから何かをせよという施策ではなくて、待ちの施策であって、地域から何かあったときに対応する、よろず相談ができるようなところがあればよい。

    前に戻ってしまうが、インキュベータで必要なのはコーチングをする人。起業しようとしている人、既にした人たちが必要としているのは、援助ではなくて、自分が巣立つためのアドバイス。親が「転ばないように、転ばないように」と見守っていると、いつまで経っても歩けない。そういうことにならないように、気をつけながらサポートしなくてはいけない。

  • 川崎委員

    実は鹿児島県の調査によると、限界集落が厳しい状況になっているが、私は限界集落も経営資源ではないかと考えている。マイナスのものをゼロに持って行く、プラスに持って行くことが、イノベーションの源泉になるのではないか。

    ローカルなレベルでのイノベーションの能力を強化するため、大学、企業、それから地域社会によるネットワークの形成、そして、その中でイノベーションを実践する人材育成に関するモデル事業の創設を提言したい。イノベーティブな視点を持った人材の育成とは、大学生を地域イノベーションの中にかかわらせていくということ。

    具体的には、総合大学のカリキュラムの限界集落や農山漁村という必修科目の設置、あるいは農山漁村の担い手不足を解決する作業の省力化、限界集落等の医療過疎地域におけるIT等を活用した、より効率的な医療福祉・交通ネットワークのシステム等、学際的なテーマの研究が地域におけるイノベーションにつながるのではないか。

    また、京都大学ではキャリアパス多様化促進計画を打ち出し、ポスドクや博士取得者を地域の企業に紹介している例がある。これは文部科学省の助成金による取り組みのようだが、経済産業省の施策があれば知的人材の全国的な展開が可能になるのではないか。

  • 樺澤委員

    産業サイドによる産学連携の話が出ているが、情報家電ビジネスパートナーズ(DCP)のフォーラムがある。関西の大手と呼ばれる家電3社とその他の企業がいて、それに対して、ベンチャー企業からの提案、あるいは中小企業からのマッチング提案を受けるという形ができている。

    また、大学と産業界の連携について、地域というよりは、弊社と大学との組織間提携という形で全国的にすでに取り組んでいる。例えば、弊社のR&Dで困っているテーマのリストを出し、大学の方では、TLOや産学連携の窓口でそれを受け、学内調整して、先生方から協力できる部分を御提案いただく。そして弊社の方から、我々のニーズの上位のものを指定して、委託研究費を出している。

    ただ、地域で見たときに、DCPは、大学が入っていない。DCPは基本的に会員企業の会費で運営されているが、大学も入っていただくとすると、今後、費用も大きくなるので、そこを支援してもいいのではないか。そういったDCPのような取り組みを全国展開して、地域間で連携することも可能ではないか。

    先ほど、知的財産のお話があったが、知的財産の登録料を無料にするとなると、知財の財産が希薄になって、どこかで売り飛ばしてしまうといった可能性もある。例えば先ほど申し上げたDCPのようなところに登録して、発明者は無償で使用権をとるといった形にして、知的財産の所在をはっきりしておく。それによって流出を防ぐということも可能になるのではないか。

  • 中谷委員代理

    大学でも、新しい試みをやっている。一つには、大学と企業とで一緒に産学連携をやる場合、MOTの先生も絡めた産学連携を進めている。技術の委託研究、共同研究という軸の周りに、公設試やMOTを含めた、太い産学連携をやろうとしている。そうするとコーディネータや、テクノプロデューサの教育になるし、彼らが今後どこかへ行った場合に、必ず根づくであろう。そういったことで、成功事例を全国的に波及・普及させていくメカニズムが必要ではないかと思う。

    2点目は、これも前回申し上げたが、大学ではまだパワーが足りないので、テクノプロデューサに相当する人として、地方銀行の若手銀行マンをインターンで受け入れている。彼らが、各企業、各大学の先生を回り、勉強している。銀行以外にも、例えば証券やVP、ベンチャーキャピタリストの会社といった、地域に根ざした会社から派遣を受けて、人材を育成し、ネットワークを形成していきたいと考えている。行政に頼ると同時に、自分たちなりの産学連携のあり方、あるいはその人材育成のあり方を発案し、波及するようなことを考えたいと思う。政策としては、ぜひ、そういった取り組みをサポートする、あるいは普及するメカニズムをつくっていただきたい。

  • 樋口委員

    先ほどの議論にも関係するが、行政の役割についてスタンスを決めておくことも大事ではないかと思う。特に、経済産業局は、黒子として非常に大きな役割を果たして、地域の産学官の連携をプロデュースしているという例がある。例えば、九州でK-RIP(九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ)という、環境関係の産学官の大きな団体があるが、この取り組みの最初の1滴を垂らしたのは九州経済産業局。また、塩尻で組み込みソフトのインキュベーション施設を、信州大学とエプソンと地元でやっているが、これも最初の一押しをしたのは経済産業局。国、地方(都道府県、市町村)といった、単純な発想で割り切らずに、その行政組織上の仕事を超えて、頑張っていただきたい。

  • 児玉委員

    地域でイノベーションを、だれが中心になってやるか、あるいは旗振り役はだれかという話は、大学、民間企業、自治体の中からふさわしいリーダーが出てくるべきだと思うが、最初の企画やリーダーを見つけ出すうえで、少なくとも経済産業局の役割は重要であり、実際そのような事例がある。

  • 福富委員

    事業リスクの話は、四国でも経済産業局の方は動かれているが、市町村や県が事業リスクをとるかといったら難しい。大学も同じような状況ではないかと思う。やはり、どこかの機関にイノベーションをする事業リスクを押しつける傾向がある。事業リスクをシェアする、それぞれが分担して、担ってもらう仕掛けがあると、新しいことをやろうとしているところが動きやすいと思う。

以上

 
 
最終更新日:2008年5月1日
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