経済産業省
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企業価値研究会(第24回)‐議事要旨

日時:平成19年11月13日(火曜日)16時~18時
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室

出席者

神田座長、赤井委員、石綿委員、梅本委員、大杉委員、久保田委員、佐山委員、高山委員、武井委員、寺下委員、徳本委員、西川委員、萩尾委員、畠山委員、八丁地委員、服部委員、藤田友敬委員、藤田勉委員、藤縄委員、星委員、堀井委員、松古委員、松田委員、他

議題

  1. 「実際の買収局面(いわゆる有事)における買収者側及び被買収者側の行動のあり方」について

議事概要

(1)ファンドから見たM&Aの問題について、株式会社KKRジャパン 代表取締役兼共同最高経営責任者の蓑田臨時委員と、(2)会計から見た有事の企業価値の説明のあり方について、早稲田大学ビジネススクール教授の花堂臨時委員から、説明を行った後、その点を中心として自由討議を行った。
臨時委員による説明及び討議の主な内容は以下のとおり。

M&Aにおけるファンドの機能

  • 長期間の投資を前提とする限り、ファンドは、企業の成長による企業価値向上によってしか収益をあげられない。だから、ファンドは企業にとって戦略的パートナーであるべき。企業経営者とファンドが同じ船に乗って、企業価値向上という共通の目標に向かって努力する形をつくりあげることが大切。
  • 1、2年であれば、マネーゲームやリストラ(大量解雇)等により、一次的に株価は上昇するかもしれないが、一次的な株価の上昇が長期の企業価値の向上に資するとは思わない。愚直に企業価値を向上させるという一番オーソドックスな方法が妥当。
    リストラの効果があるのは、せいぜい2年程度。それ以降は、負の効果が勝る。
  • ファンドは自動車と同じ。自動車自体は中立的な機能を持つが、運転している人の属性、態様によって凶器となりうる。儲けばかりを考えるのではなく、ファンドの機能を果たせるような運用哲学として、誠実さ(Integrity)が大切。
  • 現在の日本は、1980年代の米国の状況に似ている。かつて、KKRは、RJRナビスコを買収した際に、投資のロジックが勝っていた結果、全米を的に回した。企業は生き物でない、資本の論理では通じないということを学び、会社は「買う」ものから、「活かす」ものであるとの考え方に転換した。
  • 近年は、欧米でのファンドの成功モデルは、「Financier」から「Industrialist」へと転換している。米国で長期間生き残っているファンドについては、90年代後半におけるこの変身が大きかった。ファンドというものの生き様は変わってきている。この場合、企業側に自分がたってみたときに、何ができるかを考えることが大切。
  • まず、企業価値を向上させる方法を当事会社と議論すべき。いきなりお金を入れて、その後企業価値を向上させる方法を話し合うというのは、うまくいかない。相互信頼のない状態での投資は困難。
  • 大きなテーマとして、「グローバル化」が挙げられる。このような時代背景においては、コングロマリット的なまとまりとして位置づけられるPEファンドは、非常に大きなシナジー効果を発揮するものと考えられる。
  • 企業価値を毀損してまで、投資家を保護するというのは極力避けている。ファンドの場合、あくまでも主役は対象会社の経営陣であるため。他方、ストラテジックバイヤーの場合は、買収者が自ら主役として大きくなろうとするので、ファンドとロジックは異なる。

有事における買収者側及び被買収者側の情報開示のあり方

  • M&A局面、特に敵対的買収にあっては、企業価値の源泉となる経営資源に対する株主の理解が進んでいないため、対応が必要である。
  • 企業価値向上の鍵は何かをとらえて、その企業のビジネスモデルを説明することが必要。その際、株主の企業価値に対する理解を深めるために、財務情報に加えて、非財務情報に関する説明を行うことを考えるべき。
  • 買収防衛策という用語は適切ではない。企業価値を向上させる買収なのかどうかを討議することが大切。ブルドックソースの件については、被買収者側も買収者側も、企業価値について議論することなく株主総会で決議してしまったが、これは問題。
  • 被買収者側と買収者側との間で、ダイアログが行われることが大切。まず、被買収者は企業価値創造の構造とその源泉となる経営資源が何であるのかを示し、価値創造の過程を説明すべき。
  • 買収局面は、買収者・被買収者が、交渉・議論を通じて、企業価値を争う場であり、買収者側は、被買収者の経営資源、配当原資等、どの点に注目して企業価値を高めようとしているのかについて、きちんと提示することが必要。
  • 買収者及び被買収者がどのように企業価値を高めるのか議論することが大切。情報を与えられなければ、株主に判断を求めても無理。
  • 買収者と被買収者によるダイアログを通じて、多くの情報が提供される中で、ジャーナリスト、アナリスト、ネットを通じて個人、などで批評されることになるが、これが一次的な判断者としての機能を果たすのではないか。
  • 買収局面において、裁判所は、企業ビジネスの実態を踏まえて判断しているか疑問であり、かつ、好意的ではない。今後、この点をどう考えるか。
  • 日本ではフィナンシャルな分析が全くなされていないことに注意を払うべき。海外では買収提案を拒絶するときに、フィナンシャルな分析は避けて通れない。日本では、分析もせずに、その日のうちに買収反対を打ち出す企業もある。この点については、ルール作りが必要。そうすればグローバルスタンダードに近づくのではないか。
  • 企業価値については、スタンド・アローンの企業価値を言っているのか、買収者とコンバインされた価値を言っているのか、議論したほうがよい。
  • 非財務情報の有効性については、まさにその通りであるが、既存のものは定性的なものに終始しており、表現力の勝負となってしまう可能性がある。欧米の例も踏まえて、定量的なもので優劣をつけられるような議論が可能か。
  • 情報が足りないという問題なのか、作ろうとしている会社のイメージが違っているという問題なのか、検討が必要。
  • 日本では、株主総会の判断が必要というようになってきている。これに対し、米国では、取締役会が一次的に判断する。誰が判断するのか討議が必要。
  • 企業価値を高めるか明確ではないが、プレミアムは100%乗せるという買収者に対して、経営陣が株主に対して「売らないでくれ」と言えるのかどうか。これまで企業価値を向上させるものは認められるべきといってきたが、こういったケースをどう考えるのか、検討が必要ではないか。
  • 提示した企業価値向上策が、実現可能かどうかについて、チェックする手段が必要。例えば、独立委員会を設置して第三者の目からチェックするというのも1つの案。

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最終更新日:2007年11月22日
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