経済産業省
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企業価値研究会(第27回)-議事要旨

日時:平成20年4月23日(水)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

神田座長、赤井委員、蟻川委員、石綿委員、梅本委員、木村委員、蔵元委員、佐山委員、高山委員、武井委員、谷家委員、寺下委員、徳本委員、西川委員、萩尾委員、畠山委員、服部委員、藤縄委員、星委員、堀井委員、松古委員、他

議題

実際の買収局面(いわゆる有事)における買収者側及び被買収者側の行動のあり方について

議事概要

木村委員より、企業年金連合会における「企業買収防衛策における株主議決権行使基準」についての説明、および、事務局より「前回(第26回)の議論状況の整理」についての説明を行った後、討議を行った。主な討議内容は以下の通り。

どのような条件を満たせば、買収防衛策が株主の合理的意思に依拠するものといえるか?

株主意思の確認方法について

  • 導入時または発動時のいずれか一方で、単純多数決による株主総会決議や勧告的決議が必要である。
  • 平時に、株主総会で、防衛策の内容、及び、意思決定の方法について確認した上で、有事における判断を取締役会に授権しておけば、取締役会限りで発動することができる。
  • 取締役が、自らの責任で、濫用的な買収者であることなど、相当の理由を示して対抗措置を講じることが基本。そのような判断を株主に全面的に委ねることは責任逃れとも捉えられかねない。
  • 株主意思の原則の内容としては、濫用的買収者ないし夢真事件の領域と、これ以外の場合に関して株主総会決議がいるのかどうかが問題。後者の点に関しては、米国の制度との比較からしても、少なくとも現在の会社法の立て付けである取締役の選解任に対する株主意思の表明ということで十分なのではないか。

実際の買収局面における関係当事者の行動・判断のあり方について

  • 取締役が果たすべき善管注意義務の内容を明確化すべき。
  • 取締役会がどのような基準で判断し、行動するかということを、買収防衛策を導入する際に明確にするとともに、実際に判断・行動する際には、その判断が株主意思に反しないとの説明を行うことが必要。
  • 買収提案を拒否するときには、株主共同の利益を害する、あるいは、社会的に見て害があるということを取締役が証明する責任があるはず。その際、「企業価値」という語がかなり幅広く捉えられやすいため、その毀損を発動条件とする場合には、その内容をできるだけ限定的に解すべき。また、検討期間が繰り返し延長されると、買収の是非について延々と結論が出なくなるため、投資家 ・マーケットにとって好ましくない。
  • 何でも形式的に株主総会に諮るのではなく、それ以前に取締役会の判断として防衛策を消却すべき場合であれば、そうすべき。
  • 企業価値に責任を負うのは取締役会であるとの前提を置き、買収局面時における取締役会の行動規範を定めるべき。その内容としては、どういう対応をすれば、善管注意義務 ・忠実義務に則っているのかということ。

特別委員会について

  • 社外取締役を中心とした体制がもっとも望ましい。
  • 特別委員会の構成等については、現経営陣の判断に委ねてよい。

買収防衛策の発動にあたって、買収者に対して経済的補償を行う必要があるか否か。

「経済的補償」の要否について

  • 経済的補償は不要であるが、「損害回避可能性」が確保されていることが条件である。
  • 事前に防衛策の内容を開示している場合であれば、買収者が「危険を引き受けた」と考えることが可能。 他方、事前に開示していない場合においても、過去の判例を勘案すれば、濫用的買収に対するものであれば、正当防衛に類するものとして違法性が阻却され、経済的補償は不要。これは、株主総会の意思(勧告的決議を含む)があれば、さらに補強される。

経済的補償の意義について

  • 経済的補償の具体的内容を明確にすべき。一般的なライツ・プラン型の買収防衛策において、発動に際して買収者に交付される譲渡制限付新株予約権自体は、経済的補償にあたらないことを明記すべき。

その他

検討にあたって踏まえるべき視点について

  • 根本に立ち返って、導入企業のインセンティブ構造・ガバナンス構造を議論するか、もしくは、当初想定していた、買収防衛策が機能するインセンティブ構造が企業に備わっていると仮定した上で、足りないものは何かということを議論するか、いずれかの立ち位置かによって、今後の議論の仕方が異なる。
  • 買収防衛策の中身が混乱している。指針は、買収者・被買収者間の交渉のテーブルを作る機能を有すると想定。それはあくまで、「買収対応方針」に過ぎない。今回、「買収対応方針」としての防衛策だけを射程としている点を明確にすべきであり、防衛策をもう1度定義すべき。

今回の議論と「買収防衛策指針」との関係性について

  • 指針は、「導入」の適法性・適切性を扱ったものであり、「発動」については言及していない。今回の議論は、「発動」の適法性や、その判断のあり方について議論するものであり、指針を否定するものではない。
  • 指針を修正する必要はないというのが前提。その上で、指針策定後の事態の進展によって浮き彫りになった欠如点を補うことが議論の目的。
  • 指針は、ライツ・プラン型の買収防衛策について、その「導入」が日本法で禁止されていないということを明確にしたもの。さらにその「発動」についても、「株主意思の原則」に則るべきことを明記。この「株主意思の原則」の内容をより明確化することは必要だが、指針自体をなおす必要はない。
  • 「発動」の部分についても、指針で言及されているとの意見があったが、策定後3年が経過し状況が変化しているので、見直してもおかしくない。
    当時の委員構成が変更したことにより議論も変化していることに加え、「発動」に関する株主意思の反映のあり方については、当時においても議論が分かれていたと認識しているので、現時点でも、「発動」の指針として確定したものと考えられるかは、検討が必要。

その他

  • 総会間近に、憶測含めいろいろな意見が混在し、正しいメッセージが伝わらないと困る。完全に固まっていなくとも、当研究会として、何らかの形で、社会に対してアナウンスしてほしい。
  • 長期間議論しても、収束できない部分もある。株主総会で買収防衛策を導入したいという企業も多々あると思うので、なるべく早く当研究会の報告書を出した方が良い。

以上

 
 
最終更新日:2008年5月13日
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