経済産業省
文字サイズ変更

企業価値研究会(第28回)-議事要旨

日時:平成20年5月23日(金)12時00分~14時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

神田座長、赤井委員、蟻川委員、石綿委員、木村委員、蔵元委員、佐山委員、高山委員、武井委員、寺下委員、徳本委員、西川委員、萩尾委員、畠山委員、藤田(勉)委員、藤田(友敬)委員、藤縄委員、星委員、堀井委員、松古委員、柳川委員 他

議題

近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策のあり方(5月19日案)について

議事概要

「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策のあり方」(5月19日時点の報告書案)について、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。
 

買収防衛策の目的・在り方について

  • 経営者は株主のためだけに経営を行っているわけではなく、買収防衛策も株主のためだけにあるものではないことから、どこまで株主の利益を考慮すべきなのかという点も考える必要がある。
  • 企業価値の内容を「キャッシュフローの割引現在価値」と記述することについては、概念的な記載にとどめるのは構わないが、細かく記載するとキャッシュフローベースで常に議論しなければならないとの印象を与えてしまう。
  • 基本認識を記載する際に、「買収防衛策は株主の利益に用いられるべき」と記載することは賛成。株主の長期的利益を促進するために買収防衛策を使うべきというのは一般的な共通認識であり、問題はない。
  • 過去の報告書や指針との整合性、統一性を鑑みると、何らかの形で「企業価値」との関係を説明することが望ましい。
  • 指針で用いられた「企業価値」という言葉が、実際に導入されている買収防衛策において拡大解釈されているという懸念を有している。本報告書でも、別の機会でも構わないが、何らかの整理が必要ではないか。
     

被買収者の取締役の行動の在り方について

  • 取締役会が、株主価値最大化のために代替案を構築するには相当の時間がかかる場合もあることにも配慮すべきではないか。
  • 取締役会が、買収提案の内容を検討する際には、財務的見地からの検討が重要であり、その際、第三者専門家の助言を参考にすべき。
  • 「取締役会は、株主共同の利益を向上させる提案と判断した場合は・・・不発動を決議しなければならない」との記載は、より株主共同の利益を向上させる方策をとる可能性が排除されてしまうので、「最大化させる」との表現が適切。
     

買収防衛策についての考え方の整理について

  • 過去の判例をもとに3つに整理しているが、全ての場合がこの3つのどれかに整理されるのか、それともこれは代表的な例であり、当てはまらない例外もありうるのか。
  • 株主が買収の是非を適切に判断する手段については、公開買付に応じるか否かの判断、あるいは、株主総会におけるプロキシーファイトを通じての判断の2つが考えられるが、2つの優劣は特段示していないとの理解で良いか。
  • 「きわめて限定的な」濫用的な買収との記載があるが、そもそも株主の共同の利益を著しく害する濫用的な買収でとは、きわめて限定的なものであるので、単に「濫用的な買収」とすれば足りるのではないか。
  • 基本的に判断能力のない裁判所が企業価値について判断する場合は、一見明白に株主の利益を毀損する場合ということになると考えられる。したがって、そのような濫用的買収は、きわめて限定的だと考えられる。
     

株主が買収の是非を適切に判断するための時間・情報や、買収者・被買収者間の交渉機会を確保する場合について

  • 買収提案についての検討や、買収者との協議・交渉の中で、出すべき情報というのは詰まってくるものであり、「このような情報を出すべき」と一律的にルール化することは難しいのではないか。
  • 買収局面で被買収者が開示する情報の信頼度を高めるためには、平時から、目標数字を掲げて経営を行う、IR活動を充実させる、配当性向を高める、等を通じて、株価を十分高めておくことが重要。その観点から、数字等を示しながら具体的に開示することは必要。
  • 買収者は、基本的に現状の株価より高いプライス情報を提示している。経営陣がこれに反論するためには、単に企業価値を毀損するといった主張ではなく、数値等を用いて主張する必要がある。
  • 現経営陣が、買収提案価格に対して、自社が考える適正株価を出せとなると、再度TOBをかけられた場合、必ず負けてしまうことになりかねない。
  • 被買収者が開示する情報として、財務的な見地を避けるべきではないが、他方、被買収者が適切な株価を提示するとのルールは他国には存在せず、それを要求することは明らかに行き過ぎではないか。
     

買収提案の内容に踏み込んで実質的に判断を下して発動し、買収を止める場合について

  • 買収防衛策が正当化されることにならない場合とはどのような場合か。例えば、経営者が保身に走るとか、経営者とくっついている株主の賛成をとりつけるなどの、著しく不公正なおそれがある事情がある場合には、確かに買収防衛策が正当化されることにならないと考える。
  • 株主の多数の賛成により買収防衛策の正当化されるかどうかを勘案するための事情として、被買収者の「経営実態」をあげているが、削除したほうが良いのではないか。
  • 買収者側が、自ら総会を開き委任状勧誘を行えば、株主意思を反映することは可能であるから、株主による事前の明示的な承認以外にも認められる余地があるのではないか。
  • 買収をかけられる企業は、一般的には、本来の企業価値を達成するだけの経営が行われていない、すなわち、経営者の能力に問題がある。従って、そのような会社について株主総会の権限を取締役会に授権することには機関投資家からすれば抵抗感があることを踏まえ、授権する際には厳しい制約があることや、どの程度の範囲なら許されるかなど、議論を深めるべき。
  • 買収防衛策の導入時に、有事の情報が全くない中での株主による承認にもかかわらず、出口で何をやっても良いとの誤解が蔓延していることから、取締役会での発動は、厳しい要件が課されることになる。
     

特別委員会を設置する場合におけるその構成等について

  • 業務執行取締役が行うべきことは、委員会の構成を適切なものとし、独立性を有した適任者に買収提案の判断を委嘱する、ということ。その特別委員会の判断に対しては、当然、取締役会が最終的な責任を負うべき。
  • 業務執行取締役が、買収提案の内容に踏み込んで、必要な情報を取得しながら、買収の是非について主体的に判断すべきとすると、かえって特別委員会の判断の独立性を侵害することになるのではないか。
  • 米国と日本のガバナンスの状況が異なることを踏まえる必要がある。米国では、特別委員会は、独立社外取締役で構成されており、かつそこでの決定が取締役会での決定に代替するとの明確な位置づけがなされていることから、経営陣との間で情報を遮断しても整理が可能。他方、日本には、取締役会が正式な意思決定機関という法律的な枠組みがある中で、特別委員会を活用する際に、取締役会への情報を遮断してしまうと、正式な意思決定機関のところに情報が行かないことになり、問題。
  • 日本の場合、特別委員会に社外取締役がいない場合が多いことから、最終的に特別委員会が勧告を出す際には、そのように判断した理由についての詳細な説明を行い、それを踏まえた上で最終的に取締役が責任ある判断を下すというのが、現状として望ましい形。
  • 「特別委員会が反対と判断したから」という理由で取締役会が自らの「買収に反対」との判断について責任を回避することは許されない。
     

その他

  • 報告書に記載された「べき」論が、法律論に基づくものなのか、政策論から出てくるものなのか、指針との関係はどうなっているか、など可能であれば整理できないか。
  • 全体の取りまとめにあたっては、判例が蓄積されつつある中で当該報告書を出す必要性がどこにあるのか、買収防衛策を導入していない企業もある中で取締役会はどうすればよいのか、という点に関してメッセージをきちんと出して欲しい。
  • 指針が策定されてから3年が経過し、過剰防衛が散見される中、それに釘をさすような形で、本来買収の是非は株主が判断すべきいうメッセージが明確に出ており、報告書を出す価値がある。

以上

 
 
最終更新日:2008年6月9日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.