経済産業省
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ソーシャルビジネス研究会(第1回)‐議事要旨

日時:平成19年9月25日(木曜日)14時~16時15分
場所:経済産業省本館17階西7第1特別会議室

出席委員

谷本座長、井上委員、駒崎委員、佐野委員、鈴木(均)委員、鈴木(政孝)委員、曽根原委員、竹内委員、土肥委員、永沢委員、山口委員

議題

  1. 研究会の趣旨説明等
  2. 「ソーシャルビジネス」の定義
  3. 国内調査、海外調査のアウトライン

議事要旨

1.研究会の趣旨説明等

事務局から趣旨説明

2.「ソーシャルビジネス」の定義

事務局より、資料1~3、参考1にもとづき説明。

  • 事務局説明を補足すると、ソーシャルビジネス(以下SB)は、コミュニティビジネス(以下CB)と全く異なるものではなく、必ずしも地域にこだわらない、より広い概念として整理していこうとする考え方である。
  • SBの定義においてポイントとなるのは、3つの項目、社会性、事業性、革新性である。ソーシャルビジネスを一般の中小企業やベンチャーと区別する際、単に資本金や従業員数などでは示せない。ポイントとなるのは、社会的課題にビジネスとして取り組むことをミッションとしていることにある。
  • SBと呼ぶとき、社会性について、お金を稼ぐところが「ソーシャル」なのか、使うところが「ソーシャル」なのか、といえば、稼ぎ方が「ソーシャル」ならば、SBといってよいと思う。また、事業性については、いま採算が取れているSBは1~2割程度でしかないので、それら以外についても、稼ぐ仕組みをもっていれば、たとえ現状は採算が取れていなくてもSBとしてもよいと思う。
  • 何らかの社会的課題の解決を目指すというソーシャルミッションを持っていることがSBの一つの定義だと思う。
  • 事業性がなくて継続しないということであれば、SBとは呼べない。必ずしも事業規模を大きくしていく必要はないが、それぞれの市場に応じた適正規模で、継続的に事業を行っていくことが重要。
  • 実務家にとってはSBの定義に拘泥する必要はなく、この研究会では明確なアウトプットを出してもらいたい。我が国のSBの担い手として、若い人は多くはない。アメリカのように、ベスト&ブライテストな人材がSBに参入していくという流れが日本にはないので、そのような流れを作れるようこの研究会に期待したい。
  • 革新性について、SBが引き起こすイノベーションには3つあると思う。第一に、「ここに社会的課題がある」ことを明らかにしたというアナウンスメント効果。第二に、有効な事業モデルを提示し、実際にやってみせること。第三に、どうやって事業を広げていくかというスケーラビリティ(scalability)。最後の点がこの研究会で一番重要だと考えている。ひとつの団体が大きくなるよりも、それぞれの地域の担い手にノウハウを伝授して、現地にあったやり方(現地適合)で地域に引き渡していくようなソーシャルフランチャイズの可能性があると思う。
  • NPOやSBと”Socially oriented”な企業の違いは、NPOやSBはミッションを非常に重視することである。”Socially oriented”な企業は本業へのメリットを優先せざるを得ないのに対して、NPOやSBでは社会的なミッションが先にある。
  • CB=地域の課題を解決する、という印象を受ける。SBのほうが自分の活動に関してしっくりくる。地域という言葉は日本語だと単一だが、英語だと、ローカル、リージョン、コミュニティなど様々な側面がある。定義づけや領域設定は必要だと思う。(SBでは)地域というよりも様々な切り口でビジネスを展開しているので、領域設定をしてどのようなビジネスがあるかを浮き彫りにすると、これから新しいことを始める人にもビジネスモデルがわかりやすく伝わる。
  • (事務局が提示したSBの定義では)比較的新しいビジネスだけを対象にしているような感じを受ける。障害者雇用であれば、数十年間やっている企業もある。これから起こす起業だけでなく、そうした以前からの企業への支援も行う必要がある。
  • 革新性はなければならないか。他団体のビジネスを真似することは、革新性がないからだめということではないであろう。真似をしビジネスの可能性を広げることもイノベーションの一つであり、元のモデルを改良して地域にあうものにするなども一つのイノベーションである。
  • 何をもってSBというのかというと、ソーシャルミッションがあり、収入については、ミッションに共感して利用者として支払ったり、寄付をしたり、と様々な形がある。寄付に支えられている団体も、事業だけで運営している団体も、SBと捉えてよいのではないか。
  • SBに必要な経営資源への支援として、たとえば金融とか寄付文化などの新しいリソースをつくるだけでなく、営利企業とSBが相互のリソースを共有しあうなどの発展的なあり方が実現するとよいと思う。一金融機関にできることには限界があるので、社会の大きなインフラとしてより多くの金融機関が参入できればよいと思う。
  • 企業はNPOに近づき、NPOは企業に近づく、という一般的な傾向はある。ただし企業は採算、経済面、営利活動上のメリットなどを常に考える。NPOやSBは、ミッションを先に考えて、その実現のためにどのようにしたらよいかということを考える。企業の社会的活動とSBは、そのあたりが違うのではないか。従って、営利企業の社会的活動はSBと捉えないほうが良い。営利企業はSBのサポーターとして、SBを広げるためにどのように関わることができるか、という位置づけでよいと思う。
  • 一般的に住民がCBを起こすときには、地域の中でコンセンサスを作りながら、多くの共感・ニーズから事業を面的に立ち上げていくことが多い。そのため、ビジネスの形でやってもリスクが少なく失敗しにくい。一方、SBで重視されるミッションは、点というイメージがあり、ミッションと地域コンセンサスがあわない場合もあるかもしれない。
  • SBにおいても、ミッションを掲げるリーダーの周りに人が集まり、共感する人たちのコミュニティが作られる。また、ミッションに共感する企業との出会いを通じて活動が展開することもある。
  • 食品を扱う企業から捨てられる食品を困窮者に回すという事業をするSBがあるが、そういった企業が余った商品の一部を寄付しようとすると、少量であれば問題はないものの、量が多くなると寄付に対し課税されることになり(有税での処分)、結果として寄付ができない、従って、企業がコミュニティに協力できないといったケースもあるらしい。
  • コミュニティという概念、捉え方にはいろいろある。地域的な意味でのコミュニティ。また社会的の課題について地域をこえて取り組もうという人が集まってきた賛同者たちのコミュニティもあろう。

国内調査、海外調査のアウトライン

事務局より、資料4、5について説明

  • 中間支援団体について二種類あると思っている。ゼネラリスト型支援の中間支援団体とスペシャリスト型の中間支援団体。そういう視点を含んだ調査をしてもらえるとよい。
    英国では、条件が不利な地域でのパートナーシップ支援等があると聞く。政策の示唆になると思う。SBを経営する人のキャリアに興味がある。日本のNPOだと非常勤や無償労働者が多い。アメリカだと、キャリアのある銀行員などが多い。日本のNPOにも、常勤で組織のミッションにふさわしいキャリアのある人材がどの程度いるのか、関心がある。
  • 中国では社会起業化が活発であり、韓国でもダイナミックに社会的企業への取組が起きている。
  • 海外の制度については、そもそも文化・宗教などのバックグラウンドや税制などの違いがある。日本の今の制度的現状や法人の状況に、適応できるものとできないものがある。
  • 国によって、政府やサードセクターの位置づけが国によって大きく異なる。ヒアリング等で得られた基礎資料、ローデータなどをもとに、議論していく必要がある。
  • 背景については、例えばアメリカではCRA法、Low Income者向けへのTax credit(税額控除)など、民間資金のSBへの流れが制度的に形成されている側面があり、単体としてのNPOだけでなく、その背景にある政府のレバレッジなどにも留意する必要がある。
  • アメリカの事例を参考にすると、地域の中心になるリーダーに、フェローとして3年間程度人件費を支給し、自由に活動していただく。その活動の報告会を、コミュニティにおいて発表し、そこに、企業や金融機関等も出席してマッチングの機会とするといった試みもあるのではないか。

以上

関連リンク

 
 
最終更新日:2007年11月22日
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