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ソーシャルビジネス研究会(第2回)‐議事録

1.曽根原委員、鈴木(均)委員、山口委員によるプレゼンテーション

各委員が、資料に基づきプレゼンテーション

2.プレゼンテーションを踏まえた議論の方向性について

谷本座長
ソーシャルビジネス(以下SB)の資金調達の必要性については、事業段階や事業規模によって異なる。既存の金融機関が支援のための新しいスキームを考えることも必要である。また都道府県や市町村などでは、中小企業の枠での融資の制度があり、それらの枠を広げられないかという論点もある。あるいは、通常の融資と同様の仕組みであるとすれば、担保などの問題もある。それは信用保証協会の議論にも繋がる。またNPOバンクなどによる融資には将来性があるが、必ずしも十分な資金提供を出来るわけではない。
SBと一般の企業との違いは、社会性をどのように位置づけ、ビジネスに結びつけていくかというところに課題がある。
人材についての課題もある。例えば、いいアイデアを持っているが、経営や会計などに通じていない人をどのように支援していくか、ということなど。
大企業による支援、中間支援組織による支援、大学とのパートナーシップなどの可能性についても検討する必要がある。

3.大企業による社会的企業支援について

鈴木(政孝)委員
NECの支援はすばらしい。企業としては先駆的なCSR事業をやりたいので、NECのプログラムに他社が乗ってくるということはないと思う。先駆的な事業は、1・2年でNPOにまかせるなどしないと、他の企業や協賛団体が乗ってこない。社会的なビジネスに昇華していくという取組ができないか。NPOにまかせて、さらに拡張していけば、SBとして発展していく可能性もある。

鈴木(均)委員
取り組んできた結果として培い、蓄積したノウハウを、社会としてどのように共有化していくかが一つの課題であり、その点からも、もう少しパートナーであるETICに上手に広げる形でやっていただくことなどとも思っている。

谷本座長
今取り組んでいるプログラムを広げていくことも一つのやり方であり、他にも、プラットフォームをつくるというようなやり方もあるのではないか。例えば、イギリスにBITC(Business in the Community)というのがあり、衰退した地域社会を立て直すにあたり、大企業のお金とかノウハウを活用して取り組んできている。

鈴木(均)委員
企業とNPOと行政の関係者によるプラットフォームをつくり、BTICのようにやっていけば、一つのモデルができるかと思う。

4.資金調達について

竹内委員
しっかりした事業計画を持っていれば、融資は可能である。SBやCBを特別扱いするということならば、社会性の認証があれば、金融機関としては支援をしやすい。
本当に社会性のある仕事であれば、行政が何か仕事を発注するのが一番よい。それを実績として金融機関が資金を貸すことも可能となる。
公的な資金を使う以上、効果測定の分析をしないと、その理由が立たない。社会貢献だけなら普通の私企業もしているので、外部経済の大きさを測る必要がある。費用対効果の問題をどう捉えるか、ということがある。
債務保証の提案はわかるが、現実問題として信用保証協会は、協会ごとに非常に運営の姿勢が異なり、統一的な運用は難しいと思う。

谷本座長
確かにSBについて何らかの認証があれば、金融機関としては貸出などをやりやすいだろう。また、行政の発注では、例えば公共調達の中のメニューとしていろいろ提供するということもありうる。
費用対効果、効果測定というのは、利益性も一つのポイントだが、社会性の評価のところも大きなポイントであろう。

竹内委員
評価の軸が違うので、社会性を統一的にみることは難しい。SBではどのようにして効果測定を行うかが一番難点だと思う。

谷本座長
もともとのミッションがどの程度達成されたかという面をみることはもちろん大事であるが、このように測ればよいというモデルは、アメリカにもヨーロッパにもまだどこにもなく、様々に模索されている。

山口委員
行政委託という形で仕事を発注する場面はあるだろうが、やはり官から民に対する仕事がソーシャルビジネスであるという価値観はあまり持つべきではないと思う。市民の発意みたいなものにより多様な事業が生まれてくることが望ましい。しかし、導入部分として、SBはこういうものだというモデル作りのために、行政が民に仕事を出すという形を見せていくことは一つの方法なのかもしれない。
業態・課題ごとに事業の評価は違う。金融機関では不可能なので、金融機関が中間支援組織や分野ごとの専門家と連携を取りながら、社会性の評価をアウトソーシングするというスキームをつくることは可能であると思う。
また、中小企業の専門家などが経営のノウハウや人材育成、地域とのコミュニケーションなどの専門性を、ソーシャルビジネスの世界でも発揮していただきたい。

曽根原委員
法律がないので進まない、という問題がある。資金のことについては、10年したらこういった制度はできているとは感じている。その10年を、どこまで早く実現させたらいいのか。
金融機関は金融庁の管理下にあって、その中でリレーショナルバンキングやリージョナルバンク構想がでていて、山梨中央銀行などがNPOサポートローンをつくっている。いま農業分野の融資を私も含めて積極的にやっているが、それが大きくなったのはリレーショナルバンキングやリージョナルバンク構想が出たあとである。
いろいろな分野があるので、コーディネーターが必要である。SB推進専門オフィサーのようなものが必要である。

佐野委員
資金調達については、起業時と事業継続時では課題が異なる。起業時は、事業の革新的アイデアが最も重要である。
事業継続時は、事業の社会性が重要となる。社会性に関する指標を作るべきではあるが、専門家が作成するよりも、市民が評価するという仕組み、市民のファン投票によるような思い切ったことが必要である。
イギリスにはHubという社会起業家が集まって互いに切磋琢磨して、持続のための新しいアイデアを出す場がある。そういうことも考えていったらよいのではないか。

谷本座長
自助努力の中で資金繰りをしていかなければならないという面はある。しかしいくら頑張っても貸してくれないとか、そんなことは評価できないとか、そうしたことを何とか解決していくよう考えていく必要がある。
社会性の評価を誰がするのかといったら、専門家と同時に市民の目というものも大切である。
指標をどう作るか、というのは確かに難しい。会計の財務諸表を出せばいいというものではないし、領域によって社会的な成果も測りにくいのも事実である。

土肥委員
個人の寄付とか出資というところに注目して、個人投資家のネットワークが欧米では発達している。出資の新しいネットワークをつくっていこうという動きがでてきている。
個人投資家も変わらなければならないし、従来の資金の出し手としての財団法人のあり方も変わらなければならない。単純に資金的支援だけではなくて、マネジメント支援も中長期的にやっていこうとする団体などもでてきている動きがある。どれか一つで解決できるという問題ではないと思った。

5.人材育成について

土肥委員
人材については、欧米、とくにアメリカでソーシャルベンチャー(SV)やSBが広がった要因の一つは、大学院のMBAの学生をうまく巻き込んで、新しいムーブメントを興したというところにあると感じている。日本のMBAレベルでこの動きはほとんど見られず、かなり開きがあると思う。

谷本座長
SBと一般企業は、マネジメント部分でかなり重なる部分があると思う。しかし、ソーシャルミッションというところで、一般企業の経営と異なる部分もある。マネジメントの部分で、一般企業と共通する部分では、大企業や既存のコンサルによる支援が利くというところもある。
SBでは、立ち上げ期ではなくて、その次の段階として起業家同士の連携も重要である。分野が違っても、同じような思いをもって悩んでいる部分があり、違う分野での経験であっても、ヒントになるとか、想いのところで参考になる部分があるのではないか。起業家同士の連携やネットワークの中で学ぶものもあるだろう。

鈴木(政)委員
マネジメントとリーダーシップは違う。マネジメントは、仕組みを作れば一定のレベルに達するが、非常に困難な問題が生じた時などは、マネジメント能力だけでは対応できず、リーダーシップがないと難しい。

山口委員
金融機関など、ソーシャルビジネスを支えていく側の教育も必要である。
金融機関でも、人材育成にはすごくコストがかかる。NPOは事案が少なく、SBとはこういうものであるというような研修にもお金がかかることを考えると、例えば、金融CSRの立場から、金融機関としてこのような社会性のある事業については、社員研修としてきちんと学ぶ機会を設けるとした方が良いのかもしれない。
企業にとってもNPOやSBとパートナーになるというマインドをもつ人材の育成が、大きな仕組みの中でできるとよい。そこでは、企業や金融機関にとってインセンティブになるような仕組みがあるとなお良いのかもしれない。

竹内委員
金融機関としては、起業段階の方が資金を貸しやすく、事業を始めてからの場合だと問題なども出てくることがあり、かえって貸しにくくなることもある。商工会議所や企業家同士のなかで事業をフォローする仕組みがあるとありがたい。

鈴木(均)委員
企業もソーシャルベンチャーもビジネスであるから、共通したマネジメント教育が必要ではないか。

曽根原委員
人材育成についても、起業段階と事業継続段階で必要とされるマネジメント能力は全く異なる。この二つの段階で明確に住み分けて中間支援団体を作ったほうが良いと思う。その意味で、スペシャリスト型中間支援団体という提案をさせていただいた。起業支援の段階ではゼネラリスト型中間支援段階でよいかと思うが、育成支援の段階ではスペシャリスト型中間支援団体ということが必要だと思う。
スペシャリストという分け方とともに、分野別という分け方もある。環境、福祉、農村といった分野別の分け方、計画系部門とかマーケティング、財務、人事などの経営管理別の分け方もあり、そのような視点をもって、スペシャリスト型中間支援団体を育成していくことが必要である。

6.海外調査について

10月31日から、イギリス、イタリア、欧州への訪問調査を予定している。

* 次回は、11月21日(水曜日)16時30分から。

以上

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最終更新日:2007年12月6日
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