経済産業省
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ソーシャルビジネス研究会(第3回)‐議事録

1.中間支援のあり方について

永沢委員、町野常務理事からのプレゼンテーション

谷本座長
日本版SB(ソーシャルビジネス)=CB(コミュニティビジネス)という指摘があったが、それは日本だけの特徴ではなく、イギリスやアメリカの社会的企業も地域に密着している。SBは地域の特性を受け社会的課題に対応するものだ。地域によって資源もネットワークも異なるので、地域特性を考えなければならないという主張はもっともだろう。
またSBやその中間支援は欧米でも資源が充実している団体はそれ程多いわけではなく、足りない部分を補うために地域、行政等の支援が必要となっている。

井上委員
SBへの支援方法については、色々なニーズがある中でどのポイントが一番レバレッジが効くのか、どのように支援すれば効果が大きいかを意識する必要がある。
支援にあたってはソーシャル・イノベーション・クラスターとして生態系をつくることが重要である。お金を出す人、知恵を出す人、ネットワークをつなげる人、行政とSBをつなぐ人など、ただでさえ少ない地域のリソースをいかにつなげるかが重要。そのためには中間支援組織で知恵を持った人材をきちんと雇うようにする必要がある。ビジネスセクターである程度キャリアを持った方でソーシャルビジネス分野で働きたいと思っている人は結構多い。
お金と経営の支援が出来る小さな地域でのクラスターがあり、さらにそのネットワークとして全国規模のつながりを生み出していくことが重要なのではないか。

佐野委員
今の社会は地域性を喪失していくような方向にあり、その中で地域性を回復しようとすると地域づくりの運動とわからなくなる面がある。その点でビジネスという点を強調していたと思うが、その点について補足説明頂きたい。
大企業とのネットワークは重要だと思う。民と民とのネットワークをいかに強化していくというテーマの中で、いかに協働していくのかという点について補足説明頂きたい。

永沢委員
事業のミッションに社会性があったとしても、事業実行の段階では具体的フィールドで行う必要があり地域性が出てくる。地域の中で社会的な事業をやろうとすると、事業性という点が非常に難しい。
事業性については、「ビジネス」をどのように捉えるかという問題にもなるが、完全な民間ビジネスとして自立するということにはかなり無理があり、いくら社会的に必要なものであってもその地域の中で賛同を得ながら複合的に収入を得ていくのが現実的なSBの生き残り方だと思う。

谷本座長
寄付などを含めて複合的に収入を得るのはNPOの話であり、会社の場合はそうしたものに依存できないこともあるため、形態によって色々な対応の仕方があるだろう。

町野常務理事
SBがビジネスとしてのスケールや質を確保するためには様々なビジネス資源が必要であり、大企業とSBが協働しながらビジネス開発を行うことは重要。
例えば、松下電器とグリーンピースによるノンフロン冷蔵庫の開発、障害者がつくった雑貨へのフェリシモによるデザイン付与と通販など様々な取り組みがあり、こうした動きを後押しする必要がある。

谷本座長
第1回研究会の際に、大企業については主にソーシャルベンチャーやNPOの立ち上げ支援などに焦点を当てていこうという話をしたが、大企業そのものがソーシャルビジネスに取組んだり、その際に色々な社会的な企業と協力するということもある。短い検討期間の中で話が広がりすぎてもいけないが、その点を切るということではない。

鈴木(均)委員
ソーシャルビジネスを発展させていくためには、継続性の観点から小さくとも収益性のある事業モデルを構築する必要がある。仮に収益が厳しくビジネスケースにならない場合は、企業にとってどのようなメリットになるかを説明できないとSBへの支援は難しい。
ソーシャルビジネスは地域に基づくとやりやすいのではないか。実際のニーズに近く課題が見えやすいと考えられる。地域の問題となると大企業よりNPO等の方が得意であると思われるが、リソースが限られているため大企業と地域の連携モデルが必要になる。

竹内委員
SBのイメージがプレゼンによって異なっているのではないか。例えば、主婦や中小企業のOBが起業して大企業と提携したり、ファンドから投資を受けたり、ということは考えにくく、むしろ助成金が必要なのではないか。中には大きく育ち配当が可能なくらい成長する企業が出てくれば、大企業と連携することも可能になるかもしれない。またもし大企業が支援するのであればヤマト運輸の財団がスワンベーカリーを運営しているように専門の機関をつくらないとうまくいかないのではないか。
成長段階に応じた支援が必要なのではないか。例えば、大規模な成功例を示されても主婦の方にはあまり関係ないと思われてしまうだろう。身近な成功例を出して、これなら自分でも出来るという動機付けを持たせ、特に伸びそうな事業には資金をつけてあげたり大企業が絡むというのが効率的なやり方ではないか。

鈴木(均)委員
任意団体や小規模なNPOに対する支援は社会貢献の延長でやっている。その上で事業型に発展してきたときに企業の事業の中にどのように入れ込んでいくかということを検討すれば良いと思う。

井上委員
マーケットの広げ方について、永沢委員はいかに草の根の事業を増やしていくか、SIJはイノベーティブなモデルにいかに投資をしていくか、という視点の違いがある。
投資のポイントは、その事業のスケールが大きくなるかどうか。ビッグイシューのようにマーケットを使うことで雇用を生み出したり、米国のKaBOOM!のように社会的課題の解決モデルが明確な場合は投資しやすい。

土肥委員
大企業とSBの関係について、フランスの大手食品メーカーのダノンがグラミン銀行と組んで、ヨーグルトとマイクロクレジットというお互いの強みを活かしながらバングラディッシュにグラミン・ダノン・フーズという会社を設立したという事例がある。
SBの効果について、数値化は難しい部分もあるが目に見える形にする必要があり、ソーシャルリターンやアウトプットの可視化の方法について今後中間支援団体なり、行政なり、大学などが一緒になって検討していく必要がある。

佐野委員
事業は自分たちで進めていく他なく、誰もあてに出来ないということから支援のあり方についてあまり考えたことはないが、ポイントは資金にあるのではないか。例えば、ファンドの話がプレゼンに出ていたが、それを検討するにあたっては規模をある程度想定しつつ議論する必要があるのではないか。

谷本座長
イギリス政府では社会的企業のために1千万ポンドのファンドを準備している。数十億円規模で考えたとしても現実的にはソーシャルリターンをどのように考えるかなど難しい部分もある。

2.法人格について

谷本座長
イギリスにおいては、チャリティと営利企業の中間となるような、社会的企業にフィットする法人格(CIC)を創設して、振興していこうとしているが、日本においてそうした法人格の必要性についてどのように考えられるか。

井上委員
必要だと思う。例えば自分が支援している産後のお母さんのケアを実施している団体について、事業収入もあるが、寄付も必要な構造になっている。ぴったりとフィットした法的ステータスがないため、適切な法人組織が必要。

町野常務理事
ソーシャルビジネスを行うに当たってLLP、LLCも利用可能のように思うが、あまり活用されていない。社会的企業としてLLP、LLCをもっと活用していくという位置づけがなされると、制度がもっと広がるのではないか。

3.自治体によるSB支援について

熊谷部長によるプレゼンテーション

谷本座長
コミュニティビジネスといってもソーシャルな部分を強く意識している場合もあればそうでないものもあり、従業員や資金の規模などによる明確な線引きは難しい。大阪府では中小企業支援とコミュニティビジネス支援を一緒にするという大きな形で支援を進めているという話であった。

井上委員
これまでの支援の具体的な中身と、支援が上手くいく場合といかない場合の違いなどについて、経験則や事例等から言えることがあれば教えて欲しい。

熊谷部長
CBを支援する中での経験則として、地域課題の解決に向けた意識は強いもののビジネスの知識がないまま事業を始めてしまい、資金計画等の意識が弱いことから負のスパイラルに陥ってしまう人が多い。個人事業主がビジネスを始めるのと同じような課題を抱えているという印象を持っている。その意味では、経営指導員はプロなのでSBについても中小企業支援の枠組みや体制を活用しながら支援していきたいと思っている。
当然NPO特有の話は色々あり、また従来商工会や商工会議所はNPOを経済団体としての対象として意識していないという部分もあるが、大阪ではその壁を取り払っていきたい。

井上委員
支援対象は主婦やビジネス経験のない方が多いのか。ビジネス経験はあるが起業は初めてという方もいるのか。その場合支援のやり方も変わってくると思うが、その点についてはどうか。

熊谷部長
500人の様々な専門家がいるので、それらをシームレスにつなげる形で様々な疑問点などに対応できるように支援体制を考えたい。

谷本座長
その時に、これまでのビジネス支援の専門家は、社会性をどうビジネスにつなげるのかについては経験がないことが多い。

熊谷部長
起業家支援ネットワークでは、何かやりたい人に対して必要なコラボレーションができるようにマッチングの場を提供していきたい。

谷本座長
おおさか地域創造ファンドではどのような基準で採択の評価をしているのか。

熊谷部長
大阪府で実施しているファンドの採択基準は、市場性、成長性、革新性、実現可能性、地域活性化への波及効果で、社会性は地域活性化への波及効果の中に含まれる。ソーシャルビジネスも含めた新しい事業を支援できるスキームとなっている。

4.SBの資金調達等について

駒崎委員によるプレゼンテーション

谷本座長
「ソーシャルファンド」の提案と事業型NPOであることのメリット・デメリットを示してくれた。NPOの組織の限界についてはイギリスのCICのようなものができれば、ある程度解決されるのではないか。
ファンドについては永沢さんやSIJ、大阪府、駒崎さんがそれぞれ必要性や仕組み等について提案をしてくれていた。通常のベンチャーファンドや中小企業支援の金融の仕組みはあるが、SBはフィットしていない。ソーシャルな部分をターゲットにおくと市場性が高いとはいえず、銀行も貸し出ししにくいなど資金が十分回らない。それほど大きくなくともフットワーク良くお金が借りられる仕組みが必要ではないか。

永沢委員
コミュニティビジネスの中間支援として資金調達の相談はあまり受けたことが無い。地銀、信金でも資金ニーズがない様子であり、ファンドを作ったとしても借りるニーズはどの程度あるのか検討が必要である。ファンドによる資金支援だけではなく、トータルなハンズオン支援があって初めて活きてくるのではないか。
基本的にファンドの運用益を助成するのではなく、ビジネスという自覚を促すためには融資という形をとったほうが良いと思うが、担保の取り方やスキーム等については専門的に議論を深めていく必要がある。
市民バンク、市民ファンドの審査基準を分析したことがあるが、運用益が小規模なために、ハンズオン支援まで拡大できていない。また通常の銀行より資金量が少ないがゆえに厳しい審査となり、実際に借りにくいものとなっている。ソーシャルファンドは民間ベースの小規模ではリスクが高いため、政府系金融機関等しっかりしたところが実験的に実施していくなど、スキームをきちんと考える必要がある。

鈴木(均)委員
企業側としてはソーシャルファンドへの寄付は株主への説明責任の観点から難しく、投資なら可能かもしれない。

駒崎委員
資金ニーズは、レイヤーによって異なる。事業モデルの構築及びその展開を目指すような企業には資金ニーズがある。また説明責任については例えばジャパン・プラットフォームは経団連や商社の参加が見られる。
色々な地域ファンドがあると思うが、SBについては自ら収益性の低い領域で活動している部分があり収益性については限界がある。そこに対してリターンを求めていくとうまくいかないのではないか。

谷本座長
アメリカでもソーシャルベンチャーファンドは非常に少ない。ベンチャーなどで大成功した人がその資金をファンドに拠出していることはある。

井上委員
ファイナンスリターンは出やすい分野とそうでない分野があり、アメリカではそれを分けてファンドを組んでいる。例えば、インベスターズサークルという社会的企業向けのファンドではオーガニックチョコレートや補聴器ビジネス等ファイナンシャルリターンが出やすいものについて投資をしている。その他はベンチャーフィランソロピーとして、大金持ちによるファンドでソーシャルリターンでよいとしているところや投資を寄付と呼んでいるというようなところもある。
ノウハウをオープンにして事業展開しようとする場合に、事業ノウハウのパッケージ化には多大な労力とお金がかかるため社会的投資が必要なのではないか。
またアメリカの場合、Yahoo!など創業する人と事業展開する人が別な場合がある。事業の面的展開を考える場合に全てを起業家が背負うのは酷な部分があり、その場合は経営経験のある人が必要になるのではないか。

竹内委員
アンケートを行うと資金が無いなどの意見が多く出てくるが、そもそも経営ノウハウがないから、お金が足りなくなったりお客がいなくなったりするのではないか。この段階で資金提供をしてしまうと、失敗を大きくしかねない。まずは経営ノウハウをきっちり教えてあげた上でのファンドが必要と考えられる。
ファンドついては行政、公共的資金を中心に組成する必要があるのではないか。完全に民間から資金を集めるのは困難だろう。企業が損金参入が認められるから寄付するとは思えない。民間の金融機関からお金を集めるのであれば、アメリカのCRAのように強制的に資金供与するような形でないと難しい。ただし、相手先の選定にあたり関与する人数が多いと、最大公約数的な団体が選定されてしまう。個人的には関わる人間は少なければ少ないほど良いと考える。

熊谷部長
CB支援のためには、地域のネットワークが必要であり、その思いから今回の支援体制を構築しているが、そのスキームでは地域の協議会に有識者や専門家が集まり、その地域で解決すべき課題は何かによって優先順位が決まるという枠組みになっている。地域によって違うが、選定に関わるのは約20人(地域活性化推進協議会メンバー)。

町野常務理事
ファンドについては、社会的リターンの評価のあり方が検討を要する課題であり、評価指標づくりを進める必要がある。定量化には限界があるため、定性的な評価も交えて既に社会的企業の実績を持っている人や中間支援団体などが第三者として評価するという枠組みが考えられる。それによってオフィシャルな評価を与えて投資や融資を進めやすくすることが必要であり、国もその機能に関わることが期待される。
例えば環境技術などについては既に色々なベンチャーキャピタルが動いているが、社会・公共性が高いが事業性のバランスが難しい領域については公共的なお墨付きが必要ではないか。

井上委員
社会性については分野を絞れば評価がしやすい。例えば、アメリカのREDFではSROIという手法で社会的インパクトを金額評価しているが、社会的弱者を雇うSBに限定して投資をしていたので創出された雇用によってどれだけ税金の節減につながったかという評価が可能だった。
評価がないことの問題点は、撤退のタイミングが見えないこと。ニーズがあるからといって、バーンアウトするまでやってしまう。

谷本座長
社会性評価についてはイギリスなどでも検討されている。いいことだからということだけでお金を集められるものではない。またただ資金さえあればよいということでもなく、マネジメント支援やハンズオン支援が必要。その意味では地域地域でプロフェッショナルな人々をネットワーキングすることが重要。政府が大規模なお金を投入しても、補助金がなくなったら終わってしまうということがこれまでもあった。また現場からはなかなか出にくいかもしれないが法人格の議論も必要であろう。これらを踏まえた支援策を考える必要がある。

以上

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最終更新日:2007年12月17日
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