経済産業省
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ソーシャルビジネス研究会(第6回)-議事録

日時:平成20年3月28日(金)15:00~17:00
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席委員

谷本座長、井上委員、佐野委員、鈴木(均)委員、鈴木(政)委員、曽根原委員、竹内委員、土肥委員

議事概要

資料説明

「ソーシャルビジネス研究会報告書(案)」について事務局説明

意見交換

谷本座長

  • パブリックコメントを1ヶ月実施して、いくつかフィードバックがあった。根本的にはコミュニティビジネスあるいはソーシャルビジネスというものを政府の中で本格的に議論して支援していくことについて、おおむね賛成のご意見があったと思う。
  • 本日の研究会が終われば、報告書を経済産業省に提出することになる。本報告書は、平成20年度、21年度以降の実際の施策につなげていく際の基本になる。先程の事務局説明を受けて、ご意見等を賜りたい。

佐野委員

  • パブリックコメントでも指摘があったが、ソーシャルビジネス支援の背景の部分が気になる。例えば「少子高齢化の進展、人口の都市部への集中、ライフスタイルの変化等に伴い」という書き方になっているが、あたりさわりのない表現が並んでいる印象を受ける。
  • 例えば、若者の就労環境が相当変化しているので「若者の就労環境の変化」と入れるともっとビビッドになると思う。
  • 前回の委員会で地域的課題と社会的課題が混ぜられている、との指摘をしたところ、だいぶ整理されたが、例えばさらに社会的課題の中に貧困問題というのを入れてはどうか。
  • 社会的企業が出てくるのは、社会的課題の解決のためである。ソーシャルビジネスが新たな「働き方」であるとの記述があると違和感を覚える。「新たな社会的な活動のかたちや働き方」とすれば説得力が出るのではないか。
  • 制度の問題については委員の方々にCICのような法人格について検討することについて異存のある方はなかったと思うので、もっと素直に表現していただきたい。
  • 韓国では、社会的企業の育成支援の動きが盛んであると聞く。10年位前までは日本の社会制度を勉強して取り入れていたが、最近は韓国のほうが動きが早い。韓国の例なども入れながら書いていただけたらいいのではないか。
  • ファンドについては、27ページに「有効である」と記述されているが、「必要である」とストレートに書いたほうがいい。

谷本座長

  • 背景については、背景分析そのものが研究会の目的ではなかったので、さらりと書いている。佐野委員のご指摘を入れることは問題ないと思う。
  • 韓国については、実は研究会として調査に行った。
  • ファンドについては「有効である」という書き方を「必要である」と書いても問題はないと思う。

井上委員

  • パブコメや産構審での意見について、基本的にポジティブな反応があったと理解した。
  • 報告書内容について、多くの方は共感されるだろう。ソーシャルビジネスはまだ脆弱だが、多くの人にそれを評論するのではなく自らお金を出し、自らの技能を使って応援して欲しい。自分もいろいろな人がお金もしくは自分の技能、時間などを出し合う仕組みを具体的に見せていきたい。

竹内委員

  • ソーシャルビジネスそのものの認知を高めていくことと同時に、ソーシャルビジネスが取り組んでいる社会的な課題に対する理解を深めていく必要があると思う。例えばホームレスやニート、障害者の問題に対して、自分に関係ないと思っている方がたくさんいる。そのような状況を変えていくために、社会的問題に対して関心を持ってもらうようなPRをしていただきたい。
  • 中小企業でも障害者雇用をやってみたいと思っている方が、少なからずいらっしゃる。そういった方々に対して、少しでもヒントを示すことが、実際の動きにつながる。ソーシャルビジネスの成功事例を示していければよい。

永沢委員

  • だいぶ伝わりやすくなったと思う。竹内委員の発言のように、一般の人にとっては、これはなんだろうと思う部分がある。事例がまとめられるとより伝わりやすくなる。
  • ソーシャルビジネスというのは、単なる一つのビジネスのあり方とか経済学や雇用の話ではなく、将来の日本の文化、あるいは日本のあり方につながっていく要素が入っていると感じた。
  • ソーシャルビジネスの定義のうち、革新性の考え方について質問したい。例えば介護事業について革新性という要素はないと感じている方がいたが、そのような隣でやっている福祉の仕事とあまり変わらない場合、あるいは新しく他の地域で展開した場合、その革新性をどのように伝えればよいか。

谷本座長

  • 一般の人の理解をどう深めるか、報告書のなかにも出ているが、成功事例をまとめることがひとつだろうが、経験を積まれた方々が直接出向いて可能性を語るというPRの方法もあるだろう。
  • ソーシャルビジネスの担い手は団塊の世代もあるだろうし、あるいはもっと若い世代もなりうる。今キャリア教育というのは大学生が中心だが、小中学生などにも働き方について教育していく事業があれば示せればいいと思う。
  • 革新性については、他の地域で実施している事業の模倣から始まっても、その地域のスタイルにあったやり方で、自分たちなりのアレンジを組み込んで、細かな工夫が積み重ねられていると思う。それもイノベーションといえる。

井上委員

  • 革新性と新規性は違う。新規性を問われると苦しくなる企業家はたくさんいる。例えばソニーのウォークマンは市場を大きく支配し、その結果、音楽や生活のあり方、人々のライフスタイルが変わった。社会的イノベーションはこういった社会的アウトカムに関わる。
  • ソーシャルビジネスは、例えば小さな地域で一つ何かやったことが、他の人のモデルになって広がっていく。それぞれの事業規模は小さくてもそれが束となって、最終的に国民の生活の仕方、ライフスタイルの変化に貢献していれば、革新性を帯びているといえる。

土肥委員

  • 一番初めのパブリックコメント、自治体の方からのご意見は気になったところがある。「ソーシャルビジネス=コミュニティビジネスから地域性を引いたものでいいのではないか」とあり、現状ではそのような捉え方をされるのだと冷静に思った。個人的には、ソーシャルビジネスという概念は、NPOやコミュニティビジネスをベースとしたものだけでなく、一般企業の社会的事業も含めて、もう少し幅の広いものとして捉える必要があると考えている。
  • 報告書には、日本のビジネスセクター全体が、多様化しつつある社会的課題の解決に積極的に取り組まなければならないという新しい方向性、メッセージが含まれているべきであると思う。

鈴木(政)委員

  • 背景のなかの記述に、「行政の協働パートナーとして」とあるが、シンクタンク、大学等だけでなく、NPO法人でも専門的な団体が出てきている。いくつかの企業と協働で研究開発もしている。日本でもそういう時代に入ってきている。行政だけではなく、企業との協働ということも明示的に入れていただきたい。

鈴木(均)委員

  • ソーシャルビジネスは行政の協働パートナーだけではなく、企業、特に大企業のパートナーでもある。
  • 「社会的課題を、ビジネスとして積極的に事業性を確保しつつ、自ら解決しようとする活動が注目されつつある」という記述があるが、企業の社会的責任(CSR)の動きは、事業活動を通じて、社会の課題を解決、貢献していくという考え方であり、企業の活動もこのような動きになりつつある。ソーシャルビジネスとは市民の主体的な動きが特徴だと思う。したがって、「市民性」のような考え方を入れると、企業側の人たちに分かりやすくなると思う。

曽根原委員

  • 先日の産業構造審議会で本報告書に対して「絶好のタイミング」とコメントされたことに同意する。2008年ぐらいには社会の環境が全般的に悪化するのではないか、パラダイムチェンジが必要になるのではないかと予測していた。
  • この報告書が出たあとは実行するだけ。人、地域、国で役割分担をして実施していくことが重要である。
  • 実施の際、施策のPDCAが掲げられるが、エンジンのかからないPDCAというのがよくあるので、よくプッシュしてきちんと回るPDCAサイクルを確立する必要があると思う。

高橋部長(日本商工会議所)

  • 初めてソーシャルビジネスという考え方を世の中に打ち出していただいたのはありがたい。コミュニティビジネスとソーシャルビジネスの定義について当初から議論があり、これからもあるだろうが、事例集をまとめると違いや類似性が見えてくるかもしれない。
  • 報告書の中にも、私どもの経営指導等について触れていただいている。創業支援や経営指導に関しては、ソーシャルビジネスへの支援策を中小企業や零細企業への支援策の拡大版として捉えたい。各省庁の既存支援策をソーシャルビジネスというコンセプトで広げれば大変な力になると思う。
  • ソーシャルビジネスの考え方が分かる経営指導員等、サポートする側の人材育成も必要であると思う。

井上委員

  • アメリカや韓国では、デザインの力を使って社会的イノベーションを起こそうという動きがある。スタンフォード大学のデザインスクールなどが一例として挙げられる。
  • これまでの経営支援は会計・経理など、左脳的なサポートばかりを対象としていた。ところが消費者の実際の購買活動は右脳で決めていることが多いのではないか。ソーシャルビジネスというのは基本的に人を巻き込まないと、動かないビジネスであると思う。今後のソーシャルビジネス支援の内容に、デザインや創造性教育を取り入れることが大切である。

杉山主幹(我孫子市)

  • 今後は、誰がどのように行動していくのかが重要である。その際、経済産業省だけが行動すればいいのではなく、都道府県、市町村のレベルでなにをやるかということも具体的に考えていかなければならない。関連する様々な主体はまだ理解がない状況なので、それらの主体に対して誰がどのように働きかけていくのか考えなければならない。

谷本座長

  • 社会的課題とは、経済産業省の地域経済産業グループだけにかかわるものではなく、さらに厚生労働省や環境省など多分野にわたる。具体的な課題に落とし込んでいくと必然的に広がりをもち、そこにはそれぞれの省庁の中での支援がありえる。
  • 国民生活審議会での安心生活プロジェクトのなかでも、「働く」というワーキンググループでも、「暮らし」というワーキンググループでも、働き方、社会的事業のあり方についてうたっている。少しずつ広がりを持って議論が進んでいくと思う。

黒岩副室長(内閣府)

  • 地域活性化の関係では、ソーシャルキャピタルという考えで地域における担い手のネットワークの形成支援を、他省庁にお願いしたり、連携したりして内閣全体で進めようとしている。
  • 20年度に向けては、地域活性化の主体として企業をきちんと位置づけていこうと考えている。「地方の元気再生事業」に新規で25億円ほど予算を確保して取り組むことになっており、企業を含む地域の担い手の取組みを支援対象としている。
  • 地域再生法の改正が通れば、地域的な問題への解決に取り組む担い手の方々が集まって、地域再生協議会を設置する際、民間からの提案に対して地方公共団体に、より積極的に対応していただく仕組みになる。
  • 地域の金融機関に対して、地域の問題の解決のために活動する企業に対する融資を行う際の利子補給制度を新設すべく準備している。
  • 従来からの地域の取組みを、国が余計な方向性を示さずに、何でも支援できるような形にしていく。その中に従来非営利法人とか公益法人に限られていた制度を、できるだけ企業の取り組みも含めて支援できるような形にしていく。こういった支援策を今回の研究会の報告を生かした方向で対応できるように努力したい。

谷本座長

  • 今いただいたご意見のなかには修正を加えることが可能な部分もあったと思う。事務局と相談して修正したい。最後の修正を座長に一任していただきたい。

佐野委員

  • 先ほどの鈴木委員の発言で、大企業のかたが市民性とおっしゃったが、今後非常に重要なキーワードになると思う。そこで市民性の中身について考えた。1つは当事者性、2つ目に社会参加性。そして3つ目として、市民自らが企てる、業を起こすという捉え方がある。NPOは自己満足のためと言われてきた面があるが、自分の生きがいのためだけでなく、社会のために業を起こすのが本来のボランティアの趣旨だと思う。
  • 3つ目の議論の我が国における発端の一つがソーシャルビジネス研究会の議論であったという位置づけになるとよいのではないか。

谷本座長

  • 市民の自発的な動きが組織化されていく、英語で言えばVoluntary Associationということ。企業も、もともとはそうだが、組織が大きくなるにつれ個人が埋没してしまう部分があるかもしれない。いまはCSRということで企業の本来持つミッションの見直し、社会との関係の見直しが議論されていると思う。
  • 今回、理論的な部分や背景について深く議論することはあまりせず、具体的な施策につなげ、次に進めていこうという考え方からこういう形で取り組んできた。

竹内委員

  • ソーシャルビジネスの定義は融資制度を作るときは重要になる。先ほど井上委員や谷本座長が言われたような革新性でよいのであれば、書き方を工夫していただきたい。例えば狭義の革新性と広義の革新性について触れ、ここでの革新性は広い意味だということを明示して欲しい。
     

資料説明

「平成20年度関連予算事業」について事務局説明
 

意見交換

井上委員

  • 基本的には賛成である。ただ、今回わざわざソーシャルビジネスという言葉で検討してきた目的として、普通のビジネスマン、あるいは行政回りのことに全く興味を示さなかった人たちを巻き込むことがあるはず。このような人たちは、従来のまちおこし、コミュニティビジネス支援と打ち出すと、自分たちの話と思わない。いかに彼らをひきつけるかを考えなければならない。マーケティングの発想で文言を考えていかなければならない。
  • 「100選」は見られないと思う。事例をどのような選考基準で選んでいくかが重要である。世界で社会企業支援をしているアショカでも、本当にいい企業家を見つけるのはとても苦労している。
  • 評価のものさしに関しても、具体的になると非常に苦労するだろう。分野、組織形態によって異なる。例えばチャリティー・ナビゲーターというサイトでは、説得力のある財務データを示している。株主的な発想を持っている人たちに説得力のある指標を出している。この数字を集めるという部分に関して、国ならではできることがあると思う。
  • 人材育成に関しても、中間支援組織が重要であり、育成の内容が非常に重要であると思う。
  • 3つ目の他地域展開については、スケールアウトについての研究を始めているので、今後も一緒に検討していきたいと思う。

永沢委員

  • 評価とか情報公開ガイドライン、「100選」等は個人的に面白いし、重要であると思う。その際に地域性のバランス、都市と地方のバランスを考えた上で、国だけでなく地域の金融機関などの意見を取り入れながらまとめて欲しい。
  • コミュニティビジネスや事業型NPOの世界で自立したプレーヤーとなりうる人材はなかなかいない。いきなりプレーヤーになるのは難しい。一方で、例えばシニア層は貯金があるけれども使いたくない、あるいは多少使ってもいいけれども今から行動を起こすほどのモチベーションがない。しかしこのような人々は、誰かがやるのだったら、少しくらいお金を出してもいいというサポーター意識が高い。プレーヤーを育成するだけでなく、サポーターとしてソーシャルビジネス、コミュニティビジネスの世界にかかわれるような基盤を作れないか。
  • この世界でやっていきたいと飛び込んでも、例えばお金を借りるのも自己責任、社会保障も自分で保険に入らないと、社会としては担保されていないなど、本人の自己責任になってしまう要素が多い。社会的なバックアップの体制がないなかで、ソーシャルビジネスを広めて、何かあったときに社会としてどう保障していくのか、社会的環境をつくることにも踏み込んだ議論をしてほしい。

竹内委員

  • 人材育成の中で「成功したCB/SBが」の部分について確認したいのだが、成功したところが自分のところのノウハウを抽出して、それをこれからやる人たちに教えてあげるというイメージなのか、インターンシップとして受け入れて、OJTで教えていくのか。

山本課長

  • 他地域展開というのは成功したビジネスモデルを、他地域へ展開していくイメージを持っている。具体的には成功したソーシャルビジネスが、他のソーシャルビジネスなりコミュニティビジネスなりにノウハウを伝授し、そのビジネスモデルを移転して、他の地域で実施するイメージで考えている。移転の仕方、あるいは育成の仕方は、例えば専門家のアドバイスを受けながら、モデルのノウハウなどを抽出して移転をするといったことを考えている。むしろ事業者からの提案を受け付けて、いいものを採択して実施していくやり方になると思う。
  • 後者の村おこしは、人材に着目した事業なので、実際の地域に出向いて研修を行うようなやり方もあると思う。

竹内委員

  • 前者の方式だと、自分のところが開発したノウハウを教えるモチベーションがあるかどうかが問題になる。なかにはそんなことまでしたくない、あるいはしたい気持ちはあるけれども人的、経済的に余裕がない、というケースもあるだろう。教わりたい方が成功している側に行って、実務経験を積むほうが良いのではないかと思う。
  • インターンシップなどは一般のビジネスでも行われているが、受け入れるコストが高くて割に合わない、という声もある。企業の社会的責任として受けているだけという形にならないように、とくにソーシャルビジネス、コミュニティビジネスは利益が大きくないので手厚い補助が必要になると思う。

谷本座長

  • ノウハウを提供しえる側の余裕がない場合はあると思う。ビジネスモデルを抽出して教えたいけれども手がない、という場合は、どのようにフォローされるのか。

山本課長

  • そういったケースでは、外部のアドバイザーや専門家がビジネスモデルの抽出をする。予算事業の形態としては、外部の専門家も含めて移転を行う手法を認めた形にしている。

井上委員

  • この点は重要だと思う。例えばビッグイシューは他地域へ展開しないと、ミッションであるホームレスの自立は図られない。しかし人材育成の面で、他地域までケアすることはできない。
  • その意味ではビッグイシューという有限会社がその収益の中から、ホームレスの方が育っていくためのトレーニングのフィーまで背負う構造は、普通の企業と異なっている。人材育成にパブリックのサポートが必要だろう。補助というよりも公的な責任でプログラム化してやっていくべきである。

佐野委員

  • 古典的な手法が並んでいるというのが、個人的な感想。業界づくりに終わらせないためにも、今後は、誰がどんな具体的な手法を使ってやるのかが議論になると思うが、そのときに先ほど申し上げた市民性の3つを基準に施策を進めていただくことをお願いする。

勝野審議官

  • 昨年9月より6回にわたり研究会を開催した。今、社会的に注目されているテーマであり、新しい分野であるので、古典的な手法とのご指摘もいただいたが、トライアンドエラーで一歩一歩進めていきたい。また先進的な手法に切り替えていくべく努力をしていきたいので、その過程で引き続き、ご指導、ご支援をいただきたいと思う。有難うございました。

以上

 
 
最終更新日:2008年5月14日
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