経済産業省
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産業遺産活用委員会(第2回)‐議事要旨

日時:平成19年7月12日(木曜日)14時~17時
場所:法曹会館2階「高砂の間」

議題

  1. 産業遺産の認定に係る公募の結果及び取りまとめストーリー案について
  2. 現地調査の実施について
  3. その他

出席者

西村座長、清水慶一座長代理、加藤委員、小風委員、島田委員、清水愼一委員、丁野委員、松尾委員、村橋委員、矢澤委員

議事概要

1.資料1により公募結果の概要、資料2の要点を事務局より説明。その後、選定の観点、ストーリーのバランス、取り上げた遺産群の妥当性について自由討論。委員からの主な発言概要は以下のとおり。

  • この選定は、地域に対し「価値に気付かせる」「安易に壊させない」「勉強」「活用」といった役割がある。活用というのは、見ていただいてコミュニティビジネスに活かしてもらうことだが、遺産の周辺にあるものも拾うべきではないか。産業の周辺には、運搬、娯楽、エネルギー、生活などがある。煉瓦には運搬が付随するし、肥薩線の嘉例川駅には現在も当時の駅舎使われ、残されている。活かしていくという意味で、そういった周辺までストーリーに組み込んでいって欲しい。
  • 本当に価値のあるものが網羅されているか疑問である。例えば、煉瓦も面白いものが載っていると思うが、全国レベルで煉瓦の建造物を見た場合にもっと取り上げるべきものがあると思う。碓氷峠の第3橋梁や法務省などまだまだたくさんある。
  • 今回取り上げる遺産群は地域の「感動資源」だと捉えている。コラム欄に人物の話が取り上げられているが、人が技術を繋ぎ伝播するという面があるので、人を軸にストーリーを組むことを考えても良いのではないか。また、環境やエコという観点から、現在別々のストーリーになっている別子・足尾・日立を公害克服や環境アセスメントの歴史として繋ぐこともできる。組織とモラルという観点では、桐生足利の絹織物業の発展には、足利友愛義団という現在の商工会議所のような組織の役割も大きい。また、現在広域的に地域を繋いでストーリーがつくられているが、地域のシンボリックなものを取り上げることもできる。例えば、秋田~新潟を繋いでいる石油について、弥彦などでは、秋田杉を用いたやぐらが宮大工によってつくられていた。このため、農村にもかかわらず宮大工がつくった宮づくりの民家が残されている。こういった観点から編集すると感動資源として理解を深めてもらえるのではないか。
  • この委員会は地域の活性化が目的であり、純粋な学術的価値だけではなく、小さいところも拾ってあげたら良いのではないか。富国強兵も取り上げると裁ききれないのではないか。
  • 鉱山など地域没落の象徴のように捉えられているものを組み込むことによって、地域の人に自信を持ってもらうことが大切である。確かに文化財的価値のあるものはたくさんあるが、この委員会では地域が活用していこうとしているところを拾うことが大切である。
  • 鉄道が抜けている。鉄道があればレールがある。レールは鉄で出来ている。鉄の話と結びつく。鉄道は日本の国中を1つにしたという意味で1つ入れる必要があるのでは。
  • 鉄道を含めると広げすぎのような気がする。富岡の碓氷峠は、初めて峠越えをして作った鉄道の遺構がある。そういったものは富岡と結びつけて組み込める。
  • 殖産興業と富国強兵は当時の日本において表裏一体である。殖産興業ばかりに注目するのは偏りがあるように感じる。碓氷峠も兵員輸送である。
    また、北海道の食品加工については、酪農をもっと入れるべき。サイロの風景や北大の大農場など。
  • 産業にどれくらい貢献したかという観点なので、きっかけは兵員輸送でつくられた鉄道であっても、結果として産業の発展に大きく貢献したのであれば組み込んでいく。
  • 鉄について、反射炉は銑鉄を溶かすもの。溶鉱炉とは違う。反射炉と高炉では直接的な技術的連続性はない。動力についても、たたら~水車~蒸気~電気という発展の推移がある。日本では機械産業が素材産業を牽引した。例えば、長崎造船所では溶鉄や機械産業も行っていた。
    日本の造船の歴史において大切なポイントは、鉄の蒸気船をいかにつくったかということである。和船から洋船へのプロセスは注目すべきものがある。集成館は造船所であり、洋式艦をつくるために繊維やガラスなど多様な産業に取り組んだ。兵器産業や機械産業は他の産業を牽引した。
  • 4煉瓦について、現在赤煉瓦しか入っていないが、白煉瓦も大切である。大島高任が苦労したのは耐熱煉瓦であり、煉瓦があったから反射炉を作ることができた。品川白煉瓦株式会社や岡山にある九州耐火煉瓦株式会社の礎となった。白煉瓦は無視できない。
    また、窯業という意味では板ガラスを入れるべきではないか。岩崎俊哉が旭硝子をつくったことや、建造物の立場からみても大切である。
  • 北海道の部分に小樽鉄道があるが、室蘭の製鉄所と製鋼所がない。小樽を取り上げるならば小樽港やそれをつくった廣井勇先生の話を入れて欲しい。
  • 7について、紙を作るにはソーダが必要。ソーダは板ガラスにも必要であり、様々な産業とつながっている。ソーダを入れてはどうか。
  • ストーリーに組み込めなかったリストに大湊が出ているが、捉え方が難しかったのかとも思うが、もったいない。小樽などと港湾としての一体性等で結び付けられないか。
  • 足尾等の鉱山について、今回選定された場合、坑道をどの程度開放するのか。保安上の問題もあると思うが。
  • 鉱山については、採掘~精錬~運搬まで総合的に見てもらわないと分かりにくい。スウェーデンのファルン鉱山ではそういった一連の見せ方をしている。日本の産業遺産は点でしか評価されておらず、海外の事例に学び、線的にさらに面的に評価していかなければならない。
  • 坑道は産業観光のはしりである。佐渡は鉱山町で、鉱山~町~港があの範囲に集まっているところは稀である。都市との繋がりや、鉱山と結びついた生活、そういった部分がないと「感動遺産」の感動への入り口が狭まってしまうので、佐渡は良い事例だと思う。佐渡の鉱山主が能楽師だったことから佐渡に能が根づいているという文化的側面もある。
  • 20で写真が掲載されているガラ紡績機は展示のために動かしているものだが、豊田には現在も稼動しているものがある。あまり知られていないから、そういうものにも触れて欲しい。
  • 20については、紡績→自動車→航空機などといった他産業への展開性を示すことが重要。多様な産業への展開が集密に起こっていることがこのストーリーの特徴である。
  • 木曽川流域の発電所は地元が頑張っているし、入れてはどうか。
  • 大垣の揖斐電も、洪水対策から発電、そして鐘紡を誘致した、という流れがある。
  • 本地域の余剰電力の利用によって日本特殊鋼が生まれている。
  • 中之島の橋梁群が挙げられていない。産業を支えた橋というのは取り上げにくいのか。他の地域、例えば東京隅田川の橋梁群も取り上げても良いのではないか。また、港についても、神戸や横浜があって、函館、長崎、小樽などがないのは、バランスを欠く気がする。これらが全くこぼれてしまうのはもったいない。
  • 海洋国家である日本として、港湾は非常に重要である。海軍と鉱工業、石炭産業は切り離せない。長崎修船所でも製鉄をしていた。造船~海運~港湾、鉱山~鉄道~港湾といった流れが考えられる。
  • 都市計画を含め土木遺産的なものをどう扱うのか、全体として考えて頂きたい。淡山疎水群が組み込まれていないのはもったいないと思う。
  • 21の島津製作所については、21にある他の遺産が全て水に関連することを考えると、23に入れたほうがまとまりが良い気がする。
  • 28の八幡製鉄所について、鉄道と運河の話が抜けている。鉄と石炭産業は必ずしも結ばれるものではなく、結ぶには鉄道の存在が不可欠である。北九州市史跡である茶屋町橋梁や門司の鉄道記念館、河内ダム、南河内橋などを入れるべき。
  • 28について、近代石炭産業はまず蒸気燃料として発展した。八幡製鉄所が始まったときには石炭は既に開発され、炭鉱の町ができていた。
  • 28について、佐賀県筑後川にかかる昇開橋を入れて欲しい。ブリヂストンのタイヤ等を運んでいた。
  • 炭鉱の歴史が海洋炭鉱から始まったのは世界的にもあまりなく、日本の特徴である。軍艦島など。これは、交通網が陸より先に海で出来上がったことを示している。
    また、集成館は最初のコンビナートであるが、軍事的な役割が大きい。蒸気を最初に使ったのは画期的であり、軍艦を造ることが最重要課題であった。集成館をどう位置づけるか、薩摩の果たした役割を考える上で重要なポイントである。その後は、薩摩藩から五代友厚が留学の後長崎の修船所を作ったこと、札幌の工場群は集成館がモデルになっていること、生野銀山の近代化に携わった技師は薩摩藩が招聘したことなど、色々なところで薩摩の果たした役割は大きい。
  • なぜこれを入れてこれを入れなかったのかと問われたときに明確に答えられるようにしたほうが良い。煉瓦の建造物群の中に東京駅があるのは違和感がある。
  • 港湾を入れるのであれば灯台を入れるべきだし、反射炉ならば砲台を入れるべきである。これらは軍事遺産ではあるが、重要だと思う。

2.現地調査について、資料3の要点を事務局より説明。今後のスケジュールについて事務局から説明を行い、7月末から8月頃にかけて現地調査を行い、とりまとめ等の第3回委員会を9月に開催する予定である旨を説明。現地調査については後日事務局から連絡を行い、第3回委員会については9月13日(木)に開催することを各委員了解のもと決定した。現地調査について委員からの要望等は以下の通り。

  • 建物を外から眺めるだけでは不十分。地域の方の話を聞きたい。こういった遺産を活用していくにあたって、地域の人が主体になってもらわないといけない。特に近代遺産の場合、自分の祖父や父が働いていたなど実感があり、愛着を持っている。「官営の工場があって重要です」では実感がない。ヒアリングの際には地域がどう思っているか、地域での位置づけを聞いてきてほしい。

文責:地域経済産業グループ地域経済産業政策課

 
 
最終更新日:2007年10月30日
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