経済産業省
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産業遺産活用委員会(平成20年度第1回)-議事録

日時:平成20年7月18日(金)15:30~17:30
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室

議題

  1. 委員会の公開について
  2. 昨年度事業と今年度事業の進め方について
  3. 公募ストーリー(案)について
  4. その他

出席者

西村座長、赤崎委員、清水(愼)委員、藤井委員、布施委員、堀井委員、松尾委員、松平委員、村橋委員

議事概要

  • 事務局松井

    ただいまより、「平成20年度第一回産業遺産活用委員会」を開催します。本日の司会を担当します、株式会社プレック研究所の松井です。よろしくお願いします。

    初めに、本委員会の開催に先立ち、本委員会の趣旨等について、大塚大臣官房審議官よりごあいさつをお願いします。

  • 大塚審議官

    皆さん、大変ご多用にもかかわらず、「平成20年度第一回産業遺産活用委員会」にご参加いただき、ありがとうございます。近代化産業遺産の背景としては、地域の活性化に向けて使っていただきたいということで、地域の人々にとっては、観光や地域活性化に有用な種になっているのではないかと考えています。

    このような趣旨で、昨年度は西村委員長のもと、非常に活発な意見交換をしていただき、「近代化産業遺産群33」を策定しました。この冊子は、非常に評判がよく、第二版に突入しています。第二版も、そろそろ底を突くということで、古屋企画官以下、心血を注いで作りましたので、うれしい限りです。

    この中に含まれている575の近代化産業遺産を甘利経済産業大臣が認定しましたが、この認定を契機とし、「維持・修理の経費が県から手当てされた」とか、「観光ルートに新たに組み入れられた」という非常にうれしい動きも出ています。

    引き続き、今年度も新たに33の近代化産業遺産群を策定することにしています。また、この委員会において、皆さんの有益な意見を賜りたいと思っています。今年もよろしくお願いします。

  • 事務局松井

    ありがとうございました。こちらから、席順に委員の皆様の所属と名前を読み上げ、それをもって紹介とさせていただきます。

    株式会社エイ・ワークス代表取締役の赤崎まき子委員です。

  • 赤崎委員

    赤崎です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    株式会社ジェイティービー常務取締役の清水愼一委員です。

  • 清水委員

    清水です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    東京大学先端科学技術研究センター教授の西村幸夫委員です。

  • 西村委員

    西村です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    株式会社山と渓谷社書籍編集局書籍部編集長の藤井文子委員です。

  • 藤井委員

    藤井です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    トヨタテクノミュージアム産業技術記念館館長の布施直人委員です。

  • 布施委員

    布施です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    財団法人大阪21世紀協会理事長の堀井良殷委員です。

  • 堀井委員

    堀井です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    独立行政法人物質・材料研究機構材料データベースステーション外来研究員の松尾宗次委員です。

  • 松尾委員

    松尾です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    立教大学客員教授の松平定知委員です。

  • 松平委員

    松平です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    社史研究家の村橋勝子委員です。

  • 村橋委員

    村橋です。よろしくお願いします。

  • 事務局松井

    本日は所用により欠席ですが、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科教授の小風秀雅委員、独立行政法人国立科学博物館産業技術史資料情報センター参事の清水慶一委員、社団法人日本観光協会総合研究所所長の丁野朗委員、作家の西木正明委員の4名も、本委員会の委員に就任しています。

    また、外務省広報文化交流部国際文化協力室長の斉藤純様、文化庁文化財部記念物課課長の内藤敏也様、文化庁文化財部参事官の大和智様、国土交通省総合政策局観光資源課課長の水嶋智様がオブザーバーに就任しています。本日は、大和様、内藤課長代理の山下様、水嶋課長代理の渡邊様がおみえです。

    審議に入る前に、本委員会の座長を互選により決定したいと考えています。特に委員からの発言がなければ、事務局からの提案として、昨年に引き続き、本委員会の座長には東京大学先端科学技術研究センター教授の西村幸夫委員に就任していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

    (「異議なし」の声)

  • 事務局松井

    ありがとうございます。これからの議事進行については、西村座長にお願いします。

  • 西村座長

    西村です。よろしくお願いします。昨年度は、大変活発な意見をいただき、非常に立派な報告書ができました。今年は新しいメンバーも加わりましたので、また同じように活発な議論をお願いします。

    審議に入る前に、座長代理を指名します。座長代理には、私が不在時に議事の進行を代行していただきます。今日は欠席ですが、建築技術史の専門である国立科学博物館の清水慶一委員を指名したいと思います。

    (「異議なし」の声)

  • 西村座長

    ありがとうございます。議事に入ります。本日は議事が五つあります。「資料1」に関しては、公開についての確認。「資料2」と「資料3」で、昨年度の委員会の流れと、その後の各地の動きについて、また本年度分の進め方について、経済産業省から説明があります。「資料4」を用いて、本題である新規ストーリー案について、事務局からの説明のあと、皆さんにコメントをいただきます。なお、今日は第一回目ですので、オブザーバーを含めた委員全員に発言をいただきます。五十音順に指名しますので、心の準備をお願いします。

    「議事1.産業遺産活用委員会の公開について」、事務局から説明をお願いします。

  • 事務局松井

    議事に入る前に、資料の確認をします。本日配布の資料は、「議事次第」、「委員名簿」、「座席表」、「資料1、2、3」とあり、「資料4」はA3の一枚紙です。参考資料としては、「対談・近代化産業遺産」と、昨年度取りまとめた報告書とビジュアル版の2冊を用意しています。

    「資料1」は、産業遺産活用委員会の公開についてです。昨年度は非公開の委員会でしたが、今年度からは公開の委員会になりますので、その点の確認をお願いします。

    本委員会は公開とし、原則、開催日の1週間前までに開催の通知をします。会場の収容可能人数により、傍聴を制限する場合があります。

    配布資料、議事要旨及び議事録についても、すべて公開します。

    配布資料については、委員会開催当日に公開を予定しています。

    議事要旨については、無記名とし、事務局の文責のもと、原則、委員会開催後3営業日以内に公開します。公開にあたっては、速報性にかんがみて、発言内容等を適宜省略します。

    本議事録については、委員会開催後1カ月以内に発言者の了解を得たうえで、記名により公開します。このようなかたちで、今回は公開の委員会になりますので、よろしくお願いします。以上です。

  • 西村座長

    ありがとうございます。本委員会の公開について、何か異議はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。以後の委員会は、これに従って進めます。

    「資料2『近代化産業遺産群33』について」、及び「資料3平成20年度産業遺産活用委員会の進め方について」、経済産業省から説明をお願いします。

  • 経済産業省古屋企画官

    「資料2」と「資料3」について説明します。「資料2」は、去年からこんにちまでの動きです。「資料3」は、この委員会の進め方です。

    「資料2」を見てください。「1.事業の趣旨・概要」について。昨年、地域活性化の観点から、各地に存在する近代化産業遺産を掘り起こし、その価値の普及を通じて、「地域が元気になる」、「地域活性化の種になる」という趣旨で、19年度の産業遺産活用委員会の有識者の意見を聞きながら、「33の近代化産業遺産群」、「33のストーリー」を策定しました。

    これを構成している575の近代化産業遺産については、地域活性化に役立つ近代化産業遺産として、経済産業省が認定をしました。「地域活性化のための事業」という位置付けです。

    「2.『近代化産業遺産群33』策定にあたっての留意点」が四点あります。「(1)産業史・地域史を軸としたストーリーで『群』に取りまとめ」は、これにより、遺産の価値・意義を明確化し、伝えやすいものにする。あるいは、それぞれの遺産間の広域連携を推進する意味もあります。「(2)建造物だけでなく機械等の動産も対象」、「(3)遺産ごとに『文化財指定・登録状況』、『公開状況』を記載」、「(4)構成遺産(認定対象)は、幕末から戦前にかけて、わが国産業の近代化を支えた工場・機械等とするが、これに該当しないものについても、必要に応じ『コラム』で取り上げる」、以上の四点が、昨年度の「近代化産業遺産群33」の取りまとめにあたっての留意点です。

    「3.『近代化産業遺産群33』の策定等の経過」は、昨年度は4月10日に第一回産業遺産活用委員会を行い、その後、公募をし、7月12日に取りまとめ素案を提示し、その後、現地調査を行い、2回の議論ののち、10月末に取りまとめました。それを基に、11月30日に、「近代化産業遺産群33」のストーリー版及びビジュアル版の公表、認定証等の交付式とシンポジウムを横浜港で開催しました。

    「4.認定後の各地の動き」については、宇野から説明をします。

  • 経済産業省宇野氏

    宇野です。各地の活用の状況等について報告します。575件の認定対象の所持者に調査をし、その中で、プレートの設置例や具体的に活用している例を取りまとめました。

    「(1)認定プレートの設置例」は、全国150カ所で、「認定プレートを設置した」という報告がありました。写真は左から、秋田の小坂鉱山事務所、松戸市の柳原水閘、日光市の金谷ホテルです。小坂鉱山事務所は、重要文化財プレートの下に設置し、柳原水閘は、台座を作成して見えやすくしています。金谷ホテルは、お客様の目に付くフロントのところに設置している例です。このほか、さまざまな設置例の報告がありました。

    「(2)一般公開された例」として、王子製紙苫小牧工場から報告がありました。認定を機に、社員向けパネル展を開催しました。さらに、認定された工場施設6カ所を回る一般市民向け見学会を開催し、各定員40名、事前申し込み、無料で実施しています。工場側としては、市民にも工場の歴史を知ってもらうよい機会として、これまでは一般公開をしたことのない施設も今回の見学会に含め、参加者には好評だったということで、今後も折々に開催していきたいという報告がありました。

    「(3)観光プランが設定された例」として、北海道の雄別炭鉱、明延鉱山、岡山県高梁市の三つを挙げています。

    北海道の雄別炭鉱は、大手旅行会社により、雄別炭鉱・釧路湿原など産業遺産以外の観光資源を結び付けたツアーが全国販売され、現地のガイドにより運営することになっています。

    明延鉱山は、旅行会社の一泊二日のバスツアーのコースに組み込まれ、発売開始の4月から7月までのほぼ毎日、2,500人ほどの受け入れをしています。

    高梁市の例は、高梁市の文化や歴史を産業資源として使っていくことを検討する備中高梁体験・学習観光会議の中で、今回認定されたことを機に、「近代化産業遺産をたずねて」というプランを発売しました。

    「(4)具体的な予算が手当てされた例」として、鯛生金山では、認定を機に改修費用が予算化され、今後は修学旅行等の誘致を積極的に展開します。既に、韓国からの修学旅行の受け付け、引き合い等もあり、改装を機に、韓国語や中国語の看板等を設置すると同時に、安全性を確保するための対策を行います。

    福井県の鯖江市は、認定を機に広くPRすることが決定し、改修費用400万円が手当てされています。ここで面白いのは、本来、文化財的な予算に関しては、教育委員会の予算のみですが、商工部門と折半にしている点です。活性化に向けた取り組みの気持ちが現れている例です。

    「(5)技術の継承等が開始された例」としては、喜多方市では、使用されなくなった登り窯を再生させるプロジェクトを検討しています。登り窯を使ってレンガを焼成させ、今後、町作りに生かしていくことを計画しています。

    「(6)産業遺産所有者同士の交流、取り組みが始まった例」としては、認定を機に同じストーリーに含まれている資産の所有者同士の交流が始まった例として、施設同士がお互いにパンフレットを設置している例とか、同じストーリーの中にある関係所有者同士が連携して会合を持ち、秋にはスタンプラリーを開催する計画があります。ほかにもいろいろありますが、ここでは代表的な例を挙げました。

  • 経済産業省古屋企画官

    「資料3」の説明に移ります。「基本的な進め方」としては、趣旨は昨年同様、地域活性化の推進の観点から、近代化産業遺産の価値を掘り起こし、新たに33の近代化産業遺産を策定します。

    「取りまとめの留意点」としては、先ほどの四点を引き続き維持し、策定された33の遺産群を構成する個々の遺産についても、昨年同様、「地域活性化に役立つ近代化産業遺産」として認定します。

    ここまでは去年と同じですが、一点違いがあります。前回同様、公募をベースに遺産群を策定しますが、今回の公募に際しては、あらかじめ遺産群のテーマを25個程度設定したうえで公募します。昨年は、テーマを設定せずに公募をし、それをストーリーに直すというプロセスでできあがっていますが、今回は、あらかじめテーマをある程度設定したうえで公募する点が去年とは違います。

    「スケジュール(案)」としては、今日7月18日の第一回で、遺産群のテーマについて議論をします。8月に公募をし、8月末に中間集計をして、9月中旬には、これを組み合わせてある程度のストーリーにしたものを示します。9月中旬から10月にかけては、いくつかのコースを設定し、委員の先生に現地調査に行ってもらうことも考えています。10月中旬の第三回委員会で取りまとめの議論をし、必要に応じて、11月上旬に第四回委員会を予定しています。

    昨年は、11月30日に認定証等の交付式を行っていますが、今年は2月下旬に大阪の中之島中央公会堂で行う予定です。以上が進め方です。

    「(参考)計画中の20年度事業」は、本事業を含め、経済産業省で計画中の近代化産業遺産関係の事業です。「(1)」は、この委員会を中心にした「新・近代化産業遺産群33」の取りまとめです。「(2)」は、去年と今年で合わせて66群出てきますが、「活用にあたっての先進事例集33」というかたちで、事例集を作ります。「(3)」は、特に若い層の人に広めていくために、中学生・高校生向けのDVDの製作も始まっています。

    「(4)」は、本委員会等で作ったストーリー等を地域で独自に直すにあたり、どのような点が問題か、どのようにすれば効率よく制定できるのか、ワークショップを開いて研究をします。「(5)」は、(1)から(3)の事業成果の普及を図るとともに、認定証のプレートを交付し、さらに、近代化産業遺産の所有者相互で意見交換等を実施します。この「近代化産業遺産保存・活用担い手サミット(仮題)」は、2月に大阪の中之島中央公会堂で開催します。以上、五つのことを20年度事業として計画しています。

  • 西村座長

    ありがとうございます。「資料2」と「資料3」について、質問等はありますか。

    私から一つ。去年は随分成果があったということで、「150のプレートが設置されている」という報告がありましたが、プレートそのものは、全体でいくつぐらい贈られていますか。どこかにしまい込まれたものもありますか。

  • 経済産業省古屋企画官

    プレートは、全部で575枚出しました。この150というのは、1週間程度の期間で回収したアンケートの結果ですので、回収しきれていないところがあります。私の感覚でいくと、この倍ぐらいは張ってあると思いますが、もちろん、張っていないところもあります。

  • 西村座長

    ありがとうございます。松平委員、どうぞ。

  • 松平委員

    今、成果を言いましたが、皆さん喜んでいますか。「要らんことをやってくれた」とか、「金がかかってしょうがない」とか、「もう少し静かにいたかったのに、人が来ちゃってうるさくてしょうがない」というのはありませんか。

  • 経済産業省古屋企画官

    迷惑をしているというのはありません。認定をするときに、所有者とはだいぶ話し合っています。そのうえでもらっているので、みんな喜んでいます。

  • 松平

    では、私たちは、いいことをやっているという認識でよろしいですか。

  • 経済産業省古屋企画官

    もちろんです。

  • 西村座長

    「迷惑だ」と言う人は、そもそも辞退していると思います。堀井委員、どうぞ。

  • 堀井委員

    20年度事業についての質問ですが、「近代化産業遺産、私ならこうする33」というのは、19年度と20年度に認定されたものに限るのか、認定されなくても、こういう例があれば応募できるのか。これを聞いた人は、認定に通らなければ応募できないと思うので、そこを明らかにしたほうがいいというのが一点です。

    もう一つは、「(3)」のDVDですが、「初めての産業遺産(仮題、ドラマ仕立て、30分)」と書いてあります。これを「ドラマ仕立て」と言う必要があるのか。ドキュメンタリーとかバラエティーとか、DVDにもいろんな形式があります。「ドラマ仕立て」と先に言ってしまうと、あとで困らないのかなという気がしました。

  • 経済産業省古屋企画官

    一点目の先進事例集については、今年を含めて、選ばれる66のところに限りません。かつ、近代化産業遺産にも限りません。例えば京都の町家でやっていることとか、「近代化産業遺産の保存・活用」に活用できるものであれば、いろんな例をいろんなところから採ってきたいということです。今後は指摘を踏まえ、説明するときには、その点をはっきりしたいと思います。

    二点目の経緯を言うと、若い人にいろいろインタビューしました。漫画がいいとか、ドラマがいいとか、いろいろありましたが、われわれが聞いた中では、「ドラマが見やすい」という声が多かったので、今のところ「ドラマ仕立て」で進行していて、もうすぐ撮影に入る状況ですので、ご理解いただきたいと思います。

  • 西村座長

    これは、この委員会とは別のところでも動いているんですね。

  • 経済産業省古屋企画官

    そうです。

  • 西村座長

    松尾委員、どうぞ。

  • 松尾委員

    昨年は、人物についていろいろ書いていて、「それぞれの個人についてのストーリーを作りたい」という計画がありましたが、消えてしまったような気がします。それは、今年はどうなりますか。

  • 経済産業省古屋企画官

    人物というのは、非常にいい視点だと思っています。去年ぐらいからそういう話はありますが、人物をやると、なかなか地域的に広がらないところがあり、苦労をしています。引き続き、検討していきたいと思いますが、今のところ、そういう計画はありません。

  • 西村座長

    布施委員、どうぞ。

  • 布施委員

    昨年、私どもも認定をいただき、「資料2」の認定後の各地の動きや活用方法の紹介は、「なるほど、こういう活用の仕方があるのか」ということで、非常に参考になりました。どのように使うと、地域活性化の種がより花開くのかということを何か書いてほしいということが一つありますが、私どもも勉強しなくてはいけないと感じています。

    その関係で、これは群ごとにまとまっているストーリーですが、認定された産業遺産ということで、地域ごとにソーティングはできないのでしょうか。

  • 西村座長

    これをもう1回組み直して、地域でということですか。

  • 布施委員

    われわれは、「21」のところにランクされていますが、恐らく同じ中部圏で、ストーリーは違うストーリーでも、同じ近代化産業遺産に選ばれている動産があると思います。

    例えば、そこと私どもが地域でうまく連携を取って何かできるかなというときに、どのようにしたら情報がうまくわかるのか。今はわかりません。活用するほうとすれば、全国の地域ごとに一覧表のようなものがすぐにソーティングできれば、ありがたいです。

    私は去年のことはわかりませんが、今回、「新」という言葉を名称に冠することに疑問を持っています。要は、その先はないのかと。もし、3回目をやろうとしたときに、それは「新・新」になるのかということで、ファーストステージ、セカンドステージとか、パート1、パート2のような名称のほうがいいのではないかと思います。新・旧に対する「新」だと思いますが、違う名称のほうがいいと感じました。

  • 西村座長

    今の三点について、いかがですか。

  • 経済産業省古屋企画官

    最初の点は、いろいろ活用をしてもらって、「先進事例集」みたいなものができてきて、それのフィードバックとして、大いに使い方等を活用してもらえればいいと思います。

    二つ目は、これに載っている表はExcelのファイルですので、渡すことができます。それでソーティングすると、地区で出てくるし、いろんな角度で並び替えるのもいいかもしれません。そういう手はあります。

    三つ目の題についても、いいものがあれば、この委員会でぜひ決めていただきたいと思います。

  • 西村座長

    この「新」というのは、最終版ではないということですか。

  • 経済産業省古屋企画官

    仮称です。

  • 西村座長

    清水委員、どうぞ。

  • 清水愼委員

    活用について、「(2)」の「近代化産業遺産、私ならこうする33」というのは、非常にいいと思いますが、「私ならこうする」というのに、違和感を覚えます。逆に言うと、「私たちはこうしている」という感じで紹介したほうがいいのかもしれません。

    もう一つは、DVDに関係してです。いろんな人に近代化産業遺産や産業振興の歴史に関心を持ってもらうために、ドラマ仕立ても話題になると思いま.すが、ぜひインパクトがあるようにしたほうがいいと思います。せっかく委員に松平さんがいますので、「その時歴史が動いた」じゃないけれども、「その時産業が動いた」ということで、地下鉄の歴史で、早川(徳次)さんという人が出てきたことがありますが、そんなかたちで、ぜひ協力をいただきながら、別のかたちでもやるといいと思います。

  • 西村座長

    村橋委員、どうぞ。

  • 村橋委員

    先ほどのDVDと人の問題の両方にかかわりますが、私が調べている社史の手法に、映像社史というのがあります。社史をビデオなどで見せるのですが、その場合は、ほとんどが人に焦点を当てて作っています。非常にインパクトがあるので、先ほど松尾委員が言われた人物のことも絡めると、そういう視点がいいのではないかと思います。

    明治時代には、1人で5、6社にかかわっている人がいました。渋沢栄一は500社と言われていますが、関西と東京の両方をやっている人が何人もいるので、そういうケースをサンプル的に見てはどうかと思います。

  • 経済産業省古屋企画官

    指摘を踏まえて、なるべく方針に加えたいと思います。

  • 西村座長

    昨年も、「コラムで人物を扱う」という議論がありましたが、まとめるのに時間がかかり、そこまで力が及びませんでした。今年は、もう少し時間的に余裕があるし、全体像が見えてくると思うので、何か工夫をしていただければと思います。

  • 村橋委員

    「(2)」の「先進事例のキーパーソン」は、産業遺産のキーパーソンですか。それとも、活用事例のキーパーソンですか。

  • 経済産業省古屋企画官

    活用をしているキーパーソンです。

  • 西村座長

    赤崎委員、どうぞ。

  • 赤崎委員

    この事業はすばらしいと思っていますが、継続性については、いかがですか。今、示されているのは20年度の事業ですが、この先どう続けていくのかによって考え方の視点が変わってきます。単年度で終わってしまうのは、あまりにももったいないし、ぜひその辺りの方向性をいただきたいと思います。

  • 経済産業省古屋企画官

    今、いろいろ指摘をいただいている点もあり、それを20年度に全部できるかどうかということもあります。今まさに21年度予算要求に向けての検討をしていますが、私が承知している限り、その中に近代化産業遺産の費用が全く載っていないわけではありません。むしろ、21年度も引き続きやりたいと思っています。

  • 赤崎委員

    例えば今は、情報発信がすべて日本語の媒体です。産業遺産は、日本国内でも価値をきちんと認めて活用していかなくてはなりませんが、ある意味では、海外に対する自国アピールの核にもなります。

    この間、上海万博の事務局長を名古屋にお招きしてフォーラムを実施しましたが、上海万博でも、一部産業遺産の活用型が出てくるようです。中国では、どんどんスクラップ・アンド・ビルドを進めている最中なので、日本のこういう例は、ほかの国にとっても、すごく参考になることがあると思います。ですから、ぜひ海外にも発信してほしいと思います。

  • 経済産業省古屋企画官

    中国語は、まだやっていませんが、去年の33群の資料は、英語版のパンフレットを作り、各方面に配布しています。緒についたばかりなので、至らないところもありますが、今後は指摘の点を踏まえて進めていきたいと思います。

  • 西村座長

    上海万博の会場そのものが工場跡地で、「工場の建物を再生する」というのも、万博の一つのテーマになっていて、これとも合いますから、うまく生かしてもらえるといいですね。村橋委員、どうぞ。

  • 村橋委員

    補足ですが、経済産業省でこういうことをやっているのがわかってから、テレビや出版社がかなり積極的になり、産業遺産に関するシリーズものを作ったり、本の企画を考えたり、かなり進んでいます。全部を経済産業省でやるのは大変でしょうから、そういう広がりを持たせていってはどうかと思います。

  • 西村座長

    具体的にどのようなものがあるのか、わかっているものはありますか。

  • 経済産業省古屋企画官

    私どもの関係では、お手元に配っている「ニューズウィーク」で、「対談・近代化産業遺産」を8週連続でやりました。各地方紙も含めて、いろんな新聞でも取り上げてもらっています。私どもと直接関係はありませんが、ある程度協力してやったことでは、日経の関係の何回かのシリーズで、BSで今もやっている近代産業遺産の紹介があります。そういういろんな企画は承知しています。いろんな省庁との連携が大事だと思っているので、その辺も今後は進めていきます。

  • 西村座長

    本題に移ります。「資料4新規ストーリー案」について、説明をお願いします。

  • 事務局河島

    「資料4新規ストーリー案」は、昨年度から持ち越しになっている事項等を踏まえつつ、現段階のたたき台として作成したものです。色分けをしていますが、赤字は、昨年度に地域から公募、あるいは現地調査の折に提案があったもので、昨年度は認定に至らなかったものです。青字は、昨年度の委員会で提案のあった件です。緑字は、昨年度に認定を受けて、本年度も新しい観点から取り上げることが可能ではないかというものです。

    1番から11番までは、全国的に取り上げている産業技術史に着目したストーリーで、12番から25番までは、それぞれの地域の産業発展に着目したストーリーです。

    「1.蒸気機関・内燃機関関連産業」は、昨年の委員会での「近代化の中では、動力の発展も非常に重要ではないか」という指摘を踏まえたものです。

    「2.工作機械関連産業」は、ほぼ動産であり、なかなか表には残ってきにくいものですが、「近代化を支えたものとして重要だ」という指摘のあったものです。

    「3.自動車産業」と「4.航空機産業」は、昨年度は造船業を取り上げているので、それ以外の輸送機械産業ということで、この二つを挙げています。

    「5.鉱山業・耐火煉瓦製造業」は、昨年度は建築用の赤レンガを取り上げていますが、一方で、近代化においては耐火レンガも、特に炉材として重要であるということで掲げています。

    「6.化学工業」は、非常に多様な分野を含むものです。昨年度は、地域史のストーリーの中で、例えば南九州や京浜工業地帯のストーリーの中で部分的に出てきましたが、「化学工業」という産業技術史の機軸からは取り上げてなかったので、今回はこのように掲げています。

    「7.曹達・ガラス製造業」は、昨年度は建築材料として赤レンガが挙がっていますが、近代建築物を造っていくうえでは、ガラスも非常に重要であるということで挙げています。

    「8.建築素材関連産業・海運業」は、港湾関係の人造石、コンクリート関連産業として掲げています。この中には、昨年度の公募等で提案のあったものが多数含まれています。

    「9.鉄道」は、森林鉄道に着目しました。現在、動態保存等をされているものがいくつかあるので、この辺でストーリーを何とか組めないものかということで、提案をしています。

    「10.レジャー産業」は、昨年度は第三次産業の観点から取り上げたストーリーが少なかったので、新しいものとして可能性があるのではないかということで掲げています。

    「11.物流・土木(橋梁)」は、水運と陸運の調和点としての可動橋がいくつか残っていますが、これも昨年度の公募等で提案のあったものです。

    「12」以降は、地域版のストーリーです。まず北海道で四つ挙げています。「12」は、江別という所にレンガ工場があり、レンガの町作りが非常に活発に進められています。そのほかにも、北海道各地にレンガの製造業や、レンガでできた建物があるので、これでストーリーの提案をしています。

    「13」は、道北の開拓と産業創出に着目した提案しています。

    「14」は、十勝、釧路、根室など道東での農林業の開発と、それを支えたインフラ整備として提案しています。

    「15」は、物流の観点から、函館、小樽には北の物流拠点として倉庫群等がありますので、これを提案しています。

    「16」は東北地方です。明治時代に入ってからは、陸路・水路のネットワーク整備と、それに伴って都市が発展し、産業が振興したということで、この辺を含めて地域ストーリーとして提案しています。

    「17」は、関東の都市計画として、「首都東京のビジネス・ショッピングセンター形成の歩みを物語る近代化産業遺産群」ということで提案しています。

    「18」は、関東・中部の鉄道です。この辺の山岳をトンネルで克服したり、登山鉄道のようなものがいくつかあるので、そういうものでストーリーを構築できないかということで、提案しています。

    「19」は、中部の食品製造業です。中部地方は、現在も非常に個性的な食文化がある地域です。その中で、近代化をどのように果たしてきたかというストーリーの提案をしています。

    「20」は、近畿の都市計画です。近代に入り、大阪が一時的に落ち込みましたが、経済発展の努力や都市計画によって克服し、「大大阪」と呼ばれるような近代経済都市になった過程の提案をしています。

    「21」は、鉄道・生活文化産業・流通業です。阪急電鉄は、私鉄のビジネスモデルとして非常に有名ですが、この辺の田園都市構想、生活文化産業展開ということで提案しています。

    「22」は、家電製造業です。近代に入ってからの松下電器や三洋電機の製造業と商売の展開の在り方ということで、提案をしています。

    「23」は、近畿の鉄道ですが、先ほどの阪急とは違い、都市間の高速鉄道ということで、競争の中で進化を遂げてきた私鉄の歴史について、ストーリーの提案をしています。

    「24」は、瀬戸内の雨の少ない地域で、近代に入ってからいろんな技術を導入し、潅漑設備を整備していったことを取り上げるストーリーです。

    「25」は、九州の窯業です。昨年度は中部地方を中心に窯業のストーリーがありましたが、それとは別に、北九州にも有田をはじめとする磁器の文化がもともとあり、それが近代化を果たしたということで提案しています。簡単ですが、以上です。

  • 西村座長

    ありがとうございます。確認ですが、赤は、昨年度に地域から提案があったけれども、認定に至らなかったものですか。

  • 事務局河島

    そうです。

  • 西村座長

    青は、昨年度の委員会で、「こういうのをやったらいいんじゃないか」というのがあったけれども、全体としてまとまらなかったものですか。

  • 事務局松井

    33が決まっていて、これ以上増やせないので、「次年度に」ということになったものです。

  • 西村座長

    提案として、今年残っているものですね。

  • 事務局松井

    はい。

  • 西村座長

    緑は、別のストーリーの中で選ばれているものですね。

  • 事務局松井

    既に選ばれていて、別の観点からも評価のあったものです。

  • 西村座長

    ですから、二重になっても、別に構わないということですね。

    昨年は、全く方向なく公募して挙がってきたもので、こちらが33を議論して大変でしたが、今年は、昨年の積み残しや全体の方向から、「こういうのが大事じゃないか」というのが、ほぼ見えているのが25ぐらいあります。ですから、これをまず提示して、このストーリーでよければ、具体的なものを挙げてもらえば、割合すぐに話が済みます。

    これ以外にも地域で提案をしてもらい、それを加えて33にしようということです。

    これに関して、委員の皆さんから意見をいただきたいのですが、その前に、欠席の4人の委員から既にコメントをもらっているので、事務局から紹介します。

  • 事務局松井

    まず、小風委員からの指摘です。「13」のストーリーは、北海道の物流・土木についてですが、インフラとしての道路建設をもう少し入れてはどうか。北海道開発にとって、道路整備・道路建設は最重要課題であったことから、位置付けをすべきではないかという意見です。

    「16」のストーリーは、東北の土木・酪農ですが、大久保利通による東北開発構想に始まるインフラ整備と、地域開発の流れという視点を入れていくほうが、より総合的な視点からいろいろな遺産を取り込むことができるのではないかというアイデアをいただきました。

    「17」のストーリーは、関東の都市計画ですが、首都圏における都市計画の中でも、私鉄と郊外開発という観点は、非常に重要な歴史的視点であり、ぜひ盛り込んでいくことができないかという指摘です。

    「18」のストーリーは、関東・中部の鉄道ですが、この中には大井川や黒部のように、「水系との調和」というテーマで鉄道開発をしていったものと、岐阜の中央線のトンネル群のように、トンネル整備を軸として、「物流の拡大」にテーマの主題を置くほうが、ストーリーとしてのつながりがいいものがある。このようなものが一緒に入っているので、この辺の整理が必要ではないかということです。特に、トンネル整備とインフラについては、もう少し重要視してもいいのではないかという指摘をいただきました。

    清水慶一委員からは、「25のストーリーの構成については、基本的には異存はありません」ということでした。ただ、「10」のレジャー産業に関するストーリーの中で、例えば動物園設立の黎明期においては、設計上にさまざまな苦労があり、そういう逸話には面白いものがあるので、そういう観点をストーリーに組み込んでいくと、皆さんの興味を引くような話題があるのではないかというアイデアをいただきました。

    丁野委員からは、今回は全国的なストーリーが結構入っていますが、エポックメーキングな遺産に漏れがないように注意をするほうがいいということと、基本的に今年度も公募をベースに取りまとめていく方向には全く異存はありませんが、地域性を押し出したストーリーの中で、いろんな地域が入ってきてしまうと、逆に全体が薄れてしまうこともあり得るので、複数の地域を一つの群にまとめるときには、気を付けたほうがいいという指摘がありました。

    「10」のレジャー産業については、ここで挙げている遺産群のイメージが雑然としたものに感じるので、例えば大衆レジャーと旧居留地の外国人向けのレジャーは、二つに分けて考えたほうが整理もしやすいのではないかという意見をいただきました。

    西木委員は急遽欠席ということで、昨日電話をいただきました。「この件については、ざっと見ていますが、全体として基本的な構成に異存はありません。先生方の意見を聞いて、さらにあれば追加で意見を送ります」ということでした。

  • 西村座長

    ありがとうございました。赤崎委員からコメントをいただいて、そのあと、皆さんでゼネラルに議論をすることにします。

  • 赤崎委員

    「19」の中部の食品製造業は、「なごやめし」と言って、確かに随分注目されていますが、ここは「食品製造」と「醸造」に分けてもいいのではないかと思います。ミツカンの酢、八丁味噌以外にも、酒造とか、味醂とか、醸造系でひとくくりできると思います。

    食品製造を分けると、カゴメとかビールは、そちらに入りますし、現在でも三河の西尾市は、甜茶で日本一の生産量を誇っています。製塩の遺産もいろいろあるので、食品製造に農産物、水産物、加工、いろいろ当たってみると、一つ群ができるのではないかと思います。

    中部系の治水は、これまでも「電源」という観点では取り上げていると思いますが、木曽川は、愛知県・三重県・岐阜県の三県にまたがっている流域で、「いかに治水をするか」という長い苦闘の歴史があります。

    江戸時代もそうですが、明治時代になってからは、オランダのヨハネス・デ・レーケがやってきて、彼が造ったいろんな産業遺産が残っています。さかのぼっていくと、八百津発電所にたどり着く川沿いには数多くの排水機が残っていたり、流域を通して治水の歴史にかかわるもので、一つ群ができるのではないかと思いました。以上です。

  • 西村座長

    ありがとうございます。清水委員、お願いします。

  • 清水愼委員

    鉄道をだいぶ網羅していただき、ありがとうございます。前回は、鉱山鉄道がかなり入りました。今回は森林鉄道、北海道の開拓鉄道、郊外鉄道、幹線とリストアップされていますが、とくに土木技術史、建築技術史にもかなりかかわってくると思いますので、その辺の切口も考えたらどうでしょうか。

    今みたいな柱の中で、もう一度整理してはどうかという感じがします。例えば森林鉄道で言うと、ポイントは機関車だと思うので、機関車メーカーを含めていくと面白い設定になると思います。

    北海道の開発で、先ほど「道路を加えるべきだ」という話がありましたが、北海道のトンネルは、本州の罪人が掘ったという経過があるので、そんなことも含めながら見ていくといいと思います。

    郊外鉄道、特に大阪の阪急は、これでいいと思います。都市間では、まさにスピードアップ競争ですから、電車もポイントだと思います。

    土木技術史は、山を越える、峠を越える、川を越えるというかたちがありますが、日本人が最初に掘ったのが逢坂山トンネルですから、これがなければいけないと思います。この辺は、地域の人たちとよく話をして挙げてもらうことが必要だと思います。

    私は、建築物としての駅を勉強していますが、昔の国鉄には何か標準様式があったはずです。ですから、駅に焦点を当ててもいいという感じがします。以上です。

  • 西村座長

    ありがとうございます。藤井委員、お願いします。

  • 藤井委員

    初めての参加で、何をどうということは、まだ発言できない状況です。私は長いこと関西に住んでいましたが、近畿を見ると、バランスの取れた構成になっていると思います。特に、いなみ野ため池群とか山田川疎水は、地元の人たちは一生懸命ため池群について調査をしたり、委員会を組んだり、私の友達も率先してやっていますが、こういうかたちで選ばれると励みになると思います。

    特に、今年は面でも動きがあります。私は雑誌の編集をしていますが、コースが組みやすい構成になっているので、そういう視点でも面白く拝見しています。勉強不足ですが、これからかかわっていく限りは、いろんな意見を提案していきたいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。決まりましたら、いろんなところで特集を組んでプロモーションしてもらえればありがたいと思います。布施委員、お願いします。

  • 布施委員

    「3」に自動車産業があります。今、私自身には結論がありませんが、こういうことがあったことは事実です。一方で、近代化産業遺産の定義から見たときに、これがどうなるのか。こういうことが起こったことは事実ですが、技術の歴史・発展に、これがどうつながっていったのかというストーリーから見ると、連続性がないので、その辺りをどうストーリーとしてとらえていくのか。歴史としては事実ですが、近代化産業遺産群というフレームから見たときに、どのような評価を加えるのか、私ももう1回研究をしてみます。

  • 西村座長

    ありがとうございます。昨年の成果は、こういうかたちになりました。33の物語があって文章が書いてありますが、この文章の中で、今言われたようなストーリーを組み立てていくので、そこでいろいろコメントをいただければと思います。この委員会の中では、実際に事務局が書いたゲラに、ここがいいとか悪いとか足せとか消せというのが細かくありますので、よろしくお願いします。堀井委員、お願いします。

  • 堀井委員

    三点あります。一点目は、治水とか港湾施設を語るときに、デ・レーケを忘れることはできません。大阪の治水では必ずデ・レーケが出てくるので、それはぜひ入れてほしいと思います。

    二点目は食品です。日本最初のウイスキーは関西で造られましたし、世界を席巻したラーメンも記念館があります。明治のころのものなのか、ずっと後世のものも含むのかにもよりますが、食品にもいろいろあります。

    三点目は、小林一三の話が出てきますが、彼の卓越した発明の中に、「ターミナルデパート」があります。私鉄が発達し、ターミナルができ、そこにデパートを造ったという意味で、百貨店の発達史の中ではターミナルデパートが非常に大事だと思います。もう一つは、スーパーも関西から始まったと言われています。ダイエーの第一号店もあります。百貨店・スーパーをくくって扱うのかどうかですが、流通関係に、そういうものが要るのではないかと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。時期的なものは、一応、幕末から戦前までということですね。

  • 堀井

    戦後はだめなんですね。

  • 経済産業省古屋企画官

    一応、決まりとしては戦前までですが、ストーリーを作るうえで、取り上げたほうがいいような戦後のものや江戸時代のものがあれば、コラムで取り上げるという整理の仕方です。

  • 西村座長

    ありがとうございます。松尾委員、お願いします。

  • 松尾委員

    いくつかあります。一つは、「4.航空機産業」です。負の遺産かもしれませんが、飛行船(船ではなく艇)の白鳩号が墜落し、八幡の河内貯水池に遭難碑があります。これはものすごい事故調査をやり、事故を解明しています。それ以来、飛行機事故はわからないままで終わってしまいますが、唯一解明できたのが白鳩号事件です。もう一つは飛行船ですが、寺田寅彦が関与した事件があり、取手に遭難碑があります。

    飛行機の発展のためには、事故の教訓が非常に大事です。特に白鳩号は、見事に事故の原因が解明され尽くしています。例えば木星号にしても、御巣鷹山にしても、完全に解明されたとは言えません。昔の先人たちが一生懸命やって、本当に事故を解明し、そのために事故がなくなったという事例があるので、それは残すべきではないかと思います。

    自動車産業の関連で日産の創始者鮎川義介さんの話では、北九州の苅田町に「日立金属鋳物記念館」があり、そこに鮎川さんのいろんなものが残っています。これは自動車発展のうえでは欠かせないものだと思います。

    大阪曹達が入りましたが、多分、北九州の旭硝子には、まだまだいろんな記録が残っていると思います。北九州には、旭硝子と日本板硝子がほとんど同時期にできていて、それに併せて大阪曹達もできています。そういう事例がいろいろあると思います。

    鉄道の話ですが、昨年、「レールのことをもう少し話したらいいんじゃないか」と言いました。昨年の「その時歴史が動いた」でやっていましたが、日本の黎明期には、レールを造るために鉄鋼業がものすごく頑張ったわけです。そのレールがたくさん残っていて、特に駅舎の建物にたくさん残っています。

    鉄を一度はレールとして使い、建物としてもう一度使っています。一番いい例は、一昨年、三越大阪店が解体されましたが、解体作業をしている最中に、双頭レールも含めてレールがぞろぞろ出てきました。その当時のレールの記録を一生懸命集めて残している人がいるので、そういうことも非常に参考になると思います。

    レールは、鉄道の中で非常に大事な役割を果たしています。汐留の双頭レールから始まる日本のレールの歴史は、記録しておくべきではないかと思います。

    それを含め、17ページの下に、八幡製鉄所関連で、「旧鍛冶工場及び所蔵資料は非公開」になっていますが、昨年の秋に、北九州産業技術保存継承センターの企画展の中で、八幡製鉄所の創生期のレールとか、いろんなものを展示していました。

    産業遺産に認定された釜石の鉄の歴史館とか、トヨタの産業技術記念館と同じように、北九州産業技術保存継承センターが産業遺産に認定されれば、このような非公開の所蔵資料もそういうところから持ってきて、一般公開することは簡単です。もし可能であれば、産業技術保存継承センターを産業遺産として認定できれば、皆さんに見てもらえる気がします。

    このテーマを見ると、工作機械は入っていますが、精密製品があまりない感じがします。精密部品の歴史も記録しておくべきだと思います。特に現在のコンピューターの先駆けとして、タイガー計算機よりも一つ前の時代があるので、その記録は必要だと思います。

    森鴎外が世話をした矢頭良一は、その当時、世界最先端の非常に立派な「自働算盤」という計算機を作っています。そういうものが残っているはずです。そういうものも含めたコンピューターの歴史でもいいですが、戦後だけでなく、戦前にもそういうコンピューターがあったので、精密機械を作った歴史があってもいい感じがします。

  • 西村座長

    ありがとうございます。昨年、議論になって、懸案になったものに軍事産業がありました。精密機械も含め、それをどう扱うのかを議論しておかなくてはいけません。今、東大には精密機械工学科がありますが、昔の名前は「造兵学科」と言って、兵器を造る学科でした。そういう負の産業をどうするのか。やるというわけではありませんが、態度は考えておかないといけません。松平委員、お願いします。

  • 松平委員

    去年は造船を取り上げ、その関係から今年は自動車・飛行機・鉄道と筋立てて取り上げていて、極めて優れたバランス感覚だと思います。

    「22」の近畿の家電製造業に、シャープの早川徳次さんが載っていますが、この人は地下鉄を初めて造った人でもあります。

    小林一三さんは、ターミナルデパートの発明もそうですが、「家を月賦で買おう」というローン制度を初めて導入した人でもあります。

    「4」の二宮忠八さんは、ライト兄弟より早く飛行機の理論を打ち立てた人です。「世界で初めて飛行機を飛ばしたのは二宮忠八」ということにもなり得た人です。そういうことで言えば、コラムの中で人物をどのように取り扱っていくかは、非常に重要な問題になると思います。

    鉄道や自動車で言えば、道路もインフラとしてとらえるべきだという気がします。例えば名古屋の片側3車線の道路は、初めて見る人は、びっくりすると思います。それも昔にできた道路です。ですから、道路について押さえておくべきだという気がします。

  • 西村座長

    ありがとうございます。村橋委員、お願いします。

  • 村橋委員

    「7」のガラス製造業ですが、明治時代には板ガラスを造るのに苦労をしているので、ここは、はっきり「板ガラス」にしたほうがいいと思います。近代化には、工芸品のガラスよりも板ガラスが貢献しています。

    鉄道がいろんなところにありますが、これを見ると、技術的な問題と目的が混在しているような気がします。例えば宝塚劇場は、鉄道に乗ってもらいたいために作ったわけです。去年も言いましたが、箱根登山鉄道は、みんなが鉄道を横に広げるときに縦に延ばしました。それはなぜかというと、当時、人力車や馬で湯治客が行く程度だった箱根に観光客を運ぶためです。その辺をもう少し整理したほうがいいのではないかという気がします。

    私は個人的に橋がとても好きなので、勝鬨橋が入っているのに非常に関心があります。日大の伊東(孝)先生が「勝鬨橋を上げる会」を作り、一生懸命頑張っていますが、これで認定されたら、ぜひ一度上げてもらいたいです。

    鉄道で言うと、「23」に外山脩造さんが入っていますが、ここで非常に貢献した人に、アサヒビールを作った鳥井駒吉さんという人がいます。酒屋の若だんなですが、鉄道開設にも尽力していたので、その辺の産業界の人のつながりみたいなものが描けたらいいと思います。

    これも個人的なことですが、私は九州出身なので、北海道は(ストーリーが)四つもあるのに、九州が一つはさみしいです。以上です。

  • 西村座長

    一巡しましたが、ほかに何かありますか。赤崎委員、どうぞ。

  • 赤崎委員

    見直していて、「森林文化・木材加工」の分野が必要だと思いました。木曽山中の木材が伊勢湾まで川を下って、名古屋が木材の一大集散地となったことから、貯木場も残っているし、製材はじめものづくりは、木工がベースになっています。、木で箱を作ることがからくりになり、和時計に、そして精密機器にもつながりました。ピアノ、オルガン、ギター、バイオリンなどの楽器もいろいろあります。家具もあります。鉄道も、車両は、もともとは木の箱です。自動車も、今はCADをつかいますが、モックアップで木を削って型を作っていたわけですから、木の文化は本当に日本の産業のベースになっているところがあります。これは産業の項目として、一つ入れていただきたいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。清水委員、どうぞ。

  • 清水愼委員

    日本の島を結ぶ交通手段として、連絡船の遺構があります。船自体は、なかなか難しいと思いますが、そういう遺構も、この機会にぜひ入れていただければありがたいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。松尾委員、どうぞ。

  • 松尾委員

    前回、北九州の炭鉱との関係でいろいろ出ました。前回の説明の中ではあまりはっきり出てきませんでしたが、あそこの川ひらたとか、廣井勇さんの史跡ですが、若松港という立派な港ができたとか、若松港のところの石炭会館とか、いろんな立派な建物が残っています。あの当時、石炭業と鉄道は欠かせないものでした。

    先ほどのデ・レーケの話ですが、デ・レーケはいろんなことをやりました。あまり知られていませんが、八幡の洞海湾の工事にも関与しています。そういうことを含めると、立派なストーリーが一つできあがります。

  • 西村座長

    ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。確認ですが、こういうストーリーを提示して、地元に投げるわけです。投げて出てきた遺産で、ストーリーに合うものは、なるべく広く盛り込もうという趣旨です。それだけではなく、向こうから出てこなくても、こちらから、「こんなのがあるんじゃないか」というかたちで提案し、向こうがOKしてくれれば載せるという趣旨です。なるべく広くやろうということですから、こちらからも向こうに声をかけられます。

    非常に有益な議論でしたが、ここでオブザーバーにも意見をいただきたいと思います。文化庁の大和参事官、お願いします。

  • 文化庁大和参事官

    文化庁で建造物を担当しています。われわれは建造物に特化してやっていますが、全国的な調査も行っています。さまざまな産業にかかわる近代の遺産を取り上げていただいて、地元の地域固有の産業遺産が随分出ています。

    恐らく数が鍵になるので、ある程度大きなくくりの中で、テーマを決めることになると思いますが、派生する部分は、地域固有のものが原点にあります。例えば綿業でも、それぞれの地域で固有の遺産が出てきているので、そういうところもぜひ拾ってもらえれば、ありがたいと思います。

    もう一点、こういう活動は、近代化産業遺産に注目してもらう非常に大きな力になっていると認識しています。経済産業省的な考え方としては、この取り組み自体、コンテンツとしての近代化遺産も、大きな魅力ある資産です。しかし、一方で、われわれ保存の立場から言うと、地域では産業の疲弊が進んでいるところがあります。

    経済産業省に、さらに現場の産業振興につながるような具体的な施策に動いていただけると、われわれ保存のほうも、ともに助けていただき、地域固有の産業遺産がより良好に保存できます。その辺は、少し勝手な要望ですが、ぜひ要望したいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。その件に関しては、地域固有のものとして、地域の特産として、近代化産業遺産が認定されたものがあれば、応援できるようなプログラムがあったと思います。説明をお願いします。

  • 経済産業省古屋企画官

    今、委員長が言われたのは、昨年できた「中小企業地域資源活用促進法」のことです。まず、地域資源として各都道府県で構想を立て、「これがわが県の地域資源である」ということを構想の中でうたい、それを活用して中小企業がいろんな事業をやるときに、各般の支援が出るという中身になっています。

    地域資源の中身は、主として三つあります。一つ目は、産地の技術のようなもの。二つ目は、一次産業を使っていろんな商売をする。三つ目は、観光資源で、その中に近代化産業遺産も十分入り得るわけです。いくつかのところで、そういう計画があると聞いているので、そういうところも私どもで応援していきたいと思います。

  • 西村座長

    文化庁建造物参事官の大和さんの話は、建造物のほうで、「近代化遺産」という名前で各県ごとに調査し、リストが既にかなりあります。それを見ると、ここにあるようなものにうまく分類もできるだろうということなので、そちらのデータもいくつか出せればと思います。

    多分、文化庁として心配なのは、変に保存されたり、変に修復されたりして、文化財的価値がなくなることだと思います。その点に関しても、チェックをしないといけない部分があります。私が言うのも変ですが、そういう心配があるのではないかと思います。同じく、文化庁記念物課の山下調査官、お願いします。

  • 文化庁山下調査官

    記念物課調査官の山下です。本来は内藤記念物課長が来るべきところですが、代理で来ました。私ども記念物課は、遺跡の観点から調査・保存を進めています。建築の観点と遺跡の観点では違うところもありますが、これまでやってきているところもあります。

    私は、あちこちに行く機会がありますが、先般も佐渡鉱山に行く機会がありました。そこには経産省のプレートが張ってあり、地元でも前回の取り組みについて積極的に歓迎し、観光客に見えるかたちで展示用構内に認定証が飾ってあり、大変喜んでいる状況をつぶさに見てきました。地元にとって、元気づけられることであるのを現場でも実感しました。

    私ども遺跡の観点からすると、個別の遺跡の保存は考えますが、今回の試みのように、ストーリーをもって多角的な観点からやることは、保護の手法として、なかなかできにくいところがあります。

    そういう点からすると、今回のさまざまなストーリーは、地域活性化の観点からストーリーを作っているわけで、この観点は大変大事な点です。私ども遺跡保存の観点からも、こういうことを通じ、地域それぞれの担い手が近代化遺産を見る目をより持つことになり、大変ありがたいと思っています。

    私どもとしては、文化財の観点から見ているので、保存と活用の観点になります。保存と活用は車の両輪であり、保存だけに特化してもおかしいし、活用だけに特化してもおかしいので、それがうまくかみ合って進むことが大事だと考えています。

    20年度も経産省でさまざまな取り組みをしているということですが、文化財側のお願いとしては、今回の試みを通じて、地域の文化財の所有者、あるいは関心を持っている人が元気になるような、自信を持って近代化遺産を自覚するような工夫をしてもらいたいと思います。そして、近代化遺産を見るさまざまな観点がありますが、地域活性化の観点を通じて、文化財を見る目に適合するような方向性でしていただきたいと思っています。

  • 西村座長

    ありがとうございます。国土交通省観光資源課の渡邊さん、お願いします。

  • 国土交通省渡邊氏

    国土交通省の渡邊です。本来は課長の水嶋が来るところですが、本日は代理の代理として来ました。私からは、今回の資料で示されたものについては、バランスのよい構成になっていると思うので、特段言うことはありません。私どもは、産業観光の推進のための部署で、産業観光推進においても、このような認定をしていただくことについては、大変ありがたく思っています。

    観光振興の観点からも、このような近代化産業は重要なファクターであると認識し、先般の国会においては、「観光圏整備法」が成立しました。この法律により、点や線ではなく、面としての広がりを持った観光圏を整備し、国内外の観光客の滞在促進につなげ、地域の活性化を図っていきたいと考えています。

    地域においても、さまざまな関係の人の連携・協力で、このような産業遺産などの地域資源を活用し、観光振興ないしは地域振興を図り、国を挙げて観光振興に努めていきたいと思っています。皆様のご協力をいただき、観光振興・地域振興に邁進していただければ、非常にありがたいと思っています。

  • 西村座長

    ありがとうございます。観光圏整備法の中で観光圏を設定するときに、こういうストーリーがうまく生かされると非常にいいと思います。10月には観光庁ができるということなので、うまく後押ししてくれると思います。

    全体としての議論は、ほぼ収束ですが、何か付け加えて発言はありますか。堀井委員、どうぞ。

  • 堀井委員

    経済産業省の取り組みの起爆剤になった「広がりを持つ」という意味で、近畿経済産業局も参加している関西経済連合会が地域資源の洗い出し委員会を作り、地域資源、地域ブランド、ポテンシャル、バックにあるDNA、固有の原点を含めたストーリー作りを行い、対外的にも呼びかける投資勧誘ツールにしていきたいという取り組みをやっています。この33ストーリーの話を紹介し、「ぜひ一緒に連動してやろうではないか」という呼びかけをしています、それが一つです。

    もう一つは、今の産業観光、産業ツーリズムを近畿運輸局が呼びかけ、大阪商工会議所も連動し、観光庁ができた一つの大きな柱として、産業ツーリズムを売り込んでいこうという動きが広がりつつあります。そういう意味では、この経済産業省の産業遺産の取り組みが一つの起爆剤になり、広がりを地域に広げつつある状況が生まれていることを紹介しておきます。

  • 西村座長

    ありがとうございます。「私ならこうする」みたいなことが、うまく得られるといいですね。ほかに何かありますか。清水委員、どうぞ。

  • 清水愼委員

    活用について、いくつかの事例と問題提起をしたいと思います。今回のように文化財でなくても、産業遺産として認定をすることで、結果的に地域が認識を新たにしたとか、価値があるというお墨付きを得られたということで、非常に喜んでいるところがたくさんあります。

    先ほどの喜多方では、文化財ではありませんが、蔵の町作り、あるいはそれを作った登り窯が産業遺産として極めて重要だというお墨付きを得られたことで、活用を図っていこうという議論が進んでいます。

    実は、活用を図ることでは、いろんな問題があります。「活かす」ということは、「生かす」ことにつながります。例えば、くりはら田園鉄道の議論をやっていたところが、この間の地震で、担当の麦屋さんが亡くなりました。古屋さんにもシンポジウムに来ていただきましたが、金銭的なことや規制の問題もあり、生かすことがなかなか難しい状況にあります。

    この間も小坂でいろんな議論をしてきました。今回、小坂鉄道は入っていませんが、「小坂の鉱山を支えてきたのは小坂鉄道である」というかたちで、小坂鉄道は、みんなが重要だと考えていましたが、硫酸の輸送がなくなり、今回休止状態になっています。地元の人は、「何とかこれを動かしたい。これによって観光客の足も確保したい」ということがありますが、一つは金銭的なものも、なかなか難しい。あるいは英国の保存鉄道のように、ボランティアで動かすかといっても、規制の問題でなかなか難しい。非常に壁が大きくて、答えが出しにくいところがあります。

    先ほど、地域資源認定の話がありましたが、それだけでなく、もう少し大きな仕掛けが欲しいです。文化庁と国土交通省は、歴史的な町並み作りというかたちでの補助体系の新しい法律を作りました。文化財には指定されませんが、地域の人にとっては大きな価値を持つ産業遺産を生かせるような金銭的な補助とか、規制の見直しを含めたものが何かできないのかという感じをかねがね持っています。

    別の場も含めて、ぜひ、この辺の議論をやっていただきたいと思います。国土交通省には、この問題提起をしていきたいと思っていますが、そんなかたちのものをお願いしたいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。制度として固めて、助けなくても動くようなシステムが大事です。今の仕組みもいいですが、「予算が取れないとね」という感じがありますから、金の切れ目が縁の切れ目になると、遺産の活用という意味ではさみしいです。規制改革に関しては、近代化産業遺産の規制改革特区みたいなものをいろんなところでやってみるとか、工夫はあり得ると思います。ほかに何かありますか。松尾委員、どうぞ。

  • 松尾委員

    産業観光となると、地域で拠点が必要だと思います。今、北九州市は、産業観光の拠点を作ろうとしています。そのためには、先ほどの保存継承センターを有効に使いたい。そこを拠点にして、まずそこの建物に入ってもらい、いろんな説明をして、そのうえで、バスでそこに行くかたちを採りたいという計画があるらしいです。できればセンターそのものを認定していただければ、そこを拠点にして、地域の産業観光なり何なりの活動を強めていける気がします。

    漁業がありません。これも港湾に関係しますが、日産自動車の鮎川義介さんが世界に誇る戸畑漁港を造り、缶詰の工場とか、いろんなものを造りました。日本にとって大事な産業ですから、漁業を一つ考えてみるといいと思います。

  • 西村座長

    ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。大体出尽くしたみたいです。今後の進め方については、今日の意見を基に、新規ストーリー案の改定を1週間ぐらいでやり、改定したものをもう一度皆さんに送ります。それに関して、コメントがあれば出していただき、なるべく今月中に新規ストーリー案を固めて、公募に至ります。その辺のスケジュールを事務局からお願いします。

  • 事務局松井

    委員長から説明があったとおり、経済産業省からは、「今月末には公募の手続きに入りたい」と仰せ付かっています。非常にタイトなスケジュールですが、今日の意見を踏まえて、このリストの見直しをして皆さんに配布し、意見があれば、電話あるいはメールで確認をしたいと思います。

    いずれにしても、公募をしてみないと、こちらがいくらラブコールを送っても、地元がなかなか動いてくれない場合もあるので、できるだけ公募の時間をたくさん取りたいと思っています。ご協力をお願いします。

  • 西村座長

    今後の予定ですが、「資料3」の2ページに書いてあるとおり、8月末までに公募の中間集計をして取りまとめ案を作り、次回のこの委員会で議論をします。

    今日は4人の委員が欠席ですが、次の日程をこの4人の委員が来られるところで事前に調整をしています。挙がっている候補日は、9月11日の午前中ですが、いかがでしょうか。

    それでは、村橋委員には申しわけありませんが、コメントをいただくことにしたいと思います。次回の委員会は、9月11日の10時からにしたいと思います。ほかに何かありますか。

  • 事務局松井

    ビジュアル版の英語版を今日配りますので、そちらも見ていただければと思います。

  • 西村座長

    英語版には産業遺産群を「Heritage Constellation」と書いています。「Constellation」を辞書で引くと、「星座」と出てきます。考えてみると、星座は黙って見ているとばらばらですが、物語があると思って見ると何となくわかります。よく付けた言葉だと思っています。それでは、第一回産業遺産活用委員会を終わります。長時間、ありがとうございました。



以上

 
 
最終更新日:2008年9月3日
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