経済産業省
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産業構造審議会総会(第5回)‐議事要旨

日時:平成17年8月3日(水曜日)14時~16時
場所:本館17階第1、第2、第3共用会議室

議題

『平成18年度経済産業省の重点施策』について

議事概要

『平成18年度経済産業省の重点』について石田総括審議官から説明を受け、自由討議。その後、事務方より回答。委員からの主な意見および事務方の発言要旨は以下の通り。

委員による自由討議

  • 昨年までの重点施策から大きく変化した点、メリハリを付けた点を教えて欲しい。
  • 人口減少について、企業に与える影響も含め、説明頂いた施策の他に新しい政策はあるか。
  • サービス産業を国際化し、競争力を持つようにすることが必要ではないか。
  • 今般のタイとのFTA基本合意を歓迎。東アジア大などの対外経済政策については、今後、インドネシア、韓国、ASEAN地域等とのFTAを加速することを期待。
  • 経済協力小委員会では、貿易投資環境の整備、民間による直接投資の活性化を通じた途上国の発展への寄与という日本の成功体験に基づいて、ジャパンODAモデルを提言している。ODAについては、経済協力のツールを駆使して、総合的、戦略的に取り組んで欲しい。債務削減等の際の貿易保険についても、財務基盤の強化を期待。
  • 重点施策の4つの柱のうち、「4.中小企業の活性化と地域経済の再生」は、他の柱との関連が明示的にならない形で議論されているのではないか。具体例としては、二番目の柱で「最適機能分業に向けた東アジア経済圏の構築」を謳っているが、それによって国内から縮小・撤退する産業・企業もある。中小企業施策として、東アジアとの分業体制に見合った国内での構造調整をどう進めるのかを考える必要がある。
  • 「経済」が「産業」に優越しているような印象を受けた。個別の産業として、どこにポジショニングしようとしているのかが、昨年と比べて見えにくい。
  • 今年の一丁目一番地である高度部材・基盤産業の強化は戦略的な取組として重要だが、情報技術基盤産業というものもある。今年は、IT投資促進税制の延長、新しいプラットフォームの実証実験、国のIT戦略の切り替え時期という年であり、情報技術についても手を緩められる年ではない。
  • 木材などの原材料を海外から調達する際の、相手国の環境資源への配慮や、不法な輸入の防止体制の整備。また、リサイクル材の利用についての安全性の確保が必要。
  • 製品が環境に与える影響について、ライフサイクルアセスメントの視点から、製造から廃棄・リサイクルまでの全過程を通しての検討が必要。
  • PL法は10年目を迎えたが、現在の社会に適合しているかについて、色々な視点からの見直しが必要。また、消費者被害対策としては、PL法や特商法等の見直しの際に賦課金制度の導入を検討して欲しい。
  • クレジット・割賦販売については、加盟会社の管理ができておらず、利用者の財力、判断能力を十分確認せず貸している状況があり、制度的な弱点を強化して欲しい。
  • ネットショッピングに加え、モバイルショッピングにも目配りが必要。
  • リース契約等による燃料電池自動車の導入促進にも配慮して欲しい。また、京都議定書目標達成計画に向け、EUのキャップ制度(CO2排出量の上限枠)を検討して欲しい。
  • 事故情報のデータベースの充実に向け、情報の収集、フィードバック、活用を行う体制を検討して欲しい。
  • 地方の中心市街地の活性化に向け、まちづくり3法の見直しを是非お願いしたい。特に、喫緊の課題として、郊外のショッピングセンターに規制をかけて欲しい。また、現在の中心市街地活性化法は商業に重点が置かれているが、生活者の立場に立ち、暮らしやすい街、安全・安心な街という考え方を取り入れて欲しい。病院、学校、役所の郊外移転にも歯止めが必要。
  • 中期的には、都市の拡大政策から縮小政策への方向転換が必要。また、監督官庁が3つに分かれているが、一本化したまちづくり基本法の制定をお願いしたい。
  • 最近、増税について議論されているが、消費税については、消費への影響を踏まえて、慎重に検討すべき。
  • EPAについて、もう一歩踏み込んで、推進に向けた日本政府の強い意志を明確にして欲しい。
  • 温暖化対策については、全国民の認識と協力が不可欠。民生の取組の強化のため、全国民の協力の必要性を強く打ち出すことが重要。
  • 地域経済分科会では、全国約270の都市圏単位で将来予測を行っているが、従来行われている予測よりもよりドラスティックな大都市への人口集中が起こるという結果となった。経済活動が適切に行われる所に人が集まるというのは一つの原理ではあるが、土地や社会資本という資源の有効利用になるのかを考えると、方向性の再検討が必要。
  • 市町村合併を進めた上で、更に連携を強化し、30~50万人規模での地域経済政策の立案・実施が必要。経済産業省が中心となり、モデル地域において広域連携がどう行われるのかの方向性を示すことが必要ではないか。特に、各地域の「輸出産業」となる基幹産業を持った上で、発展戦略を考えることが課題であり、そのための施策が必要。
  • 日本のものづくりの強みは、働く人の質の高さと厚みのある消費者層の存在。ただし、最近では二極化を起こし、貧困層が増えてきている。これはNEET、フリーターの増加とも関係があり、国を挙げての対策が必要。
  • 省庁横断的な情報交換と取組をお願いしたい。例えば、大学院教育に対する産業界のニーズの反映や、教育行政の分権化に対応するための広域行政のあり方などは、省庁横断的な情報交換が重要。
  • アジア諸国では労働法制が未整備であり、労働紛争がなかなか解決しない。
  • サマータイムについては、労働強化につながるという懸念を払拭した上で、是非推進して欲しい。
  • 長期的にはCO2排出量の40~50%削減が必要という議論が出ているが、原子力、再生可能資源の利用に加え、産業構造の変化も含めて検討を進めて欲しい。
  • 省エネに関わるサービス産業が出てくると思うので、その可能性の検討もお願いしたい。
  • イノベーションとは、技術から出てくるインベンション(発明)を社会が受け入れた結果、社会現象がどう変わっていくのかということだと思う。そういう観点から考えると、イノベーションによってライフスタイルやビジネスモデルがどう変わるのかをもう少し具体的に示して欲しい。
  • 日本の基盤技術を担う企業は、技術やタテ・ヨコのネットワークに素晴らしいものを持っており、今後の日本の強みになると思うので、力を入れて欲しい。また、技術の変化が加速して陳腐化しやすくなっており、社会人教育など、企業での環境整備を進めて欲しい。
  • 人口減少、グローバル化、エネルギー環境制約の高まりという大きな構造変化の中、どういう日本を目指すのかという絵を描くことが必要。その際、今後も経済的な成長を目指し続けるのかは見直す余地があり、必ずしも、GDPの拡大といった経済的成長はマストではないかもしれない。一人一人の日本人が、豊かで楽しい生活ができることを目指せばよいのではないか。発展を測る尺度としても、労働時間、居住環境、就業環境など、色々な尺度が考えられる。
  • 情報家電の川上、川下という説明があったが、実際には川下はセット機器では終わらず、その先にサービスの供給まで含めた産業になっている。サービスをどう活性化し、どう強くしていくのかを考えて欲しい。
  • マクロ経済の背後にある産業構造の変化をどう展望するのかが重要。具体的には、市場経済ではマーケットが決めることとして突き放すのか、高付加価値化するために政策によって何を行うのか、中国との補完・代替関係の再構築をどうするのかなど、戦略的に描かなくてはいけない。
  • 産構審では、21世紀ビジョンより、もう一段ディテールのある分析をした方が良い。21世紀ビジョンでは一人あたり実質経済成長率が2%強伸びるとしているが、産業構造とどうリンクしているのかが、必ずしも十分分析されていない。
  • 政策が成果を生むためのPDCAサイクルを実現し、生産性の低い分野から高い分野へどう人・モノ・カネを誘導するのかを考えて欲しい。
  • 地域については、もう一歩踏み込んだ分析が必要ではないか。経済産業省として、マクロな経済分析とリンクする形で、地域経済分析に取り組んで欲しい。
  • 経済大国にはなったが、豊かさの実感に繋がっていない。働く環境の向上や、幸せであることが、生産性の上昇や、高付加価値社会に繋がるという面もある。サービス産業等では、生産性が低く、長時間労働が続いているが、高付加価値を生み出す働き方にしていくことが必要。
  • 女性の活用や共働き世帯の増加は不可欠。男性も含めた働き方の見直しも含め、男女ともに働くことのできる高付加価値社会に対応したビジョンが必要。
  • フリーター、ニート問題や、非正規雇用の増加については、柔軟で、かつ安心して働けるモデルを築くことが必要。人材育成については、大学教育の見直しだけでなく、人材育成システムの全体的な見直しが必要。
  • 対外経済政策については、アジアに重点を置いており、それ以外はWTOに頼れば良いと聞こえる表現もなっているように思う。欧米やBRICsも重要であり、アジアだけにシフトするのではなく、全世界的に考えて政策を打ち出してもらいたい。
  • 研究開発促進税制、IT投資促進税制の延長も含め、企業の活発な活動を支持する施策を推進すべき。
  • 企業会計におけるM&A時ののれん代の償却について、日本は欧米と異なる制度の採用する方向とのことだが、日本のIT企業が海外のIT企業を買収する際に非常に不利になる。配慮が必要。
  • 少子化対策について経済産業省が何を考えているのかについて、どこかで態度を表明して欲しい。

事務方より回答

(総括審議官)

  • 従来施策の違いという点については、昨年策定した新産業創造戦略をベースにしており、政策面を新産業創造戦略2005として進化させている。産業政策の最大の重点は、ものづくり産業の競争力強化であり、その延長として、サポーティングインダストリーの強化を今年の重点としている。

(経済産業政策局長)

  • 人口減少等の長期的課題については、4月に基本政策部会で検討を開始しており、来年夏までに報告を出す。10~20年先を展望し、当省の所管にとらわれずに検討したい。少子高齢化、人口減少の中で経済活力をどう維持するかが最大の課題。格差の問題を指摘頂いたが、基本政策部会では世代間格差の問題に取り組んでいる。財政再建については、歳出削減と増税だけでは絵は描くことができず、経済活力の向上が不可欠。そのために、将来世代の活力の向上、民が担う公共の拡大、個人の意欲・能力の向上、非正規雇用・女性・高齢者を含めた働き方の見直し等について議論頂いている。
  • 経済活力の向上については、昨年策定した新産業創造戦略で、高度部材産業など日本の強みの上に、燃料電池や情報家電といったリーディングインダストリーを育てる、という長期ビジョンを提示している。
  • フリーター、ニート対策については、若者自立挑戦会議で省庁を超えて議論している。人材育成については、大学だけでなく、小中高でのキャリア教育に取り組んでいる。今年の新政策としては、高専や専門職大学院で産学協力により社会人教育を行うシステムを作る。
  • 消費税を含む抜本的税制改正の議論は不可避。ただし、歳出カットと増税だけでは対応できず、経済活性化を通じた税収の増加が必要。そのため、仮に増税するとしても、産業・経済の活力へのきめ細かい配慮が必要。研究開発促進税制、IT投資促進税制は、まさに経済活力を維持するための税制であり、引き続き税務当局と議論する。
  • のれん代については、政府が関与しない企業会計基準委員会で検討されており、当省としても議論をしたが、このような結果になっている。今後は、国際的な制度調和に向けた国際調整を行っていくことが必要。

(通商政策局長)

  • 東アジアに重点を絞りすぎという指摘については、経済・企業の行動がボーダレス化している中で、制度のハーモナイゼーション、途上国の規範となる取組という観点から、先進国の連携は非常に重要と考えている。東アジアの経済連携も、更に加速したい。農業、外国人労働者の問題はあるが、両国がメリットを認識出来るよう、スピードを重視して取り組む。

(産業技術環境局長)

  • 木材等の不法な輸入については、今サミットで日本からも提案し、違法伐採についての国際的な動きを引き出した。また、リサイクル材の安全性の確保、ライフサイクルアセスメントの必要性については、御指摘の通り。環境配慮情報が各段階で共有されるようなリサイクルシステムの高度化を検討している。
  • 地球温暖化防止に向けた国民運動については、日本の国民の意識は非常に高いと考えている。行動に結びつくような的確な情報提供に努めたい。省エネに関わるサービス産業については、新産業創造戦略の7分野の中で、環境・エネルギー産業として取り上げている。
  • 排出量キャップについては、日本の場合は自主行動計画でヨーロッパのキャップ制度以上の対応を行っている。意欲的な目標を造って頂いており、その効果を見ながら、それぞれの国の状況に応じ、キャップが必要かどうかについて検討する。

(商務情報政策局長)

  • 競争力あるサービス産業育成策については、新産業創造戦略でコンテンツ、集客交流、ビジネス支援、健康が言及されている。雇用吸収力のみならず、海外への競争力を持ち得る産業として育成していきたい。
  • IT投資促進税制については、国際競争力強化のために必要ということで議論している。
  • 情報技術の延長上にあるITを使ったサービスの提供については、サービス提供基盤実証実験として、総務省と一緒に、放送業、e-ラーニング、遠隔医療等も含めて行っている。

(資源エネルギー庁次長)

  • 燃料電池については、戦略7分野の一つだが、水素社会の象徴的な案件であり、力を入れていきたい。燃料電池自動車は高価であり、まずは官公庁で使用していきたい。

(貿易経済協力局長)

  • ODAについては、ジャパンODAモデルを推進する。相手国のニーズに応じ、かつ日本の国益にも即して、手法の改善を図る。
  • 債務削減の際の貿易保険の財務面での基盤強化にも、しっかり対応したい。

(消費経済部長)

  • PL法については、実態を踏まえながら、所管している内閣府と連携していきたい。
  • インターネット取引については、バーチャルな世界に、訪問販売・通信販売と同じようなルールを明確に適用。その際、モバイル取引も含めることは当然。特定商取引法の適用については、リアルの世界に加えバーチャルについても、今年の秋から厳しく実行する。

(中小企業庁長官)

  • 中心市街地については、コンパクトシティ、都市機能の市街地集約を頭においた、まちづくりの形を考えており、今回も法改正を含め、検討中。
  • 中小企業の構造調整機能については、やる気と能力のある中小企業を応援するというのが基本的な姿勢。構造調整については、下手な手は出さない。高度部材産業についても、東アジアでやるべきものと、日本でぜひやるべきものを見分けてやっていかなければいけない。

以上

お問合せ先

経済産業政策局 産業構造課

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最終更新日:2005年8月15日
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