産業構造審議会総会(第11回)‐議事要旨
日時:平成23年9月27日(火曜日)16時~18時
場所:経済産業省本館17階第1~第3共用会議室
出席者
米倉会長、青山委員、上原委員、尾崎委員、大西委員、木村委員、佃委員、中島委員、野原委員、野間口委員、藤吉委員、松本委員、宮田委員、村井委員、渡辺委員、岡村臨時委員、三村臨時委員、天野氏(槍田委員代理)、逢見氏(古賀委員代理)
議事概要
(1)経済産業省政務三役より冒頭挨拶
牧野経済産業副大臣
- 経済界、産業界の重鎮の皆様にお集まりいただいたことに感謝。
- 大震災からの復旧・復興、円高、空洞化など課題に直面しているが、皆様にご指導を頂く中でお役に立てるように頑張っていきたいと考えている。
北神経済産業大臣政務官
- 日本の経済は厳しい局面にあると思っている。大震災のみならず、電力供給、円高など企業は厳しい状況にあると考えている。
- 皆様のご意見をお聞きし、政策に反映していきたい。
(2)事務局説明
- 大臣官房総括審議官より、資料2に基づき説明。
(3)自由討議
- 資料は非常に良く整理されており、あとは実効性の問題。政務三役に期待したい。
- 消費者政策や内需の視点が足りない。リーマンショック以降、消費者は節約疲れをしており、災害に強いまちづくり等への潜在的な消費はある。内需を掘り起こす施策を行って欲しい。
- 今年は電力供給不足を何とか回避できたが、その裏で経済活動に大きなマイナスの影響を及ぼした可能性がある。その点をきちんと検証すべき。
- 安全性が確認された原発は再稼働していくべき。再生可能エネルギーと基礎エネルギーのベストミックスが重要。
- 円高についても、財務省や日本銀行と一丸になって、政策を総動員して欲しい。
- 今まで中小企業政策は税制や金融面に偏っていた。廃業が創業を上回っている段階では雇用も生まれない。今後は中小企業の起業・創業や海外展開等に資金を投じて欲しい。優れた技術を持った中小企業を目利きしていかに育てていくかが重要。
- 消費者と最も密接に関わる産業が流通。震災時に素早く対応できた流通機関は、メーカー・卸売・小売をITによって繋ぎ、在庫情報や出荷情報をいつでも把握できる仕組みを整備して一気通貫で流通活動を展開していたところだった。
- 今後はITを使った情報の共有につながる製・配・販の連携が必要。あらゆる流通機関で情報を共有していく仕組みが求められる。
- アメリカでは消費者自身が流通機関の在庫情報等を引き出せる仕組みがある。こうした仕組みがあると、震災時の消費者の購買に大いに役に立ち、余計な不安感を削減することもできる。
- 東日本大震災からの復興に全力をあげるべき。
- 経済連携の強化を進めるべき。特にTPPは世界の通商ルールづくりに主体的に関われるチャンス。
- パッケージ型インフラ輸出の支援、法人実効税率の引き下げ、電力の安定供給を着実に達成すべき。
- 被災地の産業復興の重要性は皆が同意できるだろう。東日本大震災復興構想会議の提言にも盛り込んだが、被災地の産業を復興するためには6次産業化が大事。縦割り行政の中で、6次産業化をサポートする主体が不明確になっている。
- 地域政策は経済産業省の政策の中で比重は小さくなっているが、高齢化が進展し、人々の移動可能性が低下する中で、重要性は増している。労働力の広域化、国際ネットワークが地域にあってもいい。新たな地域産業振興策を考えて欲しい。
- 今回の危機のいくつかは人災である。特にエネルギー政策については経済産業省も過去の政策を反省すべき。そうでないと、経済産業省の政策に人々は耳を傾けてくれない。
- 今回の震災で明らかになったことは、日本は、ITや携帯電話、スマートフォンのインフラがしっかりしているということ。消費者レベルでのITの利用能力は非常に高い。しかし、産業や行政におけるITの利用が進んでいない。インテルの最近のレポートは、日本では自宅からコンピュータを使って仕事が出来ないことを問題視していた。リスクを過度に回避している。ITによって社会・経済を活性化するというメッセージをトップレベルでもっと強く打ち出すべき。
IT融合は、いろいろな産業分野でITが貢献することを意味する。農業や医療とITが融合すると、グローバルな付加価値創出に結びつく。ITは「タテ」のものを「ヨコ」につなげる技術であり、政策を進める上では各省庁の連携が非常に重要になる。経済産業省はその役割と責任を担うべき。 - 5重苦の中に労働コストが含まれているが、我が国の単位労働コストは国際的に見ても上昇率は低い。雇用保護規制も先進国の中で平均よりも少し緩い水準である。これで本当に「苦」とすべきなのか。
- 空洞化は非常に重要な問題である。昨年、「日本国内投資促進プログラム」を策定したが、これを雇用創出につなげていく必要がある。低炭素産業における雇用創出は、雇用の質を改善していくためにも重要。
- 国際標準は重要だが、日本が使いやすい制度を構築していくことが必要。
- 法人実効税率を引き下げることによって、日本の国際競争力が増加し、国内投資を活性化できるのであれば、引き下げに賛成。法人実効税率の引き下げを行うべき。他方、研究開発税制の縮減はイノベーションの足枷となるおそれがある。
- 再生可能エネルギーは産業技術総合研究所にも蓄積がある分野であり、我々も頑張っていきたい。再生可能エネルギーはビジョンを持ってアジア諸国との連携も含め粘り強く取り組んでいくべき政策課題。
知財の重要性が高まっている。知財戦略を失敗すると、日本経済は7重苦に陥る。新興市場が成長する中で、中韓の発明申請数が増大。中国での訴訟件数と、日本企業に対する賠償請求額が増加している。産業政策と産業技術政策及び知財政策を一体的に行っていくべき。世界はイノベーション競争をしており、経済産業省にはぜひ頑張ってもらいたい。 - 税制改正検討の時期になると毎年ナフサ免税、コークス用石炭免税の廃止が取りざたされる。免税を恒久化すべき。ナフサ免税が廃止されれば、自動車はじめ様々な業界だけでなく国民生活全体に大きな影響を与える。化学産業の大元である原料への課税は諸外国でも例を見ないが、毎年のように課税の議論が出てきて、そのたびに化学産業の存続が危ぶまれる。化学産業で働く70万人のうち50万人は中小企業で働いている。新しい中小企業を育成することも大切だが、いま働いている50万人の雇用は守るべきであり、今年は是非本則恒久化してもらいたい。
- 世界の成長からの脱落、世界の動きに取り残されるという危機感を感じている。そのような中で重要なのは、新規プレイヤーを創出して成長させる社会環境作りをすること。既存の企業だけでは世界の市場の変化に十分対応できない可能性があり、市場の多様性の観点からもスピード感のある新たなプレイヤーを育てていくことが重要。
- そのためには、これまでのような資金面のみのサポートではなく人材やノウハウの面でサポートすることが必要。多様な経験者がベンチャーを興し参画することを推奨する社会にしていく必要があるのではないか。より短期的には、官の調達先としてベンチャーを優遇する措置も考えられる。
- また、原発、交通、スマートグリッド、ヘルスケア、教育等幅広い意味での社会インフラをセットで輸出することは重要であり、積極的に取り組んでいただきたい。東北の復興と合わせて、モデル化を行う等行うことができるのではないか。
- 新成長戦略の先端分野である航空機・宇宙産業に対する、官民一体となった大胆な施策をお願いしたい。航空機産業は、「産業構造ビジョン2010」のアクション・プランで、完成機である三菱リージョナルジェット(MRJ)・プロジェクト推進による機材提案からファイナンス・整備に至る総合的ソリューションの提供を掲げた。また「2010年度版ものづくり白書」でも、単なる部品・モジュール分担から脱却し、将来ビジネスの確保に繋がる国際共同開発や国産旅客機を通じた完成機ビジネスが成功しなければ、航空機産業の存続は困難であることを強調。
- 特に新規参入となるMRJ完成機ビジネスの場合、一定条件下の政府保証など金融面での政府支援が無ければ事業成立は厳しい。開発・製造を推し進めたところで、いわゆる「死の谷」に直面し事業自体が立ち消える。金融・サービス面こそ深刻な課題との指摘が産構審航空機委員会からも出ており、リース・ファイナンスやプロダクト・サポート等ご支援を強く要請。
- また航空機は空港インフラ・整備拠点と一体になった社会インフラであり、国産旅客機を通じた持続可能な航空ネットワークの構築が、東日本大震災後の復興・復旧を含む国土形成の礎となる点をご理解頂き、事業特性に基づく政府の支援をお願いしたい。
- 一方の宇宙産業は、野田総理の所信表明演説の通り、宇宙空間の開発・利用に対する戦略的推進体制の構築によって、我が国の宇宙利用が促進される事を期待。東日本大震災では、地上インフラのバックアップとして衛星通信や観測等の宇宙インフラが重要な役割を果したが、国民の安心安全、生活の質的向上の観点から、更なる宇宙インフラ強化が必要であり、航空機に続く次世代の産業として大きな期待が寄せられている。
- そこで宇宙戦略本部や経団連からお願いしている日本版GPS・準天頂衛星の導入や、宇宙輸送系産業の自立・強化への具体的支援をお願いしたい。
- また宇宙産業の海外輸出・サービス提供や、国際共同プログラムへの参画・貢献は、航空機産業と同様に世界における日本のプレゼンス・ブランド力を高める事につながる。今、我が国にとり大切なことは、技術に対する信頼回復と世界に対するプレゼンス強化であり、航空機産業と宇宙産業は共に日本が技術立国として生きていく為の新たな成長の源泉となることを強く訴えたい。
- 1年前の成長戦略の再掲のように感じる。課題があるが、実行に結びついていないと感じるため、今後はぜひ実行していただきたい。
- 今回、大きく変わっているのは危機意識の強さ。本会議にとどまらない、国民全体の危機に是非ともつなげてもらいたい。2009年の純資本形成(資本形成から固定資本減耗を除いたもの)がマイナスになった。その一方で、企業の海外投資が伸びている。これは国内の投資が海外に流出したことを意味しており、日本経済の潜在成長力を引き下げることになる。
- 産業空洞化とともに、急激な円高や電力需給等、足下の状況が非常に不安。
- エネルギー政策はいろいろな意味でバランスの取れた施策が必要だと考えるので、環境問題についても共に考えていくべき。
- 産業空洞化に懸念は持っているものの、海外展開は悪ではないと認識。ただし、節度は必要であり、重要技術・産業の流出の防止はしっかり取り組んでいただきたい。
- 重要技術・産業を国内に保持した場合、高度な人材に対する需要が国内で高くなると思う。そのような人材を輩出するため、産学連携を進めていただきたい。
- 委員の皆様がおっしゃっていたとおり、実行が大事。
- 日本が6重苦を抱えたままで、欧米が課題解決に成功した場合、止めどない円安や国債暴落など日本経済は大変なことになる。短期的な解決策も必要だが、中長期的な戦略が必要。中長期的な視点から、環境・エネルギー・安全安心を軸に国が早く総合戦略を打ち出す時期だと考えている。
- 先物取引は、価格を形成する公的な市場。こうした取引市場は、産業構造の基盤としてきわめて重要。
- 産業技術の観点から一言。核融合エネルギーは実用化まで遠い技術ではあるが、今後実用化した際にも日本の優位性を保てるよう、政策的な立場からご尽力を願いたい。
- 消費者政策は、産業政策のために必要な基盤。
- 今後、内需を拡大していくためには、将来に対する経済不安を払拭する必要がある。現在における安全安心を産業政策的に確保するとともに、将来の生活における安心をきちんと政策的に確保することが大事。
- やってもらいたいのは産学官の連携強化、付加価値を作ることである。資料に多くの文字がある中で、人間という文字が見あたらない。日本国家を作るという意識を持ち、人材の面でしっかりと連携をとってもらえればと思う。感性を磨いて欲しい。
(4)事務局からの回答
大臣官房総括審議官
- 委員から、今回の災害は人災的側面があって、エネルギー政策を所管している経済産業省は反省することが大事ではないかとの御意見があったが、その通り。現在、そのような気持ちを持って取り組んでおり、原子力事故への対応について全力で取り組んでいる。また、組織の見直しについても聖域を設けず行っていきたいと考えている。
- 労働は苦なのかとのご質問があったが、こちらは産業界に新たに「電力供給制約」という苦が加わった側面を強調するため、このような表現とさせていただいている。ご指摘を踏まえて、表現ぶりを工夫していきたい。
- 時間が限られているので、特に経済産業政策局長と資源エネルギー庁長官からお答えする。
経済産業政策局長
- 円高についての危機感や空洞化対策の懸念をご指摘いただいた。我々もこれまでにはなかった、もう一段の空洞化の危機を感じており、付加価値の高い商品や、国内の新しい内需を掘り起こしていくことが今後の課題だと考えている。
- 委員の方々からもご指摘いただいたが、まずは成長戦略の着実な実行を肝に銘じているところ。3次補正の中では、立地補助金を大幅に上乗せしてまいりたい。また、ナフサ原料用途免税の本則恒久化を含め、各種税制要望についても引き続き取り組んでまいりたい。
- 加えて、円高のメリットが生かす施策について注力をしてまいりたい。
資源エネルギー庁長官
- エネルギー政策の見直しについては、反省を踏まえ抜本的に、長期的に粘り強く取組を行っていく。
- 来週から総合資源エネルギー調査会が始まっていくが、環境問題を含め、聖域のない議論を行う予定。エネルギー・環境会議とも連携して今後のエネルギー需給対策について議論を行う。
- 資源確保についても積極的に取り組んでまいりたい。
(5)産業構造審議会会長より締め括り挨拶
- 「東日本大震災からの早期復旧・復興及び原発事故の早期収束」、「電力の安定供給確保のための工程表の策定」、「行きすぎた円高及び空洞化対策」、「TPP交渉への参加表明」、「成長戦略の実現」、「規制緩和や特区制度を通じた新しい市場や雇用の創出」、「研究開発投資減税や政府研究開発投資の拡大によるイノベーションの推進」について、経済産業省に期待。
- 経済界としても最大限の協力をしてまいる所存であるので、よろしくお願いしたい。
(6)枝野経済産業大臣より締め括り挨拶
- まずは大震災からの復旧・復興に全力を挙げて取り組んでまいりたい。また、原子力発電所事故については、早期の収束をはかり、1日も早い除染や、今後事故を起こさない体制作りにむけて努力をしていく。
- 省エネルギー、代替可能エネルギーの開発・促進を含めて、エネルギー・環境会議とも連携を進めてまいりたい。
- 日本経済が活力を取り戻せるよう、取組を進めていきたい。今後とも引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げる。
以上
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最終更新日:2011年10月25日
