産業構造審議会総会(第9回)‐議事要旨
日時:平成21年8月20日(木曜日)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階第1、第2、第3共用会議室
出席者
御手洗会長、青山委員、池尾委員、石谷委員、上原委員、大沢委員、大西委員、尾崎委員、天野代理(勝俣委員代理)、河野委員、逢見代理(古賀委員代理)、佃委員、豊田代理(富澤委員代理)、中島委員、野原委員、野間口委員、松本委員、渡辺委員
議題
「平成22年度経済産業政策の重点」等について
議事概要
「平成22年度経済産業政策の重点」等について
「平成22年度経済産業政策の重点」等について立岡総括審議官による説明後、自由討議を行った。委員からの主な発言要旨は以下の通り。
- CO2の削減目標の実現には、非常に大きな努力を要する。経済・社会の変化を伴うので、国民の覚悟が必要。産業構造の変化は就業者に影響を及ぼすので、緻密な影響評価予測を行うべき。
- CO2の削減目標を実現するための国民負担については、新技術がどの時点で実用化され得るのか常にモニターし、臨機応変な政策対応と必要に応じた再検討を行うことが必要。
- 「未来」への取り組みと「足元」への取り組みの間の期間である、今後5~10年の「食い扶持」を稼ぐための方策を示す必要があるだろう。
- また、「第二の柱」に中小企業の安心確保のための施策が多く、「暮らしを守る」ための施策の具体性が乏しい。安心は日本経済を原点から見直して初めて実現できる。例えば、年金で勤労者から高齢者への所得移転を行う一方、遺産で高齢者から若年者への財産移転も行われており、その結果、世代内不公平が拡大しているが、これでは将来不安の解消は難しい。もっと各世代が自立的にやっていく社会への移行が望ましい。
- 技術開発は確かに重要だが、事業開発・海外展開の経験のある人材や、複数のスキルを持つ人材を育成し、大学だけでなく社会においても、スキル・アップとキャリア・アップを並行してできるようにしてほしい。
- また、「ジャパン・モデル」、「日本発」という点が強調されている点に違和感がある。日本で練り上げてモデルを構築してから海外に出るのでは、遅すぎる。最初から世界市場を見据え、海外で受け入れられるモデルを他の国と協調して作っていくべき。
- CO2削減については、製品のライフサイクル全体を視野に入れた上で、個々の技術、システムの革新に留まらず、トータルで見てCO2を削減する「新たな視点」でより効果的な方策を推し進めていくことが必要。ICCA(国際化学工業協会協議会)でも、原料から製造、使用、廃棄までを含めたライフサイクルの各段階におけるCO2排出量を調査しており、その結果によると、化学産業の製品では、そのCO2排出量の2倍以上の排出量削減、創意工夫次第で更なる削減効果が可能とされている。
- 新たな戦略を作るうえでは、過去の誤りを繰り返さないよう、景気回復を家計や雇用の改善につなげるにはどうすれば良いかという観点を入れるべきである。
今後、雇用情勢は更に悪化する見込みであり、失業率が5.5%を突破することも懸念される。勤労者の賃金所得も落ち込んでいる。暮らしに対する不安につながらないよう、今こそ人材育成に投資すべきだが、現状は不十分であり、もっと力を入れて欲しい。 - 「第一の柱」については、景気回復がジョブレス・リカバリーにならないよう、雇用につながるような成長戦略が欲しい。
- 各予算項目について、何年計画のうち何年経過した予算なのかといった点を示し、中身と経過が分かるようにしてほしい。
- 経団連でもワーク・ライフ・バランスの議論があったが、オランダ・モデルを参考にしたワーク・シェアなど、「新しい働き方」の議論が無いといけない。もっと挑戦的な言葉があった方が嬉しい。
- 産学連携についても、日本の大学は世界でランキングが低下する一方。関係省庁で連携して投資を行うようにしてほしい。
- エコカー等が一定程度経済効果を示すことが証明されたが、恒常的な消費拡大につながらないのは、将来不安があるから。エコポイント・エコカー等の施策が効果を発揮することが分かった以上、耐震住宅、エコハウスなどの重点施策をやってほしい。175億円という予算規模では小さすぎる。
- また、消費者行政については、消費者保護のための法律が消費者庁に移管されることとなっているが、消費者庁設立後も、経済産業省は引き続きしっかりと見守り、連携してほしい。
- 「航空宇宙」と「エネルギー・環境」事業を国家戦略と位置づける意義を、(1)国土及び国家の安全保障、(2)低炭素社会実現へ向けた交通システム・社会インフラの構築、(3)航空機の産業波及効果・中小企業雇用への貢献、(4)「エネルギー環境・航空機」技術/製品を通じた「摩擦のない真の国際貢献」という観点から認識する必要がある。
- 航空機は一国の産業力を示す製造業の頂点であり、防衛・民間における技術基盤の共通性から防衛機を含めた生産基盤強化が必要。
- 低炭素社会での交通システム・インフラとしての「ミツビシ・リージョナル・ジェット」や「高効率発電システム」、「再生可能エネルギー」や「原子力発電」等の重要性は、国土及び国家の安全保障からも確認出来る。
将来を見据え「高速増殖炉」や「原燃システム」にも力を注がなくてはならない。 - 安全保障や低炭素社会の実現に関する産業基盤は経済原理だけでは維持が困難。
それを可能とする「国家的仕組み・助成制度」を確立・強化してほしい。
我が国「エネルギー・環境や航空機」技術・製品の輸出を通じた国際貢献へ更なる政府の後押しをお願いする。 - 定住自立圏や相互扶助の仕組みがあっても、右肩下がりの地域の集まりでは活力は生まれないので、農商工連携に関してもう少し具体的な問題提起をすべき。
- 最終的には、高度医療など、地域外、特に海外で買ってくれる顧客がいることが重要だが、地方自治体が海外の動向まで把握するのは難しいので、経済産業省の地方局が重要な役割を担い得る。
- イノベーションの出口として知財はまず問題となるが、現在、日本がリードして、日米欧中韓の間で知財の世界システムを議論している。海外における日本企業のリスクを低減するとともに、世界に貢献してほしい。
- 次に、人材開発について、産総研では補正予算を使い、イノベーション・スクールにポスドクを約100名受け入れた。ものづくり関連の企業の経営者の方々にも、御協力いただきたい。
- 通商白書に「ピンチをチャンスに」とあったが、今は外需を取り込むことが重要。WTO、EPAの推進、特にEU等の大市場国との交渉をお願いしたい。
- 次に、経済協力については、ODA予算の確保をお願いしたい。最近は官民連携、BOP(ボトムオブピラミッド)がクローズアップされている。
- 3番目がグローバル投資。投資協定だけでなく、租税条約、社会保障協定の締結が必要。
- 最後に、国際課税の整備。海外子会社からの配当金の非課税など、これまでの対応を評価している。タックスヘブン税制・移転価格税制の対応もお願いしたい。
- 資源の安定確保も重要。ODA等を使ったオール・ジャパンの体制でお願いしたい。
- 次世代社会システムの実証は、経済成長と環境・エネルギー・安全等の課題を両立させるため重要。次世代社会システムの実現には、各企業・業界による個別技術の進化に加え、コラボレーション、アライアンス、ハード・ソフトの組み合わせ等が必要。日本でしっかりしたシステム、ノウハウができれば、海外展開も期待できる。産官学が連携して、例えば「環境負荷ゼロの町」を地方都市や新興国においてモデル的に作ってみるべき。行政には、産官学の連携がうまく進む仕組をつくり、リードいただきたい。
- 低炭素社会の実現には、電気だけでなく、バイオ、水素の利用が必要であり、技術革新とともに資源確保が不可欠。このため、通商政策面でも、資源外交や低炭素の技術やシステムを海外に普及させる際の特許やノウハウの保護を進めていただきたい。
- 何事もスピードが重要であり、速やかな政策の実施をお願いしたい。
- 次世代社会システムの実証については、社会を変えることも含む施策であり、推進にはPDCAサイクルが重要。施策に資するシステム開発の事例は日本にもある。これまでも、自転車等機械工業振興補助事業としての調査研究の成果や、JSTが行っている社会システム開発の基礎的な研究があるので、参考にすると良い。
- 「第二の柱」は大切な視点ではあるが、女性の活用という視点が抜けている。雇用についても、女性の新規の採用の半数以上が非正規雇用だと言われている。暮らしの安心のために今後共働きが不可欠になるが、同一労働・同一賃金の原則が確立しないと難しい。正規・非正規の枠組みではない、多様な働き方を選択できる仕組みにより、人材を活用できるようにすることが必要。
- また、世代内格差が拡大しているので、産業界は貧困層を経済的に自立させてあげてほしい。
- 内需が冷えているのは不安によるもので、(1)雇用不安、(2)年金(将来収入)不安、(3)消費の対象への不安がある。また、消費や投資の対象となる(4)商品への不安もある。これを克服して消費してもらうことが重要。今回の「平成22年度経済産業政策の重点」では伝統的な消費者政策が減っているが、消費者庁が行う消費者政策とは別に、マクロ的な消費者政策があるはずであり、経済産業省の重要施策として引き続き取り組んで欲しい。
問い合わせ先
経済産業省経済産業政策局産業構造課
電話:03-3501-1626
FAX:03-3501-6590
最終更新日:2009年8月26日
