経済産業省
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産業構造審議会総会(第10回)-議事要旨

日時:平成22年8月30日(月)13:00~15:00
場所:経済産業省本館17階第1、第2、第3共用会議室

出席者

米倉会長、青山委員、石谷委員、伊藤委員、上原委員、天野様(槍田委員代理)、浦田委員、尾崎委員、木村委員、古賀委員、佃委員、中島委員、野間口委員、藤吉委員、宮田委員、渡辺委員、岡村臨時委員、三村臨時委員

議題

「平成23年度経済産業政策の重点」等について

議事概要

「新成長戦略実現アクション100」等について北川総括審議官による説明後、委員・臨時委員による自由討議を行った。委員・臨時委員からの主な発言要旨及び事務方からの回答要旨は以下の通り。

  • 日本は厳しい状況に置かれている。産業の空洞化も、今回の急激な円高の前から始まっていたこと。これに対し、経済産業省は危機感を持って対処している。ただ、今回の円高を見ていると、産業の空洞化はもっと急激。
  • 伸びない市場、高い法人税、進まないEPA、強まる環境規制等を嫌って企業が海外に移転しても、個別企業としては当然の行動。しかし、多くの企業がそういった行動をとるようになると、日本全体としては大きな問題。
  • そこで、経済産業省には、的確に実態を把握した上で、「新成長戦略実現アクション100」をどういうタイムレンジで進めるか、危機感を持って考えてほしい。法人税の減税、再編・棲み分けを促す法制上の措置、EPA締結の推進など、いずれも重要だが、いつまでに実現するか、明確にしてほしい。
  • また、環境関連の施策については、産業界や国民に与える影響が最終的にどの程度のものになるか、見通せるようにしてほしい。経済情勢が悪化する中で、諸外国が方針転換を行いつつあることも認識すべき。
  • 「新成長戦略実現アクション100」を評価したい。この目標をいかに達成するかが重要。そのためには、政治の強いリーダーシップと共に、政策効果を定期的に検証し、場合によっては見直すための仕組み作りが必要。
  • 次に、質の高い雇用創出に繋がる経済対策をお願いしたい。足下の景気動向を考えると、規模、財源の問題はあるが、経済対策を早急に実施する必要がある。その際は、円高対策、雇用の維持・創出という観点が重要。経済産業省で検討している低炭素産業の国内立地補助は、地域雇用の創出・活性化という観点から評価できる。質の高い雇用に繋がるような制度・施策となるようお願いしたい。
  • 3つ目に、グローバル高度人材とともに、地域・ものづくりの現場を支える人材の育成が重要。加えて、成長産業の振興だけでなく、衰退産業にも目配りしながら、新しい職場に移るための職業訓練・能力開発等セーフティネットを強化し、大きな転換に備える必要がある。
  • まず、「新成長戦略実現アクション100」に敬意を表したい。
  • 他方、商工会議所の調査によると、既に今年6月頃から回復に停滞感が出始めていた。ここに来て円高が高進したことで、状況は更に悪化。「新成長戦略実現アクション100」は、平成23年度予算要求に伴う施策ということだが、今年度からでも、できることは明日にでも実施すべき。
  • 雇用については、「新成長戦略」では「100万社起業」を目指すこととされているが、仮に100万社の起業があると、約400万人の雇用が創出される。実現に向けて具体的な施策を望みたい。
  • 加えて、中小企業の国際展開支援については、単なる展示会や博覧会だけでなく、ビジネスプロセスの全てをフォローしていただけるということで、非常にありがたい。日本は中小企業、特にサービス業の生産性が低いと言われるが、ICTの活用等により収益が上がるよう、御支援いただきたい。
  • 「新成長戦略実現アクション100」の重要性に同意する。ただ、タイムスケジュールを明確化すべき。また、日本の品質の高いインフラ・システムを輸入すれば、そのインフラ・システムを輸入した国々にとっても、環境に優しい経済成長を実現する上で、大きな意味を持つ。さらに、彼らが経済成長すれば、それにより日本も更なる恩恵を蒙ることができる。
  • どうすればインフラ・システム輸出が拡大できるかという点については、法人税の引き下げ、PPPの効率的な活用等が必要。また、日本単独ではできないプロジェクトもあるので、ERIAで策定しているアジア総合開発計画のように、他国を巻き込んだ取り組みが必要。
  • 3つ目は、日本のアジア拠点化の推進について。かつて日本は高付加価値化の拠点であり、研究開発の拠点だったが、現在は魅力を失っている。再び日本経済が活性化するには、法人税減税だけでなく、他の国が行っているような財政・税制上の支援措置、入国管理手続き等の規制緩和など、様々な側面から大胆な措置が必要。
  • 4つ目に、EPA締結の障害となる農業の自由化について。経済産業省の政務三役には、内閣の場で、農業の自由化は勿論、どのように自由化していくべきか、方法論についても踏み込んだ発言をお願いしたい。農商工連携も、EPA締結のための農業自由化の一つの方法。
  • 新成長戦略が示す新たな経済成長の実現へ向けた諸施策について御支持申し上げると共に、「平成23年度経済産業政策」の下で宜しく御推進いただきたい。同時に「経済のグローバル化」と「新たな成長分野」に着目し、先端分野に対する官民一体となった大胆な施策をお願い申し上げる。
  • とりわけ同分野を代表する航空機産業の課題は、世界の重商主義的な動きや新興国の台頭等により、R&Dを主体とした従来型事業展開から、「技術の標準化や生産技術の向上、または新ビジネスモデルの構築やファイナンス・サービス機能の拡充といった産業総力戦」に変質している。本審議会内の航空機委員会でも「死の谷」論議が巻き起こり、開発・製造面のみならず、リースファイナンスやプロダクトサポートといった金融サービス・システム面にこそ大きな課題がある点も確認できた。
  • また、航空機は「国の安全保障や世界の交通輸送」に深く関与すると共に、「社会・空港インフラ」と一体となった「代表的産業インフラ」の視点から捉えるべき。一国の産業力のシンボルである航空機産業は、原子力や鉄道システム等インフラ輸出と同質・同等以上の戦略産業として、産業政策・産業金融に跨る「世界的に視ても遜色のなく、かつ事業特性を考慮した効果的支援・制度」が必要不可欠であり、更なる御支援をお願い申上げる。
  • イノベーションのオープン化に対応したライセンス制度の利便性向上や特許料金の見直し等の制度改革を通じて、産業支援を進めていただきたい。また、特許制度の見直しを進め、新しい時代に向けて戦略的な知財活用ができるよう、国際的なリーダーシップを発揮すべき。
  • 日本が技術で勝って事業で負けるのは、我が国企業の知財戦略に隙があったためではないか。action 85、91で、事業戦略と知財戦略の連携、標準化の一体的促進の重要性について言及があるが、大変な進歩。R&Dの成果を国際標準という形で守りながら、日本の技術を世界に発信していくべき。これは本来むしろ産業界がやらなければならないことかもしれないが、官の側から問題提起していただくことも有意義。特に、action 91に適合性評価について言及があるが、日本はヨーロッパに比べて適合性評価の観点からは受け身だったので、官民挙げた取り組みが必要。
  • action 3、89で、「つくばイノベーションアリーナ」について言及がある。国際的な高度人材をどう呼び寄せるか、「つくばイノベーションアリーナ」を舞台に、具体的なあり方を探求していきたい。
  • 施策の影響評価に関する見解を、政府部内で統一すべきではないか。
  • また、地球温暖化対策で「セクター・アプローチ」が議論されたことがあるが、最近は下火。本来なら技術による解決の可能性にもっと期待しても良い筈。
  • また、革新的な技術の産業化においては、特に電気自動車の分野においては、アメリカも韓国も、国が積極的に支援している。その技術が採算に乗るという確信が無いと民間企業は動けないので、国がリスクを負担することが必要。
  • 先日、自動車の下請け産業にヒアリングをしたら、中国は自動車部品を日本からの輸入に依存しているとのことだった。action 76にもあるが、最初の契約で知財を保護しないと、その後で覆すことは難しい。
  • アクションプランの中で予算について言及のあるものと無いものがあるが、予算について言及が無いものは、何をすることになっているのか。また、課題毎のロードマップはどうなっているのか。3つ目に、製品安全規制の実現は喫緊の課題だが、安全規制の分野でも国際標準が重要になってきている。日本の標準を国際標準にする強力な指導力が欲しい。さらに、地域コミュニティの活性化は重要。世界に打って出ることも大事だが、足下の日本で地域の人々が安心して暮らせる町づくりも必要。
  • 地球温暖化対策の強化とのバランスが課題。排出量を削減するための努力は大切であり、石油石炭税からコストを負担するという考え方は理解できるが、再生可能エネルギー、排出量取引など、さまざまな諸施策が後から後からオンされるのは困る。温暖化対策については全体像を出すべきである。
  • また、排出量削減が重要なのは分かるが、現在の経済環境で、国内企業の海外への流出を更に促すような政策を今この瞬間やるべきなのか、諸外国と比較して疑問を感じる。
  • 産学あるいは産学官連携による人材育成の重要性については随分昔から言われているが、あまり大きな効果が上がっていない。しかし、JSTの振興調整費を使った「先端融合分野」の競争的資金では、企業が大学との共同研究に本気でコミットすることを求めた。選考では、企業から詳細な聞き取りをした上で、研究資金を配分した。これにより、いくつかの良い案件が出てきて、若い研究者が育ち始めている。日本の場合、放っておいてもなかなか上手くいかないので、こういったフレームワーク作りが重要。
  • 昨年から日本技術者教育認定機構(JABEE)の会長を務めているが、最近、「メリットが見えにくいので認証を辞退したい」という大学が増えている。認証されたプログラムを修了すれば国際的にも認められた技術者として認められるという大きなメリットがあるにもかかわらず、日本国内での就職に関係無いということで、このような状況が生まれ始めている。経済産業省、産業界からの強いプッシュをお願いしたい。
  • 大卒の就職率が6割にも満たない中、高専卒業生は3月の時点でほぼ全員就職先が決まっているのに、文科省も企業も特に財政的な支援をしていない。この点も是非考えてもらいたい。
  • 現在の円高の状況を見ると、日本の競争力は急速に衰えてきており、ものづくりにおける空洞化も避けられない。短期的課題と中長期的な課題を整理し、短期的課題を早急に実行に移すことが重要。特に、技術開発関係の施策は、早く進めないと手遅れになる。
  • 2つ目は、連携プレーの重要性について。「新成長戦略」と「新成長戦略実現アクション100」の関係という資料は、分かりやすい。この実現には、経済産業省だけでなく、関係省庁の連携、民間側における企業同士の連携、産学官の連携が必要。
  • さらに、こういった連携関係が多くなるほどリーダーシップが必要になる。
  • 100もあるアクションプランに「人」が見えない。横軸で繋げるにはどうすれば良いか、再度考えてほしい。そうして初めて、プライオリティ付けが可能になり、センスのあるアクションプランになる。品格が無いと人は育たない。
  • また、クールジャパンだけが日本文化ではないので、御留意いただきたい。
  • 人材について。人材育成、特に若手人材の強化について盛り込まれているが、最近の若者は、学校や学科を選ぶ際、偏差値や得意科目に影響され過ぎており、結果的に希望とのミスマッチが生じていると感じる。これが、内向き志向や、くじけやすさにつながっているのではないか。大学に入る前のもっと若い人達に、自分は社会にどう向き合うか、自分は社会でどのような責任が果たせるか、しっかり考えてもらった方が良い。キャリア教育の転換が必要。
  • 経済産業省だからこそ、これだけのものをまとめられる。しかし、あえて厳しい指摘をすると、各アクションをどういうペースで実行するか、きちんと明示してほしい。また、過去に打ち出した施策で実現できないままになっているものについて、原因の検証が必要。また、もっとメリハリがあって良い。日本に問われているのは、何を捨て、何を残すのかということ。現下の危機に対応することも必要だが、同時に5~10年後の見通しも問われている。
  • 例えば雇用においては、将来的には生産年齢人口が激減するので、短期的な危機対応と中長期的な戦略は方向性が変わってくる。また、20年後、アジアでは、中国、日本、ASEAN、インドという、いくつかの経済地域が生まれているだろう。その中で、日本はどういった位置付けにあるかという問題は、危機対応とは別の問題。
  • 危機対応だと割り切るなら、スピードが一層重要になるが、中長期的な課題への対処であれば、地球温暖化問題への対応など、広く考える必要がある。
  • これまでの産業政策は、「日本が」、「日本から」という視点だったが、日本の魅力を高めて呼び込むという観点からは、「日本で」、「日本へ」という視点に変わる。すると、何を呼び込むかという選択が、より意味を持つようになる。
  • 「日本で」、「日本へ」という視点からは、(信頼/安心)できる(法律/システム)が重要。しかし、他方で、内部統制など、大きなコストを伴うものもある。今は特にIFRSが取り沙汰されているが、今後は会社法の結合企業法制が問題になるかもしれない。こういった法律やシステムが世界的なスタンダードであるなら、コストの負担もやむを得ないのだから、適正なコストとのバランスはこういった形であるべきだと発信していくべき。
  • また、日本で何をやるべきなのか整理した上で、それに合った人材を呼び込むことも重要。例えば、特に法学の分野では、海外から留学生を呼び込むのに、日本への留学が資金的に厳しかったり、留学後の就職が難しかったりと、課題が多いが、「日本で」、「日本へ」という視点からは、人材や技術の育成に重点を置く必要がある。
  • 最後になるが、スピード感も重要。メリハリを付けながら、早急に実現に向けて取り組んでもらいたい。
  • 非常に良い戦略だが、良い戦略ほど実現が難しい。そういった場合、戦略を実現すべく単に行動を進めるより、その制約条件を外すことが重要。
  • そういった観点からも、今後は戦略的な規制緩和が必要。例えば、規制が強いため、日本では医療機器の技術開発が遅い。異なる産業の結合を促進したり、ある領域で最も規制緩和が進んでいる国のベストプラクティスを参考にしたりすることで、新しい事業領域を切り開くことが重要。
  • 「新成長戦略実現アクション100」を高く評価する。関係省庁と連携して、スピード感をもって実現してほしい。
  • 貿易経済協力分科会では、今年、新たにインフラ・システム部会を設置した。また、今年から5年ぶりに再開した経済協力小委員会では、インフラ整備、人材育成、技術協力支援等を通じて日本の経済発展を促すことが重要という意見、日本の石油エネルギーの安定供給のため官民連携して積極的な取り組みが必要という意見等が出された。加えて、JICAの投融資機能の早期再開、NEXIによる政策変更リスクの補填など、経済協力ツールをどのように充実強化するかという観点からも議論があったことを報告したい。
  • インフラ・システム輸出部会では、槍田委員から途上国におけるインフラ整備においては、日本が主導権を握りながら、競争力のある外国企業を取り込むことが必要な場面もあるとコメントをした。action 83にある「BOPビジネス推進プラットフォーム(仮称)」の構築については、BOPビジネスを推進するための受け皿として早期実現をお願いしたい。
  • その他、action 81についても、EPA・FTAネットワークの拡充は近年若干停滞しているので、強力に押し進めていただきたい。さらに、action 1の法人実効税率の段階的な引下げについても、早急に実施いただきたい。加えて、action 4の貿易手続きの効率化・簡素化は、経済産業省以外の省庁の所管に属する事項もあるかもしれないが、国際競争力の維持・強化の観点から、積極的に関係省庁に働きかけてほしい。

問い合わせ先

経済産業省経済産業政策局産業構造課
電話:03-3501-1626
FAX:03-3501-6590

 
 
最終更新日:2010年9月7日
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