経済産業省
文字サイズ変更

産業構造審議会情報経済分科会(第22回)‐議事要旨

日時:平成20年5月20日(火曜日)14時~15時45分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

村上分科会長、池上委員、石黒委員、上野委員、大歳委員(代理宇田氏)、大山委員、片岡委員、勝俣委員、角川委員、畔柳委員、國領委員、庄山委員(代理梶浦氏)、神成委員、高嶋委員、田島委員、田中委員、中村(維)委員(代理伊東氏)、中村(正)委員、中山委員、野原委員、原委員、藤元委員、松田委員、松本委員、宮本委員、村上(憲)委員

「知識融合を通じた成長力の強化」について

資料に基づき事務局から説明

  • 工業化の時代から情報化の時代に移行している。例えば、失敗を学習の機会として評価するように文化を変えるなど、そもそもの仕事の仕方とか文化を、積極的に変えていくことが必要だと感じている。
     
  • 資料にサービス産業とIT産業の融合とあるが、この場合でいう「IT産業」の定義は何か。議論のためにも明確に定義すべきでは。
     
  • IT産業は、資料3-4の第1章4.で整理している情報通信機器産業、情報サービス業及びネット・ビジネスの総和と理解。最も新しいネット・ビジネスについては、サービスの側面の強いものから、ハードウェアの技術が核を占める、ハードウェア産業に近いものまであると理解している。
     
  • ベンチャーの弱体化は深刻な課題。次々と有力ベンチャーがバイアウトによる出口を選択させられている。アジア展開関連の施策も、消費者保護や知財保護だけでなく、ベンチャーと新たなパートナーをつくるといった積極的な視点を盛り込むべきではないか。そもそも、今の日本のベンチャー企業は、ファイナンスの状況が厳しすぎて、夢が持てない。日本がアジアのハブになるためにも、知財を核に新しいビジネスモデルをつくっていく成功事例が必要。夢を持てないのがIT業界の一番の課題。
     
  • 非競争領域の共通化のメリットは、競争領域にベンチャーが入ってこられるようになること。逆にマイナス面は、ブラウザのように、非競争領域とされた部分で技術進歩が止まってしまい、足を引っ張りうること。非競争領域にも、新しいアイディアを持った人が新たに参入しやすい環境を維持することが常に重要。日本は消費者が発達した国。そのニーズを早く汲み取って対応できれば、非競争領域にあるプラットフォームでも、日本の強みを活かせるはず。
     
  • 資料は以前に比べて分かりやすくなったが、その分、課題もはっきりと出ている。第一に、「成長ためにデジタル融合が必要」というストーリーははっきりしたが、無理して成長する必要がないという見方もある中、なぜ成長が必要と考えるのか、改めて明確に記述する必要がある。

    第二に、「3つの原則」が何に基づいているのか、根拠が不明確。例えば「オープン」より「トランスパレンシー」(transparency)、すなわち手続きの透明性のほうが、ビジネスの融合にとって重要といえるかもしれない。

    第三に、iPodが成功事例として複数回取り上げられているが、iPod・iTunesの仕組みは、実態はオープンと言うよりクローズ。また、現代社会において利益を出すポイントはクローズな世界をどう作るかだとも言える。だからこそ、我が国における消費者の多元化とオープンの必要性といった指摘の可能性も出てくる。

    第四に、情報家電の収益力の低さ。売上げやシェアは回復傾向にある企業も多いが、収益力で見ると彼我の差は大きい。大企業の経営者の器も小さくなった。こららの問題も指摘すべき。


  • ファイナンスの問題は大変重要。アメリカの投資家は、短期的に利益を最大化し、株価を上げるというところに投資する。日本は、違う道を考えても良い。

    例えば、中長期の研究開発を伴うベンチャーが起業した際、新たな技術開発に対する投資は全額損金として認める、又は投資主体が個人の場合は全額税控除を認めるなど、中長期の開発投資を呼び込むような仕組みが必要ではないか。


  • ベンチャーのIPOは大変困難な状況。各ベンチャーキャピタルも「構造不況業種」と揶揄されるぐらいリターンが得られていない。株式市場の状態はベンチャー企業にとって大変重要な要素。中長期の投資に取り組む投資家を育てる施策が必要。
     
  • オープン・アンド・イノベーションを柱とした大きな構成には賛成。社会がオープンであることは知的創造においては不可欠。情報大航海は大変良いプロジェクトであり、技術実験にとどまらず、できることならリアルなビジネス、さらには経済特区に繋げていくべき。また、マスの力を使ったり、頭を使ったりするビジネスを積極的に後押しすることも重要。そのためには税制の対応も必要。e空間プロジェクトも多くの一般生活者に注目されるような新たな具体的サービスにつなげる必要がある。eプロモーション大賞や博覧会を開催するといったことも考えるべき。

    具体的な対応をアクションプランにして落とし込んでいくべき。


  • 4回にわたり審議してきたが、議論が抽象的なままとの印象。民間企業に対し、IT導入の重要性を説いているだけでうまくいくのかは疑問。そもそも、政府が一番遅れているのではないか。また、標準は規格を先行して作ることよりもデファクトとして普及することが重要。日本発の標準普及のためにも、生活者の「実感」に基づいた電子政府作りを行い、そこで普及した技術が結果としてデファクトになる、そういうアプローチの強化が重要なのではないか。
     
  • 社会空間も消費生活空間も、ビジネスのニューフロンティアとして生まれつつある。社会空間をやるにしても、消費生活空間をやるにしても、ビジネス的な発想で展開する必要があるのではないか。

    30年前に「デジタル化」という言葉が生まれたが、「デジタル融合」という言葉は案外新鮮。うまく膨らませてもらいたい。知識融合を通じて、何を成長させるのかについてはさらに明確にすべき。


  • 業種横断的産業IT化基盤整備について、第一に、組込みソフトのことを明確に記述すべき。第二に、業種横断的な施策に関連して、大企業と中小企業、中小企業同士の受発注の実験プロジェクトを行っきたが、その成果を広げていくよう、具体的な取組を進めて欲しい。

    さらに、IT経営力大賞について記述があるが、これは大変良い制度。中小企業の場合、ITを活用できるマイスターが社内にいるかどうかが鍵。ITマイスターを担える人材の育成支援に取り組むべきではないか。


  •  もっと正面から成長が必要と言って良いのではないか。グリーンITも、成長から説明できる。奥歯に物が挟まっているような感じがある。

    成長という視点からも、「知識融合」は非常に良い言葉。かつて知識産業といっていた時期があるが、2010年以降は、「新知識産業の時代」が来ると位置づけてはどうか。コンテンツを活用した現在の14兆円マーケットを30兆円にするという経済諮問会議の提言にも具体性が出る。

    博覧会などを通じて内外の関心のある人たちを如何に集めるかは非常に重要なテーマ。大航海プロジェクトを博覧会にするようなことも是非試すべき。

    「著作権や個人情報などの保護と利用をはじめ、事前に用意された特定のルールを、関係者に一律に強要するのは、無理がある」という表現は何を言いたいのかよくわからない。著作権法は、「文化・財産権・公共」の問題。文化に貢献し公共に叶うものだから著作権が与えられる。違反すると罰せられる。成長ルールを考えると、著作権も個人情報も、ここに欠落している言葉は「公益」。「公益」とか「国益」といった言葉を、今こそハッキリと主張し、成長が必要だというところに落とし込めるようにすべき。


  • 全体として、知財の議論が弱い。他の政府組織との関係はあるのだと思うが、ネットビジネスと知財の問題は不可分。弁護士としてアドバイスをしていても、今の日本の知財法の下では、「そのようなビジネスはやめた方が安全」「アメリカでやるべき」といったアドバイスをせざるを得ないことが多いが、大変残念。産業の邪魔をしない法制度をつくっていかなければならないが、改正しようとすると抵抗勢力も多い。そこを一押しするような記述が必要。
     
  • 思い描くようなIT社会の実現の鍵は、高度人材育成。特に、初等教育における国語教育をITの時代に合わせて変えていくことが重要。プレゼンテーション能力、国語能力は初等教育で身につけるもの。高度人材育成ばかりでなく、文部科学省と連携して初等中等教育の問題にもしっかり取り組むべき。
     
  • 今回の論点整理の中では、「クリティカル情報の束」という表現に注目している。政府の中にも「クリティカル情報の束」の候補がたくさん眠っている。例えば産業統計などは国民にとって重要な資産であり、もっとアクティブに使うべき。電子政府も申請だけではなく、行政の資産が広く使えるようにすべき。
     
  • 第一回から、弊社やクラウドコンピューティングという考えについて説明してきた。成長力を支えるせめぎ合いの最先端部分はどこかというと、一言で言えば「クラウドコンピューティング」。「これについてもっと踏み込んで書くべきではないか」と警鐘をならさざるを得ない。尋常ではないサイズのコンピュータの存在に対して、国としてどうやって取り組むかが問われている。
     
  • ITを活用するのに重要なのは語学。報告書の中で皆さんから指摘が出なかった事項ということでは、語学教育の重要性を強調すべき。
     
  • 今回も建設的なご議論を頂いた。第一に、「成長」の重要性に正面から取り組むべきとのご意見。第二に、具体化という点で現在の取りまとめ案で十分かという議論。第三に、金融、教育、知財といった境界領域にもっと踏み込んで取り組むべきだという御指摘などがあった。

    またクラウドコンピューティングについて施策面でももっと切り込むべきではないか、ハード・ソフト・コンテンツといいながらソフトとコンテンツに重点がよりすぎているのではないか、といったご指摘もあった。

    今回の御意見を踏まえながら、中間論点整理を固めてまいりたい。そのとりまとめについては委員長に一任して頂きたいが、よろしいか。

    (「異議なし」)

    原委員が指摘されたように、「IT産業」という言葉によってイメージする産業が、物の話、ソフトウエアの話、サービスの話からネット・ビジネスにまで広がり、IT自身も、私たちの日常生活、産業活動の中に広く浸透してきた。加えて、村上委員からご指摘があったとおり、膨大な量の情報がデジタル化・蓄積されるようになって、ITをめぐる技術的環境も、想像以上に大きく変化を遂げている。政府としても、IT戦略本部設立以来、ITによる便益を社会に広げるために取組を進めてきたが、その結果、情報爆発とも呼べるくらい大量の情報が扱える社会が現実のものとなり、情報が今までにない価値を持つようになってきている。

    「情報大航海」というプロジェクトは、そういう情報爆発の中で、これから我々はどういう方向に航海していったらよいかということで始めた。今はまさに、その目的地を定めようとする時期、まさに、情報新大陸、情報新世界といった目的地が何かを具体化すべきタイミングにいるということではないだろうか。

    今回の産構審の情報経済分科会では、私たちの目指す新大陸、あるいは新世界というものを、「知識が価値を持ち、融合できるようになった結果、そのデジタル融合によって新しい産業ができたり、成長力をえられたり、場合によっては、夢がかなう」、こういった視点から議論し、方向性を絞っていくという方向ではじめさせていただいた。

    何人かの委員から指摘があったように、4回の議論、相当抽象的な議論が多く、哲学的な会話も多くなったが、IT政策の基本的な哲学というのをとらえ直した上で、今やらなければいけないことを整理するという意味では、この4回、委員各位から大変貴重な御意見を賜り、大切なキーワードを勉強することができた。

    例えば、今回、グローバル、オープン、グリーンという3つの原則を作ったが、これももう少し精査をして、今後更に、わかりやすいものにしていかなければならない。

    行政というのはわかりやすくないと意味がない。国民、普通の方々がお茶の間で聞いてわかるような言葉で説得できるよう、わかりやすい政策を目指して努力をしている。今回、まとめていただいた中間論点整理で、我々の目指す大航海の先について、少し霧がかかってはいるけれども、あの辺かなという感じが少し見えてきたようなに思う。今後は、これをさらに明確にし、目指すべき新大陸に到達するための施策を、1つ1つ具体的にわかりやすく示し、実現するという次の段階に入る。

    委員各位におかれては、4回にわたる熱心なご討議に改めて感謝するとともに、論点整理を踏まえた審議については、また、日を改めてお願いしたいと考えているので、引き続き、ご指導よろしくお願いしたい。

    最後に、4回の非常に難しい議事進行を仕切っていただき、「知識融合」という新しいコンセプトを頂戴した村上分科会長に改めて御礼を申し上げるとともに、お忙しい中、ご参加いただいた委員の皆様方に対して、改めて心より御礼を申し上げたい。


  • それでは以上で本会を閉会する。

以上

 
 
最終更新日:2008年5月27日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.