第3節 景気後退下の総需要抑制策と中小企業の特別対策の展開
総需要抑制策は,49年に入っても引き続き財政・金融の両面にわたり厳しく維持された。4表にみるように,今回の総需要抑制策の特色は,まず第1に,景気大幅後退下においても引き続き維持されていたこと,第2に,その期間がかつてない長期にわたるものであり,その程度も非常に厳しく,公定歩合は9%とかつてない水準に維持され,財政支出についても公共事業費の抑制や執行の繰り延べが大幅に行われたことである。こうした中で,中小企業の景況は,大幅に悪化し,倒産,失業など社会的摩擦の増大も懸念されたので,中小企業に対しては,金融面をはじめ,きめ細かな配慮が払われた。49年に入ってからの動向をみると,3月には,原材料・燃料事情等の経済的影響を被ることとなる中小企業の資金需要に対処するため,政府関係中小企業金融三機関の貸付規模が500億円増加され,49年度の当初財政投融資計画においても,中小企業金融三機関に対する投融資は,大幅に増額された(前年比21.0%増)。また,5月及び9月に中小企業金融三機関の貸出枠がそれぞれ1,500億円,1,000億円増加されたほか,年末には,以上の2,500億円を含めて7,000億円の追加が行われ,更に,50年に入って,3月には,景気対策の一環として,500億円の貸付規模の増額が行われた
。
以上のような対策のほか,中小企業信用保険法による倒産関連の特例措置の対象業種の指定や,親企業への下請代金支払遅延等防止法の遵守の要請が行われた。また,労働面でも50年1月から雇用保険法に基づく雇用調整給付金制度が実施されている。
このように,大幅な景気後退により厳しい経営環境にあった中小企業に対して,倒産,失業等の社会的摩擦の増大を防止するため,多面的な特別対策が行われた。