第4節 円高メリットと中小企業

 中小製造業も円高等による輸入原材料の値下がりのメリットをある程度享受している。ただし,主として輸入原材料の投入比率の差を反映し,大企業ほどメリットを享受していない。また,円高による輸入商品価格の値下がりは,中小商業にその取扱いを通じてメリットを及ぼしている。

1 中小製造業の円高メリット

 わが国は天然資源に乏しく原材料の多くを輸入に依存しており,第2-1-33図にみられるように,円高による輸入原材料単価の低下が生じたことは,輸入原材料を多く使用する企業にとってコスト低減にかなり役立っていると思われる。
 今回の円高で原材料の価格低下によるメリットを享受したとする企業は,中小製造業において全体の36%となっており,とくに軽工業素材型業種で高くなっている(第2-1-34図)。なお,大企業についてみると,原材料の価格低下によるメリットを享受したとする製造業企業は全体の69%となっており,中小企業よりも大企業の方が恩恵を受けたとする企業が多くなっている。
 これは,原油,鉄鉱石等のいわゆる素原材料は,輸入比率は高いが,そのうちで中小製造業に投入される比率はわずかであること,また,基礎中間材については,中小製造業に投入される比率は化学繊維原料,鉄鋼一次製品等で高くなっているものの,輸入比率が低く,大半が高炉,常圧蒸留装置など大規模な精製設備を有している大企業の加工を経て入手されていること等を反映している(第2-1-35表)。

2 中小商業の円高メリット

 今回の円高による輸入商品価格の値下がりは,中小商業にその取扱いを通じてメリットが及んでいる。中小小売業者および中小卸売業者においては,売上高に占める輸入商品の割合が5年前と比べ増加してきており(第2-1-36図),その輸入相手国は,アジアNICSが35%,北米が23%となっている。
 また,現在輸入商品を取り扱っている企業のうち,この1年間で取扱量が増加している企業は,中小小売業者で52%,中小卸売業者で44%と約半数に及んでいる(第2-1-37図)。
 さらに,中小小売業において輸入商品を取り扱うことによるメリットについてみると,「品ぞろえが豊富になり,既存の顧客のニーズを満たすことができる」(46%),「利益率が高い」(21%)となっている。
前へ 次へ