第4章 為替,金融及び税制


第1節 98年中の為替相場の動向

(1)概況

 98年の主要為替相場は,ルーブル交換停止・急落を招くに至ったロシアの通貨・経済危機及び大手ヘッジファンドLTCMの破綻等により国際金融市場が混乱する中で,不安定に推移した。特に,円/ドル為替相場は,最高値147円台(7月)から最安値113円台(10月)まで30円強の大きな変動幅を記録する極めて不安定な展開となった。また,ドル/マルク相場もロシア危機の影響を受けるとともに,99年1月にスタートした欧州通貨統合を睨みながら大きく変動した。

 年初:1ドル=132円86銭,1.8039マルク(1月5日東京市場17:00現在)
 年央:1ドル=139円96銭,1.8070マルク(6月30日東京市場17:00現在)
 年末:1ドル=115円21銭,1.6717マルク(12月30日東京市場17:00現在)
 年初から年末への円上昇率:15.3%(IMF方式,年間)

(2)円/ドル為替相場の動向

 98年の円/ドル為替相場の動向を大まかに概観すると以下の通りである。
@年前半
 98年の円/ドル為替相場は,97年秋の金融システム不安発生以降の円安/ドル高傾向の中,132円台で始まった。1月から2月前半にかけて経済対策への期待感から123円台まで円高/ドル安方向に戻したが,日米のファンダメンタルズ格差等を背景に,2月中旬以降再び円安/ドル高の流れが顕著になり,4月初旬に格付機関ムーディーズが我が国国債の格付を格下げ方向で見直す旨の発表をしたことから,円安基調に拍車がかかった。行き過ぎた円安基調に歯止めをかけるべく,4月9―10日に日銀単独で円買い介入を行ったものの,効果は長続きせず,6月には146円台まで円安/ドル高が進んだ。6月17日に日米共同で円買い介入が行われ,一旦は135円程度まで円高/ドル安方向に戻したものの,大きな流れを変えるには至らなかった。
A年後半
 7月に入り再び円安/ドル高が進行,8月11日には147円64銭を記録したが,8月中旬以降,ルーブル切り下げ対外債務凍結,中銀対ドル取引停止等ロシア危機が勃発,8月末に世界同時株安が起きた。その際に過熱感が漂っていた米国株式市場の下落幅が大きかったこと,世界的な株式,債券,為替市場の混乱の中で米国の大手ヘッジファンドであるLTCMが経営破綻に追い込まれたこと,米国のお膝元とも言える中南米に通貨不安が伝播したこと等から米国経済の先行きに対する懸念が強まったため,為替相場のトレンドが変わり,一気に円高/ドル安が進んだ。また,LTCMの経営破綻をきっかけに資金調達が厳しくなったヘッジファンドが,一斉にグローバル・キャリー・トレードの巻き戻しを行ったことをきっかけに,10月6日から8日にかけて円ドル為替相場は2日間で14円強円高/ドル安が進んだ。その後は,米国経済の減速懸念の深刻化,中南米の財政・通貨危機不安等を背景に115〜125円の幅で一進一退の展開となったが,12月半ば以降,国債の需給緩和懸念等を背景とした日本の国債金利の急上昇,99年1月からのユーロ発足によるドルの国際通貨体制における地位低下懸念等を背景に円高/ドル安が進み,結局115円台で98年の取引を終えた。



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