経済産業省
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人を知る(総合職)職員を知る:門 寛子

門 寛子

総合職

入省:平成16年入省
所属:通商政策局 経済連携課

EUとの通商交渉

通商交渉の「現場」は、真の産業の「現場」を見つけ、動き出す。

門 寛子 写真1

新しい産業を作り出す世界の「現場」

防弾チョッキを着てイラクへ行く。そんな仕事を想像もしませんでしたが、「水(上下水道)」という基幹インフラを官民一体となって売り込みに行くなど、新興国を巻き込んで、新しい産業協力を打ち出す仕事、まさに経済産業省の魅力である、現場をもった対外経済政策を製造産業局で担っていました。そして今はその現場がイラクからEUに変わり、私は日本とEUの通商交渉の最前線に立っています。一見、違う仕事と思われるかもしれませんが、日本企業が活動しやすいルールを作り、事業環境を整備する。さらにそこに新産業を創り出し、日本企業の活躍を促進し、ひいては経済成長を、国内・世界につなげるというミッションは共通です。

「EU28」という”アイドルグループ”

EUは先進国ではありますが、日本とは違った歴史や文化、産業構造をもち、貿易や投資のルールや、産業政策上の規制や技術基準、行政手続きの方法も異なっています。しかし、企業活動がボーダレスになり、取引のスピードが上がれば、これらの規制・基準、手続きの違いが、かえって現地の企業活動での障壁になります。もちろん、各国固有の事情で、安全安心の基準が定められているため、残す必要のある規制・基準・手続きも中にはありますが、特にEUと日本との間では、安全や安心、環境に対する考え方を共有することが多く、多くの障壁はなくしていくという方向性で一致しています。関税、非関税措置、投資・サービス、知的財産、政府調達をはじめ様々な分野で障害を取り除き、ルールを作るべく、まさにいま交渉をしているところです。EUは、組織の性質から、決して一枚岩ではないというのが交渉のポイントであり、現場を抱える経済産業省ならではの仕事の仕方ができます。ある国民的アイドルグループではないですが、EUはいわば「EU28」(2015年4月現在28 ヶ国)とも称すべき、ひとつの集合体でありながらそれぞれの個性をもった複雑な存在です。それゆえ、交渉相手である欧州委員会だけでなく、後ろに控えている、個性をもった国々の交渉相手、さらにその国の中のステークホルダーの動向を見極めなければ、正しい交渉戦略が作れません。

真の「現場」を見つけ、物事の本質を掴む

日EU・EPA交渉においては、現場を抱える立場から、企業や有識者などから得る情報や日本企業の動向を踏まえ、交渉戦略にインプットを行い、ときに情報収集活動、ときに情報発信や働きかけを進めながら、表では政府間交渉、裏では援護射撃を組み合わせ、より良い交渉内容を作り上げていけるよう取り組んでいるところです。交渉において、私がいちばん気をつけていることのひとつは、自分が見える範囲だけがすべてではないということです。私たちは「行政官」であり、「交渉屋」ではありません。与えられた材料のなかで最大限の成果を得ることが目的ではなく、日本経済、ひいては世界経済全体の成長につなげることが重要なのです。自分たちの見えない現場に想いを馳せ、必要に応じて見えなかった部分に実際に足を運び、関係者に情報収集を行うこともあります。例えば、この数年、日本から欧州への自動車の輸出台数が半減しました。一方で、現地での日系メーカーの車両登録台数自体は伸びています。これは、現地に自動車輸出ではなく投資をしている日系企業の自動車売り上げが上がっているからです。いわば、made in Japan からmade by Japan。作り手も、日本企業から欧州の日系企業へ、そして、働き手も現地の人に。そうすると、日本で見ることのできる現場とは少し違ってきます。これが、実際に現地に足を運び、企業のトッププレイヤーにヒアリングを行うことにより、現状を把握して初めて知る真の「現場」です。また、自動車などの製造業だけではなく、オンラインショッピングやコンテンツビジネスといった新しい業態の産業にも、今見ているものとは違う「現場」が存在します。経済社会において、立場を越えたステークホルダーにも近づくことができるからこそ真の「現場」を知ることができるのです。意外かもしれませんが、私は、交渉に使う時間と同じくらい、日本や現地で色々な企業や有識者と会う時間に割いています。経済産業省の言動の責任は交渉において非常に重みを持ちます。不正確な情報や動きで、国全体の利益を損なうリスクを認識する必要があります。そういった認識をもちながら、たとえ目立たない活動でも、しっかり取り組むことが重要です。

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自由と責任が求められる経済産業省で新たな創造を

20歳になるまでパスポートももったことのない私が、今や世界を飛び回り、自分なりに高い志をもって、10年も行政官としてやってこられたのはやはり、経済産業省という、ある種、秩序のないところから何かを創りあげることを「良し」とする自由な場で、多くのチャンスを与えられてきたからなのかと思っています。

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