経済産業省
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人を知る(総合職)職員を知る:三牧 純一郎

三牧 純一郎

総合職

入省:平成15年入省
所属:中小企業庁 創業・新事業促進課

地域・中小企業政策

霞ヶ関に指した横串が、
マクロの日本経済を動かす。

三牧 純一郎 写真1

創業で地域・中小企業の活力を取り戻す

「4%台の日本の開業率を米英並みの10%にする」という安倍内閣の成長戦略である日本再興戦略に掲げられた目標を達成するには、全国で約20万の創業者を増やす必要がありました。また、この成長戦略には、地方や中小企業に対する施策のピースが欠けていました。それに気づいてから、地域において企業の新陳代謝を進め、地方の活力を取り戻し、あわせて、開業率の目標を実現するために、全国で市区町村が創業支援に真剣に取り組む必要性を強く感じていました。そこで私は、成長戦略の具現法たる産業競争力強化法の中で、地域における官民連携による創業支援スキームの創設に取り組むことになりました。

官民連携で創業予備軍を発掘

このスキームで目指したものは、創業を希望する人が140万人から80万人まで減少している状況から反転させるため、今までの「創業を希望する人を創業させる」創業支援に加え、「創業を希望する人」を広く地域において発掘し、創業につなげることでした。こうした創業支援の仕事は、既存の企業の支援と異なり、「声なき声を拾う仕事」です。どのように創業予備軍を見つけ、ニーズを聴き、創業につなげていくか。非常に難しい作業です。当時の状況では、案の定、多くの市区町村で企業誘致など、既存企業の支援が優先され、創業支援に取り組んでいるところはほとんどない、というものでした。地域における官民連携の創業支援は、官民の強みを伸ばし、弱みを補う理想的なものです。具体的には、市区町村が地域の創業支援機関を取りまとめ、創業予備軍に対してワンストップでの創業支援を提供するとともに、創業支援のための費用補助や活用されていない公共施設の提供をすることで、創業予備軍は安価に創業支援を受けることができます。その一方で、民間のノウハウにより、創業予備軍は質の高い創業支援を様々な分野で受けることもできます。この連携に大学やNPO、地域金融機関といった地域のプレイヤーも加わることで、この創業支援体制はますます手厚いものになります。

論理を磨き、情熱を持って、関係者を説得し、巻き込む

この創業支援スキームの実現の大きな壁となったのが、地方分権の観点です。中小企業庁が市区町村の創業支援体制をチェックし、認定したものだけ支援するということに対して、最初は地方自治体を所管する総務省は大反対でした。最初に相談に行ったとき、担当の課長に怒鳴りつけられたのを、今でも覚えています。しかし、一度怒鳴りつけられたぐらいで、諦めることはできません。私はこのスキームに自信と信念がありました。市区町村が現状取り組んでいる企業誘致では、ミクロの地方自治体レベルで見ると効果はありますが、マクロで日本経済を見たときには、ただのゼロサムゲームをしているだけです。他方、この創業支援スキームは、それぞれの地方自治体が自分たちの地域で新しいビジネスや企業を生み出します。これはマクロで見てもミクロで見ても、日本経済への貢献は大きなものになります。加えて、自治体間で創業支援を競いつつ、良い創業支援のノウハウは自治体間で共有されるという前向きな創業支援競争を通した全国的な創業支援体制の強化。私は、これを目指していました。そこで、何度も総務省に通いました。最初は立場の違いにより、お互いすれ違っていることが多くありましたが、やがて「中小企業と地域の活性化」という共通の目的をもつようになりました。最後はその課長も、総務大臣に申し入れてくれるほどになり、ついに2省が共管する斬新な仕組みが作り上げられました。後に、その課長と飲みに行き、「俺も異端児だけど、お前も異端児だな」と、言われたことを覚えています。

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縦割りを超えて、連携していく

「信念があれば、縦割りも打破できる」。過去に官邸に勤務していたときに感じた、「霞が関の縦割り」という弊害の克服に手応えを感じた瞬間でもありました。今、地方創生の議論が盛り上がっていますが、2つの省で作り上げたこのスキームは、600を超える地方自治体にすでに使われており、現時点で、支援されている方は10万人を超えています。全国の地方自治体にこうした官民の創業支援体制を構築してもらうとともに、自治体間の創業支援ノウハウの共有を進めていくことで、起業大国ニッポンを実現するために、現在も全力で取り組んでいます。こうした、ミクロの施策であっても、各省も巻き込んで行うこの積み上げにより、マクロの日本経済を動かしていく。これは経済産業省で働くことの特権だと感じています。

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