特許庁
 
 
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 「特許制度は、燃え盛る天才の火の海に、利益という油を注ぎ込む」。自身も発明家であった米国第16代大統領、エイブラハム・リンカーンの言葉です。強力な特許権で保護された重工業産業はやがて20世紀のアメリカの繁栄を支える基盤となります。
 我が国の初代特許庁長官・高橋是清が、欧米における近代産業の発展の上で知的財産制度が果たす重要性に着目し、特許制度を導入したのが1885年。つまり、日本の特許制度は憲法や国会よりも早くその産声をあげたことになります。以来、近代化の幕開けとともに成立した知的財産制度は、我が国独自の技術を開花させ、戦前・戦後を通じて経済大国日本を支え続けてきたのです。そして現在、世界一の出願大国となった我が国には、世界全体の経済発展の鍵となる知的財産制度の構築に向け、国際的な議論をリードする役割を期待されています。
 産業革命以降の飛躍的な文明技術の進歩と産業発展を支えてきた知的財産制度。特許庁は、21世紀にふさわしい制度運用を確立するため、2007年1月25日に策定・公表した「イノベーション促進のための特許審査改革加速プラン2007」に沿って、日々新たな課題に取り組んでいるところです。
無停止抒換式豊田自動織機(G型)
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●常に変革し続ける知的財産制度

 独創的な発明やブランドを経済的価値として保護し、その利益が新たな発明やブランドを生み出す源泉となる、このサイクルを活性化させるため、特許庁は常に技術や市場の変化を見つめながら、制度の変革に努めてきました。我が国の産業技術が、戦後のキャッチアップ型から脱却し、世界のフロンティアを切り拓いていくためには、知的財産権の保護を強化し、国内のイノベーションを促進する必要があります。このため、権利付与範囲の拡大や知的財産権侵害に係る罰則強化等の法改正を行う一方、迅速かつ質の高い特許権の付与のため、5年で500人を目途として任期付審査官を登用し、先行技術調査の民間外注を促進するなど、審査体制の強化の取組を加速させているところです。
 国際的な競争が激しくなる中で、企業には自社の持つ知的財産を戦略的に管理していくことが求められます。自社の研究開発の成果を何でも出願するのではなく、公開が前提となる特許権取得の対象とするか、ノウハウ(営業秘密)として秘匿するかを峻別していく必要があり、特許権取得を選択した場合には、海外出願も含めてグローバルに権利化していくことが肝要です。特許庁は、こうした知的財産ポートフォリオの構築、社内組織体制の確立のための環境整備を行っています。具体的には、2006年6月に公表した「先使用権制度の円滑な活用に向けて」に加えて、「戦略的発明管理ガイドライン(事例集)」(仮称)を策定・公表し、権利取得の各段階における管理手法、知財管理体制の在り方等について、実践的な指針を示すこととしています。また、「特許行政年次報告書2007年版」や「特許戦略ポータルサイト」(仮称)を通じ、企業に対する有益な情報の提供も行うほか、大臣と産業界等の有識者が意見交換を行う「特許戦略懇談会」を開催するなど、様々な機会を捉えて、産業界との意見交換を積極的に行っていきます。

●「世界特許」の実現に向けて

日中韓特許庁長官会合
日中韓特許庁長官会合
 15世紀にヴェネツィアで特許制度が始まって以来、現在はほぼ全ての国で特許制度が導入されています。各国ごとに異なっていた特許権付与の条件、審査手続の共通化に向けて、これまで様々な国際的な取組がなされてきましたが、近年の飛躍的なIT革新と企業活動のグローバル化は、国境を越えた技術情報の流通を一気に加速化させており、各国間の制度の違いは、世界経済の発展にとって大きな障壁として立ちはだかっています。

 特に、我が国からの出願件数は約50万件、日本は世界全体の出願件数の30%以上を占める出願大国となっています。我が国企業のグローバルな展開を促進する上で、国際的な特許制度の調和と各国特許庁との協力による審査効率化は重要な課題です。特許庁では、一つの国で出願され審査を経て特許となった発明が、世界中で特許として認められる「世界特許」の実現を目指して、国際的な議論をリードしてきました。特許付与要件の共通化を目指す議論は既に1985年から開始されていたものの、先進国と途上国の対立等を背景に、議論は暗唱に乗り上げていました。しかしながら、2006年9月の先進国41か国の長官級会合において、特許法の基本的な要素の調和について初めて合意がなされ、現在先進国を中心に「実体特許法条約」の策定作業が急速に進んでいるところです。
 また、世界全体の出願件数160万件のうち、約40%は他国に重複出願されており、各国特許庁との間での先行技術調査・審査結果の相互利用等の協力は、各国特許庁及び出願人のコスト・負担軽減に大いに貢献するものと期待されます。特許庁は、2006年7月に米国特許商標庁との間で審査結果等の相互利用を行う「日米特許審査ハイウェイ」の試行を開始しましたが、引き続き欧州特許庁等との二国間、WTO、APEC、EPA(経済連携協定)等あらゆる交渉の場を通じて、協力関係の構築を目指しているところです。

模倣品と真正品を手にする甘利大臣
模倣品と真正品を手にする甘利大臣

 さらに、成長著しいアジア諸国等海外における知的財産保護の強化も重要な課題です。特許庁の調査(2006年3月)では日本企業の約23%が模倣品・海賊版の被害を受けており、世界税関機構(WCO)は世界規模での模倣品取引額は約80兆円と推計しています。特許庁では、世界中に拡散する模倣品を撲滅するための国際的な協力を進めるほか、国内における模倣品流通を食い止めるため警察・税関との連携を強化するとともに、消費者啓発のための「模倣品・海賊版撲滅キャンペーン」を実施しています。
●独創的なデザインと、魅力的なブランドの育成

 優れたブランドやデザインを知的財産権として保護することによりそれらを、守り育てていくことも、特許庁の重要な任務です。例えばトヨタやソニーなど、世界に通用する高いブランド力を持つ日本企業は、優れた商品を世に送り出し続けることで、世界に通用するブランドとしての自社の評価を確立しました。ブランドは製品やサービスの高付加価値化、差別化に極めて有効であり、デザインはブランド確立のために必要な製品コンセプト、技術、品質、サービス等の要素をわかりやすく視覚的に訴える手段となります。
ハローキティ(商標登録第3302503号)
ハローキティ
(商標登録第3302503号)
新幹線のぞみ500系(意匠登録第994835号)
新幹線のぞみ500系(意匠登録第994835号)
 特許庁では、このように大きな価値を生み出すブランドやデザインを育成していくため、産業界・消費者との意見交換を行いつつ、制度の改善を図っています。最近では、2006年4月に「地域団体商標制度」を導入し、地域名を含む特産品のブランドを保護することにより、地域経済の活性化を支援しています。



目次
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