経済産業省
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外部有識者からの経済産業省へのメッセージ

スズキ株式会社 鈴木修会長

経済産業省の新規入省者に対するメッセージ

(鈴木修 スズキ株式会社会長兼社長)

 

人生の先輩として、日本を支えるものづくり産業の経営者として、日本の経済産業行政のこれからを担う、新規入省者へ以下のことを伝えたい。

 

現場の重要性、ものづくりの重要性

ものづくり企業、特に、組み立て型では「中小企業」の精神が重要。いわゆる「売上高」がいかに大きくても、徹底したコスト削減努力がなければ、利益など残らない。オートバイ、自動車のコスト削減のために部品1点1点のコストを銭単位で、重量もグラム単位で見直している。工場の照明や自動販売機の電気代削減までやる。取引先など社外にお願いする前に、まずは、内なるコストダウンを徹底してやる。

すべて現場で利益が生み出される。社長室や会長室などは利益を生み出さない。作業服を着ることを喜び、工場の機械油の焼けるにおいを香水の香りと感じ、自分の手が油で汚れることを喜ぶことができるほど現場を愛さなければならない。今でも1年に1カ月は工場をみてまわり、また、30近くある国内外全ての工場のレイアウトを頭の中で描ける。どんな仕事でも現場を愛さなければならない。

金で金を生み出すのではなく、ものを作って世間で喜んでもらって、利益を上げて、世の中を良くすることのできるものづくりは価値を生み出す仕事で、国の基本・原点であると信じている。

 

国の政策に関与できることの幸せ

経済産業省に入省して、国の政策に関与できるのは、一人の人間として、最高の幸せ。税金で給料をもらって勉強させてもらっているようなこと。役所では2年くらいでさまざまな部署でその分野のことを経験し、勉強する。国際経験も積める。それと同時に、国全体の政策がどうあるべきか、ということについても勉強できる。徹底的に勉強してもらいたい。自分の勉強がすなわち国の勉強になり、国を動かす一つの原動力になる。

以前、浜松市の行財政改革に携わった経験から、政策をつくるときは、「検討します」という言葉だけは使わないでもらいたい。「検討します」は10年はかかるということ、「前向きに検討します」は5年、「努力します」は何もしないということだから。

20年間国の政策の一翼を担ってみっちりと勉強した後は、国の中で引き続きがんばる途だけでなく、全国津々浦々、あらゆる業種に出て行って、自分の経験や知識を全体のレベルアップに結びつけていく途も考えてもらいたい。そのためにも、まずは、徹底的に勉強してもらいたい。

優秀な人々に、国の機関に集まってもらいたい。勉強しない人が国を導いたら、日本の国はどうなるのか、心配している。私は、戦争体験があるので、特に、日本が、貧乏で、思想統一される国にならないようにと切に願っている。若い人が国のことを考えて、全力でがんばってもらいたい。

 

「こんちくしょう、こんちくしょう」絶対なせばなる

人生の先輩として、一つ伝えておきたいのは、順風満帆な人生など絶対ないということ。ただ、そこで腐らずに頑張ることが成功につながる。私も大きな失敗を経験したが、それが成功に結び付いた。アメリカでのオートバイ事業で赤字を出して帰国し、東京駐在になり、仕事が少なくなったが、その時にいろいろな人とお付き合いしたおかげで、ジムニーという車を作って大成功した。上司に恵まれないときもあるし、我に利あらずということもある。その時にくさらずに、そういうときにふさわしい仕事を一生懸命やるのが大事だと肝に銘じてほしい。

 

皆さんには、国を支えるために、一生懸命勉強して、がんばってもらいたい。

 

 

 
最終更新日:2010年5月11日
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