1.日 時:平成13年2月13日(火) 16:15~18:15
2.場 所:経済産業省本館17階 国際会議室
3.出席委員
<委員長> 田中 明彦
<委 員> 内山 洋司
岡本 行夫
佐久間 裕秋
須藤 繁
高橋 和夫
田所 昌幸
十市 勉
畑中 美樹
森本 敏
<欠 席> 五百旗頭 真
国分 良成
小島 明
白川 浩
深海 博明
田中委員長 それでは、定刻になりましたので、ただ今から総合資源エネルギー調査会総
合部会第1回エネルギーセキュリティワーキンググループを開催させていただきます。
皆様にお集まりいただきますのは、今回で8回目でございますが、省庁再編に伴いまし
て、「総合エネルギー調査会」が「総合資源エネルギー調査会」に組織変更されたために
、本会合も今回、「第1回会合」となっておりますので、ご承知おき下さい。
本日は、五百旗頭委員、国分委員、小島委員、白川委員、深海委員が所用によりご欠席
とのご連絡をいただいております。
なお、近藤委員につきましては、これまで本ワーキンググループにご出席いただき、大
変貴重なご意見を拝聴させていただきましたが、昨年の暮れに、一身上の都合により伊藤
忠商事株式会社常任顧問を退任され、本ワーキンググループの委員も辞退したい旨の申し
出がございましたので、この場をかりてご報告申し上げます。
また、総合部会委員である河野光雄さん、米本昌平さんから、本ワーキンググループへ
のオブザーバー出席の希望がございましたので、メインテーブルに着席いただいておりま
す。
さて、本日の議事ですが、議題1「LPガスの供給問題について」、議題2「エネルギ
ーセキュリティ確保のあり方について」、この2つを予定しております。
それでは、まず初めに、本日のご説明をしていただく方をご紹介させていただきたいと
思います。
最初は、本ワーキンググループ委員の財団法人日本エネルギー経済研究所常務理事の十
市勉さんに、「LPガスの供給問題」についてご説明をいただきます。よろしくお願いい
たします。
十市さんには、15分程度のご説明をいただきたいと考えておりまして、ご説明の後、特
にご確認したい事項に限って、5分程度の質疑等を行いたいと思っております。
その後、続きまして、事務局より、議題2につきまして、40分程度のご説明をいただき
、その後、55分程度の意見交換等を行いたいと思います。
それでは、まず最初に、十市さんからご説明をお願いいたしたいと思います。よろしく
お願いいたします。
十市委員 それでは、お配りしてございます資料1を使いまして、LPガス供給問題研究
会のポイントにつきましてご報告をさせていただきます。適宜、参考資料等も使わせてい
ただきたいと思っております。
LPガスにつきましては、1次エネルギー全体の5%と、比較的小さなシェアであるの
ですが、ガス体エネルギーとして考えますと、家庭用のガスエネルギーという意味では、
都市ガスよりも若干多い 2,500万世帯を占めておりますし、タクシー等の燃料に使われて
いるということで、国民生活に大変密接な関係があるエネルギーでございます。
LPガスをなぜ取り上げたかといいますと、中東依存が極めて高いということと、特に
最近、LPガスの価格が非常に高騰、乱高下しており、石油のセキュリティ、量的な問題
と価格問題を考える上で、LPガスについて懸念すべき事態が既に起きている。そういう
意味で、これから議論する参考になるのではないかと思います。
お配りしてございます資料1をご覧いただきたいのですが、この研究会で具体的に検討
した上で、これから3年から5年後に効果を上げることを目標に、最後に具体的なアクシ
ョンプログラムみたいなものを提示しております。
LPガスの供給の安定性という場合に、1つは、緊急事態の発生リスク――量的な確保
という問題プラス、先ほど申し上げましたように、LPガスの輸入価格が非常に高水準で
推移している、乱高下しているということで、この安定化をどう図るか。量の問題と同時
に、価格の安定化をどう図るかというのが非常に重要ではないかというのが基本的な認識
であります。
まず、供給量の評価でございますが、「参考資料」の3ページをご覧いただきたいと思
います。LPガスは若干特殊なエネルギーでございますので、基本的な問題を少し頭に入
れていただいた方がよいと思います。3ページ目をごらんいただきたいと思います。
これは平成11年度でございますが、日本の消費量のうち、液化石油ガス――プロパン、
ブタンの供給がどうなっているかということであります。日本のLPガスの消費量は全体
で 1,900万トンですが、その4分の3はLPガスの形で、主に中東諸国から輸入している。
残りの4分の1は原油で輸入して、精製設備等から出てくるものが中心ということで、
もともとはすべて石油です。そういう意味で輸入されるLPガス、これは油田から出るも
のと天然ガス田から出るもの、両方ございます。これが国内に入って、さまざまなルート
を経て、末端の一般家庭、タクシー用等々のところへ流れていく。こういう構図になって
おります。
次の4ページをご覧いただきたいのですが、LPガスが非常に特徴的なのは、石油以上
に供給国が非常に少数の国に偏在している。特にサウジアラビア1ヵ国だけでも44%で、
5割弱でありますから、圧倒的にマーケットの寡占が強いということです。これが、供給
面プラス価格面で非常に大きな問題が起きている背景でございます。その他、アラブ首長
国連邦が27%ですから、圧倒的にこの2つの国で占められているということになります。
また資料1に戻っていただきたいのですが、日本のLPガスの供給源をみてみますと、
原油田から出るのが61%、石油精製から出るのが24%、その他、天然ガス田から出るのが
15%ということであります。ただ、世界全体でみますと、3分の1ぐらいは天然ガス田か
ら出てくるプロパン、ブタンということなので、今後、天然ガスの開発が進めば、LPガ
スの供給もふえていくだろうと思います。
LPガスについて、特に最近問題になっているのは、ここ2、3年、スエズ以東、特に
アジア地域で需給が非常に逼迫化しているということで、2、3年先を考えてもこういう
状況が続きそうです。2003年以降、新しいプロジェクトが立ち上がって、需給の逼迫が若
干緩和されるだろうとみておりますが、供給面で非常に大きな問題を抱えているというこ
とがいえようかと思います。
スエズ以東の地域、特にアジア市場での需給や価格に非常に大きな影響を与えておりま
すのは、中国やインドの急激な需要の増加と、それに伴う輸入増であります。かつては日
本が中心であったところに、こういう新興開発途上国の輸入が非常に急増しているために
、売り手が非常に強いポジションになってきているということであります。
それから、サウジアラビア自体、今年からプロパンの輸出を3割カットという通告が既
になされているわけで、石油化学用の原料に使うということも重なりまして、当面、需給
面で大変問題があった。ただ、サウジの供給削減については、早くから通告がありました
ので、その代替手当てはほぼされているという現状であります。
問題は、こういうことを反映して価格面でございます。価格面につきましては、お配り
してございます「参考資料」の22ページをご覧いただきたいと思います。
「サウジアラビアのターム契約価格の推移」ということで、上にありますのが、サウジ
アラビアのターム契約で決まっておりますブタン、プロパンの価格で、プロパンとブタン
はほぼ同じような動きをしているわけです。
下にありますのが原油価格で、アラビアンライトに対して、同じ熱量等価でプロパン、
ブタンがどういう価格であるかということであります。
これをみていただきますと、1994年までは大体原油価格にリンクして、プロパン、ブタ
ンの値段が決まっており、比較的安定しています。もちろん、原油価格の変動に応じて価
格は変動するのですが、比率はほとんど 0.8から1、ほとんど 0.9ぐらいで安定していた
わけであります。
ところが、94年の秋に、サウジアラビアはCP(コントラクトプライス)方式という一
種の通告方式に価格方式が変わった。非常に売り手市場になったということを反映してい
るわけですが、それ以降をみていただきますと、価格水準自体が非常に上がっていると同
時に、非常に大きな乱高下が始まったということであります。アラビアンライト原油に対
して 1.2倍から 1.8倍ですから、水準自体、平均で60%ぐらい上がっている。しかも変動
幅が非常に拡大している。今、こういうことが現実に起きているということでございます。
日本は大部分を輸入に依存しているわけで、量的な問題もさることながら、価格面での
安定性ということで非常に大きな懸念が生じてきたというのが現在の状況でございます。
そういうこともありまして、LPガス供給問題研究会では、量的な確保の問題と同時に
、価格の安定化をどう図るかというのが非常に強い問題意識であったということでありま
す。
また資料1に戻っていただきたいのですが、今、価格はそういう状況で、特にアジア市
場では問題が大きいということを申し上げました。
2ページ目ですが、まとめとしまして、LPガスは、今申し上げたようなことで、中東
依存が非常に高いということで、緊急時の量的な供給不安や価格高騰リスクに留意すべき
だということです。これからこれをいかに安定化させていくかということが非常に大事で
す。
そのためには、供給者側の競争を促進する。また、新しい供給ソースの開発によって多
様化を図らないといけない。それと同時に、輸入するサイドでも、LPガス市場全体の透
明性、あるいは流動性を高めるような施策が必要だということであります。
それでは、具体的に何をすべきかという点を、以下、何点か書いてございます。特に新
しい供給ソースでの増産が期待できそうなのは2003年~2005年以降でありますが、そうい
うことをある程度念頭に置きながらの対応策です。
1点目は、何よりも新しい供給源をふやさないといけないという意味で開発輸入をふや
していこう。特に日本の商社、あるいはLPガスの輸入企業が積極的にアップストリーム
、天然ガス田の開発等に参加して、LPガスの供給をふやし、それを日本にもってこれる
ようにする。あるいはスワップ等によって新規の供給ソースをふやす。そのため、石油公
団等の探鉱・開発等への出融資や債務保証を積極的に活用する。既にアルジェリアのコン
デンセートガス田のプロジェクトが一部スタートして、こういう動きが若干始まっており
ますので、そういうものをもっと強めていこうというのが1点目であります。
2点目は、特にアジア地域は中東地域からの輸入に依存しておりますので、新規の開発
ソースをもっとふやしていかないといけない。それには、上流部門はリスクも大きいもの
ですから、複数の輸入企業がある程度コストを分担して、リスク低減を図るようなスキー
ムをこれからもっと強めていく。また、LPガスについてもスペックの問題がありまして
、日本は非常に厳しいスペックを要求しているということで、多様な供給ソースからもっ
てこれない面がありますが、こういうものもできるだけ標準化していこうということで、
今、進行中のプロジェクトにできるだけ力を入れてやっていこうということが2番目であ
ります。
3ページをご覧いただきたいのですが、LPガス供給問題研究会でも大変議論になった
のは備蓄の問題であります。LPガスにつきましては、現在、LPガスを輸入している企
業に50日間の備蓄義務が課されているわけであります。まだ国家備蓄はございません。湾
岸危機でもLPガスの供給不安が大変ありましたので、それ以降、国家備蓄をつくること
が決まりまして、現在、基地の建設をやっております。2004年ぐらいから最初の国家備蓄
基地の稼働が始まるということで、今、5ヵ所で具体的な計画が進んでおります。ゆくゆ
くは 150万トンの国家備蓄をもつことになっております。今は民間の備蓄が義務づけられ
ており、緊急時対応ということになっているわけです。
ただ、問題は、先ほど非常に乱高下があると申し上げましたが、特に冬場の需要期に値
段が非常に上がるわけで、50日という備蓄義務が輸入する方のバイヤーの足かせになって
いる面があるということで、価格交渉力の面で改善すべき余地があるのではないかという
ことが一つの大きな論点でございます。
本文の方にもいろいろ書いてあるのですが、量的な問題だけではなくて、事故や投機的
な動きで値段が非常に上がったとき、民間備蓄の義務について、もう少し柔軟な運用とい
うことを含めて、対応を考えていくべきではないかということです。これが、買い手のバ
ーゲニングパワーといいますか、売り手の一方的な高い価格の通告に対する力になるので
はないかということで、この辺の検討が今後必要ではないか。こういうことが一つの重要
なポイントではないかと思います。
その他、アジア市場全体、マーケット、スポット市場等々がまだ余りないということで
、これは今後の課題ということですが、中国、韓国と連携し、極東のスポット市場などの
拡大を図る必要があるだろうということにも触れております。
LPガスにつきましては、そもそも国内のマーケットが非常に不透明な面があり、価格
についても、国内市場の透明化、あるいは競争条件の整備といったこともあわせてやって
いく必要があるだろうということであります。
最後に、LPガスの政策的位置付けということで、LPガスは、これまで石油の一つの
製品ということで扱われてきたわけです。こういう面ももちろんあるわけですが、冒頭に
申し上げましたように、今、天然ガス田から出てくる比率がふえてきている。しかも、天
然ガスと同じように環境面で負荷が小さい。ガス体エネルギーとして、石油代替エネルギ
ーに準ずるものとして、LPガスの位置づけが重要ではないかというのがこの研究会の一
つの提言であります。特に自動車の面では、今、排ガス規制等で環境問題が非常に問題に
なっておりますが、LPガス車は、そういう意味で環境面でもプラスの面が大きいといえ
るということであります。
LPガスにつきましては、いろいろ問題があるのですが、一つの問題としましては、冒
頭に申し上げましたように、量的な確保の問題と同時に、価格面での安定性ということも
これから考えていくことが大事ではないかと思います。
田中委員長 どうもありがとうございました。
それでは、今のご説明につきまして、ご発言のある方はいつものように名札を立ててい
ただければ、私の方で指名させていただきますので、よろしくお願いします。ご確認した
いことがございましたら、どなたからでも結構です。
最後に十市さんがおっしゃったように、価格面の問題が重要になってきているというの
は石油も同様で、そういうことを今後検討していかなければいけないと思うのです。
ご確認事項が特になければ、続いて、事務局から「エネルギーセキュリティ確保のあり
方」についてご報告いただいて、これと一緒にしてご議論を進めていただきたいと思いま
すが、いかがでございましょうか。それでよろしいということでしたら次へまいりたいと
思います。
続いて、「エネルギーセキュリティ確保のあり方について」ということで、嘉村企画官
から資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
嘉村企画官 それでは、資料2について、私からご説明させていただきたいと思います。
まず、表紙をめくっていただきまして、<資料の構成>でございますが、「1.我が国の
エネルギーセキュリティに係るリスクの現状認識」でございます。ここは、このワーキン
ググループの昨年の第3回から第5回にかけまして、さまざまな有識者の方からご報告い
ただきましたリスクのシナリオ分析や種々の国際政治情勢などを踏まえて、概括的にまと
めさせていただいたところでございます。
2.でございますが、「ポートフォリオ理論を応用したエネルギー供給源リスクの定量
的な評価の試み」でございます。ここは、第6回、11月の末ごろでございますが、主に三
和総研の森永さんからご報告いただきましたリスクの定量化の話をもとにまとめた部分で
ございます。
3番目の「我が国のエネルギーセキュリティを取り巻く環境の変化」ですが、これは、
一番最初のころにプレゼンテーションをしていただきましたエネ研の小川さん、あるいは
エクソンモービルのP.Cタンさん、また、第7回に事務局より、国際石油市場やアジアの
問題を中心にご説明させていただきましたものをもとに、セキュリティを取り巻く環境の
変化があるということでまとめさせていただいた部分でございます。
最後の4番目が「今後のエネルギーセキュリティ対策のあり方」ということで、ここが
今回、特にご議論いただきたいところでございます。これをもとに、たたき台として議論
していただきたいわけでございますが、内容的に、「我が国が主体的にとるべき対応」、
「国際石油市場でのリスクへの対応」、「我が国のアジア地域への政策的な働きかけ」と
いう3つの部分に分けて整理させていただいております。この整理の仕方自身についても
いろいろご議論いただければと思います。
それでは、1枚めくっていただきまして、次の1ページ目からご説明させていただきた
いと思います。
最初の「我が国のエネルギーセキュリティに係るリスクの現状認識」でございますが、
本ワーキンググループでは、エネルギー供給に大きな影響を与える国際政治情勢上のリス
クについて検討してきたわけでございまして、そのリスクの状況は、以下のように要約す
ることが可能ではないか、ということでまとめさせていただいております。
「国際的な政治情勢の評価」でございますが、90年代初頭の東西冷戦構造の崩壊により
まして、東西の対立がエネルギー供給地域での対立構造に反映されることで、長期的かつ
大規模な供給削減が起こる可能性は減ってきているのではないか。一方、我が国にとって
のエネルギー供給地域やその輸送経路をみますと、地域的な紛争、あるいは当該国の国内
の政治的混乱が、突発的な石油の供給削減といった形で発展する可能性は引き続き存在す
るのではないかという認識でございます。
大きく中東とアジアの2つの地域について、いろいろ検討させていただいたわけでござ
いますが、まず、「中東地域における国際政治情勢の評価」でございます。
中東地域は、さまざまな不安定要因を今だにはらんでいるといわれておりまして、供給
削減等のリスクが顕在化する事態の類型として、一応①から③のようなものが指摘されて
いるのではないかと考えております。
①が、国連等の制裁で紛争地域が封じ込められることによって供給削減等が生じる事態。
②が、紛争時に石油供給施設等が破壊されることによって生じる事態。
③が、国内が政治的に混乱することによって生じる事態。
これらのリスクは、もちろん複合的に生じるものであろうと思います。
中東地域のこうしたリスク顕在化が石油供給に影響を及ぼすわけでございますが、中東
地域からは、石油だけではなくて、天然ガスも一部来ておりまして、それにも影響を及ぼ
すのではないかということがいえると思います。
2ページ目でございますが、アジア地域でございます。供給削減等のリスクが顕在化す
る事態の類型として、2つ指摘されているということでまとめさせていただいております。
1つが、国内が政治的に混乱することによって供給障害等が生じる事態。
2つ目が、紛争地域が輸送路等へ拡大することによって生じる事態ということで、リス
クの顕在化は、アジア地域では輸送経路が特に問題になると思いますが、石油のみならず
、天然ガスや石炭といったところまで影響する可能性があると思われますし、特に石油・
天然ガスについては、マラッカ海峡に代表されますように、中東地域からの輸送経路のチ
ョークポイントに当たる。そういうところが幾つかございますので、そういった観点から
大事でありますし、さらには、天然ガス供給地域という形でもとらえられます東南アジア
地域は、我が国のエネルギーセキュリティにとって大きな意義があるのではないかと整理
させていただいております。
こうした多くの事態の発生及びその収束という形で大きな影響を与える主体として、米
国、国連の関与が問題になるのではないかと整理させていただいております。
「エネルギーセキュリティに係る国際政治情勢の全体的な評価」でございますが、以上
のような2つの地域を中心に分析いたしまして、我が国のエネルギーセキュリティに深刻
な課題をもたらすものであると指摘されていますが、多くの事態については、産油国の余
剰生産能力や国際石油市場の機能、あるいは、我が国もそうでございますが、消費国にお
ける石油備蓄の活用といった形で、一定の対応はできると想定されます。
しかしながら、以下のような事態では影響が拡大するのではないかということでまとめ
させていただいておりまして、①が、大規模な供給削減と同時に、余剰生産能力に基づく
追加生産が限定されるような事態。②が、石油備蓄体制が不十分であることを背景として
、アジア地域で、供給削減に直面したときにパニックといった状態が起きたとき。こうい
う場合に拡大する可能性があるということで、留意が必要と整理させていただいておりま
す。
次のページに、その補足的なことが若干書いてありますが、先ほどの①の観点からは、
特にサウジアラビアの動向が重要ではないかということで、湾岸危機のとき、イラク・ク
ウェートの供給が実際途絶したわけでございますが、サウジアラビアを始めとする他の産
油国の増産で、深刻な供給不足にならなかったということで、先ほどの懸念が顕在化しな
かったという意味で象徴的なことだと思います。
②についていいますと、例えば輸送経路における障害の発生が起きた場合、我が国のみ
を想定いたしますと、このワーキンググループで私自身、ご説明させていただきましたが
、ある程度輸送経路が延びたことによって、我が国では対応できても、共有するアジア諸
国では、備蓄体制が十分整っていないことを背景に、パニックが生じるおそれがある。そ
の仮需の発生によって需給が逼迫化し、ひいては我が国にも、供給障害や価格上昇を通じ
て影響が生じる可能性があるかと思われます。
以上が1.の「エネルギーセキュリティに係るリスクの現状認識」のところでございま
す。
4ページへまいりまして、「ポートフォリオ理論を応用したエネルギー供給源リスクの
定量的な評価の試み」でございます。先ほど申し上げましたように、これは第6回のとき
に三和総研の森永さんにプレゼンしていただいたのをもとにしてまとめた部分でございま
すが、資産を分散化して、それを組み合わせてリスクを管理するというポートフォリオの
考え方に則して、エネルギーセキュリティを向上させていくというアプローチが重要にな
ってきているのではないかということでございます。
まず1つ目は、各エネルギー源ごとに供給安定化を図ることでリスクを低減させるとい
うことについてでございます。特に石油については、供給リスクが非常に大きいわけでご
ざいますが、利便性、経済性から、短期的には引き続き、それがエネルギー供給の大部分
を占めていくことに変わりはないわけで、こういうリスクの高いエネルギーを使い続けな
ければならない場合には、そのエネルギー供給についてのリスクを分散化するために、供
給国・地域の分散化や、よりリスクの小さい供給国・地域へシフトする。また、調達手段
の多様化、緊急時の対応体制、備蓄といった対応体制の整備等さまざまな手段を組み合わ
せて、リスクを低減させることが重要であると考えられます。
②でございますが、よりリスクの低いエネルギー源にシフトするという形で全体のリス
クを低減させることが考えられるわけで、これについては、供給リスクが非常に高い石油
から、それと比較して小さいと思われます石炭、原子力、天然ガス、新エネルギーといっ
た供給源にシフトしていくことで、中長期的に低減させることが可能であると思います。
その際、それぞれのエネルギーの特性がございますので、エネルギー政策全体としては
、環境への適合性や経済効率性の観点も考慮する必要があると思われます。
次のページに、第6回のときに、一定の前提のもとで試算していただいたものから導か
れますインプリケーションということで、簡単にまとめさせていただいております。
1つ目は、「各エネルギー源の供給安定化によるリスクの低減」ですが、これは、石油
、天然ガスの供給源の地域の多角化によってリスクを低下させることがセキュリティ向上
に貢献するという点。
②でございますが、「リスクの低いエネルギー源へのシフトによるリスクの低減」とい
うことで、先ほどもいいましたが、リスクの最小化という観点から、供給源リスクが相対
的に低いと考えられる石炭、原子力のシェアを変えていくといいいますか、比率を高めて
いくことで、全体のエネルギーセキュリティのリスクを低減させていくことが必要ではな
いかということがいえると思います。
新エネも、そういう観点からセキュリティの向上に貢献いたしますし、天然ガスについ
ては、石油に比べれば低いということでございますので、技術開発が必要でございますが
、これをGTLや燃料電池の燃料にすることによって、供給源リスクをより低下させる可
能性があるということが、この中の分析で申し上げられるのではないかということでござ
います。
「その他留意すべき点」ということで、このときに十分分析できなかった部分でござい
ますが、石油備蓄の存在や、原子力の燃料の国内運転在庫が一定程度あって、炉内燃焼期
間が長期であることを考えますと、一定の備蓄を有することと同じ効果があることについ
て、十分反映できなかったところがございまして、今後はこういった効果にも留意してい
かなければいけないかというのがインプリケーションでございます。
そういったことで、分析の結果、インプリケーションも得られたわけですが、6ページ
へ行きまして、今後これをどう活用していくかということでございます。
ポートフォリオ理論を応用したリスクの定量的な評価の試みにつきましては、方法論も
含めて、今後さらに検討が必要であると考えています。このワーキンググループでも、い
ろいろな問題点をご指摘いただいたわけでございまして、そういったことも踏まえまして
、検討する必要があると思っております。さらに、この潜在的なリスクや供給特性を認識
して、それを定量的に把握していくことが、今後のエネルギー需給の姿を見通す際に必要
になってくるのではないかと考えておりまして、こういった手法を発展させていく必要が
あるのではないかということでございます。
この手法を、政策手段の効率的な配分に配慮という観点で活用できないかということが
次の点でございまして、この分析の中で政策投入コストを考慮できるようにすることによ
って、どのような方法に重点を置くことがより効率的であるかという分析も可能になるの
ではないかということで、そうした方向も考えていくべきではないかと整理させていただ
いております。
次のページは、森永氏のプレゼンの資料を抜粋したものでございまして、これは前のプ
レゼンと重なるところがありますので、ご説明は省かさせていただきます。
次のページでございますが、これも森永氏のプレゼンの中で触れられたことで、前のペ
ージのリスク最小化に幾つかの制約条件を加えると、このように変わるというのが書いて
ありまして、これについても説明は省かさせていただきます。
下に「今後の課題」ということで書いてありますが、この手法については、始めてから
そんなに間がないということもございまして、さらなる検討が必要であると考えておりま
すが、問題点として、例えばリスクの指標について、こういう分析をするのに適したリス
ク、国・地域ごとのリスクがなかなかないということで、債務返済能力といった金融リス
クが入ったリスク指標を代理変数として用いたりといったことがございまして、そういっ
たことで違う影響が出たりしているということも、このワーキンググループで議論があっ
たところでございます。
若干重なりますので、あとの点は省略させていただきます。
次の9ページは、前回、事務局から説明させていただいた点の繰り返しになるのですが
、「我が国のエネルギーセキュリティを取り巻く環境の変化」ということで、特に注目す
べき点として、以下の2点が挙げられるのではないかということでございます。
1つ目が、「国際石油市場の発達がもたらす対応すべきリスクの性質の変化」でござい
まして、まず、国際石油市場の意義でございますが、80年代半ば以降に国際石油市場が発
達して、マーケットで価格が決まるという形に変わってきたわけでして、その結果、産油
国側の意図的な価格調整はやりにくくなったということで、そういう懸念は低下したわけ
でございます。
国際石油市場の存在は、供給削減が生じた場合でも、市場が十分機能している限りにお
いては、相応のコストを払えば調達が可能ということで、エネルギーセキュリティにも貢
献しているのではないかということはいえると思います。
一方、国際石油市場の大幅な変動が世界経済にもたらすリスクが出てきているのではな
いかというのが次の部分でございますが、ここ数年の原油価格の動きをみますと、特に米
国での石油市場への投機資金の流入や、製品が非常に低在庫になってきて、余剰生産能力
が縮小しているといったことを背景に、98年末の10ドル/バレルから1年程度で30ドル/
バレルの水準まで上昇したということが起きております。昨年も一時37ドル/バレルまで
上昇するなど、高水準で推移したということがございます。
この背景であります石油製品の低在庫化という問題でございますが、自由化の進展に伴
って国際競争が激化し、コスト競争力や基盤強化に向けた石油産業の事業の再構築という
構造変化の面から生じているところがございまして、石油価格のボラティリティが構造的
に高まっているという指摘もございます。
次の10ページでございますが、そうしたことから、過去の石油危機では供給不安が価格
の大幅な変動の要因であったわけでございますが、最近は、供給不安がないにもかかわら
ず大幅な変動が起きております。価格の高騰自身が国民生活に影響を与えるということが
欧米でも起きておりますし、アジアでも景気が減速するのではないかという懸念が出てお
りまして、世界的にみても、経済に与えるマイナスの影響については変わりがないのでは
ないか、そういうことが明らかになってきているという点が指摘されております。
さらに、アジアの国際石油市場が未発達という問題でございます。これもワーキンググ
ループで議論していただいた点でございますが、アジア市場で、原油の需給を反映するマ
ーケットが十分に存在していないということでございまして、こういう状態でございます
と、アメリカ等の他地域での原油価格の動向に影響を受けて、価格が乱高下する。そのこ
とが、アジア経済が影響を受ける背景の一つになっているのではないかといわれておりま
す。アジア地域での市場の未発達が、別の観点では、中東産のアジア向けの原油価格が、
他と比べまして割高になっているという問題の背景の一つではないかともいわれておりま
す。
11ページでございますが、「アジア地域におけるエネルギー需要及び域外依存の増大」
ということで、まず、「アジア地域のエネルギー需要の見通し」でございます。前回もご
説明させていただきましたが、アジア地域のエネルギー需要は、現状では世界全体の4分
の1程度を占めておりますが、2020年には世界全体の3分の1程度にまでシェアが拡大す
るのではないかという予測がございます。これは、エネルギー需給におけるアジアの重要
性が高まっていく見通しということでございます。
2番目でございますが、特に中国でございまして、中国は近年、国内炭の生産量の低減
や環境制約の問題から、石炭消費を抑制する動きがございまして、石油消費や石油の輸入
の増大傾向がみられております。
こうした動きが加速すれば、アジア地域の石油の対外依存、特に中東依存が高まる可能
性が高いということでございまして、中国自身もそういう問題意識を持ち始めており、石
油備蓄、エネルギー源で産油国との関係を強化するといったエネルギー外交、国内資源開
発といった政策展開がとられつつあるという状況でございます。
3番目でございますが、我が国は、これまでアジアにおける中東原油輸入国の中で圧倒
的なシェアをもっていたわけでございまして、他のアジア諸国の中東原油輸入動向の変動
により影響を受ける可能性は低かったのですが、これからは、アジア諸国、特に中国の中
東原油輸入の増加に伴いまして、我が国が影響を受ける可能性が大きくなるのではないか
、これからはアジア地域全体を視野に入れて、セキュリティを考えていかなくてはいけな
いのではないかということでございます。
次の12ページと13ページはその資料でございまして、省かさせていただきます。
14ページに移らさせていただきまして、ここからが今日特にご議論いただきたい政策論
のたたき台でございまして、「今後のエネルギーセキュリティ政策のあり方」でございま
す。
以上のようなエネルギーセキュリティに係るリスクの現状認識や、これを取り巻く環境
変化といった新たな課題を踏まえまして、今後どのようにエネルギーセキュリティを確保
していくべきかということで、まず、「主体的にとるべき対応」として、4点を挙げさせ
ていただいております。
まず1点目は、「国際政治情勢等についての情報収集・分析体制の強化」でございます
。これはある種当然のことでございますが、エネルギーの大宗を海外に依存している我が
国としては、国際政治情勢やエネルギーの市場構造といった情報を常に把握し、ワーキン
ググループで実施いたしましたような、中長期的な政治情勢を見通したシナリオ分析、エ
ネルギー供給源リスクの定量的な評価といったものを定期的に見直すことによって、リス
クを体系的に分析して、政策のあり方につなげていくといったことが必要になってきてい
るのではないかというのが1点でございます。
2点目でございますが、「石油供給の安定化によるエネルギーセキュリティ確保策」で
ございます。
まず最初に書かせていただいているのは、従来からございます安定供給確保策でござい
ますが、最初、石油備蓄の活用でございます。これによって、石油供給削減のリスクが顕
在化した場合の我が国の影響を小さくするという意味で、引き続き意義があるのではない
か。
自主開発については、長期安定的な石油調達を行うことを通じて、安定供給確保に貢献
するのではないか。また、自主開発を進めるに当たって、その支援を特定の国・地域以外
に重点化することによって分散化が図られ、リスク低減に貢献するのではないかというこ
とでございます。
「産油国・産ガス国との協力関係強化」でございますが、主な石油等の供給元でござい
ます中東地域との協力関係の強化は、自主開発機会の維持・獲得等について非常に意義が
ございまして、安定供給確保に貢献するのではないか。このため、産油国との定期的な対
話によって、具体的な協力を進めていくような枠組みの構築が重要ではないかと考えてお
りまして、こういう点にかんがみますと、先般、イランとの間で原油輸入代金の前払いス
キームがつくられたわけですが、こうしたことを進めていくことが有効な手法ではないか
ということでございます。
3番目の「リスクの低いエネルギー源へのシフトによるエネルギーセキュリティ確保策
」でございますが、「原子力、石炭、新エネルギー等石油代替エネルギーの利用」という
ことでまとめさせていただいております。
まず、原子力については、供給源リスクの最小化という観点から、石油等に比べて相対
的に優位であることや、先ほどもちょっと触れましたが、燃料加工工場でのストックがあ
ること、また、燃焼期間が長期にわたることから、備蓄効果があるという点が特徴でござ
います。
そうした点を考えますと、今後、エネルギーセキュリティの向上のためには、引き続き
原子力の比率を高めていくことが重要ではないかということで、このため、原子力の開発
利用についての国内外の理解を得つつ、核燃料サイクルの実現に向けて、着実に各事業を
進めていくことが重要ではないかということでまとめさせていただいております。
次のページでございますが、石炭については、「リスク低減に有効」というのは、先ほ
どのポートフォリオ分析の中でも、石炭は特にそういう点が如実に表現されておりました
が、他方、二酸化炭素の排出量が1次エネルギーの中で最も多いという環境負荷の問題も
ございますので、こうした点を考えまして、利用に当たっては、効率化、環境負荷の低減
を図ることが重要ではないかということでございます。
新エネルギーについては、経済性や安定性の面で制約があるわけでございますが、供給
源リスクが小さいことは間違いないわけでございまして、このリスク低減のために、中長
期的に割合を高めていくことが重要ではないかということでございます。
次の天然ガスについては、石油に比べて供給源リスクが小さいといえるわけでございま
すが、先ほどもちょっと触れましたように、技術開発も重要ではないかということでござ
いまして、GTL( Gas to Liquid)や、これを燃料電池自動車の主要燃料とするような
技術革新が行われれば、石油で行われている運輸部門でのエネルギー供給の代替性を高め
ていくことも可能になるわけでございまして、そうした点で重要ではないかということで
ございます。
また、やや中長期的な話になりますが、メタンハイドレートという資源が我が国近海に
大量に賦存するといわれておりまして、国内資源でございますので、この利用を図ること
がセキュリティ上重要ではないかということでございます。
ただし、メタンハイドレートにつきましては、既存技術での採取が困難であり、新しい
採取技術等の開発を行っていくことが今後重要ではないかということでございます。
最後の4番目でございますが、省エネでございます。省エネは、当然のことながら、経
済全体の輸入エネルギーへの依存度を低下させ、供給不安定に対する経済の対応力を高め
るということで重要ではないかということでございます。
以上が「我が国が主体的にとるべき対応」の4点でございます。
17ページでございますが、2番目、「国際石油市場でのリスクへの対応」ということで
、3点を挙げさせていただいております。
まず、「急激な価格変動に対応した国際協調の下での石油備蓄の活用」でございますが
、国際石油市場での価格の変動は世界的に伝播していく可能性が高いわけでございまして
、直ちに我が国への供給が不足する事態に至っていなくても、そのおそれがあると判断さ
れる事態も生じ得ることから、そうした事態にも対応して、国際協調のもとで機動的に備
蓄を活用することをIEA(国際エネルギー機関)の場で検討すべきではないか、こうし
たことを我が国から積極的に働きかけることが重要ではないかということでございます。
それが1点目でございます。
2点目でございますが、石油需給に係る全般的な統計の整備と市場への情報の伝達の問
題でございます。今回の原油価格高騰局面においては、石油の需要、供給、在庫といった
全般的な統計が十分整備されていないということで、石油の需給の全体像が明確でないこ
とが、OPEC等が増産を行ったときに、市場が適切に対応することの妨げとなって、原
油先物市場の高騰をもたらしてきた面があったといわれております。需給を的確に反映し
た形で価格形成が行われるためには、石油に係る全般的な統計が整備されて、それが適時
、市場に伝達される環境の整備が重要ではないかということで、IEAを中心に、関係国
際機関でこうした協力が進められているところでございますが、我が国としても、これを
積極的にサポートしていくことが重要ではないかということでございます。
これは解決の方策がなかなか難しい問題でございますが、欧米の先物市場では多数の投
資家が同一方向の売買を行うということで、原油価格の変動が大きくなっているという問
題も指摘されておりまして、そうした市場構造を改善する方策について、どのように考え
るべきかという問題があると思います。
18ページでございますが、3点目でございます。「アジア地域における透明性の高い国
際石油市場の形成」でございます。先ほども現状分析のところで出てきましたが、アジア
地域は、中東産油国が長期契約で原油を供給しているケースが多いということでございま
して、現状では、スポット取引が活発化して、国際石油市場がアジア地域で発達していく
ことは、短期的には見込みがたい状況でございます。
しかしながら、需給を反映した透明性の高い市場を形成することは、アジア地域におけ
る将来の価格変動リスクをヘッジする手段を提供するということで、アジアの消費国のみ
ならず、中東の産油国にとっても有益な結果をもたらすのではないか、関係各国の間で検
討を進めていく必要があるのではないかということでございます。
18ページの後半以降から19ページにわたって、参考として、今申し上げました問題の最
近の動きをまとめさせていただいております。時間の関係もございますので、説明は省略
させていただきます。
21ページでございますが、「我が国のアジア地域への政策的な働きかけ」でございます。
この点につきまして、3点ほど挙げさせていただいております。
まず、「域外依存抑制のための天然ガス等の開発・利用拡大」でございます。
天然ガスにつきましては、中国、東南アジアを中心に、アジア地域におきましても一定
規模の埋蔵が確認されているということでございまして、天然ガスの開発・利用を拡大す
ることが、アジア地域での石油の域外依存を抑制するという意味合いにおきまして有効で
はないかということでございます。従いまして、天然ガスの開発・利用に向けた民間企業
の動きをサポートしていく形で、こうした方向を支援していくことが重要ではないかとい
うことでございます。
石炭についてでございますが、石炭もアジアの主要なエネルギー源ということで、豊富
な埋蔵量がアジアに存在することが確認されておりますので、その開発・利用を進めるこ
とは、エネルギーの安定供給に大きく寄与することは間違いないのでありますが、他方、
環境負荷の抑制を図る観点から課題もあるということでございまして、資源開発支援だけ
ではなく、先進的な燃焼技術の移転を通じて、環境負荷の少ない利用を進めていくことが
重要ではないかということでございます。
2点目のアジア地域への働きかけでございますが、「石油備蓄体制整備に対する協力」
でございます。アジア地域では、先ほども触れましたが、石油備蓄体制が不十分であると
いう問題がございます。この整備を図ることは、アジア地域全体、ひいては我が国のエネ
ルギーセキュリティにも貢献するということで、その体制整備へ向けて積極的に働きかけ
ていくことが重要ではないかということでございます。
備蓄に興味があるところは少ないという現状があるのですが、備蓄の重要性を認識して
、その整備を図ろうという方向を打ち出しつつある国がようやくあらわれてきているとい
う状況でございまして、こうしたアジア地域の現状を踏まえれば、まず、関心を示してい
る国に対して、我が国がこれまで備蓄を実施してきた経験・ノウハウなどの情報交換や、
その国の備蓄整備計画の策定における調査について協力を行うといったことによって、具
体的な備蓄体制整備の行動計画となるように働きかけていくことが重要ではないかという
ことでございます。
22ページでございますが、さらに、その上で、備蓄体制がある程度整備されれば、我が
国とアジア諸国が、整備された石油備蓄について、どのような協力や協調することができ
るかという検討ができるのではないかと考えておりまして、こうした枠組みのようなこと
も考えていくことが重要ではないかと考えております。
最後の「アジア地域協力のためのエネルギー政策協議の活用」でございますが、アジア
地域の天然ガス利用の拡大や備蓄協力といったエネルギーセキュリティ確保に係る政策的
な働きかけが十分に成果を上げていくためには、相手のアジア各国の政策の方向性といっ
たものを十分踏まえながら検討を行っていくことが大切ではないかと考えておりまして、
こうした観点から、アジアの主なエネルギー消費国、生産国を含め、エネルギー政策協議
を、セキュリティ確保に重点を置いて、課題を共有する場として位置づけ、活用していく
ことが重要ではないかということでございます。
実際、エネルギー政策協議については、最近、幾つかの国、あるいは地域とそういう場
を設けておりまして、徐々にそれが進みつつある状況でございまして、資料として、26ペ
ージ以降に最近の協議の状況をまとめさせていただいております。時間の関係もございま
すので、詳しくは省略させていただきます。
以上、「エネルギーセキュリティ確保のあり方」につきまして、事務局の方で、これま
での議論を踏まえましてまとめさせていただいた資料のご説明でございます。
田中委員長 どうもありがとうございました。
それでは、今のご説明、また、先ほどの十市委員のLPガスについての問題、両方含め
まして、ご意見、コメント等あれば、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいた
します。
それでは、最初に内山委員からお願いできますか。
内山委員 三、四点、質問があります。
まず、最初の方の現状認識に関係するところですが、現在のエネルギーセキュリティ問
題は、1970年代、石油危機があったときと比べて、どのように変わってきたのかといった
記述が最初に欲しいなと思いました。
2点目ですが、そういう中で現在のリスクは、全体を見渡すとどういう鳥瞰図が描ける
のか。今回の検討は20~30年先までということですが、そういう流れの中でどのように判
断していったらよいのかという鳥瞰図を描いていただければという感じがします。
また、そういう中で対策の基本問題をまとめていく必要があるのではないかと思います。
従来と違いまして、エネルギー産業の自由化がかなり進んできております。自由化の流
れの中でエネルギー関連企業は、長期のエネルギーセキュリティに対する責任がなかなか
もてなくなってきている。当然のことながら、セキュリティに対する民間と政府のあり方
は昔と大きく変わってきたと思いますし、これからも多分変わっていくのではないかと思
いますが、そういうことも含めて、これからのセキュリティ対策の基本的な問題点をまと
める必要があるのではないかと思います。
これから我が国がとっていく対策についてですけれども、書いてある対策はそれぞれ非
常に重要であると記されております。ごもっともなことでありますが、何か記載内容に具
体性がないという感じがします。
例えば将来の石油依存度はどのように変わっていくのかといったところをもう少し定量
的に方向づける必要があるのではないか。また、原子力や石炭の開発がエネルギーセキュ
リティから重要なのはだれでもわかっているのですが、それを実行するにはさまざまな制
約要因があることも皆さん、よく知っているわけです。ですから、今の自由化の流れの中
で、民間がそういう大型技術をどのくらい開発していくことができるのかということも整
理する必要があるかなと思います。当然のことながら、原子力には立地問題、石炭火力に
は温暖化問題が制約要因としてあるわけです。そのほか、アジアについても、対策はわか
るのですが、具体的に日本がどういった対策を施すのかという視点ももう少し欲しいかな
という感じがしました。
最後、私の私見になりますが、今回の対策は、ほとんどが供給対策として検討されてい
る。しかし、今エネルギー需要が伸びているのは、産業部門ではなくて、民生や運輸なの
ですね。将来、石油価格が高騰したときに、そういったところにさまざまな経済影響が及
ぼされることになります。ですから、単に供給サイドだけで対策を検討するのではなく、
セキュリティを高めるような需要サイドのあり方といったものも検討する必要があるので
はないか。具体的にいえば、運輸部門においては燃料の多様化を図る。ガソリン車だけで
はなく、先ほど十市委員の述べられたLPガス、あるいはCNG車の導入等々、需要家側
の対策も、それなりにセキュリティを高める方向で検討するところは数多くあるのではな
いかと思います。
田中委員長 どうもありがとうございました。これについてはどうですか。少しご議論を
まとめてから反応なさいますか。
嘉村企画官 そうですね。
田中委員長 それでは、他の委員の方、ご議論ございますか。
今日のご報告は、今までの議論をそれなりにまとめていただいて、このワーキンググル
ープとしての政策提言という形にもっていこうという方向づけの第1段階ということでま
とめていただいたわけで、提言のスケルトンといいましょうか、最終的な形としてみると
、十分要素を詰めてやったわけでもございませんし、提言の形の論理的な構成のあり方に
ついてもまだまだ改善の余地があると思っておりますので、その点も含めてご議論いただ
ければと思います。
今、内山委員からご指摘があったことは、どれも重要な点だろうと思うのですが、これ
は私からのお願いであります。その対策等について、事務局の用意していただいたものに
注文をつけていただくことは大事ではありますが、同時に、具体的な提言の中身、こうい
うことを書けということをおっしゃっていただくと、より建設的なご議論になるのではな
いかと思っておりますので、その辺、ご配慮いただいて、ご発言いただければと思うので
す。
私の聞いているところでは、田所委員は早くお帰りになるということだそうですが。
田所委員 ありがとうございます。他の方が何かお考えになるまで、私、思いついたこと
を2点だけ申し上げようと思います。
今、田中委員長から出ましたのは、ケチをつけるなら自分で対案を出せというお話だろ
うと思いました。誠にそのとおりだと思います。しかし、対案はないのですが、政策提言
のあり方として重要なのは、具体性のあるものを、という内山委員のお話のとおりだと思
いますが、同時に、何ができるのかという問題もあると思います。また、これも大事、あ
れも大事ということがありますが、何が一番優先政策で、何が一番最初にできそうで、何
が一番効果的かといったことを考える必要があると思います。では、具体的にいってみろ
といわれると困ってしまうのですが、そういうことを幾つか書いてみるのも、この種の報
告書としては値打ちがあることではないかなと思います。田中委員長のご指示には従いま
せんが、そのようなことを一般的に考えました。
もう一つは、これは大変学者的な言い方で恐縮なのですが、提言といいますか、最後の
政策取り組みの3つの枠組みは、例えば私が修士論文の指導をしたら、「これは3つのレ
ベルが同じように並んでいないよ」というだろうと思います。
最初のものは、他と相談しないで、日本が自分の国内でできてしまうことという意味だ
ろうと思います。そして、リージョナルな問題もよくわかります。アジアの地域に我々が
働きかけていくべき問題はどうか。
2番目の「国際石油市場でのリスクへの対応」はいささか違うレベルに属する問題でし
て、私、国際市場の中で国家がどう行動するかというのは大変重要だということをここで
も発言したことがございますし、この問題の重要性はよくわかっておるつもりですし、こ
れについてスペースをとられたことについては賛成ですが、整理の仕方としては、これは
いささか論理的ではないのではないかと感じました。
私どもが学生に論文指導をするとき、一番簡単にやってしまいそうなのは、国内のこと
をいって、リージョナルなことをいうのだったら、次はグローバルだろうといったことを
考えてしまいます。グローバルということで整理するのは具合が悪いのかもしれませんが
、国際石油市場は非常にグローバルなものですから、例えば「グローバル」と名前をつけ
ても、この石油市場の問題はかなり議論できるのかもしれません。
アジアにおける市場が未発達であるという問題は、リージョナルというところで分類で
きるのかもしれませんが、ここの分類はもう少しお考えになって、論理的な整理をされて
、その上で、提言として、論理的にはこういうことがいえるが、では、何が優先的で、何
ができそうかということはまた別に考えてはいかがかと私は思いました。
田中委員長 どうもありがとうございました。それでは、十市委員、お願いします。
十市委員 先ほど内山委員がいわれたこととかなりオーバーラップするのですが、全体の
メッセージ性、具体性という面で非常に欠けているなと思います。セキュリティ問題自体
、非常に難しい性格だということで、これはやむを得ない面があるのですが、そういう意
味で何点か申し上げたいと思います。
1つは、セキュリティ対策で、これまで日本がやってきたのは何だろうかと考えますと
、石油依存度を下げるということと同時に、備蓄して緊急時に備えようということですね。
それから、石油依存度を下げる意味で、特に、代替エネルギーの原子力の開発を非常に
進めてきたわけですね。
そういう観点から、1つは、電力、ガスを含めて、今、自由化政策をやりつつあるわけ
ですね。それとここに書いてあることは必ずしも両立しない面がありますので、自由化の
問題とセキュリティの問題をどう考えるかということについて、きちんとした書き方をし
ないといけないのかなという気がします。
5年とか10年を考えれば、電源は余裕があるから、よいのではないかという議論が成り
立ちますが、ここで、20年、30年を視野に入れて、いろいろな議論をしている以上、そう
いう長期的な投資が本当に確保できるような視点からも考えないといけないということを
この報告書に書き込まないと、原子力は大事ですね、石炭も大事ですね、というだけでは
いけないのではないかという気がします。そこは具体的にメンションする必要があるとい
うのが1点目であります。
もう一つは備蓄の問題で、具体性という意味で備蓄をどう活用するか。これまで2兆円
近いお金をかけて、今、国家備蓄をかなりもっているわけですね。この中に、石油市場自
体も相当変化してきたということが随分書いてありまして、そういう中で、備蓄について
は、主体的に取り組むということに入っていなくて、IEAとの協調という枠組みで入っ
ている。これはこれでやむを得ない面があるのですが、備蓄は、日本の納税者のお金でそ
れだけのものをつくり、もちろん、IEAの国際的な枠組みを最大限使うのは必要なので
すが、緊急事態のときに日本が主体的に活用できるものといったら備蓄ぐらいしかない。
市場の安定化やアジアの需給の安定化のために、それを積極的に使うべしということをも
う少し具体的に書くべきではないか。特に、今の特殊法人の改革の中で、いかに効率的に
セキュリティ対策をやるかという意味では、備蓄と開発の問題がある。そこで、石油備蓄
について、もっと効率的な運用ができるような仕組みを、セキュリティの観点からも検討
すべしということを是非入れていただければなという気がいたします。
もう一つ、これは自主開発との関係で、ちょっと細かいことになるかもしれないのです
が、15ページの一番上のところに自主開発についての位置づけがありまして、少し気にな
ったのは、「自主開発促進のための支援を、石油供給を大きく依存している特定の国・地
域以外に重点化する」という書き方がしてあるのですね。これは確かに、サウジの権益が
切れたこともあり、それ以外という感じなのですが、日本にとって重要な国は引き続き重
要でありますので、そこはやはり大事として、それ以外の地域も重点的にやるという形で
はないか。例えば、サウジやUAEはやめて、他でやりますよというニュアンスがありま
すので、そこが非常に気になったものですから、そこは書き方を少し変えていただいた方
がよいのではないかという気がいたします。
田中委員長 どうもありがとうございました。田所委員、追加のコメントですか。
田所委員 先ほど言い忘れましたので、1つだけ申し上げます。
セキュリティといいますのは、基本的に、何か悪いことが起こらないように守るという
イメージが大変強うございます。それはそれでよかろうかと思いますが、ただ守るだけで
はなくて、まあ、攻めといってはなんですが、何か他の利益をもたらすような積極的な政
策がとれるのではないかと思います。
これはこのワーキンググループでも一度申し上げましたが、例えば省エネや備蓄という
リージョナルな対策は、国際環境の改善という大変ありがたい副次的効果がございます。
したがって、例えば省エネ技術や新エネの開発を地域で共同でやってみるとか、それがど
れほどの実効性をどれぐらいの期間でもつかというのは、私には皆目わかりません。ある
いは大したことがないのかもしれませんが、ともかくそういうことをやってみることは、
それ自身、値打ちがあるのではないかと思いました。
田中委員長 どうもありがとうございました。内山委員、追加のご議論をお願いします。
内山委員 先ほど解決策を述べよといわれたものですから。これは大変難しいのは皆わか
っているのですが、幾つか考えられることがあるのではないかと思います。
今、十市委員のいわれた備蓄にしても、私、勝手なことをいって申しわけないのですが
、一部は貯蔵に変えてもよいのではないかなという気がしま。なぜいまだに 160日間を義
務づけなければいけないのか。一部は、備蓄ではなくて、貯蔵ということにして、石油危
機といった事態が来れば、また備蓄というふうに運用を変えていくことも可能ではないか
なという気がしたのですが、これは私の非常に勝手な考え方なのかもしれません。
もう一つ、アジアなのですが、具体的な方法としては、やはりお金の問題が課題になる
わけですから、アジアのエネルギーセキュリティのためにODA予算の活用を図れないか
ということです。そういった問題に触れてもよいのではないかと思います。
先ほど私は、需要サイドで検討すべきだということをいったわけで、今も意見がありま
したが、セキュリティから省エネ政策を推進する。それだけではなく、分散型エネルギー
技術の開発やエネルギー源の多様化といった政策もあわせて明記した方がよいのではない
かと思います。
田中委員長 どうもありがとうございました。それでは、佐久間委員、お願いします。
佐久間委員 「エネルギーセキュリティ政策のあり方」ということで、情報収集・分析体
制の強化ということで、クイックレスポンスでそういう体制をつくることは重要ではない
かなと思っております。
こういうことが出てきたのは、価格面での市場構造の変化といったことが背景にあるの
ではないか。そういう面からいいますと、定量的評価といいますか、リスク管理という観
点を入れますと、エネルギーの供給源リスクというところに定量的評価を限定するのでは
なくて、もう少し定量的な評価手法を、要するに、エネルギーセキュリティに係るリスク
全体について、何らかの考え方を導入して、ウォーニングを入れること、それがリスク管
理の基本ではないかなと思っております。
先般、供給源のリスク分散という観点で、ポートフォリオ理論に則した考え方のご説明
がございましたが、あれはあれで、一つの頭の体操としてはよかったのかなと思いまが、
全体のリスクの定量的、あるいは量的・価格的なとらえ方という意味合いで、定量評価は
一つの手法として非常に有益なものであろうと考えております。
先ほど来、備蓄の話が出ているのですが、今までは供給の途絶という面での備蓄の効果
にハイライトが当たっていたと思うのです。しかし、価格リスクについて、備蓄がどうい
う意味をもっているかといった観点で分析することは可能かどうかということも考えたら
どうかなと思っております。
田中委員長 どうもありがとうございました。森本委員、お願いいたします。
森本委員 今日ご説明いただいた最後のエネルギーセキュリティの対策は、この紙の一番
最初の1、2ページに書いてある、エネルギーセキュリティに係るリスクをどう評価する
のか、どう認識するのか、それを解決するためにどのような方策があるのかということと
関連していないといけないのではないかと思います。これは、この会合の1、2回で岡本
さんが問題提起を何度もなさったことと関連する。
今、我々はなぜこういう問題に直面しているのかということを、もともとの問題提起と
いうか、問題意識にさかのぼって考えれば、結局、今世紀、我が国にとってのエネルギー
問題は、従来のような自由競争に任せるだけではやっていけないという問題提起が最初に
あって、したがって、国際政治情勢の変化に応じて、我々がこれから主体的に、政府とい
うか、国としてやらないといけないことがあるのだという認識で、このワーキンググルー
プの問題提起が始まったのではないかと思います。ということは、自由競争というか、自
由価格競争に任せるのではなく、また、2ページ目に書いてあるように、問題が起きたと
きにほったらかしにはできないので、国としてどのような対応をやるべきかということを
今考えないといけないので、このワーキンググループのいろいろな方策が始まったわけで
す。
私は何を申し上げようとしているかというと、つまり、1、2ページに書いてあるリス
クの評価と最後の対策とが1対1対応になっていないといけないのではないかということ
です。ということは、これからのエネルギーセキュリティに係る国際情勢の全体的な評価
が2ページ目に書いてあるようなものであるとすれば、我々の対策として、平常時、自由
競争経済の原則に任せてよいもの、ある種のパニックというか、ある種のエマージェンシ
ーに対応するために、国として平生からやらないといけない問題、あるいは緊急時に対応
しなければならない問題を仕分けして考えるのがセキュリティの考え方だと私は思うので
す。
したがって、最後に書いてあるように、我が国が主体的とか、国際石油市場、あるいは
アジアへの働きかけという分類にするよりも、何も起きないとき、我々として自由競争に
任せる分野と、政府が主体的に、主導的にやらなければいけないものとを分ける。それと
は別に、もう一つは、2ページ目に書いてあるような異常事態が起きた場合にどう対応す
べきか。その場合でも、なおかつ自由競争に任せる部分と政府が主導性を発揮してやらな
いといけない部分に分類して後の方策を書かれると、このリスクの認識と対応するような
表現になるのではないかと思うのですね。
つまり、2ページ目でこういう評価をしながら、政府がどのように関係して対応をとる
のかということについて、説得力のあるような状態に必ずしも分類されていないので、分
類の仕方をもう少し考える必要があるのではないかという気がします。対策の中身に含ま
れていることはおおむねよいと私は思うのです。
それから、マイナーな点ですが、APECやPECCなどをうまく活用することを考え
ると、アジアだけではなく、豪州やニュージーランドなど、大洋州にも最後のところで言
及することが望ましいのではないかと思います。これはつけ加えてのコメントです。
田中委員長 ありがとうございました。かなりいろいろな問題が出てきていますが、岡本
委員、ございますか。
岡本委員 今の森本委員の意見に触発されての発言でございますが、ここに事務局がずっ
とお書きになっていることは、一つ一つは「なるほど」ということばかりですね。
まず、エネルギー別にいけば、私の専門ではありませんが、新エネルギー、天然ガス、
石炭、原子力が大事です、メタンハイドレートもあります。我が国のとるべき政策として
は、備蓄をしっかりやりましょう、省エネをやりましょう、自主開発をしましょう。国際
政策としては、供給資源の多角化を図りましょう、産油国との協力関係を図りましょう、
情報収集をやりましょうと。
我々、かなりの時間を費やして、アジア、中東のかなり突っ込んだ政治情勢分析、国際
情勢上のリスク分析をやってきたのですが、それはこの結論にどのような形で反映されて
いるのか。
つまり、我々が10年前にやった議論でも、今、私がずっと申し上げたような結論は出て
いたのだろうと思うのです。例えば石油供給元の多角化ということは1973年ぐらいからい
われていたことで、一時期、多角化の方向へ向かったが、また中東へ集中してきてしまっ
ている。これも10年も20年も言われ続けてきたことですね。事務局の結論が間違っている
ということはもちろんないわけですが、せっかくこれだけの大オペレーションを皆さんが
おやりになったのですから、新しいことは何なのかという批判に耐え得るものでなければ
いけないと思うのです。今もう一度、石油供給元の多角化、備蓄の強化、省エネを言って
、そんなことはわかっていると言われてしまっては、せっかくのご努力が何にもならなく
なってしまう。もう一歩踏み込んだところが必要だと思います。石油資源の多角化をやろ
うとしてきたが、どうしてできなかったのか。今度やろうというのは、新たにどういう決
意とどういう政策があるのか。省エネにしても、石油資源の自主開発にしても、みんな昔
からいわれてきていることです。「なるほど。あれだけたくさんの人たちが一生懸命やっ
て、こういう結果が出てきたね」というのが何かなければいけないと思うのです。
非常によくおまとめになった紙ではありますが、そういう意味で、森本さんがいったこ
とに私も賛成で、当初、国際リスク分析をかなり突っ込んでやって、それが具体的な提言
のところでは余り反映されていない。方向性としては、もちろん、よいところを向いてい
ると思うのですが、これをもう一段書き込む。難しい作業かもしれません。例えば、アジ
アに石油市場をつくるべきだ。では、一体どうやったらつくれるのかというところまで書
く必要があるのではないか。メニューの提示だけに終わってしまっていては迫力が弱くな
ってしまうということをちょっと懸念しております。
田中委員長 どうもありがとうございました。企画官、あるいは部長、今までのことにつ
いて、何かご反応ございますか。
松永部長 ありがとうございます。田中委員長からご指摘いただいていますように、この
段階でお諮りするような報告書が出ているのではなくて、これまでの議論をこういう形で
整理させていただいて、今日は、まさに各員よりご指摘いただいていますように、具体的
に提言できるような中身をストックテーキングさせていただくためのご議論だということ
でご理解いただければと思っております。
そうはいいましても、ここで具体的な肉づけをしてくださいというのもあれでございま
すので、本日のご指摘を踏まえて、私どもも引き続き検討を続けますが、各員ともご連絡
をとらせていただきますので、ぜひいろいろお知恵を拝借させていただければありがたい
と思っております。
具体的にご指摘いただいたところで、何点か、この段階でコメントさせていただきます
と、内山委員ご指摘の、今のリスクをどうとらえるのか、70年代とどう比較するかという
問題、また、アジアなり中東の情勢について、各員から、あるいは外部の委員からもかな
り突っ込んだご指摘をいただいておりますので、そういうものをどのように反映するかと
いうことにつきまして、改めて事務局できちんと勉強し、整理しておきたいと思っており
ます。
その際、内山委員、十市委員からご指摘いただいたエネルギー産業の自由化、あるいは
規制緩和政策とセキュリティ対策の政策的な整合性といいますか、整理をどうするのかと
いう基本問題でございますが、これは、森本委員からご指摘いただいた整理の仕方とも絡
んでくると思います。最終的には、報告書の中にきちんと入れ込んだ方がいいのではない
かと思いますが、現時点で事務局ではこのように整理しておりまして、マーケットメカニ
ズムを可能な限り導入して、セキュリティ対策の担い手である石油産業の活性化・効率化
を促していくというのが基本のベースだと思っております。とはいいましても、セキュリ
ティ対策につきましては、当然のことながら、国の役割がかなり大きいということも認め
ざるを得ない。そういう意味で、平時からセキュリティ対策をきちんとやっていくという
ことでございます。
ちなみに、今の国会に提案しております法律内容もそういう整理でございまして、需給
調整機能や価格規制が入っております石油業法は、「規制緩和3カ年計画」の閣議決定に
従って廃止する。しかし、セキュリティ対策はこれで強化する。備蓄法は改正いたしまし
て、石油業法の中にございます石油産業の担い手、具体的には輸入業者、販売業者、精製
業者について、国として把握する。また、備蓄が発動されるときには、具体的な生産予定
数量、販売予定数量も情報としてとれるような仕組みを備蓄法の中に入れ込んで強化する。
平時から準緊急時や緊急時に向けた対応をきちんとやっていくような体制をとっていこ
うというものでございますし、また、これまで備蓄政策は、予算措置を講じて、国家備蓄
なり民間備蓄の量の確保がポイントでございましたが、各員からご指摘いただきましたよ
うに、いかに備蓄を効果的に活用していくかというところが非常に大事でございますので
、民間備蓄の発動、具体的には基準備蓄量の引き下げにつきましては、これまで法律的に
きちんと書いておりましたが、国家備蓄の発動という規定はありませんでしたので、そう
いうものも備蓄法の中にきちんと書き込んでいく。こういう整理をしているわけでござい
ます。
その関連で、十市委員から、備蓄の活用のところは、ややIEAベースといいますか、
国際協調にポイントを置いて書き過ぎているのではないかということで、表現ぶりにつき
ましては注意いたしますが、価格高騰の場合にも、必要があれば国家備蓄は当然発動され
るという整理をしております。
ただ、国際市場に対する行為でございますので、よりよい効果を得るためには、IEA
ベースで、可能な限り協調的に対応していかないと、なかなかOPECに対する対抗にな
らないのではないかという頭がございますが、国家備蓄につきましては、これからも機動
的に発動できるようなシステムを講じていくことが非常に大事ではないだろうかと考えて
おります。
それから、供給サイドだけではなくて、需要サイドのアプローチも大事というのはご指
摘のとおりでございますので、その辺も、これから具体的なスケルトンなり報告書を書く
段階で整理していきたいと思っておりますが、ただ、具体的な政策提言のところで、新し
い中身、あるい現時点での迫力のあるメッセージは何なのかというところは非常に難しい
ところだと思います。
私ども、最近の事情変更として、あるいは今後20~30年を見据えたときに一番気になり
ますのは、中国、あるいは将来的にインドといいますか、日本近隣のアジア諸国における
需要の増大、それに伴うアジア全体としてのセキュリティの脆弱性という中に日本がイン
ボルブされていくということは、10年前、あるいはそれより前にはそれほど深刻にはとら
えられていなかった問題なのではないだろうか、それに対してどう答えていくのだろうか
、今までの日本だけのセキュリティ対策に加えて、そういうものをどう考えていくのだろ
うかというところでございまして、その辺の政策内容をどこまできちっと整理・提示でき
るのだろうかというところが大きな課題ではないかと思っておりますので、その点につい
て、こういうところが重要なポイントなのではないだろうかというところをご指摘いただ
ければありがたいと思っております。
より基本的には、これも第1回目、第2回目のときに、あるいは長官からもご指摘いた
だいたと思いますが、日本のエネルギーセキュリティの議論が、日本の地政学論的な一般
的な議論の中で余りきちんと行われていなかったのではないだろうか。そういう意味で、
今、総合エネ調の中で、6月なり7月をターゲットに、エネルギー政策全体の再構築を議
論しているわけでございます。そういう意味で、エネルギーなり、石油なり、そういうサ
ークルの中だけでの議論ではない形でもう一度整理しておきたい。これまで、あるいは各
員の中ではやや言い古された議論、し尽くされた点かもしれませんが、再整理をする意義
はあるのではないだろうかと考えております。
田中委員長 どうもありがとうございました。今のご発言に引き続いて、さらに何かコメ
ントございますでしょうか。
内山委員 やはり一番気になるのは、セキュリティで原子力の位置づけが従来とどう変わ
るのかということで、それについて、まだ全体のコンセンサスが得られていない。重要な
のはわかります。
田中委員長 ご趣旨は、重要なのはわかるが、これからそんなにうまくできないのではな
いですかということですか。
内山委員 いや、政府が関与する部分と民間が関与する部分がセキュリティ上どう位置づ
けられるのか、その辺がちょっと不明確だと。特に、先ほどいいましたように、自由化の
流れの中で、民間企業はセキュリティまで面倒みられないという流れがありますので、そ
れに対する原子力の位置づけは前とちょっと変わってきているのではないかと思います。
その点を明記していただきたいと思います。
田中委員長 この点はどうしますか。では、畑中委員からご意見を伺います。
畑中委員 今までの各委員のご発言に私も大体賛成なのですが、田中委員長から、批判す
るなら代案を出せということでありますので、私が主に担当している中東との関係で若干
提言させていただきたいと思います。
お手元の資料の15ページに、「産油国・産ガス国との協力関係強化」というところがあ
りまして、この趣旨に私も賛成なのですが、これ全体は、我が国と産油国との関係強化を
図っていくことが重要ということで、あくまでも相対ベースで考えていると思うのです。
それも一つの柱だと思いますが、もう一つの柱として、我が国が中心となって、産油国と
アジア諸国との関係強化を図っていくということがあってもよいのではないか。
同じ資料の18ページの一番上の「アジア地域における透明性の高い国際石油市場の形成
」というところをみますと、要は、「アジア地域の消費国、中東地域等の産油国の双方に
とって中期的に有益な結果をもたらす」ということで、そのためには産油国の力も当然か
りなければならないと考えますので、その点からも、相対だけではなくて、地域対地域の
協力関係の構築ということを考えたらよいのではないか。
例えば21ページに「石油備蓄体制整備に対する協力」、22ページに「アジア地域協力の
ためのエネルギー政策協議」というのがありますが、消費国側がセキュリティの安全保障
を掲げていると同時に、産油国側は需要のセキュリティがあるわけですから、そこを話し
合うことが1つあってもよいのではないかという提言でございます。
田中委員長 どうもありがとうございました。今の原子力の問題は重要ではあるものの、
ここで議論できるのかどうかよくわかりませんが、部長、何かコメントありますか。
松永部長 原子力の問題につきましては、総合資源エネルギー調査会の中のエネルギー政
策ワーキンググループといったところで議論されていると理解しておりますが、今の内山
委員のご指摘について、やや私の個人的な感じなのかもしれませんが答えさせていただき
ます。
セキュリティの観点で各エネルギー源別に、定量的な分析も含めてご議論いただいてきた
結果としては、JCOの事故以来、安全面での懸念が国民の間にかなり広範に広がってき
たのは事実ですが、これからのエネルギーセキュリティを考えた場合には、原子力の重要
性をもう一度きちんととらえ直す必要があるのではないかというのが一つの流れとして出
てきているのではないかと思います。
従いまして、これは、当然のことながら、民間に任せられる部分、任せなければならな
い部分もありますが、立地対策を含めて、国としてきちんとやらなければいけない部分が
非常に大きくなってきている、重要性が増してきているという考え方の整理ができるので
はないかと思っております。
これは、これから報告書にまとめていく段階で、改めて各員の間でご議論いただいて、
コンセンサスをつくっていただければありがたいと思っております。
田中委員長 それでは、須藤委員、お願いします。
須藤委員 まず、短時間でまとめられました事務局のご苦労に敬意を表したいと思います。
平常時は一応自由競争、緊急時は政府の介入という基本的な構図が再三提示されており
まして、基本的にはそういうフレームワークになろうかと思うのですが、昨今の危機の性
格といたしましては、実際に供給途絶がないにもかかわらず、価格が1年で3倍になって
しまうといった事態が一方でございます。論者によっては、「平常時の中の危機」という
言い方をされる方もおられるわけです。
基本的に、内容としては、かなりの要素がよくまとめられていると思いますが、例えば
このワーキングで考えている、あるいは考えた危機とは何なのか、そもそも量の不足なの
か、価格の高騰なのかという点が一つのポイントになろうかと思います。
従いまして、1のところで、危機とは何かという点をまず包括的に提示いたしまして、
こういう現状認識のもとに、それぞれのレベルにおける対応を示すとこうなりますという
形のまとめ方が一案かなと考えましたので申し上げます。ありがとうございました。
田中委員長 どうもありがとうございました。高橋さん、何かございますか。
高橋委員 前に発言したことと同じなのですが、我が国がもっているいろいろな外交ツー
ルを整合的に使うということで、環境問題で中国に働きかけると同時に、エネルギー問題
でどう働きかけるかという、部長のお話にあったようなエネ庁の枠を超えた枠組みをもう
一度考えていただきたい。
それから、ここで、これから中国が大切ですよというお話をさんざん伺って、中国の需
要がどんどんふえるのはとめようがないというギブンとして考えてきたのですが、ODA
をうまく使うことによって、中国、あるいはインドの石油需要がこれ以上ふえない方向に
できないか。ODAを出すとき、人権がだめな国はだめとか、軍事費が多い国はだめとか
いろいろあるのですが、そういう原則の一つにでもして、日本のエネルギー安定を考えて
使うといったことができればなと思いました。
田中委員長 どうもありがとうございました。ほかにご議論ございますでしょうか。
私から若干の感想を申し上げさせていただきますと、一番最初の現状認識といいましょ
うか、情勢認識の点について、内山委員がおっしゃられたことですが、1970年代と比べて
何が新しいのか、また、今、エネルギーセキュリティを考えるのはいかなる意味があるの
かということを、抽象的ではあっても、ある程度はっきりさせる必要があろうかと思いま
すね。
今までの議論を伺っていると、1970年代と比べると、やや陳腐な言葉ではありますが、
グローバリゼーションが著しく進んでいることがかなり違ってきていることではないかと
私は思っています。
そのグローバリゼーションの一つの中身は、石油市場というかなり特殊な市場がある種
通常の市場に近くなる。それが、グローバルに次から次へと取引されるノーマルな市場に
なりつつある。それから、石油市場が石油市場だけで存在しているわけではなくて、ほか
の市場との連関の中で動いている。その中で、世界全体、特に先進国については、グロー
バリゼーション等の関連で、自由化、規制緩和という動きが一方である。大きな流れとし
てみると、そういう流れが非常にあると思います。
その反面、地政学的なことから考えていきますと、このグローバリゼーションの進展は
、冷戦は終わらせたわけですが、日本がとりわけ重大だと思う中東からアジア諸国に対し
て、少なくとも2通りの変化をもたらしている。
1つは、アジア地域が非常に交流したというディベロプメントの側面ですね。一方で、
アジアにおける需要が1970年代とは比べ物にならないほど増大している。そういうグロー
バリゼーションのポジティブな側面があると思います。
その反面、グローバリゼーションは、各国の政治・経済・社会体制を非常に大きく揺る
がす可能性をもった流れであって、これが、日本が依存している中東からアジア諸国に非
常に大きな衝撃を与えていて、アジアから中東にかけてのさまざまなところで政治・社会
問題を起こす可能性が非常に強いということではないかなと思います。
情勢認識のところでいうと、一番最初の「エネルギーセキュリティに係るリスクの現状
認識」というところで国際政治情勢の分析としてあらわしたことも、3の「我が国のエネ
ルギーセキュリティを取り巻く環境の変化」というところでの「国際石油市場の発達がも
たらす」云々ということも、「アジア地域におけるエネルギー需要及び域外依存の増大」
ということも、1970年代とは違う、21世紀に入った、グローバリゼーションが1段階進ん
だ段階の特徴であると考えてみると、やはりその段階にふさわしいエネルギー安全保障の
政策のあり方が求められているといえるのではないかと思いました。
具体策で委員からいろいろご発言がありましたように、政策提言の内容は、できるだけ
情勢認識、リスク分析と対応した方がわかりやすいということで、その点は事務局でまた
ご検討いただければと思います。より具体的な提言が望ましいですし、また、先ほどの内
山委員や十市委員からのご指摘のように、自由化が進み、市場化が進む中でのセキュリテ
ィ政策は、仮に同じ「備蓄」という言葉を使うとしても、1970年代とはやや異なった意味
で使っているという書き方が必要かなという感想をもちました。
高橋委員が最後におっしゃったところとも関係しますが、このセキュリティは相当程度
総合的なものですから、資源エネルギー庁のやる管轄のみでセキュリティを論じるのはよ
いかどうかという問題がそもそもあると思います。その辺は書きようの問題でありますが
、認識としてみると、エネルギーセキュリティは、単に一つの省庁だけが担当するもので
はない広がりがあるといったこともどこかに含ませておくことが必要ではないかと思いま
した。
いろいろしゃべりましたが、さらにコメントございますでしょうか。
今、ご議論がないということでしたら、これから事務局でまた検討していただくと思い
ますので、ぜひ委員の先生方から積極的にコメント、ご提言等いただければと思います。
それでは、本日の審議は、これをもちまして終了させていただきます。
資料3として配付いたしました、「総合資源エネルギー調査会に対する諮問及び付託」
につきましては、冒頭で申し上げましたとおり「総合エネルギー調査会」が「総合資源エ
ネルギー調査会」に組織変更されたことにより、改めて諮問がなされ、総合部会について
も引き続き今後の総合的なエネルギー政策についての検討を行うべく付託がなされたこと
を、ご参考までに報告いたします。
次回のワーキンググループは、3月7日水曜日10時から12時までの開催を予定しており
ます。開催場所等につきましては、改めて事務方からご連絡させていただきますので、委
員の皆様のご出席、よろしくお願いいたします。
本日は、長時間にわたりご審議いただき、まことにありがとうございました。
以上
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