日 時:平成13年6月20日(水)10:00~12:30
場 所:経済産業省国際会議室(本館17階 西2)
出席者:黒川委員長、浅井委員、加藤委員、清水委員、南谷委員、西澤委員、
原委員、平井委員、渡辺委員
外部有識者:㈱リクルートTECH-Bing編集長 藤井氏
石川島播磨重工業㈱ 剣持氏
スタンフォード大学技術移転事務所名誉所長 ライマース氏
1.開会、小委員長挨拶
2.事務局より資料説明
3.有識者ヒアリング
(1)スタンフォード大学技術移転事務所名誉所長 ニールス ライマース氏
題名:「今後の技術移転と日本の産学連携について」
大学における技術移転活動を行っていくためには、大学内でいかにTLOを認知しても
らうか、また、大学の本来の責務である教育や独創的な研究とのコンフリクトを管理し、
企業との透明性のある関係を構築するかが重要と考えている。
スタンフォード大学でもそうであったが、日本においても成功例をどんどんと公表して
いくことが重要ではないか。
(2)㈱リクルートTECH-Bing編集長 藤井氏よりプレゼンテーション
題名:「技術人材の需給ギャップの現状と変わる企業のエンジニア採用戦略」
理工系学生の就職動向については、「推薦のみ」による狭い視野の志望企業探しから、
自由応募を利用したより広い視野での活動に移行している。
エンジニア採用マーケットではアプリケーション開発を中心として求人の需給ギャップ
が拡大している動向が見受けられる。
エンジニア採用を行う企業の採用戦略として、市場のスピード変革に対応した技術以外
のスキル(例:コミュニケーション能力、ソリューション力等)も企業は重視しだしてい
るという傾向がある。
(3)石川島播磨重工業(株) 剣持氏よりプレゼンテーション
題名:「技術者の継続的能力開発」
日本では新入社員の基礎学力・技術力が不足をカバーするものとして、企業内での技術
教育の重要性が高かったが、バブル崩壊後、社員教育予算のカット等、OJTが成立しな
いという課題を企業が抱えることとなっており、技術者全体の質が低下。大学において基
礎学力をしっかりと教えていただくとともに、大学においても実学の力を習得させる必要
がある。特に教員に実践力を教える能力を身につけさせる観点から、この課題を打破する
ためには、日本型休職制度を導入する必要がある。なぜなら、学生に対して「何故この勉
強が必要か」を教えることが必要であるため、大学教授にものづくりの現場での開発・設
計の経験が不可欠であるからである。そのためにも産学連携が果たすべき役割は大きい。
(4)上智大学文学部社会学科教授 渡辺氏よりプレゼンテーション
題名:「わが国における人材育成の現状」
大学は「専門性重視」と「一般教養重視」という二極化されたニーズの双方を満足する
に必要な人的・物的資源を備えることは、現実に極めて困難である。大学が競争に勝ち残
るためには、教育の目的を明確にし、その目的に向かって資源を効果的に集中する必要が
あるのではないか。
グローバルで多元的、流動的な社会になると、国際的に通用する専門的能力の「保証書」
としての卒業証書の意味がますます重要になる。従来の学歴と卒業証書の真価が問われ、
市場価格を反映し、グローバルに認知され得る、新しい「格付け」が形成されるであろう。
4.審議の概要
「技術移転について」
○大学と社会が持っているテクノロジートランスファーのチャンネルを構築しようとする
とき、TLOだけ作って全て解決という考え方は危険である。OTM(技術マネジメン
トオフィス)という組織は、大学全体では一部である。大学の貢献は卒業生を社会に輩
出することであり、出版、論文を出すことである。
○大学と企業の間で話し合うフォーラムのような場が大事。TLOは他のパイプとパラレ
ルに存在すると考えている。もっとも大事なことは、大学の自立した運営である。
○大学が組織的にコンサルティングにあまり携わるべきではなく、教授個人ベースの問題
である。院生の確保には資金が必要であり、教職員は研究室の企業家であるべきだ。
○イノベーションを産み出すまでの期間、1件あたりの収入の規模は運もある。TLOが
段階毎に発展していく過程に決まった時間はない。
「日米の大学組織について」
○米国では学部のチェアマンは、ビジネスマネージャーとしてスポンサー探しができる人
が選ばれており、スタンフォードでは、ボトムアップが中心となってチェアマンを決め
るということになっている。
○学部のチェアマンの選定にあたって、最適な人材を外からも含めて探すというのがアメ
リカであり、日本は大学内のみから選ぶ。ここが日米の違いである。
(2)技術人材育成の現状について
「大学運営への提言」
○全体平均の学力が低下したのは当たり前。従来の大学はトップの人材を養成する場で
あった。しかし、大学への進学率が時代で10%から50%大衆教育に変わっているの
に、大学のシステムは何も変わらない。トップを育てる教育が出来ていない。ここに問
題がある。
○トップを育てるという観点からいえば、ポスドククラスの人材をどう育て活用していく
かの戦略が重要。
○教育よりも研究に偏重している。特に大学院のコースワークを充実することが必要。
○教育する側の質が悪いのなら、昔日本が国家予算の11%を投じて270人の外国人教
師を招へいした位の取り組みが必要。
○日本は大学も産業界も人材の囲い込みをして交わらない。ピアーに交わることで競争し
質を高めるためには、流動性を高める必要がある。これを促進する仕組みが大事である
が、現在の年金制度、退職金制度がネックとなっているので、これらを変えるべきであ
る。今は移動するほど損をする仕組みである。まず公務員の退職金制度を廃止してはど
うか。
○日本は、大学の先生が学生を自分の手足となる労働力として囲い込んでいる。アメリカ
では、学生は同じ大学に残ることはないため、教員がしっかりした教育をしないと学生
をプロダクトとして外に出したとき、自分の教育者としての評価として返ってくるので
努力している。
○ロースクールの話もあるが、アメリカと設計思想が違うのに同じ事をやっても意味がな
い。アメリカは1度外(ローファームなど)に出て社会人を経験した後からスクールに
戻ってくるケースが多い。日本はプロフェッショナルスクールを学部の延長上に想定し、
単に学問領域と職場(ポスト)の囲い込みをねらっている。
○大学院でたまたま起業化の授業をとって初めて経営のことを知るというのはもったいな
い。早いうちから経営感覚やスピリットを養えるようにすべきである。
○学ぶことのメリットを示すこと、例えば成功モデルなど個人のキャリアデザインを検討
できるようにすることが必要。
「大学間の人材交流について」
○大学間で人材交流を図るべきであり、システム化しないといけない。自分の業績を上げ
たいという教員しかいないから人材を囲い込むのであり、より広い人材交流をさせるべ
きである。
○役所は何も考えずにただ、他大学への流出を促し、元の大学に留まることを禁止してし
まうのは心配である。経営といった広い視点で大学自身が自立的に競争力重視で動くよ
うにしないといけない。
○学部ではまだまだだが、大学院では出身大学とは別の大学に行き始め、流動化が起きつ
つある。流動化を促進するには、大学が良い先生と良いカリキュラムを生み出すことで、
学ぶ側のマインドを高めることが重要である。
「人材需給のミスマッチについて」
○大学新卒の就職率(56%)と求人を比較すると、大学では、質的に産業界の欲しい人
材が供給されていない。
第5回産学連携推進小委員会は、7月11日(水)に開催予定。
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