1.日時:平成13年5月8日(火)14時~16時
2.会場:本館17階国際会議室
3.出席委員
<委員長> 茅 陽一
<委 員> 植田 和弘
柏木 孝夫
木元 教子
黒田 昌裕
河野 光雄
近藤 駿介
坂本 弘
中上 英俊
中西 準子
山地 憲治
<欠 席> 杉山 和男
金本 良嗣
田中 明彦
深海 博明
<オブザーバー> 山下専務理事(秋元合同部会委員代理)
坂井理事長(大國合同部会委員代理)
太田合同部会委員
野見山副会長(岡部(敬)合同部会委員代理)
四方専務取締役(香西合同部会委員代理)
塚本専務理事(庄山合同部会委員代理)
弘津専務理事(千速合同部会委員代理)
妻木合同部会委員
安藤理事長(藤村合同部会委員代理)
米本合同部会委員
合田副会長(領木合同部会委員代理)
【茅委員長(東京大学名誉教授)】 まだおいでにならない方もあると思いますけれど
も、時間過ぎておりますので、きょうの会議を始めたいと思います。
本日の会議は、総合資源エネルギー調査会総合部会の第2回エネルギー政策ワーキング
グループということになります。
本日は、大分オブザーバーの方がたくさんお見えになっておられますが、やはり従来の
ように議事を進めさせていただきたいと思います。
本日の議事でございますけれども、本日の議事は、前回、基準ケースについてお諮りい
たしましたので、今度は具体的にCOP3の目標を達成する、「目標ケース」と言うべき
だと思いますが、これについて、一応試算をいたしましたので、それを中心にお諮りした
いと思います。
資料1「目標ケースについて(案)」と、資料2「地球温暖化防止対策のためのエネル
ギー・環境関連税制について(案)」、資料3「目標ケースの策定に向けた複数の試算(案)」、
この3つにつきまして、事務局から一括説明をお願いします。
【事務局】 それでは、資料の1、2、3に基づきまして説明をさせていただきます。
まず、資料1につきまして、「目標ケースについて(案)」と書いてありますが、先ほど
茅委員長からご説明がありましたとおり、部会としましては、3月6日に基準ケースを策
定しましてご了解いただいたところですが、それではもちろんいろいろな面で目標に達し
ていないということで、今回、目標ケースを考えたわけです。
その際、当然のことながら、環境保全と言いますか、CO2の排出量を90年度レベル
に安定化させるということも重要なファクターですが、それ以外にも、当然ながら効率化
の要請に対応しつつ、安定供給を実現するという、いわゆる3つのEを同時達成するには
どういうことが考えられるかということで案を考えたものをご説明させていただきます。
考える順序でございますが、もちろんこのワーキングなり、総合部会なりですべてをや
っているわけでございませんで、省エネ部会なり、新エネ部会で重要なパーツを担ってい
ただいております。その結果を前回の部会で報告をしていただいたところなんですが、そ
の概要を改めてもう一度ご紹介したいと思います。
一番最初が、省エネのところで1ページ目のところですが、省エネ対策としましては、
なるべく現在の効用を変えない範囲で最大限どれだけ省エネができるかということを目指
してやっていったということでございます。
今回は、民生とか運輸部門が大幅に伸びていることも見据えて、下の(1)の①、②、
③のとおりになっておりますが、民生、運輸にも重点を置いてやっていくということにな
っています。
さらに、下のほうのなお書きにありますとおり、これは追加として全部足して700万
キロリットルでございますが、もともと根っこにある5,000万キロリットルについても、
引き続き対策の実施及び効果のフォローアップが必要であるということです。
さらには、必要に応じて追加対策の実施が必要であるということになっております。
700万キロリットルをCO2換算にしますと、約600万トン-CのCが削減できる
ということです。
2ページ目が、新エネ対策でございます。
新エネにつきましては、ご承知のとおりだと思いますが、新エネ部会で最終的にまとま
っているわけではございませんで、現時点では引き続き検討中でございますが、その概要
が書いてあります。
詳しくは省略いたしますが、簡単に申しますと、内訳は変わっておりますが、全体とし
ては1,910万キロリットルの新エネ導入を2010年までに図るということを目指す、
現状ではそういうことになっております。
なお、その他の需要サイドの新エネとしまして、クリーンエネルギー自動車、天然ガス
コージェネレーション、燃料電池を含むんですけれども、以下のような数字になっており
ます。
新エネ対策をCO2と言いますか、Cに換算しますと、約900万トンの削減に値する
ということでございます。
3ページ目にいきまして、900万トンと600万トンを足して1,500万トンですが、
基準ケースのときにご説明したとおり、基準ケースでは2,000万トン-Cオーバーして
おりますので、まださらに500万トン-Cの追加対策が90年度レベルに安定化させる
ためには必要であるという結果になっております。
これをやるためには、最大限の新エネ、省エネということを講じているという前提のも
とにやっておりますので、残るのは、電力等の燃料転換を実現するということ以外はない
のではないかと考えております。
燃料転換を促すという具体的な政策につきましては各種考えられるわけです。
例えば、助成によるとか、規制的措置によるとか、税制でやるとか、自主的な努力によ
るとか、いろいろあるわけですけれども、いずれにせよ、燃料転換ということは、最も安
い石炭、しかも、CO2上の原単位が一番悪い石炭を2コストに差を与えて、他の燃料に
転換をしていくというような施策が必要だと考えております。
これを実現するためには、当然のことながら、具体的施策については、その効果とか、
経済的な影響等を今後検討して、最も適切な手法が選択されるべきであると考えておりま
す。
試算のIとIIに大きく分かれておりますが、簡単に申しますと、試算Iは、原子力発電
所が現行の計画どおり13基程度新増設された場合ということです。
試算IIは、原子力発電所をモラトリアムケースと言いますか、原子力発電所が現行より
は増えない。現行からの増設が0基になるというケースでございます。
試算Iの中で下線が引いていますが、試算I-1と試算I-2に分かれております。
まず、発電設備の容量につきましては、平成13年度の電力の供給計画に基づきます設
備容量というのがありますが、今回は省エネを行った後ということで、それに比べますと
相当低い発電電力量になると試算がされておりますので、この需要量のもとに、試算I-
1と試算I-2を考えています。
具体的には、試算I-1というのは、現在の供給計画上の設備の容量は上限であり、今、
計画されていないものが突然たくさんできるというようなことは想定していませんが、現
実に建てているものを途中で延長するとか、あるいはやめてしまうとか、現実の建ててい
るというプロセスを離れて経済合理的に整備が行われるという、ある意味では極端なケー
スを想定しました。
試算I-2は、逆に電力の需要量が、13年度の供給計画より相当低いんですが、電力
の供給計画どおりに整備される。逆に言えば、ある意味で極端なケースとして、I-2と
いうのを想定しました。
それでは、4ページ目ですが、大変見にくい資料で、①の電源構成の表というのが結論
ですので、それを後で説明することとしまして、②の試算I-1の前提について、同じこ
との繰り返しで恐縮ですが、省エネ対策によって発電電力量は電力の供給計画に比べては
大きく低下すると見込まれているので、こういう需要量にほんとうに下がるという場合に、
現実に着工しているかどうかは問わず、純粋に経済合理的な対応が行われるとなると、当
然ながら、供給計画よりはより小さな設備容量で間に合うということでございます。
ただし、5ページ目にありますが、その火力発電所については、供給計画の設備容量を
上限として、その中で経済合理的に選択されるという仮定のもとで行っています。
また、基準ケースでは、大幅に石炭火力が伸びていくとなっていますが、これをあまり
伸ばさず500万トン-Cをマイナスにし、目標を達成させるというための措置としまし
て、天然ガスに合体としてなるべく燃料転換がされるようにということで、天然ガスの総
発電コストですけれども、総発電コストに比べて、石炭の総発電コストを相対的に0.3円
/kwh上昇させるという措置を想定しています。これは、やり方としては、具体的に規
制でやれるでしょうし、助成でもやれるでしょうし、税金をかけるということでもやれる
でしょうし、いろいろな措置が考えられると思います。
戻っていただきまして、4ページ目に、その結果として、どういう絵姿になっているか
という表でございますが、基準ケースとの比較をしていただくとわかるんですが、試算I
-1の石炭は、基準ケースに比べまして大幅に設備容量が下がっています。それに伴いま
して、発電電力量も下がっております。
LNGは、設備容量のほぼ上限近くまでいっております。当然ながら、発電電力量も増
えております。
それと、原子力については、波線で※印の絵がついていますが、この※1.の意味は、
原子力の発電の設備容量が5,755万kwから6,185万kwとなっており、これは
基数に直しますと10基から13基程度なんですが、同じ発電電力量4186億kwhを
稼ぐために、例えば、10基であっても83%、過去最高のとき84%になって、それ以
下ではございますが、83%程度の稼働率であれば達成される。逆に、2010年度の年
度当初に13基が既に建っていれば、77%の稼働率で達成される。これはたすき掛けに
なっています。いずれにせよ、発電電力量は4186億kwhということで変わりません。
また、※2.のところですが、設備利用率に関しまして、77%から83%と置きまし
たが、現在の規制の体系を前提にこれを変えないでも85%は可能だという意見もありま
した。この場合には、最大と言いますのは、石炭と変わればという意味ですが、最大20
0万トン-C程度のCO2排出削減が期待できるということでございます。
それでは、6ページ、試算I-2でございますが、これの考え方は先ほど説明したとお
りですが、試算I-2は、平成13年度の供給計画のとおりできたらどうなるかというこ
とでございます。
設備容量については、平成13年度の供給計画どおりに置いております。その場合に、
同じ500万トン-C程度削減を達成するということは、特段の措置なしには不可能でご
ざいますので、何らかの特段の措置をして、発電電力量については、試算I-1と同じ程
度になると置いております。
試算I-2の前提というところは、この繰り返しでございますが、試算I-1の前提は、
既に着工しているということを離れて考えていますので、現実にはこのまま実現できるも
のではないと考えております。
そこで、設備容量が供給計画どおり整備されるという一方で、発電電力量が今の電力の
想定よりも相当低い9,970億kwhとなった場合にはどうなるかという仮定を置いて
います。
この場合には、もう設備が建ってしまうという前提なので、総発電コストに0.3円程度
の差を設けるような措置では全く効果がないということですので、もっとさらに大きな措
置が必要になるということは考えられます。
7ページにいきますけれども、7ページで試算Iの結果の評価でございますが、試算I
-1のように、全く経済合理的にこのままは実現できないと思われますが、早期に対応が
行われれば、経済モデル上の評価では、基準ケースと比較しても経済の影響は非常に小さ
いということです。
例えば、後ろにまとめた表にしていますが、成長率につきましても、同じように2%程
度、その上で一定のCO2削減効果が見込めます。
試算I-1についての一番最初の丸の括弧内ですが、これは、例えば、電気事業者につ
いてだけある措置をするとしても、500万トン-Cを超えるCO2削減効果が見込ます
が、同じような程度の措置を横に広げていった場合、例えば、全化石燃料的に広げていっ
た場合には、さらに電力以外の部分でも100万トン-Cぐらい超過で削減がされます。
また、一般炭ということに注目して、ここに何らかの措置を加えた場合は、10万トン
-Cぐらい超過に削減ができます。
さらに、試算I-1につきましては、完全に経済合理的になるという予定で、これはほ
ぼそのまま実現されるものではないわけですけれども、より長期的な視野に立てば、20
10年度までは設備計画を動かすことは困難であっても、より柔軟性が高い、つまり、今
は計画のないような10年度以降においては、少なくとも相当の効果が見込まれるのでは
ないかと考えております。
試算I-2についての評価ですが、試算I-2は、先ほど言いましたように、試算I-
1のような0.3円程度という、ある意味では小さな措置ではとても削減はできないという
ことで、試算I-1に比べまして相当大幅な措置、例えば、大規模な助成で、もうでき上
がったところの焚き増し的な助成措置とか、厳しい規制措置をするとか、非常に高率の税
金をかけるとか、あるいはその組み合わせとか、そういうものが最後の段階になって、建
てた後ですけれども必要になってくると考えています。
それでは、8ページ目でございます。
8ページ目は、原子力発電所がこれ以上新増設されなかった場合というケースでござい
ます。
まず、これの②の前提ですが、設備容量については、原子力発電所が増設がなく、火力
発電所については、供給計画上の設備容量を上限としています。今、世の中に出ている計
画がないものにまでどんどんできるということにはしておりませんで、そういう上限のも
とで、しかも試算I-1と同様と言いますか、試算Iのように理想的に燃料選択が軽い措
置によってされるということを事前にやっておいているという前提でございます。
2)のところですが、そういう前提を置いて、簡単に言いますと、なるべく石炭からL
NGに移るようにしておいた状態であっても、2008年度には、9ページに移りますけ
れども、まだ1,300万トンぐらいCO2は90年度レベルよりオーバーしてしまうとい
うことで、相当厳しい措置が必要になります。
こういう措置をある意味では第1約束期間ですけれども、2009年度から実施した場
合には、2010年度においては、製造業の生産額が4%強減るとか、家計消費も4%程
度減るとか、成長率も、2009年度から何らかの措置をするということなので、200
8から10には、ほぼゼロ成長になります。
それと、雇用についても、基準ケースに比べますと相当大幅な減少、つまり、失業者が
出るという結果になっています。
このように、これは試算I-1のように、もちろん設備の上限はありますけれども、理
想的に石炭からLNGに移るという前提を置いて、それを2008年までにやったとして
も、その後に相当な措置をしなければいけないので、そのときには、2009年度以降に
相当経済に大きなショックを与えるという結果になっております。
仮に、1,300万トンのCO2を省エネしようとすれば、1,800万キロリットル程度
の省エネが必要ですので、これは現在の98年度レベルで家庭の全電力消費の8割程度に
当たったり、乗用車のエネルギー消費の3分の1程度という、相当大幅な省エネになりま
す。
それと、また※印が書いてありますが、試算で使っている経済モデルの中では、例えば、
産業が非常に重税をかけられた場合や、非常に厳しい規制をかけられた場合の海外への移
転や、円高に突然なったときのように海外への移転というようなことを、定量的には国際
モデルでないということもあってとらえていません。逆に言いますと、そういう負荷がか
かっても乗り越えていこうとするモデルでございます。
乗り越えていき方は、当然ながら省エネ投資によって乗り越えていこうとするんですが、
そういう省エネ投資というものをある意味では技術的限界なくやっていけるという前提を
置いていますので、現実にはもっとこれが海外に逃げてしまうとか、ほんとうは技術的限
界もあって省エネ投資ができないということがあって、現実にはもっと経済に与える影響
は大きいという可能性があると思います。
今までは、500万トン-Cについて、いろいろなやり方でどういうふうにできるかと
いう話だったんですが、そのいろいろなやり方以前の問題として、3.としまして、「分
野横断的取組」としまして、こういう省エネ、新エネ対策とか、2010年度以降も念頭
に置いた技術開発を実施するために、まずは既存の経済産業省関係だけのエネルギー特会
でも、8,000億以上の財源があるわけですから、この特会の使い道、つまり、歳出につ
いてグリーン化して、なるべくCO2排出削減が実行できるような対策を、これは上の2.
までの措置にかかわりなくやっていくべきだと思っております。
4.としまして、「目標ケース策定に向けた複数のエネルギー需給像の推計」ですが、
以上を踏まえて、後で若干ご説明しますが、整理しますと、資料3のとおりになっている
わけでございます。
ただ、こういう需給像を実現するために、助成とか、規制とか、税制とか、具体的な対
策、これを今の段階ですぐにはなかなか決められない。これは、京都議定書をめぐる国際
的な交渉の状況とか、エネルギー価格の動向、例えば、ものすごくエネルギー価格全体が
上がるとか、石炭が上がるとか、そういうことが起こると措置を行う必要がないかもしれ
ないとか、あと、国内の経済状況、これはモデルで内生的に2%程度の成長になっていま
すが、さらに相当悪い経済の状況とか、逆に言うと、経済の状況が悪いとなるべくショッ
クを与えるようなことはできないとか、そういう国内の状況も含めて、今後またさらに検
討を進めていくことが必要だと考えております。
参考1は、省エネの内訳でございまして、従来行っていました対策の5,000キロリッ
トルを含めて、さらに追加の700万を足した5,700万キロリットルの内訳でございま
す。
参考2は、これは当然ながらまだ暫定版でありますが、新エネの内訳でございます。
参考3は、先ほど経済に与える影響を口で説明しましたが、それを一覧表にしたもので
ございます。
試算I-1のところは、数字が0.幾つという単位になっていることからおわかりのよう
に、ほとんど基準ケースと比べますと差はなくできるという結果になっています。
試算I-2は、試算I-1と比べまして相当大きなショックを与える必要があるという
ことなので、その与え方によって、経済の影響は大きく異なるので、ちょっとここには書
き切れないということでございます。
試算IIは、先ほどご説明したとおり、相当大きな経済ショックが与えられるという結果
になっております。
それでは、資料2ということで、エネルギー・環境関連税制について御説明します。
当審議会が始まったときに、経済的措置も含めて検討していくということになっており
ます。経済的措置にはもちろんいろいろな種類があるわけですが、その京都メカニズム的
なものについては、別途産業構造審議会で検討しておりますので、税制についてのみ当審
議会で検討ということで、その検討の案を示したものでございます。
税につきましては、この柱書きに書いてありますが、当然ながら税制というのは国民生
活とか、経済活動に重大な影響を与えるということには十分留意しなければいけませんし、
具体的には効果があるのかとか、経済とか競争力に与える影響とか、公平性という論点に
ついて、できるだけ定量的な評価に基づいて慎重に検討を行うことが必要であるというこ
とでございます。
では、具体的にどういう論点があって、どういうことになるかということについて、ま
ず、効果論でございます。当然ながら、税金によって効果がなければ、税金を課すという
意味はないわけでございますから、効果というのは最も重要な視点であると考えられます。
効果と言いましても、いろいろな効果があるので、これを場合分けしております。
①が価格効果、②は財源効果ですが、価格効果の中にも2種類あると考えています。
1つは、一般に最も単純に言われることですが、エネルギー価格を上昇させることによ
って、価格が高くなるので需要は抑制されるという効果でございます。
価格効果の2つ目が、課税によって燃料間の相対価格を変更させるということで、CO
2の排出割合の高い燃料から低い燃料に転換する効果。
需要抑制効果と転換効果と、価格効果の中にも2種類あると思います。
需要抑制効果というのは、当然ながら部門によってきき方が、簡単に言えば、弾性値が
相当に違います。
例えば、例がいいかどうかは別として、ガソリンで、この価格は別に税金ということで
はなく上がったわけですけれども、10円という炭素税に直しますと約1万6,000円と
いう、ある意味では相当大幅な税金がかかったと同じような状況を見ると、現実には、直
近の5月に前年同期比でこのような状況になっていますが、ほとんど需要抑制効果はなか
ったということでございます。
これに対して、もちろんかける対象によってはきく点はあると思いますが、これに対し
て、転換効果は、もうちょっと可能性があるのではないでしょうか。
ただし、転換効果をねらう税制というのは、代替していくのに十分時間が必要です。施
設を建てたり、今あるものをやめたりということを考えないといけないので、十分な時間
すなわち相当長期間を要するということには注意すべきであると思います。むしろ需要抑
制効果というのは、直接大きいものをどんとかければすぐにきくわけですけれども、転換
効果というのは、すぐにはなかなかききにくいところがあると思います。
もう1つは、財源効果ということで、財源効果と言いますのは価格効果によって、たと
え影響がないとしても、政府には税収が上がるということで、その税収を使い道を工夫す
れば、それによってCO2削減ができるのではないかという考え方でございます。
ただし、これにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、既に相当の税金が課
されているわけですから、歳出のグリーン化という言い方をしていますが、これをまずす
るべきであって、財源を得るために安易に増税ということを考えるべきではないと思いま
す。
2ページ目に参りまして、経済的措置、特に税制につきましては、これは当たり前のこ
とでございますけれども、規制とかに比べまして、当然効果に不確実性があるということ
で、想定したような目標達成が必ず実現するということはないということは、当然留意す
べきであるということです。
2番目の「公平性」、税金を課すということですから、相当に公平性を期すということ
は重要な視点であると考えられます。単に、例えば、新たに同一発熱量当たり炭素含有量
見合いで課税するということが公平ということです、これはその分野だけを見ていれば公
平のように見えますが、例えば、石油税だけを見ても、石油にはもう3,000円ぐらい、
LNGについても1,000円ぐらい既に課されているということに留意して課税すること
が公平になると考えられます。
その際、エネルギーへの課税ということを考えるのであれば、課税対象となるエネルギ
ーの選択を含めて、その全体として、例えば、セキュリティー目的のための税金とか、そ
ういうものを含めて全体として判断して、これぐらいが公平であるということを考えなけ
ればいけないと思います。
また、公平性という観点から、一般的には、ある主体にだけかけて、ほかの同じように
使っているのに、その人にはかけないということは公平ではなくて、より広い範囲にかけ
るということが公平であるということは、一般論としては言えると思います。
3番目の「経済への影響」ですけれども、制度の仕組み方によっても違うのでしょうけ
れども、産業の国際競争力や経済全体に相当な悪影響を及ぼす可能性があると思います。
特に現下の我が国の経済情勢とか、海外の課税の状況、海外の状況については後ろの資料
につけておりますが、世界全体で同じように炭素税をかけるということにはなかなかなら
ないわけですから、海外の状況も踏まえて検討することが必要だと思います。
あと、もし仮にですけれども、増税になったような場合とかにも、税収についてはなる
べくそれをCO2削減対策に充てて、経済学的にはちょっとおかしいかもしれませんけれ
ども、二重の配当を得られるようなことを考えるべきだと思います。
4番目に、「対象にすべき範囲」ですけれども、一般的に言われているのは、化石燃料
に課税するということですが、例えば、工業用原料になってしまって、最終的にもCO2
は発生しないというようなナフサ等は、諸外国の例を見てもそうですけれども、課税しな
いというのは当然です。あと、当たり前のことですけれども、潤滑油とかにも課税しない
というのは当然のことです。さらに例えば、原料炭のように、現時点では転換効果が望め
ないもの、これ、諸外国もほとんど全部そういう原料になるようなものは課税していませ
んが、そういうものを踏まえて、現時点では課税対象としないことが適当であると考えて
います。
また、その対象にすべき範囲ですけれども、これは課税による効果との関係で、ほんと
うにそこまでかけて効果的かどうかということにも留意する必要があると考えておりま
す。
5番目が、税制と「自由化・効率化との関係」です。自由化・効率化で、なるべく安い
価格、エネルギー供給をしようということと、税金をかけて高くしてしまうのとは矛盾し
ているのではないかという単純なご意見を伺うことがあります。しかしながら、税制の意
味というのは、経済学的にと言わなくても、当たり前のことですけれども、環境対策とい
う外部コストを内部化することですから、自由化・効率化というのは、当然ながら、まず
最初に公平な条件のもとで競争するということによって効率化するわけですから、自由化
・効率化を達成する上で、税は外部コストを内部化して、いわゆるハンデをなしに平等な
条件で競争させるという、競争条件の整備措置というべきものであると考えております。
それでは、「エネルギーの安定供給との関係」ということですが、よく聞かれる意見で
すけれども、石炭がCO2が非常に排出効果が高いということで、石炭なんかやめてしま
って、すべて天然ガスにしてしまえとか、そういう意見も聞かれるわけですけれども、石
炭は当然のことながら、化石燃料の中では最も安定供給に優れているわけで、こういう点
を考慮すれば、石炭を全部なくしてしまうとか、安易にすべて天然ガスに転換すればいい
ということには、単純にくみするわけにはいきません。
じゃあ、どういうふうに考えていけばいいのかということで、3ページ目の「従って」
以下ですけれども、エネルギーの安定供給を確保しつつ、エネルギー起源のCO2を19
90年レベルに安定化させるという目標を達成させるためには、まず最も大事なことは省
エネであります。省エネというのは、最大のセキュリティー対策、使わないに優るものな
しということで、最高のセキュリティー対策である上に、最高のCO2削減対策です。使
わない以上に削減はできませんから。ということで、まず省エネをやるということです。
ただ、省エネもめちゃめちゃやればいいということではなくて、現時点では、まず国民
経済上、できる限り効用を変えない範囲で可能な最大級の省エネ対策をやるということで
す。この結果が省エネ部会の現時点の報告になっているということであります。
次は、国産エネルギーであって、CO2を発生させない新エネルギー等を可能な限り導
入していくということで、この2つをやった後に、それでもまだ目標達成できないという
ことが明らかな場合について、税制について検討がされるべきだということです。
しかも、2.に検討の方向が書いてありますが、こういう税をやるやらないという以前
の問題として、まず(1)の歳出のグリーン化ということをまずやる。それに加えて、(2)
としまして、税制については、助成措置とか、規制措置とかを含めて、ほかの手段ととも
に、COPをめぐる国際状況とか、エネルギー価格の動向とか、国内の経済情勢とかを見
て、今後検討を進めていくことが必要であると考えています。
それでは、4ページ目の表でございます。
これは、ほかにもあるかもしれませんので、厳密な意味では税制例の評価かもしれませ
んが、エネルギー・環境関連税制について評価をしてみたというものでございます。
これの前提となっていますのは、上に3行書いてありますが、現行の既に実施されてい
ます経団連環境自主行動計画とか、トップランナーとか、そういうものを含めた上で、さ
らに追加対策としての省エネ・新エネ対策をやって、287百万t-Cを達成できないと
いう分、今は先ほど言いましたとおり500万トン-Cですけれども、そういう分に仮に
税制で対応したらということで、具体的には、石炭のコストを天然ガスに比べて、キロワ
ット当たり0.3円上昇させるという税率を想定して評価を行ったものでございます。
左側に税の例が書いてありますが、炭素税というのは、一般炭素税と言われるものです
べての化石燃料について、ただここには先ほどの前提どおり、原料炭とナフサとかにはか
けないという前提ですが、一般に全部に炭素見合いで税金をかける、すべて新たに税金を
かけるということでございます。
定量的評価としてですけれども、これはある意味では、0.3円程度というとそんなに分
厚いものではないということで、全体としては経済の影響は軽微なものです。
ただし、これは転換がI-1のケースのように、相当程度うまくいったという前提です
ので、供給計画ベースで設備ができてしまうと、この程度の炭素税では効果はほとんど期
待できないということでございます。
デメリットのほうにいきまして、まず定性的評価ですけれども、先ほどの繰り返しにな
るかもしれませんけれども、現行のエネルギー税制をすべて無視して新たにかけるという
ことで、これは実質的に公平なのかどうかというと、公平ではないのではないかと考えら
れると思います。
財源を得るためにやるんだということについては、先ほど言ったとおり、既存の税制の
使途の見直しを先行して行うべきであると思います。
定量的評価で申しますと、薄いと申しましても、全体では1兆円弱ぐらいの増税となり
ますので、当然特定の分野には相当大きな影響があります。転嫁できないというおそれも
ありまして、転嫁すると、当然ながら価格は上昇して、貿易財である場合は国際競争力に
影響を与えます。
その一方で、左の炭素税、一般炭とか書いてありますけれども、この3つを比べまして
も、そんなにCO2削減には大きな差はないということでございます。
真ん中のところは、一般炭への課税ということですけれども、これはメリットのところ
に書いてありますけれども、メリットのところの2段落目ですけれども、一般炭への課税
というのは、現状では石炭には、消費税とかありますけれども、原則非課税であるという
ことで、化石燃料間の取り扱いにおいて、より公平性が高い措置であると言えると思いま
す。
このときの定量的なメリットというのは、上と同じですので飛ばしますが、定量的なデ
メリットのほうですけれども、これは一般炭素税に比べますとかける範囲、つまり、増税
となる範囲は少ないので、税金自体は、1,000億円弱程度になりますけれども、これも
特定の産業にかかるということもあって、同じような危惧は当然されるわけでございます。
それでは、一番下の電源開発促進税の多様化勘定分の組みかえという措置です。現状で
は、どの燃料から生み出された電気につきましても、キロワットアワー当たり同じ額の税
金がかかっているわけですが、これを組みかえまして、電源の炭素税みたいなものですけ
れども、化石燃料の炭素見合いに税金のとり方を変えるということでございます。
これにつきましては、メリットは同じようなことでございますが、定性的なデメリット、
これが一番大きな問題であると思いますけれども、これは小売りをしていると言いますか、
ほかの人に売っているという、自家発・自家消費以外の電力事業者にのみ限定されて、こ
ういう措置がとられるということになり、ある意味では公平性に欠けるのではないかとい
うことでございます。
参考1とかは、各欧州の環境税の特徴ですけれども、8ページ目だけごらんください。
資料2の一番最後のところですが、「課税対象及び主な減免措置」ということでまとめ
ていますが、左が燃料種、下が電力ですけれども、右が何に使っているものかということ
ですが、ドイツでは石炭が非課税ということで全く課税されていません。
あと、網かけ的になっていますけれども、原料として使用されるもの、コークスとか、
ナフサとか、こういうものは原則非課税になっています。
あと、産業用の真ん中にありますけれども、ある意味ではたくさん使う人、これは政府
と協定とか、いろいろありますけれども、たくさん使う人については、ある程度の減免措
置を設けるという例が非常に多くなっているところでございます。
それでは、資料3に参りまして、非常に細かい字で見にくくて恐縮ですが、資料3とし
まして、1番目が「最終エネルギー消費の推移と見通し」でございます。
最終エネルギー消費は、省エネをした効果もあって、試算I-1では、基準ケースで言
いました4億900万原油換算キロリットルから、4億キロリットルぐらいに消費が削減
されます。産業も若干、すべて若干ずつですが、省エネ対策を民生を中心にということも
あって、民生が一番基準ケースに比べますと削減をされているというところでございます。
試算IIの原子力新増設なしのケースにつきましては、原子力がない部分は、当然ながら、
さらに省エネをしなければいけないということで、エネルギーの最終消費は相当落ちてい
ますし、産業にも相当な影響が与えられているということでございます。
2ページ目のところの「一次エネルギー供給の推移と見通し」でございますが、例とし
まして、試算I-1を見ていただきますと、先ほどセキュリティーを確保しつつ、効率化
もやりつつ環境を保全すると申しましたけれども、その結果としまして、石油の依存度は
基準ケースとほぼ一緒ですけれども、99年度という現状からは7%程度下がっておりま
す。その分はどうなったかと申しますと、石炭が99年度の現状よりも2010年の試算
I-1というケースであっても相当伸びておりまして、全体に占める割合も、17.4%か
ら19%となっており決して石炭は全部なくそうとか、99年度レベルにしておこうとか
ということではなくて、石炭もある程度は伸びるということでございます。
天然ガスにつきましては、99年より伸びますが、基準ケースと比べますと若干の増ぐ
らいということでございます。
それと、一番下の新エネのところですけれども、新エネについては、大幅に基準ケース
と比べまして積み増しと言いますか、導入するということにしておりますので、現在の9
9年度の1%程度が、2010年の割合では3%程度というところまで伸びるということ
になっています。
その後は、電力の基準ケース等の細かい表ですので、省略させていただきます。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【茅委員長】 ありがとうございました。
以上が説明でございます。ちょっと私からつけ加えますと、今回の試算の中で、試算I
と試算IIというのがございますが、試算Iというのは、COP3の政府案、温室効果ガス
マイナス6%削減というもののうち、エネルギー起源のCO2の負担分0%、これを実現
するためにどれだけのことが必要かという試算でございます。かなり厳しいものであると
いうことがおわかりいただけたかと思います。
試算IIというのは、これは原子力モラトリアムというものを実施した場合、どのような
意味になるかという検討の必要性が既に原子力政策円卓会議から指摘をされておりまし
て、それを受けて、それを具体的に計算したものでございまして、これは最初に申し上げ
ましたような、目標ケースという言葉には必ずしも当たらないものではないかと思います。
1つの試算でございます。
それでは、以上のものにつきまして、皆様方からご意見をいただきたいと思いますが、
前回と同じように、委員の方々に先にご意見をいただきまして、出尽くしたところで今度
はオブザーバーの方にご意見をいただくということになります。
なお、オブザーバーの方は、今日はたくさんおられますが、代理の方も多いので、正直
言いますと、私のほうではお名前まで完全に把握し切れません。したがいまして、札を挙
げられたときに、私のほうで一応事務局がそろえた札で呼びますが、間違えてもそれだけ
はご容赦いただいて、間違ったときは、ご自分の名前をおっしゃってください。そこだけ
は最初からお断り申し上げておきます。
それでは、まず委員の方から、ご意見のある方、札を立てていただきます。
それでは、まず、山地委員から。
【山地委員(東京大学教授)】 ちょっと伺って、少し表現の仕方の問題かもしれませ
んけれども、何か奥歯に物が挟まっているようなところがあるせいか、判じ物みたいで、
少しクイズを解かなければいかんようなところがあるものですから、多少質問的なニュア
ンスが多いんですけれども申し上げます。
まず、そこがはっきりしないのは、資料1の3ページの燃料転換の対策というのが一番
中心題目だと思うんですけれども、そのときに、最も安価な燃料である石炭と他の燃料と
のコスト差に影響を与えることが必要だと書いてあって、これ、モデルを使って計算され
ているんだから、当然そういう前提を与えたと思うんですけれども、おそらくそれをはっ
きり出すことを避けられたから非常にわかりにくいと思うんですけれども、私が想像する
ことを幾つか申し上げますと、それが正しいかどうかちょっと確認いただきたいんです。
そういう点で見ますと、同じ資料の5ページのところでは、天然ガスと石炭の総発電コ
ストをキロワットアワー当たり0.3円、石炭のほうを上げるとおっしゃっているというこ
とは、差を縮めるということだと思うんですけれども、これ、キロワットアワー当たりの
炭素の排出原単位から考えると、多分2,000円から3,000円ぐらいのトンカーボン当
たりの炭素税に相当すると思われるんですけれども、そういうことでいいのかということ
なんです。
計算をどういうふうにされたかをほんとうは明らかにしていただきたいんですが、それ
でよろしいでしょうかということなんです。
ただ、1つここで申し上げたいのは、これ、多分電中研の最適電源構成モデルを使って
そういうふうにされたんだと思うんですけれども、我々研究者でよく知っていますけれど
も、最適電源構成モデルというのは、価格効果が非常によくきくわけです。だから、現実
にもしそのトンカーボン3,000円でそうなると思っておられるのだったら、政策評価と
してはちょっと甘いのではないかというのが、こっちはコメントです。
もう1つわかりにくいのは、その次のI-2のところの、I-2の場合は、これ、7ペ
ージですけれども、上から三、四行目のところに天然ガスと石炭火力の間にキロワットア
ワー、0.3円のコスト差だけではなくて、より厳しい措置が必要となると書いてあって、
それが何も具体的に書いていないんですけれども、例示的な意味でもどの程度のものなの
かというぐらいは、やはり明らかにしていただけないものかということです。
それから、試算IIに関する八、九ページのところでは、これ、原子力モラトリアムをや
れば、非常に社会的コストが上がるというのは、大体どんな計算をしても出てくると思う
ので、結論にそう問題があるとは思わないんですけれども、やはりこういう場でモデルを
使って計算されたんですから、2008年の前まではI-1と同じようにしているけれど
も、それからより厳しい措置というものをほんとうにどの程度のものなのか。これは、だ
から、先ほどのI-2と同じなんですけれども、具体的なケースの例というぐらいでも示
したらどうか。つまり、せっかくモデルで計算しているんですから、モデルで計算したら
こうなりますよと、実際的な政策の意味とはちょっと切り離されて、現実には、政策はま
たそこから考えてやらなければいけないわけですけれども、計算をどうやってやったかと
いう前提ぐらいは明らかにしていただいてもいいのではないか。
それと、これに関して言えば、これは2010年の287百万トン-Cにするためのコ
スト差の設け方というのは、2008年までI-1にして、その後急激なショックを与え
るというだけではなくて、ほかのやり方もいっぱいあるわけですね。事前に挙げていくと
か。それはなぜやらないのかというのは、ちょっと無理難題かもしれませんが、特別な意
味での意見です。
【茅委員長】 委員の方、ほかにいかがでしょうか。
では、木元委員。
【木元委員(評論家)】 ありがとうございます。
今回の最初から参加させていただきましたが、省エネ部会の立場で発言させていただく
と、今まで私たちがお任せしていた需給見通しというものが、実は自分一人一人に返って
くることだということを省エネ部会が一番痛感しているのではないかという気がしている
んです。
そこで、資料1の「目標ケースについて(案)」の1ページのところで、省エネルギー
対策というのが真ん中辺から(1)で書かれてあるわけなんですけれども、やはりその点
をもう少し強調していただいたほうがいいかなという感触を持ちました。
また、資料2の3ページの頭ぐらいの「従って」以下のところで、エネルギーの安定供
給を確保しつつ云々かんかんありまして、「目標を達成するためには、国民経済上出来る
限り効用を変えずに、可能な最大級の省エネ対策を行うとともに」という、これを踏まえ
た上で、あえてもう一言申し上げると、今までこうやって計算されましたけれども、これ
はあくまでも環境対策であるとか、あるいは自由化とか、いろいろな要素が含まれる前提
があるんですけれども、やはり基本的には国民の生活態様とか、生活意識だとか、そうい
うことへの振り返りがなければ、特に省エネルギーは実行できないという思いでございま
す。
それで、従来の視点に加えて、国民一人一人の省エネルギー意識、行動、これをより確
実性、実効性を持って引き出していく方向、あるいは対策とか、この点をもう少し強調し
ていただくことが、さっきもおっしゃった資料1の終わりのところの現行の対策効果が着
実にという、なお書きのところですが、そこに少し加えていただければ、よりわかりいい
し、自己責任が明確になるかなという気がいたしましたので、意見として申し上げます。
ありがとうございました。
【茅委員長】 ありがとうございました。
では、黒田委員。
【黒田委員(慶應義塾大学商学部教授)】 先ほどの山地さんのご指摘にも関連するん
ですが、需給部会としてこのモデルを動かさせていただいた観点から、先ほどのご報告は、
事務当局として、いろいろなことを配慮された結果で、ある意味でも、若干は漠然とした
ご報告にならざるを得ないというのはよくわかるんですけれども、今回の需給見通しの作
成の最初の起点に立って考えますと、従来型の新たに積み上げ積算ではなくて、ある意味
でモデルを使って客観的に評価をする。評価したこと自身が政策をいろいろ考えるための
指針を与えるというか、そのオルタナティブを選択するための選択肢として議論の俎上に
のせようというのが本来の趣旨だったように私は思っているんです。
そういう意味では、山地さんのおっしゃったとおり、いろいろな諸前提もトランスペア
ラントにするということは、一委員としてはぜひやってしかるべきであろうという気がい
たします。
そういう意味で、ここでやっているのが何となくあいまいなままでこういう結論が出て
きたということになりますと、今後の需給見通しのつくり方とか、今後のエネルギーの問
題そのものを議論する体制の中で、常にこういうあいまいさがつきまとってしまうという
危険性を持っているわけで、モデルが完全ではないことは当然ですし、いろいろな前提条
件のもとにつくられていることは当然ですから、それ自身がある1つの政策、税制にしろ、
ほかの規制措置にしろ、何らかの形を与えるものではないんですが、それを1つの判断す
るものさしとして議論の俎上にあり、トランスペアラントにするべき時期にもう来ている
のではなかろうかという気が私自身はしております。
その上で、今回のこれは、エネルギー政策WGということですから、ここでのいろいろ
な中に出てくるシナリオから、どんなメッセージを国民に対して送るのかということが一
番キーなわけで、どんなメッセージが送れるか、ものすごい負担を背負わなければいけな
いよというメッセージも当然あっていいわけだし、その負担の背負い方にどんな背負い方
をすればどうなるかというメッセージがあってしかるべきだし、そういうもののメッセー
ジの送り方ということを練るのが、まさにその政策WGだと思いますので、そういうこと
の議論を本気になってやるということが非常に重要だと思います。
それから、最後にもう1点だけつけ加えさせていただきますと、ここで2010年とい
うターゲットが、非常にある意味でエネルギーの政策論を論じるときには、極めて短期的
なことで、ショートサーキットの議論をせざるを得ないということになっているわけで、
これは今回やむを得ずそういう形になったことは重々承知しているわけですけれども、長
期的な意味での国策とか、国益とかということを考えた上で、その中に経済成長も考え、
環境も考え、それからエネルギーの安全保障も考えるという真摯な議論が全体として当然
必要なわけですから、そうしないと、このままでいくと、COP3以降の動向で諸外国、
特に米国がどうなるかによって、日本の政策はあっちへ振れたり、こっちへ振れたりする、
それが一番困るわけで、エネルギーの政策については、きちっとした視点を持って、その
上で環境に対する政策も大いに国際的に主張することは主張するという視点がどうしても
必要なわけですから、ある種の経済処置がとても経済に対する影響が大きくて、困難であ
れば困難であるということも含めて、せっかくの政策WGですから、そういう意味での政
策WGの議論というのはすべきであろうという気が私はいたします。
【茅委員長】 ありがとうございました。
坂本委員。
【坂本委員((財)日本エネルギー経済研究所理事長)】 全体として非常にきめの細か
い議論が展開されているように思うんですけれども、10年先のエネルギーの使用量なり、
そこから出てくるCO2の排出量なりについて、これほどきめの細かい見通しをつくって、
そうしてその結果を1つのオプションの1つとして税という強制的な手段につなげていく
という、そういうプロセスと言いますか、思考の方式というものを私は基本的に疑問を持
っているわけであります。
今、黒田先生がおっしゃったお話にもちょっと関係するんですけれども、この京都プロ
トコルをめぐる国際的な動きというのは、もうご承知のとおり、極めて大きな変化が生じ
つつあるという中で、この時点で税の細かいところまでほんとうに議論をするのは適切な
のかということをまずコメントとして申し上げたいように思います。
それから、国内情勢ということでいろいろな考え方を議論しておく必要があるというこ
とはよくわかるんですけれども、国際的に見れば、アメリカは全く税などをやる気はない。
むしろ石炭火力発電所に対するCO2規制も撤廃するというかなりラジカルな考え方をと
り、ヨーロッパも環境税というようなものを名目的には入れているわけですけれども、そ
の裏で国際競争力に影響を与えないように、社会保障費の削減その他をやっているという
ようなことを考えますと、この時点で税というような仕組みも含めて、どこまできめの細
かいところまで突っ込んでいくのかなと、もう少し国際情勢の変化というものに応じてフ
リーハンドを持つような立場を維持しておいたほうが、我が国としては有利なのではある
まいかというふうに考えるわけであります。
そういう意味で、別にアメリカがすべていいと言っているわけではないんですけれども、
アメリカのアナウンスメントの中には、極めて正直に、今、それぞれの国が直面している
いろいろな問題というものをいかにバランスをとってアプローチするかということが非常
に正直に書いてあるように私は思います。それに賛成するか反対するかは立場はいろいろ
あると思うんですけれども、そういう点も考えて、あたかも経済産業省、あるいはこの総
合資源エネルギー調査会が、税というものについて、今の時点でそれが優位な選択肢であ
るかのような議論をすることが、果たして適切なのだろうかということを私は基本的に疑
問を感ずるところであります。
【茅委員長】 ありがとうございました。
黒田委員、もう一度どうぞ。
【黒田委員】 私が申し上げたことを若干誤解のないようにもう一度念を押しておきた
いのですが、税を導入するかしないかは、大いにシナリオを見て議論すべき話であって、
税を導入することを前提にして施策を練るということでは決してないわけです。
そういう意味で、むしろそこに対してほんとうは税を導入するとどれくらい国民に負担
がかかって、どれくらい産業に負担がかかって、競争力を失う可能性もあるんだというこ
とをきちっとした形で示すことが、本来の税に対するほんとうの議論をする出発点だろう
と私は思うんです。
そういう意味で、税を導入することを前提にしてここのシナリオを描いてしまうという
のは非常に危険ですし、あっていけないことだと私は思うんですけれども、ただ、何とな
く税かもしれない、規制的処置かもしれない、補助金かもしれない、何か知らないけれど
もあいまいなままに残しておいて、あとは世の中の動きを知らん顔して見ているよと、そ
のうちどこかに落ちつくよという感じでは、政策の議論を審議会でやることの意味は本来
ないわけですから、そういう意味では、真剣にそこは議論したほうが、取捨選択をすると
いう意味でも必要なんだろうという気がいたします。
【茅委員長】 ありがとうございました。
中西委員。
【中西委員(横浜国立大学環境科学研究センター教授)】 全体のことがちょっと完全
には読み取れなかったんですけれども、ちょっとまだ理解していないんですけれども、2
つの点で感じたことを申します。
1つは、原子力がモラトリアムというような方法をとると、非常にディザスタというか、
大変だというのは読み取れるんですけれども、実際に試算Iと試算IIの原子力をどうする
ことがいいかということとは別に、現実にそんなに増設ができないかもしれないという現
実があることを考えると、原子力が余り増設できないというような前提の中で、もうちょ
っとましな選択はないのかというところのシナリオの求め方というものがあってもいいの
ではないかという気が1つします。
それからもう1つは、この試算IIがこんなに大変だよというところが、経済成長率とか、
消費の低迷とか、失業の増大とか、そういう形で出てきているので、みんなに、国民に大
変だよという感じはわかるんですけれども、単なるおどしみたいに聞こえてしまって、ほ
んとうにどういうふうに生活が変わるのかというところが見えてこないということがあ
る。
もう1つそれと関連するんですが、そういう大変な社会状況が来るというわりには、私
たちは自由にエネルギーは家庭で使ってもいいよというように近いシナリオに聞こえるん
です。もちろん民生の部分でいろいろ導入するということにはなっているけれども、使い
勝手はわりあい自由だと。一方で、失業みたいなすごい大変なことがあるよと言いながら、
使い勝手のほうは非常に自由にしている。この辺を何かちょっと矛盾があるなという気が
します。以上です。
【茅委員長】 ありがとうございました。
河野委員。
【河野委員(内外情報研究会会長)】 税金について二、三コメントしたいんですけれ
ども、1つは、税金をどういうふうに入り口で考えるかということについて、坂本さんが
意見を言われて、それも1つの意見だと思いますけれども、当面このペーパーでは、とり
あえずはエネルギー特別会計の歳出グリーン化、歳出の際にではなくて、グリーン化とい
うことをうたっていて、これは経済省が自分の判断でやれば、7月の予算要求か何かでき
るわけで、ただ、どの程度のことを、省エネその他を含めて考えていらっしゃるのかとい
うことについて、まだ予算要求というわりには時間があるんですけれども、これだけでは
何も意味がよくわからないので、どの程度のところに重点を置いて、どの程度の予算配分
をグリーン化という名称のもとにやるのかということについて、もし腹案があればお尋ね
したい。
これに関連して、これは経済省で自分でできる話なんですよ。小さいけれども、できる
話なんです。やらなければいかんと思うんですけれども、ほんとうは、税の議論をやるん
だったら、もっと野太いことを実は言ったらいいんです、ここは。
何かと言ったら、特定財源、道路特定財源にめちゃくちゃな税金を投入、今もしている
し、縛られているんです。今までこの議論をやることは、ほとんど架空の議論に近いと思
ってあんまりしたくなかったんだけれども、どうやら政治情勢その他の変化を見ていれば、
あの道路特定財源に対していろいろなところから、おまえ一人で全部使うのはおかしいじ
ゃないかという議論が起こっているんです。これ、予算配分論なんです。これは役所の機
構が変わったということ、あそこが1つの省になったということもあるし、予算の編成を
これからどうするか、きのうの小泉さんの所信表明演説の中にも書いてはいないけれども、
含みとしてはあるわけです、当然。大蔵省は考えているわけ。
何を言いたいかと言ったら、道路特定財源を道路だけに未来永劫とにかく田舎に全部つ
くるという話については、もういいかげんにやめてもらいたいと。ついては、そこからい
ろいろな人が、これ、新幹線に回せという意見もあるわけです。一般会計に戻せという意
見もある。しかし、同時に、これこそ環境問題に戻すのが当たり前じゃないかと。これ、
エネルギーにかけているんだから。膨大な金額を今まで かけている。そのぐらい
の申し立てをやったってひとつもおかしくない。あるんですよ、底流にそういう議論は。
これにはほとんど書いていないけれども。もし歳出のグリーン化ということを言うのだっ
たら、スケールでかくそこをねらうべきなんです、もともとあるわけだから。ということ
が1つ。
それからもう1つのコメントは、今、坂本さんが言われたことも筋の通った話の1つだ
と僕は思うんだけれども、きょうここでデータが出されていて、エネルギー・環境関連税
制の評価というのがあって、横表の表になってメリット、デメリットがいろいろ書き尽く
されているんだけれども、本来は、これをベースに、一応事務当局はこう考えていろいろ
な角度から議論していただきたいと思っています、本日はスタートですと、それにしても
税金の話だから、この話はそう簡単にいくわけはないので、そのくらいはやって、やっぱ
り事務当局原案でメリット、デメリット、こう書いてあるけれども、このデメリットの書
き方はおかしいだとか、メリットの書き方がおかしいだとかという議論があって、どこか
でまとめるのが普通審議会の進め方ですよね、茅先生。にもかかわらず、今回、とにかく
今出てきたわけです。あと一回議論して店を閉めてしまおうというような話でしょう、と
りあえずは。ただ、それはそれでしようがないと思うけれども、いろいろな理由があるか
ら。
どちらにしても、この税制の議論というのは、ほんとうにここでは真っ当にいろいろな
角度から政治論を含めて議論したことがないんです。きょうは始まりで、中間で、おしま
いだけの話になっているんだけれども、だからいろいろな議論が出るのは仕方がないんで
すけれども、私は、税制と排出量取引とか、いろいろなことがあるんだけれども、それを
どういうふうに組み合わせるか、どちらをとるのかとか、それこそまさに選択の問題です。
税制の中のA、B、Cみたいなものの選択を考えるのか、税ということと排出量取引とど
う組み合わせるのか、何しろそれをどこかをとれないのかとか、大きな選択肢の議論とい
うものを、もし必要が起これば、必要が起こるということは、2002年に日本政府は今
度の京都議定書を批准するんだという、いろいろなプロセスを経た後、決定するならば、
そこでやらなければいかん議論の1つですね、間違いなく。今のところそこのところがあ
いまいのもと、急速になってしまったものだから、みんな何となく腰が引けているのは実
態ですよね、これ。
だから、私は、締めくくって言えば、税制の議論については、もっと大きな線を出す必
要があるのではないかと思うんだ、提起だけでもいいから。だから、この議論はまだ始ま
ったばかりで、入り口の話であって、これがあるから近い将来に別の審議会か何かに引き
継いで、税制論議を直ちにばたばた始めるということには少なくともならない、これは。
そういう状況ではない、今。仮に歳出のグリーン化だったらここで決めればいいんです。
役所が決めればいいんだけれども、税制になったら、地球温暖化対策にちゃんと政府の中
に大きな審議会の合同体があって、組織があって、いろいろな議論が出てきて、そこで議
論を闘わせた上で、しかるべき審議会にかけて決めるというプロセスが絶対に必要なんで
す、これ。ここだけで決まる話ではないんだから、この話は。ということもわかった上で、
考えてみれば、税制の話というのはそう簡単にばたばたとけりがつく話でもないし、つけ
るべき話でもない。中途半端なようだけれども、私はそう思っているんです。以上です。
【茅委員長】 ありがとうございました。
じゃあ、植田委員。
【植田委員(京都大学大学院経済学研究科教授)】 先ほどまで出されていた議論とち
ょっと重なるところがあると思いますけれども、エネルギー・環境関連税制のことにつき
まして、ここでは、どちらかと言うと、政策的な措置の問題としてかなり議論をしている、
このことは大変よくわかりますし、ここで個別に出されている論点は、それなりによくわ
かるわけですけれども、同時に、税制は、先ほどもご意見があったように、一種の社会の
基盤と言いますか、そういう側面を持っていることも事実ではないかと、こういうことな
ので、率直に言うと、この税制に関する論点をどの範囲とか、どの枠組み、どの幅まで広
げて考えるかということをちょっと明確にするというか、そのことを念頭に置きながら議
論しないといけないのではないかということが1つの点です。
ですから、個別に言えば、既存の税制とか、既存の歳出を問題にするということもよく
わかりますが、同時に、税制は歳出とセットで問題にするという問題の立て方も当然ある
わけですし、むしろそのほうが必要だというような面もあるかと思いますので、ちょっと
ここで出されている問題の設定とか、絞り方がややわかりにくくなっているのではないか
ということがコメントということです。
それから、もう1つのエネルギー需給の目標ケースのほうの問題は、これも出された議
論と重なりますが、やはり政策選択の前提を共通の議論としておくということがものすご
く大事なことだけにシナリオのつくり方が大変重要になるということだと思うので、その
シナリオのつくり方がどれほど政策選択を議論するときのリアリティーを反映しているか
という問題がすごく問われるのではないかというのが私なりのコメントです。
【茅委員長】 ありがとうございました。
それでは、委員の方々のご意見が一わたり出たと思うので、この段階でちょっと切って、
これに対しての事務局側の回答をしてもらいます。
ただ、その前に、私からちょっと申し上げるべきことが一、二あるかと思いますので、
それを申し上げます。
まず、山地委員、黒田委員から、もっと透明性を上げたらどうかというお話があります
が、これはまさに私、この審議会の今回の議論を始める前に申し上げたことで、それが今
回では一番大事なことだと思っております。
現実にこういったモデルを使って、そのモデルがどういう前提に基づいてどうやってい
るかということは、既に前に申し上げてありますし、私も今回は最終的にその透明性とい
う点は、前回に比べるとはるかに上がっていると思いますが、なお、今後もその努力はい
たしたいと思っておりますし、今、ご指摘にあったような問題につきましては、少なくと
も報告書には明確に記すようにしたいと考えております。具体的な内容については、事務
局から返答してもらいます。
それからもう1つは、この議論で、税についての議論がいろいろな形で成すのはまだ早
いというご意見、これが坂本委員、河野委員からございましたが、これについて、私の立
場から申し上げますと、このグループは、政策ワーキンググループでございまして、何ら
の政策の提示なしにこういった将来の目標シナリオというものを提案するわけにはまいり
ません。したがいまして、1つくのサンプルとして当然税というものが出てまいります。
そういった意味で、我々としては、何らかの形での政策的な措置というものを具体的に提
示しない形ではこの議論ができないということで、提案をお願いしたということを理解し
ていただきたい。
それからもう1つは、そういう前提条件ですけれども、税というのは非常に重要な問題
であるということは私もよく存じております。今回の議論というのは、無限に続くわけに
はまいりません。事務局と明確に相談したわけではございませんが、この審議会の議論と
いうのは、おそらくあと2カ月ぐらいの範囲で終わることになるかと思っております。そ
の範囲の中で、この問題について皆様方のご意見が1つにまとまるということがあれば、
当然それはそのような報告にいたしますけれども、私自身としては、皆さんの意見が依然
として分かれるような状況であれば、具体的にどういうものをどういうふうに政策として
打ち出すという点については、今回は見送りにするということになるかと私自身は考えて
おります。それだけ申して事務局側に回答してもらいます。
【河野資源エネルギー庁長官】 では、まず私からお答えできる点についてはお答えを
したいと思います。
山地先生から、燃料転換の点について、せっかくモデル分析をしたんだから、具体的な
数値を示して検討されたほうがいいのではないかと。それは確かにおっしゃる点はよくわ
かりますし、これまでこの審議会、極力そういう作業をしてきたつもりであります。
ただ、きょうも、委員の方々、さまざまなご議論がありましたように、具体的な数字と
申しましても、私どものインプットしたのは、まさにこのキロワットアワー当たり0.3円
の差をつけるような措置を幾つかインプットしたわけであります。その中で、炭素税的な
ものであれば、先生おっしゃったように、2,000円/t-Cとか、3,000円/t-
Cとか、そういうオーダーになるわけですけれども、ただ、正直申しまして、きょうこの
場で委員の皆様方にぜひご議論をいただきたいのは、その具体的な数値というよりも、全
体としてのシナリオではないかと思っております。
そしてまた、そういった数字をご紹介するのにやぶさかではないんですけれども、そこ
に議論が集中することによって、省エネルギーは精いっぱいやってこれぐらいであると、
それから新エネルギーも部会においてさまざまな議論があったけれども、かなり高めの目
標という意識もあって、こういう数字を提示してもこれぐらいである。その実現方策につ
いては、まだ新エネ部会で議論中である。そういう中で選択肢を探っていけば、残る約5
00万t-Cというものを燃料転換というコンセプトで対応するのがいいのではないか。
つまり、それは2010年度に向かって、例えば、経済を大きく圧迫してでも、あるいは
経済を減速させてでもCOPの目標を達成するというシナリオもないわけではないと思い
ますけれども、ここでお示ししているのは、まさに燃料転換という形で、オイルショック
後、日本がやってきたようなコンセプトで対応していくのがいいのではないだろうか。そ
のために、例えば、税ということも議論させていただいておりますけれども、正直、事務
局としても、茅先生指揮のもと、さまざまな検討をしてきましたけれども、ここでこの税
が具体的にいいんだというふうにお示しし得るだけの分析には至っていないというのが正
直なところでありますから、その点を素直に皆様方にご理解をいただくということで、余
り細かい数字の議論をする以前の段階にあるということで、こういった資料にさせていた
だきました。その辺はお許しをいただきたいと思います。
それから、個々のご指摘で、モデルの点などについては、企画官からお答えをさせてい
ただきたいと思います。
また、より厳しい措置というのも、確かに非常に抽象的な表現になっておりますけれど
も、これはオーダーとしては、10倍もというようなオーダーであります。その辺もしか
し個々の数字が問題なのではなくて、非常に経済に大きなインパクトを与えるということ
に着目してご説明をさせていただきたいと思っております。
原子力モラトリアムの点は、確かにもっとより詳細な分析をというご希望はよくわかる
んですけれども、昨年来、さまざまな検討を慶應大学の協力も得てやってまいりましたけ
れども、正直申しまして、ここまでやる作業としては、手いっぱいだったということを正
直に私は告白させていただきたいと思います。
木元委員のお話については、これは目標ケースについての説明でもありますから、適宜
ご意見をちょうだいしながら修正させていただきますし、また、報告書として取りまとめ
るときにご指示のような点を反映させていくのがいいのではないかと思っております。
黒田先生には、ほんとうにむしろこういった分析についてお力をかしていただいたこと
にお礼を申し上げなければなりませんが、トランスペアレンスの問題については、先ほど
のお答えで答えとさせていただきたいと思います。確かにご指摘のように、こうやって分
析をしてまいりますと、2010年度というのは遠いようで、極めて、特にストックがき
いてくる社会においては近いということは、率直に私ども感じざるを得ない点でございま
す。
坂本委員から、税についてここまで議論するのは尚早ではないかというご指摘がござい
ましたが、先ほど茅委員長からもお話がありましたように、この審議会の検討の当初にお
いて経済的措置についてもというのが大きな宿題として課されておりましたので、こうい
った分析はさせていただきましたが、もちろん繰り返すまでもなく、結論を得たわけでは
ないというのが現状でございます。その点は素直に申し上げたいと思います。
中西先生からは、原子力がない場合について、もうちょっとましな選択とか、あるいは
生活の変化というようなことでございますが、ここでの注釈にもありましたように、これ
は当初からの方針で、極力、客観性、整合性を持った分析ということに心がけてまいりま
して、定量分析等にモデルを活用した分析になっております。
これは、モデルは、釈迦に説法になりますけれども、かなり短期間である種の定常状態
が生まれるようになりますので、むしろほんとうの混乱というのはこの分析以上にあるの
ではないかと思います。その点は注釈として明確にさせていただきましたけれども、それ
に加えて、それがもうちょっと具体的な生活にどう響くかということをご説明できれば、
さらに臨場感を持ってご理解いただけるとは思いますが、そこまで正直言って手が回りま
せんでしたので、今後の課題とさせていただきたいと思います。
河野委員からは、さまざまなご指摘をいただきました。確かに財源というふうに絞った
場合でも、これだけでは経済産業省の枠内にとどまるのではないかというご指摘も確かに
承るべきお話だと思います。
また、税の評価についても、とてもこの場だけで今回結論が出せなかったのは、まさに
正直に申し上げているとおりでありまして、今後さまざまな視点からの検討が必要だと思
います。
私から申し上げるべき点は、とりあえず以上にさせていただきたいと思います。
【事務局】 補足的に山地委員のご質問で、まず、数字の点はともかくとして、電中研
モデルは非常に価格感応度が高いので、実際にはこんなにいかないだろうということは、
電中研にやっていただいたのに、そういう言い方はよくないんですけれども、そういうこ
ともあって、I-2というのは、逆に、極端に全くきかないという場合には、こういうこ
とになりますよということを説明させていただいたということです。
それと、モラトリアムケースのときに事前に何らかの措置をすればもっと楽にできない
か。これは間違っていたら黒田先生に訂正していただきたいんですけれども、多分、一番
モラトリアムで楽にできるケースを想定したわけで、先ほども言いましたように、前提と
して、税金をかけるとどんどん産業は単に縮小するとか、海外に移転するというようなモ
デルになっていなくて、それを乗り越えようとするモデルですので、事前にかけているも
のが、ある意味では、あんまり最後のほうには意味がなくなって、単にかけているだけと
いうことになります。最初のほうのやつは。だから、燃料転換のようにきくようなものは
最大限入れていますけれども、その後は、最後にショックを与えないと、ちょっと言い方
は悪いですけれども、不死鳥モデルのように、産業が乗り越えていくモデルになっており、
逆に言うと、最後のほうになると、また成長率が戻って、エネルギー消費を上げていって
しまうので、それもまた省エネをしなければいけないといったことになってしまいます。
このモデル上、産業がなくなってしまうとか、海外に移転してしまうとかというのがない
ものですから、このほうが逆に言うと、より厳しい措置を行う必要が出てきます。このた
め、厳しい措置はなるべく最後にやって、その需要抑制効果でどんとエネルギー消費を下
げる。転換効果の分は最初に全部きかせておくというのが、一番モラトリアムを楽にでき
るケースということで想定させていただいたというつもりでございます。
それの関係で、河野委員からもいろいろ税についてご意見をいただきましたけれども、
先ほど資料2でちょっと飛ばしてしまったんですけれども、資料2の税制に関する論点の
②の財源効果のところに、何だこの程度かと言われるかもしれませんけれども、なお書き
で、石油への課税としては、その他に……という、揮発油税等にふれた記述があります。
ほかにも実はあるので、業界の方はこんなに少なくないと多分おっしゃると思うんですけ
れども、関税もあれば、消費税の問題もいろいろあるんです。
特定財源との関連で言えば、そういうことをちょっと、根性なしと言われるかもしれま
せんけれども、少しは書いてあるということでございます。
それと、税の議論については、いろいろなご意見があったんですけれども、ある意味で
は、正式に一度ワーキングで全体の海外状況を含めたことを議論をさせていただきました
けれども、今後具体的対策という話では、全く白地です。それに先ほどもおっしゃったと
おりですけれども、税金について最終的に総合資源エネルギー調査会が決められるという
ものでもありませんし、総合資源エネルギー調査会として、今の段階で税金でいこうとい
うことでもありませんので、そこまでは多分、総合資源エネルギー調査会で税をまず決め
られないというところから、制約はあるのではないかと思っております。
あと、中西先生が、おっしゃったとおりで、国民生活にどういうふうにという何かマク
ロ的なことだけだとなかなかわかりにくいというのは、ちょっと工夫をしてみたいなと考
えております。
原子力は、できない中でどうするか、全くやらないということではないのかもしれない
けれども、もうちょっとましなというのがちょっとはにじみ出るようなことを考えている
つもりです。もちろん、モラトリアムと13基程度との間は、その分だけもうちょっとは
楽になっていくということは、ある意味では、極端から極端なケースを示すことで想定は
できるわけですけれども、そういうことは当然考慮の中には入っているということでござ
います。あんまり答えになっていませんけれども。
【茅委員長】 それから、原子力モラトリアムケースですが、これは最初に申し上げま
したように、円卓会議の提言、これは私、二役のようなもので、自分も、そこにいる木元
さんもおられたところで議論した話なので、ぜひやってくれということで事務局にやって
もらったわけですが、比較の意味で、試算Iとできるだけ変わらない形の前提でやってお
りますので、こういう形になっているわけです。
それと、実は原子力モラトリアムケースにつきましては、前回、総合部会でNGOの方
々が違った想定で出しておられますので、そういったものとあわせますと、いろいろな見
方のものが原子力がないということの意味を示すように出てきていると私は解釈しており
ますので、事務局の能力も考えますと、この辺が限界ではないかというのは正直なところ
でございます。
それでは、大分お待たせしたんですが、オブザーバーの方々にご発言をお願いしたいの
ですが、先ほど申し上げましたように、11人おいでになりますので、時間があと35分
しかないので、何人ぐらい札が立つかを見て、お一人何分ということにしたいと思うんで
すが、ご発言の方はちょっと札を挙げていただけますでしょうか。
7人ですね。7人でしたら、お一人3分だったら大丈夫です。
そうしますと、大変申しわけないんですが、順番であいうえおの左側の順番からやって
いただけますでしょうか。
そうしますと、実は私、お名前を間違えなくても済みますので、恐縮ですが、そういう
ことで、あいうえお順で、では、山下さんからお願いいたします。
【山下】 秋元の代理で参加させていただいておりますセメント協会の山下でございま
す。セメント業界は、石炭をたくさん使っておりまして、それに対してどういう措置が講
じられるかということに大変関心を持っています。
税金のお話が中心と承ってまいりましたので、それを前提に申し上げますと、その水準
次第ですけれども、セメント業界は周辺のアジアに非常に過剰能力がございまして、競争
の圧力をひしひしと感じている状況ですし、価格面でも大変低調に推移しています。
例えば、先ほどの3,000円というようなお話ですと、多分、セメントにしますと、1
トン当たり250円ぐらいの計算になろうかと思いますけれども、1トン1万円しない商
品で2%強というのは、トップメーカーの経常利益率とほぼ同じというようなことです。
それだけでも非常に大きな影響があるということです。
セメント業界は、今、循環型社会ということでいろいろな廃棄物などを使うようにいろ
いろな努力をしておりますけれども、そういう機能を果たせるか心配になります。石炭か
ら天然ガスに転換するというような発想を考えてみますと、工場の所在地に天然ガスの供
給が可能かどうかということから始まりまして、石炭の税が非常に大きくないと、コスト
面でそういう結果にならないのではないかという懸念をしております。実際問題として、
転換ということはなかなか起こらないのではないかと考えております。その辺の事情をご
理解いただければと思います。
【茅委員長】 ありがとうございました。
それでは、坂井さん。
【オブザーバー(大國合同部会委員代理坂井理事長)】 大國委員の代理の坂井でござ
います。
総論的な議論はもう省略させていただきまして、あえて各論だけに絞らせていただきま
す。
ここにキロワットアワー当たり約0.3円という数字が示されておりますけれども、紙パ
ルプの実情で申し上げますと、当面ラフな試算ではございますけれども、この石炭と天然
ガスとの差というのは、ほぼ2円くらいではないかと、そういう状況でございます。
したがいまして、電力との公平上、一般炭全部にということで、仮にこういう税を課せ
られた場合、とても転換ということにはならない。その負担だけがかかってくるというこ
とになりまして、現状、先ほどのセメントの例ではありませんけれども、実際に行われて
おる輸入というのは、紙全体としては、まだ少ないんですけれども、特定の品目について
は、もうかなり十数%というものが外からも入ってきております。
そういう状況の中で、こういう転換の効果が見込まれないのに、負担だけが乗ってくる
というのは、政策としてはいかがかということを申し上げておきたいと思います。時間の
関係もございますので、それだけに絞らせていただきます。
【茅委員長】 ありがとうございました。
では、太田委員。
【オブザーバー(太田合同部会委員)】 オブザーバーという立場ですから、感想も含
めてお話させていただきます。
地球温暖化防止に関する対策を、需要・供給両面から幅広く検討しておくことは大変意
味があることだと思いますけれども、先ほど来、ご議論がありますように、社会経済に与
える影響は相当大きいわけですから、やはり慎重に結論を出す必要があります。あと、一、
二カ月のうちにということもあるかもしれませんけれども、本来ならば、もっと時間をか
けてしっかりと検討したほうがいいのではないか。
特にアメリカのブッシュ政権の京都議定書の不支持など、国際情勢が不透明な中で、例
えば、今回提案されておりますような燃料転換の対策だとか、あるいは、新しい税金の賦
課というようなことを対策として考えようということになりますと、膨大な負担増につな
がる可能性があるわけでございまして、最終的にこれしかないという形で硬直的に決めて
しまうのはいかがなものかと思うわけです。
私どもの業界もそうですが、産業界全体が環境税というものに対して非常に疑問を持っ
ておるわけでございます。特に私どもの業界としては、先ほどもご紹介ございました。エ
ネルギー・環境関連税制の評価例にありますが、電促税のグリーン化案は、一般電気事業
者だけに課税されている税の変更でございまして、なかなか承服できません。
仮に、対策として税金を使うというのであれば、先ほど何人かの委員の方もおっしゃら
れましたように、税体系全体を広く視野に入れた抜本的な見直しが必要であって、そうい
ったものとセットで議論して、結論を得ていく必要があるのではないか、と思うわけです。
現段階では、国際会議などの動向をにらみながら、これからの状況変化にできるだけ柔
軟かつ弾力的に対応する、エネルギー分野全体に視野を置いたより幅広い政策オプション、
あるいはバリエーションを準備しておくのがいいのではないか、と思います。
先ほど、先生あるいは河野長官からも、燃料転換というお話がございましたが、これは、
ストーブに薪をくべるとか、石炭をくべるとか、そういう簡単なものではありません。改
造も要りますし、お金もかかりますし、燃やす燃料も手配するのに非常に時間がかかるわ
けです。現在の電源の構成は、ただ単なる経済性だけでなく、今申し上げました燃料の調
達だとか、エネルギーセキュリティーだとか、あるいは環境対策といった、総合的な観点
を勘案した長期的な取り組みを通じてでき上がっているわけですから、そう簡単には変更
できない。また、CO2の排出原単位のみに着目した電源構成の変更は、長期的に見れば、
やはり経済性だとか、エネルギーセキュリティーを阻害するおそれが十分にあるわけです。
特にこの石炭火力からLNGへの転換が言われているわけでございますけれども、石炭
火力の計画というのは、建設に要するリードタイムが非常に長期にわたるわけでございま
すし、それから、供給計画の中でこれから10年間について見てみますと、もう既に建設
中のものもあり、固まっておるわけです。
さらに、石炭からLNGへの設備改造というのは、今申し上げましたように膨大な工事
費が必要なことはもちろん、例えば、改造工事にも相当な期間をとるものですから、その
ために設備を停止しますと供給力に不足が生じます。それをどうするかというような問題
があります。
例えば、石炭のカロリーとガスと比べますと、石炭はガスの半分ぐらいですから、ボイ
ラーの容積は非常に大きいわけです。カロリーの高いものを燃やしますと小さな容積で熱
がとれますから、構造的に全然違う。ガスの場合は、ガスタンクとか、あるいは気化器な
どの装置が要るわけですけれども、逆に石炭のほうは、脱硫装置とか、排水処理装置とか、
あるいは微粉炭をつくるためのミルとかが要るわけです。ただ燃料を切りかえればいい、
ということではございません。
そういう技術的な問題の議論があまりないようですが、私は、そういうことを考えた上
で、判断していかなくてはいけないと思うわけです。
もともとこの石炭火力というのは、石油代替エネルギーの促進ということで、国の政策
も踏まえて、長年かかって進めてきたものでありまして、燃料転換はなかなか難しいわけ
です。LNGへの燃料転換については、エネルギー市場の自由化の中で、コスト負担をど
うするかとかいった多くの問題もあるわけです。火力発電所で燃やすLNGの量は、何百
万トンと非常に大きなものでございまして、ちょっとスポットで買ってきて間に合うとい
うようなものではないのです。また、開発導入ということになりますと、それ自体で10
年ぐらいかかってしまうわけです。
先程、黒田先生からもお話がございましたが、2010年目標ということで議論を進め
ていますけれども、2010年というのは、もう10年もないわけです。本来は、もっと
先の15年、20年先に我々が政策として取り得るようなセキュリティー、環境、経済性
を総合的に考えた政策はどうあるべきかということを議論すべきであります。やむを得ず、
2010年を目標ということで議論を進めていますけれども、ほんとうはそういうことで
はないかと思うわけです。
最後に原子力のお話をさせていただきます。電源の構成面から見ますと、CO2排出抑
制対策としては、原子力は非常に有効だと私は思っております。さきの合同部会におきま
しても、委員の方々からいろいろとご指摘があったわけでございますが、確かに2010
年までには、原子力発電所の新設は10ないし13基しかできません。先程も申し上げま
したように計画が決まっておりますから、立地上、それ以上はできないんですけれども、
対策としては、利用率の向上ということがあるわけです。今の設備の中で利用率を向上す
れば、CO2の排出量をさらに減らすことができる。
例えば、資料2にありますように、安全確保を前提に利用率を85%程度まで向上させ
るということになれば、CO2の排出量は、約200万トンも削減できるわけでございま
す。日本の原子力の利用率は、平成7年度以降、80から84%という高い利用率を達成
しておりますし、10年後に85%という水準は十分達成できるのではないかと思ってい
るわけでございます。こういったことを織り込んで、技術開発を進めていくことが重要な
ではないか。
なお、ちなみに、アメリカ合衆国におきましては、既に2000年の時点で利用率約9
0%を達成しておるわけです。ですから、利用率85%は、決して実現不可能な架空の数
字ではないと思っているわけでございます。
特にこの原子力につきましては、昨年の秋に、閣議に報告されましたいわゆる原子力長
計の中でも最大限に活用していくということが明記されているわけでございます。私ども
事業者といたしましても、一生懸命努力していきたいと思っていますので、ぜひこの辺の
ことはご配慮願いたいと思っております。以上です。
【茅委員長】 ありがとうございました。
じゃあ、野見山さん。
【オブザーバー(岡部(敬)合同部会委員代理野見山副会長)】 では、石油連盟の副
会長の野見山でございますが、本日、岡部会長が欠席しておりますので、私、代理として
発言させていただきます。
申し上げたいことは2つございまして、1つは、一般炭に対する課税問題。
2つ目としては、長期見通しの基準ケースについて申し上げたいと思います。
一般炭に対する課税問題でございますが、一般炭の伸びを抑える方策として、一般炭を
天然ガスに転換されるための助成措置、税制等の経済的措置が想定されておりますけれど
も、これは一般炭に対する課税、課徴金が想定されている。このように考えます。
これにつきましては、ここからいろいろな判断が生まれ出てくると考えられます。
例えば、この経済的措置を環境税という新たな税として位置づけようというのであれば、
地球温暖化対策としての税による方法に関しては、効果が必ずしも明確ではない。この報
告にもあったと思いますが、そのように考えます。ましてや、景気回復が至上命題とされ
ている現状での増税は、国民経済的な観点から見てもいかがなものか、このように存ずる
わけであります。
一方、私ども石油業界は、従来より税制等について、エネルギー間でのイコールフッテ
ィングを主張してきている事情もありまして、特に一般炭に対する課税等の経済的措置は、
公平な競争の実現に近づくことであり、これは好ましいと考えておるところであります。
なお、石油業界としては、LNGについても石油税等の公平な扱いをお願いしておりま
す。
いずれにせよ、年間5兆8,700億円、先ほどちょっと話が出ましたが、正確に言いま
すと、5兆8,700億円でございます。これを一つ覚えのように言っておりますけれども、
多重、多段階、巨額、高率、不合理、不公平な石油諸税を抱える当業界としましては、こ
の一般炭への課税等の経済的措置については、いわゆる環境税、炭素税に道を開くような
ものであってはならない。
また、既存エネルギー税制との関係及びエネルギー間のイコールフッティングについて
留意しながら、その位置づけ、使途等を明確にしていただく必要があると考えております。
次の長期見通しの基準ケースについてであります。
長期見通しの基準ケースでは、発電用電源として、石油のシェアが極端に落ち込む姿と
なっております。このシェアでは、電力の夏場等における需要急増時の対応能力、去年の
夏もそうでございましたけれども、バッファ機能、これが著しく低下することが考えられ
まして、果たしてこれでよいのかどうか、非常に疑問であります。石油は、ライフサイク
ルアセスメント手法を用いますと、LNGと比較しても、地球温暖化効果はそれほど違い
ません。一定のバッファ機能を果たすためには、少なくとも現状程度の量は必要でありま
すし、また連算品であるため、生じる重油の有効利用は、国民経済的に見てもプラスであ
ると思います。石油の電源構成が小さくなりますと、あわせて生産設備、船腹、備蓄タン
ク等を縮小せざるを得なくなり、需要の急増に対して、対応がきかなくなる、こういう現
実がございます。
以上で終わりますが、3分にはもうちょっとあると思いますので、きょうの日経新聞の
第何面かに、「大機小機」という毎日出ているコラムがありますが、もうごらんになった
方があると思いますが、タイトルは「「京都」への戦略的思考」、まさにきょうのこの話題
にふさわしいのが出ておりますので、読まれた方があると思いますけも、ここでちょっと、
30秒ぐらい使わせていただきまして、読み上げさせていただきます。
「地球温暖化問題は環境問題であると同時に、エネルギー問題、経済問題なのである。
欧米各国とも、国際交渉や国内対策において、この問題を自国の経済の競争力を決める国
益上の問題であるとして戦略的に取り組んでいることを、我々は忘れてはならない。今後
の国際交渉や国内の対策を進めるに際しても、国際競争の中での長期的観点からの「国益」
を考えた戦略的な思考が重要ではないだろうか。目先の利益に目を奪われ、明日の世代の
ための環境保全の要請を忘れてはいけないと同時に、理念先行の環境保護の大合唱の前に
国家百年の計が見失われてはならないのである」という、これ、どなたが書かれたかわか
りませんが、私は非常にこれを読みまして、快哉を叫んだところでございますので、ここ
で読み上げさせていただきました。以上でございます。
【オブザーバー(千速委員代理弘津専務理事)】 先ほどから各委員あるいはオブザー
バーの方からご発言があったかも知れませんが、簡単に意見を述べさせていただきたいと
思います。
1点目は、先ほど太田委員からお話がございましたように、現在、大変国際的に今後の
あり方というのは非常にまだ不透明な状況の中、その一方で、日本の経済の現状は、非常
にデフレ経済になっておりまして、これからさらにマイナス成長も辞せずということで、
構造改革を進めていかなければいけないという状態の中で、デフレ的な追加対策を講じる
ことの議論をするべき時期かどうかということは、基本的にいかがなものかと。もう少し
いろいろな観点から時間をかけて、各種の対策も検討があってもいいのではなかろうかと
いう感じがいたしております。
そういう中で、今回、若干ございます税についてでございますが、鉄鋼業界につきまし
ても、非常に苦しい経営状況、あるいは国際競争の中で、今、非常に各社ともに企業を超
えた再編・合併、あるいはいわゆるリストラといったようなことで構造改革に取り組んで
いるさなかでございますが、そういう中でも、自主行動計画は何とか達成しなければいけ
ないということで、今、努力を続けております。ただ、自主行動計画をやりますにも、当
然技術開発だとか、設備投資といったようなことが前提になるわけでございまして、相当
な資金を使わないとできないわけでございます。そういう中で、国際的にも現在高いエネ
ルギー価格に税金がかかってくる。その負担は、むしろそういった省エネルギーが一番い
いとおっしゃいましたけれども、そういった効率化のための投資資金、技術開発資金を、
むしろ復活させる可能性があるという意味で、おそらくこれは我々だけではないと思いま
すが、貿易材を扱っている産業界にとっては、非常に二重の負担になっていくということ
で、環境税でも常にそういうことも指摘して適切な方法でないということを申し上げてお
りますが、こういったことと同じ問題を含んでいるのではないかと思います。
それから、石炭、原料炭については、ここでも除くということを前提にしていただいて
いると思いますが、その他の一般炭を含めまして、天然ガスに転換するということで、私
どもも若干ボイラーで使っているわけですけれども、天然ガス、あるいはその他の燃料に
切りかえると先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、実際には、非常な設備の改造
から、原料手当てといったことにかなりのコストがかかりまして、先ほどお話のような程
度のことでは現実には転換は進めない、事は非常に難しいだろう。むしろその分が税金分
だけコストアップに、効果がないけれども、コストアップになって、それだけ国際競争力
を失うといったような結果になるのではないかという感じがいたしておりますので、課税
という形でない方法をいろいろまだみんなで検討していく必要があるのではなかろうかと
思っております。
【茅委員長】 ありがとうございました。
じゃあ、安藤さん。
【オブザーバー(藤村合同部会委員代理安藤理事長)】 藤村委員の代理で出席してお
ります安藤でございます。3点ほど申し上げたいと思います。
1つは、中国の石炭の生産・需要についてでございます。どの部会かで発表がありまし
て、その資料を見ますと、中国は脱石炭だという表現が確かあったと思いますが、これは
僕は早計な判断ではないかと思います。
中国、確かに最近発表した数字は大変大幅に下方修正しております。1996年に13
億7,000万トンを生産し、ほぼそれに見合う需要があったと言われていますが、200
0年は10億トンを切った数字を発表しています。わずか5年の間に4億トンを減らして
いるというのは、極めて私は不思議な姿であり、これはよく吟味すべきだろうと思います。
だからと言って、脱石炭だという判断をするのは大変危険な判断ではないか、こう思いま
す。
このアジアにおいて、ほかの国においても石炭使用が随分伸びていますので、石油でも
言われたように、やはり両方の交流、また共有化ということを引き続きやっぱりきちんと
やるべきではないか、こう思います。
それから、石炭への課税の問題が出ておりますが、0.3円、だから大したことではない
ではないかという話も出ておりますが、この数字を見ますと、これは10万トン-Cの削
減効果だと、こうなっています。
一方においては、500万トン減らさなければいかん、こう言われているわけですから、
さっき長官が10倍という言葉を使われましたが、10倍でも100万トンにだってなら
ないので、一般炭だけに集中して課税するということになると、これは大変な課税をしな
いとその効果は出ないということになるのではないかと。この数字が出ていないのでわか
りませんが、そうすると、これはやっぱり国際的な、先ほどから出ている国際的な視点に
立って慎重に見極めるべきではないかと。日本は最大の輸入国で、これまで石炭の使用に
ついてクリーンに使うという面で、いろいろな面で指導的立場にあった日本が、石炭の抑
制、あるいは排除というようなメッセージを国際の場に送るようなことになりますので、
これは大変な日本にとって将来不利になることも予想されますので、十分この点について
は慎重に対応するべきだと思います。
3点目は、石炭の有利性、これをもっと生かすべきではないかと。まだやれることがた
くさん残っている。効率化、あるいはクリーン化、また、これは化石燃料共通問題ですが、
炭酸ガスの吸収・固定とか、そういった面にもっと努力すべきだし、また石炭と他燃料と
の複合化、そういった選択肢もある、こう思います。例えば、バイオだとか、あるいはガ
スとか、そういった面でのもっと選択肢を広げて、オプション、要するに、オプションを
広げるべきである、こういうふうに私は思います。以上でございます。
【オブザーバー(米本合同部会委員)】 オブザーバーですので、短くやります。
私、最初にこの部会に入れさせていただいたときに、原発そのものには手をつけない。
しかし、モラトリアムシナリオというのは、一応主観してみたいという最初の座長のお話
で、そういうことで了解しておりましたのですが、これ、今回の分析を見せていただきま
して、長官その他は、これよりもっと実は厳しくなるかもわからないとおっしゃいました
けれども、この時点でこういう数字というのは、何か吸収可能ではないかと。それで、モ
デルは、2年、3年、あるいは5年先はそのとおりにいくかもわからないけれども、10
年先の時点のコストを今からアナウンスメントしておくと、社会というのは、どんどんえ
らいこっちゃというので吸収するのだろうと思います。
それで、私、日本は国難がふりかかるとまじめにやって、国難がないとあんまり、要す
るに、意思形成ができない。逆に、もうモラトリアムでいきますので、ほかの部門で温暖
化はもっとしっかりやってくださいという逆のチョイスとして、この程度の負担というの
は、みんなでこれから10年間かけて吸収しましょうというようなメッセージとして、私
はあり得るのではないかと思います。
これは多分この作業をやっておられる方は非常にまじめで、しかもモデルのご説明で私
もよくわからないんですけれども、例えば、モデルの安定性を保障するために60年代か
らの産業連関をやってきている。そうすると、例えば、21世紀、あるいは我々の現在の
消費者の行動、あるいはマインドというものが、そのセンシティビティーというのは、あ
んまり予測できないのではないか。その他いろいろ思いまして、これはこれで非常に重要
な、どちらにしろ必要だという立場と、いや、もう撤退できるんだという立場の両方から
重要な1つのたたき台と言いますか、ある種の具体的なイメージが出てきたのだと思いま
す。そういう意味では、これをどう解釈するかというのは、これからの議論だろうと思い
ます。
それからもう1点は、そういう意味で、非常に議論、まじめと言いますか、やっぱり日
本のこの議論というのは非常にまじめだと思います。もう1つ、温暖化の交渉を92年か
らずっと傍聴してきた人間から言いますと、実は、温暖化条約というのは、条約一本でし
た。それは1992年の地球サミットの場で、2000年に90年レベルに安定化させる
ということを条約本文に入れる、それで条約いきましょうということだったんですけれど
も、当時のブッシュ政権が断固反対して、これがプレアンブル、前文に一応目標的な、拘
束力のない前文に入りました。
ところが、これ、見てみると、98年の段階ですけれども、付属書一国、アネックス1
国の90年比から見ると、マイナス3.2%なんです。要するに、放っておいても最初の条
約をつくろうとしたときの達成目標はできているわけです。これはなぜできているかと言
うと、90年代に冷戦が終わって、旧社会主義国の非常に不効率な経済の、要するに、エ
ネルギー部門の全リストラと、経済の停滞と、それからイギリスその他のエネルギーの自
由化で、ヨーロッパ地域及び東欧地域が非常に激減している。これは放っておいてもそう
いうことになっているわけでして、EUが一見有利に見えるのは、はっきり言って、東欧
支援の経済援助を温暖化の交渉で二度カードを使っている。
内政でかなりまじめなのは、私は、スウェーデンとデンマークぐらいで、あとは日本と
同じように、なかなか少しずつ触っているわけでして、そういう意味では、アメリカは実
は92年のお父さんのポジションに戻ったわけでして、これからともかく長々期的に究極
的な省エネ社会をつくっていく入り口のところで、日本が可能な京都議定書の一部修正を
ヨーロッパと交渉する。それによって現実的な削減目標を入り口のところを確保するとい
うことだろうと思います。
その場合に、原発というのはやはり、例えば、この四半期ごとの何%成長という、こう
いう感覚で言うと、一見目先、二酸化炭素が下がるように見えますけれども、やはり40
年使って、それまで抑えていたものをまた同じ場所に原発をつくるのかと。同じ場所にす
ぐつくれませんので、そういう意味では、原発を短期的にはカウントできますけれども、
長々期にほんとうに温暖化対策のものに使い切っていくかというのは、この2010年の
目標については、ディスカッションしないかもわかりませんけれども、その視点はぜひ入
れておくべきだろうと思います。
【茅委員長】 ありがとうございました。
じゃあ、合田さん、どうぞ。
【オブザーバー(領木合同部会委員代理合田副会長】 関係業界から、天然ガスにつき
まして、重大なご発言がございましたので、大変有力な業界でございますので、大きな火
の粉を振り払うために、1分だけいただきまして、2点だけ指摘をさせていただきます。
石油税に関しまして、石油と天然ガスの税率の格差についてのご指摘がございましたけ
れども、そもそも天然ガスは、当初は石油税については非課税扱いであったわけでござい
ますけれども、昭和58年に、ちょうどOPECが原油価格の引き下げをやりまして、石
油税収が大幅に減収になりましたので、その増収対策の一環として、59年以降、LNG
にも課税されることになったわけでございます。
ただ、その際に、条件と言いますか、LNG等の導入促進を妨げないように、石油に比
べて軽減することが必要とされて、石油よりも軽減された税率が適用されているという経
緯がございます。これは当時の話でございますが、その後の状況はもう皆さんご案内のと
おりでございまして、LNG自体、石油代替エネルギーでありますし、環境負荷も非常に
小さいわけでありますから、今後のことを考えますと、天然ガスの導入意義は、当時より
は高まっているのではないかと考えております。
それからもう1点、ライフサイクルアセスメントについておっしゃいましたけれども、
多分これは古いあるシンクタンクの排出原単位で、そのときでも歳出から国内で燃焼する
までのいわゆるライフサイクル段階での温室効果ガスの排出量は、古い統計で言うと、1
0%ぐらい石油と天然ガスで差がありましたけれども、平成11年8月のあるシンクタン
クの数字で言えば、それが最近のデータを用いて計算し直しますと、天然ガスを100と
した場合に、石油の場合は119というデータがあることをご指摘させていただきます。
以上でございます。済みません。
【オブザーバー(妻木合同部会委員)】 関連で1点だけ。
【茅委員長】 はい。
【妻木】 妻木でございますが、いろいろな問題が出るたびに、すぐ税制とか、新しい
項目をつくりたがる。これは気持ち的にはわからないわけではないんですが、今、国民が
一番求めておるのは、新しい税制ということよりも、今ある税金の中でどういうふうにや
りくりできるかということを一方で求めているということもぜひ理解していただいて、そ
の辺のところをどのようにワーキンググループとして出されるか一考をいただきたい、こ
のように思います。
【茅委員長】 ありがとうございました。
それでは、今、オブザーバーの方々から一わたり意見をいただきました。大部分、それ
ぞれの業界からのコメントというものが多かったんですが、これに対しまして、まず長官
からコメントをいただきます。
【河野資源エネルギー庁長官】 若干繰り返しになることをお許しいただきたいと思い
ます。
きょうの政策ワーキンググループで、オブザーバーの方も含めて見ていただきたい点は、
税という選択肢に議論を集中することよりも、むしろ大きなシナリオとして、省エネルギ
ーとしてはマキシマム、こういう姿を描くに至ったと。そして、新エネルギーの導入につ
いては、なお新エネ部会での議論の途中ではあるものの、おおむねこういう方向での議論
がなされている。
そうしますと、どうしても、依然として京都議定書におけるコミットメントとの間では
乖離がある。これを大きなコンセプトとして何を求めるかということであります。その点
についてのコメントもいただいたわけでありますが、全体としての経済成長率を大幅にダ
ウンするような方策以外に、考えるとすれば、やはり燃料転換という、これも太田委員ご
指摘のとおり、ほんとうにこれは簡単なことではないと思います。
また、さらに技術的な検討、あるいは特に電力分野については系統運用の問題等々、相
当検討するべき課題は多いことは間違いないと思いますが、その燃料転換というコンセプ
トを念頭に置くのが大きなシナリオとしてどうかということではないかと思います。
そしてまた、仮にそういうものを実現しなければならないということになりますと、こ
れは、今、私どもが想定している、あるいは原油の手法のみでは非常に難しいといずれに
せよ思います。たまたま産業界の方からは、税に主としてご議論が集中したように思いま
すが、これはたまたま税ということですと金銭換算しやすいと思われるので、先ほどの0.
3円/kwhというのは、1つのイメージとして、もちろんこれで完全に実現できると申
し上げていない、我々の分析では、これをもってしても設備投資という長期的な課題を念
頭に置けば難しかろうと申し上げているわけですが、他方、税であれ、規制的な措置であ
れ、それが何らかの追加的な措置があれば、ある意味での経済的なコストを伴う、容易で
はないコストを伴うということはご理解いただけるのではないかと逆に思うんです。その
ことは、仮に規制的な措置で税金は一銭もかからないように思われるかもしれませんが、
そのことは、ある種のコスト増大要因として何らかの格好で国民の皆さんに、あるいは産
業界の皆さんに負担がもたらされる可能性が非常に高い、そういう課題を今、私どもが負
っているということを私どもは素直に告白せざるを得ないと思うんです。
その上で、それぞれの産業界の方がおっしゃったことはよくわかります。特に産業界が
現在直面している事態を思い浮かべれば、当然のコメントをいただいと思います。だから
こそ、私どもは、今回、具体的な措置を特定することができるだけの議論が熟していない
と判断をして、こういったたたき台を皆様にご議論いただいているところであります。
もし税なり、措置の評価などについて、さらにやや詳細なコメントを付した資料が必要
だということであれば、ご意見をいただいた上で対応してまいりたいと思います。
特に電力の燃料転換について、先ほど太田委員もおっしゃったように、設備がもう何年
も、またその地元の皆さんとの協力も経て、大変な努力の結果でき上がっている発電設備
であるということは、あるいはでき上がりつつある設備であるということはご指摘のとお
りであります。そういうことを念頭に置きますと、この経済的措置と言うのは簡単ですけ
れども、そのことによって万全の措置にはならない。仮にそれをやったとしても、あるい
はそれを規制的措置に置きかえたとしても、さらにこの経済換算以上の何らかの手だてを
講じない限り、こういった燃料転換を行えないということを念頭において、先ほど申し上
げたように、たまたま税だと金銭換算になりますし、モデルに入れるには金銭換算という
ことで私ども対応しましたけれども、それだけの何らかの負担を伴う目標を達成しなけれ
ばならないという課題を負っているということは、ご理解をいただきたいと思います。
それから、石炭についてもコメントをいただきまして、これは今までも何度もCO2対
策上、石炭をゼロにしろという議論が一方で委員から出される中で、セキュリティーの観
点から石炭の必要性を何度も申し上げてまいりました。今回も、先ほど和田企画官から申
し上げましたように、石炭については、ネット増であるけれども、環境制約との関係で、
基本の範囲内での増にとどまったというのがこの試算であります。その点はぜひご理解を
いただきたいと思います。
石油についても、そういう点でご不満があることはよく理解できるのでございますけれ
ども、これもセキュリティーワーキンググループなどの分析も念頭に置き、またさきの価
格動向も念頭に置き、こういった1つのケースを提示させていただいたわけでございます。
電力におけるバッファユニットの関係につきましては、さらに議論をさせていただきた
いと思います。
いずれにいたしましても、きょういただきましたご意見をどういうふうに総合部会にご
報告申し上げるかを、茅委員長とご相談の上、対応してまいりたいと思います。
【事務局】 ある意味、相当オブザーバーの方々も本音の意見を言っていただきまして、
大変有意義だったと思います。
ただ、心配していたんですけれども、燃料転換対策、電力等の燃料転換対策で500万
トン-Cをやるべきだということ自体に、やるとすれば、燃料転換対策でやるべきだとい
うこと自体に反対という方はいらっしゃらなかったということは確認させていただきたい
と思います。
それと、やや税に議論がどうしても集中してしまったんですけれども、大前提として、
別に税でやるということではもちろん何も決まっていないという、というか、今はむしろ
決められないという前提であるということでございます。
それと、若干事実関係として申し上げたいことは、太田委員から、燃料転換の技術的に
困難と、ボイラーとかの大きさも全然違ってと、これは全くおっしゃるとおりでございま
すが、ただ、我々の非常に電力から見ると低い需要のもとでの試算は、この転換という意
味がよくなかったのかもしれませんけれども、今ある石炭火力を建てているものをLNG
に転換するという意味ではなくて、設備の上限を設けていますので、LNGを建てるとい
うことの上限の中で対応するということです。石炭をある意味それほどは建てないという
ことです。これからつくるものについて選択をする。ある意味では、転換というより選択
と言ったほうがよかったのかもしれません。こういう現実のある計画の中での選択をどう
するかという意味で、今、建てている石炭火力を転換してLNG火力にしようというとこ
ろまで考えているわけではございません。ただ、現在石炭火力を建設中の土地をどうする
んだとかという問題があって、こんな簡単にいかないというのは全くおっしゃるとおりだ
と思います。
それと、LNGは調達とかも相当長期間かかってというお話もございました。これは全
くおっしゃるとおりでございますが、電力から出されています13年度の供給計画でも、
LNG火力で2502億キロワットアワーということで、今回の試算は、2,549億k
whですから、それほど差がないので、そういう問題は、LNGについて、あんまりない
のではないかと思います。
それと、米本委員から、原発増設0基をどう考えるかということのお話がありましたけ
れども、これは今後国民的に議論をということなので、ここでこれを受容してやっていこ
うというのか、やはりこうでなくてほかの道を、つまり、原子力発電所を、現在でももう
既に建設中のものは多数ありますけれども、含めてやっていこうというのかを判断してい
こうということなので、これを大変だと見るかどうかということは、米本さんのおっしゃ
るとおり、どう見るかというところにかかっているのではないかと思います。
最後に、妻木委員から、税収の使途ということで、それはより厳しく、税金をいただい
ている立場からすると、使い道というのは厳しくこれからますます見られていくというこ
とで、我々もなるべく歳出のグリーン化ということを考えていかなければいけないと思っ
ている次第でございます。
あと、最後にもうちょっと細かい点で、野見山委員から、電源における石油の割合が低
いというお話しがありました。確かに今までより低いということで、可能かと、これは私
も技術的に責任を持って答えられませんけれども、例えば、アメリカでは、ほんとうにこ
の統計資料が合っているかどうかは別ですけれども、石油の占める割合は3%以下になっ
ているということもありますので、ほんとうにどれぐらい大変かということは、これから
よく考えていかなければいけないと思います。以上でございます。
【茅委員長】 ありがとうございました。
それでは、ちょっと私の不手際もございまして、10分ほど時間が過ぎてしまいました
が、本日の会議はこれにて終わりにしたいと思います。
なお、来週14日に需給部会・総合部会の合同部会がございまして、そこで引き続きこ
の問題を議論するという形にしたいと思います。出席のほど、よろしくお願いしたいと思
います。
それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
--了--
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