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産業構造審議会情報経済分科会第6回 議事要旨

                                                                               


1.平成13年11月2日(金) 14:00~16:00


2.場所:通商産業省本館17階西6 第1特別会議室


3.今井分科会長、
  秋草委員、荒木委員、大歳委員、大星委員、奥山委員、黒澤委員、河野委員、佐々
木委員(犬飼代理)、田村委員、津田委員、鶴田委員、中山委員、日枝委員(飯島代理)、
船木委員(西田代理)、松本委員、宮本委員、山口委員、クマール委員(水谷代理) 


4.配布資料:
 資料1 産業構造審議会情報経済分科会における検討の射程
 資料2 第三次提言(案)の「骨格」
 資料3 「素案」


5.議事概要

 事務局より資料に基づき説明、以下討議内容。

○ダイナミックなレポートで基本的な考え方についてサポートしたい。
○電気通信事業は垂直構造を水平構造に変革すべき。この時、中核の企業が市場支配力を持つ
 場合には、経営の自主性を尊重しつつも、競争政策の監視は強化すべきと考える。電力など
 の公益分野も同じ考え方があてはまる。
○競争政策の監視強化については、公正取引委員会強化が重要。その際、インナーソーシング
 等を使えば迅速に実現できる。
○米国は民事訴訟が多く企業間のチェックが働くのに対して、日本はこうした機能が欠けてお
 り、結果、独禁当局の負担が重くなっている。さらに米国は重層的な競争監視体制になって
 いる。FTCと司法省に加えて、通信ではFCC、電力ではFERC、金融ではSECが存
 在するが、日本にはこうした組織が存在しない。また、日本では、通信は、公正取引委員会
 も総務省にあるといった構造になっており、公正取引委員会を内閣府へ移管するべきとの意
 見もある。
○競争監視体制の強化に当たっては、①FCC等の設定、②公正取引委員会の内閣府移管、③
 環境や競争といった重要政策分野へのインナーソーシングによる人材の投入を考えるべきだ。


○昨年来の我が国のIT論議は、IT産業のありかた論やインターネットの普及促進ばかりに
 目がいきすぎていて違和感があった。本当のITの意味は、いかに企業組織にITを取り込
 むかという点こそが重要なのであり、この素案は、この本質論に踏み込む内容で共感を覚え
 る。昨年のこの部会でも、ITの意義は組織の分離と再生をもたらす点が重要ではないかと
 申し上げたが、これを受け止めたものと評価する。
○企業組織の改革の要点は、役所も同じと思うが、重層管理、内部管理の打破である。事業部
 や省、局などの強固な縦社会をITを使って再編し、フラットな組織を作るということが重
 要である。
○これは、産業組織論、産業構造論というより、企業組織論であって、例えば規制で役所が強
 制するという方法には反対する。企業が組織を改編しやすい社会経済環境を整備して組織の
 変革を誘導するという考え方が重要である。


○ 組織のアンバンドル促進という論点をはじめ、多くの具体的な企業事例を示しながら論旨が
 展開されており、わかりやすい。あとは政府も民間も実行とスピードであり、政府のリーダー
 シップは重要。
○ 特に、スキル・ベースの雇用、労働力の流動性が重要だが、このためには個人も企業もスキ
 ルレベルを向上していくインセンティブや成果主義を確立しなければならない。製造業の空
 洞化に加えて、優秀な人材までも外に依存するようなことになっては大変である。例えば、
 政府も民間と新しい人事交流を実行できるよう人事制度を変革するなど、官の役割は大きい。
○ 電子政府は、現在の業務を単にITやインターネットに置き換えるのではない。自治体で話
 を聞くと、中央から省庁毎に違う電子政府の方針を言ってきて困っているという意見がある。
 人員を半分でやる、リードタイムを短縮など、電子政府では目標をセットしてプロセスを改
 革することが必要である。
○ アンバンドルを進めていくためには、各レイヤーごとに価値の評価をいかに確立するかが重
 要になる。別の言い方をすると売り手と買い手の問題で、例えば、情報システムの調達でも、
 売り手の問題もあるが、政府が調達基準を変革していくべきだ。


○この提言とは異なる見方をしている。日本的な方法について、全て市場に委ねて、全てリス
 クテークの方向にもっていくというのはどうか。
○労働力を流動化すると言っても、現実問題として不安定要素が拡大するし、多くの団塊世代
 は再訓練といっても再雇用先も限られているのが現実だ。こうした現実も含めて議論しない
 と解決にならないのではないか。
○金融についても間接金融から直接金融へとの議論であるが、株価が上がっているときは問題
 ない。米国も今後どうなるか。わざわざ不安定の方へ、リスクテイクとの名のもといって良
 いのだろうか。市場主義への批判が生じている現在、米国や韓国を成功例としてのみとらえ
 て進めていくのはいかがなものか。1年半前なら良かったが
○情報通信の構造改革について法的規制でやっていくのは問題。
○インターネットについて、コンテンツ、接続、インフラをアンバンドルして事業再編として
 いるが、これはNTTのみを念頭においているのか、それとも通信産業共通の課題と考えて
 いるのか質問したい。
○ネットワークインフラを電話とインターネットでいかに分離していくのか、あるいは、イン
 ターネットインフラのみでイノベーションを生みだし収益が確保できるのか、が論点となる。


○情報経済のもとでは、そもそも変化が激しく、市場の構造もすばやく変わっていく。こうし
 た中で、今ある組織の壁を維持して安定性を確保しようとしても限界がある。
○確かに、変革が少ない環境の中では、組織の中で雇用を維持して安定を確保することが可能
 であったが、変革が激しい環境の中では、むしろ、組織の壁を越えて流動化を確保して、は
 じめて個々の安定が確保できるのではないか。
○IT時代においては、いったんリシャッフルする必要があるのではないか。


○通信に関して、垂直構造から水平アンバンドルへという考え方に賛成する。
○ただ、本提言にかけているのは、アクセス系の問題認識で、まだまだ現状では競争が本格化
 している訳ではない。技術的に可能という議論と、実現しているというのは別の問題である。
○水平構造への変革は経営問題としているが、その通りだ。ここは強調してほしい。また、競
 争政策の対象は、NTTだけでなく、通信の大企業にも適用されるものと考えている。
○コラムの中に、競争政策における構造規制の記述があるが、ここは大事な論点なので、コラ
 ムではなく本文にいれるべきだ。


○大原則は自由競争だ。現に、自由競争の中で出現したiモードは大成功し、7兆円の市場と
90万の雇用をもたらした。市場の活力こそ成長の源だ。
○したがって、行政が規制で引っ張っていくというのは辞めてほしい。
○ただ、インフラだけではブロードバンド時代は収益を稼げない。これは通信事業全般に言え
ることだ。従って、無線にISPビジネスを創出した。最近無線ISPビジネスが成長した
ので、オープン化が問題となり、キャリアとしてはその方向だが、不可価値創出の可能性が
大きい分野からリタイヤすることは考えられない。この分野でも自由競争が、より大きな市
場を創出するからだ。


(事務局)
○問題意識は、垂直統合が最適であった電話産業とは異なり、インターネットにおいては、イ
 ンフラとコンテンツを同じ主体が提供することが必然的に優位になる訳ではないという認識
 が基本にある。こうした市場構造の変化の中で、全ての通信事業者は市場に合わせた事業構
 造の見直しが不可欠となっていて、経営の判断でどう構造を変えていくかが重要との提案で
 ある。こうした意味でNTTのみを念頭においた議論ではない。
○法規制で構造を変えていくという考え方はとっていない。企業組織の改革は市場に合わせて
 経営がまず判断するのが基本で、競争上問題が生じれば、迅速に競争当局が機能すべきでは
 ないか、という提案である。市場の変革が激しいITの分野では、行政よりも市場主導で対
 応するというのは、この提案に共通する考え方である。


○競争政策は①執行機能と②提言機能とにわけて明確に議論すべき。公正取引委員会は法の執
行を通じて競争政策を実施するのが本来の姿。今後の規制改革論議の中で、公取委は、各省
庁とは異なる視点の政策提言が期待される。現状のようなかたちでは公取委が政策を言い出
しにくい。
○事業法と独禁法の関係についてだが、緊張関係が必要だ。先般出た公正取引委員会
と総務省の共同でガイドラインについても公取委と総務省との間に適切な緊張関係が確保さ
れる必要がある。競争政策を執行する省庁間においても適切な「競争」関係が必要といえる
だろう。産業界も競争政策について理解を深めるべき。「行政の考え方がわからないから一つ
にしてくれ」という要求をすることは、行政内部の「もたれあい」構造をいっそう促進して
しまうことに注意すべきである。
○もう一つ重要なのは、不可欠な資産という概念である。説明概念としてわかりやすいものの、
今後定義づけなどをいっそう明確化する必要がある。


○e-Japanで掲げられている「IT最先端国家になる」というのが最終目的ではない。
その先に本来の目的があって、それはITを使っていかに日本の競争力を高めるのかという
ことだ。そのためには、ITを活用していかに高コスト構造を改善し、いかに生産性を向上
させるのかが大切。毎年5%づつ生産性が向上すれば、15年で生活水準は倍になる訳で、
競争力の強化と豊かな生活の実現が可能だ。
○第一ステップはブロードバンド環境の実現で、第二ステップはITの利用促進だ。
○第二ステップの課題の一つに、IT技術者の不足問題がある。インド・台湾・中国には非常
に多くのIT技術者がいるが、日本ではIT産業側にもユーザー側にも、IT技術者が決定
的に不足している。我々は学校にIT技術者育成のカリキュラムを提供したり、NPOを設
立してIT技術者を育成しているが、さらには職業訓練校などでのIT技術者開発も重要で、
こうした人材開発における行政の役割は大きい。
○もう一つの課題は、企業経営者の層が薄いという問題。アンバンドル後をどうするのか、I
Tをどう利用するのかという問題は、行政よりも経営者の問題である。業績が上がらないの
も、競争力が低下したのも、経営者の問題が大きい。どうしたら経営者市場が出来て、経営
者層の流動化が実現するか議論してもらいたい。日本には優秀な人材がたくさんいるが、こ
うした人材を有効活用する仕組みが必要で、企業教育のアウトソースなども考えるべきだ。
○さらにもう一つの課題は、横ならび、平等からIntegrity、Fairnessへの価値観の変革だ。努
力した者、大きなリスクを取った者は、もっと大きくリワードされるべきだ。その結果、持
てる者とそうでない者の差が生じた時に、持てる者は思いやり、Ethics、ノブレスオブリー
ジを果たし、そうでないもの者は持てる者を見て妬むのではなく、向上する希望、ジャパニー
ズ・ドリームにチャレンジするような考え方になるべきだ。
○個別に自社で困っていることを言えば、DSLを会社で借りて、従業員が家で働けるように
しようとしたが、今の税制では給与扱いになってしまう。制度面で直すところはまだまだた
くさんある。


○トータルでは良い方向を打ち出している。あとは、いかに、各論の実行のシナリオに落とす
かが重要だ。
○この意味で、行政自らの問題として、電子政府がダブルコストにならずに、生産性を上げて
いく方策を具体化すべきだ。公務員制度改革や雇用の流動性も重要である。もしダブルコス
トにならざるを得ない場合はその期間を明示することが必要である。


(事務局)
○ダブルコストにならないように、行政改革のツールとして電子政府を活用するという意識ま
 では進んできている。具体的方策はこれからだが、その際、企業の先駆的な実例が参考にな
 ると考えている。企業がITを入れて組織改革を実行する際に、トップダウンの体制や、目
 標の設定、業務改革などを実行しているが、こした企業の成功例を収集して、電子政府のプ
 ロセスに活かしたいと考えており、積極的な実例の提示をお願いしたい。


○資料の構成はよく整理されており、賛成だが、この議論を突き詰めていくと、最後は個人の
 問題にいくつく。企業は確かに競争しているが、果たして、日本社会において、個人は本当
 に競争しているのだろうか。知らず知らずのうちに、戦後型の結果平等主義になっているの
 ではないだろうか。
○したがって、もっと成果主義というのを強調してもらいたい。米国では受付嬢と経営者は2
 倍も3倍も違うのが当たり前だが、反面、チャンスは平等に開かれていて、受付嬢もさらな
 る上を狙って努力をするインセンティブがある。こうした環境にしていくことが重要ではな
 かろうか。
○ところが、日本では、個人を評価する仕組みが全く出来ていない。マクロで言えば教育の問
 題だが、企業の人材評価も成果主義がない中できちんとなされていない。
○経営にとって雇用は手段であるが、ここに踏み込まなければ流動性は出てこない。企業から
 人材が出ていく、流動化すると言う前提で、個人が組織を選べる環境にしないといけない。


○自治の強化ではなく、自治によるセーフティネットの整備のほうが適切ではないか。骨格P
 35の技術評価、労働評価には倫理的評価、社会評価も入れてもらいたい。日本ではまだま
 だ社会評価が根付いていないが。骨格P36は労働者というよりは従業員が良いのではない
 か。


(事務局)
○意図は自治のシステムがセーフティネットになるということなので、その方向で修正したい。
○流動性の議論は、従業員に限らない。経営層も含めて労働者としているが、人材のほうがい
 いかもしれないので、適切な表現を検討したい。


○インナーソーシングというのは片道切符方式も含めて議論する必要があるのではないか。流
動性を確保するためにも重要だし、出向という形式のみではインセンティブの問題もあって、
結局緊張関係がなくなるおそれがある。


○ホワイトカラーの生産性を向上するのにITは大変有効である。更には、総務、人事、法務
といった部門のアウトソース市場の成熟を図ることが重要だ。そうする事により、ITやア
ウトソースのシナジー効果がコスト低減や生産性向上につながっていく。
○E-Commerceのみに議論が集中しているが、生産性をあげるアプリケーションは他
にもたくさんある。ITによって情報開示が迅速かつ透明、詳細にできるようになり、これ
が従業員の活性化をもたらし、企業の活力を生む。ITシステムを入れると、組織をフラッ
トにして権限委譲を実行することが可能となり、これが生産性の向上につながる。今まで以
上に効果的な社内教育のシステムを組むことも可能だし、サプライチェーンの構築も可能で
ある。電子商取引に限らないITの生産性向上効果を認識することが重要だ。


(分科会長要約)
○3点に要約出来る。

①動態的競争促進の方向はコンセンサスが得られているし、行政介入型ではうまく機能しない
 という点も同様。市場に委ねることの弊害を現実的に考えていかねばならないのも事実だが、
 最後は技術が変化を導く。むしろ、技術の変革を妨げ、あるいは、技術が問題を解決する上
 で、障害となっている制度、慣行をどう変えていくかが大事だ。業界構造も行政の構造も企
 業組織の構造も、縦型の仕切られたままでは、変化に対応できなくなるし、こうした中で定
 着した個人個人の価値観を変えていく努力をしていかなければならない。。

②競争政策については、一方で統合の意見、他方で競争当局同士の相互競争が重要との議論が
 あった。政府の機関の間での競争も大事だが、他方、権限ある機関が違った見方をした場合
 に、迅速に意見を戦わせて収束する仕組みも必要となる。

③政府の問題では、現にダブルコストは色々なところでおこっている。こうした事実を明らか
 にすることも実は大事で、情報の開示が世論の監視を促し、改革を進める力となる。評価の
 プラットフォームを作り、この基準と情報の開示の双方で改革の圧力を組み込むことが重要
 だ。こうした仕組みこそITの活用が可能で、民間組織の改革をベースにして、政府自身、
 電子政府による自己改革を進めるべきであろう。




6.今後の検討の進め方、次回の部会会合

以下の事項が確認された。

素案及び骨格について、本日の議論を踏まえた所与の修正を加え、今後一ヶ月間パブリッ
クコメントを募集し検討する。

電子商取引等に関する準則、ADR制度に関する検討については、中山小委員長のもと
ルール整備小委員会にてさらに検討を深め、競争については、鶴田小委員長のもと競争
WGにてさらに専門的な議論を深める。

具体的な第三次提言案は、年末あるいは年初に開催する予定の第7回情報経済分科会を
踏まえ公表する。


以上

文責:事務局
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