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審議会

産業構造審議会情報経済分科会第7回 議事要旨 



1.平成14年3月8日(金) 14:00~16:00


2.場所:経済産業省別館3階346 第4特別会議室


3.出席委員
今井分科会長、秋草委員、荒木委員、大歳委員、大星委員、奥山委員、黒澤委員、
河野委員、佐々木委員(犬飼代理)、田村委員、津田委員、日枝委員(飯島代理)、
船木委員、松本委員、宮本委員、


4.議題:
   ・産業構造審議会情報経済分科会第3次提言について
   ・「情報市場の制度設計」及び「IT産業における雇用市場の制度設計」に
    ついて
   ・「電子商取引等に関する準則(案)」について
   ・IT関連の最近の動き及び今後のスケジュール等について

5.議事概要

事務局より資料3に基づき説明。以下○は委員からの意見。●は分科会長及び事
務局の発言。

「情報市場の制度設計について」

○情報市場の定義に問題がある。2年前は我が国のインターネット環境は、世界的
 に出遅れていたことは事実であるが、現在は、ブロードバンドのインフラ構築が
 始まり、世界的にも遜色がないものになったと思う。
○そうした観点から、資料3ページ、5ページ両方の図を見ると情報関連産業を「電
 話市場と放送市場の構造」と「情報市場の構造」とに分けて考えているが、現在
 では分離して考えることは出来ないのではないか。分離して考えることができな
 い理由は、「電話市場と放送市場」単独のビジネスとして利益を出すことが困難
 になるからである。電話と放送の全てが「情報市場」で出来るのだから、「電話
 市場と放送市場」はそれからもれた人々のみが存在することになり、公益的価値
 があるのは理解するが、これを支える制度設計としてどこまで考えるかが論点と
 なる。

○我が国のブロードバンドは最先端に行きつつある。
○技術の発展を鑑みると、水平的概念が出てくることは仕方がないことである。
○放送では技術としては、資料6ページにあるように、放送そのものが公益的役割
 を持つという整理はつくと思う。
○しかし、公益的放送を放送市場の概念から書くと、地方も含め地域放送義務を負
 うことになるので、民放の方々からするとタッチーな問題となるのではないか。
○また、放送は電波割り当ての議論そのものである。「電波割り当て」が「放送」
 に関する制度の根幹であり、公益的な放送のための電波のあり方も重要な論点と
 なる。

○そもそも、これら一連の議論の発端は、デジタル化により通信と放送の融合が現
 実化してもたらされたからである。デジタル化により、放送といえども双方向が
 可能になり、通信の議論とオーバーラップしてきた。一方通行の放送と新技術に
 よりもたらされた双方向の通信機能を持った放送と通信放送の一体化を無視出来
 ない。
○今は2分法としても、ドッグイヤーであり、融合の実験は始まっている。


○この議論の発端はIT戦略本部の規制改革委員会からハードとソフトの分離につ
 いてレポートが出されたことにある。
○IPネットワークが万能であると言われるが、放送事業者の方が国民に完全に深
 く入り込んでいる。
○放送業界は、アナログの放送に基盤を置いてはいるが、ブロードバンドにも、ソ
 フト業界にも積極的に参入しようとしている。放送業界としても新規参入をして
 いるので、今後、IT戦略本部にも最大限に協力していきたいと考えている。
○CSのようにある日突然とまってしまったり、インターネットも有害な情報とか
 が流れていることも考慮した上で、既存の放送が果たしている機能をどう評価し、
 維持するかも重要な視点である。
○インターネットか放送かという二者択一の議論ではなく、両方の選択が用意され
 ることが重要である。

○充実したレポートとして評価する。個人的には、資料4ページ目の「情報市場の
 制度設計」について関心がある。
○日本の場合、司法制度について、弁護士など法曹の数が極めて少ないことから、
 その問題解決能力に限界があることが問題とされてきた。司法制度改革審議会の
 意見書が昨年提出され、司法制度改革が本格化しつつあるものの、今後も司法的
 な問題解決の拡充について積極的な取り組みが求められる。
○公正取引委員会の機能強化の議論は、より積極的な取り組みが必要である。米国
 においても競争政策は、裁判所を通じた問題解決と共に、FTC(連邦取引委員会)
 等、行政機構のサポートによって、運用されている。この点、司法と行政双方が
 適切な形で機能することが望ましい。
○現代型の多くの紛争においては、裁判外紛争処理(ADR)の役割が重要になる。
 しかし、現状では、法的な制約がありあまり有効に機能していないのが現状であ
 る。日本の場合、司法制度を支える人的基盤が、欧米に比べ極めてその数が少な
 いこともあり、ADRが重要になるといえる。司法制度の拡充と共に、ADRもまた
 整備されない限り、事後的な形で行われる競争監視体制も絵に描いた餅となって
 しまう。

●ここまでの議論を整理したい。資料6ページ目の「制度設計の全体像」の図であ
 るが、「電話市場と放送市場」が上に描かれ「情報市場」が下に描かれているが、
 下の図は望ましい姿であり、上の図は移行期の制度設計と考えることが出来る。
 移行期には、政治的背景等、様々な周囲の状況によるところがある。
●社会主義から資本主義という流れと同じようにラディカルなデジタル経済への移
 行期の中では、よほどラディカルな制度設計論者でも放送のユニバーサルサービ
 スは必要と言っている。アナログは移行期の制度設計の中での議論と言うことが
 言えるのではないか。

○「電話市場と放送市場」と「情報市場」の間に線が引かれているのは、棚上げに
 したということかもしれないが、そうであれば、移行期であるという認識はあり
 うる。

○移行期かどうかは市場が決めるべきではないか。すべてが「情報市場」に含まれ
 るべきという決めつけをすると、一生懸命、無料で放送サービスをしている我々
 放送事業者としては自らが否定されていると考えてしまう。

●技術の発展がどう進むかは予見しがたい。情報市場か放送かという議論ではなく
 て、市場が決めていくという整理は妥当であろう。

○資料6ページ目の「制度設計の全体像」は理解出来た。しかし、「情報市場」と
 「電話市場と放送市場」は重なり合うのではないか。そうすると、原則自由が広
 くとらえることが出来る。

○原則自由と経営の自主性を軸としつつ、それでは解決できない公益性の議論があ
 ることは理解した。
○しかし、消費者の目で見れば、「情報市場」と「電話市場と放送市場」を分けて
 考えるよりも、電波の上にIPも乗るし、車もネットにつながる、という実体が
 出てきており、ネットワーク、プラットフォーム、コンテンツについて多様な選
 択を提示するという考え方で議論をにつめるのが有益だ。

○機能論をする上では、時間軸(技術の発展動向)もある。安全や健康といった公
 益的な部分については、放送を全てインターネットの世界のようにすべきではな
 い。しかし、技術が進めば、3年先、5年先の動向は変わってくる。その時のコ
 ンテンツが放送の領域かインターネットの領域かは、利用者の理解で決まる。

●新たな情報市場では原則自由、独占禁止、規制排除で、経営の自由度が発揮でき
 るようにすべきという点、他方、具体的にいつまでにという点は意見が出たが、
 電話市場や放送市場では公益性を確保するための方策が必要という点は一致して
 いるようなので、事務局提案通り、まとめることとしたい。

「IT産業における雇用市場の制度設計」

○この方向で雇用市場が出てきているが、日本の場合、売り方・買い方双方の課題
 が存在する。
○買い方として、政府や民間の調達基準が「人日・人月」が値段の根拠になってい
 ることが最大の問題である。個人のモチベーションをあげるためにも、価格を決
 めるにおいても、成果に応じ評価する方法に改めるべきである。
○日本の就職は「就社」であり、企業内で教育しないと人材が使えない。大学教育
 が弱いことも問題である。いまや中国やインドに比較しても立ち後れている。即
 戦力になる教育システムの整備が雇用システムと合わせて必要である。


○雇用調整ルールについて、契約法等民法的な視点も加味した新しい、雇用市場の
 制度設計が必要とされるのかもしれない。ただし、契約をベースとした法的な発
 想がまだまだ不十分な日本では、当事者同士の問題解決ベースに大きな期待を寄
 せるべきではない。その意味においても、司法制度改革、特に裁判制度、裁判外
 紛争処理機能の強化が重要となる。
○再就職支援は、今後、拡充していかなくてはならない。大企業などは、再就職支
 援のために、ある程度、外部のコンサルタントなどを使うことも可能だろうが、
 中小企業はそうはいかないだろう。また、ヘッドハンティングされるような人材
 の転職に関しては、政府として特に何か手だでを高じる必要はないものの、そう
 ではない多くの失業者に対する雇用支援態勢は、政府なども真剣に取り組むべき
 であり、また、そのような雇用支援に関連するビジネスについても、失業者を保
 護するような法規制は必要となるだろう。
○日本の大学は、これまで、プロフェッショナル・スクール、つまりホワイトカラー
 人材の育成に真剣に取り組んできたかどうか、疑問がある。この点は、大学教授
 として反省の意味を込め、今後は、ホワイトカラーの訓練・再訓練の強化につい
 て大学が真剣に取り組むべきであると考える。その意味では、大学の役割と責任
 は極めて大きいといえる。


○労組として方向性は否定しない。しかし、現実問題にどう落とし込むかが疑問で
 ある。製造業を中心に余剰労働力が多い。また、新しい産業のニーズに中高年が
 どう対応できるのか。こうした現実題を解決せず、雇用基盤がないところへ労働
 力を排出することがどのような社会現象を惹起するか不安である。
○本提案は、日本型の内部労働市場から米国型の外部労働市場に移行すべきとの意
 見と思われるが、日本型経営で守るべき点は本当になんにもないのだろうか。是
 非、評価してもらいたい。日本型雇用慣行を放棄することで、社会全体のトータ
 ルコストがどう変化するのか、その点の検討も必要である。


○自分は銀行からソフト会社に転職した者である。最も安定な業種から、最も変化
 が激しい業界に変わった。当初はソフト業界は寿司屋のように人の移動が激しく
 驚いたが、時間が経つにつれ、今やこちらが常識なのではないかと思ってきてい
 る。こうした観点から、本提案をサポートしたい。
○調査対象のIT関連産業の企業には、従来の家電等の製造部門が多いので中途採
 用が進んでいると言ってもこの程度だが、自分のソフト業界では更に中途採用・
 転職が進んでいる。右肩上がりの成長時代が終わり、市場全体で雇用を調整する
 時代を鑑みると資料の流れは正しい。
○さらに言えば、新卒の教育コストは馬鹿にならない。全部中途採用に変え、新卒
 採用は止めたいぐらいである。
○また、理系・文系、能力にかかわらず同一賃金というのもおかしいと思っている。

○雇用の流動化と共に、空洞化に対応した新産業による雇用創出も考える必要があ
 る。中国の賃金は日本の1/25では勝負にならない。比較優位性の原則から言っ
 て、中国で製造するのは企業として当然である。
○政府はサービス業の雇用吸収を期待しているが、併せてハイテクの新市場創出に
 対応する労働の質を高める方策を導入することが重要である。
○ドコモのFomaはオープン戦略で欧米通信事業者等とのアライアンスでグロー
 バル展開を進めているが、Fomaクラスになると、欧米人ですら作れない品質
 の高さがある。通信、情報処理、映像等とても中国ではまね出来るものではない。
 こういった高付加価値分野で、日本は勝つことが出来る。日本人はハイテク分野
 に自信を持つべきである。
○我が国の国際競争力が圧倒的に落ちているデータが存在する。一方、学者レベル
 で見ると、我が国の論文の数などは非常に多い。問題なのはこれが市場で活用さ
 れていないことであり、これは経営者の不勉強である。同時にIMDが指摘して
 いるのは日本の経営者の企業家精神の欠如だ。新規市場の開業率はアメリカの半
 分以下である。


○パブリックコメントに付すことは賛成。
○資料の分析は、ソフト系よりハード系が対象で、少し違和感がある。雇用吸収力
 があるのはサービス産業であり、従来型の再教育システムとの不整合があるので
 はないかと思う。
○資料41ページの雇用市場に関しては、簡便な社会保険の仕組みを準備する必要
 があるのではないか。

○資料の2、P46の情報市場を活用した行政改革であるが、窓口のフロントオフィ
 スと基礎業務のバックオフィスとわけて、その中に今までの中央省庁、地方自治
 体が入っているが、これは違うと思う。中央省庁と地方自治体をあわせてバック
 オフィスではないのか。企画機能、執行機能は、本来分解してドメインになる。
 プロジェクトがドメイン化するのが正解である。

○雇用の市場については、教育の市場と入り口や途中でつながっている。自分の大
 学でも教育改革には取り組んでいるが、是非、踏み込んでやるべきだと思う。

● 「雇用」のパートは3月中にパブリックコメントを求めることとする。
● 第三次提言については、4月以降、IT戦略本部、産構審小委員会、経済財政諮
 問会議、産業競争力戦略会議、産構審新成長部会と6月頃を目途にとりまとめが
 集中ので、こうした場に反映させていきたい。

                                   以上
 
                               文責:事務局
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