経済産業省
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独立行政法人評価委員会日本貿易保険分科会第3回 議事録

日時:平成13年11月2日(金)15:00~17:00
場所:経済産業省第3特別会議室(本館17F西1)

出席者

(委員)岩村分科会長、岡本委員、木村委員、佐野委員、伴委員

事務局:(経済産業省)
林貿易経済協力局長、鷲見審議官、井上貿易保険課長

(独立行政法人日本貿易保険)
荒井理事長、北爪理事、波多野理事、奥田総務部長、石井営業第2部長、佐藤審査部長

議題

1.役員退職手当支給規則について
2.年度計画の進捗状況
3.4~9月の経営概要

議事概要

(1)役員退職手当支給規則について

岩村分科会長から独立行政法人評価委員会の報告も含め、報告があった。 なお、当該規則については、10月25日、岩村分科会長が各委員からの意見 を集約の上、原案を支持。

(2)4~9月までの運営実績並びに平成13年度の年度計画の進捗状況について

冒頭、日本貿易保険から説明後討議。

【質疑応答部分】

(岩村)滞貨案件を一掃したとのことだが、滞貨案件が無くなればこれから新しいものを 受けていくことになるが、経済産業省時代のいわゆるお役所仕事とは違い新たな形 態の営業が必要となると思うがその点に関してどうか。

(北爪)滞貨案件については一掃した。前年度と比べて保険料は増えているが引受保険金 額は5~6%減少している。我々としては、ベースとなる引受保険金額について落 ち込むのは営業の観点から見ても好ましくないとのことで、お客様のニーズを聞い て我々の方からいろいろなご相談、申請に対して前向きにやっていきたい。役員ベー スで、商社、銀行、外国銀行、部長ベースでも商社、銀行、輸出組合等と積極的に 話し合うようにしている。諸外国の保険会社は個別の会社を回るというのが実態な ので、我々も座して待つと言うことはなくお客様の意見を聞いて積極的に提案して 保険の引受額を伸ばすようにしたい。

また、台湾の新幹線やトルコのパイプラインのような大きい契約がいつでもとれる というわけではないので細かい仕事を重視していきたい。

(佐野)テロの影響を加味した今後の影響はどうなっているのか。

(北爪)引受保険金額が減っているのはテロの影響ではなく、日本の輸出が減っている。 機械類に関しては昨年の同期に比較して増えているものは少ない。ほとんどが前年 比マイナスとなっている。ベースとして上半期の輸出も5~6%減っている。我々 の包括保険も母数が落ちると全体が減ってしまう。テロの影響はこれからだが、割 合大きな案件があるトルコ、イランがどうなるかがポイント。不確定要素が大きい。

協力国だから、貿易額が増えるかもしれないし、危ないと言うことで、減るかもし れない。諸外国では、飛行機の需要が減っているので先行きが心配されているが日 本は航空機輸出がないので、それほど影響は出ていない。

(岩村)イラン、イラク、パキスタン、タジキスタン等の周辺国への引受はこういう事態 があるから停止するのではなく、こういう時こそ引き受けるのか。

(荒井)この点は独立行政法人になって悩んでいる点である。私どもは、独立行政法人に なってきちんとリスクを取って危険が高まると料率を上げるか、条件を厳しくする か、というのが私たちに求められている仕事だと思う。

(岩村)今、料率の話が出たが、こういう事態になると直ちに料率を上げるのか。

(荒井)私どもは今までは上げていない。この点も私たちが、コマーシャルな視点も加味 した機関になるためにどうするか悩ましいところ。民間の保険会社は上げている。

しかし、NEXIが日本の貿易の基盤と言うことであれば上げない方がいい。今後は 個人的には、リスクは上っているのだから料率を上げてその代わり引き受けるとい う方がいい。今までのやり方だと料率は上げないけれど引受はしないということ だった。本当はどちらがいいのか悩んでいる

(岩村)料率というのはどのように決めるのか。

(荒井)NEXIの内部で決めて経済省に届け出ている。

(岩村)特に料率委員会みたいのはないのか。

(荒井)ない

(局長)基本的にはリスクプレミアムと言うことだと思う。日本はそれができてなくて、 引き受けるか引き受けないかと言うようになってしまっている。皆さんがおっ しゃったとおり、料率を上げてリスクをとっていくのが1つの考え方だと思う。

(岩村)詳しくお聞きしたのは、今回のテロは、リスクだから全部が予想できるわけでは ないが、結果が出てからでは結果論になってしまうので、直ちに経営に反映するか は別として、委員の方々に意見をお聞きしたいと思う。

(岡本)料率を上げないで、引受をやめると言う無責任なことを言うよりは、引き受ける 方がいい。

(木村)危機の時何とかしようというので政府でやっているのであり、政府の役割として、 民間でできないことをやり、民間をフォローすると言う考え方もあると思う。そ の際、民間を圧迫せずにどのようにやるかが問題。一つの考え方として、グローバ ルなリスクの部分は民間とぶつかる。ローカル、地理的に限られた近隣諸国の部分 ではぶつからないというスキームはありうると思う。民間ができないところで政府 ががんばりますというのは悪いことではない。

(岩村)ということは、一般的世界貿易においては民間とリンクするのでここを幸いと儲 けるのはだめだが、一方、近隣諸国について、民間ではリスクがとれないので完璧 に止まってしまう場合に料率を考慮して保険を開くのはいいということか。

(木村)近隣諸国が海外投資や貿易でうまくいかないときに助けてあげるのはかなりのと ころまで許されると思う。パンフレットを見ると91年などはかなりの保険金支払 いがあった。今回はそれ以上行くかもしれないが、これくらい大丈夫というのをア ピールした方がいい。

(佐野)私は民間だと言うこともあるし、この様な場合は当然引き受けた方がいい。リス クプレミアムをとっても引き受けした方がいい。国際的にも理解が得られると思う。

(伴)リスクがあるからニーズがある。これは民間の保険会社でも同じで、貿易に対する リスクが高まっているからヘッジへのニーズが高まっている。国益があるからあけ るのではなくてニーズが高まっていることに対して、対応するのがいいと思う。

(岩村)だいたい皆同じ意見だが、要するに周辺地域については保険料をどうするか等、 今後の重要な議題である。その上で国策として据え置くならそれでいいが、むしろ この中の議論では、それなりにリスクを取った上で、引き受けた方がいいというこ と。

(荒井)我々としても非常に悩んでいる点であり、この議論を参考としてやっていきたい。 独立行政法人化して日本の海外取引に役立つような物にしたい。

(岩村)テロの影響もでてくると思うが、予測可能か。

(荒井)世界の保険機関でも中長期の見通しを立てるのは苦労している。プラント等の輸 出でも商談に波があるためである。しかし、彼らはそれなりに予測してできるだけ 見通しを立てている。いままでは非常に受動的だったが、これからは全体の貿易動 向と組み合わせて予測していく事も考える。現在の見通しは残念ながら、去年の数 字の横並びでやっている。

(佐野)経済環境が変わってアメリカも輸出金額が一時的にダウンしている。貿易保険の 引受保険金額は先ほど5%ダウンと言っていたが、これからはそれですまないので はないか?

(荒井)先ほどもお話があったテロの影響だが、一つ目は、直接的な影響としては飛行機 の輸出が減っているので心配している保険機関がある。二つ目は中東地域での商談 が減っていくのではないか。三つ目はアメリカからアジア、中東への輸出が減って 不況になっていくのではないかというマイナス要因がある。逆にリスクが高まり、 ニーズが増えるのではないかというプラス面もある。他の国の保険機関はマイナス 面のほうが大きいのではないかと考えている。

(奥田)先ほど北爪理事が述べた様に、貿易保険の引受金額は5~6%減っている。4~ 9月の輸出金額も5~6%減っている。これらの数字はリンクしている。佐野委員 がおっしゃった30%輸出金額減と言うことからも相当な経営努力が必要。

(岩村)むしろテロ事件の影響で問い合わせは増えているのではないか。

(奥田)NEXIは、民間の保険では負えないリスクを負うものでありテロに関連した相談 は増えている。

(北爪)発展途上国中心に資金繰りが苦しくなってきたところがあり、そういうところが、 海外市場から機器を購入する際に、ボンドを発行してボンドに保険がつかないかと 言うような需要が結構増えてきている。逆に、景気が悪くなると、通常のプラント 輸出が減り、保険の引受も減る。収入をみると、4月から右肩下がりになっている。 8月に増えたのは台湾新幹線であり、それをのぞくとやはり右肩下がりである。ま た、4月が多い原因は滞貨案件があり、また、ブルーストリームと言う大きな案件 があったからである。この様なことから考えると、普段貿易保険を使っていないお 客様への市場開拓の努力が必要。貿易保険は、総輸出の中で今年度上半期で21%。 去年で25%しか使われていないので利用率を高めるように努力をしたい。

(石井)短期の引受と輸出額とは概ねリンクしているが、中長期の輸出案件は一通り終わ るまで最低でも1、2年ぐらいかかる。今、成約しているのは2年ぐらい前からの ものであり、現在の戦争の影響は2~3年後となり、タイムラグがある。台湾新幹 線や、ブルーストリームも2~3年前の案件である。また、貿易一般保険は一括払 いであるが、海事保険は年払いであるなど、若干保種毎に癖があり、その辺もこれ から統計的にどう処理していくか検討課題である。

(岩村)中長期は期間がかかるとのことだが、実際どの時点の料率で保険をひきうけるの か。

(石井)内諾の時の料率でやる。

(佐野)10月の数字はどうなるか。

(成瀬)本店だけの速報値だが保険料収入が約30億円であり、9月より増えている。

(木村)1,2年の赤字を気にせずに10年ぐらいでトントンになるつもりで政府部門の 役割を果たせばいい。OECD、民間、海外ECAとの関係等気をつけなければいけ ないところはたくさんあるが、こういう戦争の時こそ、政府の役割を果たして欲し い。

(岡本)今日の報告があって、NEXIが順調ということでうれしい。お客様のニーズを考 えると言うことで、書類を簡素化し、五月雨式の請求をやめたのもいいことだと思 う。また、HPも大変使いやすくなった。ただ、少し申し上げたいのは退職金規程 の100分の36と言う数字の根拠があるのかどうか尋ねたところ、あまり根拠が 無く、他の法人との横並びと言うことであった。考え方として、せっかく政府から 独立したのに横並びというのは考え方としてよくないのではないか。アンケート調 査だと、前よりよくなっているというのはいいことだが、比較の対象が悪いのでは ないか。

(岩村)退職金の水準は、難しい問題である。結局、総額でいくらもらうか、定期報酬と 賞与と退職金の総額でいくらかと言うことが大事。それを踏まえると、退職金を多 くもらうのは在任期間の最後に業績評価として判断されるので厳しいタイプではな いかと思う。一方、退職金が少ないタイプは毎年業績評価をし、過去の分は返せと 言われないこともあり、信賞必罰的ではない。

(北爪)この間、ベルン・ユニオンの総会に行ってきたが、そのなかでレプュテーション・ リスクと言うのがありまして、図らずも保険機関がつねに言われているのは、 alwaysoffcover、premiumtoohigh、slowtorespondということでありま して、それは、何かあると、窓を閉めている。輸出者から言うとプレミアムが高い。

レスポンスが遅いということである。これからの競争の中ではそのような事を直し ていかなければならないというのが、イギリス、カナダの保険機関からあった。我々 としても、保険料やリスクを取るというのはどうするか議論が必要だが、他にも早 くレスポンスをすると言う努力が必要。職員だけではなく、お客様へもアンケート をとって早いレスポンスができているかどうかを調べていくようにしたい。

(伴)信用リスクつまり引受におけるバイヤーの格付けというのが手法は銀行と同じとい うことだが、具体的にどういう作業で見直しをしているのか。また、レスポンスを 早くするようなシステムを考えているのか。

(荒井)バイヤーの格付けは4つのグループに分けている。第1は相手が政府かどうか。 第2は、民間企業かどうか。これはいい企業かどうかで5分類している。第3は、 相手が銀行かどうか。銀行が保証を出しているかどうか。銀行の中でもいい銀行と 悪い銀行と二つにわけている。第4は、よく分からないぺーパーカンパニーやでき たての会社と言う風に分類している。民間の会社でよく分からないところはDUN 等民間信用調査機関で情報をとってきて格付けを決める。ここまでは銀行と同じ手 法。どこが違うかというと、ここから先。銀行の場合には総合的にコンピューター を使って与信管理をしているが、NEXIはそのようなシステムを作り始めたところ。

(岡本)B/Sで貸倒引当金が2659億ほどあるが、普通の場合、例えば製造業はこの様な割 合で積まないし、5月のB/Sでは積んでいなかったがどうしてか。

(奥田)NEXIは国から出資債権をもらっており、それを評価して、1043億円となってい る。出資債権とは、将来回収見込みがないものも含めた債権であり、それを国から 出資している。したがって、全てが現金化できるわけではないので、貸倒引当金と 言う形で積んでおかないと実態を表せない。その結果、出資債権と評価額の差を貸 倒引当金として積んだ。ということで通常の積み方とは全く違う。

(岩村)バランスシートをみて思うのは、これに対して議論することによって業務の内容 や事業に対する理解が深まる。この様なことは、以前の国営保険では無かった。独 法化していいところだと思う。時間も迫っているので、皆さんの意見が無ければこ の辺で終了としたい。今回は、特にテロに関係する紛争地域に関してお話しいただ いた。今日の様な議論になるかは別として、四人の先生方の意見を踏まえて、業務 に取り組んでいただきたい。

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