日時:平成14年8月28日 場所:経済産業省本館17階第1~3共用会議室 議題:『平成15年度経済産業省の重点施策』について 『平成15年度経済産業省の重点施策』について石毛総括審議官から説明の後、自由討議。委員からの主な意見は以下の通り。
- 産業構造転換を図る上で本質的な課題は、高度な人材をどう確保するか。「人」の問題に焦点を当てた政策展開を図るべき。シリコンバレーやテキサス州オースチンなどに見られるように、海外からの知的人材等を引き寄せるために住環境や文化的刺激のあるクリエーティブな雰囲気も考えた言わば「生態系」作りが必要ではないか。
規制改革特区構想があるが、プロフェッショナルな技術者や弁護士がビザをとりやすく、海外での資格の相互認証が行えるだけでなく、住環境の整備等も含めた専門人材の吸引力のある特区作りが重要。報道では、特区は各地方に数多く作られるようだが、国際的に魅力のある拠点は数箇所程度が限界。バラマキ的にならないよう、選択と集中が必要。
- 企業の競争力を支えるのは先端技術ばかりではなく、実際にもの作りする人の技能であり、暗黙知。政策的に、もの作りに携わる労働者が尊敬されるような処遇を与えることが大切。高齢者OBの知識やノウハウが中国等に流出していることにも目をむけるべき。
雇用は悪化している。いわゆる生産性の高い競争力のある分野は雇用吸収力が少ない。重点分野の議論をする際には、必ずしも生産性は高くないが、雇用吸収力のあるサービス分野を伸ばす視点や、ワークシェアリングの導入の視点なども重要。
- 高齢化社会が進展する中、商店街の役割はますます重要になっているが、消費が低迷し、地方の商店街が不振に陥っている。原因として郊外の大型商業施設の存在や大店法の廃止により休日開店があたりまえになったことなどがある。
個人消費の面では消費税の重税感等がある。個人消費を拡大させるため、例えば消費税を一旦引き下げてその後段階的に引き上げていくことや、現状ではカルテルのおそれがあり難しい内税方式への一本化を円滑にする策などを検討すべき。
- 日本の今後の課題としてヒト・モノ・カネを生産性の高い分野に移動させることが肝要。その際、市場の資源配分メカニズムを信頼したアプローチではなく、人為的・裁量的な産業政策的アプローチに頼りすぎの印象がある。従来の成功モデルかも知れないが、それが却って効率的な資源配分を阻害してきた可能性もあり、今後の税制改正において公平・中立・簡素という議論を進めていく中で、人為的な政策減税が市場に及ぼす歪みの有無につき検証が必要。また、赤字法人への課税ベースの拡大といった問題も含め法人税減税の問題をどう考えるかについて正面から触れた骨太な経済産業政策の検討を期待。
- ASEAN、韓国等との自由貿易協定の締結とあるが、中国に対する視点が抜けている。
デフレ経済で国内市場に魅力がないため対内直接投資の誘致は益々困難な状況であるが、WTOにおける投資協定についてはもう少し力を入れて検討すべき。
- 企業の不祥事が相次いでいる中で、コンプライアンスというが遵法は当然。企業の社会的責任・倫理等に関する理解を深める政策が必要ではないか。本審議会としてメッセージを発するだけでも意義があるのではないか。
- 中小企業では相続税負担に耐えられず相続放棄するケースが続出している。中小企業の事業承継税制の抜本強化を要望する。特に自社株に対する相続税に重税感がある。新しい経営者による「第二創業」という中小企業存続の観点から、中小企業の経営者が所有する自社株の相続に際しては、時価ではなく帳簿価格で評価する等の抜本的な措置を講じてもらいたい。
- 行政のアウトソーシングによる効率化は必要だが、NPOを安価なアウトソース先としてとらえた位置づけは疑問。NPOは単なる雇用の創出の場としてではなく、社会的価値を評価する等、行政に代替する存在としての位置づけが必要。
委員からの意見に対して事務局側から一括して回答。
- 海外の有為な人材を引き寄せるためには住環境の整備も含め総合的な対応が必要であることは委員ご指摘のとおり。例えば、一部では査証(ビザ)取得資格の緩和や技術者の資格相互認証も始めており、ご指摘を踏まえより適切に対応したい。特区については、規制緩和の実験を先行的に行い成果を確認したものを全国に広げることを目的としており、財政的負担を伴わないものとの整理。従って、ご指摘のような「バラマキ」になるおそれは少ないと思うが、ご指摘の趣旨を踏まえ効果的な進め方を検討してまいりたい。
雇用創出の観点からは、ご指摘のとおり、ビジネス支援や生活支援サービス分野が期待されるところ。最低資本金規制の緩和などによる新規事業創出策により、これらのサービス分野での創業が促進され、雇用創出効果も期待できる。ワークシェアリングについては、多様な就業の環境整備の観点から検討してまいりたい。 消費税については、直間比率のバランス等大きな税構造にかかわる問題でもあり、率を下げたり上げたりするのがよいかは別として、真剣な議論が必要と認識。 法人税の扱いについては、政策介入を極力減らしマーケットメカニズムを最大限活用するべきとのご指摘も踏まえ、引き続き議論していくことが重要と認識。米国では、一般的な試験研究税制のようにミクロの政策介入余地の無い政策減税を法人税率の引下げよりも先に採った例もあり、単純な税率引下げとの順番については議論の余地のあるところ。今秋以降、経済財政諮問会議でも大きな課題の一つとして扱われることから、今後議論を深めていきたい。 企業の倫理については、問題意識が高まってきている。企業の情報公開が進むよう、また、経営者に高い倫理感を持ってもらうよう、どのようなことができるのか考えていきたい。
- 経済産業省の設立に伴い製造産業局というものづくりのための組織もでき、また、ものづくり基本法、それに基づくものづくり白書の発表という形で、ものづくり現場の重要性についての認識は浸透してきている。
ご指摘のものづくり現場のOB活用については、例えば、ベンチャー企業やODA事業といった形で、高齢者のノウハウや技術を欲しがっている人のところに生きがいの持てる活躍場所を見つけてくることができるのではないかと考えている。商店街対策については、いわゆる「街作り三法」と呼ばれるパッケージで支援している。これまでに500近い基本計画が出てきており、うまく行っているところ、そうでもないところなど成果が見え始めたところ。 今後は、成功例、失敗例を吟味し、木目細かく政策に反映して参りたい。特に、高齢化した消費者からのニーズなどはご指摘とおりであり、良い計画作りを促し、商店街の再活性化に役立てたい。また、商店街対策の観点からも大型空店舗対策も同じく重要と認識。
- 中小企業承継税制については、ご指摘にあったような相続税の一環としての位置づけではなく、その事業を伸ばしていく観点から取り組んでいるところであり、引き続き現行の制度で不十分なところについては、海外の制度等も参考にしながら、抜本的な拡充を計ってまいりたい。
- 東アジアビジネス圏構想については、最大の成長市場である中国を意識しつつ、中国-ASEANのFTA構想の進捗も見ながら、シンガポール、韓国といった順で戦略的に構想を進めたいとの考え。また、対内直接投資の問題に関しては、次期WTOにおいて投資協定が最重要課題の一つであると認識しており、真剣に取り組んで参りたい。
- 資料編纂の都合から、誤解を与える表現となっているが、NPOに関しては行政の安価なアウトソーシングのために存在するわけではないことはご指摘のとおり。ご指摘を踏まえ対応して参りたい。
以上 (問い合わせ先) 経済産業政策局産業構造課 03-3501-1626 ▲ 審議会全体トップ |