経済産業省
文字サイズ変更
審議会

産業構造審議会知的財産政策部会経営・市場環境小委員会(第1回) 議事録



1.開 会

○小宮知的財産政策室長 それでは定刻となりましたので、産業構造審議会知的財産政策
部会経営・市場環境小委員会第1回会合を開催いたします。
本小委員会につきましては、本年7月上旬に、産業構造審議会知的財産政策部会委員各
位に当小委員会の設置について御審議いただき、設置が決定されております。
委員長につきましては、産業構造審議会運営規程により、部会長が指名するものとされ
ておりますけれども、今回、中山信弘部会長から本小委員会委員長としまして、一橋大学
イノベーション研究センター・長岡委員のお名前を御指名いただき、御本人からも御了承
いただいておりますので、長岡委員に委員長をお願いしたいと思います。

2.委 員 長 挨 拶

○小宮知的財産政策室長 それでは、長岡委員長、一言ご挨拶をお願いいたします。
○長岡委員長 大変僭越ですけれども、御指名ですから、委員長を引き受けさせていただ
きます。
本委員会というのは、私の理解するところでは、事業戦略と研究開発戦略と知的財産戦
略と統合問題、それから、知的財産の資本市場へのシグナリングの強化といった非常に新
しい問題に取り組むというふうに承知しています。これは従来の知財の検討の枠組みを少
し超えたような問題だと思いますので、非常に学際的ですし、それから、知財の専門家と
それ以外の専門家の見識の結集が必要だと思っております。
ということで、活発な御議論をお願いして私の挨拶とさせていただきます。よろしくお
願いいたします。
○小宮知的財産政策室長 ありがとうございました。
それでは、これからの議事の進行を長岡委員長にお願いしたいと思います。


3.産業構造審議会知的財産政策部会経営・市場環境小委員会委員御紹介

○長岡委員長 承知いたしました。
本日は第1回の委員会でありますので、まず、事務局から委員の皆様の御紹介をお願い
いたします。
○小宮知的財産政策室長 それでは、御紹介いたします。
まず最初に、武田薬品工業株式会社取締役兼知的財産部長・秋元浩委員。
次に、日本弁理士会副会長・伊藤高英委員。
続きまして、旭硝子株式会社知的財産部長・上野徹委員。
続きまして、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科企業システム専攻助教授・岡田依
里委員。
それから、山梨大学大学院工学研究科持続社会形成専攻教授・長田洋委員。
続きまして、阿部・井窪・片山法律事務所弁護士・片山英二委員。
続きまして、富士通株式会社法務・知的財産権本部長代理・加藤幹之委員。
続きまして、日本政策投資銀行新規事業部長・小林賢次郎委員。
続きまして、経営法友会副代表幹事・齋藤憲道委員。
続きまして、日本商工会議所常務理事・篠原徹委員。
続きまして、日本労働組合総連合会経済政策局長・須賀恭孝委員が御出席の予定でござ
います。
続きまして、麗澤大学国際経済学部教授・髙巖委員。
続きまして、株式会社ジャパンデジタルコンテンツ代表取締役社長・土井宏文委員。
続きまして、日本経済新聞社論説委員・永岡文庸委員。
続きまして、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授・永田晃也委員。
続きまして、新日本監査法人代表社員公認会計士・二村隆章委員。
続きまして、みずほ証券株式会社財務商品開発部新商品開発室次長・林繁樹委員。
続きまして、社団法人日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産問題部会長・丸島儀
一委員。
○丸島委員 丸島でございます。今御紹介いただきました知的財産問題部会の「問題」が
とれましたので、訂正をお願いします。
○小宮知的財産政策室長 失礼いたしました。
続きまして、旭化成株式会社専務理事知的財産部長・山田和見委員。
続きまして、ソニー株式会社知的財産部担当部長・小倉稔也委員は本日御欠席のため、
代理として日本知的財産協会知的財産管理委員会副委員長・小林誠様が御出席されており
ます。
また、東京エレクトロン株式会社マーケティング本部本部長・松岡孝明委員の代理とし
まして、東京エレクトロン株式会社法務知的財産部知的財産担当部長・菅俊彦様が御出席
されております。
また、日産自動車株式会社知的財産部部長・峯崎裕委員の代理としまして、日産自動車
株式会社知的財産部主幹・河本健二様が御出席されております。
なお、慶應義塾大学総合政策学部教授・榊原清則委員、名古屋大学大学院法学研究科教
授・鈴木將文委員、株式会社UFJ総合研究所顧問・御船昭委員は御欠席でございます。
以上でございます。
○長岡委員長 ありがとうございました。皆様、活発な御議論をお願いいたします。

4.経済産業省経済産業政策局審議官挨拶

○長岡委員長 次に、議事に入る前に、桑田審議官から一言ご挨拶をお願い申し上げます。
○桑田経済産業政策局審議官 本日は誠にお忙しいところお集まりいただきまして、あり
がとうございました。事務局を代表いたしまして、一言だけご挨拶を申し上げたいと思い
ます。
知的財産戦略につきましては、後ほど資料の方にもございますけれども、去る7月に総
理の下で、知的財産戦略会議を2月以来議論してまいりまして、その中で「知的財産戦略
大綱」というものが決められてきております。その目標が、2005年までに我が国の方でさ
まざまな制度整備をして、2010年をめがけて、知的財産立国を樹立したいということでご
ざいます。
知的財産制度だけではなくて、基本的には知的財産をもとにして、サービス、製品の高
付加価値化をねらって経済、社会の活性化を図るということでございます。私ども経済産
業省の立場で申し上げますと、何とか現在の低迷する経済の中で国際競争力を強化して、
産業や経済の活性化に役立ちたいということでございます。
現在、この「知的財産戦略大綱」に基づきまして、政府内では各省分担して、施策の実
施に向けて取り組みを進めておるわけでございます。当省におきましても、来る臨時国会
におきまして、知的財産基本法を政府で内閣提案させていただきますけれども、あわせま
して次期通常国会に向け、私どもは特許法・不正競争防止法の改正に向けて、産業構造審
議会の別の小委員会を設けまして、現在御検討いただいている最中でございます。
しかし、知的財産立国というのは、いかに保護する為に法を強化するかというだけでは
なくて、プレーヤーでございます企業の方が有効かつ適切に活用していただくということ
ではなかろうかと思います。なかなかこれまで、知的財産の戦略的な取得・管理とか、営
業秘密の管理とか、技術流出の防止といった観点につきまして十分な議論が行われてきた
とは思いません。
したがいまして、私どもとしましてはこの小委員会におきまして、できればそれぞれに
ついて指針のようなものを策定に向けてさまざまな議論をしていただき、知的財産の情報
開示、さらには特許権流動化に向けまして、制度運用改善を実施するようなアクションプ
ランにまで結びつけられたらなと考えております。
そういう意味で経営・市場環境小委員会には、本日御出席の皆様、多分委員の方々同士
で御存じの方も多いと思いますけれども、日本で最もこの面において専門的な知識を有さ
れ、経験も有されている方に御参集いただきました。私どもとしては精一杯事務局として、
この小委員会の御議論に役立つよう資料等を整備していきたいと思いますが、皆様におき
ましても大変お忙しいと思いますが、この小委員会に御出席いただき、我が国の経済活性
化に向けて、企業として戦略的な知的財産の活用について御提言いただければと思ってお
ります。どうぞよろしくお願いいたします。

5.審議内容の公開について

○長岡委員長 ありがとうございました。
具体的な審議に先立ちまして、配付資料の確認、委員会の審議内容の公開の方針につい
て事務局から御説明をお願いいたします。
○小宮知的財産政策室長 資料の確認をいたします前に、今菅委員がいらっしゃいました
ので御紹介させていただきます。
それでは、配付資料の確認をさせていただきます。ちょっと分厚いのですが、資料を出
していただきますと、まず配付資料一覧がございます。資料1から資料15までございます。
もし不足がございましたらお申し出いただきたいと思います。
それでは、早速でございますけれども、資料3に基づきまして、本小委員会の審議内容
の公開について御説明させていただきたいと思います。
本小委員会においては、委員各位の率直かつ自由な意見交換を確保するために、以下の
とおりとしたいと考えております。まず、一般の傍聴は認めない。資料については、終了
後、公開する。議事要旨は、終了後に事務局で作成して、ホームページ等を通じて公表す
る。議事録については、公開前に発言者の了解を得た上で、発言者を明記して公開する、
という形にさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○長岡委員長 今御説明がありましたけれども、この委員会の審議自体については一般の
傍聴は認めないこととしますが、配付資料、議事概要、議事録を通じて小委員会の審議状
況を公開する方針でいくということですが、よろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕
○長岡委員長 ありがとうございました。

6.当小委員会の検討事項について
7.知的財産の取得・管理指針について
8.営業秘密管理指針について
9.技術流出防止指針について

○長岡委員長 それでは、具体的な審議に入りたいと思いますが、まず、最初に事務局か
ら御説明をお願いいたします。
○小宮知的財産政策室長 それでは、初めに資料4に基づいて当委員会の検討事項につい
て御説明させていただきます。続けて、資料5から7に基づいて、戦略的なプログラム策
定のための参考となるべき指針について、背景、問題意識、検討に当たっての考え方等に
ついて御説明させていただきます。
まず、資料4をごらんいただきたいと思います。資料4は、7月9日に、知的財産政策
部会において、本日開かれております経営・市場環境小委員会の検討事項が了承されてお
ります。これは後でまた背景説明をいたしますが、知的財産戦略大綱に盛られたもののう
ち、知的財産の取得・管理指針、営業秘密管理指針、技術流出防止指針を本年度内に取り
まとめ、公表するというのが第1の検討事項でございます。
次に、知的財産に関する情報開示でございますが、ここにございますように、本年度内
に情報開示の方法、項目を検討して、その後、産業界に試験的に提示する。知財戦略大綱
においては、来年度この情報開示について指針を策定することになっておりますが、当面、
今年度内については、産業界に試験的に提示するためのものを検討するという形になって
おります。
3点目、特許等の流動化については、特許等を流動化するための制度上・運用上の問題
点の解明と対応策について、本年度内に検討を開始することになっております。
その他、知的財産の経営に係る事項という形になっているところでございます。
参考として後ろに、先ほど申し上げた「知的財産戦略大綱」、それから、我々の知財戦略
のベースとなっております「産業競争力と知的財産を考える研究会報告書」の関連部分の
抜粋がございますので、適宜御参照いただければと思います。
それでは、3つの指針について御説明したいと思います。本日の構成は2つに分かれて
おります。まず最初に事務局の方から資料5、6、7について、今年度内に取りまとめて
公表する予定になっております参考となるべき3つの指針について御説明をしたいと思い
ます。その後質疑応答がございまして、知財に関する情報開示、特許等の流動化について
は、それぞれ御専門に今研究調査をお願いしております委員の方から御発表がある、こう
いう形にさせていただきたいと考えております。
それでは、知的財産の取得・管理に関する指針の策定についてという資料5をごらんい
ただきたいと思います。
1の課題の枠囲みにございますように、この大綱においては、知的財産を経営戦略の中
に位置づけるということで、参考となるべき指針を2002年度中に策定することになってお
ります。このバックグランドについて御説明したいと思います。クリップをはずしていた
だきまして、別紙1、別紙2、別紙3がございます。
まず別紙1をごらんいただきたいと思います。これはOECDのデータをベースに、80
年代と90年代の研究開発費の伸びと、事業と生産性の伸びの比較をしたグラフでございま
す。一目でわかるのは、先進国は研究開発すればそれに応じて競争力が増しているわけで
すが、なぜか日本は、そういう形になっていないというのが一目でわかるわけでございま
す。
次のページでございますが、これは本日御欠席の榊原委員が発表された論文の中から転
載させていただいておりますが、研究開発の効率が低下しているというグラフでございま
す。5年間の移動平均をとった形になっておりますが、要は研究開発費で営業利益を割っ
た数字が、年を追うに従って低下しているのが見てとれるわけでございます。
次のページでございます。研究開発と三極の共通特許出願状況を見ると、枠囲みにござ
いますように、国内出願に対する外国出願の数が非常に低い。研究開発費も低い。例えば
このグラフで見るように、日本も研究開発費が伸びているわけですが、米国、EUもそれ
ぞれ伸びているわけでございます。ところが外国出願を見ると、下のグラフにございます
ように、日本は国内は非常にたくさんの出願が出ているわけですが、外国には出ていない。
4ページに参りますと、三極共通出願件数で、これはアメリカで特許がとれたものにつ
いて、日本、ヨーロッパそれぞれで出願がなされているかどうかを調べた数でございます
が、米欧に比べて日本が低い。分野別に見ると、下にございますように例えば電子部品等
についてはヨーロッパを上回っているものがございますが、ほかの分野はすべてヨーロッ
パ、アメリカより下という形になっておりまして、我が国の産業競争力を考える上におい
て非常に問題があるのではないかと推察されるわけでございます。
ところが5ページに参りますと、近ごろ選択と集中ということがつとに言われているわ
けですが、これについては本日参考資料としてお配りしております別の部会、新成長部会
の「中間とりまとめ」から抜粋しております。簡単に言いますと、選択と集中が利益を上
げる一つの大きな要素になっているということが書かれております。
それから、資料12として配付させていただいておりますが、これは内閣府、経済財政諮
問会議から委託を受けまして、経済産業研究所で行った調査でございます。簡単に言いま
すと、企業トップが企業としてやらないこと、やめなければいけないこと、やるべきでな
いことを問われたときに、それが明確になっているかどうかというのが、どうも企業の優
秀さをはかるメルクマールになるのではないかということがうたわれているわけでござい
ます。簡単に申しますと、事業ドメインがはっきりしているかどうかというところが、い
い企業かどうかのポイントになるということでございます。
ところが、(2)でございますが、これは上記にある新成長部会の、まとめるに当たって
当省から調査委託した結果がございますが、80年代と比べて90年代になると、研究開発
の収益性が高いほど事業の収益性も高い。先ほど出てまいりました営業利益を研究開発費
で割ったものをプロットしてみますと、80年代に比べて90年代は非常に高い相関がグラ
フ上で見てとれるわけでございます。
6ページに参りますと、この委員会は知的財産の委員会でございますので、先ほどの収
益と研究開発費の比を特許という関係で因数分析したのがこの式でございます。D分のr
というのはD分のPとP分のr、つまり研究開発費当たりでどのぐらい特許がとれるか、
1件の特許でどのぐらい収益が上がるか、という形に因数分析ができるわけでございます。
別紙2をごらんいただきたいと思いますが、すべての産業について本来はやるべきなん
ですが、非常に特徴があらわれているものとして、IT分野と医薬品分野のプロットをし
ました。別紙2の頭はIT分野でございますが、非常におもしろいのは、離れたところに
ぽつぽつといる会社は割合と専業で、ある意味で特徴のある会社がいるわけですが、他の
IT分野の会社は、左下の方に非常に固まっているわけでございます。ただ、それでも端
っこ、この右上にあればあるほど先ほどのD分のrが高くなるわけでございますので、そ
ういう意味では、右上にあればあるほどいい会社というふうに見てとれることができるわ
けであります。
この枠で囲った中を虫眼鏡のように拡大して総合電機メーカーだけとったのが次のペー
ジでございます。おもしろいのは、総合電機メーカーだけとると、特許1件当たりの営業
利益は余り変わらないようでございます。これは多分経験的にはクロスライセンスが非常
に多く行われていることから、一つの特許だけで重きを挙げるのはなかなか難しいという
ことをあらわしているのではないかと思います。他方で、研究開発投資額に対する特許の
登録件数は会社によって差があります。そのあたりは、絞り込みができているかできてな
いかも関係があるかもしれないということが推察されるわけでございます。
もう一枚めくっていただきますと、今度は医薬品の分野でございます。まず縮尺が全然
ITとは違うということをごらんいただきたいと思います。左側の縦軸にほとんどみんな
張りついてしまっております。これは何をあらわしているかというと、莫大な研究開発費
をかけないと1件の特許がとれないかわりに、ホームランが出るとものすごく利益が出る
ということをこのグラフはあらわしているわけでございます。
もう一回もとの資料に戻っていただきますと、したがいまして、ITの分野と医薬品の
分野はかなり特許と研究開発費の関係が違うわけでございまして、この2つの産業を同時
に一つのものとして議論できるかどうかは、今後考えていかなければいけないところかと
思います。
それから、(4)は米国における特許取得状況から見た「選択と集中」でございます。こ
れは色刷りのグラフがございます。アメリカの特許の取得状況を分野ごと、これは下に番
号が振ってあって、後ろに番号の意味する分野が書いてございますので御参照いただきた
いと思います。便宜的に上のグラフはコピー、プリンターの分野を手がけておられる会社
を並べてみました。下は半導体もしくは総合電機を並べております。
非常に特徴的なのは、上のグラフを見ますと、キャノンがいろいろな分野で突出した特
許を登録しておられる。分野ごとではHPが追随している、もしくはゼロックスが追随し
ているところがあります。この同業他社と比べて、キャノンが圧倒的な特許をとっている
ことが一目瞭然でございます。
他方、下のグラフを見ますと、突出しているのがIBMでございまして、一つの分野で
他の追随を許さない特許をとっているわけでございます。我が日本企業の中でも、ソニー
は多少そういうところが見てとれます。ただ残念ながら他の会社は、基本的にほかの会社
がやっている分野に自分も特許をとっている傾向が見てとれるわけでございます。IBM
にしろ、キャノンにしろ、この知財戦略の中では引き合いに出されることが多い企業であ
りますが、そのあたりアメリカの特許の取得の状況からもかいま見ることができるという
ことでございます。
もう一回資料5の紙に戻っていただきたいと思います。こういうことを背景として、こ
の指針の策定に向けて整理すべき課題が幾つかございます。まず第1に指針の意義でござ
いますが、先ほど申し上げたように「選択と集中」が大事であろうかと思いますが、そう
すると知財戦略は経営戦略とか技術開発戦略と一体不可分のものとして考えるべきではな
いかと思います。そのため、この指針のターゲットを「選択と集中」の下で技術開発戦略
を実施するために必要な知財戦略とすべきではないかというのが第1の問いかけてござい
ます。
第2の問いかけは、指針の対象層でございます。企業の知的財産担当部門向けの取得・
管理マニュアルではなくて、経営層にある者が企業価値最大化の観点から本指針を戦略的
に活用することができるよう、経営者が読むことを念頭に置いた内容・構成とすべきでは
ないかというのが2番目でございます。
それから、3番目の指針の対象技術分野でございます。先ほど御説明したように、単独
特許活用型とクロスライセンス主体型では大きな違いがあるわけでございます。それから、
先端技術分野と成熟技術分野でも違いがあろうかと思います。
そうすると、下に模式的にマトリックスであらわしたように4つの象限に分かれる形に
なろうかと思います。まず単独特許活用化かクロスライセンス主体型かについては、特に
いずれかのタイプに偏るのではなく、基本的には双方を念頭に、共通事項を抽出する方向
で対応することが必要ではないかと思います。他方、先端技術分野か成熟技術分野かにつ
いては、今後、我が国企業の競争力を支えるのは先端技術であるという認識のもとに、本
指針については、先端技術を中心に検討すべきではないかというのが第3番目の問いかけ
でございます。
1枚めくっていただきまして、第4番目でございます。対象となる知的財産の範囲でご
ざいますが、まず技術を産業競争力の要素としてとらえる観点から、特許権の取得・管理
を中心に本指針を検討すべきではないか。また、商標権、意匠権、著作権、営業秘密その
他の知的財産については、準用可能な事項を明確化すべきではないかということでござい
ます。
第5の問い掛けでございますが、指針に基づき企業の自主的取り組みを促進する方法で
ございます。本指針は、「参考となるべき指針」との位置づけでございますので、強制力を
有するものではございません。この点にも考慮して、自主的な取り組みを促進するための
方策としてどのような手法があるかどうかということについて御議論いただきたいと思い
ます。例えば、この指針を今年度策定するわけでございますが、その後に、さらに標準規
格化をすることにより、市場における企業の取り組みに対する評価指標とする手法も有益
ではないかということを提示させていただきたいと思います。
3.として指針の構成例として一案を挙げてありますが、これについては本日、忌憚の
ない御意見を賜りたいと考えております。
次に資料6について御説明したいと思います。営業秘密管理指針の策定についてでござ
います。
課題としては、大綱にありますように、2002年度中に営業秘密に関する管理強化のため
の戦略的プログラムを策定できるよう、参考となるべき指針を作成するという形になって
おります。
2.の背景のところでございます。ここにございますように企業の約2割がトラブルを
営業秘密に関連して経験しております。
次のページに参りますと、そのときのトラブルの相手方でございますが、従業員もしく
は元従業員が半数以上を超えているわけですが、さらに同業他社の場合もあろうかと思い
ます。
問題となった営業秘密でございますが、技術情報、営業情報の双方にわたります。下の
円グラフのように、やはり多いのが④の設計図・製法、それから、顧客名簿、ノウハウと
いうところが問題となっているようでございます。
企業内の情報化が進展しているわけでございますが、ほかの課が行った情報処理実態調
査によると、ネットワーク、インターネットの利用状況については、LANの導入率が94%、
インターネットに接続している企業が91%ということで、非常に情報が漏れやすい状態に
なっていることがうかがい知れるわけでございます。
3ページでございますが、転職希望者比率、転職者数それぞれについて増加傾向にある
わけでございまして、そういう意味では10年前とは比較にならないほど、企業自身の管理
の重要性が増してきているわけでございます。
こういう実態を踏まえて、検討の視点にございますようにいろいろな論点があるわけで
ございます。第1の視点でございますが、自社の営業秘密管理のみならず、他者から受領
した営業秘密の取り扱いについても検討すべきではないかということでございます。
2番目は、指針は、過去の営業秘密関連の訴訟の判例を踏まえたものとする。いわゆる
「ミニマム水準」の提示をまず行うべきかと考えます。あわせて、国際的な秘密管理の動
向などを踏まえた「望ましい水準」も提示すべきではないかと思うわけでございます。
3番目に、人材流動化に対する影響についても考慮します。
4番目に、本指針は、「参考となるべき指針」との位置づけであります。したがいまして、
先ほどの知財の取得・管理の指針と同様に、例えば指針の策定後に、標準規格化するとい
う手法もあるのではないかと考えるわけでございます。
4ページでございます。上記指針の検討の視点がありますが、実は営業秘密の指針につ
いては参考となるべき資料がございます。これは平成2年に不正競争防止法が改正されま
して、営業秘密の保護というのが新しく導入された後に、経営法友会、企業の法務部長の
集まりがございますが、そこで自主的に「営業秘密管理ガイドブック」が出されておりま
す。本日、資料の13としてお手元に配付されております。非常に大部なものでございます。
こういうものを一つ検討のベースとして、実は我々事務局サイドでも、財団法人知的財
産研究所の方に少し委託調査を投げて、それで研究を進めているわけでございます。そう
いうところを踏まえつつ、例えばここにございますような項目案を考えることができよう
かと思います。これについて少し説明させていただきます。
まず、概説として指針の意義と背景がございます。指針を作成するに至った背景を概観
するとともに、営業秘密の管理強化が、産業競争力の強化に資する。それから、自社の営
業秘密のみならず、他者の営業秘密も尊重すべきこと等を記載してはどうかと考えており
ます。それから、先ほど申し上げましたように「ミニマムレベル」と「望ましいレベル」
を提示するということを記載すべきではないか。
それから、概説の2として不正競争防止上の営業秘密の保護で、不正競争行為の概要を
記載いたします。
次に、第2として営業秘密の範囲でございます。まず営業秘密として保護されるための
要件でございますが、秘密管理性、有用性、非公知性の3要件について記載いたします。
次に、営業秘密の種類でございますが、営業秘密の種類について、生産方法、販売方法、
その他の事業活動に重要な情報に分類した上で、それぞれについて具体例を挙げて記載す
べきかと思います。
次に、他社の情報の取り扱いでございますが、他社の情報の受領時・使用時の注意事項。
例えば契約違反となるような使用目的での使用を制限する等、について記載すべきかと思
います。
次に、営業秘密の帰属でございます。営業秘密は、特許権・著作権等のように法的権利
を付されたものではないことから、営業秘密がだれに帰属するのか必ずしも明らかではご
ざいません。このため、可能な範囲においてその帰属の考え方を記載すべきというふうに
思います。
第3として営業秘密の管理でございます。その1として秘密管理性の要件でございます。
営業秘密の秘密管理性に関する最近の判例について整理・分析いたします。
次に、2として具体的な管理方法でございます。総論として、営業秘密が外部に漏洩す
る形態についてわかりやすく整理するとともに、秘密のレベルと、レベルに応じた管理方
法の紹介、各種の認証を得るために必要とされる要求項目についても記載してはどうかと
思います。
次に、各論として物的・技術的管理、例えば営業秘密であることの明示、アクセスの制
限等。それから、組織的な管理、例えば責任の体系の明確化、組織体制の整備。それから、
人的管理は、従業員、退職者、転入者ごとの管理。それから、法的管理、就業規則、秘密
管理規定等、それから、社内教育のあり方について記載すべきかと思います。
いずれにしても、これは一つの提示している項目案でございますので、これについて本
日御議論いただければ幸いでございます。
最後の資料7でございます。ちょっと長くなって恐縮でございます。
資料7は、技術流出防止指針の策定についてでございます。課題については大綱の抜粋
を書いてございますが、企業のノウハウをはじめとした技術の海外への「意図せざる」移
転の防止を図るため、企業の技術管理・活用戦略のあり方について、企業自らが各企業内
の組織整備等を含む戦略的なプログラムを策定できるよう、参考となるべき指針を今年度
内に公表するということが記載されております。
背景及び問題意識でございますが、経済のグローバル化の進展、アジア市場へのビジネ
スチャンスの拡大等から海外展開が増加しており、これが一層拡大する傾向にある。した
がって、コア技術、ノウハウが流出する危険性は一層増大しております。
下には、海外生産比率のグラフがございます。
2ページに参りますと、ヒアリング調査の結果がございますが、移転先としては、中国、
東南アジアがあります。業種としては、特に量産型家電機器・機械の移転が加速している。
それから、量産段階の移転が中心である。研究部門については欧米が中心だけど、他方ア
ジア地域の移転は、現段階ではない。こういったことが特徴として挙げられております。
次に、(2)しかしながらということでございますが、我が国の産業競争力強化、中長期
的観点からの企業利益確保のためには、戦略的な対応が必要ではないか。各企業において、
技術優位性を確保しつつ保有技術やノウハウ等を戦略的に移転していく意識を高めること
が重要ではないか。
(3)技術移転の現状を見たときに、知的財産法保護が弱い地域に対する「意図せざる
技術流出」が産業競争力に悪影響を及ぼしているのではないか。特に、矢印にございます
ように模倣品等の製造を助長している、もしくは途上国の技術力を不必要に向上させてい
る、技術流出が自社のみならず他社・他業種への影響を与えているという指摘もあり、技
術移転に当たって十分な管理を行って実施することが必要ではないかという問題意識があ
るわけでございます。
事例として2ページの下からありますが、先端技術の進出を要望されて、技術評価が十
分でないままに進出した結果、技術が流出してしまった。それから、現地資本と合弁した
ら結果的に技術流出が起こってしまった。
3ページでございますが、ライセンスの及ぶ範囲・地域等について契約上明確でなかっ
たために、意図した範囲を超えて技術が活用されてしまった。それから、設計図面管理・
所有権が契約上明確でなかったために、技術流出を招いた事例。さらには、進出先の合弁
企業が夜間もしくは休日に侵害品を製造している。それから、現地企業の退職者が独立し、
同種の工場を設立する。現地での教育・管理が不十分なため、従業員等を通じて流出する
事例等の問題点が指摘されているわけでございます。
(4)日本企業は、欧米企業と比して、技術移転戦略や意図せざる技術流出への意識が
低いのではないか。日本企業や欧米企業の先進的な取り組みも参考にして、技術流出防止
のための対策を強化すべきではないか。
対応例としては、例えば管理が容易な独資形態によって進出している。それから、コア
技術、考慮すべき技術、オープン化可能技術に分類して、決裁、管理を行っている事例。
それから、コア技術や原料の一部は自国で生産するなどの全体の製造プロセスを取得でき
ないようブラックボックス化を図る事例。それから、製造装置はノウハウの塊なので、合
弁企業でも情報提供の対象から除外する。それから、国内外を問わず製造工程の工場見学
を行わない。こういった対応例があるわけでございます。
このような事例を踏まえつつ、指針の策定に向けて整理すべき課題を挙げますと、3ペ
ージの下のような状況になろうかと思います。
まず第1に、指針の対象と範囲でございますけれども、対象としては、技術的ノウハウ
を有する製造業を対象とすべきではないかと思います。次に、営業上のノウハウは対象外
であり、先端的技術が体化された最終製品・部品、設計図情報・製法等の生産技術・ノウ
ハウ、先端製造設備等に含まれる技術的ノウハウ等を対象とすべきではないかと思います。
次に4ページは指針の範囲でございますが、営業秘密管理指針との役割分担も勘案して、
国境を越える技術移転に焦点を当てて検討してはどうか。まず国内における対策の焦点と
しては、戦略的な意思決定を通じて、国境を越えた意図せざる技術流出を防止すること、
それから、海外における対策の焦点としては、提供された技術情報の適切な管理等を通じ
事業所外への技術流出を防止すること、ということが挙げられようかと思います。
次に指針に盛り込むべき内容でございますが、①として技術戦略の構築及び管理体制の
あり方があろうかと思います。すなわち企業トップが関与した上で、どのような戦略を構
築し、どのように戦略を適切に実施する体制を構築することが必要かということでござい
ますが、第1に戦略構築のための基本方針が挙げられようかと思います。第2として管理
体制の整備が挙げられようかと思います。
こういうことをやりつつ、次に②として技術流出の要因に応じた対応策ということで、
意図せざる技術流出が生じ得るケースごとに整理して、その整理した体系ごとに適切な対
応策を提示することが必要ではないかと考えるわけでございます。
こういうこと踏まえつつ、指針の構成を案として提示しておりますが、この場合、業種
等に応じて各社の有する技術には大きな差異があります。こういうことを踏まえますと、
技術流出防止のための企業のデュープロセスを中心として記載してはどうかというのが第
1点でございます。
加えまして、権利防止策を強化しようとする企業にとって、より使いやすい指針とする
ために、ベストプラクティスとなる事例を提供することが必要ではないかということでご
ざいます。
参考として構成例を一つの提案として挙げてございます。前文として、指針の趣旨・意
義等を書いた上で、総論的事項としてデュープロセス的なアプローチ。基本戦略の構築、
マニュアルの策定、組織体制、審査プロセス、移転後の管理等が挙げられます。
次に5ページですが、各論的事項として、ベストプラクティス的なアプローチとして、
総論とリンクした具体的な管理事例やチェックリスト等を提示してはどうか。
(4)としてその他留意点を挙げておりますが、業種別特性の反映でございます。先ほ
どの知財の取得・管理の指針のときにも問題になったイシューでございますけれども、組
立型と素材型では、技術の性格や技術の位置づけが異なるのではないかという指摘があり
ます。指針においては、産業界全般に適用されるようある程度一般化することが必要であ
るが、一方で実態に即して有効な管理を可能とするよう業種・技術分野による分析も必要
ではないかというのが第1でございます。
それから第2は、先ほど申し上げた2つの指針と同様に、自主的な取り組みを促進する
ための方策として何があるか。例えば、標準規格化というのがあるのではないかというこ
とでございます。
以上、3つの指針のあり方、検討ポイントについて御説明させていただきました。非常
に多岐にわたって恐縮でございますが、活発な御議論をお願い申し上げます。
以上でございます。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
最初に、指針全般に関して背景とか目的のところで御質疑がございましたら承りまして、
それから、個別の指針ごとに少し詳しく議論するという形でやってはどうかと思います。
まず最初に、指針全般の背景とか、目的とか、意義といった点について御質疑がござい
ましたらお願いいたします。
○山田委員 じっくりと拝聴したんですが、本日の一番目新しいのは指針のJIS化とか
ISO化みたいなやつですね。これは全く新しい考えで、今まで知的財産のそういうもの
をJIS化するということは考えもしなかったんですが、小宮室長の今思っておられるこ
とでいいんですが、例えばどんなことをお考えになっているか、ちょっと御紹介いただけ
ればと思うんです。
○小宮知的財産政策室長 実は我々、指針の取り組みをどういうふうに推奨すべきかとい
うことを中で議論していたわけですが、こういうマーケット・メカニズムを中心にやって
いかなければいけないということが基本でありますから、何か役所が無理やり、指針を産
業界に押しつける形は絶対とりたくないというのがまず基本にあるわけでございます。
他方、このマネジメントの管理という世界について見ると、御存じのようにISOの
9000から始まりまして、今は14000というものもできて、企業においてはこれの導入に躍
起になっているわけですが、これはマネジメントを標準規格化することで、マーケットに
おいてそれを評価するというのが基本になっているわけでございます。
もともと参考となるべき指針としてこの指針を構成していくことは、言ってみれば企業
に対してチェックリストを参考として差し上げることになろうかと思うわけですが、9000
とか14000というのはチェックリストを精緻化したものであるという理解ができるわけで
あります。そうすると、この指針を目指している世界と余り遠くないところにいるんじゃ
ないかというのが我々の感じだったわけでございます。
きょう御出席の髙先生とか長田先生とも二、三回御相談させていただいたんですけれど
も、このマネジメントを標準規格化するというのは、別にそんなに突拍子もない考えでも
ないというお話をいただいたこともございまして、この標準規格化というのも皆様に御推
奨するときの一つの手段のオプションとして考えてみてはどうかということで、今回挙げ
させていただいたというのが経緯でございます。
○山田委員 ありがとうございました。
○加藤委員 今の点に関連して私も単に疑問なんですけれども、もし指針に会社なりが合
致していた場合に、いろいろな法律との関係で、その法律にコンプライしていたことを推
定させるとか、そういう責任の問題に関係してくると思うんです。もう一つは契約違反と
いう場合もあるわけですが、契約違反とか法律違反との関係で指針がどういうような役割
を持つのか。欧米ではこういう場合にセーフハーバーとかそういう形で、もしそれに合っ
ていれば法律上のいろいろな責任を免責されるという強い指針もあるわけです。そこまで
お考えかどうかをお伺いしたいと思います。
○小宮知的財産政策室長 この指針は、直接に法律とのリンクはないということを前提に
御議論いただければと思います。強いて言うならば、営業秘密の管理指針については、管
理の具体的なあり方について参考となるべき指針を策定いたします。我々はそうなるとい
うことは別に断言いたしませんけれども、裁判所の裁判官も参考にするかもしれないとい
うことはあろうかと思います。したがって、例えば指針を守っていたかどうかというのが、
具体的な裁判事例において参考とされる可能性は否定できないと思います。
ただ、アメリカのように、もしくは当省の行っておりますワッセナー・アレンジメント
のような、指針を守っていれば何らかの行政的な行為を免除するということは、とりあえ
ず今のこの段階ではないかなと思います。もし行政行為と絡ませるとしても、それは例え
ば何らかの支援策の一つの要件にする。ということは、例えばオプションとしてはあろう
かと思います。もしくは技術開発、研究開発において、何らかの参考資料として指針に従
って社内を管理しているかどうかというのは論理的にはあり得るかなと思いますが、今の
段階ではそこまで考えは及んでおりません。
○篠原委員 3つの指針について総論的に、きょう初めてISO、JISという御提案を
伺いまして、感想だけでございますけれども、技術流出防止指針については、私はISO
なりJISになじみやすいと思います。それから、営業秘密の管理指針は内容次第なんで
すけれども、室長がおっしゃったように私ども一番懸念しているのは、ミニマムのところ
と望ましいところが指針の中で本当にはっきりしているのか。かつミニマムが、このペー
パーにも書いてございますが、過去の判例によるという原則で書かれるわけですが、ミニ
マムが本当に守られていない場合に、裁判で裁判官の判断に影響を及ぼす可能性がある。
したがって、ミニマムが非常に厳しく細かくつくられると、特に中小企業とか規模の小さ
い企業はそこまでできない。できなかったら裁判所で負けがはっきりするというものにな
っては困るということで、JISとか、ISOにはちょっとなじまないのではないかとい
う気がします。これは中身次第だと思います。
それから、最後に知的財産の取得管理に関する指針は、まさしく経営トップの判断、経
営戦略の問題であって、株価なり業績なり株主がIRの世界で判断すべきで、政府が、こ
ういうラインであればいい会社だという形をつくるのはちょっと行き過ぎではないか。参
考として、こういう経営戦略がありますよ、という情報として提供するのはいいと思いま
すけれども、公的なものにしてそれを株主が判断材料の一つにするのは、ちょっと行き過
ぎではないかという気がします。
○長岡委員長 岡田さん、お願いします。
○岡田委員 今の株主の判断材料という御意見で一言申し上げますけれども、内部まで株
主が見えないという部分もあるかと思います。そういった場合に一定の指針、例えば環境
のISOのような一定の手続をしていれば、少なくとも一定水準には到達しているという
ことはわかるかと思います。
○篠原委員 多分そういう御意見もあると思いますけれども、私個人としては、こういう
話は経営トップが情報開示の中で、我が社はこういうことをやっていますというIRで説
明すべき事項であり、官がガイドラインをコンクリートなものとしてつくるということに
はちょっとなじまないのではないかと思います。私見でございますけれども。
○小宮知的財産政策室長 今の篠原委員の言葉じりをとらえて申しわけないんですが、ま
ず我々はガイドラインをつくるつもりはありません。参考となるべき指針というのはガイ
ドラインではない。つまり我々はガイドするつもりはないということです。何で標準規格
の話をしたかというと、例えばトヨタはISO9000はとっておりません。無視しているわ
けです。それはなぜかというと、自らのやっておられるカンバン方式の方がISO9000よ
りはるかに上だと思っているからです。したがって、その指針を採用するかどうかは個別
企業の御判断の話なので、だからこそ、参考となるべき指針をつくるという形になるわけ
です。
後で岡田委員の方から御説明がありますディスクロージャーの関係で言いますと、ディ
スクローズするのはなかなか難しい面がありまして、きょうも後で議論が出るかと思いま
すが、企業の知財部長の方々からすると、戦略というのは隠すもんですよというふうに、
我々もしょっちゅう言われているわけです。そうなると例えば、社内でどういうプロセス
によって判断がなされているかどうかということを、もしこの指針によってある程度のミ
ニマムレベルがクリアされていることを示すことができるのであれば、内部をディスクロ
ーズしなくても、一応行うべきプロセスは踏んでいることは推定されるわけです。例えば、
この指針に沿ったプロセスでやっているということをディスクロージャーの中に取り込ん
でやることによって、投資家にとっての情報が増えるということはあるんじゃないかと思
います。
それから、先ほど御指摘の営業秘密の指針ですが、篠原委員、物事の本質的なところを
言われたわけでありまして、中小企業が守れないからということなんですが、実は今中小
企業の分野で起きている話は、裁判所に持ち込んでも、全部敗訴するような案件が非常に
多い。つまり、不正競争防止法で要求している3つの要件を満たしていないような事例が
非常に多いわけであります。逆に言うとそこを守ることが、法律によって守られる最低条
件なんだということを中小企業の方々に理解いただく上においても、やはり指針というの
はしっかり書かないといけないんじゃないかと思います。したがって、ミニマムレベルは
判例をベースにすると言ったのは、そういう意味でございます。
以上です。
○長岡委員長 それでは、議論の整理のために一応指針ごとに議論していきたいと思いま
す。最初に、知的財産権の取得・管理指針について、議論を少ししていただいたらと思い
ますが、いかがでしょうか。参考となるべき指針ということですけれども、官がこういう
ことまでやる必要はないんじゃないかという御意見もあったんですが、いかがでしょうか。
丸島さん、お願いします。
○丸島委員 個々の御説明はもっともだというふうに拝聴したんですが、特に知的財産取
得・管理に関する指針の策定、だれのためにつくるかというところに、「経営層」と書いて
あるわけですね。私は経営者にもしわかりやすく指針をつくるんであれば、この3つが合
体になったものをつくるべきだと感ずるんです。これ、経営活動見るとみんなばらばらじ
ゃなくて一緒なんですね。例えば知的財産の問題は、研究技術開発戦略と一体不可分だと
書かれているわけですね。自社単独で研究開発する場合、共同開発する場合、これが機密
保持条項にどれだけ影響されているかということも知らないといけないわけですね。それ
の事業化になったときの技術の大事さというものを経営者は知らなければいけないので、
3つがばらばらというのは、ある程度ミドルマネジメントというのか、そこの人たちには
必要かもしれませんが、本当に経営トップが知るんでしたら、この3つが一緒になったご
く簡単なものを一つつくったらどうかなという感じがするんです。
例えば、私ども非常に感じますのは、技術戦略と知的財産戦略が一致するかどうかとい
うのは、営業秘密管理の他社の技術との拘束ですね。これがものすごく影響しているんで
す。契約のよしあしによっては、自分の技術開発ができなくなってしまう。へたすると他
の目的に使うなというのが必ず入っていますから、管理者はどうするかというと、特許出
願をやめろという管理をするわけです。そういう契約が社内に蔓延したら、それだけで知
的財産活動はとまってしまうと私は思うんです。
そもそも共同開発なり、そういう共同で何かするときのことも含めて、全部包括的に入
っていた方が経営者はわかりやすいような気がするんです。項目別に三部作にするよりは。
三部作はもっと詳細版というか、もうちょっと担当役員レベルの人が見るレベルというん
でしょうか。社長が見るレベルというのは3つ一体的じゃないかと私は思いますが、どう
でしょうか。
○長岡委員長 加藤委員、お願いします。
○加藤委員 少し個別のコメントなんですけれども、最初の知的財産の取得・管理に関し
て、先ほど御説明いただいたのは全くそのとおりで、この単体技術中心の産業と、私ども
富士通のように複合技術型の考え方というか、実際の適用が違うと思うんです。例えば今
通信とか、ネットワークとか、インターネットが我々は中心的な分野になってきているわ
けですが、こういう分野は、一つの特許が大当たりになって、そこが絶対的な権利を持つ
という世界ではなくて、みんながいろんな技術を集めてやっと一つの製品をつくって、そ
れらをみんなが平等に使わなければいけない、それでその世界が成り立っているところが
あるわけです。
したがって、例えばDVDの例とか最近の技術の例を見ても、あらゆる技術が集まって、
みんながある程度その対価は絞って、その中では対価という意味では分け合いながら全体
でその技術をオープンにしていって、むしろオープンにすることが非常に重要だという面
があるわけです。
今回の指針策定に当たって、その部分についてガイドラインを作る場合共通事項を抽出
する方向で対応するというふうに御提案いただいているわけです。基本的には単体技術の
分野と複合技術の分野も共通事項は非常に多いと思うんですが、中にはそのような基本的
なアプローチが違うという分野があると思いますので、その場合には並列的に、こういう
場合はこうだという注釈でも何でも結構ですけれども、分けて書くような余地を残してい
ただいた方が誤解がないんじゃないかと思います。
○小宮知的財産政策室長 おっしゃるとおりでございまして、若干ここも言葉足らずの部
分もあったかもしれませんけれども、余り最初から分けて書くとあれなので、こういう形
にしました。ただ、我々も別のグラフでも示したように、明らかにホームラン特許の場合
とクロスライセンスの形では戦略が違うし、戦術も違うということは大いにあると思いま
すので、そこはそれぞれのタイプごとに書き分けることを考えていきたいと思います。
○長岡委員長 取得・管理指針について。どうぞ。
○加藤委員 その次の項目に、対象となる知的財産の範囲ということで、特許をむしろ中
心に指針とすべきだということを考えていただいています。これも基本的には賛成なんで
すけれども、実際に私どもの場合、これは私の思い入れが強いのかもしれませんが、特許
でカバーする基本的な技術分野に加えて、技術の中心が著作権の対象になるようなソフト
ウェアや、トレードシークレットの対象となるノウハウの場合が非常にウエートを増して
いるわけです。常に私は、特許と著作権とトレードシークレットという3つが三位一体と
なった形で技術を守っていく、それらをうまく使い分けていくということが重要だと思う
んです。
したがって、ここで書かれているのもそれらを無視するということではないので、多分
同じことだと思うんですけれども、場合によってはそれらの使い方が全く違う場合があり
ますので、そういうことを頭に入れて指針をつくっていただきたいと思います。
○小宮知的財産政策室長 我々もそこは非常に悩んだ部分でありまして、特にIT業界に
特有の三位一体なものですから、どうしようかなというところが我々の悩みでもあります。
そこは別途ITの関係の方々だけお話をお伺いしないと、三位一体の管理というのは何な
のかというのが若干我々イメージができていない部分がございますので、よろしくお願い
いたします。
○長岡委員長 とりあえず次の営業秘密の指針に話を移したいと思います。また後で戻る
チャンスもあると思います。営業秘密管理指針についてコメント、御質問等ありましたら
お願いします。
○小倉委員(代理小林) 営業の指針の標準については、たしかISOで既に17799とい
うものがあるんですけれども、それとの関係はどういうふうに整理したらよろしいんでし
ょうか。
○小宮知的財産政策室長 実はきょう御出席の齋藤委員を中心とする検討グループがござ
いまして、そこで今のお話も含めて、指針のあり方について御検討いただいているところ
でございますので、もしお差し支えなければ齋藤委員からお願いしたいと思います。
○齋藤委員 それでは、今考えているところを御紹介します。大きく営業秘密という場合
には、概念がかなり広い事業活動だということになっております。それを対象に検討して
おりますが、特に今言われたようなプライバシーマーク、それから、ISOの17799とか、
15408とか、いろいろ管理のルールがございます。海外にはまた違ったものもございます。
そういうものはIT時代を前提にしたようなルールになっておりますので、それを参考に
します。この分野において、高いレベルとして求められるのはこういう管理水準ですよと
いうことを提示しつつ全体を構成していこうかと考えております。
例えば、顧客名簿の流出になりますと、必ずしもそういうルールだけでは管理し切れな
いところもあるかもしれないと思っておりますので、全体をにらんで、こういう厳しいル
ールもありますよ、ということを紹介していきたいと思っております。
それからもう一つ、先ほど中小企業の件を言われました。中小企業は大変だということ
を言われますが、私達が今検討している最中ですけれども、一面逆の部分もあるのではな
いかと思います。例えば情報の流出という面では、人数が増えれば増えるほど管理が難し
くなる。一番極端な場合は、2~3人の本当の少数でやっている企業については、そこの
社長がグッと目を光らせたら、それだけでコントロールができるという部分もございます。
それでも、最低限このくらいの実質的な管理が行われていなければなりませんね、という
ことになるのかなと思っております。
○篠原委員 私ども中小企業の方から見ても、営業秘密について管理指針は必要であると
いう原則は、全く同じポジションでございます。ただ、管理指針をつくるときにちょっと
御配慮いただきたいのは、規模、業種、業態、取引関係によって千差万別にばらつきがあ
ると思います。一把ひとからげで共通項でエイヤーッとくくると、相当間尺に合わない部
分が出てくる可能性があるのではないかということで、その辺は金融検査マニュアルと同
じようにならないような御配慮をしていただかないと、実態に合ってないものができる可
能性がある。そこは御配慮いただきたい。
それから、先ほど小宮さんがおっしゃったように、ミニマムのところは私どもは判例で
固まった部分に合わせてほしいと。判例もない部分までミニマムということで、それが裁
判規範的なものに事実上なってしまうことは避けてほしい。そういうところはあくまで、
望ましい基準というところで位置づけしていただきたいと思います。
○長岡委員長 どうぞ、長田さん。
○長田委員 私は営業秘密、技術流出防止については、ぜひISO化を念頭に置いて進め
た方がいいと思うんです。ISOないしはJISにするということは、ミニマムのものを
形にするということでして、これがひいては自社の経営力を高めることになる。これは品
質管理で言う9000、環境マネジメントの14000は明らかなわけですね。それから、中小企
業の場合は、こういうのをどういうぐあいに進めていったらいいかというテキストもない
し、また、教える人もそう多くないということで非常に私は役立つと思うんです。
そうしたときに、先ほど情報セキュリティ、既にISO化されつつあるんですが、情報
セキュリティ・マネジメントということで、マネジメントの範囲も品質、環境、安全衛生、
情報というふうに広がってくるんですが、そういう対象ごとにマネジメントのマニュアル
をつくるのは、実際に実行する意味では非常に煩雑になりますから、できるだけマネジメ
ントの進め方については共通化することが望ましい。既に9000番品質管理と環境マネジメ
ントは同じ構造になってきているんです。したがって、企業の方は環境も安全も、例えば
工場ですと同じ人たちが実際に進めるわけですから、同じ管理の仕方をしていけばいいと
いうことで、非常に効率的にマネジメントが進むということですので、営業秘密について
も、既存のISO化されている構造を少し研究されて、同じような構造のもとでマネジメ
ントシステムをつくった方がいいんじゃないかと思います。
例えば各論のところでいくと、第3章の営業秘密の管理のところでいくと、これは教育
を書いてあるので非常にいいんですが、内部監査をどうするかとか、そういうこともある
と思いますから、ぜひ同じような構造でマネジメントの仕組みを検討していただきたいと
思います。
○長岡委員長 どうぞ、髙さん。
○髙委員 今長田先生おっしゃっていただいたことは大賛成でございます。ただ、恐らく
企業の方々が感じられるのは、こういった規格になると、また第三者認証で云々というこ
とで、これは大変な負担になるとお考えになるんじゃないかと思うんです。別にこれは第
三者認証ということを考えずに、とにかく自己宣言でもいいんじゃないかと思います。ち
ょうどISO9000番でも、認証をとる必要はない、うちの品質管理体制の方がそれよりも
すぐれているということであれば、それでやっていただいたらいいんじゃないかと私は考
えております。
それから、ISOの動きですけれども、いろんな規格が出てきておりますが、恐らく2005
年ぐらいになると思いますが、企業社会責任マネジメントシステム規格ができ上がると思
います。これはかなり包括的なもので、ただ中身はまだ決まっておりませんけれども、何
を守るか、何を実践するかというのは企業自身が決めていいという形になっていくと思う
んです。その中でどうしても欠かせないものが、コンプライアンスというところになって
まいります。コンプライアンスの大きな柱として、当然こういう営業秘密の管理とか、機
密情報の管理というのが重要になってきますので、流れとしては規格化の方向へ進むと思
います。それを踏まえれば、ここの議論をさらに前向きに発展させて、国家規格のような
ものを考えてもいいんじゃないかと思います。
それからもう一点、先ほどから、こういう規格、指針をつくると中小企業の負担になる
んじゃないかという話がありましたけれども、営業秘密の管理とか機密情報の管理という
のは、恐らく私は大企業の方が深刻な問題になっていると思います。ある上場企業のトッ
プの方を対象に話をさせていただいたときに、いろんな会社さんで従業員さんがマル秘の
情報を自宅に持って帰っているようなケースが多いという話をしたら、そのトップの方が
最後に、「何を言っているんだ」というようなことで私にコメントされました。それは、「日
本の企業というのは、ちょっとでも重要と思えば、何でも「マル秘」と押すんだ」とこと
です。これを聞くと、ある意味では恐ろしいことなんです。何でもマル秘にしているとい
うことは、一体何が重要かがわからない形になっている。だから管理の基準をきちっとつ
くってその体制を動かしていく、それに認証を与えるというのは大切なことだと思います。
それから、他社から預かった機密情報、これを大切にしますよということを証明するの
は、取引をやる上でも非常に重要なことだと思います。中小企業の情報を勝手に取ってし
まうようなことはないということを証明できれば、技術を持っている中小企業も大きな会
社さんとおつき合いしたいということで、取引も円滑になっていくんじゃないかと考えて
おります。
○土井委員 ISO化なんですけれども、これについては私も賛成なんですが、ただ、I
SOの普及状況を見ると、どうしても大企業がとるとその系列下にある中小企業まで、ど
うしてもとらざるを得ないという状況に陥る可能性がございます。その辺を考えると、中
小企業等に対する何らかの配慮はどうしても必要になるんじゃないか。例えば板橋区のよ
うに、中小企業がとるときには認定料を若干補助するといった制度がございますが、その
辺は何か公的に補完することも考えられないではないのかなという感じはいたします。
○小宮知的財産政策室長 まだISOにすると決めたわけではないので、話が早過ぎるな
という感じがするんですが、我々もそこはもう少し実態を勉強したいと思います。ただ、
一つの開放は今髙委員の方から言われた、完全に自主認証というのも一つのオプションと
してあるわけで。第三者認証の形は金もかかるし、すぐにお墨付きという議論に走ってし
まいがちですけれども、そうじゃなくて、自分は守っていますと自己宣言をするのも一つ
のやり方で、あとはちゃんとそれについて監査する形にすれば、何か問題が起きそうにな
ったときもちゃんと監査を受けていますというのは、一つのやり方としてあるんじゃない
かと感じております。いずれにしても、標準規格化するかどうかというところもあわせて
御議論いただいた上で、その先の話はまた議論させていただきたいと思います。
○長岡委員長 秋元委員、お願いします。
○秋元委員 まず一般的なことですが、先ほど丸島委員が言われましたように、経営者に
わからすという意味であれば、これは非常にわかりやすい言葉で、三位一体で書くべきだ
ろうと思います。昨日も申しましたように、私どもでは、入社したての人が読んでわかる
ような形にするというふうに考えております。
各論でございますが、先ほど加藤委員その他からありましたが、単体技術と複合技術は
分けて考えていただかなければいけないだろう。そのときに皆さん、価値が違う、状況が
違うということは御理解いただいているんですが、もう一つISO化、その他等の標準化
を考える場合にどうしても考えていただかなければいけないことは、ここに書いてある医
療とか、単体の先端技術に関しては時間が非常にかかるということで、規格化しようと思
ったときに、その時間軸をどうしても考えていかなければいけない。例えば、コンシュー
マー製品であるとライスサイクルが非常に短いと思いますが、医薬品の場合は研究開発が
ほぼ14~15年かかる。特許期間延長を入れて8~9年が寿命である。
そういうことで、研究開発から製品になり製品のライフサイクルというものは、他の商
品分野と非常に違うということで、規格化その他等考えるときに、この辺の時間軸を考え
ていただかなければ非常に難しい問題が起こってしまうだろう。それはまさに技術流出と
か営業秘密、この指針にも時間軸が絡んでくるということでございます。単体の先端技術
というところで事情が非常に違う分野があるということを御説明させていただきました。
○長岡委員長 ありがとうございました。
どうぞ。
○丸島委員 ISO賛成の方が随分いらっしゃるんですが、私は必要ないと思っているん
です。人の財産を預かる義務を前提とした場合は、管理指針でこうやっていますというの
は効果があると思うんです。環境なんかもそうだと思うんです。特許戦略というのは、自
分の財産をいかに高めていくかで、ISOを守る人はないんじゃないでしょうか。最低限
の指針は参考にしても、指針でとまっていたのでは、みんな競争にならないじゃないです
か。同じことをやっていて勝てないですよね。ですから、あくまでもこれは参考であって、
ISOなんていう問題じゃないと私は思うんです。私はそう認識しています。だから、I
SO化というのは、まして認証云々というのはとんでもない話だと私は思います。
以上です。
○長岡委員長 どうぞ。
○林委員 証券会社の立場で言わせていただきますけれども、ISO化するかしないか、
今の御意見もありますけれども、投資家の立場からすると、最低限のリスクを回避してい
る、あるいは回避するための努力をしているかしていないかについての情報開示というの
は大変有益だと私は認識しております。株式を買って資金を企業に投資していくわけです
ね。そういう意味での財産を守っていただくために、投資家がとるリスク、何をとってい
るのか。それから、企業側でどのリスクは排除できているのかというのを比較、あるいは
開示して、投資判断に役立てたいと私は思っております。
○長岡委員長 どうぞ。
○二村委員 我々が受け入れるかどうかということで、非常にまだ感情的には整理できて
いないんですが、米国で企業統治法というサーベンス・オックスレローというのが最近法
制化されました。今僕らみたいに米国基準の会計監査をやっている者にとっては、その法
律の中にある内部監査と内部統制をどういうふうにするかということについて悩んでおり
ます。具体的にはまだ指針が出ておりませんので何とも言えないんですけれども、企業は
今以上の内部統制を持ち、それについて内部監査をしろというふうに法律では言われてい
ます。
したがって、これが我々にどういう影響があるかというと、米国で資金調達している会
社がある。それは株式を公開している会社も、私募でやった会社も両方入るんですが、S
ECに書類を提出する会社については、この法律の適用があるということになっておりま
す。
したがって、我々もそういった資金調達する場合には、必ずサーベンス・オックスレロ
ーに合った内部統制と内部監査がなければいけないということを会計監査上も確かめるこ
とについては、まず法律に書いてあるので間違いのないところです。その中の一部として、
こういう営業機密であるとか技術流出、もしくは会社が持っている書類、情報が不法に経
営者の意図と違って流れることがあってはならないことについては、当然のカバレッジだ
と思っております。ただ、具体的にどうするかはこれからの検討事項ですが、既にそうい
ったものがありますので、多分これからそちらの観点から検討される。お好みかどうかは
別にして、資金調達の観点からは今林委員が申されたとおりで、そちらの流れになってい
くんじゃないかと考えております。
○上野委員 一つ質問なんですが、秘密保持の観点というのはこの指針に盛り込まれるか
どうかなんですが、今秘密を公開する場合、知財戦略等に情報を利用する場合、自ら自分
の持っている秘密を守るという観点があるわけです。それは指針に盛り込まれると思うん
ですが、一方、共同開発契約等に基づいていろんなことをやっていったときに、他人の秘
密をどうするかという問題があって。要はそれを外にばらさなければいいというだけの話
ではなくて、他人から得た情報は、自分たちのいろんな行動、開発にしろ何にしろ、そう
いったものを縛ることになるわけですね。それが非常な制約になることがある。そういっ
た観点がこの指針に盛り込まれるのかどうか。そこまで考えておられるのかどうかを質問
したいんです。
○長岡委員長 今おっしゃっているのは営業秘密管理指針に含まれるかどうかということ
ですね。
○上野委員 そうですね。
○長岡委員長 これは一応含まれるというふうに理解したいんですけれども。
○小宮知的財産政策室長 まず他人の営業秘密をとってはいけないということは、秘密管
理指針のスコープの中に完全に入っております。その一つで齋藤委員のところで議論して
いるのは、いわゆるコンタミネーション、情報汚染の問題も、この指針に入れるべくどう
するかというところを今議論している最中でございます。
○上野委員 わかりました。
○長岡委員長 それでは、まだ最初に戻ることができると思いますけれども、まだ余り議
論していない技術流出の方にフォーカスを当てていただいたらと思いますが、いかがでし
ょうか。技術流出指針に関してスペシフィックなコメントがある方、お願いします。
秋元さんお願いします。
○秋元委員 ここに書いてあるのは主として複合技術に関するような指針がかなり書いて
あるんですが、私どもで一番問題になるのは、いろんな技術流出に対する契約その他等箇
条書きにして非常に厳しく管理しておりますけれども、一番問題になるのは、その人の頭
に入っているものを消せないということです。それがほかのところに漏れて、その人がや
らなくても、同じようなコンセプトのものが行われる。こういう問題について、しかもそ
れを先ほど申しましたように医薬品の開発のときには非常に時間軸が長いということで、
例えば3年縛るのか、5年縛るのか、永久に縛るのか、そういう問題についてここで解決
できる問題なのかどうかちょっとお聞きしたいんですが。
○長岡委員長 今おっしゃったのは競業忌避という問題ですね。
○小宮知的財産政策室長 それは一番難しい問題です。企業の方々がそれぞれの契約の範
囲内で競業忌避義務を契約上課すというのは、これは法律の許される範囲でやっていいわ
けですが、役所が率先して競業忌避をやらせろというと、これはまた問題が起こりかねな
いところがあって。したがって、情報と知識の線引きというか、概念論としては紙に落ち
るのは情報で、頭の中にあるのが知識だという形になっているんですけれども、まさに御
指摘のようにそこの境界線は非常にグレーなところがあるものですから、どこでどういう
形で線を引くのかというのが、特に営業秘密なり技術流出の指針のところでは多分問題に
なる可能性が高いと思います。
ただ、技術流出の方は、つまり人についての話は営業秘密の防止指針の方に寄せてしま
って、現地法人でも日本の本社と同様な営業秘密の管理をやることによって、そこをでき
るだけ食いとめることにした上で、本社ベースでは、むしろ投資の決定のときに投資先の
リスクを勘案して、戦略的な出す技術の判断をしているかどうかに焦点を当てることによ
って、そこをなるべくクリアできないかなというのが、とりあえず我々の頭の整理でござ
います。その辺は業種別にも違いがあると思いますので、個別にいろいろと教えていただ
ければと思います。
○伊藤委員 今の技術流出の点では、できたものをどういうふうに管理するかということ
なんですが、そもそもつくるのは人間でありまして、その人たちは技能として自分の技術
を持っているわけですね。その人たちがいかに働くかによって次の発明が生まれるし、次
の技術が進歩していく、そういうサイクルが回っていくと思うんです。そういうことから
考えると、技術流出防止の観点の中に、パーソンが持っている技能についてどういうふう
に認めてあげて、それはすばらしいことなんだとか、そういうふうなシステムづくりを考
えていく必要性があるんじゃないかということも含めて、御検討いただけたらありがたい
と思っております。
それから、全般的なことで、最初の知的財産の取得・管理のところなんですが、トレー
ドマーク、商標についてもすばらしい各企業の戦略的な項目になると思いますので、そち
らも重点的な検討課題としていただけたらありがたいと思っております。
以上です。
○小宮知的財産政策室長 技能の点は非常に難しいなと思っておりまして、まず紙に落ち
ない。この知財戦略は非常に簡単に言うと、知的財産として守れるものは、基本的に紙に
落ちるものしか守れないわけです。無理やりに例えば紙に落ちないものまで守ったりしよ
うとすると、従業員の就業の自由を奪ったり、別の弊害が出てくるわけです。したがって、
今おっしゃられた技能がドキュメントに落ちるたぐいのものなのかどうかというところが、
スコープに入れられるかどうかの最大のポイントになろうかと思います。
それから、2番目に商標なんですけれども、我々も内部的には商標の戦略はあるはずだ
ということがわかっております。また、私のところの隣の産業組織課がブランド価値研究
会というのをやりましたけれども、他方、商標というのは技術と違いまして、いわば会社
そのものの話なものですから、商標を保護するための法的なアクションは、非常に定性的、
定型的に記述することはできると思いますけれども、その商標をどういう価値のあるブラ
ンドに高めるかどうかというのは、まさに会社の歴史そのもので、それこそ指針には多分
そぐわないだろうということで。それであれば、例えばインフォースメントに関連すると
ころは特許の件と同様に、準用してやるというやり方が一番スマートではなかろうかと思
います。
ただ、それについて伊藤委員の方で、いや商標にも定型化できる戦略があるんだという
御意見があれば、これはこれでまた我々の方に具体的にお示しいただければと思います。
○永岡委員 かなり議論が専門の方に行ってあれなんですが、営業秘密のところで質問が
あるんですが、営業秘密の帰属というのがありますね。これはそんなに新しい、これはだ
れに帰属するか明確ではないというのは何となく、生産方法とか、販売方法とか、帰属と
いう概念は今までもあったのか。それは今後どういう形でやるのか教えてもらいたいと思
います。
○小宮知的財産政策室長 これは非常に難しいところで、何でこれをわざわざ入れたかと
いうと、まさに職務発明の議論と連関しているからここに入っているわけです。発明の場
合には、社内の職務発明規定があるので、帰属は規定によってはっきりしているわけです
が、営業秘密の分野になると、そこが明示的に今の段階では、各社ともはっきりしてない
場合がある可能性がある。したがって、そこのところを明確化しておかないと、ある人が
やめた後、必ずどちらかにトラブルが生ずる可能性が想像できるわけです。
したがって、その職務発明規定と同様に、営業秘密についても、これはだれに帰属する
のか。個人に属する営業秘密だから、別にそれをその人が持って出ても問題ないとするの
か。それとも、それは会社の営業秘密として管理するべきものであるから、したがって勝
手に持って出たら、それはそれで会社の営業秘密を犯した形になるのかというルールづく
りをしておかないと、会社、従業員双方にとって混乱とか不幸な事態が生じるのではない
かという問題意識であります。
これも後で齋藤さんに補足してほしいんですが、議論は今始めたところですが、そんな
に簡単な問題でもないというのが我々の認識であります。
○齋藤委員 今の状況を申し上げます。項目としては最初からリストアップしましたが、
恐らく最後まで残るテーマの一番大きなポイントはここだろうと思っています。契約ベー
スで切り分けがどこまでできるかということが基本になろうかと思いますが、先ほど小宮
さんから言われたように、もともと本人が持っている部分があればどうするかということ
があります。
その解決方法の一つとして、その人が転職した場合にチェックリストというか、お互い
に、出て行く方にとっても迎え入れる方にとっても、このくらいのチェックリストをチェ
ックしておけば、どちらに帰属するというか、後のトラブル回避のための最低限の義務、
注意はしましたねと、こういうことが言えるようなものを提示することになるかもしれま
せん。
○小宮知的財産政策室長 これは別の小委員会で議論になっている話で、不正競争防止法
の営業秘密の保護強化が、ベンチャーのスピンオフに対する抑制効果があるのではないか
という問題点が指摘されておるわけですが、実はそれに一番大きくかかわるのが営業秘密
の帰属の問題であります。今齋藤委員から御説明がありましたように、今の状況では、や
める際の営業秘密の帰属がはっきりしてない場合に限って、という場合が一番トラブルの
もとになりやすい。したがって、そこのところを例えば契約ではっきりする。チェックリ
ストで、持っている営業情報の中でどれが会社に帰属するものかを明確化することによっ
て営業秘密の保護水準を上げたとしても、スピンオフする人たちの間で抑制効果は回避で
きるのではないかというのが我々のねらいでございます。
○永田委員 私は先ほど小宮室長のお答えの中に、技能の問題を本指針の中で扱うことは
難しいというお話があったんですが、その点に関して多少懸念する点がありまして、もと
もと指針をつくる主要な目的が、研究開発の効率を高めることにあり、そのために技術戦
略や事業戦略の三位一体を図ることが目的意識にあるとすれば、恐らくそこで対象にすべ
き知的な資産は、紙ベースに戻せるもの以外のものを多分に含んでくるだろうと思うんで
す。研究開発の成果は、具体的なクレームに書けるという意味でパテンダブルなもの以外
に、いろいろなノウハウとか、スキルに埋め込まれているようなタイプの知識も含まれて
くるだろうと思うんです。
今のこの議論はどちらかというと、特許の取得・管理、営業秘密の問題、技術流出の問
題という階層構造で切っているんですが、そうではなくて非常に高次の戦略レベルの問題
であって、技術戦略のごく一般的に了解しなければならないような問題と、手続き的な問
題とを分ける方法がある。例えば、それは特許の取得・管理の問題は、特許戦略の問題と
してのみ扱うのではなくて、特許と営業秘密を補完的な技術戦略の手法として把握する場
合の留意事項に類するような上位の問題を扱う階層と、最低限のリスク回避を行い得るか
どうかという、むしろこれはJISなりISOになじむようなタイプの議論を、差し当た
り異なる階層として分けておかないと、いろんな次元の問題が一緒になってしまっている
ような印象を非常に受けるんです。
私自身は、高次の戦略の問題はどう考えても規格の問題になじまない。もともと規格化
された戦略というのは、それ自体が非常に矛盾しておりますから、そういうものは考えに
くいと思うんです。
以上でございます。
○長岡委員長 今は3つの指針を議論していて、どの指針を議論しているかというのがち
ょっと不手際もあったのかもしれませんが、今おっしゃった点も、知的財産権の取得・管
理という経営戦略に非常に結びついている分野については、先ほどの共同研究開発の扱い
にも関係してくるので、技術流出防止の話とか、営業秘密の保護とは少しジメンジョンが
異なるところもあると思いますので、別々に議論する形で対処できるところもあるんじゃ
ないかと思います。規格の問題もそうじゃないかと思います。

10.特許・技術情報のディスクロージャーについて
11.特許権の流動化・証券化について

○長岡委員長 まだ議論も尽きないと思いますけれども、12月にもう少し具体的なものが
できてから議論するチャンスもありますし、もし時間があればもう一度ここに帰ってくる
ことにして、きょうはほかにもまだ議論しなくちゃいけないことがございまして、とりあ
えず指針についてはここまでで打ち切らせていただきまして、次に、特許・技術情報の開
示の問題に移らせていただきたいと思います。特許権の証券化については土井先生、ディ
スクロージャーについては岡田先生が、それぞれ知的財産研究所の場で研究を進めていら
っしゃいますので、それぞれに御説明をお願いしたいと思います。
では、岡田先生から技術情報開示に関連して御説明をお願いします。
○岡田委員 この特許・技術情報のディスクロージャーについて考える研究会の調査研究
内容説明について、資料8をごらんください。本研究会は、ここの委員でございます二村
先生を座長としております。もともとの発足は、経済産業省の中で渡辺俊輔助教授が始め
た研究会が母体になっておりますが、この助教授が7月に逝去されました。この助教授の
遺志を継ぎまして、私どもこの研究会の運営をさせていただいております。
まず、この研究会の目的から説明させていただきます。近年の我が国の産業競争力低下
の懸念の高まりに伴い、企業における戦略的な知的財産の活用とそのための経営者の意識
向上が求められている。具体的に申しますと、知財戦略などを企業価値にいかに結びつけ
られるかということでございます。
今年7月に総理主催の「知的財産戦略会議」においてまとめられた知的財産戦略大綱で
は、次のとおり決定されております。
この抜粋を紹介させていただきますと、第3章、具体的行動計画の3として知的財産の
活用の促進、その(2)企業における戦略的な知的財産の活用、②知的財産の情報開示と
ございます。企業の知的財産関連の活動が市場に正当に評価され、企業の収益性や価値を
高めることができるよう、2003年度中に知的財産に関する情報開示の指針を策定する。ま
た、知的財産報告書の導入等についても検討する。
本研究会はこれを踏まえ、知的財産の中でもとりわけ重要な特許・技術情報を焦点に置
き、望ましい情報開示の具体的内容について検討を行い、今年度中にパイロットモデルを
策定し、産業界に試験的に提示することを目的としております。
この情報開示につきまして二通りの意義があると思います。まず、現在の企業の業績に
はまだあらわれていない企業の技術、情報をマーケットで顕在化させて、企業の価値を高
める。2つ目として、情報開示について、ある程度規則等で強制する、あるいは指針等に
盛り込むことにより、企業の知的財産を積極的に活用する方向や企業の行動を促進する。
こういう意味を持ちまして、この研究会を進めてまいっております。
具体的な検討項目について御説明します。まず第1に、特許・技術情報開示の現況把握
を、日本、アメリカ、欧州についてスタートします。次に、企業・市場からの情報ニーズ
及び意見調整。第3として、無形資産に関する情報開示基準・規則の国際的動向の把握。
第4として、特許・技術情報開示促進のための実現可能な指針案の検討。
これらの研究方法と内容について具体的に御説明いたします。この研究の方法としては、
研究会による検討、アンケート調査、これは機関投資家約250社に対してアンケート調査
をいたします。それとサーベイ調査、これは国内外のアニュアル・レポートについてサー
ベイを行います。そして海外でのヒアリングによって行います。
この研究会は、平成15年3月まで7回程度開催。原則として、各検討テーマごとの担当
委員の発表をもとに検討を行います。委員のリストは最終のページにつけてございます。
最終ページの4.研究会メンバー案をごらんください。この委員の検討によって行います。
海外調査は、調査機関への依頼や現地出張によって行います。国内調査は、関連企業へ
のアンケート、サーベイ、ヒアリングによって行います。
このスケジュールについては、次の(2)のとおりでございます。アンケート発送、ア
ニュアル・レポートのサーベイ開始、アンケート集計・分析、これらを踏まえまして、2
月中旬に最終報告書の原稿案を締め切り、そして3月中旬、あるいは下旬に原稿案を検討
する。中心としては、パイロット案でございます。
具体的な調査研究については、以下に具体的に述べてございます。
3ページ目をごらんください。この研究会1回1回につき簡単に概略しております。
第1回の研究会は、10月1日に開催されましたが、この趣旨説明と検討内容、そしてア
ンケートの項目について、私今手元に持っておりますが、必要がございましたら御提示い
たしますが、国内の機関投資家約250社に対する情報ニーズを探るアンケートがございま
す。このアンケートの内容について現在各委員からいろいろな意見を徴取して、改善して
いるところでございます。次にサーベイ内容、そしてヒアリング項目など、それぞれを10
月中に承認いただき、そして、特許・技術情報の開示の現況認識、現段階の現況及びサー
ベイを行った上での現況認識の調査をスタートいたします。
10月下旬には、市場関係者、具体的にはアナリスト、あるいはIR担当等から、このマ
ーケットの側からどのようなニーズがあるのかという点についてプレゼンを行っていただ
きます。
11月の第3回研究会では、無形資産に関する各国の開示基準・規則の報告をいたします。
この調査で志向しているのはインベスタリレーションズでございますが、ここでは広義の
インベスタリレーションズというものを考えております。つまり企業が任意に行う開示と、
それと規則、制度によって強制される開示、これらすべて含めてインベスタリレージョン
ズ、つまり広義のインベスタリレーションズを考えております。したがって、例えばSE
Cで技術情報などが詳細に規定されておりますが、こうした規則における開示も検討いた
します。
第4回目、12月は企業側からのプレゼンテーションで、現況把握、そして機関投資家の
アンケート、ヒアリング結果の分析の報告を行います。
そして1月、論点整理の後、パイロットモデル案を提示・検討し、そしてパイロットモ
デルにおける費用対効果、競争上の不利益、あるいは競争上の何らかのベネフィットが得
られるかどうか、つまり費用対効果を検討いたします。
そして2月にパイロットモデル案をとりまとめ、その前に海外でヒアリングなどを行い
ますが、それらを踏まえて検討すべき課題を整理し、最終的に3月に報告書案、つまりパ
イロットモデル案を含む報告書案を提示して、承認をいただくというスケジュールでござ
います。
以上、簡単に述べさせていただきました。
○長岡委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、土井委員の方から、特許権の流動化・証券化についてお願いいたしま
す。できましたら5分程度でお願いします。
○土井委員 わかりました。土井でございます。特許権の流動化・証券化について御説明
申し上げます。お手元のペーパー1枚目をめくっていただきますと、概要というところで、
昨年度、産業研究所さんの調査によりますと、何らかのメリットがあれば特許権を流動化
したい、証券化したいという企業さんのニーズがかなりあるということがわかりまして、
それに基づいてこれを流動化、証券化してみようということをやっております。
そのビークルとしましては、その次のページを開けていただきますと、いろんなビーク
ルがございます。ただ、この中で任意組合とか匿名組合、こういったものは残念ながら流
動化できても、その後の証券化までなかなか持って行けない。それから、実を言いますと
信託というものが一番日本にとって、こういう証券化にとっては有益なわけでございます
が、残念ながら信託業法第4条で、この無体財産権が扱えない状況にございます。そうい
う状況の中で日本の法制で考えた場合、ここに特定目的会社と書いてございますが、これ
は資産流動化法に基づく特定目的会社でございますけれども、これが何とか証券化まで持
って行ける一つのビークルではないかと思っております。
その次のページに資産流動化法の説明が書いてございますが、この点は割愛させていた
だきます。
特許権の流動化・証券化の目的については、その次のページにアトランダムに、しかも
思いつくところを書いてございますが、いろんな目的があるのではないかと思います。こ
の中に書いてございますように、自社内利用特許の自家評価モデルであるとか、中小企業
の資金調達モデル、いろんな目的を持って流動化・証券化が使えるだろうと考えておりま
す。
その次のページに、先ほど申し上げた資産流動化法に基づく特定目的会社を使った証券
化の図式を非常に単純化して書いてございます。一番左の上の方に特許保有会社と書いて
ございますが、この会社から特定目的会社に特許権を譲渡していただき、それを担保に証
券を右上の方の投資家に渡すという形になります。その元利金の返済は、左の下の方に特
許実施会社からのロイヤリティの回収によって行っていくというのが大ざっぱに言えばス
キームでございます。
その次のページに手順及び関係者が書いてございますが、この点も時間の都合上省かせ
ていただきます。
現状は、次のページに実証実験の概要が書いてございますが、当面検討すべき事項とし
ては、具体的な特許権の価値評価、それから、本当にこれがスキームができるかどうかの
実証、それができるとしてそれの実施、最後には、資産流動化法における特許権流動化の
問題点等の分析、ここまでを行いたいと思っております。スケジュール、メンバー等はこ
こに書いているとおりでございます。
ちょっと重複になりますが、その次のページにもう一回流動化・証券化の留意点を書い
てございます。流動化・証券化の留意点は、一番上に書いてございますように、特許権が
利用され、収益化されて初めて経済的価値を生みますので、その評価には十分留意する必
要があるであろうという点がございます。それから、もしそういったものがある程度リス
クを含むということであれば、それをどう補完していくのか、この点も検討の課題になる
かと思います。
こういった形で資産流動化法における一つのパターンができれば、結構これはニーズが
高いところで2号、3号が出てくる可能性もあるだろうと思います。こういう一つの資産
流動化法だけではなくて、もっとほかの形態も考えられるのではないかということで、下
に書いてございますように、信託業法の改正もしくは特例法の設置も将来的には考えてい
くべきではないかと考えております。一応12月までに実施したいと思っておりますが、若
干の遅れは御勘弁いただきたいと考えております。
以上でございます。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。
ただいま岡田、土井両委員から御説明がありました件につきまして、何か御質問等ござ
いましたらお願いいたします。
○髙委員 最後の資産流動化のところで、今後これから検討していくということなんです
けれども、考えられるところは、例えば著作権、特許権ですか、それを持っている会社が
アレンジャーになって、それからSPCもつくっていくというようなことが起こり得る。
そうなると、例えば、価値がないものを価値があるとして、マーケットに出してお金を回
収することも起こりうる。こんな仕組みはだれでも考えつくと思うんです。ここら辺のと
ころがきちんと守られる仕組み、デュープロセスというんでしょうか、そこの議論もこれ
とあわせてやっていただければありがたいと思います。
○土井委員 当然ながら資産流動化法というのは、金融庁に対する流動化計画の届け出が
必要になりますので、そこでのチェックが働く。それから、信託業法をもし改正するとす
れば信託会社の資格要件が出てくるだろうと思います。そういったところでチェックがか
かると思います。いずれにせよ、投資家に不利益を与えないという何らかのディスクロー
ズ体制、髙先生の方から御指摘もあったようなディスクローズ体制もあわせた形のいろん
なリスクヘッジは必要だろうと考えております。
○長岡委員長 ほかに。どうぞ、丸島さん。
○丸島委員 質問なんですが、特許権の流動化・証券化について方向性はうなづけるんで
すが、私ども非常に難しいなと思って日ごろ感じている点は、特許権というのは、独占自
主権じゃなくて排他独占権だと思っているんですが、その価値評価をどうやってなさろう
としているのか。これ結局、自分が持っていても、それだけで価値というのはわからない
はずですよね。第三者の持っている知的財産にどれだけ影響を受けているのか、だれに受
けているかによって実際の価値観は随分変わってきてしまうと思うんです。その辺をどう
やって処理しようとされているのか、一番難しいんじゃないかと思っている点が1つなん
ですが、わかりましたらお願いします。
○土井委員 おっしゃるとおりで、この点は非常に難しい点でございまして、一番最後に
留意点で書きましたが、一番最初、第1号としてはキャッシュフローがきちっと見えるもの、
要するに単純化しやすいものから証券化せざるを得ないと思っております。ただ、特許権
が評価しにくいということで大分移転について制約を受ける場合がございますが、こうい
う証券に一つ化体させるということは、価値が一本化しやすいということもございます。
ここでの評価はおっしゃるとおり難しい部分でございますが、証券としての価値評価が一
つ出てくれば、そこからこの特許権そのものについてのマーケットの価値にまた波及して
いくという効果を少しねらっております。まさにおっしゃるとおりで、難しいところだろ
うと思っています。
○丸島委員 それからもう一つはディスクロージャーの方ですが、これはだれのために、
だれがどういうことを最終的に期待しているのかというのを教えていただけるとありがた
いんですが。
○長岡委員長 お願いします。
○岡田委員 最終的なことは、期待は2つございます。まず第一に、技術とか研究開発を
積極的に行っている企業がマーケットから過小評価される傾向があるということは、国内
外でも確かに実証されています。したがって、日本の企業が全体的に産業競争力が落ちて
いると言われますけれども、まだまだ顕在化されていない価値を持っているものと考えら
れます。したがって、まだ業績に結びついていない、あるいは現段階の株価にもあらわれ
ているとは限らない企業の潜在的な能力について、技術力あるいは特許取得、そういった
方面からこの企業の価値を顕在化させていくことが第一の期待としてございます。
第2の期待として、この企業、ディスクロージャーといったことをある程度指針なり規則
なりで強制することによって、現在の企業の行動、つまり、先進的な企業は一部にあるも
のの、全体としてある低いレベルで均衡水準が得られている。低いレベルと言うと言い過
ぎかもわからないんですが、現在のレベルである均衡が得られている企業の行動に、ある
政策手段を投入することによってそれを変えていく。今の均衡状態を破壊することによっ
て、ある高いレベルまで引き上げるように行動を仕向ける。これを知的財産の管理、ある
いは知的財産戦略的な取得、技術開発、知的財産取得・管理といった方面で企業の行動を
変えていくということを志向しております。だれのためにというのは、企業、マーケット、
産業競争力、すべてを含めてです。
○長岡委員長 どうぞ。
○小宮知的財産政策室長 簡単に言うと、株価がまた下がっていますが、このまま行くと
日本の企業は、みそくそ全部倒れるわけですね。そのときに、今までの研究開発をやって
技術力をつけた企業がマーケットから高い評価を受けられる形にするためにはどうしたら
いいかというのが問題意識です。今のまま放っておきますと、例えばある一つの別の知財
とは全く関係のないのが非常に突出してマーケットから評価を受けて、そこの企業にお金
がたくさん流れ込む。生き残る。せっかくいい技術を持っていたとしても、キャッシュフ
ロー、つまりマーケットからお金が流れ込まなくなって非常に苦しいところにどんどん追
い込まれていくということがもし起きるとすると、それは将来の企業の競争力なり産業競
争力の観点から見ると非常によくないのではないか。したがって、それがマーケットから
正当な評価を受けるためにはどうしたらいいかという問題意識で、このディスクロージャ
ーの検討を始めたということです。
○丸島委員 株価がどう影響するのかわかりませんが、余り企業の業績とは関係ないよう
な気がするんです。何か別なところで操作されているので、実態を見ると企業の業績と株
価というのは必ずしもリンクしてないと私は思うんです。ですから、投資家のために開示
しなさいと。投資家が満足して、それで企業のために何になっているんだろうかと非常に
不思議に思うんですよ。
○岡田委員 企業の株価というのは、中長期的には企業の潜在力に、つまりファンダメン
タルズと言うんですが、そこに収れんするようになります。つまり、ある一定時点におい
ては確かに一時的な乖離はありますが、中長期的に見れば、それは収れんします。それはも
う証明されています。
○丸島委員 すごいなあ。ただ、現実にアメリカのSECで、中小の企業というのは取引
したものを全部SECに報告されているでしょう。あれは投資家にとっては非常にいいの
かもしれませんが、逆にああいう情報が公開されるということは、ライバル企業から非常
に事業情報が流れるということでマイナス点も非常に持っているんですよ。ですから、公
開することがすべて企業にとっていいのではなくて、マイナス点も相当出るということ。
程度がどうなるのかわかりませんけど、本当にその企業のためになるようなディスクロー
ジャーならいいんですが、恐らくどんな形をとろうと、株主が本当のことはわからんと思
うんですよ。私はそう思っているんです。本当のことがわかるような開示をしたら、これ
は大変な開示になってしまって、その企業のマイナス点が相当出ると思うんです。そこま
でしてその企業を守るんだろうか、守れるんだろうかというのが率直な疑問なんですよ。
ですから、形をつくって、投資家のある程度の満足が得られるような形しかあり得ないだ
ろうと思っているんです。こんな暴言をはいたら失礼かもしれませんけれども。
○岡田委員 いえいえ。競争上の不利益については十分配慮いたします。したがって、出
席しておられる委員、あるいは企業、関係者の方の御意見もよく尊重して進めてまいりた
いと存じます。
○長岡委員長 ありがとうございました。

12.今後のスケジュール

○長岡委員長 ちょっと時間が押してしまって申しわけございません。今後のスケジュー
ルについて事務局の方からお願いします。
○小宮知的財産政策室長 それでは、資料10をごらんいただきたいと思います。既に皆様
にスケジュールをお伺いさせていただいておりますが、4回までの日時を調整させていた
だいたところでございます。
第2回、次回の小委員会につきましては、12月17日、火曜日、10時から12時まで、本
日と同じく当省本館17階国際会議室にて開催を予定しております。次回のテーマは、ここ
にございますように営業秘密管理指針(案)、知的財産取得管理指針(項目案)、技術流

防止指針(項目案)に係る検討などを予定しております。よろしくお願い申し上げます。

13.閉 会

○長岡委員長 では、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会経営・市場環境
委員会の第1回会合を閉会させていただきます。
本日は非常に長時間、活発な御審議に御協力いただき、ありがとうございました。
審議会全体トップ
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.