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審議会

産業構造審議会知的財産政策部会経営・市場環境小委員会(第2回) 議事録



1.開 会

○長岡委員長 それでは定刻となりましたので、産業構造審議会知的財産政策部会
経営・市場環境小委員会第2回会合を開催いたします。はじめに事務局から配付資料の
御確認をお願いいたします。
○小宮知的財産政策室長(以下、小宮室長) それではお手元の資料を御確認お願
いいたします。まず資料一覧がございまして、資料1から資料6までございます。め
くっていただきますと資料1議事次第、資料2が前回の議事録、資料3-1知的財産の
取得・管理指針の構成(案)、その後ろに各業種別の米国での特許の取得の状況、それ
から国内における研究開発投資と特許との関連を分析したグラフ、資料4が営業秘密管
理指針の案になっておりまして、これは委員限りとなっております。資料5が技術流出
防止指針骨子案、資料6が今後のスケジュールという形になっております。資料の不足、
落丁等がございましたら、事務局へご連絡下さい。なお、資料2にあります1回目の議
事録は既に皆様に御確認いただいており、経済産業省のホームページに掲載させていた
だいておりますセット版になります。よろしくご査収頂きますようお願いいたします。
また資料4の営業秘密管理指針でございますけれども、来週24日の週に予定しており
ますパブリックコメントの開始までは委員限り、非公開とさせていただきたいと思って
おりますのでよろしくお願い致します。以上でございます。

2.営業秘密管理指針(案)について

○長岡委員長 今日初めてお見えになった委員の方もいらっしゃいますので、簡単
に自己紹介お願いいたします。御船さんから…
○御船委員 前回欠席いたしまして大変失礼いたしました。私、御船と申します。
現在UFJ総研の顧問をしておりますが、約10年ほど前帝人の特許部長をしておりま
した。よろしくお願いいたします。
○峰崎委員 前回欠席いたしまして大変失礼いたしました。日産自動車の知的財産
部の部長をしております、峰崎と申します。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員 前回欠席いたしまして大変失礼いたしました。現在、名古屋大学法学
部の知的財産法の講義を受け持っております。春までは受け持つことになっております。
よろしくお願いいたします。
○小倉委員 ソニーの小倉でございます。私は、日本知的財産協会から管理委員会
の座長を勤めさせていただいておりまして、そこの立場から出席させていただいており
ます。よろしくお願いいたします。
○長岡委員長 ありがとうございました。それでは議事次第に従って、委員会を進
めさせていただきます。最初に営業秘密管理指針ということで、これは先ほど御説明が
ありましたようにパブリックコメントを真近に控えておりますので、今日はサブスタン
ティングなディスカッションはできるだけ尽くさせていただきます。それでは小宮室長
から御説明をお願いいたします。
○小宮室長 それでは、資料番号で突然資料の4に飛びますが、資料の4に基づき
まして営業秘密管理指針の案について、御説明をさせていただきたいと思います。
開いていただきますと、目次がございます。全体の構成として、まず概説としまして
バックグラウンドを示すと同時に、第二章で営業秘密の要件について記してございます。
それから第三章では、営業秘密の管理ということで基本的な考え方と、具体的な管理方
法という章立てになってございます。
まず第一章の概説でございますけれども、これは前回バックグラウンドで御説明させて
いただいた内容をそのまま記してございます。営業秘密の流出に不安を覚える企業が増
えている。それから、そういう事を踏まえて知的財産戦略大綱にも記述がなされている
ということでございますけれども、1ページの下の所をご覧いただきたいと思います。
本指針の案というのは、この大綱によるところの参考となるべき指針として、この小委
員会で、案を取りまとめるという位置づけでございまして、まず、個々の営業秘密関連
訴訟の実態を踏まえて営業秘密の管理に関してミニマムの水準が提示されているという
ことでございます。
次のページめくっていただきまして、もう一つは、括弧2にございますように、国際的
な秘密管理の動向を踏まえて、望ましい水準を示されているということでございます。
また、もう一つは自らの営業秘密だけではなくて、他社から提示を受けた営業秘密の取
り扱いについても留意点が明らかにされてるということを記してございます。
次に、3ページでございます。不競法上の営業秘密の保護でございますけれども、これ
も不競法の概説をしているわけでございまして、ここに書いてございますように不正競
争防止法上は公文上営業秘密を定義した上で、契約当事者間のみならず契約関係に立た
ない当事者間の関係も規律しろと。損害賠償請求のみならず差し止め請求が可能である
等の点で、契約とは異なる点があるわけでございます。それで、平成2年の不正競争防
止法の改正によりまして、ここに記してございますような規定が盛り込まれたわけでご
ざいまして、営業秘密の定義としてはここにございますように秘密管理性、有用性、非
公知性といったことがあげられてございます。行為類型としては4ページ以降にござい
ますような各行為類型があるわけでございます。差し止め請求権、損害賠償請求権がつ
いている、それから4ページにございますように信用回復措置請求権も規定され、さら
に企業差し止め請求権の消滅時効ということで3年間の当該行為または当該行為を知っ
た時から3年の消滅時効、行為開始日から10年の除斥期間という形になっているわけ
でございます。
5ページには、模式的に営業秘密の不正な取得、使用、開示についての行為類型がござ
います。この、④とか⑤とか⑦とか書いてございますが、これが第2条1項の第何号類
型があたるかということでございます。これにつきましては、説明していると時間がな
くなりますのであとで御参照いただきたいと思います。それぞれの具体的な事例、判例
に基づきまして書いてございます。
8ページに飛んでいただきまして、営業秘密の要件でございます。先程申し上げた3つ
の要件の具体的な話を書いてあるわけですが、まず秘密管理性ということで判例を参考
に述べてございます。例えば、具体的管理について述べますと物的・技術的管理。事例
としては営業秘密であることの例示、それから営業秘密への物理的・技術的なアクセス
制限といったことが記してございます。また、人的・法的管理ということで、まず営業
秘密にアクセスできる者の制限、営業秘密にアクセスした者への制約ということがござ
います。それから、組織的管理としましては情報管理者の選任、教育といったことがあ
げられてございまして、この9ページの真ん中下あたりにございますように過去の判例
におきましてはこの要件が認められる為には、相当程度厳格な秘密管理が要求されてい
るということから、本指針では第3章営業秘密の管理におきまして詳細に取り扱ってお
ります。
それから、次に事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることということでござ
いますけれども、これにつきましても保有者の主観によって決められることではなくて、
客観的に有用であることが必要であるということでございます。ここにも判例を引用し
てございますけれども、「財やサービスの生産、販売、研究開発に役立つ等事業活動に
とって有用なもの」というような判例がございます。
10ページ以降は、有用性の判断の基準として考えられる幾つかの事項をまとめたもの
を記してございますけれども、競争優位性、事業への活用性、直接的、顕在的又は間接
的、潜在的価値、それから現在的または将来的な価値、それから相対性といったことで、
この有用性の判断の基準を示してございます。それで、正当な利益があることというこ
とで、あえて書いてございますけれども、判例にもございますように、例えばその公害
情報のようなものは営業秘密にあたらない、もしくは犯罪の手口や脱税の方法を教示す
るようなもの、これも営業秘密にはあたらないといった判例があるわけでございます。
それから、11ページの非公知性とういことで書いてございますけれども、要は公然と
知られてないことが条件になるわけでございます。従いまして、書物や学会発表から容
易に引き出せることができる情報は、非公知性とはいえない。他方、人数の多少は問題
ではございませんで、当該情報を知っている者に守秘義務が課されていれば、非公知と
いえるということでございます。そういうことで、これら3要件が営業秘密の要件とな
るわけでございます。
12ページ以降、営業秘密の管理ということでまず基本的な考え方をあげてございます。
それで、今申し上げたように基本的な考え方としては具体的管理、組織的管理、その他
ということでございまして、まずミニマムの観点から13ページにございますように、
秘密管理性を認めた判決、それから14ページ以降にありますように秘密管理性を否定
した判決というものを整理してあげてございます。従いまして、これを読めば大体どの
あたりに今の現行の裁判所の基準があるのかということが分かるというわけでございま
す。個別の判例を説明しておりますと時間が無くなりますので、19ページに飛んでい
ただきたいと思います。具体的な管理方法としては個別的管理方法があるわけでござい
ます。
まず、物的・技術的管理と、次に人的・法的管理が考えられるわけでございます。物
的・技術的管理としては、まず営業秘密に係る一般的管理があるわけでございます。ま
ず、秘密情報の区分ということを行わなければならないのでございまして、区分した上
でレベルに応じた管理が必要であるということが記してございます。次に20ページに
まいりまして、秘密管理のありかたとしてまず、アクセス制限があげられてございます。
アクセス制限としては、アクセス権者の限定ということをあげておりまして、次に、ア
クセス権限者の使用開示範囲の限定、それから、アクセスの記録ということを記してご
ざいます。次に、客観的認識可能性ということで、営業秘密の表示、それから、秘密区
分の表示ということをあげてございます。次に、営業秘密にかかる、情報形態ごとの管
理でございます。先程、一般的管理を述べましたが、次は情報形態ごとの管理でござい
まして、これにつきましては、記録媒体の管理方法と、情報自体の管理方法にわけて述
べてございます。22ページをご覧頂きたいとおもいます。
記録媒体の管理方法といたしましては、まず、保管について述べていると同時に、次に、
廃棄の方法について述べてあります。次に、情報自体、無体物の管理ということにつき
ましても、これも、保管ということで、これはまた、コンピューターにおける保管の方
法を述べてございますし、次に廃棄ということで、このコンピューターサーバー等の機
器類の廃棄も含めて方法を述べているところでございます。
次に大きな3番目ということで、営業秘密にかかる、施設等の管理でございます。まず、
第一にあげられておりますのが、建物、事務所、研究室等のセキュリティー、警備でご
ざいまして、具体論としては、例えば、セキュリティーレベルを高める方法として、I
Cカードにおける本人確認等々の方法について述べています。2番目に、部門の設置等
ということで、管理する専門の部門を設置して、独立させるという方法についても、記
してございます。
次に、大きな物的管理と並立するものとして、人的・法的管理について述べてあります。
24ページから始まってございますけれども、この頭書きのところにもございますよう
に、雇用の多様化、流動化が進展しているということを踏まえて、従業員・役員・派遣
社員・退職者・転入者、取引先、といった、相手方に応じた、営業秘密の管理を行って
いく必要があるわけでございますが、そのさいに、自己情報、他社情報、この二つに分
けて、述べてあります。
まず、自己情報の管理でございますが、従業員・役員につきましては、契約の締結、誓
約書や就業規則をしっかり結んでいくと同時に、25ページにございますように、ルー
ルの構築、社内における、開示、公表ルールといったものをしっかり決めるといったこ
とが、重要だというように記してございます。例えば、a),b),c)とありますよう
に、社内倫理システム、情報管理規定、それから、他の部門における情報の管理という
ことについても、記してあります。
それから、26ページにまいりますと、今度は、派遣社員の問題についても記してござ
います。これは、特に昨今、一般の従業と同様に、派遣先で指揮命令を受けて、派遣先
業務に従事する派遣社員が増えている、こういった観点で、やはり、契約で明確化する
という方法も含めて、書いてあります。それから退職者の問題があります。退職者の問
題につきましては、27ページ以降、秘密保持契約をまずやはり、結ぶということで、
この秘密保持義務をかける、競業避止義務をかける、といったことを指針として、記し
ております。また、28ページには、営業秘密の返還ということで、辞めるさいには、
持っている営業秘密はちゃんと全部かえしてもらう、もしくは、自宅でコピーをとった
ものについては、破棄してもらう、ということを指針としてとりあげてございます。
次に、取引先でございます。取引先につきましても、これは、守秘義務を含んだ契約を
締結するということがやはり重要でございまして、その際における、留意事項を29
ページに記しているところであります。次に、他社情報の管理でございます。まず、一
般的な留意点といたしまして、情報取得時の留意点でございまして、情報の区分という
ことで、いわゆるコンタミネーション(情報の混入)がおこなわないように、気をつけ
なければならないことを記しております。30ページにまいりますと、やはり、契約の
締結、そして相当の注意といったことが必要であるということが記してあります。次に、
(ⅱ)といたしまして、情報の使用時の留意点ということでございます。まず、30
ページの下の方でございますけれども、契約上の使用・開示範囲を定めるということで、
これを超えれば、当然のことながら、契約違反になるわけでございます。それから、使
用開示の目的といったことも、留意が必要であるわけであります。転入者の問題を31
ページ以降記してございますけれども、転入者の場合に、31ページの中断にございま
すように、契約関係の確認をする必要があるわけでございまして、こうしない限り、コ
ンタミネーションが防げないといったことがございます。32ページにいきますと、採
用時における、法的な対処方法を記してございますし、それから採用後における管理と
いうこともございます。それから取引先につきましては、取得時の管理、ここで契約締
結時の留意事項、それから、取引先への組織的な対応、といったことを記しています。
また使用時につきましては、使用目的等による制限、それからリバースエンジニアリン
グ、といったことについて記しております。次に34ページ以降、この組織的な管理方
法につきまして記してございます。これにつきましては、所謂JIS、ISOでも基本
的な構造になっておりますPDCA、つまりPlan、do、check、act、と
いった流れに沿いまして記してございます。まず、最初のPlan-管理策の策定でご
ざいますけれども、ここにございますように営業秘密管理への取組の宣言、目的、対象
範囲、用語の定義、基本原則、法令の遵守、罰則等といったことを基本方針として示し
ていくと言った事が必要でございます。特に、34ページの下の方にございますように
PDCAのマネジメント・サイクルの中で、定期的に見直しを行い、改定することが必
要かと思います。それから、35ページに参りますと、管理策の実施ということで、情
報セキュリティ管理責任、総括責任・統括責任を定めた上で組織体制の整備、教育、文
書管理を行い、事件・事故へ対応する事が考えられると思います。情報セキュリティ管
理責任におきましては、情報管理責任とセキュリティ管理責任に二分されるわけでござ
います。情報管理責任につきましては、先程申しましたように秘密区分の期限の明示、
アクセス権者の特定、社外への持出し及び他社への開示に係る許可等の判断、使用目的
の設定といったことが責任となります。
それからセキュリティ管理責任につきましては、機密性、完全性(保全性)、可用性と
いうものすべてを確保する責任でございます。
次に、総括責任・統括責任でございますけれども責任の体系によりまして36ページに
ございますように総括責任と統括責任、それぞれに別れるわけでございます。総括責任
は担当事業所ベース、統括責任は会社全体といった違いがございます。
次に、組織体制の整備でございますけれども(ア)、(イ)のような責任体系に基づきまし
て管理策を実施していくための責任体制を書いてございますけれども、37ページの図
に管理体制の例として書いてございます。組織の最高責任者の下に情報セキュリティ委
員会をおきまして、それで事務局があって、あとは社内の各部署があると考えられるわ
けでございます。それで、37ページの(エ)教育でございますけれども、教育の場合
はこういった事を社内の職員に周知を徹底するということで、38ページにございます
ように教育責任者の設置をする、教育内容の決定をする、教育の実施をするといったこ
とが必要になって参ります。
次に、文書管理の問題がございます。文書管理につきましては関連する方針、規程、基
準、指針、規制等はすべて文書化し、保存・管理する事が必要であります。
それから39ページに参りますと、事件・事故への対応でございますけれども、これは
万が一、営業秘密の漏えい、流出、営業秘密の取得をもとにした脅迫等が起こった場合
の対応方法におきまして記してございます。
次に、管理状況の監査が必要かと思います。これがCheckでございますけれども、
まず監査の実施という事で39ページの下の方にございますけれども定期的にチェック
することが必要だと思います。それから、40ページにございますように監査の記録と
いうものも必要だと思います。
最後にActでございますけれども、管理策の見直しということで、定期的に管理策を
見直していくということでございます。(5)と致しまして、情報管理に関する各種マ
ネジメント規格要求事項ということをあげてございますけれども、まず情報セキュリ
ティマネジメントシステム適合性評価制度というものがございます。これは情報セキュ
リティ管理の為の標準規格でございまして、ISOそれからJIS化もなされておりま
すけれども、ここにおきましては情報セキュリティ基本方針の策定、組織的管理の実施、
情報資産の抽出と分類、それから42ページに参りまして人的セキュリティの確保、物
理的・環境的セキュリティ管理、通信及び運用管理、アクセス制御、システムの開発及
び保守、事業継続管理、法令適合性・教育・監査といった一連の流れが記してございま
す。43ページにはJIS規格としてプライバシーマーク制度というものがありますけ
れども、個人情報保護方針の策定、組織及び責任の所在の明確化、収集・利用及び提供
の原則、適正管理の原則、それから44ページにいきまして本人申し出への対応、教育
及び監査に関する項目、罰則に関する項目といったことが記してございまして、こうい
う規格化されたものも参考になるということでここにあげてございます。
以上説明が長くなりましたが、こういうものを営業秘密の管理の指針案として提示をす
る次第でございますのでよろしくお願いいたします。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。では、この指針案に関しまして、
ご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。
○長岡委員長 …では、私の方から3点です。1つは、不正競争防止法がメインに
書いてあるわけでございますけれども営業秘密の保護というのは、不正競争防止法によ
る面と、競業避止の契約や就業規則による面があると思います。この両者による保護が
補完的に使われるべきというスタンスがあった方が良い感じが致します。不正競争防止
法は、書かれたものでなくてはいけないといいますか、頭の中にしかないものへの対応
が困難という問題もあり、現実には契約による保護も重要な役割を果たしている。加え
て、技術流出防止指針に書いてあることでこちらに無いアンバランスもある。もう一つ
は、人材の流動化等に過度の制約にならないと言う事が重要で、合理的な制約の重要性
も指摘するべきだと思います。例えば営業秘密は公知になるまで漏らしてはいけないと
いうことを要求するのは企業にとってはあまり大きな利益ではないのに従業員の自由を
非常に大きく拘束すると言う意味であまり合理的ではない。そういった問題についても
もう少し指摘があると、特に人材流動性が高まっている事との対応で、重要な論点にな
ると思ったのが二点目です。三番めは完全な質問なのですが、罰則規定への言及が全く
ない。就業規則の中で営業秘密の保護が不十分であった時の罰則、そういった物は何か
設ける必要はないのか、の質問です。
○小宮室長 おっしゃる通り、これは不正競争防止法の解釈指針を書こうとしてい
るわけではなくて、それぞれの企業において、どういう管理をすることが望ましいか、
ということを書いてあるわけでございます。ただ、最初に営業秘密の現行の不正競争防
止法の話を書いたのは、どこまでやれば少なくとも法的に守られるかということは、や
はりミニマムレベルとして示す必要があった訳でありまして、これは、我々の率直な認
識として不正競争防止法の要求するレベルまでにも達していない企業が、意外と多いと
いうことから出発している訳で、現行におきましては例え訴訟が起きましても会社側が
負けてしまうといった事がどうも懸念される。従って、法律の要求レベルにまず達して
下さいというのが最初のメッセージでありまして、その上であとは、更にもっと強い管
理をするべきかどうかということは、それぞれの会社の選択による訳であります。従っ
て、このような指針の構造になっているというわけでございます。後ろの方を読んでい
ただきますと、必ずしも不正競争防止法だけのパターンではないことがお分かりいただ
けると思います。これか最初の点に関する返答でございます。それから退職後の問題に
つきましては、例えば27ページの秘密保持契約のa.)秘密保持義務但し書のところ
にございますように当該退職者の職業選択の自由を妨げることが無いよう慎重に行う必
要があるという事と、それからその下のb.)競業避止義務のところにつきましても判例
を引用していつまでが有効か、裁判所における相関関係を示しているわけでありますが、
こういうことによって無茶苦茶な事をやっても、要は最後は無効の判断を下されるとい
う事を示す事によって、おのずと限界があるという事をこの指針でも示したかったわけ
であります。そこは、配慮をしてないわけではなく、むしろ配慮をしたつもりでありま
す。それから、会社がどのような罰則規定を設けるかという事におきましては会社のご
判断の話でございまして、役所からそれを参考すべき指針として示す事はむしろ弊害が
大きいのではないかと思います。
○篠原委員 小宮さんのご説明を聞きまして、まだ分からない事がありまして、三
点ほどありますが一つはミニマムレベルと望ましい水準を両方記したという事ですけれ
ども、ミニマムレベルは判例をよく読んでくれと。例えば中小企業の方々はこれを読ん
でミニマムのレベルは何をやればミニマムなのかという事が具体的な構造としてこの指
針を読んでもイメージが浮かんで来ないのではないかという事が第一点、ここはどう
なっているかということをお聞きしたい。第二点は、この指針を全体的に拝見いたしま
して、非常に詳細によく出来てると思うのですけれども、従業員百人とか二百人とか千
人とか大企業をイメージした管理指針という感じに思えるんです。例えば、組織的管理
の方法としましてはこれは明らかに大企業を前提にした、望ましい水準を提示されてい
ると思ったのですけれども、営業秘密を取り扱っている中小企業、金型企業の方々が具
体的に何をやればいいのかというイメージが湧きにくいのではないかと思います。それ
から、3番目は不正競争防止法も法改正を含めた検討を行われているやに聞いておりま
すが、今日出てきたこの管理指針は近い将来不正競争防止法の改正があった後も織り込
んでのものなのか、それとも現行法が前提となっているのか、そこら辺を教えていただ
ければと思います。
○小宮室長 まず、ミニマムレベルの点で判例が分からない、というご指摘ですが
これはなかなか役所が言うことは難しい面もございますし、役所が裁判所の相場観をバ
シッと判断すると、いや違うんですよ、というように簡単に言われてしまうこともある
わけで、逆に申しますとここにありますように下級審の判例を見ても若干凹凸があるわ
けでございますが、はっきり分かることは3要件のどれかがかけたものは認められてい
ないということが分かるわけです。したがって、正確を期すためにこういう書き方をし
ているわけでございまして、中小企業の方々に周知をするとすればもうちょっと解説を
しなくてはいけないのかな、とは私も思っております。それから2番目に人数の少ない
企業に関してでございますが、人数が少ないほど管理が簡単になるわけであります。委
員会を作らなくても社長が委員会の役割をすれば終わってしまうわけでございます。同
じことがJISの時にも同じような議論がございまして、皆さん大騒ぎをされたようで
ございますが、結局のところISO9000の時も人数の小さい企業は簡単にやっても
クリアできるわけでございまして、同じようにPDCAの構造をもっておりますから、
何らかの機能を果たしていればよいわけでございますから、そういう意味で指針のレベ
ルはクリアできると思います。それから現行法との関係ですが、とりあえず現行法を前
提に考えております。ただ改正法についても営業秘密の3要件についていじるつもりは
ございませんし、民事と刑事の関係では民事の方が広いわけでございまして、まず民事
を前提にどういう管理をすべきなのか、というのがこの指針の最大の眼目であろうかと
思います。刑事については別の委員会で議論中ですが、産業界から処罰規定は抑制効果
だという議論もありますし、そういう意味ではより広い民事救済規定の中で会社の管理
性をどこまで高める事ができるのかを考えることが全体の営業秘密の不正取得等の予防
にもつながるわけでございまして、たとえ刑事罰が無いという世界におきましてもどう
やったら営業秘密が漏れにくい体制が作れるのかといったようなことを念頭に考えたの
がこの指針でございます。
○篠原委員 有難うございました。よく分かりましたが第2点目の中小企業の社長
がちゃんとやれば良いんだよ、という点は具体的には組織的管理方法の中ではどうやれ
ば良いんですか?
○小宮室長 まずさまざまな管理責任者がおりますが、全て社長が併任すれば情報
セキュリティ委員会はいらないわけですよね。組織の最高責任者が事務局と責任者を兼
任して、工場研究所などを一人一人の従業員だと思っていただければよいのだと思いま
す。
○加藤委員 昨日夜遅くに海外出張から戻ってまいりまして、まだ頭がボーっとし
ておりますが、この営業秘密の問題を考えるとき、まずわれわれが最初に考えるのはわ
れわれが人間を性善説で捉えるのか、どこまで性悪説で考えるのかということです。私
は特に長くアメリカにいたのですが、アメリカではすごく性悪説と言いますか、きっと
この人は悪いことをするだろうという前提でルールを作るわけです。どうも日本人はそ
ういう感覚が無くて、信頼関係が大切。この辺の感覚が一番問題になり、なぜこんな
ルールを作るのかというところにかかってくると思うのですが、先ほど長岡委員長も
おっしゃったように日本も社会的にだんだん雇用が流動化してくる。これ自体はいいこ
とだと思うんですが、そういう中で今までは性善説でやっていたことをもう少し考えを
変えていかなくてはならない、そういう社会的要請があるわけですね。それと同時に、
これは若干手前味噌なのですが、社会がどんどん情報化してくる、今までは紙を持ち出
したり色々具体的な行為をしないと情報を外に持ち出せなかったと思うんですが、今は
電子メールでボタンひとつ押せば情報管理が曖昧であれば情報が全部出ちゃうというこ
とになってしまった訳です。こういう社会の雇用の流動化、情報化というのはいずれも
良い事であるのですが、一方で最低限のルールが必要なんだということからこういう指
針を作るんだという基本原則がきちんとあったほうが良いと思うんです。そういう目で
見ていって、性善説から性悪説にたたないと日本もやっていけなくなると思います。で
は性悪説でどういう点が気になっているかと思いますと、まだ会社に忠誠を誓っている
人というのは良いと思うのですが、直接の従業員でない派遣社員とか、下請けとかに
なってきますと、ルールがきちっと機能しないところがあると思います。指針案ではこ
の部分の書き方を、直接契約が出来ないからきちっと考えなさいというだけではなくて、
たとえば派遣社員がきた時にきちっと説明をして、場合によっては誓約書を書かせると
か、一般従業員と同じかそれ以上に性悪説にたった書き方をしていかなくてはいけない
のではないかと思います。そういう意味で直接契約関係にない人たちに対してもしっか
りルールに書いていただきたいと思います。それから雇用関係を止めるときにも雇用の
流動化を妨げないということもありますが、破棄するときの手順、何の情報をもってい
たのかをお互い確認して、それをきちっと処分しましたね、ということを誓約書といわ
ないまでも形に残るようなことをルールに入れていただいてはいかがでしょうか。もう
ひとつ実務的な問題で日ごろ感じていることを言わせて頂きますと36ページに社内の
管理体制が書いてありまして、ご指摘のとおり社内でセキュリティ問題を管理する場合
に、日ごろからコンプライアンスを守らせていくのは誰が責任をもつべきか、というこ
とで個々にセキュリティ委員会というか責任者という考えを出していただいたと思いま
す。しかしそのコンプライアンスをやっていくひと、ルール作りのグループ、教育をす
るグループ、監視していく監査のグループ、監査といっても日常のものと年に1回とか
の監査が同じ組織がどうやっていったらいいのかという問題もありまして、それぞれの
グループをどう決めていくかと言うのは、実は非常に悩ましいんですね。教育とかルー
ル作りとか日常的なコンプライアンスというのは同じ部門がやっていったほうが良いの
ではないかと思っておりますが、もう少しロングタームの監査の部門は一歩下がったと
ころから見てもらうほうが上手くいくと思っております。いろんな機能をどういう組み
合わせで行ったら良いのかについてもサジェスチョンをいただけると良いのではないか
と思っております。以上です。
○丸島委員 拝見して、よく書かれているなとは思うんですが、そもそもこれは誰
に見せるのかなと最初の点に戻るのですが、経営者にということでございましたね?こ
れは経営者に見せるということでしたが、はっきりいって経営者にとってこれでは興味
が湧かない、これは企業の法務部の人の教科書だという気がするのです。もっと経営者
にとって分かりやすいものが必要なんだろうという気がしているのですが、これははっ
きりいって味も素っ気もなくて・・・表現悪くてすみません。これは非常に法律家から
見た観点でかかれていて、悪いとは申してないのですが、経営者が実際経営にどうやっ
て営業秘密を活用するのか、どうやって保護しなくてはならないのかの基本が伝わらな
いと思うんですね。大切なのはこのなかでも他社からの契約によって入れた営業秘密。
これについても淡々と書いてあるのですが、これは契約が出来ちゃったらしょうがない、
その契約を管理しなさいという視点で書いてあるのですが、私はどういう契約を結ぶか
という点が大切なので、ここが入らないと経営者にとって役に立たないと思うんです。
ですからそういう視点で、これはこれとして運用するのに立派な指針だとは思うんです
が、もうちょっと経営者に分かりやすい視点での指針を別途かあるいは前のほうにでも
つけていただけるとありがたいなと思うのですがいかがでしょうか。
○小宮室長 あの、特にいま丸島委員が言われた話というのは多分に経営戦略の視
点だと思うんですね、これについては後ほど議論いたしますが、取得管理の指針はかな
りこの事業戦略と経営戦略、知的財産戦略の連携関係について述べておりまして、そち
らのほうで今おっしゃられたようなことを取り上げていくことは可能ではないかなと思
います。ただこの営業秘密の指針においては先ほど委員長からもご指摘がありましたよ
うに、なまじっか法律があるがために逆にいうとそれとの関係でミニマムのレベル、法
律の要求レベルを超えた戦術の部分を書いていかないと、逆にいうとここで戦略につい
て書き出すと、じゃそれと法律とか裁判の関連はどうなるんだという議論が出てきます
ので、ある意味では確かに味も素っ気も無いという風におっしゃるのかもしれないです
が、むしろ管理という面でそういうものを全て捨象してるという点があるんだと思いま
す。だから、経営者に対してどういう風にこれを見せるのかという、前回検討に出まし
たようにこれら3指針を統合した要約版を作れという話、これについてはわれわれでも
そういうことを検討をしておりますが、この指針の中身としてはこういう形にさせてい
ただいて、今のご指摘の点はたとえば取得管理の指針の方に何が何でも特許にする必要
は無いわけで、技術情報の一部は営業秘密として管理するとかですね、他社からライセ
ンスを受ける場合においてもそこは戦略的に考えろということは取得管理指針の中に書
いていくことは出来るのではないかなというのがわれわれの今もっているイメージです。
○御船委員 先ほど加藤委員の発言と絡むのでしょうか、営業秘密の管理というの
は組織で出来るのではなくて、デイリーの仕事の中でしっかりと管理していかなくては
ならないという意味では36ページで営業所長とか何とか書いてありますが、むしろ第
一戦の課長クラスが徹底しない限りありえないと思っておりまして、そこへの徹底、あ
るいは教育ということが必要だと思っております。それが第1点。それから第2点でご
ざいますが、先ほどの競業避止義務の問題で、期間を限るという問題でありますがこれ
はやはりノウハウのライフとも関係がありまして、組み立て産業の場合とプロセス産業、
特にノウハウに依存するような産業の場合とでは期間の長さが違って良いのではないか、
そういう点についても注意をしておく必要があると感じております。そういう点では私
ども、というより帝人では30年前よりずっと退社者の覚書をとっておりますが、それ
では一応何年間は同じビジネスをしてはいけないと、同じビジネスというのは、非常に
詳細に自分の過去10年間にわたる技術を正確に書いています。ですから事務屋さんの
退職の場合と技術屋さんの退職の場合とではまったく違うわけでございます。事務屋さ
んの場合はそういうこと出来ません。会計をやっていましたという人に会計をやるなと
いうわけにはいきませんので。ただ技術屋さんの場合はそこをディーテイルを書かせる
ことによってある期間、同じ仕事には就かないと、秘密保持契約は別途あるわけですが、
そういうことをやってきて問題は起こっていないのですが、やはり何らかの形で連動し
た競業避止義務の長さを考えていく必要があると思います。それからここには余りかか
れていないわけですが、社外発表のルールあるいは特に抜けるのが営業カタログの管理
が余りやられていない、この辺を注意しなくてはいけないわけです。実は結構大きなノ
ウハウが漏れるのはトップマネジメントから。これが怖いわけです。捕らえてみればわ
が親だったりするわけでありまして、やはりその辺は注意が必要かなと思います。
○小宮室長 ちょっと今の競業避止義務については相当実は議論がありました。2
7ページから28ページにかけて判例を書いておりますが、判例も一定していないわけ
であります。ただ実は経営法友会さんとの議論をさせていただいたときはもっと強く書
いてあったのですが、私の判断で弱めてもらいまして、これは民間ベースでケースバイ
ケースでやるという話で、やはりこれは参考となるべき指針と申しましても一応役所が
出すものになりますので、そこで役所が一定の線をひいてしまうことは明らかに退職者
の自由を奪うものだという批判反論が出るのが目に見えておりますので、フラットに競
業避止義務についての裁判例を出して、後は皆さんにご判断を頂きたいという形にした
わけでございます。もちろん組み立て産業とプロセス産業で長さが違ってくるというの
はおっしゃるとおりなのですが、これは長さについて書き出しますとそこに触れてくる
ものですから書けなかったというところでございまして・・・
○御船委員 性質的に違うということを言いたかっただけですので。
○小宮室長 それから、カタログの、その、ルールというのはここにも社内ルール
は書いたわけですが、捕らえてみたら我が親だったというお話でしたが、確かにプレス
の人と話していてもそういうことがままあって、今ここで役所が脇をしめろ、などと言
い出すと取材がしにくくなって嫌だななどとおっしゃる方もいるわけですが、あえて指
針に注意すべきは役員だなどと言うことを書くべきなのかな、ということをきちんと
伺っておきたいと思いますが。
○御船委員 役員からというより一般的にインタビューで漏れてしまうのが怖いわ
けです。
○小宮室長 そうですか。しかしそれを書くとまたマスコミから明らかに叩かれま
すよねー。ちょっと考えさせてくださいとしか・・・。
○長田委員 先ほどの意見と関係しますが、この組織的管理方法のところですね。
ちょっと訂正したほうが良いと思う点が3つほどございまして。まず38ページ目の文
書管理のところですが、それ以外のところでも文書管理というのは基本的にマニュアル
の管理とですね、記録の管理も入ると。マニュアルの管理と記録の管理が分類されてお
りまして、たとえば40ページでも記録という形で出てきておりまして、もう少しここ
で記録の管理の仕方についても言及してですね、保存期間を明記しておくとか、そうい
うことをすると良いのではないかと思います。それから39ページのカのところはです
ね、これは割とよくまとまっていると思うんですが、不適応への対応ということになり
ますね、これはひとつ(3)くらいにしてもいいかと思うんですね。それから(3)の
管理状況の監査というのは出ていますように、日常の点検と監査を分けて、通常は現場
レベルで日常に点検をしていくと、それから定期的に監査をしていくということが
チェックとしてあるということを明記した方がよいと思います。
○秋元委員 まず質問の前に、他の方からの意見もありましたので私もぜひという
ことですが、私どもは3年ないしは5年ということよりも、立場によって長さが変わっ
てくるということをご理解頂きたいと思っております。医薬品というのは研究開発は1
0年以上かかりますので、3年とかの期間よりも製品が出る頃、その頃からが問題に
なってくる、場合によっては訴訟が起こってくる、ということになるわけです。そうし
ますと業界によって業種によって、あるいは企業によって守秘義務の期間もしくは競業
避止義務の期間をある程度指針によって自由に決められるようなものにしていただいた
ほうが良いのではないかと思いますので御船さんのご意見に賛成でございます。それか
ら、不正アクセスというのはやはりこれも人材の流動化というものを第一に考えますと、
ちょっと二つのグレーなことが出てくるのではないかと。ひとつは大学等が独法化した
ときに企業との共同研究というのが起こりますが、これが派遣社員の形にするのか出向
者の形にするのか分かりませんが、これが適用できるかどうか、やはり共同研究という
のがこれからどんどん進んでいきますからそのときにどういう風に考えるかというのが
ここでちょっと読み取れないと。それからもうひとつはこの指針は確かに良く出来てい
ますが、やはり文章とかデータとかそういうものを管理するという点では良いのですが、
私ども一番困っているのは頭の中に入っているものをどうするのか、これがむしろ文書
管理というものは簡単に出来るのですが、たとえば私は研究者として以前ケミストリー
をやっていたわけですが、今でも非常に複雑なもの、たとえば麻薬でも何でもぱっと見
たらすぐわかるし、それについての製造法というのもある程度推測がついてしまう、そ
うした場合に自分が盗む場合もあるだろうし、あるいは転職したほかの人にサジェス
チョンしてやらせることもあるだろうと、こういうところが一番問題になるのですが、
これについてここでなかなか流動化という意味からいくと縛るわけにも行かない、それ
から大学の共同研究も産業の発展、流動化を考えると縛るわけにもいかない、この辺の
グレーの部分をどういう風に考えておられるのかがここからはちょっと読み取れないな
と思います。
○小林委員 非常に良くまとめられているとおもうのですが、分かりやすさという
点から言うともうひとつかな、と思います。それは多分分かり易さを重視すると、逆に
企業の自由な考えを妨げるといことになるというところからなのかと思いますが、まぁ
判例で判断してくれということでしょうか。もうひとつ非常に大切なのは、契約でです
ね、私どもがベンチャー企業その他と契約をするときに、守秘義務契約について非常に
厳しく言ってくるところもあればそうでないところもありますが、守秘義務契約の内容
というものの項目立てというのはそんなに大きく変わりませんので、やっているところ
ではこういう項目立てをやってますよ、というような例示があると分かりやすさがより
増すのではないかと思います。
○小宮室長 まず、長さを決めるべきというご指摘ですが、これはまぁ長さについ
て何も書いていないわけですが、指針の長さを決めてしまうと先ほどいったような弊害
も逆にあるわけで、書くとしたら技術の体系に応じた考え方で、裁判はもちろん業種は
関係ありませんので、そういうところを配慮して考えるべき、という書き方にせざるを
えないのかな、と思いますが、そのような書き方でよろしいのでしょうか。・・・わか
りました。それから、大学と企業の共同研究の話というのはこれは非常に難しいという
ことを認識しておりまして、大学自体がようやく法人化するということで、まさに組織
としての知的財産の管理を一歩踏み出したところでございます。総合技術会議の方でも
そういう大学における営業秘密の管理をしなくてはいけないのではないかという議論が
どうも知的財産専門調査会の経緯で出てきたように伺っておりますので、いきなり大学
と企業を同じテンポであわせようとすると、これは大学の自治とか大学の自由という議
論が必ず起こってまいりまして、厳しいかなと思うのですが、われわれとしましても文
部科学省とかそういうところに対してはわれわれの指針や法改正もすると、今の現状と
しては大学における営業秘密の管理がなされていないから、法律を使うにも使えないと
いう問題意識は伝えてございまして、そういう方向で大学の自治に抵触しない形で守っ
ていくべきものと守らなくても良いものの区別をまずしてくれないかというような意見
交換を始めております。ですからむしろ大学のほうの話は文部科学省の政策の経緯の方
でもしくは総合科学技術会議の経緯のほうでより議論を深めてもらう方向で考えており
ます。それから頭の中のものをどうするかということですが、この指針というのはやは
りわれわれの大きな割り切りは基本的に知的財産を何らかの形で守ろうとするとそれは
やはりドキュメント化されているということが前提条件とせざるを得ない。これは基本
的にドキュメントになっていないとなかなか守りようが無いということでございます。
これはたとえばぜんぜん経緯は別ですが、金型問題の方でもやはりドキュメント化され
ていないというところが一番の問題になっておりまして、したがってこの指針も基本的
にドキュメントされている営業秘密をどう管理するかというのが中心になっているわけ
でございます。頭の中のものを管理しようと思うと完全にこれは人の管理になるわけで
ございまして、指針でこれを強く書きますと完全にこれは人権侵害の世界に踏み込んで
いかざるを得ないわけでございまして、そこで我々はそこの問題は認識しておりますが、
人権の保護というところとのバランスを考えないということで今のような形になってい
るということをご理解いただきたいと思います。それから小林委員のご指摘ですが、分
かりやすさの点でいまひとつ、ということで事例をつけろということだったのですが、
これは最初原案の時に契約書の雛型を後ろにつける形で検討しておったわけですがこれ
を指針として出してしまうとですね、これはまたそれぞれの自由度を奪うという、契約
書の中身というのは色々あっていいはずでございましてそこまで色々と書くのはどうか
な、ということで今の案から落としてあるというのが経緯でございます。ただ参考資料
としてそれを付ける事は十分ありうると思うのですが、指針としてそこまでハッキリと
記したほうが良いのかどうかということについてはむしろこの場でご議論いただくかも
しくは後の段階でご意見として出していただければなと思います。
○長岡委員長 確かにあった方が分かりやすいのではないかと思いますが、反面に
すでにこれだけ長くなってしまっているという面もございます。それでまだ御意見があ
るかと思いますが、今日は非常に良い意見をたくさんいただきましたので、あとは事務
局のほうで精査いただいて必要な修正をして頂きたいと思います。また戦略的なものに
ついては取得管理指針の方で盛り込むことが出来るものは盛り込むということ方向で宜
しいでしょうか。もしそれで宜しければ、更に追加的コメントがおありになりましたら
明後日の19日までにご意見を事務局のほうにいただき、まとめさせていただくという
ことで宜しいでしょうか。
○小宮知的財産政策室長 よろしくお願いいたします。それで、来週からこれにつ
いてパブコメをかける予定になっておりまして、次回の1月末のこの委員会で最終とり
まとめをさせていただきたいと思います。
○山田委員 ちょっと宜しいでしょうか。最後に小宮室長が言われたことが非常に
重要でございまして、この指針がドキュメントされたものを対象にしているといった瞬
間にさっきまで頭にあったこと、というのがまるっきり落ちるわけですが、どこかでサ
ジェスチョンをしなくてはいけないものだと思うのですが。
○小宮室長 それはまるっきり念頭におかないと言うわけではなく、中心はドキュ
メントされているというものにせざるをえない、ということでございまして。
○山田委員 それでしたらそれで、紙の冒頭とかに、念頭にはそういうものもある
けれどもとりあえずこの指針としてはそういうものを中心に考えているとか、何らかし
らのコメントをいただいた方がいいと思うのですが。
○小宮室長 そうですか。
○長岡委員長 競業避止義務についても書いてありますので、また中心は不正競争
防止法ですが、補完的に契約とか就業規則とかでも必要だということを書くことは出来
ると思います。単に不正競争防止法だけだと守られるものが非常に狭くなってしまいま
すので。
○小宮室長 そこはでは研究させていただきます。
○片山委員 最後の例をつけるかどうかということですが、大企業はいらないとは
思うのですが、中小企業はそこまでなかなかレベルがいっていないという現状もありま
すので、出来れば指針の中でなくてもどこか二次的に出版されるもののなかででも書い
ていただけると良いのかなと思います。

3.取得・管理指針の構成(案)及び技術流出防止指針骨子(案)について

○長岡委員長 それではとりあえず営業秘密につきましてはここまでにさせていた
だいて、引き続いて取得管理指針と技術流出防止指針について議論をはじめさせていた
だきたいと思います。
○小宮室長 それでは時間も押しておりますので、簡単に説明させていただきます。
まず取得管理指針について。資料3をご覧下さい。取得管理指針の項目案になります。
前回個別の業種ごとにタイプが違う、もしくは何らかの形で知的財産の戦略のある無し
を図れないかというご説明をしたのですが、分析が進みまして、資料3-2がアメリカ
の特許分類による97年から2001年にかけての特許の取得状況でございまして、日米
の、あるいはヨーロッパの主要な業種につきましてどういう特許取得状況にあるのかと
いうことを分析いたしました。この分析が指針に第一に反映されるわけではありません
が、アメリカで戦略的な特許戦略が行われているとおぼしき状況がこのグラフから垣間
見られるわけでして、どうしてもっと日本で同じように出来ないのか、というのが問題
意識であるわけです。資料の3-3は研究開発費の投資額で営業利益を割り算したデー
タですが、これがROEと非常に高い相関を90年代示すことは既に明らかでございま
して、効率よく利益をあげられる企業が儲かるというわけですが、これを特許登録件数
で因数分解したものというのがこの業種別のグラフでございます。若干予想違いのもの
もございますが、どちらかというと素材系の業種というのはたくさんお金をかけても取
れる特許は少なくてその代わりその取れた特許の質によって利益が変わってくるという
ことが窺い知れますし、一方機械系はそうではなくて割合と利益率は一定より下にあり
ますが、特許がたくさん取れる企業とそうでない企業が分かれているという傾向が窺い
知れるわけでございます。そこでこのグラフをみても分かるとおり、素材系は良い特許
が取れるかということが重要になりまして、一方機械系は特許がまとめ取りできるかと
いうことがどうも知財戦略であるような気がしております。もちろん最近は経営も多角
化しておりまして、もともとは素材系をやっていても今は機械系の仕事も結構やってい
る企業もいらっしゃいまして、そういう意味では企業によってはそのあたりが混ざって
しまっているようなデータになってしまっております。そういうことを前提にしながら
3-1をごらん頂きますと、構成の案としては背景、意義と必要性、講じるべき対策、
となっております。この講じるべき対策も先ほどと同じようにPDCAの構造を踏襲し
ております。取得管理指針の背景はバックグラウンドを記す予定。取り組みと必要性に
ついては選択と集中をやらなければいけない、ということを研究開発や知的財産戦略の
観点からも行っていく必要があるのだ、ということを記していくつもりでございます。
2番目として対象の知的財産の範囲ですが特許中心ですが営業秘密も考えていく必要が
ありますし、商標権や著作権については当然ながら特許と同等に扱えるような部分につ
いては記していくことになろうかと思います。それで各社講じるべき対策の基本理念で
すが、知財を重視した経営方針の明確化、社内での共有、対外的への発信していくとい
うのがあげられようかと思います。次に知的財産をベースとした事業戦略および研究開
発戦略の策定があげられるかと思います。というのは事業戦略、研究開発戦略および知
的財産戦略というのはやはり三位一体であるべきでございまして、そういう観点からみ
たときに事業戦略への組み込み、たとえば権利がまず自社と他社でどういう風になって
いるかという情報収集をしたうえで、自分の事業の選択と集中をする上で知的財産を組
み込んだ形にしていくことがベターではないかというのが(1)でございます。次に研
究開発戦略への組み込みでございますけれども、これは事業戦略の遂行に必要な技術領
域の特定、取得方法の決定の中で知的財産についての視点を組み込んでいく必要がある
のではないかということでございます。次に事業戦略、研究開発戦略、知財戦略の連携
ということでございますと、その他社との技術提携とかM&Aにおける評価手法として
の活用とか、それから担当者間の連携。これは、例えば、その経営を考える人と研究開
発戦略を考える人と、それから知財戦略を考える人がバラバラであっては、何をやって
いるか分からなくなってしまう訳でありまして、この辺りの連携をどう取るか。更には、
攻撃・防御・予防の面からコア事業に係る基本特許の取得、若しくは迂回技術や代替技
術の開発をやっていくというところが新しいコアの事業を起こしていくという観点で必
要になろうかと思っております。
次に社内取得・管理体制の構築でございますが、体制の構築としては、知財活動の意
志決定による経営者層の関与と組織の整備ということで、知財活動には経営者の事業戦
略が明確に入っていなければいけませんので、関与を明確化して、組織を整備して、R
&D部門と連携による迅速・的確な知的財産の権利取得をする。それから2ページ目に
行きまして、組織体制の整備等ということで、柔軟な組織と適当な経営資源の投入、予
算とか人材。知財部門の位置付けということで、企業形態とか事業規模に応じた位置付
け、これは企業経営と集中型と分散型の両方あろうかと思います。それからグループ経
営下での知財管理ということで、知財部門の機能ということですけれども、全社部的な
知財戦略の企画・立案ということが必要となってくるかと思います。それから、グロー
バル経営下での知財の取得・管理ということですけれども、これは当然のことながら、
現地事務所の活用とか現地弁護士を採用しつつ、例えば、海外における確実な取得・管
理ということも当然やっていかなければならない。それから、(4)にリスク管理の徹
底ということで、侵害訴訟の未然防止、それから海外における知財侵害への対応体制、
訴訟リスクの軽減といったことが挙げられております。それから、効果的な取得・管理
の実施ということにつきましては、まず第一に取得ということで、情報等の整備、出願
方針の策定、外国出願にあたっての考え方ということを定める必要があろうかと思いま
す。管理・活用につきましては、知財の管理と言うことで、やはり定期的な棚卸しが必
要と言うことと、それから知的財産の活用ということで、まず事業の競争力の強化若し
くは自由度の確保ということがまず第一にあるわけですけど、それをやった上で、なお
必要な場合には、例えばライセンス等ということで、やるわけですけれども、その場合
には他事業への影響等を考慮するということも必要になろうかと思います。
それから人材育成という観点でやりますと、つきましては、まずやはり経営幹部をま
ず養成をしなければならない。それから、次に発明者の育成を育成する、代理人を育成
する。外部から登用をする。こういったことがあろうかと思います。3ページに参りま
して、フォローアップ及びレビューということで、まずフォローアップ体制の整備をす
るということですけれども、知財戦略や取組状況を確認した上で、ドローアップ体制の
整備をする。評価の実施と言うことでは、まず知財の評価を行うと言うことと、それか
ら知的財産部門の活動を評価をすることが必要でないかと思っています。それから、更
に組織の最高責任者による見直しが必要になろうかと思います。定期的な見直しを行っ
た上で、文書化をやはりしないといけないということになろうかと思っております。最
後に、知的財産に係る各種支援策の活用ということで、むしろ特許庁等々の制度を上手
く活用する、そういったことになろうかと思います。これが知的財産の取得・管理指針
の構成の案でございます。
それでは、次に資料の5をご覧いただきたいと思います。
技術流出防止指針の骨子の案ということで、目次をまず見ていただきたい、前文が、
技術流出防止指針の必要性、それから指針の対象ということでございます。次に、この
指針が意図せざる技術流出を防止するということが目的でございますが、主なパターン
を記載してございます。続いて、各社が参考とすべき対策ということで、これもまた
PDCAの構成に従って書いてあるところでございます。
ページをめくって頂きまして、2ページですけれども、前文は、これは流出防止の必
要性、それから指針の対象ということでございます。まずは、必要性は前にご説明した
とおりでございます。指針の対象といたしましては、対象企業は技術・ノウハウを有す
る製造業を対象としております。いわば、もの作りがこの指針のターゲットとなってお
ります。各企業は、業種・規模等の特性を考慮して、それぞれの企業に最も適した対応
を検討する必要があるとしております。
次に、意図せざる技術流出とは何かということですけれども、国境を越える技術流出
防止に焦点を当てております。国内におけるノウハウ等の流出防止は営業秘密管理指針
でカバーがされる。それで次に、海外展開等に伴う意図した技術移転の範囲を超えて、
この技術やノウハウが海外企業や海外従業員の仕事となることと定義をしております。
それから、その次の防止するためにはということで、技術移転については、組織とし
ての意思決定ができているか等、意思決定段階等に遡って意図せざる技術流出の内容・
範囲についても、予め明らかにする必要があるために、この技術移転の在り方などにつ
いても、一部言及しております。
3ページでございますけれども、技術流出の主なパターンについて書いてございます。
詳細は、8ページから12ページにございます参考をご覧いただきたいと思いますけれ
ども、第1が技術ライセンスや技術援助にまつわる技術の流出でございます。次に海外
生産の開始・拡大にまつわる技術の流出、これは例えば、日本からの技術者派遣による
指導等をも含んでございます。それから3番目に、製造に必要な部品や材料に化体され
た技術流出、それから4番目に、製造に必要な機械・設備に化体された技術流出、5番
目に製造に必要な図面やノウハウの流出を通じた技術流出、6番目に人を通じた技術流
出、これは、退職者による技術指導とか現地従業員による転職等も含んでございます。
それから7番目にその他の要因ということで、リバースエンジニアリングに対して、例
えば、全社的な統一方針とか対策が不足していたような場合、レイアウトやプロセスを
第三者に開示したことによって流失した場合、それから、大学・公的研究機関との共同
研究等によって生じる技術流出についても触れることが適当かと存じます。
4ページとして、各社が参考とすべき対策についてということで記してございますけ
れども、まずやはり最初にやらなければいけないことは基本方針の策定ということで、
やはりトップが関与して技術流出防止基本方針を策定するということでございます。こ
こにございますように、意義、それからそれに必要な作業例、盛り込むべき事項例を挙
げてございますけれども、技術ノウハウの領域を特定したり分類をしたり、リスク分析
をしたりすることが作業例として必要になってきますし、それから、基本的な考え方を
明確にした上で計画を、製品技術毎の計画を明確化をすることがあげられようかと思い
ます。
次に、組織体制の整備でございますが、5ページに行っていただきまして、社内組織
体制を整備して責任を明確化するということでございます。目的はここにありますよう
に、役割分担、権限・責任を明確化し自覚を促すということになろうかと思います。作
業例としては、現行の確認と問題点の抽出。それから体制の検討、それで企業トップの
関与方法を加えた社内全体を統合した体制の整備まで必要になってくるかと思います。
事例としては、組織体制の整備にあたって確保すべき事項、それから技術流出のおそれ
を考慮すべき広域を取る場合の意思決定のための体制の整備。それから、実際のノウハ
ウ等を管理するための組織体制整備といったことが挙げられようかと思います。
次に、事業活動を行う上での具体的対策の強化でございますけれども、二つございま
して、一つは国境を越えた意図せざる技術流出を防止するために、投資等の社内意思決
定時、契約締結時から事業活動全般にあたって国内において最大限可能な対策を講じる
ということと、それからライセンス契約、現地生産や実施等におきまして、海外におけ
る事業生産を行う場合にも、提供された技術情報の適切な管理を通じて仕様書外への技
術流出を防止するための対策を講ずるの2つがあろうかと存じます。対策強化の必要性
は、5ページの下にあるとおりでございまして、6ページには具体的対策を検討する必
要な作業例ということで、対策の確認と評価、それから意思決定段階における投資等の
形態毎の留意事項及び契約段階における留意事項の整備、それから具体的対策の事例と
して、先ほど申し上げた7類型に沿って具体的な事例を記載してございます。これは1
3ページから14ページにかけまして、参考2として挙げてございますけれども、それ
ぞれのパターンにつきまして、ここにございますように、例えば1であれば、意思決定
時における対策、それから留意事項、自己管理の徹底といったことがございますし、そ
れから2番、3番、4番ということで、それぞれのパターン毎にディメンジョンを特定
して留意事項・対策のあるべき姿について記しているところでございます。
それからもう一度6ページに戻っていただきますと、フォローアップ・レビューの徹
底ということでございますけれども、これにつきましても、やはり、技術移転後の管理
状況、それから管理状況等の社内監査を通じまして技術流出の有無、それから管理体制
の管理状況を定期的に点検してその結果を基本方針、マニュアル等に反映をすることが
あげられております。意義はここにあるとおりでございますが、作業例としては、個別
ケースの意思決定プロセスを評価する、それから事後管理状況の確認をする、それから
障害となった事項の整理をする、各項目の監査方法等の検討といったことが挙げられて
おります。それから関連する具体的事例として、意思決定状況の確認、事後管理状況の
確認、定期的な監査・レビューといったことが挙げられております。
それから5番目でございますけれども、関連情報の提供及び社内教育の実施でござい
ますが、7ページでございます。技術流出防止管理を有効かつ円滑に実施するために技
術流出防止基本方針及び管理マニュアル等必要な情報について、社内関係者に適切に周
知する、社内関係者に適切に教育するということでございまして、その作業例としては、
システムの構築、人材育成、それから、内容に応じては提供先の検討ということがあげ
られております。手法としては、広報活動・教育活動等が挙げられております。
6番にマニュアルの策定について書いてございますけれども、1から5をカバーした
社内における管理マニュアルを策定するということで、作業例としては、意図せざる技
術流出の有無についての実態の分析、それから流出可能性のある形態の整備、流出防止
対策の整備、それから留意事項の整備といったことが色々と類型別にやるべきであると
いうことを記しているわけでございます。
ちょっと端折りましたので、参考1、参考2あたりをパターンとそれぞれを行う上で
の対策について、それぞれお話のところをよくご覧になっていただければというふうに
思います。以上です。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。かなり関連はしますけれども、順番に議
論したいと思います。最初が資料3-1にありました知的財産の取得・管理指針の構成
案についてコメントを頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○伊藤委員 よろしいでしょうか。こちらの知的財産の取得・管理というのは、財産の実
施ということも含めて考えてよろしいのでしょうか。実施ということを考えていくべき
だとしますと、この大きな3の一番下の7の知的財産に係る各種支援策の活用というと
ころがありますが、大企業の方々は取得に対しまして、それを自ら実施していくパワー
が十分あるのですけれども、中小の企業ですと権利は取ったけれども、実施していく場
合に色々なところと協力して実施をしていく必要がある。例えば、いろんな建設的なも
のとか公共事業的なものとなった場合には、いろんなところの許可が必要になってくる
ことがございますので、そういうふうなところに関して、中小企業等がとった財産につ
いて十分フォローアップするような体制を国として取っていただくようなことを明記し
ていただけると有難いと考えております。
○小宮室長 ちょっとそこは広がりすぎかなという感じがしていまして、それは知的財産
の範囲を超えて、中小企業の事業支援対策になってしまうので、ちょっとこの委員会に
は馴染まないと思います。
○土井委員 信託関連法の改正に伴い、信託業法が改正され、各社さん他社のために知財
を取得し管理をするというような状況が今後十分あるのかなと思いまして、その場合に
4.(2)の活用のところに他社のために取得・管理する場合にどういう指針がありうる
のか、若しくは他社に取得させ、管理する場合、これは5.代理人のコストパフォーマ
ンスに関わってくるのかもしれません。何かその辺を入れておかれるといいのかと思い
ます。
○小宮室長 必要性は分かるのですが、実態がよく分からない、正確にいうと実態をお話
いただけない。つまり、どうも結構グループの再編の中で、信託を活用したいという意
向をお持ちの会社さんはどうも多いという雰囲気を感じ取ってはいるのですが、話して
くれませんかと言うと、いやぁとか言って皆さんお話いただけないのが今の状況であり
まして、私もその必要性は認識しているのですけれども、今信託法が改正される前の段
階で、その信託法改正後の企業の知財管理の姿について表に出せるものをどこまで教え
ていただけるのかなについては若干不安があります。それから、むしろこれは小倉委員
の方からご説明があればと思いますが、これは知的財産協会での管理委員会の中でその
ような議論が行われたと聞いておりますが、一応この資料は門外不出ということで、役
所にも示していただけないのが実態でございますので、ちょっとそういう意味では、信
託法ができた後ですね、そういう具体論が出てきた後に、みんなが路頭に迷うというの
であれば、取得・管理指針を改訂すればよいのではないかというのが私の持っている今
の感じでございます。
○小倉委員 私はそこまで把握していなくてですね、知的財産管理委員会でもその議論は
まだされていないという状況です。
○加藤委員 若干一般論的になってしまうのですけれども、この指針を考える場合に、何
度もお話のあったことですが、会社のトップマネジメントがこういう知的財産権が重要
であり、戦略事項であるという認識を持つことは、大前提であると思うのですけれども、
現実、どうやったら彼らを説得して、この知的財産を前提としてビジネスを考えていく
ようにするかといった場合に、難しい問題があります。私がおりますところの環境が十
分そのような環境になっていないのかもしれませんが、まだまだIT産業はかなりそう
なっている方だと一般的には思うのですが、例えば、この前プロジェクトXで丸島委員
の姿を拝見して思うことは、やはりすごく大きな問題が会社にあってですね、会社の存
亡に関わるとか、訴えられる、さらにすごいホームラン特許で会社が大もうけをしたと
か、具体的にそういうものがないとなかなか一般の経営者の頭では分かっても、実施す
るというのは難しいと思うのです。やはり心の中では、どうやって明日食って行こうか
と考えていると思います。この指針を書くときに是非、この辺の具体的なヒントを盛り
込んで頂きたい。まさにそういうご趣旨で書いてらっしゃるとは思うのですが、最初の
方に選択と集中を考える上で非常に重要だということを書いていただいていますが、そ
れでは知財が選択と集中と企業経営の中でどう重要なのかをなるべく分かり易く書いて
頂きたいと思います。例えば、会社の資産と言いますか、価値、自分の色々な事業を見
直した場合に知財という観点で、具体的にインプットをもらうという趣旨で書いていく
か、その辺もきちんとチェックしていくということです。これは私の思い入れかもしれ
ませんが、知財をやっている人は割と会社を広く見ている、しかも会社だけでなく、同
じような事業分野や他分野を含めて自分たちの持っている特許がですね、もっと別のこ
ういう形で使えないかと常に考えているわけです。これは会社経営者にとって必要な視
点なんですけれども、会社が大きくなったりして事業が細分化して行くと、なかなか持
てない発想なんです。ですから、知財の人が持っている製品戦略とか見方を会社の中に
活かせるんだということ、そのための組織を作ることが必要だということを是非どこか
に盛り込んで頂いて、それでこの知財というものが重要だということに結びつけて頂く
ようにしてもらいたいと思います。
○丸島委員 そんなにですね、知財があると事業上手く儲かるといった事例はあまり無い
と思います。それぞれの会社では、人が大事とおっしゃいますが、どういう人が大事だ
と思っているのか、知財というのは個々の積み上げで、その経営に貢献していくという
のが一番の本質だと思います。だから、例えば、研究開発を経営者が理解しよう、理解し
ろとおっしゃるのだけれども、経営者に行く前にもうちょっと開発の人が知財が居るた
めに利益を得たかという実態を味わってもらうことが一番大事だと思うのです。それか
ら事業の責任者が知財の人と一緒にやって、これだけ得したという実績の積み上げだと
思うのです。お話になったのは、ある事件が起きてですね、それを解決しなければなら
ないというケースもあると思うのですけれども、そうい事件があったから認識するとい
うのでは、ちょっと私は本流ではないと思うので、普段の活動の中でそういう実績を積
み上げていきながら、経営者が知財は大事なんだなあと認識していくのが本当の姿だと
私は思っています。ですから、あまり派手な事ではないと思うのです。指針に書いてあ
ることを見たら、知財を活用した事業が素晴らしくよくなるかと、急に良くなるわけは
ない。だから、地道に実行していくことだろうと私は思います。それで一番気になるの
は、今流行りの付加価値評価とかそういうところの評価の実施というところがあるので
すけれども、評価をすることは大事だと思うのですが、評価を一つ間違えてしまうと、
今言った本当の仕事でなくて、目立つ仕事の方に走ってしまうので、それは指針として
非常に困った方向に行くと思いますので、そこだけ気になります。特に文書化といった
形を整えるのに非常に目立つのですが、形を整えると毎日のように修正しなければなら
ない。大体修正というのは、皆さんやりたがらない。文書に書くと10年もほったらか
しというのが良くあるのですよ。大事なのは、文書じゃなくて、方法だと思いますので、
あまり文書・文書というのは、どうかなという感じはいたします。
○秋元委員 弊社が採用している付加価値評価の場合、一応、対象レベルとしては経営者
なのですけれども、何もこの資料の評価方法が100%正しくてですね、この指針の中
で知財の価値が有るとか無いとかを判断するという意味ではなくて、現実に、会社のマネ
ジメントにとってこういう付加価値があるのだということを、一定の明確な基準で啓示
的・継続的に評価して、経営者に知的財産の重要性を分かってもらうということが大切
であると申し上げたかった訳です。
○小宮室長 この業種別のグラフを配ったのは、正にそういう目的にために配ったわけで
して、実は別件で席を外しておりますが、各業種の社長さん回りを私と桑田でやってお
りまして、結構面白いことが分って参りまして、別に社長が特許の専門家であることは
全く必要ないんですけれども、このグラフを見せたときにですね、競合他社との関係で、
これはこうだからこうだからこうだと言える人と言えない人がいる。つまり、競合他社
でこっちがどうも御社よりこっち利益が良さそうですねと言うと、「いやこれはたまた
まこの時期にこういうのがあたっているからうちは大丈夫だ」とおっしゃる方とそう
じゃない方が当然いらっしゃるわけで、要は、本質は知的財産をどういうふうに上手く
使えているかどうかが何となく感覚的に頭に入っていればそれで十分じゃないかと思っ
ています。今加藤委員が言われたことは、そういう感覚をみんなに持ってもらうべきと
いうことでしょうから、そういう意味では、我々はこのグラフを使って、これを見てど
う思うかということを少しやっていこうかと思っております。むしろ会社の中で、この
資料を内部的に検討してもらってですね、なぜこのようになっているかを会社の中でご
議論して頂けるのであれば、そういう意味では指針の文章をこねるよりは、はるかに意
味のあることだと思います。
○片山委員 ただすごく進んできていると思う事は、以前に比べると、例えば、取締役会
に我々が呼ばれて、こういうことを話をしてくれと言われることが多くなりまして、それ
は企業のトップと知財担当の役員の方の先見性というものがあるのかなと感 じがます。
教えられたからこれをやりましょうと言うのは、多分無いと思いますので、成功事例だと
かそういうことを検討して、やはりそういう必要であるのではないかということを認識さ
れていつのだと思います。一つ質問があるのですが、この中でですね、グローバルでの知
財の取得・管理だとか戦略が書いてあるのですが、海外経験の豊かな会社の中には、過去
に費用と時間を掛けて会社のノウハウになっているところがあるかと思います。つまり、
海外のこの国ではこの代理人、あの国ではこの事務所というふうに本当に信頼のできる代
理人のネットワークを時間をかけて作っているところがあります。なかなか難しい話だと
は思いますが、こういうことをできない企業に対して、ビジネスとして、サポートやコン
サルテーションをしていくようなビジネスは、既に日本に存在しているのでしょうか。
○小宮室長 片山先生がそうなんじゃないんですか。
○片山委員 全般に裾野を広げていこうと思うと、そういう風なものが現れてこないと
、いくら旗を
振っても、なかなか難しい、逆にビジネスになってくるとぐっと広がってゆくという感じ
がします。特
に、中国なんかについて需要が大きいように感じます。その辺に個人的に興味があったも
のです
から。こういうことは、これまで企業の内政化で、つまり企業の内部で特別な部門を作っ
てやって
きたというのが一般的だとは思うのですが。
○丸島委員 動きつつあると思います。そういう組織を作ろうというお誘いはありました
から。動きはあると思いますけれど、ただ表に出ていない。
○御船委員 一言言わせてください。この中で選択と集中を取り上げていらっしゃ
いますが、これは非常に大事なことです。ただし、知的財産ではなくて、その事業戦略
を選択・集中する。それによって、結局研究開発戦略が関わってくる。ただし、その中
で10%とか20%とかの自由度があることが大事なことであって、そこの中から種を
拾い出すことができるかどうかが見識の問題である。これが一つですね。もう一つは、
私は30年来、この知的財産の問題、アプリオリに技術移転の問題についてやってきた
ことは、「臨床から予防へ」という考え方で仕事を進めてきた。実は、予防へということ
になると、成果そのものは絶対浮上してこない。何十億もの理恵企業行動課をあげる予
防対策をとっても、これは表面には浮かび上がってこない。隠れた成果となる。実際に
は、知的財産のマネジメントというのは臨床から予防へと移っている。いろいろトラブ
ルが起これば臨床的に処理しなければならない。もうちょっとはやり予防的にマネジメ
ントをやっていくという時代に来ている。それにはトップマネジメントが知的財産を自
分の仕事の一部として捉え、知的財産のグループとよく連携していかなければ上手くい
かない。だから、事件が起きる前に、例えば3年位前に上陸を阻止するためには、先方
へ行って交渉するといったことをやらなければならない。ただし、相手が個人の発明家
であるとか町工場の弁護士さんというのは、また別問題ですけれども。少なくとも、国
際企業である限り、そう時代に移ってきている。最後だけ付け加えさせていただきます。
○長岡委員長 では、技術流出防止指針の方に移らせていただきたいと思います。
これについては今回が初めてですが、どなたかご意見、ご質問等口火を切っていただけ
ればと思いますが…
○鈴木委員 特に国境を越える技術流出防止指針なんですけれど、まぁ指針そのも
の ではなくなるんですけれども、国境を越える技術流出防止ですと相手国のライセ
ンス規定の制度の問題がある。特にアジア諸国ではある。自国企業に有利な制度になっ
ている。それは個別企業では対応しきれない話なので、したがって指針そのものに書き
込むって話ではないんですけれども、そう言った問題に壁にぶち当たった時には問題を
提起して最終的には政府が対応すべきことだと思っております。私が不公正貿易報告書
を扱っていた時に、ライセンス規制は特にアジア諸国のライセンス規制に問題があると
抽象的には書けたんですが、ある程度調査しても、個別の事例があってつっこんだ問題
点が調査しきれなかった。どうもライセンスについてはかなり企業の皆さんもセンシ
ティブになっているような印象を受けました。ですが、こういう指針も今回公表するに
際しては、合わせて、問題があったときにの駆け込み寺の存在をセットで書き加えてい
ただければと思います。駆け込み寺のひとつの例としては例えば不公正貿易報告書のコ
メントというのもあるかと思います。
○小宮室長 ご指摘に点につきましては、そうゆう事例も当然ありますし、制度面
でなくても相手国の行政の運用において、技術供与を強要される場合少なからずあるよ
うで、相手国政府のアクションに対しては、日本政府に通報をする。こう言ったことも
入れていくことを含めて検討しております。
○齋藤委員 2ページのところにありますけれども、国境を越えるというところが
かなりクローズアップされているように感じるのですが、それと同時に意図せざるとも
書いている。グローバル企業の場合には、技術を国境を越えて持ち出し、一番コスト力
のあるところで作って売ることを考えていると思うんですが、そのあたりの両方の天秤
はどちらに重点を置かれているんでしょうか。
○小宮室長 企業がどんな技術移転戦略であるかは企業にお任せしている話なんで
すが、どうも今までずっと話を聞いていた1つの結論は、当初の思っていたより、要す
るに出血大販売しているような事例があって、それは当初の当該地域を使用したその範
囲を超えているような場合って言うのが起こってきて、つまりあそこにあの技術は出す
つもりはなかったのに、いつのまにか出ちゃっているというパターンがあって、それが
資料に定義した7つのパターンです。だからそれをどうにかして、ちゃんと当初の企業
戦略上の狙い通りに、技術が出る形にするためのいわば中の手続きを書いているという
のがこの指針でありまして、そういう位置づけで考えております。
○長岡委員長 1委員の立場としての発言ですが、国内でも意図せざる流出が起き
ているわけで、何故国境を越えたところだけ指針を作るのか、その必要性を明確にして
おく必要もあります。私はその点で重要なのは知的財産権保護あるいは契約のエン
フォースメントが、日本と比べて非常に弱い国がある点だと思います。前文でこうした
点を明確にしておいて頂きたいと思います。
○小宮室長 そのように考えております。
○長岡委員長 お願いいたします。
○御船委員 私はタイトル自身に問題があると思っておりまして、ここでは問題に
しているのはおそらく技術の二次流出の防止だと思う。技術を出すと言うのは、自分の
意志で提供しているわけですから、その意図せざると言うのは、結局二次流出している
から問題になるわけで、そこをクリアにしておいた方が良いのでは。
○小宮室長 クリアにしたつもりなんですけれど。
○御船委員 今の議論だとしかし二次でなく一次の問題が出てましたよね。
○小宮室長 だからそれはそもそも指針で整理している技術流出パターンではないわけで
す。
○御船委員 だからタイトルを二次流出とされればクリアになる。
○小宮室長 あまり格好良いタイトルじゃないと思うんですけど。それでは格好良
いタイトルを考えていただくというのを宿題にしてもよろしいですか。ちょっと考えま
すけれど、そこは省内でも色々議論したんですけれど、何か説明を付ければ付けるほど、
舌を噛みそうになるので、それで今こうゆう技術流出防止指針と言う呼び方にしている。
最初は意図せざる技術流出防止指針と書いたんですけれど、それはそれで何となく題名
としてはあまりしっくりこないなと思いまして。
○丸島委員 意識的に出すのに流出と言うんですか。意識と言うのは外れているか
ら良いんじゃないでしょうか。
○小宮室長 有り難うございます。
○長岡委員長 それからちょっと細かくなるのですが、参考事案の中には特に問題
視すべきでないと考えられるものがいくつか入っているんですね、例えば10ページの
2の4番目に書いてある、競争会社が途上国に製造設備の輸出をしてる、というのがあ
るのですが、これは競争の結果技術輸出が促されたとしても、それ自体は問題ではない。
11ページの6の1の2番目にあります元従業員についても、これは競業避止義務に反
していれば問題であって、反していなければ問題で無いのでしょうから、元従業員が教
えたこと自体が問題とするような記載の仕方はちょっとまずいのではないかと思います。
他の例の中にも競争にさらされて技術を出すのは意図している技術の移転であって、意
図せざる流出ではないと思います。少しその辺も直していただきたいと思っております。
○小宮室長 そこはですね実は業界慣行の問題もあるんですけれども、製造措置の
開発のときにユーザー企業のノウハウが全部丸ごとズボーンと入るわけですね。ところ
が製造装置のメーカーの方は、それだけでは食っていけないと言うことでそのノウハウ
を使ったものをいろんなところに売りまくるわけでありまして、ところがそのノウハウ
を与えた企業としては、今までの信頼関係でよもやまぁそんなことはするまいと思って
いたのに、いつのまにか自分達のノウハウを使った製造装置が例えば中国や他のアジア
に稼動していて、同じような製品がいっぱい出てきて、返り討ちにあってしまった、と
いったことを問題にしている。もちろんその時に最終的にどこまでをそうゆう装置は自
社にしか売らないでくださいと言うふうになるのかどうかは、各社の判断の話になるわ
けで、逆に言うと製造装置メーカーとしてはそれだったら、あなたとの共同開発はやめ
だと言う話になるのかもしれない。ただ問題意識として、今までは業界の暗黙の契約の
中でそうゆう無茶なことはしないといことがビルトインされていたが、もはやそうゆう
時代じゃなくなったってことがここに書いてあるわけでして、したがってちょっとその
パターンを指針としてどう書くかってことは、委員長がおっしゃられたように、どこま
でがその悪いこととして捉えることができるのかって言うのは、もう少し詰めていかな
くてはいけないとは思います。
○永田委員 基本的なことですが、論点の整理の仕方として、意図せざる技術の流
出が発生する要因を、外的要因と内的要因に分けるという視点が考えられると思います。
技術の流出は、組織内部の管理の問題に起因して発生する場合と、事業を行うロケー
ションに規定されて発生する場合もあると思いますから、そうゆうカテゴリーに分けて
整理するのもひとつの方法かと思います。それから留意すべき点は、事前の対策と事後
の対策とでは大きく異なると思います。事前に技術の流出が発生しないようにするため
の事項と、それが発生してしまった場合に事後的にどう対処すべきか、という事項に分
けて整理されると、指針として非常に分かり易いものになると思います。以上でござい
ます。
○丸島委員 人による流出のところで、退職者の技術流出のところで、表現するの
は問題だという指摘があったかと思いますが、事実としてあると言うこと自体を書くこ
とは宜しいのではないでしょうか?退職者に対する制約も何も課していないわけです。
だからどうしたらよいかってことが考えられると思う。
○長岡委員長 ただ、技術流出防止指針となっていますので、流出は悪であること
を前提としている訳です。ただ単に元従業員が辞めた後外国のライバル企業に就職する
こと自体をとって、技術流出と言うのは妥当ではないと思います。
○丸島委員 流出が悪と言うのはおかしいんじゃないでしょうか。それは自分が損
失を受けるという意味でありまして、流出している原因が全て悪という表現では無いと
私は思っているんですけれども。
○長岡委員長 ただ、今回この指針のタイトルが技術流出防止指針なんです。です
からタイトルをどうするかという問題にもつながっているんじゃないかと思います。技
術が流れたということを価値判断無しにあらわしているならこれは問題無いと思うんで
すけれども、技術流出を防止すべきだという観点で全体が書いてあって、その中でこれ
が挙がっていると、過剰規制的な感じになるのかなと思っております。
○丸島委員 あの、受ける印象がですね、何か元従業員は何をやっても良いんだ、
ということを言っておられるような気がするんですけれども。
○長岡委員長 そんなことは言ってません。
○丸島委員 そうですか。何か非常に元従業員にばかり過保護じゃないかな、と
思ったりもしてるんですが。何故元従業員ばかりそんなに気を使わなくてはいけないの
かな、というところが理解できないんですよ。ですから余り気にしなくて良いのではな
いかなと。別にどうしろ、と言っているわけではないですから。現実に起こっているこ
とは事実なんです。
○長岡委員長 競業避止義務など、契約できちんと縛る必要がある場合はそれをし、
その契約はエンフォースメントしないといけないという意味では賛成なんです。ですの
で、何をしてもいいということを申し上げているわけではないんです。
○片山委員 この退職者の問題は結構深い問題で、日本で技術化が進んで、非常に
技術を持った人たちが早期退職をして、東南アジアなり何なりでそんなに高い給料を払
わずとも、基本的には彼らも働きたいので、自分の持っている技術を活かしたいという
わけで、結構本人達はハッピーに働いているわけです。先程の、頭の中にあるものをど
れくらいノウハウとして保護されるのかという問題と非常に関わるんですけれども、こ
こはどうもその日本全体の人の政策として、そしてもう一つは産業政策としてどうする
か、という非常に難しい問題も絡むところでありまして、ある意味ではデリケートな扱
いをした方が良いと感じますが。
○長岡委員長 他にいかがでしょうか。
○山田委員 先程の、人を通じた技術流出についてですが、丸島さんがおっしゃっ
たのは国内のものですね、もうひとつ我々が2回も経験しているのは国外において現地
従業員がぽっと辞めちゃってですね、ノウハウを持って出ちゃうと、これを規制すると
いうのは絶望的なんで、これを外国政府に対する申入れといいますか、そういうものが
無いと面白くないんじゃないかと思うんですけどねぇ。
○長岡委員長 それは外国人に対して技術流出に対してエンフォースして欲しいと
いうことなのでしょうか。
○山田委員 ですからやっておりませんから、私どもは一件はですね、現地でもっ
て不競法で訴えました。で、第一号の適用事例になったわけですけれどね、もう一つの
国は法律も何もあったもんじゃないので、全然駄目。泣き寝入りの形。日本と同じよう
に高いレベルで保護されている国とせざる国があると、現地従業員の転職、さんざんっ
ぱら学んで独立しちゃうわけですね、これをどうやって防げばよいのか、就職するとき
からその意図で入ってくるわけですから予防するのは難しい、とんでもないノウハウを
コピーしてそのまま持って行っちゃうことが出来るわけですね。私達仕方ないからホン
ダの吉野さんから教わった方法で、現地でジョイントベンチャーを立ち上げるしかな
かったわけです。さらに広がるのを防ぐにはそれしか方法が無いんです。非常に笑い事
ではなく、大きな問題だと思います。
○丸島委員 片山先生、先程おっしゃったデリケートに、というのはどっちの意味
でデリケートにという意味なんでしょうか。ちょっと理解出来なかったので。
○片山委員 いけない流出と、良い流出と、ちゃんと分けて書いて頂きたいという
意見です。あの、全てを合法的なものまで事実としては合法的でも流出している、それ
を産業政策としてどううするか、というのは非常に大きな問題になると思うんです。そ
こまでこの指針まで書き込むわけではないのですが、どちらかに色が付くような形は避
けて頂きたいと思います。
○丸島委員 ただ現実としてそういう事実を認識する必要がある、という意味では
どちらも同じだと思うんですがねぇ。
○小宮室長 書き方の問題なので、会社にとってはいずれにせよそれで被害を被っ
ているという認識なのですから、あとは対象として人権を害しない範囲で何が出来るか
というところが悩みになるのではないかなと思っております。要するにへんな揚げ足を
とられるような真似はしない、という話しでございます。むしろ今の片山先生のおっ
しゃられていた産業政策との観点では、実は省内にも色んな議論がありましたけど、
我々はこの指針は少なくとも脇のしまった企業のあるべき姿、つまり今はグローバルな
時代ですから、全世界的に事業所を作って生産活動を行うのは当たり前のお話ですし、
実際実態を見ても日本の電機産業は中国無しでは生きられないような事態に立ち入った
ということですからそれに対して技術を出すなというのはこれはもう常識外の話しでし
て、我々はそれをどうこうしろというつもりは全くない。繰り返しになりますけど、最
初はトップの事業戦略を越えて知らない間に技術が行っちゃったんだよね、というそれ
が実はすごく多いし、我々模倣品対策をやっているわけですが、大体模倣品を作ってい
る相手というのはジョイントベンチャーで組んだ相手だったり、今お話に出たような、
現地のスピンアウトした人たちというのはほとんどの事例であって、まぁ今やそうでな
い事例というのもたくさん出てきているわけですけれども、そうなるとある部分、模倣
品対策を考える上に置いても、投資する前の段階においても、また投資した後の段階に
置いて脇がしまっていれば防げたであろう被害が、結局何らかの理由で防げていないと
いうことであればそこを脇をしめるにはこうしたらいいんじゃないか、ということがこ
の指針の中で書ければ、結果的には会社的にも良いし、産業政策的にも日本の産業活力
を落とさないという意味でよいのではないかと考えております。
○長岡委員長 かなり時間も超過したのですが、何か特にコメントしておきたいこ
とがあれば。
○丸島委員 あの、前回大分話題になったISO化というのはどうなったんでしょ
うか。指針の持って行き方等も関連するんじゃないかと思うのですが。
○小宮室長 はい、我々今頭の中で考えておりますところは、知的財産の取得・管
理指針というのはこれはまさに事業戦略・経営戦略の話しなんで、これは規格化には
ちょっと馴染まないかな、と考えております。他方営業秘密の管理指針とか、技術流出
防止指針とかは事業戦略と言うよりはむしろ会社の中のデュープロセスを書いた指針に
なる可能性が高い。これは今日も長田先生とか、欠席されている髙先生とかからは標準
規格には馴染みやすいし、今現在あるISO9000や14000もしくはISO化されてお
りませんがJISでリスクマネジメント管理指針と比較しても馴染みやすい部分である。
我々としましては、この営業秘密管理指針と技術流出防止指針は特に対策の所で、先程
申し上げたPDCAというタイトルを書いているわけですけれども、ココの部分を切り
取って、JIS化するというのは悪くないんじゃないかと考えておりまして、この辺り
を次回JIS化についての問題についても御議論いただけたらと思っております。それ
から、ついでに申し上げますと、議論としてはJIS化だけで普及するのかという議論
もありまして、指針でとどめておくべきなのか、本格的な議論は来年度ということに
なっておりますが、ディスクロージャーについても検討をしておりまして、ディスク
ロージャーの項目として「こういう指針に従ってうちの会社はやっています」というと
ころを宣言をするというのも、いいのかどうか、というところも含めて議論のイシュー
としてあげていきたいと思います。
○長岡委員長 時間を超過してすみませんでした。指針は2つとも本日の議論を
ベースにして、整理させていただいて、次回指針案を検討していきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。では、次回のスケジュールについてお願いします。
○小宮室長 次回のスケジュールですが、1月30日(木)10時から12時の間
本日と同じくここ17階国際会議室にて予定をしております。で、次回のテーマは、営
業秘密管理指針の最終取りまとめ、知的財産の取得・管理指針案と技術流出防止指針案
に関する検討、更に特許・技術情報開示のパイロットモデル案の提示を予定しておりま
す。委員の皆様に置かれましてはご都合を調整いただきご出席を頂ければと思っており
ます。以上でございます。
○長岡委員長 それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第2
回経営・市場環境小委員会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたる審議いた
だき、ありがとうございました。
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