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審議会

産業構造審議会知的財産政策部会経営・市場環境小委員会(第3回) 議事録



1.開 会

○長岡委員長 定刻になりましたので、産業構造審議会知的財産政策部会第3回
経営・市場環境小委員会の開催をしたいと思います。まず、事務局より、配付資料
の確認をお願いします。
○小宮知的財産政策室長 それでは、配付資料でございますけれども、「配付資
料一覧」にございますように、資料1から資料9までございます。ご確認の上、不足
がございましたら、お申し出をいただきたいと思います。それから、資料4-1から資
料5-2までの資料及び資料8につきましては委員限りとさせていただいております
ので、よろしくお願いいたします。

2.営業秘密管理指針

○長岡委員長 よろしいでしょうか。本日は検討項目が非常にたくさんありますので、
効率的に議事を進めていきたいと思います。最初に、前回、活発な議論をいただき
まして、あとパブリックコメントを受けました営業秘密管理指針の資料から、事務局
の説明をお願いします。
○小宮知的財産政策室長 それでは、資料3-1と3-2を用いましてご説明をさせ
ていただきたいと思います。3-1につきましては、パブリックコメントにかけさせてい
ただいた資料をさらにパブリックコメントを踏まえた修正、それからあと、若干まだ表
現が不明確であったところの明確化を全部見え消しであらわしてございます。最終
的にはこの見え消しを消した形で外部に公表したいと思っております。細かいところ
は後でもごらんいただくとしまして、資料3-2をごらんいただきたいと思います。「パ
ブリックコメント意見のまとめ」という表題になっておりますけれども、昨年12月27
日付でパブリックコメントを募集いたしまして、今月17日まで、ホームページの掲載
という形でパブリックコメントをいただきました。それで、ここにございますように、19
件のコメントがございました。それを一応整理いたしております。「主なご意見の内
容」というところで、まず[総論]でございますけれども、寄せられたご意見は、基本
的に本指針の内容に概ね賛成というものでございました。このあたり、1ページに書
いてございます。ちょっと2ページをめくっていただきたいと思いますけれども、その
上で、以下の事項について指摘・要望が寄せられました。まず、その全体に関する
意見でございますけれども、枠囲みにございますように、「ミニマムの水準」と「望まし
い水準」の考え方について、誤解が生じないようにしてもらいたいというご指摘をい
ただいたわけでございますけれども、この下の考え方というところに示しておりますよ
うに、「ミニマムの水準」については、過去の裁判例から読み取ることのできている
ファクターの紹介に留めている、それから本指針はあくまで「参考になるべき指針」
であるということを述べておりまして、それで、この指針の性質を明確化するために、
1ページ目の見出しを「『参考となるべき指針』の背景及び意義」というふうに修正
いたしました。次の四角でございますけれども、「情報保護」と「情報共有」のバラン
スをとるべきであると。したがって、どこまで開示すべきか、どこまではという開示すべ
きかどうかの明確な境界線が必要ではないかというご指摘だったわけですけれども、
これは各個別企業ごとに非常に状況が違うものでございますので、個別企業がそこ
はご判断いただきたいというふうにしております。それから秘密管理性の要件でござ
いますけれども、複製された秘密情報についても、秘密管理の要件が当てはめるこ
とを明確化すべきということでございます。考え方といたしましては、複製された情報
であっても本指針に当てはめることができるということですが、そこを明確化するため
に、23ページにございますように、「複製の禁止」といった語句を追加して修正をし
ております。3ページにまいります。開示先で複製された秘密情報はアクセス管理
を外れてしまうということについてでございますけれども、開示については、守秘義
務を含んだ契約を締結することになると思われるので、この義務を遵守させれば必
ずしも要件が滅失するわけではないということでございます。それからその次、アウト
ソーシング先との契約でございますけれども、一種の取引先と考えられております
ので、この取引先のところで明確化しております。それから法で保護される「営業秘
密」と、事業者が営業秘密であると思っているものと具体的に区別を明確にすべき
ではないかということでございますけれども、ここでは、過去の裁判例から、秘密管
理性のファクトを具体的に分析・整理しておりますので、これを参考にしていただき
たいということでございます。それから、画一的にやることは困難なので、少なくとも
判例がいかなる基準で秘密管理性を認定しているのか明確化するべきではないか
ということで、これはもう裁判例の内容を分析・整理して具体的に紹介していると申
し上げるしかないということでございます。それから個別の管理方法にまいります。3
ページの下のところでございますけれども、大学等の新卒者を雇用する場合につ
いてどうかということでございますが、ここの35ページの「転入者」について、大学
等の新卒者もその内容が該当し得るものと考えているという旨記してございます。4
ページにまいりたいと思います。コンタミネーションが流動化を妨げるおそれがある
のではないかというご指摘でございますけれども、これを踏まえまして、36ページの
ヘッドハンティング云々というところの段落を全部削除いたしました。それから次に、
企業における営業秘密管理規程の策定や就業規則で懲罰規定を新たに制定、も
しくは変更しようとする場合には、労働組合または従業者代表と協議し、合意を得
ることについて言及すべきではないかというご指摘がございました。これにつきまし
ては関係者間で調整させていただきまして、この考え方といたしましては、労働基
準法90条の規定を踏まえつつ、必要な記述を追加しております。
次に組織的管理方法でございますけれども、グループ企業の場合についての、ど
のように組織的管理を行うべきかの明確化でございますけれども、これはそれぞれ
非常に形態がさまざまでございますために、個々に検討すべきというふうにしており
ます。それから転出者の管理について、採用会社側に過度の負担を生じない管理
体制を示す必要があるのではないかというご指摘でございますけれども、「ミニマム
の水準」については過去の裁判例のファクターの紹介に留めると同時に、これは繰
り返しですけれども、あくまで「参考となるべき指針」ということで、望ましい水準はま
さに未然防止のために書いているということを明確化した上で、先ほどと同じように、
「参考となるべき指針」というふうに修正しております。最後、5ページでございます。
指針の普及について、インセンティブの付与が必要ではないかということでございま
すけれども、指針の中身の中でインセンティブの付与の部分については検討され
ていないわけでございますけれども、これは何回かここでも議論になりましたように、
例えばその標準規格化をするといった意見もあるわけでございまして、引き続き検
討いたしますということでございます。それから国内の規格についてのみ言及となっ
ているけれども、民間や海外の規格も含めて紹介して多様な選択肢を与えるべき
ではないかということでございますけれども、ここで、この指針でも言及しております2
つの規格についてはISO規格に依拠しているということを紹介しております。それか
ら最後ですが、契約書の雛形とか注意点のチェックリストを示すべきではないかとい
うことでございますけれども、この雛形を行政の方から示すというのは必ずしも適当
ではないということで、考え方や留意点についてのみ記述するということでございま
す。
以上、このパブリックコメントの意見のまとめも含めましてご了解いただければ、この
営業秘密指針と管理指針と同時に公開していきたいと思っております。以上です。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。今のご説明に関しては、ご質問とか、
あるいはコメントはありますでしょうか。パブリックコメントを出していますので、もし特
段のコメントがなければ、本指針案で取りまとめてプレスへ報道発表するということ
になりますけれども、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○長岡委員長 じゃそうお願いします。
○小宮知的財産政策室長 ありがとうございました。
○高委員 3つの要件を満たさなければいけないという営業秘密の定義があります
けれども、これはこの中の1つでも満たせばということですか、3つ満たせばということ
ですか。
○小宮知的財産政策室長 3つ満たさないと営業秘密になりません。
○高委員 わかりました。

3.知的財産の取得・管理指針及び技術流出防止指針

○長岡委員長 では引き続きまして次のイシューですけれども、知的財産の取得・
管理指針及び技術流出防止指針について議論をしたいと思います。いずれも事
前に事務局から資料が配付されておりますが、それを前提に、変更点を中心に簡
潔に説明をお願いいたします。
○小宮知的財産政策室長 それではまず、「知的財産の取得・管理指針(案)」と
いう資料4-1及び「ヒアリングのまとめ」4-2に基づきまして、取得・管理指針につ
いて簡単にご説明したいと思います。作業的には、前回、事項を示させていただき
まして、その後、各社の知財部長の方々のご意見、さらには事務局の方で、社長さ
ん方、経営トップのヒアリングをいたしまして、今大体20社程度のヒアリングの実績
があるところでございます。こういう知財部長の方々や経営トップの方々のご意見も
踏まえながら、この指針の原案を取りまとめさせていただいております。簡単に構成
だけ申し上げますと、指針の1ページにございますように、まず「知的財産と企業経
営」ということで、要は、世の中が変わって、企業の知財戦略が事業戦略と研究開
発と一体となった形で行われることが不可欠であるということをるる述べてございま
す。それから2ページにまいりまして、「本指針と知的財産戦略大綱」ということで、
これは大綱に基づいて、経営層を対象とした「参考となるべき指針」として策定され
るという位置づけを書いております。それから4ページにまいりますと、「企業におけ
る取り組みの意義と必要性」ということで、まず「『選択と集中』の要請」ということでご
ざいますが、企業の競争力というのが、これはいろいろな場面においてもいわれて
おりますように、「選択と集中」の進め方にかかっていると。ただ、この「選択と集中」
というのは研究開発戦略や知的財産戦略と密接な関係にあるので、これらに係る
状況を十分に踏まえて事業戦略を構築することが望まれる。優良企業の経営トッ
プというのは、自社の事業戦略を研究開発戦略や知的財産戦略の関係において
具体的に説明できる傾向がみられたと。これはヒアリングの結果でございます。4
ページに、事業の「選択と集中」の必要性、それから5ページに研究開発や知的財
産の「選択と集中」、これは前回、前々回でご説明させていただいた企業の知的財
産についての状況の分析を文章で書いてございます。次に6ページでございます
けれども、「事業戦略や研究開発戦略としての知的財産戦略」ということですけれど
も、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略の三位一体の構築が必要であると。
要は、知的財産を効果的に活用して戦略の策定をすると同時に、事業のコア・コン
ピタンスを保護していくというのがポイントであるとしております。それから7ページで
ございますけれども、「本指針の対象企業と適用」ですが、本指針は、技術をベー
スに新たな事業や市場を創造すること等により、自社の競争力を高めていこうとす
る企業を対象とするが、その際、素材系技術と機械系技術の違いを考慮する。こ
れは前に申し上げたように、技術の体系が違うということにも触れてございます。そ
れから8ページ、「対象となる知的財産の範囲」ですけれども、まずは特許権を中心
としますけれども、営業秘密に関する留意点も触れ、また、その他の知的財産権に
ついては準用可能な事項を明確化する。ただポイントは、事業ドメインの拡大のた
めに、要は知財をどういうふうに効果的に活用するかということでございます。 その
次に「基本理念、戦略の策定」というところで本体部分になってくるわけですけれど
も、まず経営トップが知的財産を重視した経営方針を明確化して、経営方針に基
づいた知的財産戦略を策定することが重要ということでございます。ここには、まず
(1)として、「知的財産を重視した経営方針の明確化」、それからそれに基づく知
的財産戦略等の策定ということを記してございます。11ページにまいりますと、「知
的財産権をベースにした事業戦略及び研究開発戦略の策定」ということで、知的
財産情報がいかに有益なツールとなり得るかと。したがって、その連携が大事だと
いうことを記しておりますけれども、この11ページの中段から下のところで、機械系
と素材系の違いというところについても触れさせていただいております。続いて12
ページ以降、「事業戦略との連携」「研究開発戦略との連携」、それから13ページ
で「事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略等の連携」ということを触れておりま
す。それから14ページ、「社内取得・管理体制の構築」ということですけれども、社
内組織体制を整備して責任を明確化するということで、(1)として「体制の整備」、
それから次の15ページに「グループ経営下での知的財産管理」、それから(3)とし
て「グローバル経営下での知的財産の取得・管理」、それから16ページへまいりま
して、「リスク管理の徹底」ということを触れております。17ページにまいりますと、
「効果的な取得・管理の実施」ということですけれども、取得・管理・活用と各段階
に応じた戦略を有することが重要、このために人材の育成確保も重要ということで
ございます。17ページが取得、それから18ページが管理・活用、それから19
ページが人材の育成・確保といった点について触れております。21ページでござ
いますけれども、「フォローアップ及びレビューの徹底」ということで、定期的な確認、
それから状況確認を踏まえたフォローアップ体制の整備ということを触れておりまし
て、(1)「フォローアップ体制の整備」、それから21ページ下の「レビューの実施」と
しております。最後、23ページでございますけれども、組織の最高責任者による見
直しということで、定期的に基本方針や具体的な取り組み等を確認、見直すことが
重要であるということで、見直しと文書化ということについて触れさせていただいてお
ります。それで、「ヒアリングのまとめ」の方は、少し項目立てが指針とは違いますけ
れども、それぞれ個別の会社名は伏せさせていただきまして、「事業戦略と研究開
発戦略に関する中期ビジョン」から始まりまして、4ページに「知的財産戦略」、ほか
の戦略との連携、それから7ページに「社長の知的財産へのかかわり」、それから8
ページに「知的財産管理体制」、それから11ページに「特許からみた自己とライバ
ル企業の評価」、それから15ページに「リスク管理について」、それから16ページ
に「営業秘密の管理」、17ページに「職務発明等の処遇について」、18ページに
「国の役割」、それから20ページに「その他」ということで、それぞれ個別の会社の
トップのご発言を整理させていただいております。以上が「知的財産の取得・管理
指針」につきましての資料でございます。次に「技術流出防止指針」についてご説
明させていただきたいと思います。資料5-1と資料5-2がございます。これにつき
ましては、もう既に項立てについて前回ご議論いただいたところでございますけれど
も、若干項立てを変えた部分もございますので説明させていただきたいと思います。
まず本体の方の「前文」については「技術流出防止の必要性」を記してございまし
て、3ページに「指針の対象及び範囲」ということを記してございます。対象企業は
「技術や生産ノウハウを有する製造業を対象とする」ということを書いておりますし、
それから「意図せざる技術流出」については、これはいろいろとご議論あるところだと
思いますけれども、ここに「意図せざる技術流出」の定義を記してございます。それ
から5ページにまいりまして、「意図せざる技術流出が発生する主なパターンについ
て」ということで、これは前回もいろいろとご説明いたしましたけれども、1.から7.にか
けまして、5ページから8ページにかけまして7種類のパターンを記してございますの
で、それぞれ非常に代表的な事例を整理して挙げているところでございます。9
ページ以降、「各社が参考とすべき対策について」ということでございますけれども、
ここの前書きのところにございますように、いわゆるPDCAサイクルに基づきまして記
してございます。それで、ここは若干、前回挙げた事項から整理をいたしまして、より
このPDCAに沿った順番の入れかえを行っております。まず第1に、9ページに、
「技術流出防止基本方針の策定」ということで、トップが関与して方針の策定を行う。
それからその次、13ページに、「技術流出防止管理マニュアルの策定」をする。そ
れでそのときに、下記以下、3.から7.に関する事項を盛り込んだ管理マニュアルを
策定するということを記しております。15ページにまいりますと、「社内技術流出防
止のための組織体制の整備」ということで、体制整備をして責任の明確化を図ると
いうことでございます。それから18ページにまいりますと、「事業活動を行う上での
具体的対策の強化」ということで、まず国境を越えた意図せざる技術流出の防止の
ために、投資等社内意思決定時、契約締結時から事業活動期間全般にわたり、
国内において最大限可能な対策を講じる。加えて、ライセンス契約や現地生産の
実施等により海外で事業活動を行う場合にも、提供された技術情報の適正な管理
等を通じ、事業所外への技術流出を防止するための対策を講じること、という形に
しております。ここにつきましては、1.から8.のそれぞれの対策の局面につきまして
留意事項を記してございます。その次、23ページが「関連情報の収集・提供及び
社内教育の実施」という形になっておりまして、この基本方針とか管理マニュアル等
の必要な情報を社内関係者に適切に提供するということと、関係者に対する社内
教育を実施するということを記してございます。25ページ以降が「フォローアップの
徹底」ということで、管理状況の確認、それから社内監査等を通じまして適切なフォ
ローアップをする。27ページ、最後に「レビューの実施」ということで、企業のトップ
が関与したレビューをして、基本方針とかマニュアル等に反映するという形にしてお
ります。資料5-2は、実はこの流出するパターンと対策事例についてのより詳細な
事例集でございます。ただ、なぜ2つに分けたかと申しますと、1つは、事例集、そ
れぞれの企業の生々しい実態を記したものでございますために、この指針について
一緒に添付をして公表すべきなのか、それとも指針とは切り離して、事例集は事例
集として少し分けるべきではないかとか、いろいろと内部的にも議論がございまして、
とりあえず今回、指針はこういう純化した形での指針としてパブリックコメントに書け
る方向でさせていただきまして、事例集の取り扱いについては、本日も含めまして
引き続きちょっと議論をさせていただきたいということで、分けたわけでございます。
個別の事例についてはちょっとここでは、もう長くなりますので説明は避けますけれ
ども、かなりいろいろな形での流出パターンがあるということと、それから逆に、企業
の方におかれても相当いろいろな対策を既にお打ちになっておられる、また欧米の
事例でもいろいろな対策の事例があるといったところを含めて書いてございますの
で、本日の議論にお役立ていただきたいと思います。以上です。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。今、2つ指針案をご説明いただいたわ
けですけれども、この後、指針をまとめてパブリックコメントということになりますので、
きょうは活発なご議論をお願いしたいと思います。順番にやりたいと思います。最初
に取得・管理指針の方について、ご質問とか、あるいはコメントございましたら、ご自
由にお願いいたします。
○丸島委員 聞き損じたのかもしれませんが、4-2のヒアリングのまとめはどういう形
で、開示との関係で公表されるんでしょうか。
○小宮知的財産政策室長 これは一応それぞれ実はヒアリングしたところにもチェッ
クをかけていただいたまとめにしてまして、とりあえずパブリックコメントのときには非
公開にしてますけれども、最後、3月14日に取りまとめた際に、できれば参考資料
としてつけたいなあという意向はあります。感じはもっております。ただ、そういうもの
を添付した方がいいのか、しない方がいいのかというところもあわせてご議論いただ
ければありがたいと思っております。
○丸島委員 ありがとうございました。
○長岡委員長 ほかにいかがでしょうか。
○齋藤委員 この管理指針の方の7ページ、3.のところに「自社の競争力を高めて
いこうとする企業を対象とするが、その際、素材系と機械系」ということで2つに分け
ているんですが、電気とか電子とかいろいろ、操作系もあると思うんですけれども、
素材と機械と書いたのはどういう背景でしょうか。
○小宮知的財産政策室長 これは1回目の議論のときに、ご存じのように、特許の
取り方を調べてみると、素材系の企業というのはわりあいとホームラン特許をねらう
知財戦略になっていると。つまり、一回、物質特許がとれれば、問題は、それが物
すごい質の高い特許であると大もうけをすると。他方、機械系の産業の場合には、
これはITが一番典型的ですけれども、非常にクロスライセンスの世界に入っていて、
したがって、ホームラン特許も別にないことはないわけですけれども、ただ、むしろど
ちらかというと、特定の分野で特許がまとめ売りできるかどうかというのがどうも知財
戦略の一つのメルクマールになっているのではないかと。 それからもう一つは、い
ろいろ議論をして出てきたのですけれども、特に機械系、特にIT分野の方々からは
標準戦略と知財戦略の連携というところについてのご指摘がありまして、素材系は
標準戦略というのは余りない考え方でありまして、そうしますと、実はそのあたりは書
き分けしないと、素材系のやり方をそのまま機械系にもってくるとどうしても不一致が
生じてしまうので、そこは書き分けをしようという、そういう意味でございます。
○丸島委員 今のに関連したところなんですが、私も、表現として機械系というと、
受ける感じが、ITって入ってこないんですね。5ページに、確かに知財系の産業と
してIT、事務機器等と注釈が入っているんですが、イメージとして、機械系というとI
Tは入ってこないんですね。そういう意味で表現の問題だろうと思うんですね。だか
ら、見出しのところにももうちょっと、ITも当然入るような形で入れていただきたいなと
いうことと、もう一つは、素材系でいわれていることは機械系でも要素としてはもって
いるんですね。ですから、一件当たりの特許の価値が低いと、こう決めつけているの
もどうかなあと(笑声)。その辺が一番抵抗を感ずるところですけれども(笑声)、高
いのもあるんですよ。だから、機械系はみんな一件当たり低いと言っちゃうと……。
機械系で素材に、ここで定義された素材系関係の研究開発も相当やっているわけ
ですね。ですから、誤解を招かないような表現が欲しいなと思いますが。
○御船委員 今の、私はふだんは組立産業系と素材産業、あるいはプロセス産業
系という言葉を使っているんですが。機械系というと、確かに電気、電子、頭に入っ
てこないんですよ。
○長岡委員長 代替案としては、11ページに括弧書きで書いてあるんですけれど
も、たくさんの知的財産権がないと商品化できない、複合型技術と、一つの特許で
商業化できるような、単体技術と技術の特性に応じた分け方というのも一つの案で
はないかと思います。機械系と素材系としますと、これに落ちる産業はたくさんある
し、それから機械系の中でも素材的なものがあるし、素材系の産業の中でもそうで
ないものもありますので。
○小宮知的財産政策室長 組立産業系といったら、ITは入るというイメージになり
ますか。そこもよくわからない……。これはもう語感の問題なので、むしろIT産業の
方々に何かいい知恵を出していただけると非常にありがたいんですけれども。
○丸島委員 私は技術の言葉で表現した方が正確になると思うんですが、私は複
合技術産業だと思っているんですね。一件当たりの価値が低いというのは、その中
に構成している単位の技術価値の問題ですから、物すごい、薬に匹敵するような
高いのもあるわけですよ。低いのもあるし。ただ、そういうもの1個じゃ商品にならな
い、複数存在しないと商品にならないという性格は確かに違うんですね。ですから、
その中に技術で素材系の技術もあればそうでない技術もあるということだろうと思う
んで、技術の方から表現した方が適切かなという感じがしますが。
○長田委員 私も、これは産業というよりも、むしろ技術の方からみて複合と、それ
から単体の方がいいと思うんですね。複合の中にITもインテグレートされると考えれ
ばいいと思います。それで、ヒアリングのまとめの方も、個別の業種で書いてありま
すけれども、そうであれば、この複合型技術系、それから単体技術系というふうにし
た方がむしろ整理されていいのではないかなと思います。
○小宮知的財産政策室長 ただ、そういうふうに書いたときに何となくイメージでき
ますかね。その会社の。
○長田委員 だから、それは括弧して。ここに書きたければ。ガラス、土石とか書い
ておられるけど。
○長岡委員長 じゃ技術の性格に応じた表現にするということで検討したいと思い
ます。ほかにいらっしゃいませんでしょうか。
○菅代理 11ページの機械系産業のところで、一番最後のところなんですが、「標
準化を念頭に置いた知財戦略が重要となる」とあるんですけれども、私どもはこの
表現では機械系産業に入ると思うんですが、標準化を目指すものと、あと、独占を
目指して、ほかにまねさせないという部分とがあるので、この表現、確かに標準化を
念頭に置いたとは書いてあるのですが、すべて標準化することばかりが知的財産
取得の目的ではないので、そのあたりも考慮していただければと思います。
○小宮知的財産政策室長 「知的財産戦略が」を「知的財産戦略も」に変えるので
よろしいですか(笑声)。
○菅代理 そうですね。標準化というのは確かに議論あったと思うんですけれども、
必ず各社独自の素材系に近いような独占的な技術というのをもってそれをやって
いる部分があるので、その部分をわかるように表現していただければと思うんですけ
れども。
○小宮知的財産政策室長 ちょっと工夫します。実は産業界の方から、独占という
ことを前面に押し出した修文が何件か来たんですけれども、これは書き過ぎますと
公正取引委員会に完全にひっかかりますので、そのあたりは表現ぶりを少しまたご
議論させていただきたいと思います。
○長岡委員長 標準の中にもデファクトとデジュールがあるわけですが、指針はどっ
ちかというと、これはデジュールの方を念頭に置いて書いていると思います。デファ
クトにはこれを供給する企業が独占的な標準というのもあるのではないかと思いま
す。
○小倉委員 今のことに関連するんですけれども、今、複合化技術のところですけ
れども、活用というか、その利用形態いろいろあると思うんですね。その特許の性質
において独占もあるだろうし、それから標準化もあるだろうし、クロスライセンスという
のもあるだろうし、それからいわゆるライセンスもあるだろうし。そういう意味で、複合
化の場合には、知的財産戦略というのは幾つかのそういうフェーズを考えてやって
いく。ただ、電気の場合は確かに標準化とクロスライセンスをどうもっていくかという
のは非常に重要な要素、ITの場合には要素だと思いますね。
○長岡委員長 ほかにいかがでしょうか。もしまたありましたら戻ってきていただくと
いうことで、次、技術流出防止指針の方に議論を移したいと思いますけれども……。
○丸島委員 1点よろしいでしょうか。
○長岡委員長 どうぞ。
○丸島委員 さっきちょっと確認しましたヒアリングのまとめの記載のことなんですが、
社長さんがどういうリスク管理について意見があるかというのは結構大きな要素を占
めると思うんですが、その中で、「金で解決するので、リスクの優先順位をつけてい
ない」という表現は、知的財産管理というものに対して、まあ余り大事じゃないよと
いっているようなものなんですね。
○長岡委員長 何ページでしょうか。
○丸島委員 16ページです。輸送用機器系A社というところなんですが、6.の一番
最後ですかね。「金で解決できるので、リスクの優先順位をつけていない」というの
は、このリスクのところの表現をずっとみますと、クロスで解決できるからいいんだとい
うのと、侵害が怖いというのと、金で解決できるというのと3つ全部書いてあるわけで
す。これは社長さんの意識として一致してないんですね。もしこういうことを出すのな
ら、前提となる産業の状態とか、自分の立場とか、何か背景がもっとないと誤解を
招くような気がするんですね。一番大事なポイントがこれだけ分かれるというのはどう
も、このまま出すと誤解を招くんじゃないかという気がしますけど。
○長岡委員長 これを指針と一緒に公表することの趣旨は指針のベストプラクティ
スを示すという意味じゃないわけですよね。
○小宮知的財産政策室長 ベストプラクティスというのは、またこれ、一種主観とクラ
イテリアが入ってきちゃうんで、とりあえずそういう各社のトップが知財戦略をどういう
ふうに考えているかというところをずうっと聞いていったというのが趣旨なんですね。
リスク管理のところは、実は丸島委員のご指摘にもかかわるわけですけれども、実は
金で解決できるといった社長さん、もう一人いて、むしろ製造物責任の方が怖いん
だといった社長さんもやっぱり、この後ですよ、ここにちょっと入りきらなかったんです
けれども、今週行ったある会社で出てきちゃったりして、そこの知財のリスクというの
が、要するに今、損害賠償額がどんどん裁判所の方で上がってますけれども、私
個人の印象を申し上げると、この損害賠償額がもう少し上がってこないと、なかなか
リスクとして、つまり認識されないのではないかと。非常に変な言い方ですけれども。
逆にいうと、製造物責任の場合には会社の事業そのものにダメージを与えるんだと。
こういう、ちょっと認識というのがどうも経営トップにあるのかなあというのがちょっと個
人的な印象だったわけですが。したがって、おっしゃるとおり、もし誤解のないように
書くとすると、さらに社長のいわなかった言葉を僕らが勝手に足さなきゃいけないと
いうことになってきて(笑声)、非常に難しいなというところもあるんですけれども。
○桑田経済産業政策局審議官 補足しますと、僕、一緒にトップの方のところにお
会いにいったんですけれども、皆さん、リスクについてはどれも重要だと思いますと。
だけど、最近は雪印とか、ああいう事例があるものですから、一たん傷ついちゃうと
会社自体がつぶれちゃうという危機感がこういう、どっちかといいますと社外的なセ
ンシティブというか、製造物責任とかそっちの方で。それに比べたら、知的財産の
方はまだマネージャブルな部分が経営的にはあるんだということでいわれたという感
じだと思います。したがって、ちょっとここは誤解を招くかもしれないので、そこは社
長の、トップの方のいわれたことをもう一回、小宮君ともどもチェックしながらやりたい
と思います。
○丸島委員 個人的にも、今、室長おっしゃったように、経営者からみると、金で解
決できるというと、関心もたないんですね。金じゃ解決できないという前提がない限り、
尊重しないんですよ。私はそう思ってます。事実、今まではですから、アメリカの知
的財産というのは金で解決できる範囲を超えちゃったんですね。とまってしまうとか。
そういうことで、みんな経営者は脅威を感ずるわけなので、仕組みづくりというのは、
やっぱりそういう前提がないと尊重のムードというのはなかなか出ないのではないか
と、私個人的には思ってますけれども。
○小宮知的財産政策室長 知財戦略自体がそういう、金で解決できない世の中を
つくるということですから、丸島委員の考えている方向に時代は進んでいるとは私は
思っておりますけれども。
○長岡委員長 いずれにしても、ヒアリングのまとめ自体はパブリックコメントに今回
かけないわけですね。
○小宮知的財産政策室長 はい。
○長岡委員長 一緒に出すことがいいかどうか、そういうことも含めて議論できると
思います。では技術流出防止指針について、ご意見とかご質問ございましたら、よ
ろしくお願いいたします。
○長田委員 これはこの前に比べてマネジメントの考え方で大分整理されてきて、
非常に読みやすくなったと思いますけれども、ちょっと言葉ですが、一番最後に、7.
でレビューという言葉を使ってますけれども、その前の取得の方の指針の場合のレ
ビューというのとちょっと違うわけですね。これはマネジメントレビューの意味ですから、
むしろ言葉をあわせるのでしたら、4-1の取得・管理指針にあわせて、「組織の最
高責任者による見直し」というふうにした方がいいと思いますね。
○丸島委員 確認の意味もあるんですが、先ほどご説明いただいて、「意図せざる
技術流出」というふうに書かれて、どこかに定義がありましたでしょうか。
○小宮知的財産政策室長 3ページに「意図せざる技術流出」というところがありま
して、それで4ページの第2パラの「具体的には」というところで、「『意図せざる技術
流出』とは、先端的技術が化体された最終製品・部品、設計図情報・製法等の生
産技術・ノウハウ、先端製造設備等に含まれる技術・ノウハウであって、製品・製造
設備等のリバースエンジニア、文書化されたデータ・情報の取得又は人を媒介とし
たノウハウの伝達に伴い、我が国企業の意図に反して又は想定していた意図を超
えて、海外企業・海外従業員などが知ることとなったもの等を指す」という、定義を
置いております。
○丸島委員 そうすると、この定義の中では合法的な流出と違法の流出と両方含
んでいると。
○小宮知的財産政策室長 違法とはいっておりませんけれども、意図せざる技術
流出と意図した技術流出があると。
○丸島委員 違法にとられることも対象にしているということですね。
○小宮知的財産政策室長 それはそうです。
○秋元委員 これは模倣のこととはちょっと違うかもしれませんが、医薬品等の場合
には、相手国政府の許認可が必要になります。許認可のためにいろいろデータを
出す。データ保護については、TRIPSでも、要するに公開してはいけない、あるい
は漏らしてはいけないということになっておりますけれども、現地の政府が意図的に
現地のその国の企業にデータを漏らす、あるいは他国で使っているデータを流用
する、そういうような形で、現地の企業の方が外国のオリジナルのメーカーよりも先
に同じものを出す。模倣というよりも、活性成分ですから、同じ活性成分入ったもの
を出すということがよく起こるんですが、特にアジアの国、あるいは中南米の国、こう
いうところで先発メーカーよりも先に起こるんですが、その事例というのはここにどうも
載ってないように思うんです。
○丸島委員 医薬だけではなくて、化学物質、新規物質ですか、この場合も流出
の届け出が義務づけられてますよね。ですから、相手国に出た情報の管理というの
が、本当は機密のはずなんですが、そこから流出するというのも結構聞いているん
ですね。ですから、防ぎようがないんですけれども。相手国に要請しない限りですね。
○長岡委員長 そうですね。その点については若干、3ページの前文のところの後
に、外国政府の規制が、意図せざる流出を招くということが少し書いてありますので、
ここらあたりを少し拡充するということでしょうか。
○山田委員 今の点に関しましては、この委員会では直接関係あるかどうか知りま
せんけれども、国際知的財産フォーラムでも随分出るんですよね。結局、今の秋元
さんがおっしゃったこと、丸島さんがおっしゃったこと、さらに、ついでにいえば、本
当にシークレシー・アグリーメントがびっしりと、マル秘になっているものが出てしまう
と。これは一体どういうわけだ。しかも相手が複数いますと、どこの会社からとられた
かわからないというのがあるんですね。私も、これは絶望だと実は個人的には思って
いるんです。残るのはただ、相手国の遵法精神を高めてもらうような教育しかないの
かなというのが現在の心境なんです。ほとんど絶望ですよね。この前も申しましたけ
れども、相手国までいくんですかと、外国までいくんですかといわれたらもう、ちょっ
とどうしようもないんじゃないかと思いますけどね。だから、いかにノウハウ、そういうも
のを、たとえマル秘でも出さない、属人的なノウハウとしてもっていってやるしかない
んじゃないかというのが、私、社内ではそういっているんです。絶望だと、これは。本
当に、ちょっと無力感に陥るんですね。文書じゃだめなんですから。
○長岡委員長 でも、今おっしゃっている点は、相手の現地企業が原因となった流
出か、それとも政府の許認可機関が原因となった流出か。
○山田委員 私どもがやられたのは民間でございますけれども、しかし、相手の政
府だって平気ですからね。多分そうだと思うんですよ。ですから、この辺はWTOが
入ったのだからちょっと変えてもらいたいと思っても、向こうが変わらないのはどうに
もしゃあないんじゃないですかね。秋元さんの例はどういうことか、私は全然わかりま
せんけど、そういう感じがするんですけど。
○秋元委員 私がいいましたのは、主として政府機関から流れていると。疑わざるを
得ないだろうと。それは多分、そういう発展途上国においては、自国の産業を育成
するという観点から、やはり官民一緒になって、グルになってやっているんだろうとい
うふうに考えております。
○高委員 ここで議論することじゃないのかもしれませんけれども、今のような問題で、
もし政府のどこかの部署でこういうサポートができればやっていただきたいなと思っ
ているのが、この間ちょっとお話ししましたけれども、世界銀行が知的財産のエン
フォースメントが弱い国に対して保険制度をつくるという、そういう検討を始めたんで
すね。どうして世銀がそんなことを考えるかというと、途上国に対して融資するという
条件を使いながら、そのエンフォースメントの改善をやらなかったら融資を削るとか、
こういう手法を使いながら、知的財産保護のための保険づくりというのを検討し始め
ていると。まだ医薬の分野だけなんですけれども、もしこういう動きがあれば、日本
政府としてもそれを支援するような発言をされてもいいんじゃないかなあと思います
けど。
○小宮知的財産政策室長 今ご議論の話は、むしろ政府ぐるみでやっているという
話なんですが、この指針自体はやはり企業がどういうデューデリジェンスをやればい
いかというところに焦点を当ててますので、若干それは我々に対する、むしろ通商
戦略における、ちゃんとやってくれというエールとして受けとめさせていただいて、か
つ、それはある意味でWTO違反の部分でもありますし、それから、ここでは明示的
には議論されておりませんけれども、模倣品問題を含めた、いわゆる知的財産制
度のエンフォースメントの不足というところにつながっていく話でありますので、今の
話は、特にアジア地域の特定の国で非常に多い話と私も理解をしておりますけれ
ども、全体のむしろ政府間での議論のアイテムとしてちょっと引き取らせていただけ
ればと思います。
○篠原委員 今ご指摘になったエンフォースメントはこの指針の中からは外すという
のは理解はしているんですけれども、例えば8ページの上段に事例が出ております
けれども、まさにこういう事例、私も中国の当局者と議論するとよく出るんですけれど
も、例えばDVDが中国で 7,000円とか 8,000円とかでつくられて海外に輸出さ
れたり、国内で売られている。特許違反であるという議論をしますと、キーパーツは
日本から来てますと、出すのが悪いという議論がはね返ってきます。その場合に、こ
の管理指針では、日本のDVDの完成品メーカーが仮に基本特許をもっているとし
て、それに必要なキーパーツが別の会社が中国に輸出しておるという場合に、基
本特許なりを侵害されているA社は、キーパーツを輸出しているB社に対して対抗
措置がとれるのかとれないのか、この指針ではどういう考え方になっているんでしょう
か。
○長岡委員長 でも、キーパーツをつくっているところがちゃんと特許料を払ってい
れば、それ自体は問題にならないんじゃないですか。○篠原委員 3ページの脚
注の一番下、補足①で今いったような事例の話が出ていると思うんですけれども、
ここでは、「一方で、他社にとっては『意図せざる技術流出』に該当し得るケースも
ある。これを防止するために他社が何をできるかとの視点からの対策についても本
指針では一部言及。」と書いてます。これは具体的にはどういうところで言及されて
いるのですか。
○小宮知的財産政策室長 20ページの4.のところが今の篠原委員のご指摘に関
連するところ、それから機械や設備の場合には5.ということになろうかと思います。
基本的にはやはり契約上の手当てでやっていくしかない。だから、その当該相手が
全然関係のない企業の場合には、これはもう商売自由の原則ですから、どうしよう
もないのではないかと思います。ただ、我々ちょっとこういう事例を入れたのは、これ
はなかなかいいづらい話なのですけれども、模倣品だ、大変だと我々のところに来
られる会社のうち、結構多くの会社がコアのパーツを別の事業部が売ってたりする
ような事例とか……。
○篠原委員 それは社内事業部ですよね。
○小宮知的財産政策室長 はい。要するに、大きな会社ですと事業部が違うと違う
カンパニーになっちゃうものですから。
○篠原委員 それは8ページの上段に書いてある事例で、同一社内の事例ですね。
○小宮知的財産政策室長 はい。だから、そうじゃない場合にはあとは契約でやれ
るところまでやって、それでできないとすると、もうそれはしようがないと。むしろ今、ご
存じのように、いろんな形で国内のエンフォースメントの強化を図ってますから、1つ
は、もし国内で入ってきたときは国内で戦うとか。逆流した場合ですね。向こうでや
る場合にはまさにそれぞれの当該国の裁判所に訴え出て、それそのものを差し止
めるということしか多分ないと思います。
○齋藤委員 これは最後は恐らくシンプルな格好でまとめたものをまたつくるのでは
ないかと思うんですけれども、先ほどの営業秘密の管理指針の中に含まれる営業
秘密のかなりの部分がここでオーバーラップする可能性があるので、営業秘密の管
理指針は管理指針、流出の防止指針は防止指針ということで、別のものがまた出
てきたと受け取られないような最初の説明が何か1つ要るのかなという気がしてます。
それともう一つ、中身をよく吟味していただきたいと思いますのは、例えば10ペー
ジですね。[主な取り組み事例]の1)の○の最初のところですが、「移転する技術は
流出されることを前提に検討し」ということが、このタイトルをみますと、左側の一番
上にありますように、「各社が参考とすべき対策」と。私は、腹の中ではこれは覚悟し
ていても、こう書くと、流出することを前提にまず検討しろと、それいいじゃないのと
認めるような格好にならないかなあという気がしたので、ここは一つの例ですけれど
も、そういうニュアンスでとられないような表現にする必要があるのではないかなあと
思いました。
○小宮知的財産政策室長 具体的にどうしたらいいですか、そうしたら。今のはす
ごく表現ぶり難しいんですけれども。
○齋藤委員 流出することを前提、認めるという書きぶりはいかがかなあと思うんで
すけれどもね。流出されるというのは防止したいわけですから、それを前提にしろと
いうのであれば、ちょっとおかしいのではないかなと。
○長岡委員長 前提にというよりは危険があること、ということですよね。
○小宮知的財産政策室長 ただ、この知的財産保護の弱い国というのは、結局、
制度があってもワークが非常にしてないので、本来、法制度がちゃんとワークしてい
れば流出も起こらないわけですけれども、それが弱いために、法律の期待される効
果というのがないですよと。したがって、そういう危ないところに投資するんだというこ
とをあらかじめ考慮してやったらどうかという趣旨で書いているんですけどね。
○齋藤委員 それであれば、日本で常識と思っているような管理の仕方……
○小宮知的財産政策室長 では通用しない。
○齋藤委員 そう。そういう言い方に。
○小宮知的財産政策室長 わかりました。
○丸島委員 今のお話に多少関連あるんですが、営業秘密の管理指針の方です
ね。中にも書いてあったと思うんですが、あれは国内の問題だと。国内法を前提に
して営業秘密の定義にそうされているわけですね。こちらの流出というのはむしろ国
外に対する問題だと認識しているんですが、それはよろしいわけですね。
○小宮知的財産政策室長 はい。
○丸島委員 そうしますと、この流出の方なんですが、自分自身の移転なり、あるい
は流出なり、自分が権限もってやれる技術と、できないものがうっかり出てきちゃうと
いうのと両方あると思うんですよ。これはむしろ本来は自分の技術であって、出せる
もの、それが意図せざるのに出ちゃうという視点で書かれていると思うんですね。
もっと企業、経営の面からして大事だと思うのは、もう一方の、出しちゃいけないもの
が出てしまう、これが大事だと思うんですね。例えばアメリカの輸出管理法に基づく
技術というのは管理が非常に難しいですね。アメリカから入ってこなくても、日本の
メーカーから部品を購入しても、アメリカ原産の技術が入っているものだったら輸出
できない国がありますよね。技術輸出、製品輸出もできない。それは、本人が知っ
てか知らないか、そういうものをやると違反行為になるわけですが、そういう視点での
あれが全然入ってないですね。
○小宮知的財産政策室長 そういう視点はありません。
○丸島委員 どうしてですか。
○小宮知的財産政策室長 つまり、これは技術貿易を管理するための指針ではな
いからです。今の丸島さんのおっしゃられたのはまさに技術貿易を管理しろと。つま
り、戦略技術を制限しろという思想に非常に近いところがあるんですけれども……
○丸島委員 いえいえ、それは日本がそうしろというんじゃなくて、今現在これだけ
技術が流通して、アメリカの輸出管理法で制約されている技術が日本にいっぱい
入ってきているわけです。それを自社の製品に、例えば半導体も、半導体チップそ
のものにもそういう傾向のものがいっぱいあるわけですね。それを、先ほどの組立産
業じゃないですけれども、そういう部品をいっぱい買って一つの商品に組み立てた
と。ある割合でそのチップがアメリカ産のものは構成しますと、輸出できない国があ
るんですね。先ほど、PL法が大変だとおっしゃったけれども、むしろアメリカの輸出
管理法の管理できないために、アメリカの輸出管理法、違反してしまうんです。これ
は研究開発で最初技術導入して新製品つくろうとしたときも、結果、その商品はど
こへ輸出できるかということをあらかじめ検討しない限り、輸出できない国がいっぱ
い出てきちゃうんですね。 例えば私どもの例ですと、カメラとして半導体チップを入
れる場合は輸出できるけれども、修理としてチップを出すことはまかりならんという国
が結構あるんですよ。こういうことも意図せざる問題なのか、対象にしないというのは
随分偏っているなという感じもしますね。
○小宮知的財産政策室長 ただそこは、今の丸島さんのご議論はアメリカの輸出、
技術貿易管理法制を前提にしたご議論なものですから、この指針にはちょっとなじ
みにくい議論じゃないかと思うんですけれども。いや、実務では関係があるんだとい
うのは非常に議論としてはわかりますけれども、我々は米国の法制度を前提にこの
指針をつくっているというつもりは、そこはちょっとないんですけどね。
○丸島委員 いや、今のアメリカのはイグザンプルですよ。ほかの国の問題もあるか
もしれませんね。
○小宮知的財産政策室長 ただ、そこはアメリカがどういう技術管理規制をやって
いるかによって、例えば影響を受ける業種、業態、製品についてすべて違うオペ
レーションになってくるわけでありまして、それをこの対策の中に書き込んでいくとい
うのはなかなか難しいのではないか。つまり、それはむしろアメリカがどういう法規制
をしているのかというのが前提にあって、それについて日本の企業がどういうふうに
気をつけなきゃいけないかという、もし何か参考となるべき資料をつくるのであれば
それはそれでいいのかもしれませんけれども、若干、そこをここの中に盛り込むとい
うのは難しいのではないかという感じがしているんですけれども。
○丸島委員 この中に難しいというと、全部の指針のトータルでみたときにどこかに
入りませんか。
○小宮知的財産政策室長 無理だと思います。
○丸島委員 でも、経営者としては、そこはすごく大事な要素になることは事実なん
です。
○小宮知的財産政策室長 おっしゃるとおりですけれども、それは知的財産戦略
の外に出ちゃうと思うんですよね。なぜかというと、発信源が、アメリカの技術、アメリ
カの政策の影響をどう交わすかという話であって、ちょっとそこは整理しておかない
と。実はこの指針においても、例えば中国がライセンス規制をいろいろやってますよ
ね。で、実際の運用においては、中国の法制との関連というのは物すごく実務面で
は絡みが出てくるんですけれども、ここの指針の中で中国と我々はやっぱり書けな
いんですよね。中国の技術ライセンス規制がこうだからこういう対応をすべきだという
話というのは指針では書けないし、書いてはいけない。 つまり、それはむしろ個別
の企業さんがどこを相手にどういうベースで商売するかによって全部変わり得る話
ですから。だから、指針においてはむしろデューデリジェンスとしてどういうところに
気をつけたらいいかという手続の話を中心に書いているわけですね。だから、今丸
島さんがおっしゃった、アメリカの輸出管理の法制があるとすれば、それはまさにそ
ういうアメリカの輸出管理にひっかかるような商売をしている企業の社長さん、もしく
はそういう管理部門が、こういう戦略を立てる上の所与の、要するに条件として個別
の企業が考えるべき話だと思うんです。
○丸島委員 今、中国の件は対象にしてないとおっしゃったけれども……
○小宮知的財産政策室長 対象にしてないというのは、明示的に対象にできない
といっているんです。
○丸島委員 ですけど、暗に入ってますよね。
○小宮知的財産政策室長 はい。
○丸島委員 それと同じように入りませんでしょうか。
○長岡委員長 いずれにしても、この指針は日本の企業が日本で創出した知的財
産権について、それが対価を得ない形で海外に不当に流出してしまう問題を未然
にどう防止するかという形で書かれてまして、海外の法制にいかに対応すべきか、
輸出管理とか、そういうことについては直接この指針の領域ではないというふうに思
います。それは重要な問題でしょうけれども、この指針の目的と少し離れたところに
あるのではないかと認識しています。
○加藤委員 今の点なんですけれども、多分、先ほどちょっと話のあった4ページの
「意図せざる技術流出」の定義といいますか、そこのところに、フットノートでもいいか
ら、少し説明を加えていただくと、むしろこの趣旨がわかりいいのではないかと思い
ます。今ご指摘の点は、確かにアメリカの輸出管理法の問題ですが、日本の輸出
管理法にも同じような問題があり得るわけですね。本人は気がつかないけど間違っ
てそれに違反してしまったりすることもあるということです。それも意図せざる輸出
じゃないかとか、そういう問題っていっぱいあり得ると思うんですが、そういう法に
合っているかどうかとか、そういう問題は本来この指針のカバレッジではないというこ
とが少しわかるようにしていただくといいんじゃないでしょうか。
○小宮知的財産政策室長 むしろ逆に裏読みすると、この管理にあわせて、自国
及び諸外国の輸出管理法制のコンプライアンスは別途ちゃんと考えるべきであると
いうのを何か入れればいいということですか。
○加藤委員 ということですね。もう一ついうと、そういうものがあるということを前提に、
輸出については各社とも注意をしている。その前提で、だけど、合法的というもので
も、こういう意図せざる技術流出があると。それがこの指針の守備範囲であるという
ことが明確であればいいと思いますね。
○小宮知的財産政策室長 わかりました。じゃちょっとフットノートを工夫します。
○長岡委員長 すみません。私から3点ですけれども、1つはタイトルなんです。技
術流出防止指針となってますけれども、中身は、要するに意図せざる技術の流出
防止ということなので、タイトルもそういうふうに、もし中身にあわせると、一般的に技
術流出をどのようなものでも抑えるという趣旨ではありませんので、「意図せざる技
術流出の防止指針」としていただいた方がいいんじゃないかというのが1つです。そ
れからもう一つは、製造業にこれは特化してますけれども、余りその必要がないと思
います。例えば3ページの対象企業で「技術や生産ノウハウを有する製造業」と
なっていますが、製造業に限定する必要は全くないのではないか。それから、前文
の中で、製造拠点を確保するというようなことが書いてありますけれども、どんどん今
の日本の企業は開発にシフトしているところもありますので、むしろ開発・製造拠点
としてもいいのではないかと思います。ノリッジは製造業だけでなくてあらゆる分野で
つくってますから、製造業とフォーカスをする必要はないのではないかというのが2
点目です。それからあと3点目は、事例はかなり整理されましたけれども、競争的な
環境の中で取引の利益を確保するために技術を出すというのは、これは意図せざ
る技術流出じゃないわけで、その辺のちょっと微妙なところがまだよくわからないとい
いますか、本当にこれが意図せざる技術流出かどうかというのが必ずしもよくわから
ない。例えば6ページ目の4)ですね。「ユーザー企業の海外展開を後追いした現
地生産」というのは、意図に反したというのは、部品企業としては日本でやりたかっ
たわけですけれども、取引先が海外に出たわけですから、取引をやめるか海外に
出るかという選択肢しかないわけです。ビジネスデシジョンとして海外に出たわけで
すから、これを意図に反した技術流出という事例と考えるのはちょっとおかしいので
はないかなと私思った次第です。その3点です。ですから、事例についてはかなり
慎重にまとめないといけないんじゃないかと思います。
○小宮知的財産政策室長 ちょっと、何か委員長に反論するのは非常につらいん
ですけれども(笑声)、表題はいろいろ中でも議論があって、「意図せざる技術流出
防止指針」って、それはそれで題名として何となくなじまないのではないかという議
論があって、今の題名になってます。それから2番目に、サービス業と広げてしまうと、
余りにも多種多様なところが、地平が広がり過ぎて、ほとんどフォーカスできなくなっ
ちゃうんじゃないかと。つまり、製造業というのはある意味で、何だかんだいっても、
プロセスが一定のパターンがありまして、パターンごとに技術の流出するところをつ
かまえて、それでそれに対する対策を書いているんですけれども、今委員長がおっ
しゃったサービス業というのは、例えばソフトウエア産業とか、ある特殊のサービス業
を何となく念頭に置いてやられるような気がするんですが、そうだとしたら、やっぱり
それは製造業及び製造業的なサービス業みたいな感じにならざるを得ないかなあ
と。逆にいうと、それ以外のサービス業について、意図せざる技術流出を定義し、パ
ターンを追うというのは今の我々の能力ではちょっと不可能だし、それから逆に、広
げて、じゃこれは我々とどういう関係があるのかよくわからんといわれたときに、いや、
実は関係がないんですともいえなくて、そこはむしろ我々としてはそのパターンが追
える範囲について限定したと。それからさらに、もともと産業競争力の低下について
議論しているわけですけれども、問題は、意図せざる技術流出によって産業競争
力が低下した日本のサービス業とは何かという問いに対して、残念ながら、我々に
だれも明快な答えをくれていないというのがもう一つの製造業に限定した議論であ
ります。だから製造業の場合には、まさに技術がどんどん自分の意図を超えて流れ
ていってしまっているというところについて、わりあいとはっきりした認識というか、コン
センサスがあるんですけれども、実はサービス業について、そこについての見方とい
うのはまだ世の中でも余り一致したものがないんじゃないかというのが我々の認識と
してあるものですから、こういう形をとらさせていただいているんですが、むしろその
あたり、日本のサービス業の中で、意図せざる技術流出が起こっているがために産
業競争力が低下しているとおぼしき具体的なものがあるのであれば、それはそれで
またご指導いただければと思います。それから3番目は何でしたっけ。
○長岡委員長 3番目は事例ですね。
○小宮知的財産政策室長 この事例は、おっしゃるとおり、本人の、会社にとって
みると、やっぱり意図はしてなかったんだけれどもという思いが強くて、いや、ばか
じゃないかと、そんな会社はと切り捨てることも可能なんですが、ただ、実は取引と
いうのは力の強い方に引き寄せられるということになってまして、それを言い出すと、
例えばそれじゃアジアのいろんな、特に途上国で技術の流出では相手国の政府が
何か陰に陽に絡んで、先ほど秋元さんのいう全く黒の場合は別にして、グレーのよ
うな間接的な圧力をかけられて技術が流出しているような事例について、いや、そ
んなことに応じたあなたがばかなんだというふうにいってしまっていいのかというとこ
ろとも若干つながるところがあるものですから、少し広めに流出パターンを書いたと
いうところであります。そのあたり、もし皆さんのご議論の中で、取引相手に引っ張ら
れるのは、それはもうしようがないんだと、それで出ていく会社は、あなたの会社の
力がないからあきらめてくださいと整理するというのであれば、それはそういうふうな
整理も可能かと思います。
○長岡委員長 それはだから、まさにビジネスデシジョンだと思うんですね。
○篠原委員 この指針は民間ベースというか、民間の中での話で取りまとめられて
いるとは思うんですけれども、私ども、いろいろ話をしている業界に金型業界という
のがあるんですけれども、よく中小企業のオーナー経営者からこういう議論を吹っか
けられるんですが、日本政府のODA戦略の中で意図した技術流出、これは意図
せざるじゃなくて、本当に意図した技術流出が一部あるのではないかと。例えば日
本政府のODAで上海に金型センターという立派なセンターをつくって、日本の中
小企業では買えないような何千万もする機械が持ち込まれて、それで最高レベル
の実習教育をやっていると。我々、国内でいる中小企業はそんな、政府から援助を
もらって訓練なんかしてませんと。もう20年、30年の古い機械をだましだまし、20
年、30年のキャリアの労働者が使って競争してますと。ODAの技術流出について
もう少し防護措置というか、政府は考えたらいかがかと。こういう議論をよく吹っかけ
られるんですけれども、これは民間ベースの話でまとめられてますけれども、政府に
おけるそういう防護措置というか、例えばODA、JICAの研修も含めて、どのレベル
でとめるべきかという議論が本当は必要なのではないかと思うんですけれども。
○小宮知的財産政策室長 そこは実はもう一昨年から省内でも議論しているんで
すけれども、結論からいうと、ODAで出ている技術というのが技術なのか、それとも
技能なのかというところがすごくあいまいでありまして、逆にいうと、囲って守らなきゃ
いけないほどのものがODAで技術指導されているかというと、それはそうではなくて、
むしろ日本の中小企業で一般的に使われているような技術の水準に上げると。そ
のために教育指導をするというようなのがどうも我々の調べたODAの中身、特に技
術指導の中身でありまして、何となく、それを言い出ししますと、要は技術指導した
相手が自分と同じレベルまで上がってくるのがけしからんというちょっと議論になっ
ちゃって、若干そこは政府としても議論がしにくいところだと思います。
○篠原委員 要するにスピードが速過ぎるんですよね。中国なりアジアの。それをま
たODAが加速しておると。その加速のところがけしからんというのが中小企業の意
見なんですけどね。
○小宮知的財産政策室長 なるほど。これはむしろこの体系よりは、全体の、そうい
う模倣品問題も含めた戦略の中でちょっとまた受けとめさせていただきたい。
○篠原委員 これとはちょっと別の問題と。
○小宮知的財産政策室長 はい。かしこまりました。
○丸島委員 1つお尋ねさせてください。リバースエンジニアリングのことが書いてあ
るんですが、事例等の関係で、7ページで、行為自体は合法的な活動であると書
かれているわけですね。これはこのとおりだと思って理解しているんですが、これを
どうやって守るかということについて一切書いてないように思うんですね。合法的だ
から守り切れないとおっしゃっているのか、守る手段があるのか、その辺がないよう
に思うんですが。
○長岡委員長 これは一部ブラックボックス化するとか、事例が書いてあったと思い
ますけど。
○小宮知的財産政策室長 事例集の方の13ページの8.のb。要はリバースエン
ジニアリングをしづらいような形にしてしまうというのも一つの対策として挙げてます。
だから、別に相手がリバースエンジニアリングにするのは結構なんだけれども、され
たくなかったら、複雑にして、要するに相手に、嫌がらせをするというとすごく語弊が
あるんですけれども、そういうのも一つの対策ではないかという趣旨です。
○丸島委員 技術的に防衛手段を講ずるというのはわかるんですが、契約上それ
を禁止するという視点は入り得ないですか。ほかの点では、そういう契約もちゃんと
やりなさいというのも入ってますよね。
○長岡委員長 ただ、契約上リバースエンジニアリングを禁ずることが、これを合法
としているほかの法律との関係で有効かどうかというのは、日本でもまだ不明確なと
ころがあると理解しています。
○丸島委員 そういう意味で書いてないわけですか。
○小宮知的財産政策室長 あと、このリバースエンジニアリングにするのは別に取
引先ではなくて、むしろ広く一般にリバースエンジニアリングが行われてますので、
そういうところに対する対応策として、この事例集の13ページのbみたいなことを
書いたということなんです。逆にちょっと質問なんですけど、リバースエンジニアリン
グというのは取引相手がリバースエンジニアリングする場合というのがすごく多いと
いうご認識でしょうか。
○丸島委員 そういうチャンスが多いと思うんですね。というのは、一般に市場に出
ないようなものというのは取引相手先しかないわけですよね。それがリバースエンジ
ニアリングされるというケースが多いと思うんです。市場に出るのは、逆にこれはそう
いう国に出さないようにといってますけれども、市場から入手できるものというのはど
こからだって入ってきちゃうわけですよね。部品が欲しければ製品買って分解すれ
ば部品とれるわけですから、この管理指針でいっているようなことは実行できないわ
けですよ、実際は。市場に出てしまえばね。ですから、やれる範囲というのは、市場
に出ないような相手とのクローズで起こるような問題のリバースエンジニアリングです
けれども、そういうものをどうするかということの注意が必要なんじゃないかなあと思
います。だから契約で今禁止するということがいえないという前提ですとはっきりする
んですが、私はそこがはっきり知りたかったんですよ。
○小宮知的財産政策室長 そういうことですね。ちょっと検討します。

4.特許・技術情報の開示パイロットモデル(案)

○長岡委員長 大分時間もたちましたので、ここでとりあえず打ち切りまして、次のイ
シューに移りたいと思います。「特許・技術情報の開示パイロットモデル(案)」という
ことなんですが、第1回の本委員会で研究会を立ち上げて検討していただくという
ことをご紹介いたしましたけれども、本日は岡田委員から、今年度末に産業界への
試験的な提示を予定しておりますパイロットモデルの案についてご説明をお願いし
たいと思います。よろしくお願いいたします。
○岡田委員 それでは、二村委員を委員長とします特許・技術情報のディスクロー
ジャーについて考える研究会におきまして検討を重ねてまいりましたパイロットモデ
ル(案)について説明させていただきます。皆様からは忌憚のないご意見をお願い
いたしたいと存じます。まず資料6-1をごらんになってください。この資料6-1、
最初の部分がこのパイロットモデルをつくりました前提の概略、そして3ページ目か
ら、ここで提案させていただきます「知的財産報告書様式」、そして次に「開示情報
の種類と例」、それから2ページめくりまして、「開示例」を挙げさせていただいていま
す。この開示例は実際にあった開示例を加工して挙げさせていただいています。ま
ず3ページ目をざっとみていただきますと、この「知的財産報告書様式」、①として、
コア技術とビジネスモデル、②に、研究開発セグメントと戦略の方向性、③に、研究
開発セグメントと知的財産の概略、④に、技術の市場性、市場優位性の分析、⑤
に、研究開発・知的財産組織図、研究開発アライアンス、⑥に、技術流出防止、
営業秘密、知的財産取得・管理に関する指針の遵守――これは今ご説明のあっ
た指針であり、これを社内規定として定め、それに準拠するということを意味してお
ります。⑦に、知的財産に係る収益費用、⑧に、ある特定の技術特許群の計数化、
⑨として、未利用特許に対する方針、⑩として、リスク情報。こういったものを「知的
財産報告書様式」として挙げさせていただきました。それでは、この報告書を提示さ
せていただきますもとになった議論について、まず資料6-1のトップページをごら
んになってください。ここで読み上げる形でお話しさせていただきます。「特許・技術
情報はさまざまな視点から求められる。企業への投資・融資判断、技術政策にお
ける判断、係争事件における判断、職務発明とのかかわりにおける判断等で、特
許・技術情報が必要とされ、それぞれの場面で求められる情報の質も異なってくる。
企業の産業競争力の観点から述べると、特許・技術情報は機関投資家が企業へ
の投資判断を行う上で、将来のキャッシュフローとそのタイミング、資本コスト、競争
優位の持続期間を推定するのに必要な情報である。しかし、企業によってはその
開示が必ずしも適切でないため、市場で過小、あるいは過大に評価されるものもあ
る。技術政策における判断では、技術分野の将来の成長、社会的・経済的影響の
判断に必要な情報が求められ、中・長期の投資判断と重複するところがある。した
がって、本パイロットモデル(案)は、企業がその内在的価値を市場で顕在化させ、
中・長期の投資判断にあって本来の評価が得られ、企業価値が適正化され持続
的な企業成長が可能となるような、開示のベスト・プラクティスの構築を目的とす
る。」ここで、開示がどのような形で企業に貢献するかと申しますと、継続的な開示
によって風説の流布などによる株価の乱高下が防げる。それとあと、開示が不足し
ますと企業は全体的に平均値でしか評価されませんので、その平均値を超えるよう
な優良な企業が市場から撤退していく危険がある。そういうような危険を防いで、企
業の価値が適正化される、そういう企業に対するベネフィットを考えています。ここ
で論点としまして、開示媒体、開示情報の種類、規制形態があります。本パイロット
モデルは、必ずしも法で強制されないまでも、一般に有効と認められた開示媒体と
開示情報を提示するものです。「現行の開示媒体として、アニュアル・レポート、説
明会資料、決算短信、有価証券報告書「営業の概要」、営業報告書が考えられる。
このうち既に幾つかの企業では特許・技術情報を、説明会資料だけでなく、アニュ
アル・レポートでの「経営者の討議と分析」、一般にMD&Aと呼ばれているもの、
「研究開発」「セグメント情報」の中で定量的・定性的な開示を行っている。企業とし
てはどの媒体で、どの程度の開示、つまり概略の開示を行うのか、詳細の開示を行
うのかといった開示の方針を定めることが推奨される。同時に、情報利用者に対す
る有用性のため、本委員会は『知的財産報告書』の作成を推奨する。規制形態と
して、アメリカでは証券取引委員会が様式10-KにおけるMD&Aで、特許・技術、
研究開発について経営者が分析を行うことを推奨、リスク情報については規定を
設けている。我が国ではMD&Aに相当する規定が必ずしも存在しないが、既に技
術情報の説明・開示に関しては、アニュアル・レポートや説明会資料、「技術報告
書」等で実務の蓄積がある。」今後より一層、企業価値や持続的企業成長と結び
つけた視点での開示が求められるというものであります。次に、特許・技術情報をこ
こで提示させていただきますこのもとになったアンケートについてご説明させていた
だきたいと思います。資料6-2をごらんになってください。ここで「知的財産情報開
示に係る機関投資家アンケート結果について」説明させていただきます。本研究会、
つまり特許・技術情報のディスクロージャーを考える研究会では、この知的財産の
開示、つまり、ここで『知的財産報告書』というものを本研究会で推奨させていただ
いていますけれども、この作成推奨を討議するに当たり、まず現状の把握が重要だ
と判断、特許・技術情報の開示について、機関投資家の投資判断にどの程度活
用されているかということをアンケートの形式により調査しました。特許・技術情報を
特に取り上げるのは、企業の知的活動のうち、特許・技術情報の戦略的活用並び
に研究開発を企業が特に重視していることが各種アンケートより明らかとされている
ためです。本研究会のアンケートの結果、現状にあっても、機関投資家は、知的財
産・技術に関する種々の情報を収集して、企業の価値の推定を行っている、これが
判明いたしました。知的財産・技術に関する情報は、種々の観点から必要とされる。
例えば日本弁理士会に対して行われたアンケートでは、紛争処理や職務発明など、
投資判断とは別の観点から、知的財産の価値についての情報が必要とされている
ことが判明していますが、今回のアンケートは機関投資家の情報ニーズの調査で
す。回答者として、中・長期の機関投資家が大半を占めています。また、中・長期
の機関投資家による情報ニーズは、知的財産・技術がどのように企業の将来の収
益性と持続的成長に貢献するか、という観点であって、基本的に企業の他の利害
関係者の情報ニーズと重複するところがあると考えています。ここで機関投資家の
アンケートの概要を説明させていただきます。この概要はファンド・マネージャー及
びバイサイド・アナリストである機関投資家を対象としています。この調査票は、日
本証券投資顧問協会及び生命保険協会に登録している機関投資家273社のう
ち、株式を扱っていないなどの事情による22社を除き、251社に対して機械的に
発送されています。質問項目は、企業の研究開発・知的財産戦略にかかわる64
の諸項目であり、これらを便宜上、「技術の市場優位性」「技術を支える戦略・組
織」といった群に分けて配分、機関投資家が投資判断に当たって重視する度合い
に応じてチェックを求めるという形の調査票を作成しました。また、特許・技術にか
かわる質問以外に、業界全体をみるに当たっての着眼点、企業全体をみるに当
たっての着眼点を、自由記述の回答の形で質問しています。なお、個別項目は、
日・米企業、特に日本企業のアニュアル・レポートかIR説明会資料に開示がみら
れるもの、日本及び諸外国で行われたアナリストに対するアンケートで重要性が確
認されているものの中から選択されています。また、アンケートとともに、フォーチュ
ン・リスト売上高上位50社に掲げられた日・米企業のアニュアル・レポートの調査
が行われています。したがって、このアンケートに掲げました項目に関しては、実際
に企業が既に開示を行っているものを中心としております。 技術によって、知的財
産と企業の収益性とのかかわりが異なることがあるため、技術を、単体先端技術分
野(バイオ、医薬、特殊化学等)、複合先端技術分野(情報技術、電子、燃料電池
等)、成熟技術分野とに分類しました。また、実態に基づいた回答が得られるように
するため、各技術分類別に各人が担当する企業を具体的に考えた上で回答を行
うよう依頼しています。実際に回答がありました個票の数は265通です。そのうち、
単体先端技術分野の回答は90、複合先端技術分野の回答は89、成熟技術分
野の回答数86であり、回答数は各技術分野に均等に配分しています。また、回
答者のうち投資期間については、1~3年の者が37、3~5年の者が33、いわゆる
投資家の観点からみると中期といわれる投資家が60名超あるのに対して、72名
が、資金の投資期間を10年超と答えています。それに対して1年未満16名、5
~10年未満が19名と少数であります。結果として、業界全体をみる場合の着眼
点として、当該分野の市場規模、対象市場の成長性、競争状況といった市場性の
観点のほかに、技術トレンドの変化、研究内容の時代性、パテントマップ、技術の
革新性、技術的優位性といった、技術への着眼を首位に置く機関投資家が半数
ほどみられております。また、個別企業への着眼として、収益性や市場ポジションと
いった着眼以上に、研究開発体制、技術力、コア技術が世界一の水準にあるかど
うか、主力品の特許期間と周辺特許の強さ、用途開発への取り組みと製品化での
先行性といった、通常の市場の分析よりも、特許・技術への着眼というものが非常
に強くみられました。個別項目をスコアであらわして技術分類について調べたところ、
この調査の回答としては、技術の分類別で機関投資家の見方に大きな差はありま
せんでした。また、個別の項目で、ほとんどの機関投資家が「大変重要である」、あ
るいは「重要である」と答えた項目は次の1)から21)までであります。括弧内はその
回答数であります。読み上げますと、技術開発に関して、経営者が自社の優位性
と持続期間を適正に分析している。新技術・新製品に関して、潜在顧客を把握、
適正に市場規模を分析している。売り上げに占める新製品の売り上げの比率を分
析されている。新技術・新製品の用途が把握でき、顧客市場の規模・成長性を分
析している。技術流出防止、営業秘密、知的財産取得・管理に関する指針が、こ
れは仮のタイトルではありますけれども、遵守されている。企業戦略と研究開発・技
術開発とがリンクしている。コア事業の中で知的財産を管理・強化する組織がある。
研究開発、戦略・ドメインの一貫した分析が経営者により行われている。知的財産
ポートフォリオの概略が示される。あるいはコア技術の明確性がある。競争優位分
野での独自技術の蓄積期間が長い。周辺特許を含め、戦略的な特許取得が行わ
れている。高度なノウハウ・技術の製品価格への反映がみられる。グローバル化に
当たって適正な技術移転の管理が行われている。研究開発・技術にかかわるビ
ジョンや戦略が明示されている。特許権収入と推移――これは知的財産にかかわ
る実施料をいいます。そして収益の、新製品開発への依存度。海外進出、技術ア
ライアンスにおける知的財産権侵害に対する法的措置が適正である。特許権、ライ
センス契約に関する期限、その影響が分析されている。技術・特許に関連した法
規制が企業のキャッシュフローに及ぼす影響が分析される。この分析というのは、そ
れに対する対処が今後行われているかどうかといったことを含んでいます。また、こ
れらの法規制やライセンス契約の期限など、競争優位の持続期間に及ぼす影響
が分析されているということであります。ここで回答を行うに当たって、基本的には大
企業を想定していますけれども、自由記述の形で、中小の規模の企業に対する留
意点も質問しております。この中小の規模の企業に関しては、例えばベンチャーに
とっては特許管理が死活問題といった意見がみられています。ここで知的財産報
告書(案)の作成へ向けて、機関投資家に対して主としてアンケートを行いましたけ
れども、クレジット・アナリストの意見も重要であります。クレジットアナリストはこのライ
センス契約に基づく役務収益の情報が、機関投資家アンケートによれば必ずしも
重要性が高いわけではありませんが、クレジット・アナリストの観点からは非常に安
定的な収益が意思決定に対して重要であると強い意見がみられました。したがって、
この機関投資家の意見、あるいは企業の従来の開示の実践及びライセンス契約に
基づく実施料収入や特許維持費用といった知的財産にかかわる役務収益・費用
をあわせて開示することが望まれる。ということで、結論としまして、資料6-1の3
ページ目からございます「知的財産報告書様式」をここで提案させていただきたい
と存じます。そして、この知的財産報告書の資料6-1の3ページ目は、提案いたし
ます様式、現行の企業の開示媒体で開示されている場所、そして一番右側に期
待される効果、この順番で分析しております。これに関して忌憚のないご意見をい
ただければ幸いと存じます。時間がちょうど来ましたので、ここで打ち切らせていた
だきます。
○長岡委員長 ありがとうございました。今のご説明に対してご質問とかご意見をお
願いいたします。
○高委員 ありがとうございます。方向性としては、オープンになっていくということは、
これは市場の流れで歓迎すべきことかなと思っております。ただ、1点ちょっと、どう
いう方向になるのかなと、問題が2つ出てくるんじゃないかなと思ったのが、4番目の
技術の市場性とか市場優位性のこういった分析を企業自身がやるということに多分
2つぐらい問題があると思うんですね。1つは、これはアナリストが分析してくれるなら
構わないんですけれども、自分自身で、これだけの成長性があるというふうに分析
して公表した場合、それが現実と乖離していた場合、訴訟になる可能性があるとい
うことですね。それからもう一つは、これを使って、ちょうどエンロンがやったようなこと
ですね。将来利益を取り込んでしまって、うちの会社は将来こんなに伸びるぞという
ような、こういう操作もできるようになってしまうんではないかという、ここの問題がある
のではないかなということをちょっと感じました。
○岡田委員 まず、この点に関しまして、例をごらんいただきますと、例えばある商
品名がどういった機能が期待されている。発売の当初から順調に売り上げを伸ばし
ていると。その商品の潜在的な需要者が国内では大体何万人と推定されますと。
例えば医療機器だと、患者が今推定何人であって、治療を受けてない患者が推定
何人というような、ある程度検証の可能なデータでの裏づけによる分析というものを
求めています。そしてもちろん、これはアナリストなど市場関係者が自分自身の責
任で独自に分析することを前提といたしますので、企業の側から分析するというの
は、その企業の側の見方とマーケットの側の見方とのすり合わせを行ってお互いに
コミュニケーションしていただくと、こういうことを期待しています。
○秋元委員 今のご意見、2つ問題がありましたけれども、私どもの場合は特殊かも
しれませんが、もう一つ問題がございます。それは、私どもで分析してしまいますと、
非常に戦略的に困ってしまうことがある。自分の手の内を全部さらけ出してしまうと
いうことになる。医薬品の場合、特にアメリカなんかではオレンジフックというのがご
ざいまして、その製品を守る特許はすべてリストアップすることになっておりますけれ
ども、その分析は一切やらない。やはりアナリストにやってもらう。そういうやり方を
とっておりますので、日本の場合にも、これはオープンになってませんが、厚労省に
は、製品にかかわる物質特許については一応報告している。後発品等が参入する
ときには、それについては後発品が独自に分析するというようなことになっておりま
すので、この辺のところはただリストアップするというぐらいにしておかないと、非常に
大きな問題が起こってくると思います。
○加藤委員 私も、一般的にはディスクロージャーをふやすということは必要なこと
だとは思うんですけれども、今ご説明いただいた内容は、もう少しいろいろ中身を検
討していく必要があるかなと思いました。まず、ディスクロージャーをしないと優良企
業を十分評価できないということなんですが、企業は今IRを非常に重視してますか
ら、いいものがあればどんどん発表したいと思ってます。そういう意味で、その心配
はむしろないんじゃないかと。逆に、余りにもこことここは必ず出しなさい、タイムリー
に出しなさいという要求がふえると、どうしてもそこで、その内容についてどこまで責
任がもてるか、そういうコンサーンが出てきます。大事なことは、インベスター、消費
者に対して正確な情報を正しくタイムリーに伝えるということであって、その中身をや
はり詳しく検討する必要があると思います。例えば今のライセンス収入についてもご
指摘がありましたけれども、これは知的財産権の関係者がたくさんいらっしゃるので、
その例で申し上げますと、金額を出すことももちろんですけれども、その中身ですね、
その辺をどう説明するか。例えば海外に子会社をつくって、そこに技術移転をして、
そのライセンス料がこれだけ入りましたというのが金額でボーンと出てしまうとか、そう
いうのは余り意味がないことだと思うのですね。クロスライセンスがいっぱいあります。
それはフリーのクロスライセンスです。これは金額に出てきません。だけど、それをど
う評価しますか。つまり、会社の業務を具体的にどう評価するかということで最も適
した内容のディスクロージャーをやっていただくという意味で、今挙げていただいた
各項目をもう少し検討していただく必要があるような気がします。
○岡田委員 ありがとうございます。今の役務収益ですけれども、例えば知的財産
に役務収益は次のとおりです。今6-1の資料が配られてますけれども、知的財産
にかかわる役務収益は、例えば複数のライセンス契約に基づくライセンス収入によ
るものである。これは金額は一時金及びライセンスロイヤリティ、ランニングロイヤリ
ティによるものから構成されている。費用については複数のライセンス契約に基づく
ロイヤリティ支払いによる役務支出、あるいは特許出願及び権利化維持のための
費用から構成されていると。このような説明をしていただくのも一つの案かと思いま
す。それとあと、今、子会社に対してといわれましたけれども、子会社と親会社間の
取引は、連結では当然相殺消去されますので、それは連結では載りません。あと企
業の側の免責、あるいは情報の信頼性でありますけれども、情報の信頼性につきま
しては、例えば何らかのアシュアランス、つまり、監査とはいかなくても、ある一定の
保証水準を与えるような、そういったアシュアランスが考えられる。それとあと外部の
情報利用者の分析。厳密に分析していきますと、何かつじつまの合わないことがあ
れば、情報が実際につじつまが合わなくなってきますので、そういった分析による牽
制を行っていただくということに情報の信頼性は求められるかと思います。
○長岡委員長 情報へのニーズを、投資家から集めてらっしゃるんですけれども、
情報のサプライヤーですね。つまり、今いろいろご指摘あったんですけれども、サプ
ライヤーの人たちからみて、この情報を出せるのかどうか、どのぐらいコストがかかる
のか、そういった観点の検討というのも一回必要じゃないかと思うんですけれども、
それは今この検討会でやってらっしゃるんでしょうか。
○岡田委員 はい、やっております。コスト・ベネフィットについて検討を行っていると
いうのと、参加の委員からいろいろな意見を出していただいているということと、実際
に日本の企業のアニュアル・レポート50社と、アメリカの企業のアニュアル・レポー
ト50社を綿密に調べています。そして、ここに挙げさせていただいた例はすべて実
際に開示が行われている例であります。
○長岡委員長 開示がされている例があるわけですね。
○岡田委員 はい。
○小宮知的財産政策室長 今加藤委員の方からIRはしているというご発言もあっ
たんですけれども、私の認識はされてないという認識でありまして、もともとこのディス
クロージャーの議論というのは、一昨年の産業競争力と知的財産を考える研究会
の議論の中からスタートしているんですが、そのときに調べたその当時の、今から
ちょうど1年ぐらい前の調査結果では、主要100社の中で金額情報を何らかの形
で開示しているのが100社中5社、それから定量情報を開示しているのが7社、そ
れから複数の研究開発の項目について定性情報を開示しているのが4社、延べ1
6社しかなくて、実はこれは重複がございまして、実は12社しかない。だから、非
常に有名企業100社をかき集めても、実は12社しか、そもそも特許情報につい
て開示がなされてない、もしくは研究情報について開示がなされてないというのが
今の実態でありまして、そういう意味では、我々の認識としては、実は開示をする方
もされる方も要するに知的財産に興味がないというのがどうも正しいところかなあと。
したがって、我々の意図というのは、まさにきょう岡田委員の方からご説明があった
ように、知的財産というのは、今の収益もさることながら、やや先のいわゆる企業の
潜在成長力もある部分あらわしているわけで、そのときに株式市場というのは、本来
であれば会社の潜在余力も含めて評価すべきであるのに、何となくマーケットの方
はマーケットの方で会社の潜在余力というのをちゃんとはかっているのかというとこ
ろが非常に疑問があることもあって、こういうディスクロージャーのモデルを考えてみ
たというところでありますので、そのあたりちょっと、またご議論していきたいと思いま
す。
○長岡委員長 では時間もありませんので、本日の議論も踏まえて、二村委員、そ
れから岡田委員には引き続きパイロットモデルの策定をお願い申し上げます。それ
から、先ほど議論を総括するのを忘れてしまったのですけれども、2つの指針です
ね。技術流出防止指針と知的財産権管理指針は、パブリックコメントに間もなくか
ける必要があります。それで、1週間後、2月5日までに事務局の方に意見をご提
出いただきまして、その意見も踏まえて、本指針案については、委員長である私に
パブリックコメントにかける案を任せていただくということでよろしいでしょうか。もしそ
れでよろしければ、2月10日の週にパブリックコメントにかけるということにしたいと
思いますが、いかがでしょうか。管理指針と、それから技術流出防止指針です。
(「はい」の声あり)

5.知的財産権の信託に関する緊急提言の発議及び原案の提示

○長岡委員長 ではそういうことで取り扱わせていただきます。じゃ最後のイシュー
ですけれども、知的財産権の信託に関する緊急提言についてということで、事務局
の方からお願いします。
○小宮知的財産政策室長 ちょっと時間が押してますので、これも非常に簡潔にご
説明させていただきたいと思います。資料7-1と7-2、それから参考資料がござ
います。いきなり信託の話が出てまいりましたので、若干皆さんの理解が難しい部
分もあるかと思い、参考資料をつけた次第ですけれども、信託法、信託業法といっ
た法律がございます。これは皆さん、よく巷で目にする信託銀行の信託業務を基本
的に規定しているとご理解いただければと思うんですけれども、参考資料の「信託
について」の「基本的な法律」というところにございますように、実は今、信託法、信
託業法によりまして扱える信託財産、もしくは扱い方というのは非常に厳しい規制
がかかってございます。信託業法により、内閣総理大臣の免許が必須となっており、
また銀行等金融機関も(3)の兼営法に基づきまして、更に内閣総理大臣の認可を
受けなければ信託業務はできないという形おり、現実には、信託業法により免許を
受けた信託会社は存在せず、信託銀行のみがその主体になっているわけでござい
ます。新聞紙上に出ておりますように、昨今、金融庁の方で金融審議会が動き始
めまして、ここで信託に知的財産権を入れる方向で検討したらどうかといった議論
も出てきているところでございます。ご存じのように、我々、知的財産の証券化という
切り口で議論をスタートしてきているわけですけれども、第1回目の資料にもちょっと
触れてはいるのですけれども、証券化と信託というのは実は兄弟みたいなものでご
ざいまして、この信託の方がもともと使い勝手がいいというご指摘はむしろ金融関係
者の方々からあったところでありまして、我々としても、信託について、この際、産業
界としての意見・ニーズを取りまとめた形にして外に出していった方がよいのではな
いかと思った次第でございます。信託のスキームというのは、ここで信託の勉強会を
やるわけにもいきませんので、この<信託について>というところをみていただきま
すと、その基本的な法律と、それから個別の特別法に基づくいろいろな商品として
の信託というのが定められておりますが、これを前提といたしまして、本日の緊急提
言の内容のお話をさせていただきたいと思います。この資料7-1と7-2をちょっと
ごらんいただきたいと思います。7-1は骨子ということで、内容をはしょってますの
で、7-2の方をごらんいただきたいと思いますけれども、実はもう既に知的財産戦
略大綱におきまして、この特許等の流動化は遅くとも2005年度までに結論を得る
ということで、金融庁と当省が責任省庁ということで位置づけされております。ところ
が、この「基本認識」のところにございますように、資産流動化法というのがあって、
先ほど申し上げたように、これに基づいて今モデル事業も一生懸命動かそうとして
いるわけですけれども、やはりいろいろと縛りがある、使い勝手が悪いというような指
摘があるところでございまして、もし信託が使えるとすれば非常に有用であるというこ
とでございます。2ページ以降、当方が把握しているいろんなニーズを書いておりま
す。例えば(1)には、これは特許に限る話ではございませんけれども、今、分社化
等をした場合に、持株会社が例えば特許の管理会社を100%の出資でもちまして、
ここにグループ企業が特許権等を信託することによって、グループ全体としての特
許等の知的財産権の戦略的な活用を図っていくと。今日ご議論いただいた知的
財産の取得・管理の指針にも通ずるような話というニーズ。それから(2)は、今、土
井委員の方で非常に頑張っていただいておりますモデル事業とパターンとしては
似ているんですけれども、時価評価に基づく譲渡を行うことによって、簿価ゼロの特
許権の価値を顕在化させるといったようなニーズ。それから3ページにまいりますと、
先ほどの標準化の議論にも通ずるのですけれども、例えば共同開発とかパテント
プールといったときに、非常に後で取り分でもめるわけでありますけれども、ここに信
託受益権という形で分割して、要するに、そのパテントプールの商品が売れれば売
れるほど、その権利によって、そのあがりが自分たちに戻ってくるといったような権利
調整のやり方に使えるのではないか。さらには中小企業の特許権の流動化、もしく
は未利用特許の流動化、それから倒産隔離を前提とした特許権の利用。それから、
先ほどのパテントプールに若干似てるんですけれども、研究者が研究チームでやっ
たときに、これまた相当の対価で、今35条でもめておりますけれども、このときに、
信託受益権として研究者にインセンティブとして付加をしますと、要するにそのもの
が売れれば売れるほど、例えばその研究者に還流されるといったような使い方もで
きるのではないかということでございます。また著作権の場合には、これはまた特許
権と若干その権利の態様が違うために信託の使い方も違うわけですけれども、例え
ばこの(1)にございますように、「完成した著作物・コンテンツをもとにした資金調
達」ということで、もう既に資産流動化法を用いて「寅さん」シリーズというのが証券
化されているわけですけれども、ここに信託を用いるとよりスムースにできるのではな
いか。それからその次のページにまいりますと、「制作途中の著作物・コンテンツをも
とにした資金調達」。つまり、ちょっと特許権と違いまして、著作権の場合には、企
画段階、それから脚本段階、制作段階といって、それぞれに著作権が連続的に発
生しているわけですけれども、こういう著作権のほかの産業財産権との性質の違い
にも着目をしながら、制作をより円滑な形で信託を用いてやっていくといったことも
考えられるわけでございます。5ページに「知的財産権の特殊性」ということで、現
行の受託財産との違いを書いてございますけれども、簿価がゼロだけれどもキャッ
シュフローを生み出す源泉となる。他方で、性格は多様に変化する。それから評価
額がやはり小さい。それから管理処分等に対して複合的な知識が要る。ただし、管
理処分の内容は画一的。それから特許権に関しては、信託目的は多岐にわたる。
著作権については、発生主義のために企画段階から完成段階に至る新たな財産
権の定義も必要とされるということでございます。こういう特殊性を踏まえながら「提
言内容」を書いておりますけれども、まずはやはり信託業法第4条における定義を
広げていただいて、信託が可能になることがまず必要でございます。それから次に、
先ほど申し上げましたように、今は実質、信託銀行にしか認められておりません。特
に特許とか著作権のような専門的な知識が必要となる事業となりますと、今のところ
ノウハウの蓄積等も無い信託銀行より、よりニーズを満たす能力、専門性がある事
業会社が扱った方が良いと思える点もございまして、もう少し規制の緩和をしてもら
いたいということが2.でございます。それから6ページにまいりますと、「信託受益権
の有価証券化」ということで、信託受益権を有価証券化することによって一般大衆
に売り出すことができるわけでございまして、そうすると、その資金の還流が非常に
容易になるといった点。それから4.は集団信託。これはいろんな信託、委託をする
場合に、一つの定型の契約書で委託できるようにいたしますと非常に使い勝手が
よくなるわけでございますけれども、その場合に、逆に受益者保護規定を設定しな
いと問題が起きるのではないかといった点。それから7ページにまいりますと、投資
信託において運用対象資産を拡大していただいて、知的財産権を含んでもらえる
ようにしてくれないかといったところが、今考えられる、いろいろな産業界における
ニーズの集約でございます。まだこれは今後、金融庁と議論していかなければいけ
ないわけでございまして、「最後に」ということで書いてますけれども、とりあえず産業
サイドの意見として取りまとめて、我々としてこれをお預かりする形で、金融庁を含
めた関係省庁との議論を開始したいという趣旨の提言案でございます。本日もまた
ご議論いただいて、またこの後、我々も関係省庁と議論を開始して、3月14日に
最終的に取りまとめていただきたいという趣旨のものでございます。以上です。
○長岡委員長 どうもありがとうございました。何か土井さん、追加的にご説明ござ
いますか。
○土井委員 小宮室長がご説明になったとおり、今、知的財産権をコントロールす
るといいますか、ハンドリングする機能が非常に日本では限られております。このた
め、大企業の皆様も、また中小企業の方も、非常に運営管理について悩まれてい
る、また、先ほどパテントプールの話がございましたが、実をいうとあれは擬似信託
でやってらっしゃるんですが、厳密にいえば、これは法律には違反している形でご
ざいます。こういった点をやはり明確にして、しかもマーケットにももっていけるような
ヴィークルをつくっていくということが非常に大事な状況に来ているのではないか。
特に欧米の場合には信託というのは全くの商行為として簡単にできる行為でござ
いますので、これを日本だけ規制しているのかというようなこともいえようかと思いま
す。早めにこれは、金融庁さんの問題もございますけれども、ぜひ経済産業省さん
の方で、やはり特許権、それから著作権という知的財産権の、ほかの財産と比べる
と非常に特殊な面も多うございますので、これは一般の事業法人、特にこういった
知財に精通した方々が早く参入できる、または大企業の子会社がまさに信託会社
として機能できるようなことを進めていただくと非常にありがたいなあと思っておりま
す。
○長岡委員長 ありがとうございました。
○齋藤委員 グループ運営においてはこれが極めて有効な手段だと思ってますの
で、ぜひプッシュしていただきたいと思います。
○高委員 極めて有効だと思いますけれども、それと同時に、グループの中で特定
の目的会社をつくって信託業務をやるというときに、やはり利益相反のところをきち
んと厳格にこれは分化してもらわないととんでもないことになる可能性もあるというこ
とで、この点だけ申し上げておきます。
○土井委員 その点については、ここの中で、受益者保護規定でございますね。今、
信託法、信託業法ではこの規定がほとんどなされておりません。したがって、この部
分を逆に強化する。それから、当然ながら、有価証券化するということになりますと、
これは証取法に入ってまいりますので、ダブルでここの部分はどうしても強化せざる
を得ないのかなあというふうには思います。
○長岡委員長 ほかにいかがでしょうか。
○秋元委員 わからないので教えてほしいんですが、私どもは、自社でも、あるいは
ある団体でも、こういうものを評価してどういうふうにしようかということを考えているん
ですが、有価証券化する場合に、具体的に評価というのはどういうような考え方で
行われるのでしょうか。これだけだとわかりませんので。
○土井委員 評価の仕方としては、大きく分類しますとやはり3つの方式があろうか
と思います。原価による評価の方法、それから将来にわたるキャッシュフローを現在
価値に引き直す、要するにDCF法、それからもう一つはマーケット価格、これで決
めていく方法と3つ、大きく分けるとあろうかと思いますが、この3つをどういうふうに
特許の状況に応じて組み合わせて評価していくかということになろうかと思いますの
で、これは第三者、要するに評価会社でございますね。今日本でも、PLXさんとか
ベンチャーラボさんとかいう評価会社が評価を試みていらっしゃいますので、こうい
う会社さんと各企業がご相談しながらやっていく。また、ここの最終的な評価の問題
については、今法律上は、弁護士であるとか、公認会計士であるとか、弁理士の皆
様、こういった方々が評価するという形になっておりますが、評価会社についてもあ
る一定の、最終的な評価ができるような法体系も必要かもしれないなあと感じでは
思っております。ちょっと雑駁ですけれども。
○秋元委員 私ども、今いった3つの方法を考えておりまして、組み合わせられると
いっておられましたので、製品に近いところはマーケットアプローチでいくとか、ある
ところはコストアプローチでいくとか、そういうことをやっているのですが、なかなか難
しいのですね。ぜひまたその辺、いい考えがあったら教えていただきたいんですが、
よろしくお願いします。
○丸島委員 ちょっとよろしいでしょうか。スケジュール、今みてましたら、3月14日
でこの信託に関する取りまとめをなさるんですか。
○小宮知的財産政策室長 そうしたいと思ってます。
○丸島委員 議論はきょうで終わり?
○小宮知的財産政策室長 提言案を本日提出させていただいておりまして、ご意
見があったらまた2月14日までに書面にていただきたいと思っております。
○丸島委員 盛りだくさんきょう出ておるのにきょうで終わりというのはどうにもせわし
いなあという感じがしましたので……。
○小宮知的財産政策室長 いや、丸島委員と特別に議論することには何らやぶさ
かではございませんので(笑声)。
○山田委員 よろしいですか。
○長岡委員長 はい、どうぞ。
○山田委員 先ほど、資料7-1は大分簡略化されていると。メールで送っていただ
きましたね。あれと比べると随分簡略されてますね。こっちが本物なんですか。
○小宮知的財産政策室長 資料7-2が本物です。7-1というのは単なる要約版
ですから、項目しか書いておりません。
○山田委員 そうすると、私、1つだけ非常にわからなかったのは著作権のところに
ついてなんですが、これは特許と同様なんですが、著作権の場合、特に企画、構
想の段階からもう一連のものを対象にしようというお話ですね。私ども、これは欧米
でもないんじゃないかなと思うんでございますが。何でかと申しますと、アメリカには
例えば先発明主義がありますよね。先発明はコンセプションとか着想という面では
デート・オブ・コンセプションというのが許されてます。しかし、著作の場合に、著作
権でその着想まで入れると、それがもし保護されるとなると、着想の自由度というも
のをどんどん奪うことに逆にならないかと、その心配が起こったんですね。したがい
まして、これはやはり、着想から制作中までは一応アメリカ式のラボノート式のもので
残しておくことは大切なことかと思いますけれども、現実の権利保護というのはやは
り完成以後じゃないかというのを強く感じました。これが、なぜ著作権だけそんなに
やってもらえるのかという気持ちもあります。こっちは余り関係ないものですからね
(笑声)。
○長岡委員長 これは何を想定してらっしゃるんでしょう。
○山田委員 特許権とのバランスの問題があろうかということが最後の要するに私の
……。
○長岡委員長 企画、構想の段階の財産権とは何かという。
○山田委員 はい。そういうところがちょっと。
○土井委員 そのところはちょっと省かれているようには思いますけれども。今回こ
の骨子の中にはですね。ただ、著作権と特許権の違いから申し上げますと、著作
権法では発生主義でございますので、当然、著作物が出てくればその著作権は発
生しているということになるんですが、ただ、第三者に対抗する場合に、著作権の場
合には登録制度がちゃんとございまして、ただ、これは著作物をその都度、要する
に登録していかないといけない。そうしなければ第三者対抗要件は具備できないと
いうことになります。着想というふうに今お話しございましたが、着想を入れてしまうと
もうおっしゃられるとおりで、ほかの着想を縛ってしまうということになりますが、企画
書、要するにモノに落とした表現物ですね、これは著作物になります。これをもう登
録してしまえばいいわけですが、例えばその企画書の段階から最後の完成物に至
るまで、これは順次、その段階に応じて著作権が発生しているにもかかわらず、最
初の入り口と最後の完成物、要するにファイナルなものとの、この2つだけしか対抗
要件がないといたしますと、その間で、要するに著作権という財産権は信託されて
いるにもかかわらず、万が一、その方々が二重信託をするであるとか、それから受
託者が倒産してしまった場合であるとか、この場合に受益権者としては保護されな
い形になってしまいますので、そこを簡便に、要するに、今この資金を入れているも
のについては、今や進んでいるプロジェクトはほかに対抗できるのだという公示制度
を、何か簡便なものを考えた方がわかりやすいのではないかという趣旨でございまし
て、新たな財産権を考えるというのは一番わかりやすいことはわかりやすいのですが、
なかなかそこまではいけないのかなあとは思っております。
○山田委員 そういたしますと、今の登録制度にかわる何か、より簡便なもの、例え
ば村の役場にある公示板みたいな、非常にわかりやすくいえばですね、そんなよう
なものをお考えでいらっしゃいますか。
○土井委員 多分、金銭信託とかそういった場合に、金銭というのは、これもなかな
か占有でしか、第三者対抗要件というのはございませんけれども、それを補完する
形として、要するに確定日付をとるとか、そういう制度がございますよね。だから、そ
れをわかりやすい形で、これは信託法の中に、形のみえないものについてはこういう
公示制度もあるんだという補完的な制度をつくったらわかりやすいのではないかな
あという感じはいたします。ただ、ここはまだまだ議論が難しいところでもあるので、
多分、メールで送られたものには入っておったのですが、その後削られております
ので、まだこれから議論していく部分ではないかという感じはいたします。
○山田委員 全く一つのアイデアでございますが、例えば公証人使ったってできる
わけですね。
○土井委員 おっしゃるとおりですね。
○山田委員 わかりました。どうもありがとうございました。
○丸島委員 ちょっと戻るんですが、特許・技術情報の開示の件ですが、これは最
終的には何らかの形で企業の方に開示の義務づけをするような内容で提案される
んですか。それとも選択ですか。
○小宮知的財産政策室長 これはもともと自主開示が前提ですから、別に証取法
の世界に入る予定は今のところ何もありません。それから「知的財産戦略大綱」でも、
まさにそういう意味において当省がこの指針をつくれということになっていて、金融
庁は担当省庁になっておりませんので、まさに我々がこうやって議論してつくってい
く中でそれぞれの企業が自主的に開示をされるということが前提になってます。
○丸島委員 要するに、機関投資家のためにこうしなさいというのは強調されている
んでね(笑声)。企業のためにこうしなさいと表現してくれればわかるのですけれども、
機関投資家って何だろうかと、企業を救ってくれるんですかと、そういう前提もあると
思うんですよね。
○岡田委員 ご説明させていただきますと、今多くの企業のデータを分析しましたと
ころ、非常に多くの企業が本来付されているべき価値の半分以下しか価値が付さ
れていないと。ということは、評価されていずに非常に損をしている部分が余りにも
多いというところから、この話は出発しています。
○丸島委員 非常にありがたい視点でごらんになっていると思うんですけれども(笑
声)、逆の意味も随分あるように思うんですよね。機関投資家は、要するに投資して、
投資で利益を上げるための目的で活用するんじゃないかということは、企業の側か
らみたら必ずしもそれが有効かどうかわからんという点も随分あると思うんですね。
私の勘ですけれども、機関投資家が満足いくほどの情報開示をしたら、企業は恐
らく参ってしまうだろうと。ですから、中途半端な開示をすると、結局は機関投資家
は本当のところがわからない。それでもなぜ求めるんだろうかという気もするんです
ね。ただ格好づけして、それで開示しているというのは一種のごまかしですから、そ
れを求めるのもちょっとおかしいなあと思いますが。
○小宮知的財産政策室長 そこはもういろいろこの研究会でも議論になりましたけ
れども、結論からいうと、機関投資家が欲しいのは、社長の頭がクリアーカットに
なっているかということなんです。つまり、事業ドメインに沿った形で知財が蓄積され
ているか、知財を有効に使う経営戦略をもっているか、そこが知りたい。つまり、もっ
ている知的財産の、例えば、前回、グラフで公表データを用いてお示ししましたけ
れども、ああいうアバウトな資料でも、それが例えば社長のいっている事業の方向性
と合っているかどうかというところが知りたいんです。だから、そういう意味では、機関
投資家が求めているのは、営業秘密にはほとんど属さない、むしろ会社の方向性と
か、その会社の方向性に沿った形で知財が蓄えられているかとか、そういうところが
知りたい。ところが、他方、今丸島さんのおっしゃられたのは、まさにきょうの話でい
えば、営業秘密管理指針に該当するような情報で、個別の技術情報の特許以外
のもっと中身の話とかいうところにかなり、多分寄っているんだと思います。そこは研
究会の中で議論して、最初はそこが同じ情報ということで、片方は出せと、片方は
隠せというので議論がすごくすれ違った場面が研究会でもあったんですけれども、
今や、研究会の中では、そこはどうも投資家が求めている情報と、それから知財部
なら知財部が守らなきゃいけない情報というのがかなり質的には違うものだというの
がかなり参加しているメンバーのコンセンサスになってきたということだと思います。
○篠原委員 この話は昨年、たしか11月でしたか、政府の方でまとめた金融再生
プログラムの中の金融業以外の一般事業会社に信託を認めるという話とダブって
いるんですか。それとも別な話ですか。
○小宮知的財産政策室長 ダブっております。ただ問題は、どこまで緩むかどうかと
いうのはまだ全く未定です。それで、基本的に金融秩序という観点からやると、結
局、今の信託銀行並みのことができるところにしか認められない可能性が高い。し
たがって、きょう議論に出させていただいた、例えば特許の管理とか中小企業の未
利用特許の流動化というのはほとんどできなくなる可能性があります。
○長岡委員長 まだ少し議論はあるかもしれませんが、時間が大分過ぎてしまいま
したので、3月14日に緊急提言を一応まとめるという形になっておりまして、2月1
4日までに事務局に追加のご意見がある方はお出しいただきたいと思います。それ
で、その結果をまとめるということで、3月14日にもう一度議論させていただくという
ことになると思いますが、まとめのプロセスは私に一任させていただきたいと思いま
すが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

6.閉 会

○長岡委員長 どうもありがとうございます。じゃすみません。今後のスケジュールで
終わりになります。
○小宮知的財産政策室長 まず、スケジュールの前に、実は資料8というのはまだ
未定稿ですけれども、丸島委員から、社長がわかる3つの指針を合体したものをつ
くれという非常に強いご指摘があったこともこれあり、資料8でパワーポイントを使っ
てつくってみたのですけれども、これが丸島委員にお気に召していただけるかどうか
はよくわかりませんが、きょういろいろとまた内容についてもご指摘がありましたので、
ちょっとまた中身も変わることになろうかと思います。そのいわゆる要約版について、
きょうはもう時間がありませんので、こういうふうにしたら社長に読んでもらえるのでは
ないかということも含めてサゼッションをいただければ非常に幸いです。それでスケ
ジュールですけれども、今委員長からありましたように、3月14日の10時から12
時まで、本日と同じく、この国際会議室において開催を予定しております。次回の
テーマは、取得・管理指針と技術流出防止指針の取りまとめ、それから特許権の
証券化の状況報告、それから、先ほど議論していただきました信託についての緊
急提言の取りまとめといったことを予定しております。パイロットモデルについても引
き続きまたご議論いただければと思っております。ご調整いただきますよう、よろしく
お願いいたします。
○長岡委員長 それでは、以上をもちまして第3回の委員会を閉会させていただき
ます。長時間のご審議にご協力いただき、ありがとうございました。
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