第1回「産業競争力強化のための知的財産の価値の戦略的最大化」に関するワーキ
ンググループ(WG1)
1.日時:2001年10月29日、11:30~14:15
2.場所:特許庁9階 庁議室
3.出席者:澤井主査、山地副主査、相澤委員、赤羽委員、小倉委員、木村代理、酒井代理、
竹田委員、鶴見代理、野元委員、本委員、丸島委員、渡邊委員
4.議題:①質の高い特許出願の促進に向けた政策について
②知的財産に関するライセンス契約の保護について
③職務発明について
④職務発明制度にかかる論点
5.議事要旨:
はじめに、事務局より「職務発明制度」に関する報告が行われ、続いて野元委員から「質の
高い特許出願の促進」に関する報告が行われた。その後、各テーマについて討議が行われた。
主な発言内容は次のとおり。
①職務発明制度について
A委員
・一人の発明かチームの発明かという論点もあるが、そもそも個人であろうとチームであろ
うと、会社が発明の対価としてどれだけの報酬を発明者に対し、支払うのかということが
論点なのではないか。発明の価値をどう見るかということが問題である。価値というのは
発明が使われて事業化されるまで判断することができないため、本質的には価値が生じた
後で、その何%かを割り戻すことになる。つまり、成果の何%を払うか、その割合をどう
決めるのかという問題である。
B委員
・議論の大前提として、従業員が行った発明がそもそも誰に帰属するのかということが問題
である。このことをどう考えるのかを整理する必要がある。
C委員
・発明は基本的に個人に帰属するということについては、企業は理解している。しかし、相
当の対価を決める場合、給料をベースにした安定した研究者の開発環境、すなわちローリ
スクの状態でなされた発明であるという認識をもとに対価を判断すべきである。職務発明
制度というのはローリスク・ローリターンの範疇で考えるべきものである。対価は低く抑
え、むしろ表彰で対応した方が良い。今後、さらに人材の流動性が高まり、本当に実力者
が自分の権利を主張するようになった場合は、アメリカ型の契約が良いと思われる。しか
し、今は過渡期にありその時期ではない。
・オリンパスの判決によれば、あらかじめ会社が対価を決めておくことは違法であると解釈
されるように思われるが、そうであるならば発明一件一件の価値を全て判決してもらわな
ければならないことになる。いちいち判決してもらわないと価値が分からないのでは、実
際の運用はできない。特許法第35条の対価を予め確定できない状況は、企業にとっては
非常に不安定。
D委員
・ 特許法35条については、対価を払うことになっていれば就業規則で対応しても良い
というふうに理解すべきである。これが第35条の持つ機能であり、オリンパスの判決に
ついても、後で対価を払うのであれば、就業規則で対応して良いということを意味してい
る。したがって、発明の対価については、後で儲かった分についても、きちんと報酬とし
て計算すればいい。
・ 米国は契約によって対処しているが、我が国は契約を中心に職務発明に関する報酬を
考える段階にはない。第35条は職務発明の予約承継の契約を原則有効としつつも、その
対価については相当額以下での合意は原則無効としつつ、従業員に対価請求権を付与して
いる。このため、35条の規定がなければ、予約承継等対等の立場にない当事者間の契約
は公序良俗の観点から問題となり、かえって法的安定をそぐこととなる。
E委員
・発明の価値が確定した時に報酬を払うということになると、今後、人材の流動化が進んだ
場合、「企業として発明の報酬にいつ・どこまで関与しなければならないのか」という難
しい問題が出てくる。実際に、シンプルな解決策を導くことは困難であり、企業の実態を
反映した解決策を模索することが必要なのではないか。
・法人発明が認められれば、第35条に係る問題は簡単に解消されるのではないか。
・発明をライセンス供与するときなど営業担当者も貢献しているのに、何故技術者は相当の
対価を法律で保証されていて営業担当者には、そういった報酬がないのかといった不満が
あることは事実。営業担当者でも技術者でも、いい人材を獲得するために、第35条では
なく、企業の報償制度でどう対処するかということを考える必要があるのではないか。
F委員
・一部の企業が発明の報酬についてローリスク・ハイリターンの方向に動こうとしているの
は事実である。しかし、オリンパスの判決を踏まえると、その様な動向では解決できない
という懸念をもっている。報酬について不満を持つ非常に多くの発明者が現れてくるので
はないか。
②質の高い特許出願の促進について
G委員
・産業競争力と知的財産という視点に立てば、審査を厳しくするというより、国際レベルの
基準に審査に合わせることを考えるべき。アメリカは審査が甘く、日本は厳しいように感
じる。したがって、日本の審査をさらに厳しくする必要はないのではないか。審査を厳し
くすることが産業競争力強化につながるとは思えない。
H委員
・アメリカとの審査基準の違いが議論であるが、産業競争力強化の観点から言えば、時限立
法にしてでも、日本の審査基準をアメリカ並に合わせることが必要なのではないか。
I委員
・企業間競争の激化から従来の生産現場では常識の技術が特許出願され、少なからず特許が
取得されているということだが、こうしたことが起こりうるのは成熟産業分野である。革新
的な発明が出ている業種では、起こらないのではないか。
J委員
・産業が成熟した場面では、確かにそうしたことが起こり得る。これは産業構造に関わる問
題であり、成熟産業分野において多くの企業がいまだに競い合っている現状が問題である。
K委員
・一方で、成熟分野において特許紛争が起こるという現実がある。したがって出願しないわ
けにはいかないという側面がある。
L委員
・産業競争力を高めるための議論なので、つまらない特許が出てくるという問題は、ここで
議論すべき論点ではない。むしろ、競争力を高めたい分野において、政策的な判断をもと
に審査を進めるべきである。産業競争力を高めるような特許出願がないとすれば、それは
そもそも優れた技術が生まれていないということである。技術が出ないのであれば、優れ
た技術をどうやって生み出していくかということがポイントであり、本研究会ではその技
術をいかに、知的財産制度の観点からサポートするかに焦点を当てるべき。
以 上
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