平成13年10月18日(木) 17:00-20:00
於:経済産業省国際会議室
出席者(敬称略・50音順)
(1)委員長 広瀬義州
(2)委員 岩崎政明、植田リサ、岡本大輔、久保幸年、齊藤治彦、酒井剛、桜井久勝、
柴田和志、西澤茂、平井直樹、廣本敏郎、福田眞也、藤田晶子、藤田誠、
松尾眞、吉見宏、須藤雅紀(堀内啓委員代理)
(3)電通 佐藤剛介、濱田逸郎
(4)日立製作所 須藤雅紀
(5)経済産業政策局審議官 桑田 始
(6)経済産業政策局産業組織課 櫻井和人、河西康之、橋本定和、石川浩
Ⅰ 第4回企業法制研究会(ブランド価値評価研究会)開会
(委員長)只今から第4回ブランド価値評価研究会を開催する。
(事務局)今回から新たに岩崎委員、藤田誠委員、渕委員の3名の委員が就任された。
(委員長)それでは本日の議題に入る。まず、電通の濱田氏、佐藤氏から、ブランド価値評価
の実務についてご説明いただく。
Ⅱ 電通報告「電通のブランディングビジネス」
(電通)電通のとり組みとして、企業のブランド価値の金額換算やランク格付を行なうことは
考えていない。むしろ、私どもが注力しているのは、個別企業の状況に合わせ、それぞれ
のブランド価値向上のため、お手伝いすることだ。したがって、私どもが本研究会におい
て申し上げることが果たしてあるのかという懸念はあるが、周辺事業としてブランドコン
サルティングの領域で、今、現実にどのような動きがあるのか、電通がどういう視点でこ
れに対応しているのか等について報告したい。ただし、電通においては社内のさまざまな
部署がそれぞれにブランドを取り扱っていることから、必ずしも電通の全体を網羅した報
告ではないことにご留意願いたい。
ブランディングは広告会社にとって古くて新しいテーマである。電通は長きに亙りこの
周辺事業を行なってきたが、その中でも特にエポックといえるのが、80年代から90年代に
かけてわが国でブームとなったコーポレートアイデンティティ、すなわちCIである。CI
でのノウハウが、現在のブランドコンサルティングビジネスのひとつの源流になっている。
広告会社では、かねてより広告そのものが業務の中核であり、コンサルティングはそれぞ
れに付帯するサービスの時期が長く続いていた。電通において、独立した業務としてコン
サルティングが成立し、企業社会一般から認知されたのは、80年代半ばのCIのコンサルテ
ィングである。
ブランドへの現在の対応は、次のとおりである。まず、特に昨年からクライアント企業
がブランドに関する問題意識を高めておりため、その様々なニーズに対応するための、ブ
ランドコンサルティングの領域がある。また、これに加えて、こちらはコーポレートブラ
ンドよりもむしろプロダクトブランドを中心とするものであるが、ブランドキャンペーン
の領域がある。コンサルティングとキャンペーンの実施・運営という、幾分レベルの異な
る2つの作業領域でブランドの問題に対応している。
組織対応としては、佐藤室長が属するAPS局、すなわちアカウント・プランニング・ソ
リューション局の中に、この6月からブランドクリエーション室を立ち上げて、これを専
門の対応セクションとしている。APS局は、マーケティングの知見に立脚し、ブランドの
諸問題にアプローチしようとの基本的視点を持つ。
これとは別に、CC(コーポレートコミュニケーション)コンサルティング局というセク
ションがある。ここにブランド対応のチームを編成しているが、ここでは、アイデンティ
ティ論に立脚し、ブランドの問題を取り扱っている。このCCコンサルティング局には、こ
の他にIRの専門コンサルティングチームがある。いうまでもなくIRもコーポレートブラ
ンドと密接な関係にあり、ブランド関連作業がこのところ著しく増加している。
他にも、研究開発部門では、さまざまな外部の研究者の協力を得ながら次世代型のブラ
ンド理論の開発を試みている。また、各クライアントを担当するプランニングチームで個
別企業の日々の課題に対応している。あるいは、クリエーターもそれぞれの感性に立脚し
ブランディングのあり方を考えている。
近年、クライアントからの要請の中に、「ブランド視点で」という枕詞が普通に付くよう
になってきている。TVのコマーシャルフィルムや新聞広告はもとより、例えば、展示会
でブースを作るにあたっても、ブランディングを意識した対応をして欲しいとするニーズ
が出て来ている。その意味で、電通ではブランドを常に意識しなければビジネスにならな
い状況にある。
そうした中、本年10月1日から、デビット・アーカー教授に電通の顧問に就任していた
だき、これと同時に、同教授が副会長を努め、欧米に拠点を持つブランド戦略コンサルタ
ントのプロフェット社と業務提携を行なった。デビット・アーカー教授は、彼のメソッド
を日本のクライアントにも広めたいとの強い意向をもっている。このため10月1日以来、
アーカー教授のモデルと電通が従来から持つブランディングモデルとのすり合わせを進め
ている。このようなアライアンス関係によって、我々が従来から持つモデルをいっそうブ
ラッシュ・アップできると考えている。また、グローバル・ブランディングへのニーズが増
大する中で、海外でのチャネルが一層強化され、ブランディング・サービスの更なるパワ
ーアップが期待できるだろう。
次に、われわれのビジネスの市場環境についてご説明する。まず、2000年が、わが国に
おけるコーポレートブランド経営元年であろうと考えられる。例えば、こちらに参加され
ている日立も2000年4月にブランド管理組織を立ち上げている。ソニーなど、2000年よ
りも前にブランド組織を立ち上げた一部先進企業を別にすれば、相当多くの企業が2000年
以後、ブランド対応の組織を設立している。かかる組織の立ち上げに伴って、まず例外な
く、電通を含む広告会社に仕事の引き合いが寄せられた。その結果、昨年以来、過熱状態
すら招来しているように思われる。ブランド経営を導入するにあたっては、ブランドの構
築に対してかなり高いプライオリティーや覚悟が必要であると思われる。しかし、本気に
ブランド経営をする気があるのかどうか疑わしいケースが散見されるようになったことは
残念である。レジュメに「覚悟なきブランドプロジェクトの増加に憂慮」と書いたが、他
社もやっているから自社でもブランド経営を、という企業も時として目に付く。
冒頭でも述べたように、私は、1985年以降の三公社民営化作業以来、これまで一貫して
CIのプロデュースを中心的な業務として携わってきた。その経験の中に、89年に、全国の
70を上回るの相互銀行が、一斉に普通銀行に転換し、そのほとんどすべてがCIを導入する
という大作業がある。これを契機にさまざまなコンサルタントやプロダクションがCIビ
ジネスに参入し、コンサルタントを標榜し、大混乱状況に陥った。今にして思えば、これ
により一部のCIの質が極めて低下し、その後の景気低迷に伴うブームの終焉のひきがねを
ひいた。今のブランドのブーム状況は、このことを思い起こさせる。今後、ブランドコン
サルティングに携わる者は、かりそめにもブランドの本質を歪めないよう、心すべきだと
考えている。そうした観点から、経済産業省の今回の真摯な取り組みに対しては非常に大
きな期待を寄せている。
現在のブームを招来した背景を考えてみたい。まず、会計の国際基準への変更に伴うグ
ループ経営への移行ということが、ブランド経営ブームの大きな引き金になっているよう
に思われる。レジュメには、「ボーダレスな競合環境の現出」、「水平、垂直、2つの統
合化
の推進が求められている」と示した。広告会社はその性格上、どちらかというとプロダク
トブランドを中心とした、ブランドキャンペーンに関する業務が中核であった。しかし、
ここにきて、ブランド体系、すなわちブランドアーキテクチャーに焦点があたってきてい
る。その中で、プロダクトブランドのみならず、コーポレートブランドやグループブラン
ドが注目されるようになった。さらには、スターアライアンスに加盟した全日空のブラン
ドのように、アライアンスブランドとも言うべき、グループ系列、資本系列をも超えたブ
ランドも浮上してきている。これらがプロダクトブランド、コーポレートブランド、アラ
イアンスブランド等、ある種の階層構造を作り出しており、体系として捉える重要性が増
してきた。このため電通においても、プロダクトを中心とした作業と、コーポレートに軸
足をおいた作業とが、ボーダレスになっており、こうした分け方自体が意味を持たない状
況になってきている。したがって、電通でも組織は別になっているものの、実態としては
共同で業務を進行させている。このようにプロダクトから企業、グループ、さらにはアラ
イアンスに至る、垂直的な一貫性の確保、または構造の確立等のニーズが非常に増えてき
た。
さらに、今回ブランドに大きな注目が集まった1つの大きな理由として、戦後50年以上、
企業がマーケットをリードしてきたが、これが完全に生活者主権、顧客ドリブンの経営ま
たは顧客オリエンティッドの経営に移行し、そのなかでブランドが注目されてきたという
側面があるように思われる。広告会社はもとより、会計系、IT系を問わずさまざまな経営
コンサルタントも、同様の状況に直面している。この結果多くのコンサルタントも、ブラ
ンドまたはCRMを営業品目に加えるに至った。現実に、ボーダレスな競合が非常に多くな
っており、電通も、ブランド専門のコンサルタント、経営コンサルタント等の企業と、非
常に幅広く競合するようになってきている。ブランドを構築するためには、広告のみなら
ず、製品の開発から、サービス、人事研修の問題など、企業のさまざまなアクティビティ
ーを一定の価値観のもとで統合し、それらの総体として顧客がブランドを体験し、認知す
るという実態がある故である。したがって、ブランドは、どこかのセクションだけが担当
すればそれで構築できるというものではない。そうなると、コミュニケーションを中核に
据えた電通のような業態と、システム構築が専門のコンサルティング会社、あるいは組織
に強いコンサルティング会社、さらには人事関係に強いコンサルティング会社、会計に強
いコンサルティング会社など、さまざまな会社と連携して、ブランドに対するサポートを
行なっていかなければ、本質的なブランドサポート業務はできないと考えられる。電通は、
アーカー教授を顧問に招聘し注目されているが、その一方でかなり広範な異領域のコンサ
ルティング会社との連携も強め、トータルなサービスの提供を行っている。
以上のことから、冒頭でも述べたように、われわれ自身がブランド価値の金額換算を行
うよりむしろ、外部のブランド価値算定の指標を利用したり、投資銀行のように個別にデ
ューディリジェンスをできるような企業とのアライアンスを行なおうと考えている。今後
はこうした専門組織とのアライアンスや日経モデル、海外のコーポレートブランディング
関連指標鵜などさまざまなデータを活用しようと考えている。
ブランド価値評価に対するクライアントのニーズは、非常に増えている。1つには財務
諸表への表示の動きがあり、他方ではライバル会社と自社とでどちらがブランド価値が高
いのかを知りたいというニーズがある。また、ブランド価値をマネジメントの指標にする
ならば、どういう枠組みで開発し得るものか、またはどう考えたらいいかというレベルで
のニーズもある。さらに、グループ経営を反映して、関連会社からブランド維持のための
負担金をどう計算すればよいか等のニーズもある。大きくまとめると以上の3つのニーズ
が中心であるように思われる。
それを受けての電通のスタンスであるが、企業価値を金銭的に算定するより、株式時価
総額や、日経のCBバリュエーターなどから得られる数値をいかに分析し、いかに有効な
手を打つかという提案を行うかに力点を置いている。例えば、株式時価総額の分析にあた
っては、「ニューダイレクト」という名称の独自のモデルを開発し、現実に活用している。
このように、一般的な指標を参考にしつつ、これを踏まえて、クライアント向けにカスタ
マイズされたブランド指標をどう作って行くかをサポートしていくのが、われわれのサー
ビスの中核である。その際、われわれのブランド管理モデルを下敷きにし、あるいはカス
タマイズしたうえで、個別の問題解決に対応していくことによって、トータルなブランド
管理システム構築の支援を行っていくことになる。
以上であるが、最後に佐藤室長から若干の補足をおこなう。
(電通) われわれのセクションは、ブランドクリエーション室といい、コンサルティング的
な業務からコミュニケーションの業務までをカバーしている。なぜ、このような組織形態
にとどめ、従来の広告代理店の業務とは切り離さなかったかというと、ブランドをつくる
という業務は、最終的には消費者との接点においてしか行ない得ないからである。ブラン
ドも広い意味でのコミュニケーションであり、広告もその一部であるので、ブランディン
グまたはブランドビルディングを、一貫性をもって行なわなければならないとする考え方
が背景にある。インナーのコミュニケーションやIRも含めて、そういった広い意味でのコ
ミュニケーションが業務の対象である。
ブランドクリエーション室はマーケティングに立脚し、ブランド課題にアプローチして
いる。マーケティングの観点では、かなり詳しく、コミュニケーションモデルやシェアモ
デルなどさまざまなモデルの開発に取り組んできた。このようにさまざまなモデル作りを
行なってきた経験からいえば、ブランドの価値を金額で表わすモデルの構築は今までに経
験したことのないほど困難なものになるといえよう。
まず、変数の問題がある。これはインタンジブルな要素をどう分析するかという概念性
である。変数は、明確に規定できなければならない。名称だけではなく定義を明らかにし
なければならないが、その計測可能な定義は極めて難しく、特に全ての企業に共通する定
義を確立することはさらに難しい課題である。ただし、何らかの基準としてそういった変
数を確立したいのは確かであり、その意味で、日経モデルやこの研究会の成果としてのモ
デルで、この点をどう定義するのかに非常に大きな期待を持っている。
われわれは、広告コミュニケーションやブランドにおけるパーセプションに関するデー
タは豊富に有している。しかし代理変数を使用するとしても、企業の内部に関するデータ
をわれわれが入手することは必ずしも容易ではない。したがって、われわれは、ブランド
のコミュニケーションの効果に関するモデルを構築することはでき、実際かなりの数のモ
デルを構築しているのだが、それ以外のモデルの構築には制約がある。それが広告会社の
限界である。
どういう形であればブランドを計測し得るのかについてのクライアントのニーズは、非
常に増えている。ただし、子会社にのれん代を課したいというニーズなどは理解できるが、
クライアントがブランド評価額をどう使おうとしているのか、若干見えない部分もある。
われわれがブランド価値をいくらと決めるよりも、やはり中立的な立場の組織によるモデ
ルで算定した金額をクライアントに提示したいと考えている。株価に影響するような金額
の提示を、一般的に認められたモデルに基づかずに一広告会社が行なってよいとは思えな
い。われわれが行ないたいのは、ブランド価値算定ではなく、ブランド価値分析である。
ブランド価値分析を正確に行なうには、1つの条件がある。それは、ブランド価値測定モデ
ルにブラック・ボックスがあってはならないということである。また、われわれが例えば日
経さんのモデルを使用するとすれば、それは日経という立場の中立性・権威・信頼性を根
拠に使用するのである。あるいは、この研究会でモデルが公表されたら、個別企業向けに
それを加工して使用したいと考えている。
Ⅲ 電通報告をめぐるディスカッション
(委員長)われわれもブラック・ボックスにはしないモデルの構築を目指している。また、お
力添えを賜りたいと考える。それでは今のプレゼンテーションに関して自由な議論をお願
いしたい。
(委員)ご報告では、電通がコーポレートブランドを担当され、電通がプロダクトブランドを
担当されているものの、それが徐々にボーダレス化しつつあるとのことであったが、この
点について何か具体的な例をもって説明していただきたい。
(電通)アメリカにおける状況は、日本の10年先をいっていると考えているが、ブランドコ
ンサルティングその他ブランドに関する業務の中で、一番重要なのはブランドアーキテク
チャーである。ブランドアーキテクチャーのもとではコーポレートブランドをどう構築す
るか、コーポレートブランドをどう機能させるかに関するサジェストが全く違っていると
理解してよいものと思われる。ここではコーポレートブランドと個別のプロダクトブラン
ド、またはカテゴリーブランドなどの体系をどう整合させ、どう戦略的に組み合わせるか、
どういう組み立てると一番整合的であるか、どのような配分が効率的か等の点が課題とな
っている。その意味では、コーポレートブランドだけの課題では済まなくなっているとも
いえる。こうした背景においては、クライアントのニーズについて、プロダクトブランド
とコーポレートブランドをあわせたアーキテクチャーの問題として考える必要がある。し
たがって、われわれもプロダクトブランドしか扱わないというのではやっていけないし、
またその垣根はない。
(電通)最も具体的で分かりやすい例は、製薬会社である。製薬会社の場合、医家向けの薬品
が多額の収益を生んでいるが、このことは一般の人にはほとんど見えない。これに対して
OTC(オーバー・ザ・カウンター)、すなわち薬局の店頭で販売されている薬は一般の人の目
にも見えるものである。
輸血のパックなどはそのシェアのほとんどを大塚製薬が占めているが、その一方で、ポ
カリスエットなどのBtoC商品がある。大塚食品のボンカレーなどもある。今までは、ポカ
リスエットならポカリスエット、ボンカレーならボンカレーというように1つの商品ブラ
ンドだけを販売していればよかったが、これからは大塚グループとしてのブランドが重視
されるようになる。このようにプロダクトブランドとしてのポカリスエットと、大塚グル
ープとしてのコーポレートブランドの両方を見据えていかなくてはならない機運が高まっ
てきている。ここで、大塚製薬または大塚グループのブランドを考えようとすると、今ま
では見えなかった医家向けの部分も考えなければならなくなる。グループ全体を視野に収
めるようになった途端に、コーポレートブランドとサブブランドとの関係が見直されるよ
うになる。資生堂の場合にも、資生堂ブランドの国内と国外でのパーセプションのギャッ
プがあり、体系の整備を進められている理解している。このようにさまざまなブランドを
マルチプルに視野に収めなくてはならなくなってきたというのが現場の状況である。
(委員)電通といえば、広告会社というイメージがまずもって先行するが、広告とブランドの
関係は非常に強い。ブランドに関する努力が、ブランド価値を高めると一般に考えられて
いるが、この努力とブランド価値との関係についてはどのように考えているか。
(電通)広告とブランドの関係については非常に難しい問題がある。マーケティングのモデル
は、販売実績を追跡することをその内容としている。ブランドはこれまで、先入観的に理
解しているだけかもしれないが、「ある蓄積された長期効果」であるとされてきた。すなわ
ち広告を実施してもすぐには効果があらわれないという意味である。電通には広告のアカ
ウンタビリティについて研究しているセクションがある。そこでパーセプションなどの
様々な指標がどれだけ広告とブランドの関係を測定できていたかについて、データベース
を継続的に追跡することにより確かめたことがある。その追跡作業は、販売と広告の関係
に焦点を合わせていたが、その結果、それまでブランドの長期的な視点での指標であると
考えられてきたものが、実はほとんどが広告キャンペーンにきわめて敏感に反応して変動
してしまう指標であることが分かっている。そうしたことから、何をブランドの長期的指
標とすればよいのか、またどう長期的に蓄積していのかを判断することが極めて難しいこ
とを認識するに至っている。もちろん今いっているのは、人々の頭の中のパーセプション
の領域に作られるものである。
以上のことから、電通では、今年からブランドを構成する要素に対して、人々の頭の中
に定着したものを定性的かつ定量的に計るモデルの構築に取り組んでいるところである。
これらはブランドを視野に収めた広告プランニングシステムにつながると思っている。
なお、先の報告でほとんど触れることの出来なかったブランドアーキテクチャーについ
てであるが、われわれは、コーポレートブランドとプロダクトブランドの関係、すなわち
両者の支援と貢献の関係からブランドアーキテクチャーモデルを作っている。
例えば、サントリーというブランドを1つのコーポレートブランドと考えた時、「南アル
プスの天然水」というプロダクトブランドは、「サントリー」というコーポレートブランド
の支援を受けると考えられる。したがってそこには「信頼」という名の支援があるのであ
り、安心感、伝統など、さまざまな要素がこの支援の背景に存在している。一方、プロダ
クトブランドの出発点は、消費者に感動を与えられるかどうかである。ミネラルウォォー
ターという商品に対してサントリーというコーポレートブランドが感動を与えられるであ
ろうか。コーポレートブランドとは別に「南アルプスの天然水」というプロダクトブラン
ドが必要なのであり、これがコーポレートブランドを豊かにするという貢献をする。われ
われは、このようなコーポレートブランドとプロダクトブランドとの関係でブランドアー
キテクチャーを捉えるシステムを作り上げている。これをスコア化し、そのままアーキテ
クチャーの中に貢献力、支援力という形で組み込むモデルである。
(委員長)会計学者の立場から、ブランド価値評価モデルを考える場合、一番困るのは、貨幣
額で測定できるものしか会計の対象にならないという制約があることである。また、ブラ
ンド価値評価モデルの課題は、マーケティングにおけるイメージや信頼性などの定性要因
が貨幣計算の対象にならないことである。これを計数化し、貨幣計算モデルに投入しよう
とすると、どうしてもある一定の限界がでてくる。電通のような広告代理店の場合、会計
の数値とマーケティングの数値を合体したようなモデルに抵抗はあるか。
(電通)イメージという言葉は定義できないので、業界ではイメージという用語をあまり使わ
なくなってきている。インタンジブルなどという用語が用いられるようになってきており、
もっと分からなくなってきている気もするが。
会計上の数値とマーケティングの数値を合体したモデルに抵抗があるかどうかという点
に関してであるが、抵抗の有無以前に、われわれに自体は、金額算定にまで進む必要がな
いのである。2年前まで、われわれが捉えていたブランドは、「人々の頭の中にある思い出
の小箱」であった。人々の頭の中に定着したさまざまなものを、小箱の中にどのような形
で入れるかが戦略の鍵であった。整頓して入れるのか、乱雑に入れるのかである。問題は
入れ方であり、このようなものを金額的に数値化することを誰も考えてはいなかったし、
実際にブランドをつくるという面では必ずしも必要ではない。
(電通)おそらく相当の違和感があると思われる。ただし、電通には10代社長の吉田秀雄が
作った「鬼十則」という社訓があるが、その中に「摩擦は進歩の母」という言葉がある。
今回の場合にも抵抗があるにはあるだろうが、そういうたたき台でもないことには、一歩
も進まないのである。ひとつのたたき台が登場し、これをめぐる論議が巻き起こることで
ブラッシュアップされるというプロセスなのであろう。抵抗があるというのは、今までそ
のような指標がなかったために馴染まないということに過ぎないのではないか。
(電通) 数年前にサミュエルソンが『経済学』を改訂したときに、ミクロとマクロの順序を
変更したということがあった。ミクロを先にしたというものである。そのときに、財務諸
表の問題が経済学に入ってきていた。この事件は、マーケティングの世界でも大きなトピ
ックスであった。広告効果やブランドパワーなどに関しても、ミクロ経済学モデルの一部
を採用することで新たなモデルが生み出せる可能性は大きいと思う。ブランド価値算定に
おいても、分解された要素の積み上げによるモデル形成以外にも、モデル形成の道はある
のではないか。ミクロ経済学者がつくるモデルのように、ある数理モデルから入ってモデ
ル操作的、変数操作的にブランド価値を求め、それを要素的に分析してみるというモデル
のあり方もあるのではないだろうか。
(委員長) アカウンティングにエコノミーを入れる時代が来ているという点には全く同感で
ある。
Ⅳ 日立製作所報告「ブランド価値評価の実務(日立製作所)」
(日立製作所)本日は「ブランド価値評価の実務」というタイトルを頂いているが、企業の立
場としては、ブランドの価値を高めるための諸々の施策を意味している。そういう理由で、
本日お話する内容にあっては、ブランド価値評価に関する部分はそれほど多くなく、企業
で行なっているブランドマネジメントの考え方の全体像をまずお話しし、そのうえで、日
立でどのような評価指標を用いているかについてお話したいと考えている。評価指標の話
であるので、内容的に詳細な話は出来かねる部分もある。また指標に関しては、まだまだ
確立したものがないのが現状である。そこで、本日は一般論と若干の指標の話をする。
まず、なぜ日立がブランドマネジメントを始めたのかについてである。日立は、昨年の
4月にブランド価値を高めるためのマネジメントを行なうために、ブランドセクションを
立ち上げた。それまではブランドというと、ほとんどがコンシューマービジネス、すなわ
ち消費者関連の製品に関するものであると理解されてきた。しかし、最近、欧米における
経済環境の変化やビジネスの変化がみられるようになったため、他社に先駆けてマネジメ
ントを始めようとしたのである。この経営環境の変化には、レジュメの1頁に書いたよう
に「企業間競争のグローバル化」「株主の質的変化」および「戦略的M&Aの激化」などが
ある。特にグローバルスタンダードに基づく競争原理への変化に関しては、これはアメリ
カン・スタンダードということであるが、要するに企業価値を高めていかなければ競争優
位を保てない状況になっている。株主の質的変化に関しては、周知のように持合い構造が
崩壊したことによる個人・外国人投資家の比重の増大がその背景要因をなしている。さら
に、M&Aの激化は、もはや他人事ではなく、日立グループをめぐるM&Aの環境もまさに
激化している。そのような中、企業価値を高めることに主眼をおいた企業経営が求められ
ている。この企業価値を高めるための1つの施策が、ブランドマネジメントである。
日立の経営環境をめぐるもう1つの変化は、製品、システム、サービスが均質化してき
たことである。かかる変化は、従来、技術力で市場を席巻してきた日本企業に重大な課題
を投げかけている。また、ソフト、サービス、ソリューション等、手にとって性能を確か
めることができないものがビジネスの主流になってきた。従来、手にとって性能を確かめ
て購入していたハード製品もインターネット上で取引されるようになり、そこではブラン
ドが重視されるようになっている。なぜなら、インターネット利用者は、自分の意思でそ
の企業のホームページにアクセスするわけであるから、企業のブランド価値が高くなけれ
ば消費者にアクセスしてもらえないからである。また、市場のグローバル化が進み、未開
拓市場への進出が必要になっており、そこではブランドを通じてディスティンクティブな
アイデンティティーを確立することが必要になっている。
次に、なぜ今、無形資産が重要なのかということに関してであるが、これはここで申し
上げるまでもないが、やはり莫大な資金を必要とする固定資産や設備への投資には限界が
あり、現在ではもはや競争優位を生み出さなくなっているからである。純資産と株式時価
総額の比率をみてみると、GEが8.4倍、マイクロソフトが7.6倍、ボーイングが4.7倍と
なっているのに対し、日立は1.2倍にとどまっている。アメリカ企業に関しては、ITバブ
ルが崩壊した現在でさえこのような数値である。昨年のITバブル崩壊前には、シスコ・シ
ステムが34倍もあった。日立の場合、この1.2倍という数値に、さらに土地などの含み益
を加算して考えると実質的にはデフレになっているといえる。このように、現在、競争力
ある優良企業は、企業価値の源泉を、バランスシートの外に無形資産として持っているの
である。
このような大きな流れのほか、特にブランドマネジメント導入の背景にあったものは、
日立というブランドのアイデンティティーが喪失してきているのではないかという危機感
である。このような背景の中で、日立は、i.e. HITACHIプランという中期経営計画を立て、
そのなかで「知識」と「IT」をベースにインターネットを有効活用した「ベスト・ソリュ
ーション・パートナー」への転換を目標に掲げた。すなわち、ソリューションを中心にや
ってゆく会社を目指すのだということを中期経営計画で明らかにしたのである。また、そ
のドライビングフォースの中核にブランドマネジメントがあると位置付けた。
ブランドマネジメントについてであるが、日立は、これを日立グループという単位で考
えている。つまり「HITACHI」というブランドを使っている全ての会社でブランドマネジ
メントを行なっていこうというわけである。まず、日立では、ブランドのビジョンを明確
にすべく、ブランドの定義であるブランドプラットフォームを作成し、それを端的に現し
たステートメントである‘Inspire the next’という言葉を開発した。このいわばブランド
のビジョンのもとで、企業カルチャーまたは組織性格を刷新していこうというのである。
コーポレートステートメントを軸にブランドのアイデンティティーを高めることを示し
たのがスクリーンの図である。例えば、日立というブランドには現在のところ信頼性があ
るとするならば、この価値を維持していくためには、この領域が必要であるという項目、
例えばチャレンジなどがある。
いずれにせよ、ブランドマネジメントは、まず社員の間でアイデンティティーまたはビ
ジョンを共有させることから出発する。そこでは経営幹部の強力なリーダシップが必要不
可欠である。かかる強力なリーダシップのもとで、もう一度、明確な企業文化または組織
性格を体質化することが必要である。
引き続き、ブランドマネジメントの課題について述べると、このスライドのごとく4つ
ある。特に、ブランドマネジメントの活動の成果が図りにくい、経営指標との関連性の明
示が難しいなどの問題は、数値化の困難性に端を発しているが、このことから、ブランド
マネジメントの活動が、ともすればマーケティングメディアの仕事であると誤解される向
きもある。この研究会の成果によって、これらのブランドが資産として評価されることに
なれば、ブランドマネジメントも日本企業の中に飛躍的に浸透していくのではないかと考
えられる。もちろんその場合のブランド価値は、客観性があり、合理的に誰がみても納得
できるようなものでなくてはならないであろう。
ブランドの金額換算について、金額換算そのものが価値を持つのは、M&Aのケースや換
算金額がオンバランスされたケースまたは財務諸表に注記されるようになったケースであ
る。ブランドマネジメントに従事している企業人の立場からいうと、金額換算を行なうプ
ロセスの中で、どの事業が、どれだけ将来キャッシュ・フローを生み出すのかを把握でき
ればなお良い。これが分かることで、どのセグメントにどれだけの投資を行なえばよいの
かについての意思決定が容易になるからである。その他にはブランドの拡張性の限界やそ
の強み・弱みなど、ブランドの金額換算のプロセスにおける中間生産物に非常に大きな期
待をもっている。
最後に、グループ内での社標使用料の徴収について簡単に説明したい。社標使用料の徴
収については、私が直接に関与しているわけではないので、分かる範囲での説明というこ
とになるが、ブランド価値が金額換算されるのであれば、これが社標使用料の算定の基礎
になるものと考えている。
日立における社標使用料の考え方についてであるが、まず初めに、これはその名のとお
り社標使用料であって、ブランド使用料ではない。また日立の社標といった場合、商標よ
りも広い概念である。別紙レジュメにあるように、日立ではこれらを「商標・サービスマ
ーク」、「社章」または「商号」といった形で使い分けている。これらは世界各国の日立ビ
ジネスにおいて商標登録されている。
今回、社標使用料の徴収に踏み切った背景には、企業経営において競争優位を生む源泉
としてブランド価値の重要性をわれわれが認識したこと、また、ブランドマネジメントが
強化されつつあるなど、社会的環境が整ってきているとする判断があった。また、社用使
用料の使途は、主として日立ブランドの維持向上を図ることである。
Ⅴ 日立製作所報告をめぐるディスカッション
(委員長)ありがとうございました。それでは只今のプレゼンテーションに関してご議論、ご
意見を賜りたい。
(委員)社標使用料の料率に関してであるが、例えば、日立ブランドとのシナジー効果が大き
い会社か否かで差別的な料率設定にするとか、または売上高ではなく別の基準で料率を設
定するということについてはどう考えるか。
(日立製作所)そのようなこともさまざまなタスクフォースで検討したのであるが、最終的に
は、取締役会決議により、現在の形で決着している。
(委員)徴収されるグループ会社の側から、日立ブランドの貢献を受けている、受けていない
といった議論は起きなかったのか。
(日立製作所)各タスクフォースでの議論には大変難しい議論も含まれており、ご指摘のよう
な議論もなされたものと思われるが、直接参加していないので、詳細は不明である。
(委員)売上高以外の指標についてはどうか。例えば、財務諸表上の数値にリンクさせ得る候
補として検討したものはあるか。
(日立製作所)基本的に売上に焦点をあてて議論してきた。また、料率は、グループ各社との
協議に基づいて決定されている。
(委員)社標使用料の徴収の効果は、親会社が子会社からキャッシュ・フローを吸い上げるこ
とと考えられるが、このキャッシュ・フローの吸い上げということに関していえば、配当
を通じて吸い上げる方法も考えられる。配当の場合、100%子会社であれば全額が親会社に
配分されるが、100%子会社でなければ、一部が少数株主にも配分されることになる。さら
に、関連会社の場合には配当による吸い上げ自体が成立しない可能性もある。今回、配当
で吸い上げる方式をとらずに、社標使用料の徴収という方式をとったのは、キャッシュ・
フローの全額を親会社が受け取れるようにするためか。
(日立製作所)配当は、子会社が黒字決算をすればよいが、赤字の場合には行なわれないこと
になる。社標使用料の場合、あくまでも会社間での使用契約によるものであるから、配当
で吸い上げるという性質のものではなく、あくまで収益として受け取るべきものである。
(委員)租税法の観点から質問する。社標使用料を支払う場合、課税所得に影響が及ぶ。その
場合、料率如何によっては、グループ内での金銭の授受を通じた所得操作であるとみなさ
れる余地があるのではないか。これが第1点目の質問である。
もう1つは、国際課税の観点からの質問であるが、例えば在米子会社が社標使用料を支
払った場合、移転価格と同じように、内国歳入庁がこの金銭の支払を認めないという事態
が生じ得ると思われる。その点について検討を行なったか。
(日立製作所)ご指摘のとおりであるが、専門ではないので詳しい説明はご容赦願いたい。
(委員長) NTTの経営指導料や大和証券のように、コンサルティング料として徴収する妥当
性は当然にあるわけだが、日立の場合、フランチャイズ料またはロイヤリティとして徴収
している。日立の社標使用料徴収の妥当性はどこにあるか。また、徴収のためのルール自
体はわかるが、料率はどのように決定したのか、さらには、社標使用料を徴収することに
よって日立ブランドがより高まるとする議論はなかったか。以上が第1点目の質問である。
第2点目は、ブランドの価値評価を行なえば、セグメント別のキャッシュ・フローの将
来性が明らかになるとする趣旨のご発言があったが、セグメント別のキャッシュ・フロー
計算書を作成すれば解決する問題であると考えられる。この点についてはどうか。
(日立製作所)まず、料率をどのように決定したかという点についてであるが、これは理論的
な検証と共に、グループ会社との協議の結果合意に至った率である。また、社標使用料を
徴収することによってブランド価値が高まるのかという点についてであるが、ブランドマ
ネジメントの観点からいえば、ブランドは価値を持つものであり、金額に換算することが
できるのだという意識を関係会社にもってもらうことが重要であると考えている。使用料
の徴収は、このような意識の高揚につながる非常に有効な手段であると考えられる。
次にセグメントの件であるが、金額換算のプロセスの中で、ブランドマネジメントに有
効な、セグメント毎のブランド分析の視点を見出したいと考えている。
(委員長)社標使用料の徴収には十分な合理性があるとのことであるが、客観的なブランド価
値評価モデルがあれば、かかる合理性をさらに高めることができると考える。現在のルー
ルは現時点では日立の内部でのみ妥当性をもっているのに過ぎないのであり、広く世間一
般に対して妥当性を証明するためには、客観的なブランド価値評価モデルに基づくことが
必要である。また、移転価格税制の問題はともかく、それ以外の税制の問題の多くは、客
観的なブランド価値評価に基づいて徴収料を決定することでクリアできるものと考えられ
る。この点についてはどうか。
(日立製作所)そのとおりであると考えている。客観的な価値評価モデルは、今後、社標使用
料の算定に非常に大きな役割をもつと思われる。
(委員)使途を特定しているが、使途を特定するということは、この金額は引当金的な機能を
果たすのか。
(日立製作所)日立ブランドの維持向上のために用いるというのは、われわれがそう決めたの
に過ぎず、本来は何に使ってもよいものである。しかし、日立とその関係会社がうまくこ
の制度を利用していくためには、このような使途に用いることが適当であると判断したの
である。
(委員)ブランドのリペアーに使うと明示するならば、税務の問題をクリアできる可能性は大
きくなると思われるが、徴収した金額は基本的に実費にあたるのか。
(日立製作所)日立ブランドは社標使用料だけで維持・向上されているわけではない。これ以
外にも4000億円におよぶ研究開発費や200億円におよぶ広告宣伝費などさまざまな支出が
ある。
(委員長)広い意味でのメンテナンス費の一部ということであろう。
(委員)商法の立場から質問する。ブランドの維持・向上といった場合には、会社のイメージ
を高めるという要素もそこに含まれると考えられるが、仮に日立の社標を使用している会
社が粗悪品を製造した場合、グループ全体のイメージが下がってしまうものと考えられる。
その場合日立本社はどのような対応をとるのか。
(日立製作所)粗悪品がブランドを毀損するということになれば、この使用許諾を打ち切ると
の対応を考えていくことになろう。
(委員) ブランドの価値を確立するためには、まず、経営理念を共有しなければならないと
のことであったが、「日立らしい仕事ぶり」を社員に徹底させるとうのは具体的にどういう
ことか。
(日立製作所)ブランドの価値評価の話とは離れてしまうが、ブランドのマネジメント、ブラ
ンディングといわれている中、プロセスとしては「ブランドの約束」をまず明確にし、そ
のうえで、アイデンティティーを明確にすることになる。この2つはペーパーである。し
かし、2つのペーパーをペーパーのままで置いていたのでは何の意味もなく、これらのペ
ーパーにどれだけ価値があるかが問題である。
ブランドマネジメントにおいて重要なことは、そのブランドにアイデンティティーをも
たせることである。ブランドコンサルティング会社はこの辺をビジネスにしており、広告
コミュニケーションはこれとは異なる。アメリカでは、ブランドにアイデンティティーを
もたせることが、ブランドコンサルティングの中心になってきている。これらは抽象論か
もしれないが、日本の企業は、従来、この抽象論さえ有していなかったのである。抽象的
な目標基準を作り、それをそれぞれのビジネスに落とし込み、その後、落とし込んだビジ
ネスからまた帰納的にブランドを構築していくという流れである。
Ⅵ 藤田晶子委員報告「無形資産の会計基準」および「のれんとブ
ランドの資産性」
(委員)無形資産の会計基準及びのれんとブランドの資産性についてご報告する。
レジュメのⅠには、現在の主な会計基準を示した。表の下に示した各会計基準の公表年
度をみると、アメリカの無形資産にかかる会計基準は、先ごろ改訂されている。これは、
企業結合にかかる会計基準が改訂されたためである。
これまで企業結合取引については、持分プーリング法とパーチェス法の2つの会計処理
が認められていたが、実質的に同じ取引について2つの会計処理方法が存在することは適
切でないことから、パーチェス法に一本化されることになった。この結果、各企業結合取
引においてのれんを計上しなければならない。のれんを計上すると、企業の利益は企業結
合取引の後に、のれんの償却費によって圧迫されることになる。このためビジネス・ラウン
ド・テーブルを中心にアメリカの企業は新しい会計基準に強く反発していた経緯がある。
この結果、のれんは償却せずに減損によって会計処理を行い、のれんから可能な限り認識
可能な無形資産に投資差額を分配することになった。
レジュメⅡに無形資産会計の論点を掲げた。まず、(1)原初認識および原初測定について
である。第一に企業結合取引において認識される無形資産についてであるが、これまでの
れんとして扱われてきた投資差額、いわゆる被買収企業の買収価額から受入純資産を控除
した差額を、どのように無形資産とのれんに配分するかとの論点である。第二に自己創設
無形資産についてであるが、目にみえない無形資産の存在をどのように確認するか、どの
ように検証するか、測定するか等の論点である。
次に、(2)事後測定である。無形資産を認識した段階でどのように耐用年数を予測するの
か、耐用年数終了後の残存価格をどのように予測するのかという論点がある。
こうした問題点を各会計基準がどのように取扱うかについて、レジュメⅢに示している。
細かい相違点についてはレジュメの表をご参照いただきたいが、特に指摘すべき点として、
企業結合取引における無形資産の原初認識と測定、自己創設無形資産の原初認識と測定を
挙げておきたい。アメリカの会計基準の考え方は、その無形資産が識別可能か否かに最も
重点をおいている。これに対して、イギリス及び国際会計基準の考え方は、どちらかとい
うと測定に重点を置いている。容易に測定できるか、信頼性をもって測定できるかとの点
を重視しており、アメリカの会計基準とイギリス及び国際会計基準との姿勢の違いをみる
ことができる。
次に事後測定における2つの論点、つまり耐用年数の予測可能性と残存価格の予測可能
性の論点である。耐用年数の予測可能性については、アメリカの会計基準は、予測可能な
場合には予測した耐用年数を用い、予測不可能な場合には耐用年数を無限・不定とするこ
とになっている。一方、イギリス及び国際会計基準は、原則として20年以内で設定するこ
とになっており、20年を超えることに確証が得られる場合には、無限であることを前提に
会計処理することになっている。
残存価格については、アメリカ及び国際会計基準は原則としてゼロとするとされている。
一方、イギリスは容易に測定できることが前提として挙げられている。
次にのれんとブランドの資産性について報告する。のれんとブランドは非常に類似した
性格のものと考えられてきたが、相違点を挙げておきたい。まず、Ⅰとしてのれんとブラ
ンドの一般的な概念を説明させていただく。
従来のれんとして考えられてきたのは、企業結合取引における取得価額から被買収企業
の受入純資産の金額を控除した残差である。個々の資産の収益力と企業全体の収益力とを
比較した場合の、その企業全体の超過収益力を指すと考えられてきている。これに対して、
ブランドは、ある売り手の財貨またはサービスを識別し、競争相手の財貨又はサービスか
ら差別化することを意図するネームまたはシンボルであると考えられてきている。
このように、のれんとブランドは概念が異なるわけだが、具体的に会計の観点から相違
点を述べたのがレジュメⅡの表である。ここで挙げた資産性の要件のうち、①~③はFASB
の概念ステートメント第6号の資産の要件である。④は、SFAS141号の基準を取り上げて
いる。①~④の要件に照らして、のれんとブランドの資産性について検討する。
まず、①企業に各資産が帰属しているか、つまり企業によって各資産が支配されている
現実があるかの要件である。これは、のれんもブランドも企業が支配しているといえ、要
件を満たしているといえる。
次に、②経済的便益の流入可能性である。のれんは、経済的便益すなわち超過収益力そ
のものであるので、のれんが将来にわたって企業に経済的便益をもたらすことはあり得な
いと考えられる。この点、ブランドは、先ほどの委員のご報告にもあったように、競争優
位の源泉となり得るものであるので、企業に経済的便益を流入させる可能性がある。すな
わち②の要件について、のれんはこれを満たしていないがブランドは満たしていると考え
ることができる。
③貨幣額で測定可能かという点については、のれんは、あくまでも取得価額から被買収
企業の受入純資産を控除した残高、すなわち残差であるため、のれんを直接的に測定する
ことはできないことが挙げられる。すなわち、測定可能かといえば、曖昧(△)といえる。
一方、ブランドは、客観的なモデルが確立されれば、直接的に貨幣額で測定することが可
能である。すなわち、③の要件について、のれんは曖昧であるが、ブランドは満たしてい
るといえる。
最後に④識別可能性基準であるが、これは無形資産独自の基準である。これには、(1)法・
契約によるその使用権の保護の存在、及び(2)売却可能性、すなわち分離可能性の2つの基
準がある。このうち、いずれかの基準を満たさなければ、無形資産として認識することは
できない。のれんについては、法・契約による保護は無いため(1)の基準を満たさない。ま
たのれんを売却するということは、企業全てを売却しなければ不可能であるため、(2)の基
準も満たさない。一方、ブランドは、商標権など法律によって保護されているため、(1)の
基準を満たしている。また、ブランドのみを売却することは、過去の実績からみても可能
であり、(2)の基準も満たしている。すなわち、(1)(2)のいずれの基準についても、のれんは
これを満たさないが、ブランドはこれを満たすということができる。
したがって、のれんはその資産性を容認できないが、ブランドは資産の要件を全て満た
しており資産性が十分認識できると思われる。
次に具体的に自己創設ブランドを計上するための要件を、Ⅱの要件に照らして検討する
と、客観的な信頼し得るモデルによって測定可能となることが第一の要件となる。さらに、
識別可能基準を満たしているという、二つの基準が必要な要件となる。この二つが、自己
創設ブランドを資産計上するために不可欠な要件となるといえる。自己創設ブランドにつ
いても、客観的なモデルが構築されれば、貨幣額による測定の要件を満たすことは可能と
思われる。また商標権などによって十分に法・契約基準を満たしていると考えられ、分離
可能基準も満たしているといえる。自己創設ブランドについても、資産性の要件を満たし
ているといえる。
Ⅶ 藤田晶子委員報告をめぐるディスカッション
(委員)ブランド、特にコーポレート・ブランドの場合、のれんとどのように区別できる
のか。例えば、三越やSONYをのれんというのかブランドというのか。VAIOなど品物で
あれば、比較的容易にのれんではなくブランドということができるが、コーポレート・ブ
ランドはのれんとどのように区別すればよいか。
(委員)ご指摘の通り、のれんとコーポレート・ブランドは非常に近い性質のものである
と考えられる。ただし、コーポレート・ブランドといった場合、例えばSONYの場合には
SONYというネームを源泉としてもたらされる収益力がブランド価値であろうと考えられ
る。のれんといった場合、これはSONYというネームがなくても生まれてくるであろう企
業全体の超過収益力と考えられ、ブランドと非常に類似しているが、SONYというネーム
に付随する価値なのか、企業全体で生み出されてくる収益力なのかという点で両者に違い
があると思われる。
(委員長)委員は、企業会計上の違いについて質問しているのか。
(委員)そうである。
(委員長)藤田晶子委員のご報告の通り、従来、のれん、すなわち連結調整勘定は投資額
と受入純資産の差額をいい、これを企業会計では連結のれんといってきた。この連結のれ
んを超過収益であるといってきたわけだが、この超過収益を分析すると実際はのれんが超
過収益なのではなく、この中に含まれているプロダクト・ブランドおよびコーポレート・
ブランドからなるブランド価値が収益力だろうという整理をワーキング・グループで行っ
ている。
(委員)のれんとコーポレート・ブランドは、その価値という点で結びついているという
ことか。
(委員長)結びついているとか、結びついていないとかではなく、従来のれんと言われて
きた部分は、非常に曖昧模糊としており、何がのれんかよくわからない。会計上でいうと、
受入純資産を公正価値であろうが取得原価であろうが評価すれば、80の資産に100投資し
た場合に20の連結調整勘定が発生する。この20の中身は、何かということである。この
場合、もちろん買入のれんを想定しているが、この中には測定不備のために無形資産と名
乗れないもの、キャッシュ・フローは生み出すが実態が何かわからないので振り替えられ
ないものが含まれていただろうといえる。こういうものを公正価値評価すると、有価証券
の評価益であったり、土地の評価益であったり、さらには買入ブランドであったりする場
合があるだろうと整理している。
(委員)今のご説明でよくわかった。従来はブランドを独自に評価対象とすることを意識
してこなかったということだと思う。これからブランドを独自に価値あるものとして、例
えば貸借対照表に計上する場合、のれんとの相違点は重要な論点となると思う。そこで概
念上の相違は理解したが、実際にどのように測定して区別するかを教えていただきたい。
(委員長)その点は前回のワーキング・グループで整理している。若干私見も混じえるが、
ブランド評価モデルができたならば、現在のれんと呼ばれている部分の多くはブランド、
他の無形資産などに振り替えられ、振り替えられないものをのれんとよんでも、それはダ
ストになるだろうという理解である。したがって、一時償却をしても構わないと理解して
いる。ただ、このダストであるという理解については、ワーキング・グループの委員の中
に、その中にもまだシナジーが残っているのではないかとの意見もあり、まだ詰めなけれ
ばならない論点がある。私個人の理解では、評価モデルが確立され全部が公正価値で評価
可能となれば、最後は計算できないものだけしか残らないので一時償却の対象となり、ア
メリカのビジネス・ラウンドテーブルが問題にしているような、のれんの償却費が企業利
益に及ぼす影響はほとんど無いだろうという理解である。
(委員)のれんは、企業全てを売却しなければ分離できないという説明であったが、新し
い米国の会計基準ではM&Aによって事業の再編を行う場合には、報告単位のセグメントに、
のれんを配分することができると理解している。のれんを配分することができるというこ
とは、のれんと呼ぶ限りは配分できず、分離可能な価値があるために報告単位に配分可能
という理解が米国の会計基準の中にあると考えてよいか。
(委員)のれんが分離可能ではないという意味は、のれんだけを切り離して売却すること
はできないということである。ご指摘の通りアメリカでは、企業結合後に被買収企業を事
業配分するケースが多々あると思われる。のれんは、企業が保有する資産に付随して発生
するものであるので、例えば事業再編によって保有資産を複数の報告単位に分離した場合
には、その報告単位にのれんを配分するということと考えられる。
(委員)のれんに資産性がないとの報告だが、もともと日本のパーチェス法でも、他の科
目に振り替えるということはあってものれんは資産計上するという会計基準になっている。
資産性がないという報告は、どのような意味か。
(委員)ご指摘の通り、アメリカの会計基準の中では、のれんは資産の要件を満たしてい
るとされている。しかし、私の理解では、満たしていないといえるのではないか、という
ことである。
(委員)資産に計上してはいけない、ということか。
(委員)そうである。
(委員)もともと日本では、合併して、特に業績の悪い企業を合併して営業権を計上して
これを償却している。実際に営業権を算定することが税務上も認められている。無理して
算定しているということがあるかもしれないが、のれんが算定不可能といっても、企業の
救済合併という場合では相当程度営業権を計上している事実がある。また救済企業はもち
ろん余力があるので、これを償却しているという過去の事例が多数ある。こうした事例を
みると、それほど算定不可能なものかと疑問が残る。
(委員)のれんというのは、企業全体の価値の中から受入純資産を控除した残りである。
(委員長)委員のご主張の前提は、のれんとブランドを合わせてのれんとされている。し
かし、ワーキング・グループでの整理では、従来、「のれん」といってきたものをのれんと
ブランドとに区別しようという前提で議論している。そうなると、のれんには企業による
支配はあっても、経済的便益の流入はないことになる。
今までの理解では、のれんもブランドも全て合わせてのれん、営業権と呼んできたため、
委員のご指摘のようになろうかと思うが、我々の整理ではのれんとブランドは異なるとい
うことである。したがって、FASBの基準にしても公正価値評価した以上、のれんの原因分
析をしたことになるで実際にはのれんに資産性は残らないわけだが、これに減損を適用す
るということはのれんに資産性を認めることになっており、つまり、のれん部分にブラン
ドなどの無形資産が残っているということである。
(委員)委員長の説明による、のれんとブランドとの関係の考え方は、アメリカでも通説
的な見解と考えてよいか。それとも、当研究会の見解ということか。
(委員長)当研究会における我々の議論であり、FASBの様々なステートメント及び過去の
経緯を整理した上での議論である。FASBがのれんとブランドとを合わせてのれんと呼んで
いた、ということが書いてあるわけではない。しかしながら、他のステートメントや論理
を追いかけていくとブランドの議論もされており、また別の研究をサーベイしても、この
ような整理で良いかと思われる。
(委員)識別可能性において、法・契約によるその使用権の保護の存在に関し、商標権と
いう話があったと思う。例えば、SONY、日立は、商標権を国ごと、商品ごと、サービスご
とに取得していると思われる。しかし、会社の商号という意味では、会社が登記上、商号
として保護されている、すなわち本店が所在する行政区において登録されているという事
実に過ぎない。法律でいう使用権の保護という観点では、その行政区において類似商号を
登録できないに過ぎない。したがって、商号とコーポレート・ブランドは異なっており、
この違いは何かとの疑問が生じる。
次に、登録商標ではないわけだが、不正競争防止法のもとでの標章について、著名とい
う概念がある。有名な例を出せば、ノーパン喫茶が某有名企業の名前を使った場合、その
企業はこの差止が可能という事例があり、これはダイリューションを問題としている。そ
の企業がノーパン喫茶を経営するとは誰も思っていないが、これを許すことによって企業
のイメージが崩されるという考え方である。日立という名前が、著名商号として確立する
ことによって、ひとつの権利となるわけであるが、登録上の権利ではなく著名または周知
ということを立証する必要がある。
商標権の場合、登録という分かり易い事実があるが、不正競争防止の場合は最終的に著
名または周知という立証が必要となってくるという意味において、最終的には裁判所の判
断がないと確定ができない。ここで、実際には著名な商標だが、商標法上は別の登録権者
が存在するケースがある。例えば、海外の著名な商標が、日本の商標法上は既に別の登録
権者が存在するケースがある。こうした場合に、登録権を持っていてかつ著名商標の主で
ある場合と、登録は持っていないが著名商標として不正競争防止法上保護される場合とで
は、コーポレート・ブランドの価値には違いが生じるのかとの疑問が生じる。
会計上の概念の整理とともに、法律上の概念との整合性についても、今後、議論を進め
ていただきたいと思う。
(委員)委員には、今後も法律的観点からご指摘いただきたい。なお、本日の報告で挙げ
た識別基準は、存在を確認するという意味である。法律や契約など、具体的な存在を確認
できるものがあればいいという、簡単な基準と理解している。
(委員長)簡単な基準というより、会計には法律の考え方ほどリジッドではない部分があ
ると思われる。ましてやインタンジブルの世界になると、マーケティングの世界よりも会
計はリジッドではあるが、法律ほどリジッドではないというのが現実と考えられる。ワー
キング・グループの方で検討させていただきたい。
(委員)のれんの概念規定については、買入のれんを前提とした概念提示と理解した。日
本の場合、自己創設のれんは資産計上できないわけだが、この場合の概念規定はどのよう
になるのか。
(委員)企業が保有する個々の資産から発生するシナジーと理解している。
(委員)買入のれんを考えた場合ののれんと、その中にどの程度ブランドが入っているか
ということを比較しているのか。それとも、潜在的な議論としては、ブランドを自己創設
した場合に資産計上することを想定して、自己創設ブランドと自己創設のれんを比較する
ことまで考えているのか。
(委員長)研究会がということか、藤田晶子委員の報告がということか。
(委員)藤田晶子委員の報告についてである。
(委員)本日の報告は、一般的な買入および自己創設も含めたのれんとブランドとの比較
である。
(委員)両方ということか。
(委員)両方である。自己創設のれんについては、のれんはもともと資産性を満たしてい
ないと考えているため、資産計上できないと考えている。この点、自己創設ブランドにつ
いては、のれんとは異なり資産の要件を全て満たすと考えられるため、認識することがで
きると考える。
(委員長)この点については、柴田委員に御願いすることになろうかと思うが、第10回の
ワーキング・グループと12月5日の研究会で検討したいと考えている。自己創設ブランド
の資産計上に伴う商法上の課題を柴田委員に、税法上の課題を岩崎委員に、企業会計上の
課題を久保委員に御願いしようと考えている。ここで3つの観点から、問題点というより
課題について報告していただき、コンセンサスを深めたいと思う。
以上で、本日の研究会を閉会とする。
(桜井課長)次回の研究会は、12月5日(水)午後5時から8時まで当会場で開催する。
以 上
(別添)
ブランド価値評価研究会委員
(委員長)
広瀬 義州 早稲田大学教授
(委員)
石井 淳蔵 神戸大学大学院教授
井上 隆 (社)経済団体連合会経済本部経済法制グループ兼税制グループ副長
岩崎 政明 横浜国立大学教授
植田 リサ 日本銀行考査局
岡本 大輔 慶応大学教授
奥田 飛功 ソニー㈱CI室室長
神作 裕之 学習院大学教授
久保 幸年 公認会計士
齋藤 治彦 KPMGフィナンシャル㈱エグゼクティブ・ディレクター
酒井 剛 ㈱資生堂化粧品事業戦略本部ブランドエクイティー管理室室長
桜井 久勝 神戸大学大学院教授
柴田 和史 法政大学教授
清水 聰 明治学院大学教授
杉本 徹雄 上智大学教授
辻 正次 大阪大学大学院教授
西澤 茂 上智大学助教授
平井 直樹 野村證券㈱金融研究所経営調査部財務戦略調査統括主任研究員
廣本 敏郎 一橋大学大学院教授
福田 眞也 公認会計士
藤田 晶子 明治学院大学教授
藤田 誠 早稲田大学教授
渕 圭吾 学習院大学専任講師
堀内 啓 ㈱日立製作所グループ経営企画室部長
松尾 眞 弁護士
山田 博之 公認会計士
吉見 宏 北海道大学大学院助教授
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