経済産業省
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産業競争力と知的財産を考える研究会
ワーキンググループ1・2(第5回/合同会合) 議事要旨



第5回「産業競争力のための知的財産の価値の戦略的最大化」に関するワーキ
ンググループ(WG1)及び
第5回「大学、ベンチャー・中小企業が利用しやすい知的財産制度」に関する
ワーキンググループ(WG2)

1. 日時:平成14年2月18日 12:45~16:25
2. 場所:経済産業省別館11階1120共用会議室
3. 出席者:(WG1)澤井主査、山地副主査、赤羽委員、江崎委員、小倉委員、河野代理、
  作田委員、武下委員、野元委員、本委員、丸島委員、山田委員、
  唯根委員、渡邊委員
    (WG2)清水主査、赤羽委員、安藤委員、伊藤委員、牛久委員、木下委員、
    杉光委員、羽鳥委員、渡邊委員
4. 議題:(1)国民の知的財産意識の啓発、知財関連人材の育成
  (2)知的財産に関するディスクロージャーについて
  (3)我が国企業の戦略的な知的財産活動について
  (4)知的財産の流通、資産的活用の促進
  (5)大学発技術の移転促進

ワーキンググループの概要をまとめると以下のとおり。
(1)国民の知的財産意識の啓発、知財人材の育成等
① 文部科学省高等教育局大学課大学改革推進室室長補佐から、「法科大学院に関する検討
  状況について」説明。

② 中山東京大学教授から、「法科大学院におけるビジネスロー教育の重要性」について説
明。
・ 法律家にとって一番大切なのはバランス感覚であり、知的財産法だけのロースクールと
いうのは考えられない。ビジネスロー全体の振興を図る必要がある。
・ 司法試験が難しいことが法曹教育の最大の問題である。法科大学院でいかに教育を自由
化しても、司法試験を変えなければ大学の教育は変わらない。司法試験の科目にビジネス
ローを加えることを考えるべき。本当は司法試験を簡単にするのが一番良いことだと思う。
・ アメリカでは何故、知財が良く勉強されているかというと司法試験の合格率が高いこと
と専門知識を身につけていないと弁護士としての仕事ができないことが主な要因である。
・ 技術系の人が司法試験に合格しやすくすることについてはひとつも考えが出てこない。
弁理士の資格取得についても継続性を持ってどのようにしていくのかも明らかになって
いない。
・ ロースクールの入学者は、法学部出身者に限定されない。理科系出身者用の司法試験と
いうのは難しい。結局は、司法試験を易しくすることが一番いい。弁理士の訴訟代理資格
も時限的なものではない。
・ 会計、金融といった経済学の基礎的なトレーニングも導入して欲しい。また、ロースク
ールの実務家教員の可能性については懸念している。
・ 実務家教員については、ほとんどの場合はお金(報酬)の問題で頓挫するだろう。
・ アメリカの場合、弁護士事務所で全部やってくれる仕組みになっている。日本でも、弁
護士が弁理士的な仕事をする方が良いのではないか。
・ スピードの早い時代に、司法試験は聖域である、ということがおかしい。現状維持で何
かやろうというのは大間違い。

③ 特許庁総務部技術調査課長から、「知的財産関連統計の整備」及び「特許庁の取り組む
知的財産意識の啓発」について説明。
・ 統計をやるときにはどういう分析結果を出すのかを考えてやって欲しい。
・ 初等・中等教育の所で、発明の尊さを教えることが必要であり、知的財産制度の教育は
不要と思う。
・ TLOをやっている立場として、人材の育成は重要な要因。人材供給については、文科
省、経産省、バラバラである。良い体制を作るためには、現場に広く声をかけていただい
て中身を検討していただくと、より効果的な、現場に則した制度ができる。

(2)渡邊委員から「知的財産に関するディスクロージャーについて」説明
・ 中小企業の立場でPRしてもなかなか認めてもらえない。開示したものに対して内容を
良く見てお金を出すというためには、ディスクロージャーの考え方を中小企業に対しても
推進することが重要。
・ 日本では、ごく一部の企業以外のトップは、何をすればいいのかわからず困り果ててい
るだけで、経営者としての責任を果たしていない。ディスクロージャーを進めていくのは
大賛成だ。司法試験の改革が難しく、知財のディスクロージャーはこれに比べて簡単なの
であれば、できるところからやっていくことが大切だ。
・ 現在の研究開発テーマやそれに対する経営資源の投入状況といった情報は、最大の企
業秘密だ。このような情報をディスクローズすることはできない。
・ 戦略を全てさらけ出しなさいということではない。現在の状況では情報開示が少ないの
で、もう少し出したほうがいいということ。
・ 例えばアメリカの企業ではこういう情報までディスクローズしているといった、周辺情
報やある程度の基準を示しながら検討することが有益。
・ 知的財産のディスクロージャーを求める気持ちは良くわかるが、どうやったら会社の実
態、中身を表現できるのか、難しい問題だ。不実施特許を企業の資産としてカウントした
り実施率が高ければいいと考えることは企業の評価と知的財産を適切に結び付けること
ができず、ナンセンスだ。形式的なディスクロージャーは、かえって危険。
・ 程度問題ではないか。株主が求める踏み込んだ情報というのは典型的ななトレードシー
クレットであり、難しいと思う。特許会計については懸命に議論しているが、難しい問題
が多くて現状は行き詰まっている。
・ 特許権というのは絶対的な権利でなく、相対的な権利である。全部の調査は膨大な労力
がかかるので別な方法を企業は考えている。単なる件数を言ったって本当の価値ではない。
お茶を濁したディスクロージャーは株主をミスリードする。

(4)経済産業政策局知的財産政策室長から「我が国企業の戦略的な知的財産活動につい
て」説明
・ 収入がいくらかを示すのは簡単だ。実際の知的財産活動の成果をどうやってディスクロ
ーズするのかが難しい。事業との連携を取った戦略が本来の知的財産の戦略であり、表立
った数字だけ出しても戦略は理解できない。数字はあまり関係がない。
・ 知的財産活動の内訳ものを一つの指標にできればわかりやすい。知的財産活動のいろい
ろなステージをうまいこと捉える、指数表示みたいなものであればできるのではないか。
・ 他社から知的財産をどのように正当に評価してもらうかが一番の課題である。事業が駄
目になった後に残った知的財産を数値化しても、会社の実態をあらわしていない。マネジ
メントにフィットするものを探し続けることがベースにある。

(5)知的財産の流通、資産的活用の促進
①独立行政法人工業所有権情報館情報流通部長から、「特許流通促進事業について」説明。
・ 特許の流通を促進するためには、先ず、特許の中身である技術を良くすることが重要。
・ 最近、大企業からの特許提供が減っているのは、中小企業が特許を導入して事業化を図
る場合、ライセンスに加えて技術指導を受けることが必須であるが、大企業はそのための
マンパワーを提供できないという問題があるため。

②経済産業政策局知的財産政策室長から「知的財産に関するライセンス契約の保護につい
て」説明。
③特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室から、「実施権設定登録制度の概要」につ
いて説明。
・ 知的財産の流通に関してライセンス契約の保護を進めるにあたっては、実体法(知的財
産法)で定めた対抗要件を具備したライセンス契約について、管財人の契約解除権を制限
することを明確化する法制を実現するしてほしい。
・ アメリカでは、実体法における対抗要件の具備如何にかかわらず、契約の存在を証明す
ることができるライセンス契約について、管財人の契約解除権を制限することを明確化す
る法制が行われている。ライセンス契約を保護するには、契約の事実だけで十分である。
当事者の契約を何故尊重しないのか。
・ 知的財産の譲渡や倒産によってライセンス契約が問題になるということは、ほとんど無
い。大企業はリスクを避けるためにベンチャーなどから権利を全て買ってしまうので、ラ
イセンス契約に関する問題はない。例がないから良いのではなく、現状ではクロスライセ
ンスが非常に多く破産がおきたら企業は大変なことになる。早急に法律を改正するべきで
ある。
・ 今の法律ではライセンシーの権利は保証されていないので、なぜそんな契約をしたのだ
と株主代表訴訟を起される可能性がある。代表訴訟を起されるようなリスクはない方が良
いに決まっている。
・ 知的財産権は、不動産とどう違うのかと言われる。一般の対抗要件を求めているのでは
なくて、破産の場合に限定して議論を進め、ライセンス契約の保護を図るべき。
・ 契約には譲渡禁止が必ず書かれているが、破産法は契約に対して優位な地位にあるため、
契約上の手当てでは守ることができない。、この点には、産業界全体が抱えている問題で
あり、検討すべき。これが問題である。
・ 破産に限って言えばできるかもしれないが、対抗要件全部を対象とするのは、難しい。
まずは、特許法に限定すれば、実際的な解決方法が見つかるかもしれない。

(6)大学発技術の移転促進
①産業技術環境局大学連携推進課課長補佐から「大学の研究成果の特許化に対する支援に
ついて」及び「国立大学で生じた特許の取扱いにかかる現状」について説明。
・ 研究費の中で、研究者の判断で、出願や翻訳費用を出せるようになるといい。
・ TLOのポリシーで特許を受け取るか受け取らないかを決めないと全てのTLOは潰
れてしまう。TLO支援に関する新しい制度も必要だけれど、それだけでは不十分である。
・ 大学の発明を評価するのは難しいと思う。TLOの方がやれる状態ではないし、先生が
正しい評価ができるかどうか、わからない。支援策は無駄が出るかもしれないが、やるべ
きだ。
・ 産業競争力強化という観点からは海外での権利化が、今後は重要な課題である。しかし、
海外出願の費用は国内出願の3倍かかってしまう。外国出願についても支援が必要なので
はないか。
・ 企業と大学とのいろいろな連携が増す中で、TLOの基本的な仕事は、特許の管理では
なくて技術の管理そのものをきちんと責任を持ってやるようにすることである。

②特許庁総務部技術調査課長から「大学への知財管理アドバイザー派遣について」説明。

以 上


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