第7回「産業競争力のための知的財産の価値の戦略的最大化」に関するワーキ
ンググループ(WG1)及び
第7回「大学、ベンチャー・中小企業が利用しやすい知的財産制度」に関する
ワーキンググループ(WG2)
1.日時:平成14年3月11日 12:50~15:30
2.場所:経済産業省別館11階1120共用会議室
3.出席者:(WG1)澤井主査、山地副主査、相澤委員、赤羽委員、江崎委員、小倉委員、
河野代理、竹田委員、町野代理、本委員、丸島委員、山田委員、
唯根委員、渡邊委員
(WG2)清水主査、土井副主査、赤羽委員、相澤委員、安藤委員、
井上委員、牛久委員、木下委員、杉光委員、羽鳥委員、渡邊委員
4.議題:①審判制度の見直しと専門訴訟への対応力の強化について
②営業秘密の保護強化について
③職務発明制度について
④知的財産のディスクロージャーについて
⑤「日本版バイドール」における知的財産の取扱い
⑥大学の戦略的な知的財産活動の重要性と支援策
⑦特許法第30条に規定する学術団体の拡大について
⑧先端技術分野における特許情報のタイムリーな分析・提供
5.議事要旨:会議の概要をまとめると以下の通り。
①審判制度の見直しと専門訴訟への対応力の強化について特許庁審判部審判課審判企画室
長から説明があった。委員からの発言を中心にまとめると以下のとおり。
・ 証拠の追加提出を認める時に審判手続きのスピードをどうやって手当てするのか。
・ 無効審判手続きの期間と請求人側の追加証拠提出のバランスを考慮して欲しい。
・ 産業界としては、侵害訴訟においては裁判所で有効無効の抗弁を判断してほしい。
(事務局)
・ 全体として紛争が解決するということが迅速化に資すると理解している。どの程度
であれば攻撃防御の機会が与えられるか、ユーザーニーズを踏まえながら制度設計を
していく。どのように制度を簡素化するのかは、これからの検討事項である。
・ 侵害訴訟において特許の有効性の判断を拡大するべきであるという議論があるの
は承知しており、各方面と調整している。
・ 異議申立の制限について、行政手続きの流れの中で考えていくのか、準司法的な手続き
の流れで考えるのか。いつでも何人も、というのであれば訴訟が乱発される懸念がある。
②営業秘密の保護強化について、知的財産政策室長から説明があった。委員の発言を中心
にまとめると以下のとおり。
・ 人材の流動化といっても、辞職すれば営業秘密を自由に使っていいということにはなら
ない。
・ 主体を非従業員とすると、競業避止契約が前提になるが、刑罰の構成要件にかぶってく
ることになり、かなり難しい。現従業員に限られるのではないか。また、企業には様々な
情報があるはずであり、情報保護の体系の中で営業秘密をいかに位置付けるかが、必要で
ある。
③職務発明制度について、特許庁技術調査課長から説明があった。委員の発言を中心にま
とめると以下のとおり。
・ 発明者の意見、アンケートの結果等がないと、産業界からの一方的な意見では、結論が
出せないのではないか。産業競争力強化という観点に立った時に、どういう制度設計があ
るのかを是非考えて欲しい。
・ 権利の原始的帰属について、個人と法人と分けるのではなく、競争力強化の方策として
は、もう少し具体的に分ける必要があると思う。
・ 発明の権利の帰属の問題は、大学で一番問題になっている。アメリカで技術移転関連の
年次総会があったが、その中で、アメリカは1大学を除いて機関帰属であった。ただその
1大学も管理に卓越した管理者の努力によって実績が上がっているのであり、組織に帰属
を一元化しないと管理は難しいのが事実である。
・ 現段階で特許法第35条について一定の方向性を出すのは時期尚早である。企業側が企
業活動を阻害することになるという危機感からの削除論と、このままであれば優れた研究
者が海外に流出し日本の産業にマイナスであるという方向からの削除論がある。一方で、
第35条はそれなりに機能しているという考え方もある。もう少し慎重に検討すべきであ
る。
・ 産業界の意見としては、結論をいつまでも待ってられないので早く方向性を示して欲し
い。大学の権利も組織所有でないと企業側からすると取引しにくいのは事実である。ただ
し、大学の先生の個人帰属と組織帰属のいずれの形態があってもいい。
・ 提案の中で、契約で全部やるという考え方はあまりにも企業側に有利な提案ではないか。
第35条を全廃した場合は、大企業は構わないかもしれないが、全従業員と契約しなけれ
ばならないこととなり、果たして本当に企業のためになるのか。
・ 発明がどんなふうに生まれてくるかの実態を知って欲しい。大企業で言うと、ほとんど
の場合は、いい研究環境にエンジニアをおくと自動的に発明が出てくる。中村修二さんの
発明事例を念頭に置いて、制度を考えると現実を無視したとんでもない結論が出てくるこ
とになりかねない。
・ 第35条は特許法の問題とされているが、実態はそうではない。ドイツでは労働法に近
く、英米では契約法に近いというように歴史的な背景を各国で持っている。社会制度につ
いて考える時は、その国の労使関係がどうなっているのか、契約社会になっているのか、
といった歴史的背景や社会環境をしっかりと踏まえなければならない。
④知的財産のディスクロージャーについて、渡邊委員から説明があった。委員の発言を中
心にまとめると以下のとおり。
・米国では、しかるべき評価基準を作っているのか。
(渡邊委員)
・ フェアバリューで評価するとなっている。何がフェアバリューかというのは最終的に
は監査人の判断となる。算定基準を信じるか信じないかは財務諸表についての読者の
判断である。
・ ディスクロージャー全体を否定する気はないが、時期尚早だと思う。どのようにディス
クローズすると誰のためになるのか、難しい。真に株主が知りたい情報を、ディスクロー
ズすることは本当に難しい。
(渡邊委員)
・ 米国ではスケジュールが決まっており、これに対して準備をしておかないと米国の
考え方だけで、ディスクロージャーの方法が決まってしまう。少なくともグローバル
に活動している日本の企業は影響を受けるということになる。
・ 知的財産を綺麗に計数化できるのか疑問である。出てきた数字が実態を反映したものに
なるのか。アメリカの企業のマネジングをまず見る必要がある。
・ 財務諸表に表すこと以前に、知的財産についての活動の状況が外に出ていない。もう少
し知的財産に関する活動を外部に公開して欲しい。米国の企業がどこまで何を外に出して
いるのかを示し、何を表に出すべきか、メルクマールになるものをもう少し議論すべきで
ある。
⑤「日本版バイドール」における知的財産の取扱いについて、産業技術環境局統括技術戦
略企画官から説明があった。委員の発言をまとめると以下のとおり。
・ 方向性は賛成であるが、企業が大学と産学連携をやろうとした時に、バイドール法の適
用を受けた財産と自己の財産が混在していて、取組難いということが起こり得る。バイド
ール一般としては厳しい規定ではなくて、いろいろな使い方のある制度が産業競争力強化
の観点からは効果的である。国益を考えるのであればバイドール法でやるのではなくて、
プロジェクト毎に判断すれば良いと思っている。運用方法が厳しいと活用できない。
・ 国の産業力強化ということをやっているのに、規制されれば活動できない。
⑥大学の戦略的な知的財産活動の重要性と支援策について、特許庁技術調査課長から説明
があった。委員の発言を中心にまとめると以下のとおり。
・ 大学の発明に関して、産業競争力を高めるためには基本特許が必要であるが、企業は短
期的な収益性を考えるので、極端ないい方をすれば、大学の先生の最先端の研究開発から
しか基本特許が出る可能性は少ない。戦略的に出願ができるような人をマン・ツー・マン
で大学の先生につける必要がある。そうすることではじめて知的財産の効果が出てくる。
また、出願した明細書の補正の制限が厳しい。そのために基本特許を取れない可能性が十
分あると思う。基本特許を取るためにはこの制限緩和とセットで考えるべきである。
・ 大学、TLOも努力をしているので企業側からの応援も必要である。
・ 米国の特許出願における情報開示義務と仮出願制度について、米国型の情報開示義務は
取り入れるべきではないが、仮出願制度は検討しても良いのではないか。ただし、本当に
仮出願のニーズがあるかどうかは疑問である。
・ 大学も企業と同様、論文優先から特許優先の考え方に切り替えなければならない。知財
管理アドバイザーには、様々なことを経験している人材を派遣しなければ効果がない。大
学は教育が本分であり、特許優先という考え方と整合性を取るのは難しい。実感として、
大学は協力的であるので、システムの構築や財政基盤を整備すれば、大学の研究開発が特
許を通じ経済活動に貢献できると思う。
・ 外国にどれだけ出願するかが重要である。論文出願について、外国に出願する場合にも
有効に機能するのか。外国に出す場合も前提にして仕組みを考えるべき。
⑦特許法第30条に規定する学術団体の拡大について、特許庁制度改正審議室企画係長か
ら説明があった。
⑧先端技術分野における特許情報のタイムリーな分析・提供について、特許庁技術調査課
長から説明があった。
以 上
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