企業法制研究会 (担保制度研究会)
第2回 議事要旨



1.日 時:平成14年3月18日(月)18:00〜20:00
2.場 所:経済産業省第1特別会議室
3.出席者;高木委員長、阿部委員、池辺委員、内田委員、小野(傑)委員、小野(隆)
      委員、加藤委員、久保委員、小林委員、田頭委員、道垣内委員、中村委員、
      森田委員他
4.議事概要
(1) 債権譲渡登記制度について後藤法務省民事局商事課長より説明。その後、質疑応答。
・ 中小企業の資金調達の多様化の中で債権譲渡登記が活用できると考え、これまで検討
 を行ってきたが、債権譲渡登記の利用が困難であると思われる点があるので指摘をした
 い。
  まず、第1点目として、債権譲渡特例法が「譲渡」の登記を前提にしているため、代
 位弁済等における担保の移転に関して活用ができない。このため、売掛債権譲渡担保制
 度において信用保証協会が代位弁済をしたときなどの担保の移転では活用することがで
 きない。現行の制度でこのような場合をカバーしようとすると譲受人の銀行から保証協
 会に債権譲渡を行い、それを登記することになるが、銀行の商業登記簿に債権譲渡があ
 った旨の記載がなされることとなり、不自然な形となってしまう。不動産抵当権の登記
 では付記登記による移転が可能であり、このような制度にはできないか。
  第2点目として、債権譲渡登記について、利害関係を有しない第三者は第三債務者の
 詳細を把握することができないことから、新規融資を行おうとする第三者は、借入申込
 人から実質的な正確な申告を受けることが必要となる。このため、公示力が不動産登記
 と比べ著しく弱くなる。第三債務者の中には個人の債務者等がいるので、プライバシー
 保護の観点等から、すべての情報の開示ということはできないのかもしれませんが、少
 なくとも法人対法人の取引関係にあるような債権であれば、他者でもわかるような公示
 が必要ではないか。
  第3点目として、債権譲渡登記では債権の種類を15種類に細分化していて、登記す
 るときには債権ごとそれぞれの取引関係に基づき債権の種類を峻別して登録する必要が
 あるが、債権の種類を細分化しすぎているのではないか。中小企業では、実際、帳簿上
 売掛金として扱われており、請負であるとかそのような認識は持っていない。昨年の11
 月13日の東京高裁判決で、売掛債権と誤認して役務の報酬債権を売掛債権として登記し
 たところ、その第三者対抗力を否定されたという判例も出ており、実務上、この点につ
 いて非常に混乱している。
・ 1点目について、法定代位には登記による対抗要件具備は必要ないと解するのが通説
 だと思うが、このような場合にも登記による対抗要件具備をしたいというのは取引上の
 第三者の保護という観点からか。
・ 売掛債権担保融資制度上、保証協会は9割保証することとなっており、一部譲渡の移
 転登記ができないという問題もある。これも含め、できれば登記という形できちんとや
 りたいというのが実務上の要請である。
・ 債権譲渡登記制度はそもそも付記登記をすることを考えず作られたものであり、譲渡
 があれば譲渡の都度、債権譲渡登記申請をする仕組みとなっている。そして、債権譲渡
 登記は付記登記ができない仕組みになっているからこそ、1日に200万個の登記が可
 能となっている。この点を理解していただきたい。
・ 第2点目について、第三者が登記された債権の内容がわからないことは債権譲渡登記
 制度の本質的なところであり、個人が第三債務者となっているケースも非常に多いと思
 われ、債権譲渡登記ファイルを見れば誰がどこで何を譲渡されたのか全部分かるように
 する訳にはいかないのではないか。法人だけ取り出すのも難しいと思う。
・ 会社分割の際に、担保権を含む様々な権利を譲渡するに当たって、この債権譲渡登記
 も移そうとしたが、これを移すことが法令上難しいため、もう一度登記をし直すことと
 したことがあった。この点について何か手当ができないか。
・ 会社分割手続において債権譲渡登記は譲渡の登記をするという部類に整理されて当時
 立法されたので、例えば根抵当権などは分割について民法の特例を設けたが、債権譲渡
 特例法については手当てしていない。実際、手当てをすることは制度上困難である。分
 割に伴って移転があった場合には、再度その旨の登記をするしか今の仕組みではできな
 い。
・ 資料中の登記事項証明書の例では、債権の譲渡契約がなされた日付に登記がなされて
 いるが、実際は、登記原因の日付と登記年月日とが離れている例はどの程度あるのか。
・ 包括的な債権譲渡がなされたときにその総額を累積額で書くのか、現存債権の見積額
 で書くのかについては議論があるが、実際に債権譲渡登記申請においてどちらの例が多
 いのか。

(2) プロジェクトファイナンスの実務から見た担保制度の問題点について加藤委員より説
 明。その後、質疑応答。
・ 株式譲渡制限に対する対応策として、X銀行が融資をし、その担保としてYの所有す
 るA社(譲渡制限会社)の株式を譲渡担保にとった場合に、その担保の実行において取
 締役会決議を不要とするためには、定款を変更し、「X銀行が所有する株式譲渡を除き
 株式譲渡には取締役会の承諾を要する」ことができるはずである。
・ 株式を担保にとる場合の問題として、当然会社ごと取得するので負債ごと取得するこ
 とになるが、この点、問題はないのか。
・ プロジェクト会社に融資するときに、実行時にばらばらになってしまうとその瞬間に
 価値が失われてしまうので、多少の負債を抱えている会社であっても丸ごと押さえる方
 が回収できるバリューが高いという認識をレンダーとしては持っている。
・ イギリスのフローティングチャージの概念を導入すると会社単位になると思うが、そ
 うではなく事業単位の担保制度が整備されるとしたら、事業単位の担保制度で十分ニー
 ズは満たされるのではないか。

(3) 証券化実務から見た担保制度の問題点について小野(傑)委員より説明。その後、質
 疑応答。
・ ユーロ社債では担保付が普通だとのことだが、こうなっている理由は何か。
・ 恐らく、SPCが持っている資産に基づいて社債は発行するので、そのSPCが保有
 しているアセットについては当然社債の担保とされるべきではないか、それを裸のまま
 で置いておくのは仕組み上それで安全だと言っても取締役リスクがあるのではないか、
 などということが考えられ、そのような観点から担保付となっていると思われる。
・ リミテッドリコース、あるいはノンリコースと担信法の82条1項との関係について教
 えて頂きたい。
・ 82条1項は、受託者が担保を必ず実行しなければいけないする規定。ノンリコース条
 項において債務不履行時に必ずしも担保を実行するというわけではなく、売却処理手続
 をとる、または、その他の違ったアレンジをするなど契約上いろんな手当てがされてい
 るはずであり、債務不履行時に担保を必ず実行しなければいけないとの規定とは整合性
 がないと思う。
                                     以 上